説明

ポリオレフィングラフトポリ(メタ)アクリレートコポリマーベースのポリオレフィン表面用下塗り剤

本発明は、新規のハロゲンおよび酸を含まない易溶性ポリオレフィン用下塗りバインダーであって、(メタ)アクリレートグラフト非晶質ポリオレフィンを含有するバインダーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリオレフィン類、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、EPDM、またはポリ−α−オレフィンは、例えば包装産業または自動車産業において、あるいは成形品、例えば携帯電話のケースを製造するために、材料として非常に重要である。加工が容易で安価なこれらの材料の唯一の不利点は、その表面特性である。ポリオレフィンは、直接コーティングまたは接着接合することができない。この目的で、この材料にプライマーまたはその他の何らかの前処理を行なう必要がある。本発明は、ポリオレフィンを対象とし、(メタ)アクリレートをグラフトした非晶質ポリオレフィンを含み、ハロゲンおよび酸を含まない、新規の易溶性下塗りバインダーに関する。
【0002】
先行技術
ポリオレフィンなどの極めて非極性の材料の表面改質は、大学および業界で長い間重要な研究題材となっている。ポリプロピレンまたはポリエチレンは、ほとんどの接着剤またはコーティング剤のベースを形成する極性バインダーで直接コーティングすることができない。ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはポリウレタンなどのポリマーのポリオレフィンとの接着性は、この目的では一般に不十分である。したがって普通は、ポリオレフィンシートに、コーティングプロセスの前に、表面極性化の目的で高エネルギーコロナ処理を行なう。しかしながら、この種の方法は、エッジのある成形品および表面の形状が不規則な成形品には用いることができない。この際に唯一可能なのは火炎処理であるが、これは実施が難しく、また特に不規則な形状の物体のエッジ部分に、好ましくない結果をもたらすことが多い。したがって、良好な塗布性を有し、プライマーとして用いられるポリマー溶液を使用すると、より優れた結果を得ることができる。
【0003】
この種のプライマーは、ハロゲンを含有するパラフィンまたはポリマーをベースとしていることが多い。これに関連して、例として、ポリジクロロブタジエンを記載しているドイツ特許第10011384号を参照されたい。しかしながら、この種の系によってもたらされる接着性は、前処理、例えば火炎処理を完全に除外できるほど十分には優れていない。
【0004】
国際公開第2006124232号は、塗布後に紫外線硬化しなければならないコーティング系を記載している。この種のコーティング系は、追加作業を必要とするだけでなく、例えば貯蔵寿命が短くなるなど、さらなる不利点も示す。
【0005】
国際公開第2008031677号は、ポリオレフィンと、接着促進剤としてのケトン樹脂および/またはアルデヒド樹脂をベースとする樹脂とを組み合わせている。しかしながら、単一成分系と比較すると、前記の系には、相分離が生じる可能性があり、また適用範囲が限定されるという不利点がある。
【0006】
国際公開第2008039595号は、高い比率のアニオン性基を有するポリオレフィン−ポリエーテルブロックコポリマーから構成される水性コーティング系を記載している。当業者は、この種の系が極めて低い固形分でしか使用できず、また高比率のやや難溶性のポリオレフィンブロックを含む水性溶液からの良好な膜形成が困難であることを容易に理解することができる。
【0007】
米国特許第20040072960号は、カルボキシル化ポリオレフィンと多官能アルコールとのエステル化によって得られるプライマーを記載している。このアルコールは、3個以上のOH基を有する低分子量化合物を含む。当業者は、過剰なカルボキシル化度がポリオレフィンに対する接着性の低下につながり、一方で不十分なカルボキシル化度が今度は表面の不十分な極性官能化につながることを容易に理解することができる。
【0008】
主として非晶質のポリオレフィンにアクリレートおよび/またはメタクリレートをグラフトするための汎用の方法が、長い間知られている。フリーラジカル溶液重合法の形態の方法が、例として、ドイツ特許第10150898号に記載されている。Badel et al.(J.of Pol.Sc.;Part A:Pol.Chem.;45,22,p.5215,2007)には、反応押出法による反応が記載されている。代替的な開始方法を用いる前記方法の変形法は、国際公開第2004113399号に記載されている。ポリオレフィンのハロゲン改質とそれに続く原子移動ラジカル重合法による制御されたグラフト反応は、Kaneko et al.(Macromol.Symp.,290,pp.9−14,2007)に記載されている。前記明細書のいずれもポリオレフィン表面のコーティング剤または下塗り剤を記載していない。
【0009】
米国特許第6,310,134号では、非晶質ポリオレフィンに酸または無水物、例えばアクリル酸またはメタクリル酸をグラフトしている。この種のポリマーの不利点は、有機溶媒および水性溶媒に対する溶解性に乏しいことである。前記明細書は、15質量%未満の極めて低い固形分を使用することで、低い溶解性の問題を解決している。したがって、均一なコーティングのためには、極めて大量の溶媒を使用することが必須であり、そうしなければ、得られる表面が極めて不規則になる。米国特許第5,523,358号では、ポリプロピレンに酸を同じようにグラフトしている。この場合、グラフトコポリマーは、反応中および反応後に固体であり、基材にそれを塗布するために可能な方法は、不均一法または押出コーティングを用いる方法のみである。しかしながら、両方法とも、不均一なおよび/または極めて厚いプライマーをもたらす。
【0010】
米国特許第6,262,182号では、酸改質非晶質ポリオレフィンの低い溶解性の問題を溶媒として高沸点の芳香族化合物を用いることで解決している。しかしながら、この種の溶媒は、排出物質および毒性に関して、また乾燥温度および/または乾燥時間に関して、塗布時に大きな不利点を有する。
【0011】
また、シラン試薬を使用して、ポリオレフィン、主として非晶質のポリ−α−オレフィンを改質することもできる。この種の系は、例として、国際公開第2007008765号および欧州特許第1900773号に記載されている。この種のコポリマーの不利点は、オレフィンの比率が高く、官能性極性基の比率がわずかなことである。前記極性基は、通常はアルコキシシリル基を含むが、これらは溶解性の改善にごくわずかしか貢献しない。したがって、やはりこれらのポリマーも低い溶解性しか有さず、そのため塗布が困難であり、正確に塗布することは不可能である。
【0012】
欧州特許第1900773号には、少量のシリル基をグラフトしたポリ−α−オレフィンが記載されている。前記生成物は、極めて良好な接着性を示すが、これらのポリマーもやはり極めて高比率のオレフィンを有し、また有機溶媒に対して低い溶解性しか有さず、すなわち、極めて低濃度でしか有機溶媒に溶解できない。
【0013】
欧州特許第1601470号および欧州特許第1508579号には、シリル基で官能化したポリオレフィンが、プライマーとして同様に記載されている。この種の系の不利点はさらに、コーティングに対する接着性がシリル基によってのみもたらされることである。しかしながら、この場合の貯蔵寿命は比較的短いことが知られており、そのため官能基の比率を低く保たなければならない。
【0014】
