説明

ポリカーボネートの製造方法

ポリカーボネートの製造方法は、反応器システム内で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを四級ホスホニウム化合物を含有する重合触媒の存在下で溶融重合し、反応器システムから副生物流を得、副生物流を精製して炭酸ジエステルを分離する工程を含み、その分離された炭酸ジエステルのリン濃度が約30ppm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリカーボネートは、高い耐衝撃性、耐熱性、透明性など優れた機械的特性をもつことから、多くの分野にエンジニアリングプラスチックとして採用されている。
【0003】
ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルと重合触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。例えば、芳香族ポリカーボネートの製造方法では、通常、アルカリ金属塩を触媒として用いて、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応を行う(溶融重合法)。この芳香族ポリカーボネートの製造方法は、経済的であり、ホスゲンや塩化メチレンのような有毒物質を使用しないので近年注目を集めている。そのため、この方法は、例えばホスゲンや塩化メチレンを用いる他の方法と比べて、保健及び環境の観点から有利である。
【0004】
ポリカーボネートの製造方法が経済的に実行可能でかつ環境的に安全である必要があるなら、重合反応からの副生物及びリサイクル可能成分の分離と再利用は重要である。特に、ジフェニルカーボネートのような反応成分を重合反応で分離する場合、その反応成分を再利用可能な形態で効率よく分離しリサイクルすることが望ましい。
【特許文献1】米国特許第5266716号明細書
【特許文献2】米国特許第5734004号明細書
【特許文献3】米国特許第5747609号明細書
【特許文献4】米国特許第5922287号明細書
【特許文献5】米国特許第6277945号明細書
【特許文献6】米国特許第6316575号明細書
【特許文献7】米国特許第6323302号明細書
【特許文献8】米国特許第6403754号明細書
【特許文献9】米国特許第6472498号明細書
【特許文献10】米国特許第6506871号明細書
【特許文献11】米国特許第6740729号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2003/0050427号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第第1018529号明細書
【特許文献14】特開2000−128976号公報
【特許文献15】ルクセンブルグ特許第88564号明細書
【特許文献16】ルクセンブルグ特許第88569号明細書
【特許文献17】国際公開第9303084号パンフレット
【特許文献18】米国特許第5929192号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2002/0095020号明細書
【特許文献22】特開平10−060106号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はポリカーボネートを製造する方法を提供する。
【0006】
1実施形態によるポリカーボネートの製造方法は、反応器システム内で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重合触媒の存在下で溶融重合し、反応器システムから副生物流を得、副生物流を精製して炭酸ジエステルを分離する工程を含む。重合触媒は四級ホスホニウム化合物を含有する。分離された炭酸ジエステルのリン濃度が、分離された炭酸ジエステルの全重量に基づいて約30ppm以下である。
【0007】
別の実施形態によるポリカーボネートの製造方法では、多段反応器内でビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを酢酸テトラブチルホスホニウム及び水酸化ナトリウムの存在下で溶融重合する。ここで多段反応器は第1反応器、第1反応器の下流に配置された第2反応器、第2反応器の下流に配置された第3反応器、及び第3反応器の下流に配置された第4反応器を備える。第1反応器から第1反応器副生物流を得、第2反応器から第2反応器副生物流を得、第3反応器から第3反応器副生物流を得、第4反応器から第4反応器副生物流を得る。第1反応器と流体連通関係にあるスクラッバを用いて第1反応器副生物流からフェノールを分離する。また、第1蒸留カラムを用いて第2、第3及び第4副生物流からフェノールを分離し、この第1蒸留カラムから第1塔頂流と第1塔底流を得る。第2蒸留カラムを用いて第1塔底流からフェノールを分離し、この第2蒸留カラムから第2塔頂流と第2塔底流を得る。第3蒸留カラムを用いて第2塔底流からジフェニルカーボネートを分離し、この第3蒸留カラムから第3塔頂流と第3塔底流を得る。第3蒸留カラムで分離されたジフェニルカーボネートのリン濃度が分離された炭酸ジエステルの全正味重量に基づいて約30ppm以下である。
