説明

ポリオレフィン微多孔膜

粘度平均分子量(Mv)が200万以上、DSC(示差走査熱量分析)から求められる第一融解ピークの信号高さが3.0mW/mg以上であり、比表面積が0.7m/g以上、かつ平均粒径が1〜150μmであるポリエチレン(A)を5〜95重量%、Mwが1万を超え20万未満であるポリエチレン(B)を95〜5重量%含み、前記(A)と(B)のMvの比(A)/(B)は10以上であり、膜全体の分子量が30万〜150万、膜のヒューズ温度が120〜140℃、破膜温度が150℃以上であり、140℃突刺強度と25℃突刺強度の比が0.01〜0.25であるポリオレフィン微多孔膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池、コンデンサー等の電気化学反応装置に用いられるセパレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン微多孔膜は精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料、又は機能材を孔の中に充填させ新たな機能を出現させるための機能膜の母材等に使用されている。これらの用途のうち、電池用セパレータ、特にリチウムイオン電池用セパレータとして使用する場合、ポリオレフィン微多孔膜は電池内部の異物などによる内部短絡防止を施したり、電池捲回時に流れ方向へセパレータが伸びないためにも、高突刺強度、高引張弾性率を有することが要求されている。
【0003】
更に、近年の高容量の電池用セパレータにおいては、一般的物性を有することに加えて、電池の安全性を確保する「ヒューズ効果」と「耐熱性」が求められている。ヒューズ効果は、電池内部が過充電状態などで過熱したときにセパレータが溶融して電極を覆う皮膜を形成して電池を遮断することにより、電池の安全性を確保するしくみである。ポリエチレン微多孔膜の場合には、ヒューズ温度、すなわちヒューズ効果が発現する温度は概ね140℃前後であることが知られている。電池内部の暴走反応などをできるだけ早く止める観点から、ヒューズ温度は低いほど良いとされている。
【0004】
更にセパレータは、溶融後も形状を維持し、電極間の絶縁を保持する機能を有する必要がある。これが耐熱性であり、破膜特性と熱収縮特性に分けて考えることができる。たとえば150℃での電池の安全性を保証する必要から、米国規格UL1642の「Standard for Lithium Batteries」には、150℃オーブンで10分保存することを規定した電池安全評価基準が設けられている。この安全基準を達成するには、セパレータはヒューズで無孔化した後、150℃以上で破膜せず、かつ熱収縮をできるだけ少なくすることによって形状を維持させることが望ましい。破膜や熱収縮、特に電池捲回体の幅方向の熱収縮により、電池内部に電極間が接触するショート部分が生じると、電池は不安全になってしまうため、こうした耐熱性に優れたセパレータが強く望まれている。
【0005】
耐破膜性と低熱収縮性の両立は重要であり、両方が満たされてセパレータの耐熱性が高いといえる。しかしながら、高強度と低熱収縮性、高耐破膜性と低熱収縮性は相反する性能である。
例えば、高強度という観点では、高度な分子配向状態を作り出すためにポリエチレンの分子量を高くしたり、配向させるために延伸倍率を高くする技術が一般的に知られている。しかし、単なるこのような高度な分子配向は、溶融状態になると高い収縮応力を発生させる原因となり、結果的に耐熱性を低くすることになる。
【0006】
更に、高強度を維持しつつ耐熱性を向上させようという試みもいくつか知られている。例えば特許文献1では、ポリオレフィンと架橋可能な重合体とを押出し成形した後に架橋処理することにより、高い耐破膜性を有する微多孔膜を提示しているが、逆に高温下での緩和が遅く、強い収縮応力が残るため不適切であった。また、長時間の熱架橋処理工程を含むため生産性に問題があった。また特許文献2では、分子量分布がシャープになるようなポリオレフィンを用いることで、高強度化を実現してはいるが、超高分子量成分及び低分子量成分が少なくなるため、低ヒューズと高ショート性能とを兼ね備えることは困難であった。
【0007】
また、特許文献3は、分子量30万以下のポリエチレンと分子量100万以上のポリエチレンからなる微多孔膜を開示している。しかしながら、加熱延伸する微多孔膜に強度を持たせる工程、すなわち、良溶媒を除去する前にシートを加熱下で延伸する工程の必要性については、特許文献3には何ら記載がなく、高強度の膜を得ることが困難である。更には分子量の差が大きなポリエチレン同士の溶融工程は多大な時間を要し、生産性に欠ける。
【0008】
特許文献4は、分子量100万〜1500万のポリオレフィンと分子量1〜50万未満のポリオレフィンからなる微多孔膜を開示している。しかしながら、具体的に開示されているのは、200万と35万のポリエチレンからなる、両者の分子量比が10未満の微多孔膜である。また、微多孔膜の製造方法において、特定の熱処理工程を必須とすることにより、低熱収縮の微多孔膜を得ている。しかしながら、分子量20万以下のポリエチレンを含む微多孔膜においては、記載の熱処理工程だけでは熱収縮の防止は不充分であった。
同様に、特許文献5は、分子量70万以上の超高分子量ポリエチレンを1%以上含有し、分子量分布が10〜300のポリオレフィン組成物からなる微多孔膜を開示してはいる。しかし、具体的に開示されているのは、分子量250万と24万のポリエチレンからなる組成物であり、本発明に必須である分子量1〜20万である低分子量成分を含んでおらず、ヒューズ特性や緩和速度が不充分である。