ドイツ特許第19516457号には、この種の改質ポリオレフィンと酸改質ポリオレフィンとの混合物が、接着剤として記載されている。当業者は、この種の系が極めて低い貯蔵性しか有さないことを容易に理解することができる。極性ポリマーと比較して、この種の接着剤は、官能基の数が少ないため、接着値および/または初期接着値の低下も示す。
【0015】
国際公開第2007/001694号には、官能性ポリマー(例えば、シラングラフトプロピレンポリマーまたは無水マレイン酸グラフトプロピレンポリマー)を含む接着剤組成物が記載されている。主ポリマーは、メタロセン触媒を用いて製造され、要求される特性を有さない。
【0016】
国際公開第2007/002177号には、少なくとも50質量%の比率のプロピレンを有するランダムポリ(プロピレン)コポリマーと、官能化ポリオレフィンコポリマーと、非官能化接着性樹脂とをベースとする接着剤組成物が記載されているが、このときポリ(プロピレン)コポリマーの融解エンタルピーは0.5〜70J/gであり、含まれるアイソタクチックプロピレントライアドの比率は少なくとも75%であり、使用する官能化シンジオタクチックポリマー中の官能性モノマー単位の含有量が少なくとも0.1%である。記載されているポリ(プロピレン)コポリマーは、好ましくは、メタロセン触媒によって製造される。この官能化ポリオレフィンコポリマーには、官能化ポリ(プロピレン)コポリマー、シンジオタクチックポリプロピレンコポリマー、およびアイソタクチック−アタクチックポリプロピレングラフトポリマーとして既知の材料が包含される。高級1−オレフィンの比率、例えば1−ブテンの比率が高い主ポリマーは記載されていない。アイソタクチックポリプロピレン単位(高レベルのフリーラジカルポリマー分解を伴う)の比率が極めて高いことがあるため、得られるグラフト化/官能化の鎖切断に対する比は低い。上述の官能性モノマー単位は、とりわけ無水マレイン酸およびグリシジルメタクリレートであるが、その他の種々の官能基、例えばビニルシランも含まれる。ポリオレフィンは、少量の前記官能単位のみで改質され、(メタ)アクリレート混合物はグラフトしない。
【0017】
課題
本発明の目的は、コーティング剤配合物あるいはポリオレフィンに直接接着しない接着剤配合物で、ポリオレフィン表面をそれぞれコーティングするための新規の方法を発見することであった。とりわけ、従来技術と比較して、より優れた使用特性を有する新規のプライマーを提供することを意図している。
【0018】
別の目的は、コーティング剤配合物あるいはとりわけ極性バインダーを含む接着剤配合物で、ポリオレフィン表面をそれぞれコーティングできるようにすることであった。
【0019】
第3の目的は、コーティングが連続的かつ一様になるように、またコーティングの塗布容易性が最大限になるように、ポリオレフィン表面をコーティングすることであった。これは、シートだけではなく成形品も対象とすることを意図している。
【0020】
さらなる目的は、コーティング系の耐候性に悪影響を与えず、また毒性学的懸念のいかなる可能性もない溶液を提供することであった。
【0021】
明示していないその他の目的は、以下の説明、請求項、および実施例の全体から明らかである。
【0022】
解決手段
これらの目的は、さまざまなタイプの基材の下塗りに適しており、膜形成性分散液を含むコーティング系であって、
A型ポリマーである、オレフィンポリマーまたはオレフィンコポリマーが含まれ、
B型ポリマーである、標準メタクリレートおよび/または標準アクリレートを含む、(メタ)アクリレートホモポリマーまたは/およびコポリマーが含まれ、
AB型ポリマーである、A型ポリマーとB型ポリマーとから作成されたグラフトコポリマーが含まれ、
A型、B型、およびAB型ポリマーの全質量に対して、
A型ポリマーの量が、5質量%〜60質量%であり、
B型ポリマーの量が、5質量%〜70質量%であり、
AB型ポリマーの量が、5質量%〜70質量%であり、
A型、B型、およびAB型ポリマー全体と、溶媒または溶媒混合物の質量との質量比が、3:1〜1:3、好ましくは2:1〜1:2であることを特徴とする、コーティング系の開発によって達成される。
【0023】
驚くべきことに、この種のポリマー混合物は、ポリオレフィンに対する良好な接着性を有することが判明したが、このバインダーは、ハロゲンまたは遊離酸基を含まない。ハロゲン化バインダーは、耐候性に関して、または毒性学的に大きな不利点を有する。
【0024】
驚くべきことに、本発明のコーティング系は、従来技術と比較したときに、室温などの比較的低い温度で、芳香族化合物を含まない溶媒に対して、より高い固形分で良好な溶解性を有することも判明した。このような特性により、従来技術と比較して、使用特性が著しく向上する。
【0025】
また、本発明のコーティング系の良好な溶解特性は、基材に塗布される、このコーティング系を用いるプライマーが、またひいてはこのプライマーに塗布される二次コーティングが、連続的かつ一様であることも意味する。
【0026】
コーティングされるポリオレフィンは、例として、ポリ−1−ブテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン−プロピレンコポリマー、ポリ−α−オレフィン、EPDM、EPM、ポリブタジエン(とりわけ、SEBSブロックコポリマー(スチレン−エチレン/ブテン−スチレンブロックコポリマー)を含む)、または水素化ポリブタジエンもしくはポリイソプレンを含みうる。
【0027】
酸官能性ポリマーは、特に有機溶媒にそれぞれ溶解または分散させたあと、特に高い溶液粘度または溶融粘度を有する。これらの特性は、塗布をより困難にし、あるいは極度に低い固形分を含む溶液からしか塗布できない。本明細書における酸を含まないという用語は、酸基最大70mmol/ポリマー1gを含むバインダーを表わしている。ハロゲンを含まないという用語は、ハロゲン原子最大10mmol/ポリマー1kgを含むバインダーを表わしている。
【0028】
B型ポリマーは、場合により、ハロゲンまたは酸基を含まない付加的な官能基を含んでいてもよいが、これは特にシリル基である。驚くべきことに、シリル基による官能化は、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに対する接着性の向上をもたらしうるだけではなく、続いて塗布される二次コーティングとの接着性の同様の向上をももたらしうることが判明した。
【0029】
さまざまなタイプの基材の下塗りに適したこのコーティング系は、ポリオレフィン基材に極めて良好に接着し、またプライマーとして、オレフィン表面には塗布することができないさまざまなタイプのコーティング剤配合物または接着剤配合物でコーティングできることが判明した。
【0030】
前記コーティング剤配合物または接着剤配合物のバインダーは、例として、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、または前記成分の混合物もしくはコポリマーをベースとしていてよい。
【0031】
また、驚くべきことに、本発明のバインダーは、配合によって、ポリオレフィン以外の表面、例えば金属(例えば、アルミニウム、鋼、または亜鉛)の下塗り、および非ポリオレフィンプラスチック(例えば、PVC、PET、ポリスチレン、ABS、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、例えばEvonik社製Plexiglas、ポリアミド、例えばナイロン−6、またはポリエーテル、例えばポリオキシメチレン)の下塗り、およびその他の材料、例えば木材、御影石、コンクリート、またはガラスの下塗りにも適切でありうることが判明した。このような下塗りされた表面は、そのあと接着剤またはシール剤の形態のポリオレフィンをベースとする配合物、あるいは別のコーティング剤でコーティングすることができる。この種の逆利用の一例は、極性基材、例えばPlexiglasまたはPVCのポリオレフィンホットメルトでの接着接合である。