【0008】
上記及び他の特徴は以下の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書において、用語「第1」、「第2」などは量、順序、重要性を意味するのではなく、ある要素を他の要素から区別するために使用する。単数表現は、量の限定を意味せず、その対象が1つ以上存在することを意味する。さらに、ここで記載する範囲はすべて、上下限を含み、また互いに組合せ可能である(例えば、「25重量%以下、望ましくは5重量%〜20重量%」の範囲は、「5重量%〜25重量%」の範囲内の上下限及びすべての中間値を含む、など)。ここで用いる科学技術用語は、特記しない限り、当業者が普通に理解しているのと同じ意味をもつ。量に関連して用いる修飾語「約」は、表示値を含み、その文脈で規定される意味をもつ(例えば、特定の量の測定に伴う誤差を含む)。
【0010】
さらに、用語「全正味重量」は本明細書では分離された所定の材料に関して用いられる。この用語が分離装置(例えば精製カラム、蒸留カラムなど)から出てくる所定材料の材料バランスを指すことを理解すべきである。例えば、蒸留カラムがトップ(塔頂)流とボトム(塔底)流を生じ、分離された所定材料の全重量に基づいて90重量%の所定材料が塔頂流にある場合、残りの10重量%は塔底流にある。さらに、当業者であれば、この情報を操作して、ある流れ、例えば塔頂流内の複数材料の全重量に基づく所定材料の重量%を求めることは容易である。
【0011】
システム内の装置(例えば、反応器、精製装置など)の配置を記述するに当たり、用語「上流」及び「下流」を使用する。これらの用語は普通の意味をもつ。しかし、構成によっては、例えばリサイクルループを含むシステムでは、ある装置が同じ装置の「上流」と「下流」両方となることも想定されている。
【0012】
ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルと重合触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。適当な重合触媒には、含リン化合物、例えば四級ホスホニウム化合物があるが、これらに限らない。ポリカーボネートを製造する際に用いる炭酸ジエステルは、リン濃度が、炭酸ジエステルの全重量に基づいて約30ppm以下である。適当な芳香族ポリカーボネートは、式(I)の繰り返し構造単位を含有することができる。
【0013】
【化1】

式中、Aはポリマー反応に用いるジヒドロキシ化合物の二価芳香族基を示す。
【0014】
芳香族カーボネートポリマーを形成するのに使用できる芳香族ジヒドロキシ化合物は、それぞれ芳香核の炭素原子に直接結合することができる2つのヒドロキシル基を官能基として含有する単核又は多核芳香族化合物である。適当なジヒドロキシ化合物には、例えば、レゾルシノール、4−ブロモレゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」)、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、トランス−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンチン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、2,7−ジヒドロキシカルバゾールなど、並びに上記ジヒドロキシ化合物の1つ以上を含む組合せ及び反応生成物がある。
【0015】
種々の実施形態において、芳香族ポリカーボネート混合物の製造に用いるのにカーボネートホモポリマーよりもカーボネート共重合体もしくはインターポリマーが望ましい場合には、ポリカーボネートの製造に、2種以上の異なる芳香族ジヒドロキシ化合物を使用するか、芳香族ジヒドロキシ化合物とグリコールとの、ヒドロキシもしくは酸終端ポリエステルとの、又は二塩基酸もしくはヒドロキシ酸との共重合体を使用することもできる。ポリアリーレート、ポリエステル−カーボネート樹脂及び/又はこれらの1つ以上を含むブレンドを使用することができる。具体的な実施形態では、芳香族ジヒドロキシ化合物はビスフェノールAである。