【0009】
【特許文献1】特開2001−181435号公報
【特許文献2】特許第3351940号公報
【特許文献3】特開平2−21559号公報
【特許文献4】特開2003−3006号公報
【特許文献5】特許2711633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、特定の平均粒子径、融解挙動、及び比表面積を有する超高分子量ポリエチレンと、分子量1万〜20万未満のポリエチレンを含む組成物を用いることで、上記問題点を解決し、低ヒューズで高破膜性、更には高温での低熱収縮性を兼ね備えたセパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上述の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の平均粒子径、融解挙動、及び比表面積を有する超高分子量ポリエチレンと、分子量1万〜20万のポリエチレンを含む組成物を用いることにより、微多孔膜に優れた低ヒューズ及び高ショート特性並びに、高温での低熱収縮性を付与することができることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)Mvが200万以上、DSC(示差走査熱量分析)から求められる第一融解ピークの信号高さが3.0mW/mg以上であり、比表面積が0.7m/g以上、かつ平均粒径が1〜150μmであるポリエチレン(A)を5〜95重量%、Mwが1万を超え20万未満であるポリエチレン(B)を95〜5重量%含み、前記(A)と(B)の分子量の比(A)/(B)は10以上であり、膜全体の分子量が30万〜150万、ヒューズ温度が120〜140℃、破膜温度が150℃以上であり、140℃突刺強度と25℃突刺強度の比が0.01〜0.25であるポリオレフィン微多孔膜。
(2)前記ヒューズ温度が120〜135℃である前記(1)記載のポリオレフィン微多孔膜。
(3)前記ヒューズ温度が120〜133℃である前記(1)記載のポリオレフィン微多孔膜。
(4)152℃以上のショート温度を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜。
(5)90℃以上のTD方向の熱収縮開始温度を有する前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜。
(6)前記TD方向の熱収縮開始温度が100℃以上である前記(5)記載のポリオレフィン微多孔膜。
(7)前記TD方向の熱収縮開始温度が110℃以上である前記(6)記載のポリオレフィン微多孔膜。
(8)5〜24μmの膜厚を有する(1)〜(7)のいずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜。
(9)30〜60%の気孔率を有する(1)〜(7)のいずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜。
(10)25℃突刺強度が3〜10N/20μmである(1)〜(7)のいずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜。
(11)粘度平均分子量(Mv)が200万以上、DSC(示差走査熱量分析)から求められる第一融解ピークの信号高さが3.0mW/mg以上であり、比表面積が0.7m/g以上、かつ平均粒径が1〜150μmであるポリエチレン(A)を5〜95重量%、Mwが1万を超え20万未満であるポリエチレン(B)を95〜5重量%含み、前記(A)と(B)のMvの比(A)/(B)は10以上であるポリオレフィン組成物と、可塑剤とを含む混合物を混練して押出した後、ゲル状シートに成型して冷却固化し、得られたゲル状シートを延伸した後、可塑剤を抽出して乾燥し、熱固定を行うことを含む、膜全体の分子量が30万〜150万、膜のヒューズ温度が120〜140℃、破膜温度が150℃以上であり、140℃突刺強度と25℃突刺強度の比が0.01〜0.25であるポリオレフィン微多孔膜の製造方法であって、前記熱固定工程は、前記可塑剤抽出後の膜をTD方向に延伸する工程と、その後、前記延伸後の膜幅に対し、TD方向に熱収縮させる工程とを含むことを特徴とする、上記製造方法。
(12)前記延伸する工程が、前記可塑剤抽出後の膜を、少なくともTD方向に20%より大きく延伸する工程であり、前記熱収縮させる工程が、前記可塑剤抽出後の膜を、前記延伸後の膜幅に対し、少なくとも10%より大きくTD方向に熱収縮させる工程である(11)記載の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の、特定の超高分子量ポリエチレンと、特定の分子量範囲にある低分子量ポリエチレンとから構成される微多孔膜は、優れた低ヒューズ及び高ショート特性を有し、かつ、高温での低熱収縮性を兼ね備えたセパレータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の微多孔膜は、平均粒子径が1〜150μm、DSCによる融解信号差が3.0mW/mg以上であり、かつ比表面積が0.7m/g以上である、Mvが200万以上の超高分子量ポリエチレン5〜95%と、Mwが1万を超え20万未満である低分子量ポリエチレン95〜5%とを含む組成物からなる。