【0032】
A型ポリマー
Aに相当する、本発明で使用するオレフィンポリマーおよびオレフィンコポリマーは、自体公知である。これらは主として、エチレン、プロピレン、ブチレン、または/およびその他の5〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンから構成されるポリマーを含む。
【0033】
実質的に非晶質のポリ−α−オレフィンは、特に有用である。使用可能な実質的に非晶質のα−オレフィンの例は、ホモポリマー、例えば非晶質ポリプロピレン(APP)または非晶質ポリ−1−ブテン、あるいは好ましくは、以下のモノマー組成:
4〜20個の炭素原子を有する1つまたは複数のα−オレフィン0〜95質量%、好ましくは3〜95質量%と、
プロペン5〜100質量%、好ましくは5〜97質量%と、
エテン0〜50質量%、好ましくは0〜20質量%と、
を有するコポリマーおよび/またはターポリマーである。
【0034】
4〜20個の炭素原子を有する、使用されるα−オレフィンは、好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、3−メチル−1−ブテン、メチルペンテン、例えば4−メチル−1−ペンテン、メチルヘキセン、またはメチルヘプテン(単独で、または混合物として)を含む。
【0035】
この種のポリマーの製造は、例として、欧州特許第0023249号に記載されている。本発明の半結晶性ポリオレフィンは、例として、トリアルキルアルミニウム化合物、例えばトリエチルアルミニウム、好ましくはトリイソプロピルアルミニウム、特に好ましくはトリイソブチルアルミニウムを共触媒として使用する、TiCl3・(AlCl3n混合触媒(n=0.2〜0.5)を用いたα−オレフィンモノマーの重合によって得ることができる。使用する触媒の活性は、通常は触媒1g当たりポリマー5000〜20,000gである。エテンモノマーは、気体形態で使用し、プロペンモノマーおよび1−ブテンモノマーは、気体形態または液体形態のいずれかで使用することができる。高級同族体は、液体形態で使用する。プロペンおよび/または1−ブテンを液体形態で使用する場合、使用する反応器内に維持される圧力は、その反応条件に対して適当でなければならず、液相中の適当なモノマー濃度を確保しなければならない。気体形態の水素を連鎖移動剤として使用する。重合プロセスは、例として、脂肪族炭化水素の群から選択された不活性溶媒中で実施する。モノマーの初期装入物中での重合法も、同様に可能である。重合法は、撹拌槽または撹拌槽カスケードで実施することができる。特定の一実施形態では、管型反応器または強制運搬式管型反応器(例えば、スクリュー式機械)を使用することも可能である。反応温度は、30〜220℃、好ましくは70〜150℃、特に好ましくは80〜130℃である。触媒および共触媒は、反応後に適切な形で分解し、このとき分解した触媒構成成分は、ポリマー中に残留するか、あるいは洗浄ステップによって除去される。本発明のポリマーは、それらの反応溶液の形態で、あるいは次の時点で、従来技術によって化学的に安定化させて、それにより高温、日光、湿気、および酸素の損傷作用からそれらを保護することができる。この際に使用可能な安定剤の例には、ヒンダードアミン(HALS安定剤)、ヒンダードフェノール、ホスファイト、紫外線吸収剤、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニル−ベンゾトリアゾールなど、および/または芳香族アミンが含まれる。このとき安定剤の効果的な量は、ポリマーに対して0.1〜2質量%の範囲である。粒状体および/または粉体の流動性を確保するために、ポリマー分野で通常使用されている流動助剤を使用してもよい。これらは、無機型または有機型のいずれであってもよく、また低分子量成分または高分子量成分のいずれを含んでもよく、また全ての場合に、結晶性流動助剤だけでなく非晶質流動助剤の使用が可能である。流動助剤は、熱力学的混和性という意味で、請求項に記載のポリオレフィンと相溶性であっても非相溶性であってもよい。例は、ポリエチレンだけでなくポリプロピレンをベースとしてもよいポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、および1−ブテンベースのポリオレフィンワックスである。
【0036】
これらの未改質の実質的に非晶質のポリ−α−オレフィンの融解エンタルピーは、0〜80J/gの範囲、好ましくは1〜70J/gの範囲、特に好ましくは1〜60J/gの範囲である。
【0037】
融解エンタルピーは、ポリマーの結晶化度の尺度である。ポリ−α−オレフィンは、比較的低い結晶化度を有する。すなわちこれらは、実質的に非晶質であるが、完全に非晶質ではない。一定の結晶化度は存在し、これは要求される特性に不可欠である。溶融過程で検出可能な結晶領域は、0℃〜175℃の広い温度範囲におよび、それらの位置により強度が異なる。ポリ−α−オレフィンの結晶化度の注目すべき特長は、単峰性だけでなく二峰性および多峰性の溶融シグナルも生じ、これらの一部は分離していて明確であり、一部は重複していることである。
【0038】
低い結晶化度は、第一に高い透明度をもたらし、第二に可撓性機械的性能をもたらす。しかし他方では、高い結晶化度は、特定の組み合わせの有利な特性を達成しうる。比較的高い結晶化度を有する、本発明のバインダー中の画分A、例えばポリブテンまたは高いブテン含有量を有するブテンコポリマーは、例として、極めて良好な引張強さを示す。同時に、これは比較的低い表面粘着性を示す。
【0039】
結晶画分の融解エンタルピーは、DIN 53 765に従って、示差熱測定(DSC)により、加熱速度10K/分で2回目の加熱曲線から測定する。
【0040】
環球法(DIN EN 1427)により測定した、未改質の実質的に非晶質のポリ−α−オレフィンの軟化点は、さらに、75〜165℃、好ましくは79〜162℃、特に好ましくは80〜158℃、とりわけ好ましくは82〜155℃であり、またDIN EN 1426に従って測定したこれらの針入度は、最大55*0.1mm、好ましくは3〜50*0.1mm、特に好ましくは5〜45*0.1mm、とりわけ好ましくは7〜42*0.1mmである。振動レオロジーによって測定した190℃での複素溶融粘度(ASTM D4440−01:"Standard Test Method for Plastics:Dynamic Mechanical Properties Melt Rheology"に従って、MCR 501レオメータ(Anton Paar社製、プレート・オン・プレート配置、プレート直径50mm)を用いて、最大変形1%、測定周波数1Hzで測定)は、最大550,000mPa*s、好ましくは最大350,000mPa*s、特に好ましくは2500〜250,000mPa*s、とりわけ好ましくは5000〜200,000mPa*sである。
【0041】
