説明

ポリオレフィン組成物

【目的】初期透水量が大きく、目詰りによる透水量の低下が小さく、浄水器のろ過膜として好適に使用できる微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜の原料として好適なポリオレフィン組成物を得る。
【構成】(a)ポリオレフィン 10〜80重量%、(b)シリコーンオイルで表面処理した平均粒子径が0.01〜5μmの無機充填材90〜20重量%よりなる組成物をフィルム状または中空糸状に成形し、次いでフィルム状物、または中空糸状物を面積延伸倍率で1.5〜30倍に延伸する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィンとシリコーンオイルで表面処理された無機充填材よりなるポリオレフィン組成物に関し、優れた分離・透過性能を有する微多孔性フィルムあるい微多孔性中空糸膜の原料として好適なポリオレフィン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省資源、省エネルギー、分離精製等の観点から平膜ないしは中空糸膜を用いた分離方法が急速に実用規模で用いられるようになってきた。かかる膜分離法に用いられる膜の素材としては数多くの高分子素材が研究され、例えば、セルロースエステル系、ポリオレフィン系、ポリスルホン系等の高分子素材が従来提案されてきた。膜分離法に用いられる素材に要求される特性としては、分離能に優れることは言うまでもなく、その他、使用条件下に耐え得る機械的特性、耐薬品性等の特性が要求され、さらに膜を低コストで容易に製造し得ることも重要な要件となる。
【0003】このような平膜ないしは中空糸膜の用途の一つに浄水器を挙げることができる。各家庭の上水道の蛇口に中空糸膜をろ過膜として組込んだ浄水器は、その手軽さのために普及してきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在市販されている浄水器は初期透水量はある程度あるが長期の使用によって目詰りが生じ、次第に透水量の低下が生じるという欠点があった。従って、所望する透水量を得るためには中空糸膜を頻繁に交換しなければならなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題点に鑑み、初期透水量が大きく、且つ長期の使用によっても透水量の低下の小さい中空糸膜を開発することを目的として、中空糸膜の製造条件について種々検討を重ねてきた。その結果、ポリオレフィンに配合する無機充填材をシリコーンオイルで表面処理することにより、上記した目的をすべて満足する中空糸膜を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、(a)ポリオレフィン 10〜80重量%、(b)シリコーンオイルで表面処理した無機充填材 90〜20重量%よりなる組成物である。
【0007】本発明のポリオレフィン組成物の(a)成分は、ポリオレフィンである。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1又はポリメチルペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、α−オレフィン同士の共重合体、α−オレフィンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体及びそれらの混合物等を挙げることができる。中でも、得られる微多孔性フィルムおよび微多孔性中空糸膜の耐熱性と成形性を勘案すると、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体及びそれらの混合物が好適である。
【0008】上記のプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体は、一般にプロピレンを90重量%以上含み、他のα−オレフィンを10重量%以下含む共重合体が好適である。また、上記の他のα−オレフィンも特に限定されず、公知のものを使用出来るが、一般には、炭素原子数2〜8のα−オレフィン、特にエチレン、及びブテンが好適である。
【0009】本発明のポリオレフィン組成物の(b)成分は、シリコーンオイルで表面処理した無機充填材である。無機充填材は、ポリオレフィンの溶融成形条件下、例えばポリオレフィンの融点プラス100℃の温度において実質的に安定でポリオレフィンと反応しないものが使用される。また、ポリオレフィンと混合した場合凝集を起さず、均一に分散するものであることが好ましい。無機充填材は、延伸工程においてポリオレフィンと分散した無機充填材との界面に剥離を生じさせて微細な連通孔を形成させるために使用される。