このような組成物の微多孔膜がヒューズ特性及び耐熱性と深く関係するのは、組成物内の超高分子量成分が、溶融時の電極等へのしみ込みを防止するための強さの役目を担い、低分子量成分が、配向された微多孔膜の溶融時の熱収縮力をできるだけ速く緩和するための性質(緩和率)と、低ヒューズ特性とを発現するからである。
【0015】
このような特性を有する組成物を構成するポリエチレンとしては、第一に特定の分子量成分を有する組成物を挙げることができる。すなわち、組成物内に分子量200万以上の超高分子量ポリエチレン由来の成分と、分子量1万を超え20万未満の低分子量ポリエチレン由来の成分とを含むように調整された組成である。このような組成にするには、ブレンドする超高分子量ポリエチレンン(A)のMvが200万以上であることが必須であり、より好ましくは200万〜600万、更に好ましくは200万〜400万である。Mvが200万より小さいと1000万以上の成分が少なく耐破膜性不足となり、1000万を超えると押出し工程での充分な混練が困難となる。
【0016】
上記超高分子量ポリエチレン(A)は、DSC(示差走査熱量分析)から求められる第1融解ピークの信号高さが3.0mW/mg以上であり、かつ平均粒径が1〜150μmであり、比表面積が0.7m/g以上の範囲であることが必要である。
ここで、第1融解ピークの信号高さは、第1融解開始温度(オンセット温度)−20℃のにおけるDSC曲線上の点と第1融解終了温度(オフセット温度)+20℃におけるDSC曲線上の点とを結ぶ直線と、第1融解ピーク点(D)を通る垂線との交点をCとしたときに、このC点と第1融解ピーク点(D)との高低差のことである。
【0017】
信号高さの範囲は、3.0mW/mg以上5.0mW/mg以下が好ましい。平均粒子径の範囲は1〜150μmである必要があり、1〜100μmが特に好ましい。粒径が1μm未満のような微紛では粉末同士の凝集が激しく、ポリマーフィーダー内や導管などに凝集体のブリッジが生じ支障をきたすし、150μmより大きいと超高分子量成分の未溶融成分が製品中に残りやすい。更に上記ポリエチレンの比表面積が0.7m/g以上であると、同重量でも溶媒との接触面積が大きいため、同一混練条件下では格段に溶解性が向上し、膜の品質が向上する。このような特性を持った超高分子量ポリエチレンを使用すると、分子量の大きく異なるポリエチレン同士の溶融混練において、飛躍的に膜の品質を向上することができる。
【0018】
同様の効果を得るためには、一般に混練時間を延ばしたり、混練温度を上げたり、オートクレーブなどで予備加熱混合するなどの手段が採られるが、生産性が落ちたり樹脂の劣化が起こりやすいため、好ましくない。
更に、このような融解挙動を示す粒径の細かい超高分子量ポリエチレンを用いた微多孔膜は、明確な解析は行われていないが、破膜温度が高く室温での強度も強い。これは、超高分子量成分が均一に混練、分散し、中・低分子量成分である他のポリエチレンとの絡み合いが効果的に行われるためと考えられる。また、微視的な超高分子量成分の未溶融分が少ないため、室温での引張り試験等においては未溶融ゲル付近からの界面破壊やクラックの生成が起きにくく、そのために強度が高められているとも考えられる。
【0019】
このような条件を満たす超高分子量ポリエチレンとしては、例えば、粒子が葡萄房状をしたものなどが挙げられる。ここでいう葡萄房状とは、粒子全体が多数の凹凸部を有する球状からなる葡萄房に類似した形状を言い、顕微鏡などで50倍〜100程度に拡大することで判別し得る。粒径や拡大倍率によっては金平糖状の形態等として観察されることもある。上記のような形状は溶媒などとの接触面積が大きいため、融解挙動がシャープになる傾向にある。特に細かい粒子を得るには、このようなポリエチレンを篩などにより分級する。
【0020】
一方分子量20万以下の成分を含ませるポリエチレン(B)のMwは、1万より大きく、20万より小さいことが必須であり、より好ましくは5〜15万である。Mwが20以上であると低ヒューズ特性と高温時の早期緩和特性が不充分であるし、1万以下であるとあまりに分子量が低すぎ、耐破膜性が不充分となりやすい。
上記ポリエチレン(A)及び(B)の分子量比(A)/(B)は10以上である必要があり、特に好ましくは20以上である。この比が10より小さいと、ヒューズとショート特性とをバランスよく持たせることが困難となる。
【0021】
更に上記ポリエチレン(A)及び(B)を含む組成物全体のMwは30万〜150万以上である必要があり、好ましくは35万〜100万、更に好ましくは40万〜80万である。Mwが30万より小さいと、セパレータ溶融時に充分な粘度が確保しにくい。また、Mwが150万を超えると溶融時の粘度は高いが、高温時の緩和率が不充分となりやすく、自らの収縮応力により破膜しやすくなる。
【0022】
組成物中には性能を損ねない範囲で、他のポリオレフィンを混合することもできる。他のポリオレフィンは特に限定されないが、例えばポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン/プロピレンコポリマーといったα−ポリオレフィンや、分子量が1000〜4000程度のワックス成分等を挙げることができる。本発明の特性をバランスよく発現させるには、前記ポリエチレン(A)と(B)とからなることが好ましい。
【0023】
本発明の微多孔膜としての性能は次のとおりである。
ヒューズ温度は電池の使用温度と安全性の観点から120〜140℃であることが必須であり、より好ましくは120〜135℃、特に好ましくは120〜133℃である。ヒューズ温度が120℃を下回ると、電池乾燥工程などで孔が閉塞しやすくなってしまうため好ましくない。