特定の好適な一実施形態では、エチレンモノマー、プロピレンモノマー、および1−ブテンモノマーをベースとする半結晶性1−オレフィンターポリマーを用い、このとき13C NMR分光法で測定したこれらのエチレン含有量は、1〜12質量%、好ましくは2〜10質量%、特に好ましくは3〜9質量%、とりわけ好ましくは3.5〜8質量%であり、同様に13C NMR分光法で測定したプロピレン含有量は、50〜80質量%、好ましくは55〜75質量%、特に好ましくは57〜73質量%、とりわけ好ましくは59〜71質量%であり、同様に13C NMR分光法で測定した1−ブテン含有量は、20〜50質量%、好ましくは22〜45質量%、特に好ましくは25〜40質量%、とりわけ好ましくは27〜38質量%であり、エチレン、プロピレン、および1−ブテンコモノマーの比率は、合計100%となる。好適なターポリマーの針入度(DIN EN 1426に従って測定)は、5〜28*0.1mm、好ましくは7〜26*0.1mm、特に好ましくは9〜25*0.1mm、とりわけ好ましくは10〜23*0.1mmであり、環球法により測定した軟化点(DIN EN 1427に従って測定)は、90〜125℃、好ましくは95〜122℃、特に好ましくは97〜120℃、とりわけ好ましくは99〜118℃であり、振動レオロジーにより測定した190℃での複素溶融粘度(ASTM D4440−01:"Standard Test Method for Plastics:Dynamic Mechanical Properties Melt Rheology"に従って、MCR 501レオメータ(Anton Paar社製、プレート・オン・プレート配置、プレート直径50mmを用いて、最大変形1%、測定周波数1Hzで測定)は、最大90,000mPa*s、好ましくは5000〜75,000mPa*s、特に好ましくは7500〜70,000mPa*s、とりわけ好ましくは10,000〜65,000mPa*sである。したがって、グラフト反応に使用するポリオレフィンターポリマーは、グラフト法におけるその有用性についてだけではなく、そのグラフト生成物の形態でのその後の使用に関して、理想的な一般特性を有する。とりわけ、好ましく使用されるターポリマーは、良好なバランスの凝集性、接着性、および可撓性を有する。
【0042】
本発明の混合物中に使用するA型ポリマーの量は、反応後のポリマー構成成分に対して、10質量%〜65質量%、好ましくは20質量%〜60質量%、極めて好ましくは25質量%〜55質量%である。
【0043】
B型ポリマー
以下に使用する(メタ)アクリレートという語句は、(メタ)アクリル酸のエステルを意味し、ここでは例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのメタクリレート、あるいは例えばメチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリレート、およびこれら2つの混合物を意味する。
【0044】
B型ポリマーを製造するために重合するモノマーは、(メタ)アクリレート、例えば、1〜40個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、もしくは脂環式アルコールのアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート(これらはそれぞれ非置換であってもよく、または1〜4個の置換基を有するアリール部分を有していてもよい);その他の芳香族置換された(メタ)アクリレート、例えば、ナフチル(メタ)アクリレート;エーテルのモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、または5〜80個の炭素原子を有するこれらの混合物、例えば、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシ(m)エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、およびポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートの群から選択されたものである。
【0045】
標準メタクリレートおよび標準アクリレートという語句はそれぞれ、(メタ)アクリル酸のエステルであって、ポリ(メタ)アクリレート成形用組成物、接着剤、シール剤、またはコーティング剤中のバインダーの合成において、工業的に使用されているものを意味する。これは、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、および2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートに関する。
【0046】
また、重合すべき組成物は、前述の(メタ)アクリレートと一緒に、上述の(メタ)アクリレートと共重合可能な別の不飽和モノマーも含んでいてよい。それらに含まれるのは、とりわけ1−アルケン、例えば1−ヘキセンおよび1−ヘプテン、分岐アルケン、例えばビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、および4−メチル−1−ペンテン、アクリロニトリル、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、スチレン、ビニル基にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環上に1つまたは複数のアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン;複素環式化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール、およびイソプレニルエーテル;マレイン酸誘導体、例えばマレイミドおよびメチルマレイミド、ならびにジエン、例えばジビニルベンゼンである。
【0047】
本発明の混合物中に使用するB型ポリマーの量は、反応後のポリマー構成成分に対して、35質量%〜90質量%、好ましくは40質量%〜80質量%、極めて好ましくは45質量%〜75質量%である。
【0048】
また、グラフトコポリマーの側枝は、場合により、接着性を向上させるためにシリル基を含んでいてもよい。
【0049】
挙げることができるシリル部分の例は、−Si(OMe)3、−SiMe(OMe)2、−SiMe2(OMe)、−Si(OPh)3、−SiMe(OPh)2、−SiMe2(OPh)、−Si(OEt)3、−SiMe(OEt)2、−SiMe2(OEt)、−Si(OPr)3、−SiMe(OPr)2、−SiMe2(OPr)、−SiEt(OMe)2、−SiEtMe(OMe)、−SiEt2(OMe)、−SiPh(OMe)2、−SiPhMe(OMe)、−SiPh2(OMe)、−SiMe(OC(O)Me)2、−SiMe2(OC(O)Me)、−SiMe(O−N=CMe22、および−SiMe2(O−N=CMe2)である。これらの略語の意味は、以下の通りである。Meはメチルを意味し、Phはフェニルを意味し、Etはエチルを意味し、Prはiso−プロピルまたはn−プロピルを意味する。
【0050】
この種のシリル基をB型ポリマーに組み込む方法の1つは、シリル官能性(メタ)アクリレートの共重合である。挙げることができる(メタ)アクリレート部分の例は、H2C=CHC(O)O−CH2−、H2C=CCH3C(O)O−CH2−、H2C=CHC(O)O−(CH22−、H2C=CCH3C(O)O−(CH22−、H2C=CHC(O)O−(CH23−、およびH2C=CCH3C(O)O−(CH23−である。
【0051】
市販のモノマーの例には、Evonik Degussa GmbH社製のDynasylan(登録商標)MEMOがある。これは3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを含む。
【0052】
この種のシリル基をB型ポリマーに組み込む別の方法は、共重合可能なオレフィン基、例えばアリル基またはビニル基を有する別のシリル官能性モノマーの共重合である。
【0053】