【0016】
ここで使用するのに適当な炭酸ジエステルの例には、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなど,並びに上記炭酸ジエステルの1つ以上を含む組合せ及び反応生成物がある。特に炭酸ジエステルをジフェニルカーボネート(DPC)とすることができる。
【0017】
ジフェニルカーボネートを製造する方法としては、カーボネートエステルに変換可能な芳香族モノヒドロキシ化合物の反応を行う。適当な芳香族ヒドロキシ化合物には、炭素原子数6〜30、特に炭素原子数6〜15の単環、多環もしくは縮合多環芳香族モノヒドロキシもしくはポリヒドロキシ化合物がある。具体例を挙げると、モノ及びポリヒドロキシ化合物、例えばフェノール、アルキルフェノール、o−、m−及びp−クレゾール、o−、m−及びp−クロロフェノール、o−、m−及びp−エチルフェノール、o−、m−及びp−プロピルフェノール、o−、m−及びp−メトキシフェノール、サリチル酸メチル、2,6−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、キシレノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、カテコール、クメノール、ジヒドロキシナフタレンの種々の異性体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−2,2、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ビスフェノールAなどがあり、また上記化合物の1つ以上を含む組合せ及び反応生成物も使用できる。特に芳香族モノヒドロキシ化合物をフェノールとすることができる。
【0018】
芳香族ポリカーボネートを製造するに当たっては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり約1.0モル〜約1.30モルの炭酸ジエステルを使用できる。特に約1.01モル〜約1.15モルの炭酸ジエステルを使用できる。
【0019】
1実施形態では、触媒組成物は四級ホスホニウム化合物を含有する。四級ホスホニウム化合物は、構造式II:
【0020】
【化2】

(式中のR17〜R20はそれぞれ独立にC−C20アルキル基、C−C20シクロアルキル基、又はC−C20アリール基を示し、Xは有機又は無機アニオンを示す)の四級ホスホニウム化合物を含む。
【0021】
四級ホスホニウム化合物IIの具体例には、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、酢酸テトラブチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなど,並びに上記化合物の1つ以上を含む組合せがある。
【0022】
構造式II中のアニオンXはヒドロキシド、ハライド、カルボキシレート、フェノキシド、スルホネート、サルフェート、カーボネート又はビカーボネートである。Xがカーボネートやサルフェートのような多価アニオンである場合、構造式II中の正電荷と負電荷が適切に均衡していると理解すべきである。例えば、構造式II中のR17〜R20がそれぞれブチル基で、Xがカーボネートアニオンを示す炭酸テトラブチルホスホニウムの場合、Xは(1/2)(CO−2)を示すと理解される。
【0023】
触媒はさらに、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物又はこれらの触媒の1つ以上を含む組合せを含有する。適当なアルカリ金属の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム及びルビジウムがあり、一方アルカリ土類金属の例には、マグネシウム、カルシウム及びストロンチウムがある。アルカリ金属化合物の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ヒドロキシホウ酸リチウム、ヒドロキシホウ酸ナトリウム、フェノキシホウ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩及び二リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩、並びにこれらのアルカリ金属化合物の1つ以上を含む組合せがある。アルカリ土類金属化合物の例には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、重炭酸カルシウム、重炭酸バリウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸ストロンチウム、並びにこれらのアルカリ土類金属化合物の1つ以上を含む組合せがある。