【0010】本発明において用いる無機充填材は、上記の機能を発揮するものであれば特に限定されず使用し得るが、特に周期律表第IIA族、第IIIA族及び第IVB族よりなる群から選ばれた1種の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、又は硫酸塩からなる非ケイ酸質充填材が好適である。これらの充填材は種々の合成樹脂の充填材として公知なものが特に限定されず用いうるが、一般に好適に使用されるものを例示すると次の通りである。例えば、周期律表第IIA族の金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属であり、第IIIA族の金属としてはホウ素、アルミニウム等の金属であり、また第IVB族の金属としてはチタン、ジルコニウム、ハフニウム等の金属が好適である。これらの金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、又は硫酸塩は特に限定されず用いうる。特に好適に使用される充填材をより具体的に例示すれば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩等である。
【0011】上記の充填材の平均粒子径は特に限定されるものではなく、用途に応じて適当な大きさのものを使用すればよい。本発明のポリプロピレン組成物を微多孔性フィルムおよび微多孔性中空糸膜の製造原料として使用する場合には、雑菌等の阻止性や上水等のろ過される液体の透過性の観点から、無機充填材の平均粒径は通常0.01〜5μmの範囲であることが好適である上記の無機充填材はシリコーンオイルで表面処理されていることが重要である。表面処理剤として使用するシリコーンオイルとは、以下の一般式で表示される繰り返し単位を有するポリジメチルシロキサンである。
【0012】
【化1】


【0013】(但し、R1 およびR2 は、水素原子、または炭素数1〜25の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基若しくはフェニル基である。)
本発明において好適に使用し得るシリコーンオイルとして具体的に化合物名を挙げると、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリフェニルハイドロジェンシロキサン等を挙げることができる。
【0014】シリコーンオイルの平均分子量は何ら制限されるものではないが、ポリオレフィンとの溶融混練中の熱による揮発を防止し、また、無機充填材の均一な表面処理を行うためには、、一般に1,000〜100,000が好適に用いられる。
【0015】上記シリコーンオイル表面処理剤の使用量は特に限定されないが、ポリオレフィン組成物の延伸による無機充填材との界面における界面剥離を良好にするためには、一般に無機充填材100重量部に対して0.5〜5重量部の範囲が好ましい。
【0016】表面処理の方法としては、無機充填材とシリコーンオイルとを単に混合すればよい。例えば、スーパーミキサー中に所定量の無機充填材とシリコーンオイルを投入し、1000〜2000rpm、2〜5分間高速撹拌した後、190〜210℃で2〜4時間熱処理する方法を本発明において好適に使用できる。
【0017】前記したポリオレフィン(a)とシリコーンオイルで表面処理した無機充填材(b)との割合は、(a)が10〜80重量%、好ましくは15〜70重量%で、(b)が90〜20重量%、好ましくは85〜30重量%である。(a)成分と(b)成分の組成割合は、微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜の性状を特定の範囲に保ち、工業的に有利に微多孔性フィルム及び微多孔性空糸膜を製造するのに重要である。該(b)成分の割合が前記下限値より少なくなると得られる微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜の孔形成が十分でなく、また、逆に(b)成分の添加割合が前記上限値より多くなると、微多孔性フィルム及び微多孔性空糸膜の成形性が悪くなったり、延伸が十分に行えないなどの傾向があるので好ましくない。
【0018】前記(a)成分に(b)成分を多量に、かつ、均一に混合することは困難であることがあり、このような場合には前記(a)成分と(b)成分との混合に際して分散剤を特定量配合することが好ましい。即ち、前記(a)成分及び(b)成分の合計量100重量部に対して、分散剤を0.1〜20重量部添加することが均一な細孔径を有する微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜を得るために好ましい。