市販のモノマーの例には、Evonik Degussa GmbH社製のDynasylan(登録商標)VTMOがある。これはビニルトリメトキシシランを含む。
【0054】
シリル基をB型ポリマーに組み込む第3の方法は、例えばチオール基を有する、シリル官能性連鎖移動剤の使用である。
【0055】
市販のモノマーの例には、Evonik Degussa GmbH社製のDynasylan(登録商標)MTMOがある。これは3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む。その他の使用可能なシランは、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、およびメルカプトメチルメチルジエトキシシラン(ABCR社)である。モノマー混合物B中のシリル官能性モノマーの比率は、0質量%〜20質量%、好ましくは0質量%〜10質量%、特に好ましくは0質量%〜5質量%である。
【0056】
AB型ポリマー
グラフトポリマーABの生成
グラフトポリマーABを生成するために、一般に、重合条件下で不活性であり、かつプロセス温度よりも高い標準沸点を有する適切な溶媒中の、濃度5〜50質量%、好ましくは10〜25質量%のA型ポリマー、好ましくはポリ−α−オレフィンの溶液を製造するが、これは好ましくはポリ−α−オレフィンの軟化点より高い温度の溶媒中でポリマーを撹拌することによって製造する。この溶液は可能な限り均一であるべきであり、これに次に適切な開始剤、好ましくは過酸化物系フリーラジカル開始剤を反応温度で添加する。0〜60分、好ましくは0〜30分、特に好ましくは1〜20分の開始時間後、B型ポリマーの合成のためのモノマー混合物を添加するか、あるいはこれを比較的長時間かけて混合物に計量供給する。ペルエステル、例えばtert−ブチルペルオクトエートの使用が好ましい。開始剤の濃度は、所望のグラフト部位の数、およびB部分の所望の分子量に依存する。開始剤濃度は、一般に、ポリマーに対して0.2質量%〜3質量%である。この方法は、グラフト反応と同時にB型のポリ(メタ)アクリレートを自然に形成する。
【0057】
例えば溶媒の沸点を上回る軟化点を有するため、前述の条件で溶媒と混和できないポリ−α−オレフィンの場合、代替的に、乳化剤を添加することも可能である。この場合、グラフト反応は、有機分散液中で同様に実施する。
【0058】
重合時間は、通常は4〜8時間である。重合温度は重要ではない。しかしながら、これは一般に−20℃〜200℃、好ましくは0℃〜130℃、特に好ましくは50℃〜120℃の範囲である。
【0059】
代替方法では、適切な乳化剤を用いて、成分Aから分散液を製造し、第1の方法から類推して、この目的に適した反応条件下で、この分散液に成分Bをもたらすモノマーをグラフトする。乳化剤の構造は、AB系のものと類似していてよい。適切なAB型の乳化剤を製造するための方法は、自体公知である。例として、この手順は、移動グラフト法を用いることが可能である(Houben−Weyl,Methoden der Org.Chemie[Methods of organic chemistry],volume 1411,p.114,H.A.J.Battaerd,G.W.Tregear,Polymer Reviews,Vol.16,Interscience(1967)も参照)。
【0060】
この方法は、適切な溶媒中で実施することができる。これには例えば、H2O;アセテート、好ましくはブチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート;ケトン、好ましくはエチルメチルケトン、アセトン;エーテル;脂肪族化合物、好ましくはペンタン、ヘキサン;バイオディーゼル;あるいは可塑剤、例えば低分子量ポリプロピレングリコールまたはフタレートがある。好ましくは、芳香族化合物を含まない溶媒系中の本発明のバインダーを製造する。芳香族化合物は毒性学的に有害であり、工業的応用であっても、可能な限り避けるべきである。驚くべきことに、本発明におけるグラフトコポリマーの製造は、ブチルアセテートなどのアセテート中で特に良好に実施できることが判明した。
【0061】
ポリ−α−オレフィンの軟化点は、しばしば溶媒の選択肢を制限する。選択した溶媒の沸点は、理想的には、その範囲を上回るべきである。あるいは、減圧下でグラフト反応を実施することもできる。
【0062】
また、担体系について上記に記載した溶媒で作成した混合物を使用することも可能である。A型、B型、およびAB型ポリマー全体と溶媒または溶媒混合物との質量比は、3:1〜1:3、好ましくは2:1〜1:2であってよい。溶媒混合物は、好ましくは芳香族化合物を含まない。
【0063】
本発明のバインダーは、溶液重合によってだけでなく、エマルジョン重合、ミニエマルジョン重合、マイクロエマルジョン重合、懸濁重合、またはバルク重合によっても製造することができる。
【0064】
バルク重合の代替的な方法は、とりわけ連続バルク重合である。これは反応押出の形態をとってもよく、または重合混練機で実施することもできる。この種の方法は、溶媒を含まない形態で生成物が得られ、溶融物応用、例えばホットメルト接着剤または反応型ホットメルト接着剤に、この形態でそのまま使用できるという利点を有する。また、溶媒を含まない系は、固形分を最大限にすることを原則とする、いわゆるハイソリッドコーティングにも特に適している。本発明の未希釈の生成物を用いた配合は、この種のコーティング剤配合物のさらなる希釈を回避する。対照的に、溶液重合で製造されたポリマーの場合、前述のいずれかの応用の前に、溶媒を除去するための付加的な工程ステップがまず必要となる。エマルジョンポリマーまたは懸濁ポリマーの場合、残留水をまず乾燥させて除去しなければならない。これは反応性の水分架橋の可能性がある系の場合に特に重要である。
【0065】
溶液中のグラフト法の場合、グラフト法の反応温度は、30〜200℃、好ましくは40〜190℃、特に好ましくは50〜180℃、とりわけ好ましくは55〜140℃である。溶液グラフト法は、バッチ式または連続式で実施する。バッチ式で反応を実施する場合、固体ポリマー(例えば、顆粒、粉体などの形態)を使用する溶媒にまず溶解させる。あるいは、主ポリマー製造プロセスから、適切に製造した重合溶液をそのまま使用し、反応温度に到達させる。次いで、モノマーとフリーラジカル開始剤とを添加する。特に好適な一実施形態では、溶媒、主ポリマー、およびモノマーを初期装入物として用いて反応温度に到達させ、フリーラジカル開始剤は、混合物に既定の時間にわたり連続的に計量供給する。これは定常状態のフリーラジカル濃度が低く、そのためグラフト反応の鎖切断に対する比が特に有利になる(すなわち、グラフト反応が増加し、鎖切断が減少する)という利点を有する。別の特に好適な実施形態では、溶媒および主ポリマーを初期装入物として用いて反応温度に到達させ、モノマーおよびフリーラジカル開始剤は、一緒に(例えば、混合物の形態で)、またはそれぞれ別個に、混合物に既定の時間にわたり連続的に計量供給する。これは定常状態のフリーラジカル濃度および反応部位のモノマー濃度がともに低く、このことが鎖切断だけでなくホモポリマーの形成も抑制するという利点を有する。これは、反応温度で熱により(単独)重合を開始する傾向が著しいモノマーを使用するときに、特に重要である。さまざまな既定の計量供給時間のあと、さらなる量のフリーラジカル開始剤を混合物に計量供給し、それにより反応溶液中の残留モノマー含有量を最小限に抑えることは極めて好ましい。撹拌槽を反応器として使用することが好ましいが、代替的な反応容器、例えばバッチ式混練反応器の使用も同様に可能であり、これは反応温度が低く、および/またはポリマー濃度が高い場合に特に好適である。