【0024】
触媒はさらに、非揮発性酸の塩1つ以上を含有することができる。用語「非揮発性」は、触媒を構成する酸が溶融重合条件下で感知できる蒸気圧をもたないことを意味する。非揮発性酸の例には、亜リン酸、リン酸、硫酸、及び金属「オクソ酸」、例えばゲルマニウム、アンチモン、ニオブなどのオクソ酸がある。非揮発性酸の塩には、亜リン酸のアルカリ金属塩、亜リン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ土類金属塩、硫酸のアルカリ金属塩、硫酸のアルカリ土類金属塩、金属オクソ酸のアルカリ金属塩及び金属オクソ酸のアルカリ土類金属塩がある。非揮発性酸の塩の具体例には、NaHPO、NaHPO、NaHPO、KHPO、CsHPO、CsHPO、NaKHPO、NaCsHPO、KCsHPO、NaSO、NaHSO、NaSbO、LiSbO、KSbO、Mg(SbO、NaGeO、KGeO、LiGeO、MgGeO、MgGeO、並びにこれらの化合物の1つ以上を含む組合せがある。
【0025】
種々の実施形態で、テトラアルキルホスホニウム化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物の量に基づいて約1マイクロ当量〜約1000マイクロ当量とすることができる。特定すると、約10マイクロ当量〜約500マイクロ当量を使用できる。さらに特定すると、約50マイクロ当量〜約150マイクロ当量を使用できる。
【0026】
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物又はこれらの触媒の1つ以上を含む組合せの使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物コモノマー及び炭酸ジエステルの組合せ1モル当たり、約1x10−7モル〜約2x10−3モル、さらに特定すると約1x10−6モル〜約4x10−4モルとすることができる。
【0027】
四級ホスホニウム化合物を重合触媒の1つとして使用する場合、四級ホスホニウム化合物は約180℃以上の温度で分解し、非イオン性化合物、例えば三級ホスフィン酸化物及びリン酸エステルを生じる。例えば、酢酸テトラブチルホスホニウムを三級ホスホニウム化合物として使用する場合、トリブチルホスフィンオキシド(TBPO)とリン酸エステルが生成する。しかし、TBPOは揮発性であり、重合反応の条件下で気化することができる。TBPOの蒸気圧は、例えばジフェニルカーボネートの蒸気圧と同等であるので、加工中に、有意な量のTBPOをジフェニルカーボネートと共に蒸留することができる。したがって、発生したTBPOの一部を回収ジフェニルカーボネートと共にリサイクルすることができる。
【0028】
ポリカーボネート製造の実施形態では、ビスフェノール化合物と炭酸ジエステルとの反応を、第1段階の反応中、大気圧及び約80℃〜約250℃の温度、特定すると約100℃〜約230℃の温度、さらに特定すると約120℃〜約190℃の温度で、通常0〜約5時間、特定すると0〜約4時間、さらに特定すると0〜約3時間行うことができる。次に、反応システムの圧力を下げながら反応温度を上げ、こうしてビスフェノールと炭酸ジエステルとの反応を起こさせ、最後にビスフェノール、炭酸ジエステル及びそれらのオリゴマーを、約240℃〜約320℃の温度及び約5mmHg以下の減圧で重合反応させる。
【0029】
製造方法は連続法でもバッチ法でもよい。この反応を行うのに用いる反応装置は、横型、チューブ型又はカラム型とすることができる。1実施形態では、2段以上の重合段階をとることができるが、段の数は特に限定されない。
【0030】
ある実施形態では、反応を行う装置は、任意の適当なタイプのタンク、チューブ及び/又はカラムを有する多段反応器とすることができる。このような反応器は、縦型撹拌槽重合反応器、薄膜蒸発型重合反応器、横型撹拌反応器、ベント式二軸スクリュウ押出機、反応用蒸留カラムなど,並びにこれらの反応器の1つ以上を含む組合せとすることができる。
【0031】