【0019】分散剤は種々の合成樹脂に可塑剤として添加される公知の化合物を特に限定されず用いうる。一般に好適に使用される分散剤は、ポリエステル系可塑剤及びエポキシ系可塑剤である。これらを例示すると下記の通りである。
【0020】ポリエステル系可塑剤は、一般に炭素原子数4〜8の直鎖又は芳香環を有する二塩基酸又は三塩基酸と炭素原子数2〜5の直鎖状の二価アルコールをエステル化反応させたものが好適である。特に好適に使用されるものを具体的に例示すると、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸およびトリメリット酸等の二塩基酸あるいは三塩基酸と、エチレングライコール、プロピレングライコール、ブチレングライコール、ネオペンチルグライコールおよび長鎖アルキレングライコール等よりなるポリエステル化合物で、特にアジピン酸あるいはセバシン酸とプロピレングライコール、ブチレングライコール又は長鎖アルキレングライコールとよりなるポリエステル化合物を好ましく用いることができる。
【0021】また、エポキシ系可塑剤は、炭素原子数8〜24の一塩基性直鎖不飽和酸の二重結合をエポキシ化したものが好ましい。特に好適に使用されるものを具体的に示せばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等で、これらを単独でまたは併用して使用出来る。
【0022】上記各成分の混合に際し、目的とする微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜の製造を妨げない範囲において分散剤、着色剤、滑剤、酸化防止剤、劣化防止剤、親水化剤、疎水化剤等の公知の添加剤を加えることはしばしば良好な態様である。
【0023】上記したポリオレフィン(a)とシリコーンオイルで表面処理した無機充填材(b)とは、通常のスーパーミキサー乃至はヘンシェルミキサー等の公知の混合機を用いて容易に均一混合され、次いで通常の二軸押出機によりペレット化される。
【0024】本発明のポリプロピレン組成物は、微多孔性フィルムまたは微多孔性中空糸膜の製造原料として好適である。本発明のポリプロピレン組成物を使用して微多孔性フィルムまたは微多孔性中空糸膜を製造する方法は、下記の方法を採用することができる。
【0025】(1)本発明のポリオレフィン組成物をシート状に成形した後、延伸する方法。
【0026】(2)本発明のポリオレフィン組成物を中空糸状に成形した後、延伸する方法。
【0027】上記のポリオレフィン組成物をシート状または中空糸状に成形する方法も特に制限されず、公知の方法を採用することができる。一般には公知のTダイまたは二重円筒型口金を備えた押出機を用いてシート状または中空糸状に成形することができる。
【0028】本発明においては、シート状または中空糸状に成形するときのドラフト比を1〜5の範囲とすることが初期透水量が大きく目詰りによる透水量の低減の少ない微多孔性フィルム又は微多孔性中空糸膜を得ることができるために好適である。ここで、ドラフト比とは、ダイスロ金を通過する吐出物の線速度 (V2 )に対する冷却固化により成形されたシート状又は中空糸状物の引取り速度(V1 )の比であり、下記式で表わされる。
【0029】ドラフト比=V1 /V2ここで、V2 は、(押出量/溶融前の混合組成物の比重)/ダイスロ金の断面積で示される。上記式から明らかなように一定のV2 に対してV1 を速くすればドラフト比は大きくなり、溶融せん断がかかる。
【0030】本発明においては、ドラフト比が1〜5であることが好ましく、さらに1〜3の範囲であることがより好ましい。
【0031】未延伸のシート状物は、一般的に二対のニップロール等の回転速度比の違いにより一軸延伸する方法、さらに一軸延伸後に引き続き公知の拡幅延伸機などにより横方向に逐次延伸する方法、又は縦及び横方向に同時に延伸する方法等で延伸を行うことができる。また、未延伸の中空糸状物は、一般的に二対のネルソンロール等の回転速度比の違いにより一軸延伸する方法、又は一軸延伸後に引き続き公知の拡幅延伸機などにより横方向に逐次延伸する方法等で延伸を行なうことができる。
【0032】本発明における微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜の延伸倍率は特に限定されるものではないが、延伸による微多孔を効率よく生成させるためには一般的には面積延伸倍率で1.5〜30倍であることが好ましい。一軸方向(フィルム、中空糸の長手方向)だけに延伸する場合は、一般に1.5〜12倍、また二軸方向に延伸する場合は、一軸方向に1.2倍以上、、及び二軸方向(長手方向に垂直な方向)に1.2倍以上の延伸を行うことが好適ある。延伸温度は、一般に常温以上ポリオレフィンの融点以下、特に融点より10〜100℃低い温度が好ましい。