【0066】
連続式で反応を実施する場合、固体ポリマーを1つまたは複数の供給容器(例えば、撹拌槽)内で少なくとも1つの溶媒にまず溶解させ、次いでこれを反応容器内に連続的に供給する。代替的な同様に特に好適な実施形態では、主ポリマー製造プロセスから、適切に製造したポリマー溶液をそのまま使用する。別の同様に特に好適な実施形態では、固体ポリマー(例えば、粉体、顆粒、ペレットなどの形態)を、少なくとも1つの溶媒と一緒に、(一軸または多軸)スクリュー式機械またはConti混練機に連続的に供給し、熱および/またはせん断により溶解させ、次いで反応容器に連続的に供給する。溶液中の連続式グラフト反応を実施するために使用可能な反応容器または反応器は、連続撹拌槽、撹拌槽カスケード、管型反応器、強制運搬式管型反応器(例えば、スクリュー式機械)、反応混練機、さらにこれらの任意の所望の組み合わせである。強制運搬式管型反応器を使用する場合、これらは好ましくは押出機を含み、このとき一軸、二軸、または多軸押出機のいずれかを使用することができる。二軸および/または多軸押出機の使用が特に好ましい。溶液中の本発明の改質ポリマーを連続式で製造する場合の特に好適な反応器の組み合わせは、管型反応器、強制運搬式管型反応器、および連続撹拌槽から任意の所望の順序で作成された反応器の組み合わせであり、このとき好ましくは、残留モノマーおよび揮発性の副生成物/分解生成物の除去も、強制運搬式管型反応器または連続撹拌槽内で実施する。
【0067】
あるいは、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を溶融物に直接供給する、溶融法も好ましい。とりわけ、この変形法では、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤の混合物への計量供給時のポリマー組成物の温度は、混合物に計量供給されるフリーラジカル開始剤のうちの少なくとも1つのSADT(自己加速分解温度:self−accelerating decomposition temperature=これを超えると自己加速分解を開始しうる温度)を上回る。
【0068】
溶融物中でのグラフト法の反応温度は、160〜250℃、好ましくは165〜240℃、特に好ましくは168〜235℃、とりわけ好ましくは170〜230℃である。
【0069】
溶融物中でのグラフトは、バッチ式または連続式で実施する。バッチ式で反応を実施する場合、固体ポリマー(例えば、顆粒、粉体、ペレットなどの形態)をまず溶融させ、場合により均一化する。あるいは、重合プロセスから、適切に製造したポリマー溶融物をそのまま使用し、反応温度に到達させる。次いで、モノマーとフリーラジカル開始剤とを添加する。
【0070】
特に一実施形態では、モノマーおよびポリマー溶融物を均一に混合して反応温度に到達させ、フリーラジカル開始剤は、混合物に既定の時間にわたり連続的に計量供給する。これは定常状態のフリーラジカル濃度が低く、そのためグラフト反応の鎖切断に対する比が特に有利になる(すなわち、グラフト反応が増加し、鎖切断が減少する)という利点を有する。
【0071】
別の特に好適な実施形態では、ポリマー溶融物を初期装入物として用いて均一化し、モノマーおよびフリーラジカル開始剤は、一緒に(例えば、混合物の形態で)、または別個に、混合物に既定の時間にわたり連続的に計量供給する。これは、定常状態のフリーラジカル濃度だけでなく反応部位のモノマー濃度も低く保たれ、このことが鎖切断だけでなくホモポリマーの形成も抑制するという利点を有する。後者は、一般的な反応温度で熱(単独)重合の傾向があるモノマーを使用するときに、特に重要である。使用する反応器は、好ましくは、壁付近で動作する撹拌アセンブリを備える撹拌槽、または反応混練機を含む。
【0072】
連続式で反応を実施する場合、固体ポリマーをまず1つまたは複数の供給容器(例えば、撹拌槽)中で溶融させ、次いでこれを反応容器内に連続的に供給する。代替的な同様に特に好適な実施形態では、重合プロセスから、適切に製造したポリマー溶融物をそのまま使用する。別の同様に特に好適な実施形態では、固体ポリマー(例えば、粉体、顆粒、ペレットなどの形態)を、(一軸または多軸)スクリュー式機械またはConti混練機に連続的に供給し、熱および/またはせん断により溶融させ、次いで反応容器に連続的に供給する。溶融物中で連続式グラフト反応を実施するために使用可能な反応容器または反応器は、連続撹拌槽、撹拌槽カスケード、管型反応器、強制運搬式管型反応器(例えば、スクリュー式機械)、反応混練機、さらにこれらの任意の所望の組み合わせである。強制運搬式管型反応器を使用する場合、これらは好ましくは押出機を含み、このとき一軸、二軸、または多軸押出機のいずれかを使用することができる。二軸および/または多軸押出機の使用が特に好ましい。溶融物中で本発明の改質ポリマーを連続式で製造する場合の特に好適な反応器の組み合わせは、管型反応器、強制運搬式管型反応器、および連続撹拌槽から任意の所望の順序で作成された反応器の組み合わせであり、このとき好ましくは、残留モノマーおよび揮発性の副生成物/分解生成物の除去も、強制運搬式管型反応器または連続撹拌槽内で実施する。
【0073】
また、場合により連鎖移動剤を使用して、B部分を所望の分子量に調整してもよい。適切な連鎖移動剤の例は、硫黄系連鎖移動剤、とりわけメルカプト基を含有する連鎖移動剤、例えばドデシルメルカプタンである。連鎖移動剤の濃度は、一般に、全ポリマーに対して0.1質量%〜2.0質量%である。
【0074】
グラフトポリマーABを製造するための別の方法は、第1のステップとしてのポリ−α−オレフィンのヒドロペルオキシド化によって提供される。そのようにして鎖に沿って形成されたヒドロペルオキシド基は、次の段階でビニルモノマーのグラフト重合を開始することができる(H.A.J.Battaerd,G.W.Tregear,Polymer Reviews(同上)を参照)。
【0075】
本発明の混合物中に使用するAB型ポリマーの量は、反応後のポリマー構成成分に対して、5質量%〜70質量%、好ましくは20質量%〜60質量%、極めて好ましくは25質量%〜50質量%である。
【0076】
本発明のバインダーは、種々の基材の下塗りに使用することができる。本発明のバインダーは、好ましくはポリオレフィン表面の下塗りに使用され、特に好ましくはポリプロピレン表面の下塗りに使用される。このプライマーは、次に第2の配合物または物質でコーティングすることができる。これは例として、コーティング剤、接着剤、またはシール剤を含みうる。第2の層は、さらに接着促進剤を含んでもよく、これがさらにコーティングされる。コーティングされる表面は、例として、シート、顆粒、射出成形品、または別の方法で製造された成形品、複合材料、あるいは積層品の表面を含みうる。これら全ての製品は、以下「被加工物」という用語に含まれる。
【0077】
このようにして下塗りし、続いてコーティングされた被加工物は、包装産業において、例えば食品用もしくは飲料用、または医薬品用に、自動車製造において、造船において、電子産業において、建設産業において、家具製造において、工学技術において、あるいは玩具の製造において使用することができる。
【0078】
プライマーでコーティングする方法は、例として、ロールによるコイルコーティング法と類似していてよい。また、噴霧法またはコーティング法によって、表面にプライマーを塗布することも可能である。使用可能な他の方法は、スピンコーティングまたはディップコーティングなどの方法である。また、塗布プロセス前に溶媒を除去すること、また押出コーティングまたは共押出によって基材表面を下塗りすることも同様に可能である。