【0024】
破膜温度は電池の安全性の観点から150℃以上であることが必須である。150℃より低いと、150℃電池オーブン試験などで充分な耐熱性を発現しにくい。また、年々過酷化している近年の電池オーブン試験においては、破膜温度は152℃以上がより好ましく、155℃以上が特に好ましい。
140℃突き刺し強度と25℃突き刺し強度の比は、取り扱い性の観点から通常の温度ではできるだけ高強度で、溶融時には収縮応力ができるだけ緩和しているという観点から、0.01〜0.25であることが必須であり、より好ましくは0.01〜0.20、更に好ましくは0.01〜0.15である。通常の25℃突刺強度は、電池捲回時の耐破断性や、電極間の短絡による電池不良防止の観点から、好ましくは3〜10N/20μである。
【0025】
本発明の微多孔膜は、例えば、以下の(a)〜(d)の工程、必要により(e)工程を含む製造方法により得られる:
(a)ポリオレフィン及び可塑剤からなる混合物を混練する。
(b)混練物を押出し、ゲル状シートに成型して冷却固化させる。
(c)得られたゲル状シートを延伸する。
(d)延伸後、可塑剤を抽出する。
(e)得られた微多孔膜を、熱固定する。
【0026】
本発明において、例えば上記工程(a)で使用されるポリオレフィンとは、上述の(A)又は(B)の特性を有するものであれば、エチレンのホモ重合体、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンとの共重合体、又は上記重合体の混合物でもかまわない。多孔膜の性能の観点から、エチレンのホモ重合体及びその共重合体が好ましい。
ここでいう可塑剤とは、沸点以下の温度でポリオレフィンと均一な溶液を形成し得る有機化合物であり、具体的にはデカリン、キシレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n−デカン、n−ドデカン、パラフィン油等が挙げられる。このうちパラフィン油、ジオクチルフタレートが好ましい。可塑剤の割合は特に限定されないが、得られる膜の気孔率の観点から20重量%以上が好ましく、粘度の観点から90重量%以下が好ましい。より好ましくは50重量%から70重量%である。
【0027】
上記工程(b)では、上記ポリオレフィン組成物と可塑剤を、例えば押出機に供給し、例えば200℃程度で溶融混練した後、混練物を押出し、通常のハンガーコートダイから結晶化温度以下に温調された冷却ロール上にキャストすることによって、連続的にゲル状シートを作成することができる。
【0028】
ここで混練物の温度は150〜300℃の範囲であることが好ましい。ゲル状シートの厚さは、延伸倍率や最終段階での微多孔膜の厚さにもよるが、0.1〜3mmが好ましい。混練物を押出して冷却する温度としては、10〜130℃が好ましい。
上記工程(c)において、ゲル状シートの延伸工程は可塑剤を抽出する前に少なくとも1回行う。延伸はテンター法による同時二軸延伸が好ましい。延伸温度は常温からポリオレフィンの融点、好ましくは80〜150℃、更に好ましくは100〜140℃である。セパレータとして十分な強度を確保する観点から、延伸倍率は面積倍率で4〜400倍が好ましく、より好ましくは10〜200倍である。延伸倍率が4倍以下ではセパレータとしての強度が不充分であり、400倍以上では延伸が困難であるだけでなく、得られた微多孔膜の気孔率が低いなどの弊害が生じやすい。
【0029】
次に工程(d)の抽出工程では、抽出溶媒に、工程(c)で得られた延伸膜を浸漬することにより可塑剤を抽出し、その後充分に乾燥させる。
この発明で使用される抽出溶媒としては、ポリオレフィンに対して貧溶媒であり、且つ可塑剤に対しては良溶媒であり、沸点がポリオレフィンの融点よりも低いものが望ましい。このような抽出溶媒としては、例えば、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレンや1,1,1−トリクロロエタン等ハロゲン化炭化水素類、エタノールやイソプロパノール等のアルコール類、アセトンや2−ブタノン等のケトン類が挙げられる。抽出溶媒はこの中から選択し、単独又は混合して用いられる。
【0030】
次に必要により工程(e)で、熱固定を行う。この熱固定の工程では、可塑剤抽出後の膜を一軸延伸機や同時二軸延伸機を使用して、MD又はTD方向に一度延伸した後、膜を縮小させることにより、収縮応力の緩和を行う。電池内ではTD方向にセパレータが収縮すると、電極同士が接触・短絡しやすくなるため、特にTD方向の熱固定工程を設けることが重要である。このときのTD方向の延伸倍率は、20%より大きいことが好ましく、好ましくは40%より大きく、特に好ましくは60%より大きく延伸する。延伸倍率が20%以下であると、低ヒューズ成分を含む微多孔膜においては特に熱収縮率が大きくなりやすい。延伸後は、延伸方向と逆の方向に収縮させる。このときの収縮率は、延伸時の膜幅に対し10%より大きいことが好ましく、好ましくは20%より大きく、特に好ましくは30%より大きく収縮させる。収縮率が10%以下であると熱固定が不充分となりやすい。
【0031】
この熱固定工程により、後段で定義する膜のTD−TMA収縮開始温度を改善することが可能となる。TD−TMA収縮開始温度は好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは110℃以上である。TD−TMA収縮開始温度が90℃より低いと、注液前の電池乾燥工程や電池安全性試験における電池昇温時などにおいて、膜がTD方向に収縮しやすくなる。