ここで図1を参照すると、本発明の方法を実施するのに適当なプロセスフローの1実施形態(100で総称)を線図で示す。モノマー混合ドラム14で、炭酸ジエステル及び芳香族ジヒドロキシ化合物を四級ホスホニウム化合物及び所望に応じて多の重合触媒とともに混合する。なお、1実施形態では、炭酸ジエステルはジフェニルカーボネート(DPC)であり、これをDPCタンク12から混合ドラム14に供給することができるが、これについては以下に詳しく説明する。ポリカーボネートを形成する重合反応は、第1反応器16、第2反応器18、第3反応器20及び第4反応器22を含む多段反応器システムで行うことができる。第1〜第4反応器は、直列に連結され、約150℃〜約400℃、特定すると約250℃〜約350℃の昇冪温度(即ち、下流の反応器を上流の反応器より高い温度で運転する)及び約500Torr〜約0.01Torrの降冪圧力(即ち、下流の反応器を上流の反応器より低い圧力で運転する)にて運転する。例えば、第1反応器16を約200℃以上の温度に維持し、第4反応器22を約350℃以下の温度に維持する。さらに、第1反応器16を約500Torr以下の圧力に維持し、第4反応器22を約0.01Torr以上の圧力に維持する。この方法は、高分子量の、例えば約7000原子質量単位(amu)以上の数平均分子量を有するポリカーボネートを増成しながら、フェノール副生物を除去することが可能である。
【0032】
反応器16、18、20及び22はそれぞれ、副生物(例えばフェノール)をオーバーヘッド(副生物)流24、26,28及び30として除去できるように構成されている。後述するように、追加の分離法を用いてオーバーヘッド流24、26,28及び30に含まれる副生物をさらに分離する。例えば、第1反応器16からのオーバーヘッド流24からフェノールを分離することができる。さらに特定すると、オーバーヘッド流24を第1反応器16と流体連通関係にある精製装置(例えばスクラッバ44)に供給する。スクラッバ44はボトム(塔底)流46とトップ(塔頂)流48を生じる。塔底流46はジフェニルカーボネート(DPC)、ビスフェノールA(BPA)及び四級ホスホニウム化合物(例えば酢酸テトラブチルホスホニウム(TBPA))の分解物を含有し、これを反応器16に戻すことができる。塔頂流48は約99重量%以上のフェノールを含有し、但しフェノールの重量%は分離されたフェノールの正味重量に基づき、そしてリン濃度が約3ppm(百万重量部当たりの重量部)以下、特に約1ppm以下である。塔頂流48に回収されたフェノールは、さらに精製することなく、モノマー(ジフェニルカーボネート)プラント58にリサイクルすることができる。
【0033】
さらに、フェノール、ジフェニルカーボネート、ビスフェノールA及び四級ホスホニウム化合物の分解物を含有し得るオーバーヘッド流26、28及び30から、フェノールを分離することができる。四級ホスホニウム化合物が酢酸テトラブチルホスホニウムである場合、酢酸テトラブチルホスホニウムの分解物の大部分(即ち約50重量%以上)はトリブチルホスフィンオキシド(TBPO)からなる。上記反応条件では、TBPOは比較的揮発性であり、気化させることができ、このことは分離に役立つ。オーバーヘッド流26、28及び30を合わせて、第1精製カラム32、第2精製カラム34及び第3精製カラム52を含む回収システム(例えば精製システム)に供給することができる。
【0034】
第1精製カラム32は第2精製カラム34と直列流体連通関係にあり、また第3精製カラム52。精製カラム(32、34及び52)は、例えば蒸留カラムとすることができる。さらに第1精製カラム32は塔頂流36と塔底流40を生じ、ここで塔頂流36は約99重量%以上のフェノールを含有し、但しフェノールの重量%は第1精製カラム32で分離されたフェノールの正味重量に基づき、そしてリン濃度が約3ppm以下、特に約1ppm以下である。塔頂流36に回収されたフェノールは、さらに精製することなく、ジフェニルカーボネートプラント58にリサイクルすることができる。塔底流40は、残留フェノール、ジフェニルカーボネート、ビスフェノールA及び四級ホスホニウム化合物の分解物(例えばトリブチルホスフィンオキシド)を含有し、これを第2精製カラム34に供給する。
【0035】
第1精製カラム32は、フェノールを所望通りに分離するのに適当な条件下で運転することができる。例えば、第1精製カラム32を約100℃〜約220℃の温度、約90ミリバール(mbar)〜約150mbarの圧力及び約0.5〜約5の還流比で運転することができる。
【0036】
第2精製カラム34は、第3精製カラム52と直列流体連通関係にあり、塔頂流38と塔底流42を生じ、ここで塔頂流38は第2精製カラム34で分離されたフェノールの正味重量に基づいて90重量%のフェノールを含有し、そしてリン濃度が約3ppm以下、特に約1ppm以下である。塔頂流38に回収されたフェノールは、さらに精製することなく、ジフェニルカーボネートプラント58にリサイクルすることができる。塔底流42は、ジフェニルカーボネート、ビスフェノールA及び四級ホスホニウム化合物の分解物(例えばトリブチルホスフィンオキシド)を含有する。
【0037】