【0079】
実施例
動的粘度ηの測定
動的粘度ηは、DIN EN ISO 53018に従って測定する。
【0080】
固形分の測定
風袋を秤量したアルミニウム皿に、0.1mgの精度でポリマー溶液0.3〜0.5gを速やかに量り入れ、続いてエントレーナーとしてアセトン5mLを添加する。次いで、まず室温で60分間、続いて105℃でさらに60分間、溶媒を蒸発させる。検体をデシケータ内で冷却し、計量して、質量差を測定する。各検体に対して、3回の測定を実施する。偏差が0.2質量%を上回る場合、追加測定を実施する。
【0081】
試験シート
PP接着性を評価するために使用する試験シートには、JE6100粒状体(Shell社)から押出した、厚さ200μmのPP泊を含んだ。
【0082】
コーティング剤のPP接着性の測定
種々の基材表面に対するバインダーのPP接着性を、DIN EN ISO 2409に従って、粘着テープ剥離(以下、Tesa剥離試験とする)を含むクロスカット試験によって検討した。この目的で、合成プロセス後に確立した固形分を有する変更を加えていない検体を、巻線ロッド法によって、湿潤層厚60μmで基材に塗布し、室温で一晩乾燥させる。この結果を評点0(特に良好な接着性)〜5(接着性なし)を用いて評価する。表には2つの値を示す。最初の値は、Tesa剥離試験後の視覚的評価であり、次の値は、カット法後の視覚的評価である。
【0083】
a)本発明において使用するポリオレフィン(A型ポリマー)の実施例
95℃の実験用オートクレーブで、アルミニウム還元型TiCl3(TiCl3*0.33 AlCl3)の形態の結晶性塩化チタンとトリイソブチルアルミニウムとの混合触媒(質量比1:4)と、連鎖移動剤として使用する水素とを用いて、エテン、プロペン、および1−ブテンをn−ブタン中で重合する。エテンモノマーおよびプロペンモノマーは、3時間の反応時間中に混合物に連続的に計量供給し、1−ブテンモノマーは初期装入物として使用する。3時間後、イソプロパノールを反応混合物と混合し、それにより反応を停止する。次いで、安定剤(例えば、Irganox)のアセトン溶液を添加する。未反応のモノマーおよび溶媒のn−ブタンをエバポレータで蒸発させる。実質的に非晶質ポリオレフィンの溶融物を温度約190℃で取り出す。
【0084】
ポリマーの特性は以下のとおりである。
【0085】
【表1】

【0086】
比較例である比較1は、プロピレン含有量が極めて低いため、本発明ではない。
【0087】
本発明において合成するグラフトコポリマー(AB型ポリマー)の実施例
実施例6
サーモスタット、還流冷却器、ブレード撹拌機、および内部温度計を取り付けたジャケット付き容器の初期装入物として、240gのn−ブチルアセテートと100gの1型ポリオレフィンとを使用する。100℃で撹拌しながら1時間以内にポリオレフィンを完全に溶解させ、次いでそれを0.78gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートと混合する。次に計量ポンプを用いて、この混合物に、75gのメチルメタクリレートと、75gのn−ブチルアクリレートと、2.3gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートとから作成した混合物を90分間かけて計量供給する。
【0088】
さらに150分の反応時間経過後、ポリマー溶液を50℃まで冷却し、180gのn−ブチルアセテートで希釈して溶液粘度を低下させる。さらに60分間撹拌して均一化したあと、分散液を室温まで冷却する。
【0089】
実施例7
サーモスタット、還流冷却器、ブレード撹拌機、および内部温度計を取り付けたジャケット付き容器の初期装入物として、316gのn−ブチルアセテートと120gの3型ポリオレフィンとを使用する。100℃で撹拌しながら1時間以内にポリオレフィンを完全に溶解させ、次いでそれを1.46gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートと混合する。次に計量ポンプを用いて、この混合物に、140gのメチルメタクリレートと、140gのn−ブチルアクリレートと、4.25gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートとから作成した混合物を90分間かけて計量供給する。
【0090】
さらに150分の反応時間経過後、ポリマー溶液を50℃まで冷却し、244gのn−ブチルアセテートで希釈して溶液粘度を低下させる。さらに60分間撹拌して均一化したあと、分散液を室温まで冷却する。
【0091】
実施例8
サーモスタット、還流冷却器、ブレード撹拌機、および内部温度計を取り付けたジャケット付き容器の初期装入物として、327gのn−ブチルアセテートと120gの5型ポリオレフィンとを使用する。100℃で撹拌しながら1時間以内にポリオレフィンを完全に溶解させ、次いでそれを2.91gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートと混合する。次に計量ポンプを用いて、この混合物に、280gのn−ブチルアクリレートと8.51gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートとから作成した混合物を90分間かけて計量供給する。
【0092】
さらに150分の反応時間経過後、ポリマー溶液を90℃まで冷却し、243gのn−ブチルアセテートで希釈して溶液粘度を低下させる。さらに60分間撹拌して均一化したあと、分散液を室温まで冷却する。
【0093】
実施例9
サーモスタット、還流冷却器、ブレード撹拌機、および内部温度計を取り付けたジャケット付き容器の初期装入物として、316gのn−ブチルアセテートと120gの5型ポリオレフィンとを使用する。100℃で撹拌しながら1時間以内にポリオレフィンを完全に溶解させ、次いでそれを1.46gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートと混合する。次に計量ポンプを用いて、この混合物に、136gのメチルメタクリレートと、136gのn−ブチルアクリレートと、8gの3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと、4.25gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートとから作成した混合物を90分間かけて計量供給する。
【0094】
さらに150分の反応時間経過後、ポリマー溶液を50℃まで冷却し、244gのn−ブチルアセテートで希釈して溶液粘度を低下させる。さらに60分間撹拌して均一化したあと、分散液を室温まで冷却する。
【0095】
実施例10
サーモスタット、還流冷却器、ブレード撹拌機、および内部温度計を取り付けたジャケット付き容器の初期装入物として、316gのn−ブチルアセテートと120gの5型ポリオレフィンとを使用する。100℃で撹拌しながら1時間以内にポリオレフィンを完全に溶解させ、次いでそれを1.46gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートと混合する。次に計量ポンプを用いて、この混合物に、272gのn−ブチルアクリレートと、8gの3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと、4.25gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートとから作成した混合物を90分間かけて計量供給する。
【0096】