以上の方法で得られたポリオレフィン微多孔膜は、必要に応じて、プラズマ照射、界面活性剤含浸又は塗布、表面グラフト等の表面処理を施すことができる。
【0032】
本発明における微多孔膜の膜厚は好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜200μm、更に好ましくは5〜24μmである。前記膜厚が1μmより小さいと膜の機械強度が必ずしも十分でなく、500μmより大きいと電池の小型軽量化に支障が生じる場合がある。気孔率は、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜60%である。気孔率が20%より小さいと透過性が必ずしも十分でなく、80%より大きいと十分な機械強度が得られない場合がある。
【0033】
以下、実施例及び比較例によって発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しない。本発明で用いた各種物性は、以下の試験方法に基づいて測定した。
(1)Mv
分子量が100万を超えるポリエチレンにあっては、Mvの測定により分子量を測定した。溶剤(デカリン)を用い、測定温度135℃で測定を行い、粘度[η]から次式によりMvを算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67(Chiangの式)
【0034】
(2)DSC測定(示差走査熱量分析)
測定には島津製作所社製DSC60を用いた。
試料6〜7mgをアルミパン(セイコーインスツルメンツ(株)社、SSC000E032及びSSC000E030)に投入し、窒素気流下、10℃/minの昇温速度で室温から200℃までDSC測定を行った。融解開始温度(オンセット温度)−20℃におけるDSC曲線上の点と融解終了温度(オフセット温度)+20℃におけるDSC曲線上の点とを結ぶ直線と、融解ピーク点(D)を通る垂線との交点をCとする。このC点と融解ピーク点(D)との高低差を第1融解ピークの信号高さとして読み取った。
【0035】
(3)平均粒径
試料を光学顕微鏡により50〜100倍に拡大し、無作為に20個の粒子径を測り、平均をとった。粒子形状が楕円状にあっては、長辺と短辺の平均値とした。
(4)比表面積
測定には島津製作所社製、比表面積測定装置ASAP−2400を用いた。
試料約2gを標準セルに採り、60℃で4時間脱ガス処理を行った。その後、多点法(BET法)により測定を行った。
【0036】
(5)GPC
分子量が100万未満のポリエチレンにあっては、GPCにより分子量を測定した(Mvによって求められる値を使用することもできる。)
Waters社製 ALC/GPC 150C型(商標)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成した。これの各分子量成分に0.43(ポリエチレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=17.7/41.3)を乗じることによりポリエチレン換算の分子量分布曲線を得た。
カラム:東ソー製 GMH−HT(商標)2本+GMH−HTL(商標)2本
移動相:o−ジクロロベンゼン
検出器:示差屈折計
流速 :1.0ml/min
カラム温度:140℃
試料濃度:0.1wt%
【0037】
(6)ヒューズ・ショート温度(℃)
図1Aにヒューズ温度の測定装置の概略図を示す。1は微多孔膜であり、2A及び2Bは厚さ10μmのニッケル箔、3A及び3Bはガラス板である。電気抵抗測定装置(安藤電気製LCRメーター「AG−4311」(商標))4はニッケル箔2A、2Bに接続されている。熱電対5は温度計6に接続されている。データコレクター7は電気抵抗装置4及び温度計6に接続されている。オーブン8は微多孔膜を加熱するものである。
更に詳細に説明すると、図1Bに示すようにニッケル箔2A上に微多孔膜1を重ねて、縦方向に「テフロン」(商標)テープ(図の斜線部)でニッケル箔2Aに固定する。微多孔膜1には電解液として1mol/リットルのホウフッ化リチウム溶液(溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ−ブチルラクトン=1/1/2)が含浸されている。ニッケル箔2B上には図1Cに示すように「テフロン」(商標)テープ(図の斜線部)を貼り合わせ、箔2Bの中央部分に15mm×10mmの窓の部分を残してマスキングしてある。
ニッケル箔2Aとニッケル箔2Bを微多孔膜1を挟むような形で重ね合わせ、更にその両側からガラス板3A、3Bによって2枚のニッケル箔を挟みこむ。このとき、箔2Bの窓の部分と、多孔膜1が相対する位置に来るようになっている。
2枚のガラス板は市販のダブルクリップで挟むことにより固定する。熱電対5は「テフロン」(商標)テープでガラス板に固定する。
このような装置で連続的に温度と電気抵抗を測定する。なお、温度は25℃から200℃まで2℃/minの速度で昇温し、電気抵抗値は1kHzの交流で測定する。ヒューズ温度とは微多孔膜の電気抵抗値が10Ωに達するときの温度と定義する。また、ヒューズの後、電気抵抗値が再び103Ωを下回るときの温度を破膜(ショート)温度とした。
【0038】
(7)突刺強度比
常温突刺強度:カトーテック製「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/sec、25℃下の条件で突刺試験を行い、最大突刺荷重(N)を測定した。これを25℃突刺強度という。