第2精製カラム34は、フェノールを所望通りに分離するのに適当な条件下で運転することができる。例えば、第2精製カラム34を約70℃〜約220℃の温度、約20mbar〜約100mbarの圧力及び約2〜約20の還流比で運転することができる。
【0038】
第2精製カラム34からの塔底流42をジフェニルカーボネート(DPC)精製カラム52(例えば第3精製カラム52)に供給して、塔底流42に含有されるジフェニルカーボネートをビスフェノールAから分離することができる。TBPOはジフェニルカーボネートと同等の蒸気圧を有するので、有意な量(例えば第3精製カラムで分離されたTBPOの正味重量に基づいて約50重量%以上)のTBPOをDPC生成物とともに精製し、重合プラントに原料を供給するDPCタンク12に送る。したがって、重合プロセスにおいて酢酸テトラブチルホスホニウムのような含リン触媒が発生するTBPOの一部は、分離されたジフェニルカーボネートと共に、塔頂流56を介して同じ重合プロセスにリサイクルされる。塔頂流56における回収システムから分離されたジフェニルカーボネート生成物は、リン濃度が約30ppm以下である。さらに、塔頂流56は約99重量%以上のジフェニルカーボネートを含有し、但しジフェニルカーボネートの重量%は第3精製カラムで分離されたジフェニルカーボネートの全正味重量に基づく。
【0039】
第3精製カラム52は、ジフェニルカーボネートを所望通りに分離するのに適当な条件下で運転することができる。例えば、第3精製カラム52を約140℃〜約240℃の温度、約2mbar〜約60mbarの圧力及び約0.1〜約2の還流比で運転することができる。
【0040】
塔頂流56に戻されるTBPOの量を低減するために、DPC精製カラム52はTBPOの除去を可能にする構成とすることができる。したがって、DPC精製カラム52は、DPC生成物を精製する機能に加えて、TBPOの一部を塔底流54へパージして累積を回避する機能を果たす。TBPOを除去するために、追加のパージ点50を第3精製カラム52の上流に配置することもできる。
【実施例】
【0041】
実施例1
この実施例では、工業的なポリカーボネート溶融製造施設を使用した。プロセスフロー図は図1に示す通りである。溶融ビスフェノールA、溶融ジフェニルカーボネート及びビスフェノールA1モル当たり1.5x10−4モルの酢酸テトラブチルホスホニウム(TBPA)及びビスフェノールA1モル当たり1x10−6モル未満の水酸化ナトリウム(NaOH)を予備重合・オリゴマー化反応器(例えば16,18)に連続的に供給した。温度を重合プロセスに沿って(157℃から300℃まで)上昇させ、圧力を重合プロセスに沿って(大気圧から1Torrまで)減少させる運転条件に従って、オリゴマー化及び重合を行った。
【0042】
この実施例で、リンの全量を表1に示すように種々の流れにおいて測定した。
【0043】
【表1】

塔頂流48から回収したフェノールは、実質的にリンを含有せず(即ち塔頂流のリン濃度が検出限界より低く)、ジフェニルカーボネートの製造にリサイクルすることができた。
【0044】
塔頂流56とDPCタンク12とでリン含量が相違することから、DPCタンク12におけるTBPO濃度がまだ定常状態に達していないことがわかる。しかしながら、重合プロセスの種々の流れに分割されたリンの含量に基づいて、タンク内の定常状態TBPO濃度がどのような値であるか計算することは可能であった。図1に示すブロック流れ図についてTBPOの質量バランスをとることにより、下記の等式が導かれた。
【0045】
【数1】

式中のx=タンク内のリンの定常状態リサイクル濃度(ppm)
=スプリット比1=(ポリマー中のリン流量)/(酢酸テトラブチルホスホニウムと共に流入するリン流量)
=スプリット比2=(56中のTBPO流量)/(42中のTBPO流量)
in=TBPAと共に流入するP流量(kg/hr)
DPC=タンクへのDPC流量(kg/hr)
y=パージ比=(パージ流量(50流量))/(42流量−50流量)
DPCタンク12に回収されたDPCはリン濃度が30ppm未満であり、重合プロセスに戻した。
【0046】
実施例2
この実施例では、工業的なポリカーボネート溶融製造施設を使用した。プロセスフロー図は図1に示す通りである。溶融ビスフェノールA、溶融ジフェニルカーボネート及びビスフェノールA1モル当たり1x10−4モルの酢酸テトラブチルホスホニウム(TBPA)及びビスフェノールA1モル当たり1x10−6モル未満の水酸化ナトリウム(NaOH)をオリゴマー化反応器に連続的に供給した。温度を重合プロセスに沿って(157℃から300℃まで)上昇させ、圧力を重合プロセスに沿って(大気圧から1Torrまで)減少させる運転条件に従って、オリゴマー化及び重合を行った。
【0047】