さらに150分の反応時間経過後、ポリマー溶液を50℃まで冷却し、244gのn−ブチルアセテートで希釈して溶液粘度を低下させる。さらに60分間撹拌して均一化したあと、分散液を室温まで冷却する。
【0097】
実施例11
サーモスタット、還流冷却器、ブレード撹拌機、および内部温度計を取り付けたジャケット付き容器の初期装入物として、316gのn−ブチルアセテートと120gの5型ポリオレフィンとを使用する。100℃で撹拌しながら1時間以内にポリオレフィンを完全に溶解させ、次いでそれを1.46gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートと混合する。次に計量ポンプを用いて、この混合物に、272gのn−ブチルメタクリレートと、8gの3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと、4.25gのtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエートとから作成した混合物を90分間かけて計量供給する。
【0098】
さらに150分の反応時間経過後、ポリマー溶液を50℃まで冷却し、244gのn−ブチルアセテートで希釈して溶液粘度を低下させる。さらに60分間撹拌して均一化したあと、分散液を室温まで冷却する。
【0099】
実施例の合成法の結果
【表2】

【0100】
これらの結果に基づいて、判明した粘度が驚くほど低かったことが証明できる。固形分約40質量%、および固体中のポリオレフィンの比率30質量%または40質量%でさえ、溶液または分散液はそれぞれ良好な加工性を有し、またこれら全てが相分離を全くまたはごくわずかしか示さない。実施例8のみが、貯蔵7日後にわずかな相分離を示し、透明液相と白色分散液相とを生じた。しかしながら、この検体は、振盪または撹拌により容易に再分散させることができた。したがって、本発明のポリマー分散液は、驚くほど良好な貯蔵寿命を有する。
【0101】
Tesa剥離試験およびクロスカット試験後のフィルムの視覚的評価
【表3】

【0102】
これらの実験は、本発明のバインダーが、PPシートに対して十分な接着性を示し、またさらなるコーティングのためのプライマーとして使用することもできることを証明した。本発明のプライマー層を付加的コーティング層、例えばメタクリレートベースのもの、例えばEvonik社製のDEGALAN LP 64/12でコーティングした場合、それによりこれらの結果にいかなる変化ももたらさないものと予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜形成性分散液もしくは溶液を含む、ポリオレフィンをコーティングするためのプライマーであって、
A型ポリマーである、ポリオレフィンまたはポリオレフィン混合物が含まれ、
B型ポリマーである、標準メタクリレートおよび/または標準アクリレートを含む、(メタ)アクリレートホモポリマーまたは/およびコポリマーが含まれ、
AB型ポリマーである、A型ポリマーとB型ポリマーとから作成されたグラフトコポリマーが含まれ、
前記膜形成性分散液もしくは溶液が、ハロゲンおよび酸を含まないことを特徴とする、プライマー。
【請求項2】
B型ポリマーおよびAB型ポリマーがシリル基を有すること特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィンをコーティングするためのプライマー。
【請求項3】
A型、B型、およびAB型ポリマー全体と、溶媒または溶媒混合物の質量との質量比が、3:1〜1:3、好ましくは2:1〜1:2であること特徴とする、請求項1または2に記載のポリオレフィンをコーティングするためのプライマー。
【請求項4】
前記溶媒または溶媒混合物が芳香族化合物を含まないこと特徴とする、請求項3に記載のポリオレフィンをコーティングするためのプライマー。
【請求項5】
A型ポリマーが、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ−1−ブテン、および/または以下のモノマー組成:
4〜20個の炭素原子を有する1つまたは複数のα−オレフィン0〜95質量%、好ましくは3〜95質量%と、
プロペン5〜100質量%、好ましくは5〜97質量%と、
エテン0〜50質量%、好ましくは0〜20質量%と、
を有するコポリマーおよび/またはターポリマーであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリオレフィンをコーティングするためのプライマー。
【請求項6】
4〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンとして、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、3−メチル−1−ブテン、メチルペンテン、好ましくは4−メチル−1−ペンテン、メチルヘキセン、またはメチルヘプテンを単独で、または混合物として使用されることを特徴とする、請求項5に記載のポリオレフィンをコーティングするためのプライマー。
【請求項7】
AB型ポリマーが、ポリオレフィン主鎖とポリ(メタ)アクリレート側鎖とを有するグラフトコポリマーであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリオレフィンをコーティングするためのプライマー。
【請求項8】
成分Bをもたらすモノマーが、溶媒中のA型ポリマーと開始剤との混合物中に供給され、これが重合されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリオレフィンをコーティングするためのプライマー。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のプライマーが、溶液として塗布され、次いで前記プライマーが乾燥させられることを特徴とする、ポリオレフィン基材を下塗りするための方法。
【請求項10】
前記プライマー層に第2の層が塗布されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の層が、コーティング剤、接着剤、またはシール剤であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法に従ってコーティングされていることを特徴とする、シート、成形品、管、またはケーブル被覆材。
【請求項13】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のプライマーが、溶液として塗布され、次いで前記プライマーが乾燥させられ、ポリオレフィンから主に構成される第2の層が、前記プライマー層に塗布されることを特徴とする、極性基材を下塗りするための方法。
【請求項14】
前記第2の層が、接着剤またはシール剤であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13および14のいずれか1項に記載の方法に従ってコーティングされていることを特徴とする、シート、成形品、管、またはケーブル被覆材。

【公表番号】特表2012−521455(P2012−521455A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501219(P2012−501219)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052447
【国際公開番号】WO2010/108754
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】