【0033】延伸することによって得られた微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜は更に緊張下に熱処理、例えば、前記延伸の温度以上融点以下の温度で熱固定処理し、その後室温まで冷却して目的物とすることが好ましい。また、接着性を改良する目的でのコロナ放電処理や親水化処理あるいは疎水化処理による表面処理を行うことは好ましい態様である。
【0034】本発明により製造された微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜では、ポリオレフィンが延伸により分子配向され、或いは更に熱固定されることにより、フィルム及び中空糸膜自体の耐熱性が顕著に向上し、また機械的強度も改善される。特に熱固定を行ったものでは、常温並びに高温時の寸法安定性も顕著に向上している。このようにして一般に膜厚が10μm〜500μmの範囲の微多孔性フィルム、及び外径が50μm〜5mmの範囲、膜厚が10μm〜0.5mmの範囲の微多孔性中空糸膜が得られる。
【0035】
【効果】本発明で得られる微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜は、その材質がポリオレフィンよりなり、オレフィンリッチであるため耐熱性も良好で、強度、耐薬品性、生体適合性などの物性もすぐれている。しかも、初期透水量が1〜100L/分・m2・atmと大きく、さらに目詰まりによる透水量の低下が小さいため、長期に亙ってろ過膜として使用可能である。
【0036】従って、本発明で得られる微多孔性フィルム及び微多孔性中空糸膜は、家庭用浄水器として使用できる他、除じん及び除菌のためのエアーフィルター;ガス分離膜;廃水処理;食品工業、電子工業、製薬工業におけるクリーンウォーター製造;医療分野における血液浄化、人工肺、透析膜等に使用でき、精密ろ過、及び限外ろ過、逆浸透膜、パーベーパレーション等の支持体としての用途に好適に使用される。
【0037】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するため、以下、実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例に示すフィルム及び中空糸膜の物性及び判定は以下の方法により測定或いは判定した値を示す。
【0038】(1)最大細孔径(μ);メタノールバブルポイント法により測定した。
【0039】(2)窒素ガス透過量;微多孔性フィルムは有効直径が2.9cmのゴムパッキングでシールできる一対のフランジ間に挟み、フィルムに0.5atmの圧力のN2ガスを20℃でかけ、フィルムを通過するN2ガスの量を求めた。微多孔性中空糸膜は10本を束ねて中空糸膜開口部分をエポキシ樹脂で固め、モジュールを作製した。樹脂包埋部を除く中空糸有効長は15cmとした。このモジュール中空糸膜にN2ガスで0.5atmの圧力を20℃でかけ、中空糸膜の壁面を通過するN2 ガスの量を求めた。膜面積は(外径+内径)/2ベースとした。
【0040】(3)水の透過量;微多孔性フィルムは有効直径が2.9cmのゴムパッキングでシールできる一対のフランジ間に挟み、フィルムに1atmの水圧の上水をかけ、フィルムを通過する水の量を測定した。微多孔性中空糸膜は10本を束ねて中空糸膜開口部分をエポキシ樹脂で固めたモジュールに1atmの水圧の上水をかけ、中空糸膜の壁面を通過する水の量を求めた。なお、水の透水性能測定に際し、必要に応じてHLBが21のノニオン系界面活性剤のエタノール2%溶液に浸漬処理した。膜面積は(外径+内径)/2ベースとした。最初に透水性試験を3分間行なったときの値を初期透水量とし、上水4トン/m2を透水させた後の値を4トン透水量として表に示した。
【0041】(4)成形性;未延伸のフィルム及び中空糸膜を目視及び手でさわって観察し次の判定基準で判定した。
【0042】良好 ;厚さむら、表面凹凸がない状態。
【0043】やや良好;厚さむら、又は表面凹凸の一方が微少ある状態。
【0044】不良 ;厚さむらがあり、表面に凹凸がある状態。
【0045】(5)分散性;延伸して得られたフィルム及び中空糸膜を目視し、フィッシュアイがあるかないかで判定した。
良好 ;フィッシュアイがない状態。
【0046】不良 ;フィッシュアイが観察される状態。
