ポリロタキサンの製造方法
【課題】擬ポリロタキサンの軸分子末端形成のキャッピング反応において、反応時間を短縮し、且つ、使用するキャッピング剤の汎用性を向上させる方法を提供する。
【解決手段】輪成分の開口部に軸分子が貫通し、軸分子の両末端にキャッピング剤によるブロック基を有してなるポリロタキサンを製造するにあたり、軸分子とキャッピング剤との組み合わせを、酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとして、溶媒中で反応させる。例えば、両末端にアミノ基を有する軸分子と、酸のハロゲン化物またはケテンからなるキャッピング剤とを反応させる。
【解決手段】輪成分の開口部に軸分子が貫通し、軸分子の両末端にキャッピング剤によるブロック基を有してなるポリロタキサンを製造するにあたり、軸分子とキャッピング剤との組み合わせを、酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとして、溶媒中で反応させる。例えば、両末端にアミノ基を有する軸分子と、酸のハロゲン化物またはケテンからなるキャッピング剤とを反応させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリロタキサンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリロタキサンは、軸分子と輪成分が可動性を有することから、その可動性を利用した様々な分野への応用が期待されている。例えば、分子スイッチング材料、分子モーター、応力緩和性を有する架橋剤、可動性ゲル等が挙げられる。このような幅広い分野に対応するためには、ポリロタキサンの輪成分であるシクロデキストリンの水酸基への様々な修飾基の導入、およびキャッピング剤により形成される軸分子末端基の種類の充実が求められている。
【0003】
しかし、これまで、ポリロタキサンの軸分子末端基を形成するキャッピング反応としては、特許文献1に記載されるように、キャッピング剤として2,4−ジニトロフルオロベンゼン等を用い、軸分子としてアミノ基を末端に有するものを用いた、フッ素化合物とアミンといった組み合わせが一般的であった。このような特殊なキャッピング剤を用いる場合には、汎用性に欠け、軸分子末端基の種類も限られたものとなる。
【0004】
ところが、最近においては特許文献2に記載のとおり、軸分子末端にカルボン酸を用い、キャッピング剤の官能基にアミノ基を用いた、カルボン酸とアミンによるキャッピング反応が提案されている。特許文献2に記載の方法によれば、キャッピング剤の選択の幅が広がり、汎用性の観点からはかなり改善されたということができる。
【0005】
しかし、特許文献2に記載の方法では、該キャッピング反応に半日を要している。すなわち、カルボン酸とアミンを用いるキャッピング反応は、反応時間という観点から工業的な応用を考えた場合に問題となる。なお、特許文献1に記載の方法の場合においても、キャッピング反応に半日を要している。
【0006】
また、特許文献1や特許文献2に記載のキャッピング反応では、反応溶媒の選択によっては、キャッピング反応が遅いために、キャッピングされる前に軸分子から輪成分が抜け出してしまうという問題点もある。
【特許文献1】特開平6−25307号公報
【特許文献2】特開2005−154675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように従来、輪成分に軸分子が貫通した擬ポリロタキサンに対して、その軸分子の両末端をキャッピングすることによりポリロタキサンを得る反応は、反応時間に難点を有するとともに、そのキャッピング剤の汎用性にも問題を有するものであった。
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、擬ポリロタキサンの軸分子末端形成のキャッピング反応において、反応時間を短縮し、且つ、使用するキャッピング剤の汎用性を向上させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、輪成分の開口部に軸分子が貫通し、前記軸分子の両末端にキャッピング剤によるブロック基を有してなるポリロタキサンの製造方法であって、軸分子とキャッピング剤との組み合わせを、酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとして、溶媒中で反応させることを特徴とするポリロタキサンの製造方法を提供する(請求項1)。
【0010】
上記発明(請求項1)によれば、軸分子とキャッピング剤との反応が効率良く進行するため、反応時間を短縮することができる。また、擬ポリロタキサンのキャッピング剤として、汎用性が高く、安価で入手または合成が容易な種々の材料を使用することができる。
【0011】
上記発明(請求項1)においては、両末端にアミノ基を有する軸分子と、酸のハロゲン化物またはケテンからなるキャッピング剤とを反応させることが好ましい(請求項2)。かかる軸分子およびキャッピング剤は、特に汎用性が高く、安価で入手または合成が容易である。
【0012】
上記発明(請求項1,2)においては、前記溶媒中に、さらに脱ハロゲン化水素剤を存在させることが好ましい(請求項3)。かかる発明によれば、反応に伴い発生するハロゲン化水素を捕捉することにより、軸分子とキャッピング剤との反応をより高い効率で進行させることができる。
【0013】
上記発明(請求項1〜3)において、前記溶媒は水であってもよい(請求項4)。一般的に、輪成分の開口部に軸分子を貫通させる擬ポリロタキサンの製造工程では、溶媒として水を使用するため、軸分子とキャッピング剤との反応でも溶媒として水を使用すると、擬ポリロタキサンの合成およびポリロタキサンの合成をワンポットで行うことができる。したがって、上記発明(請求項4)によれば、ポリロタキサンの製造工程を簡素化することができる。
【0014】
上記発明(請求項1〜4)においては、前記輪成分がシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体であることが好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、擬ポリロタキサンのキャッピング剤として汎用性が高く、安価で入手または合成が容易な種々の材料を使用できる上、従来はキャッピング反応に半日を要していた時間を大きく短縮することができる。
【0016】