高温突刺強度:ポリエチレン微多孔膜を内径13mm、外径25mmのステンレス製ワッシャ2枚で挟み込み、周囲4点をクリップで止めた後140℃のシリコンオイル(信越化学工業:KF−96−10CS)に浸漬し、60秒後に常温の場合と同様の手法で突き刺し強度を測定した。これを140℃突刺強度という。
突刺し強度比は下記の式で表す。
突刺強度比=140℃突刺強度/25℃突刺強度
【0039】
(8)TD−TMA収縮開始温度
島津製作所製TMA50(商標)を用いて測定した。TD方向に幅3mmに切り出したサンプルを、チャック間距離が10mmとなるようにチャックに固定し、専用プローブにセットした。初期荷重を0.0098N(1.0g)とし、30℃より10℃/minの速度にてプローブを200℃まで昇温させ、0.0118N(1.2g)以上の収縮力が生じる温度を測定した。これをTD−TMA収縮開始温度という。
(9)膜品位
微多孔膜10cm×10cm中に含まれる、100μm以上の未溶融物の量を測定した。1個/100cm以上の場合は、品位が×であるとし、1個未満の場合は品位が○であるとした。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を詳細に説明するために実施例を示すが、本発明は以下の実施例に特に限定されるものではない。
実施例1
Mvが200万である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)(平均粒径120μ、DSCによる信号高さが3.1mW/mg、比表面積1.0m/g)を7.5重量部、Mwが70万であるHDPEを4.5重量部、Mwが30万であるHDPEを9重量部、Mwが15万である線状共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、含有比0.6mol%)を9重量部、及び流動パラフィン70重量部の混合物を、小型混練機を用いて200℃で10分間混練した。その後これらの混練物を金属板に挟み込みシート状に急冷した。この急冷シート状樹脂をシート厚が1.0mmになるまで熱プレスし、120℃の温度で縦横7×7倍に二軸延伸した。続いて塩化メチレンを使用して脱溶媒処理を行い、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例2
Mvが300万である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)(平均粒径35μ、信号差3.8mW/mg、比表面積1.3m/g)を7.5重量部、Mwが15万である線状共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、含有比0.6mol%)を22.5重量部、及び流動パラフィン70重量部の混合物を、小型混練機を用いて200℃で10分間混練した。その後これらの混練物を金属板に挟み込みシート状に急冷した。この急冷シート状樹脂をシート厚が1.0mmになるまで熱プレスし、120℃の温度で縦横7×7倍に二軸延伸した。続いて塩化メチレンを使用して脱溶媒処理を行い、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例3
実施例2で得られた微多孔膜を、テンターを用いて、110℃でTD方向に25%延伸し、続いて115℃で前記延伸後膜幅に対し、15%熱緩和させた。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例4
実施例2で得られた微多孔膜を、テンターを用いて、110℃でTD方向に45%延伸し、続いて115℃で前記延伸後膜幅に対し、20%熱緩和させた。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例5
実施例2で得られた微多孔膜を、テンターを用いて、110℃でTD方向に15%延伸し、続いて115℃で前記延伸後膜幅に対し、10%熱緩和させた。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例6
Mvが270万(平均粒径115μm、DSCによる信号高さが3.7mW/mg、比表面積0.7m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を7.5重量部、Mwが15万である線状共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、含有比0.6mol%)を22.5重量部、及び流動パラフィン70重量部の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。続いて得られた微多孔膜を、テンターを用いて、110℃でTD方向に45%延伸し、続いて115℃で前記延伸後膜幅に対し、20%熱緩和させた。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例7
Mvが270万(平均粒径115μm、DSCによる信号高さが3.7mW/mg、比表面積0.7m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を3重量部、Mwが15万である線状共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、含有比0.6mol%)を27重量部、及び流動パラフィン70重量部の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。続いて得られた微多孔膜を、実施例6と同じ条件で熱固定した。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例8