【0047】(6)延伸性;未延伸フィルム及び中空糸膜を該フィルム及び中空糸の長手方向に延伸する際の延伸状態で判定した。
【0048】良好 ;切断、破れが生ぜず、延伸が均一に行なわれている状態。
【0049】やや不良 ;延伸が出来ても一部に未延伸部が存在する状態。
【0050】延伸出来ず;切断、破れが発生し延伸が出来ない状態。
【0051】尚、実施例において使用したポリオレフィン、無機充填材、表面処理剤、分散剤は、下記に示す商品である。
【0052】・ポリプロピレン;徳山曹達(株)製、PN-120(商品名)密度0.91g/cm3,135℃のテトラリンで測定した極限粘度2.38dl/g,融点166℃。
【0053】・プロピレン−エチレン共重合体;徳山曹達(株)製、MS-624(商品名)密度0.90g/cm3,135℃のテトラリンで測定した極限粘度2.28dl/g,融点163℃, エチレン含有量4.7 重量%。
【0054】・ポリエチレン;三井石油化学工業(株)製、高密度ポリエチレン、ハイゼックス1300J(商品名)、メルトインデックス 1.3g/10分。
【0055】・炭酸カルシウム;白石工業(株)製、ビスコライトU(商品名)平均粒子径0.09μm。
【0056】ツネックスE(商品名)平均粒子径0.5μm。
【0057】東洋ファインケミカル(株)製、ホワイトンPO(商品名)平均粒子径1.05μm。
【0058】白石カルシウム(株)製、ホワイトンP−10(商品名)平均粒子径3μm。
【0059】・水酸化アルミニウム;昭和軽金属(株)製、ハイジライド(商品名)平均粒子径6μm。
【0060】・シリコーンオイル;東 タ゛ウコーニンク゛(株)製、SH-200(ク゛レート゛名)、分子量10,000、化合物名;ポリジメチルシロキサン東 タ゛ウコーニンク゛(株)製、SH-510(ク゛レート゛名)、分子量15,000、化合物名;ポリメチルフェニルシロキサン・分散剤;日本曹達(株)製、末端OH化ホ゜リフ゛タシ゛エン、GI-1000(グレード名)。
【0061】実施例1〜12、及び比較例1表1に示すようなポリオレフィン、無機充填材、分散剤よりなる組成物をスーパーミキサーで5分間混合した後、二軸押出機により230℃でストランド状に押出し、ペレット状に切断した。得られたペレットを、スクリュー径20mmφ、L/D=22の押出機に取付けた直径0.7mmの二重管構造を有する中空糸製造用ノズルより230℃で押出し、約20℃の水が循環する水槽に投入して冷却せしめ、10〜50m/分で引き取り未延伸中空糸状物を得た。
【0062】この未延伸中空糸状物を、回転速度の異なる2対のネルソンロール間で120℃にて延伸倍率5倍に一軸延伸し、微多孔性中空糸膜を得た。得られた微多孔性中空糸膜の物性を表2に示した。
【0063】
【表1】


【0064】
【表2】


【0065】実施例13〜15及び比較例2表3に示すようなポリオレフィン、無機充填材、分散剤よりなる組成物のペレットを、スクリュー径20mmφ、L/D=22の押出機にダイリップ間隔0.5mmのTダイを取付け230℃で押出し、約50℃の水を循環させたロールで冷却せしめ、10〜50m/分で引き取り未延伸フィルム状物を得た。
【0066】この未延伸フィルム状物を、回転速度の異なる2対のロール間で120℃にて延伸倍率5倍に一軸延伸し、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムの物性を表4に示した。
【0067】尚、使用したポリオレフィン、無機充填材、表面処理剤、分散剤は下記に示す商品を使用した。
【0068】
【表3】


【0069】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)ポリオレフィン 10〜80重量%(b)シリコーンオイルで表面処理された無機充填材 90〜20重量%よりなるポリオレフィン組成物。
【請求項2】(a)ポリオレフィン 10〜80重量%(b)シリコーンオイルで表面処理された無機充填材 90〜20重量%よりなる組成物をシート状に成形した後、延伸することを特徴とする微多孔性フィルムの製造方法。
【請求項3】(a)ポリオレフィン 10〜80重量%(b)シリコーンオイルで表面処理された無機充填材 90〜20重量%よりなる組成物を中空糸状に成形した後、延伸することを特徴とする微多孔性中空糸膜の製造方法。

【公開番号】特開平7−207072
【公開日】平成7年(1995)8月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−327016
【出願日】平成5年(1993)12月24日
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)