この実施例で、リンの全量を表2に示すように種々の流れにおいて測定した。
【0048】
【表2】

副生物流48から回収されたフェノールは実質的にリンを含有せず(即ち塔頂流のリン濃度が検出限界より低く)、DPCの製造にリサイクルすることができた。
【0049】
DPCタンク12に回収されたDPCはリン濃度が30ppm未満であり、重合プロセスに戻した。
【0050】
本発明の方法は、有機リンのリサイクル量を最小限に抑え、それによりポリカーボネート中の有機リンの量を低減する利点を持つ。なお、ポリカーボネート中の有機リンは酸化/加水分解されてリン酸誘導体となり、これらがポリカーボネート樹脂における加水分解安定性問題の原因となるおそれがある。ポリカーボネート中の有機リンを減少させることにより、このような加水分解安定性問題を抑制でき、有利である。
【0051】
以上、本発明を具体的な実施態様について説明したが、本発明の要旨から逸脱することなく、種々の変更を加えたり、その構成要素を均等物に置き換えたりできることが、当業者には明らかである。さらに、本発明の要旨から逸脱することなく、特定の状況や材料を本発明の教示に適合させるべく種々の改変を加えることができる。したがって、本発明は発明を実施するための最良の形態として開示した特定の実施態様に限定されず、本発明の範囲内に入るあらゆる実施態様を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ポリカーボネートを製造するのに適当なシステムの1実施形態を示す線図である。
【符号の説明】
【0053】
12: DPCタンク
14: 混合ドラム
16,18,20,22: 第1,第2,第3,第4反応器
24,26,28,30: オーバーヘッド流
36,38,48,56: 塔頂流
40,42、46,54: 塔底流
44: スクラッバ
50: パージ点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器システム内で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを四級ホスホニウム化合物を含有する重合触媒の存在下で溶融重合し、反応器システムから副生物流を得、
副生物流を精製して炭酸ジエステルを分離する工程を含み、
その分離された炭酸ジエステルのリン濃度が約30ppm以下である、
ポリカーボネートの製造方法。
【請求項2】
ジヒドロキシ化合物がビスフェノールであり、炭酸ジエステルがジフェニルカーボネートであり、四級ホスホニウム化合物が酢酸テトラブチルホスホニウムである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
反応器システムが第1反応器とこの第1反応器の下流に配置された第2反応器を備え、第1反応器及び第2反応器をそれぞれ約150℃〜約400℃の温度で運転し、第2反応器の温度が第1反応器の温度より高い、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第1反応器からのオーバーヘッド流がスクラッバと連通している、請求項3記載の方法。
【請求項5】
反応器システムがさらに第2反応器の下流に配置された第3反応器及び第3反応器の下流に配置された第4反応器を備え、第3反応器及び第4反応器をそれぞれ約250℃〜約350℃の温度で運転し、第3反応器の温度が第2反応器の温度より高く、第4反応器の温度が第3反応器の温度より高い、請求項3記載の方法。
【請求項6】
反応器システムからの副生物流を精製する工程で、副生物流を一連の精製カラムを有する精製システムに通して、ジフェニルカーボネートを分離する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記副生物流がフェノール、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネート及び四級ホスホニウム化合物の分解物を含有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記精製システムが、第1精製カラム、第1精製カラムの下流にそれと流体連通関係で配置された第2精製カラム、第2精製カラムの下流にそれと流体連通関係で配置された第3精製カラムを備える、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第1精製カラムを、約100℃〜約220℃の第1精製カラム温度、約90mbar〜約150mbarの第1精製カラム圧力及び約0.5〜約5の第1精製カラム還流比で運転する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