Mvが270万(平均粒径115μm、DSCによる信号高さが3.7mW/mg、比表面積0.7m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を10重量部、Mwが15万である線状共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、含有比0.6mol%)を20重量部、及び流動パラフィン70重量部の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。続いて得られた微多孔膜を、実施例6と同じ条件で熱固定した。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例9
Mvが450万(平均粒径30μm、DSCによる信号高さが3.5mW/mg、比表面積1.2m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を3重量部、Mwが7万であるHDPEを27重量部、及び流動パラフィン70重量部の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。続いて得られた微多孔膜を、テンターを用いて、115℃でTD方向に60%延伸し、続いて120℃で前記延伸後膜幅に対し、20%熱緩和させた。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0041】
比較例1
Mvが300万(平均粒径170μm、DSCによる信号高さが3.7mW/mg、比表面積0.8m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を7.5重量部、Mwが15万である線状共重合高密度ポリエチレン(コモノマー:プロピレン、含有比0.6mol%)を22.5重量部、及び流動パラフィン70重量部の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例2
比較例1で用いた超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)の代りに、Mvが300万(平均粒径120μm、DSCによる信号高さが2.8mW/mg、比表面積0.7m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を用いた以外は、実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例3
Mwが30万であるHDPE30重量部と流動パラフィン70重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例4
Mvが200万(平均粒径115μm、DSCによる信号高さが3.7mW/mg、比表面積0.7m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)30重量部と流動パラフィン70重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例5
Mvが100万である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)25重量部と、Mwが30万であるHDPE15重量部及び、流動パラフィン60重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様に操作し、微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例6
Mvが300万(平均粒径35μm、DSCによる信号高さが3.8mW/mg、比表面積1.3m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)5重量部と、Mwが20万であるHDPE1重量部及び、流動パラフィン94重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例7
Mvが300万(平均粒径30μm、DSCによる信号高さが3.5mW/mg、比表面積1.2m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)9重量部と、Mwが30万であるHDPE21重量部及び、流動パラフィン70重量部の混合物を用いた以外は実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例8
実施例で得られた微多孔膜を、テンターを用いて、115℃でTD方向に20%延伸し、続いて120℃で前記延伸後膜幅に対し、5%熱緩和させた。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例9
Mvが300万(平均粒径30μm、DSCによる信号高さが3.5mW/mg、比表面積1.2m/g)である超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)2重量部と、Mwが24万であるHDPE13重量部、及び流動パラフィン85重量部の混合物を用いた以外は実施例1と同様の操作で微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0042】
【表1】

表1からも明らかなように、特定の平均粒子径及び、融解挙動、比表面積を有する超高分子量ポリエチレンと、分子量1万〜20万のポリエチレンからなる微多孔膜は、高品位で、良好なヒューズ、ショート特性及び、高緩和性を有していることが分かる。また、特定の熱固定条件を設けることにより、低ヒューズでありながら、高い熱収縮開始温度を持たせることが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のセパレータは、電池、コンデンサー、燃料電池等の電気化学反応装置に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】ヒューズ温度及びショート温度測定用セルの概略図である。
【図1B】ニッケル箔2Aを示す。
【図1C】ニッケル箔2Bを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘度平均分子量(Mv)が200万以上、DSC(示差走査熱量分析)から求められる第一融解ピークの信号高さが3.0mW/mg以上であり、比表面積が0.7m/g以上、かつ平均粒径が1〜150μmであるポリエチレン(A)を5〜95重量%、Mwが1万を超え20万未満であるポリエチレン(B)を95〜5重量%含み、前記(A)と(B)のMvの比(A)/(B)は10以上であり、膜全体の分子量が30万〜150万、膜のヒューズ温度が120〜140℃、破膜温度が150℃以上であり、140℃突刺強度と25℃突刺強度の比が0.01〜0.25であるポリオレフィン微多孔膜。
【請求項2】
前記ヒューズ温度が120〜135℃である請求項1記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項3】
前記ヒューズ温度が120〜133℃である請求項1記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項4】
152℃以上のショート温度を有する請求項1〜3のいずれか一項記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項5】
90℃以上のTD方向の熱収縮開始温度を有する請求項1〜4のいずれか一項記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項6】
前記TD方向の熱収縮開始温度が100℃以上である請求項5記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項7】
前記TD方向の熱収縮開始温度が110℃以上である請求項6記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項8】
5〜24μmの膜厚を有する請求項1〜7のいずれか一項記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項9】
30〜60%の気孔率を有する請求項1〜7のいずれか一項記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項10】
25℃突刺強度が3〜10N/20μmである請求項1〜7のいずれか一項記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項11】
粘度平均分子量(Mv)が200万以上、DSC(示差走査熱量分析)から求められる第一融解ピークの信号高さが3.0mW/mg以上であり、比表面積が0.7m/g以上、かつ平均粒径が1〜150μmであるポリエチレン(A)を5〜95重量%、Mwが1万を超え20万未満であるポリエチレン(B)を95〜5重量%含み、前記(A)と(B)のMvの比(A)/(B)は10以上であるポリオレフィン組成物と、可塑剤とを含む混合物を混練して押出した後、ゲル状シートに成型して冷却固化し、得られたゲル状シートを延伸した後、可塑剤を抽出して乾燥し、熱固定を行うことを含む、膜全体の分子量が30万〜150万、膜のヒューズ温度が120〜140℃、破膜温度が150℃以上であり、140℃突刺強度と25℃突刺強度の比が0.01〜0.25であるポリオレフィン微多孔膜の製造方法であって、前記熱固定工程は、前記可塑剤抽出後の膜をTD方向に延伸する工程と、その後、前記延伸後の膜幅に対し、TD方向に熱収縮させる工程とを含むことを特徴とする、上記製造方法。
【請求項12】
前記延伸する工程が、前記可塑剤抽出後の膜を、少なくともTD方向に20%より大きく延伸する工程であり、前記熱収縮させる工程が、前記可塑剤抽出後の膜を、前記延伸後の膜幅に対し、少なくとも10%より大きくTD方向に熱収縮させる工程である請求項11記載の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【国際公開番号】WO2005/040258
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514916(P2005−514916)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013763
【国際出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】