第2精製カラムを、約70℃〜約220℃の第2精製カラム温度、約20mbar〜約100mbarの第2精製カラム圧力及び約2〜約20の第2精製カラム還流比で運転する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
第1精製カラムの第1塔頂流れが約99重量%以上のフェノール及び約3ppm以下のリンを含有し、但しフェノールの重量%は第1精製カラムで分離されたフェノールの正味重量に基づく、請求項8記載の方法。
【請求項12】
第2精製カラムの第2塔頂流れが99重量%以上のフェノール及び約3ppm以下のリンを含有し、但しフェノールの重量%は第2精製カラムで分離されたフェノールの正味重量に基づく、請求項11記載の方法。
【請求項13】
第3精製カラムの第3塔頂流れが99重量%以上のジフェニルカーボネート及び約約30ppm以下のリンを含有し、但しジフェニルカーボネートの重量%は第3精製カラムで分離されたジフェニルカーボネートの正味重量に基づく、請求項8記載の方法。
【請求項14】
第3精製カラムを、約140℃〜約240℃の第3精製カラム温度、約2mbar〜約60mbarの第3精製カラム圧力及び約0.1〜約2の第3精製カラム還流比で運転する、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記精製システムが第2精製カラムと第3精製カラムとの間にパージ点を有する、請求項8記載の方法。
【請求項16】
多段反応器内でビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを酢酸テトラブチルホスホニウム及び水酸化ナトリウムの存在下で溶融重合し、ここで多段反応器は第1反応器、第1反応器の下流に配置された第2反応器、第2反応器の下流に配置された第3反応器、及び第3反応器の下流に配置された第4反応器を備え、第1反応器から第1反応器副生物流を得、第2反応器から第2反応器副生物流を得、第3反応器から第3反応器副生物流を得、第4反応器から第4反応器副生物流を得、
第1反応器と流体連通関係にあるスクラッバを用いて第1反応器副生物流からフェノールを分離し、
第1蒸留カラムを用いて第2、第3及び第4副生物流からフェノールを分離し、この第1蒸留カラムから第1塔頂流と第1塔底流を得、
第2蒸留カラムを用いて第1塔底流からフェノールを分離し、この第2蒸留カラムから第2塔頂流と第2塔底流を得、
第3蒸留カラムを用いて第2塔底流からジフェニルカーボネートを分離し、この第3蒸留カラムから第3塔頂流と第3塔底流を得、
分離されたジフェニルカーボネートのリン濃度が第3蒸留カラムで分離された炭酸ジエステルの全正味重量に基づいて約30ppm以下である、
ポリカーボネートの製造方法。
【請求項17】
さらに、ジフェニルカーボネートを多段反応器にリサイクルする工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
第3塔頂流が99重量%以上のジフェニルカーボネートを含有し、但しジフェニルカーボネートの重量%は第3蒸留カラムで分離されたジフェニルカーボネートの正味重量に基づく、請求項16記載の方法。
【請求項19】
第3蒸留カラムを、約140℃〜約240℃の第3蒸留カラム温度、約2mbar〜約60mbarの第3蒸留カラム圧力及び約0.1〜約2の第3蒸留カラム還流比で運転する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
第1蒸留カラムを、約100℃〜約220℃の第1蒸留カラム温度、約90mbar〜約150mbarの第1蒸留カラム圧力及び約0.5〜約5の第1蒸留カラム還流比で運転し、第2蒸留カラムを、約70℃〜約220℃の第2蒸留カラム温度、約20mbar〜約100mbarの第2蒸留カラム圧力及び約2〜約20の第2蒸留カラム還流比で運転する、請求項19記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−519096(P2008−519096A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539046(P2007−539046)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/038376
【国際公開番号】WO2006/049955
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【復代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
【Fターム(参考)】