また、本発明においては、キャッピング反応を酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとの反応にすることにより、水中におけるキャッピング反応を安定に行うことができる。これにより、擬ポリロタキサンの単離工程を経ずに、そのままポリロタキサンの合成までをワンポットで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、輪成分の開口部に軸分子を貫通させて(軸分子を輪成分で包接させて)擬ポリロタキサンを製造し、次いで、得られた擬ポリロタキサンの軸分子とキャッピング剤とを、溶媒中で、酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとの組み合わせで反応させて、軸分子の両末端にブロック基を付加し、ポリロタキサンを得る。
【0018】
軸分子とキャッピング剤との組み合わせとしては、(1)両末端にアミノ基を有する軸分子と、酸のハロゲン化物またはケテンからなるキャッピング剤との組み合わせ、および(2)両末端が酸のハロゲン化物またはケテンとなっている軸分子と、アミンからなるキャッピング剤との組み合わせがある。軸分子およびキャッピング剤の入手または合成の容易性の観点から、(1)の組み合わせの方が好ましい。
【0019】
(1)の場合の軸分子としては、例えば、末端にアミノ基を有するポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレンの他、末端にアミノ基が導入された炭素数6〜18のアルカン等が挙げられる。これらの中でも、水中での包接錯体形成能の観点から、末端にアミノ基を有するポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;末端にアミノ基が導入された炭素数6〜18のアルカンなどを使用することが好ましい。
【0020】
(2)の場合の軸分子としては、例えば、末端が酸のハロゲン化物またはケテンとなっているポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレンの他、末端に酸のハロゲン化物またはケテンが導入された炭素数6〜18のアルカン等が挙げられる。これらの中でも、水中での包接錯体形成能の観点から、末端が酸のハロゲン化物またはケテンとなっているポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;末端に酸のハロゲン化物またはケテンが導入された炭素数6〜18のアルカンなどを使用することが好ましい。
【0021】
軸分子末端の「酸のハロゲン化物」の酸としては、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、中でも入手または合成の容易性の観点から、カルボン酸およびスルホン酸が好ましい。また、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられ、中でも入手または合成の容易性、副反応の起こり難さの観点から、塩素が好ましい。すなわち、「酸のハロゲン化物」としては、カルボン酸クロリドが最も好ましい。
【0022】
軸分子の平均分子量は、特に限定されず、ポリロタキサンの使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常は数平均分子量(Mn)が100〜500000であり、好ましくは500〜100000であり、特に好ましくは1000〜50000である。
【0023】
上記軸分子は、市販のものを使用することもできるし、従来公知の方法、例えば、Nature, 356, 325-327 (1992)に記載の方法などによって合成することもできる。具体的には、例えば、末端官能基をアミノ基とする場合には、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール等の軸分子の末端のヒドロキシル基をトシルクロライドによりトシル化し、その後フタルイミドカリウムによりフタルイミド化し、最後にヒドラジンを用いて還元を行い、軸分子の末端をアミノ基とする。また、末端官能基をカルボン酸クロリドとする場合には、両末端カルボキシル基のポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール等を塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流することで、両末端をカルボン酸クロリドとする。
【0024】
両末端にケテンを有する軸分子としては、両末端が酸のハロゲン化物となっている分子より合成することができる。例えば、上記反応により得られた両末端がカルボン酸クロリドのポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール等をジエチルエーテルに溶解させ、0℃においてトリエチルアミンと反応させることにより、両末端をケテンとする。
【0025】
輪成分としては、特に限定されないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体が好ましい。
【0026】
シクロデキストリン誘導体としては、例えば、アルキル基、アセチル基、トリチル基、トシル基、トリメチルシラン基、フェニル基、ハロゲン基等の置換基が導入されたシクロデキストリンなどが挙げられる。上記置換基は、ポリロタキサンの使用目的に応じて適宜選択すればよいが、キャッピング剤との反応性の低い置換基、例えばアルキル基等を選択すると、後述するブロック基の付加工程(キャッピング工程)において、反応系を低温にする必要がなくなる。
【0027】
擬ポリロタキサンの製造は、末端に官能基を有する軸分子および輪成分を溶媒中、通常は水中に存在させた状態にして(例えば、輪成分の水溶液に軸分子を添加して)、その溶液を撹拌することによって行うことができる。加えて、撹拌後にその溶液を静置することで収率を向上させることができるので好ましい。好ましい静置期間は、1〜7日程度である。
【0028】
撹拌方法については特に制限はなく、常温または適当に制御された温度で、機械的撹拌処理、超音波処理などの方法で撹拌することができ、特に、超音波処理で撹拌することが好ましい。撹拌時間は、数分〜1時間の条件で行うことが好ましい。超音波の照射条件については特に制限はないが、周波数20〜40kHzで行うことが好ましい。
【0029】
末端にアミノ基を有する軸分子を使用した場合(1)のキャッピング剤としては、酸のハロゲン化物またはケテンを使用する。一方、末端に酸のハロゲン化物またはケテンを有する軸分子を使用した場合(2)のキャッピング剤としては、アミンを使用する。いずれの場合も、軸分子を貫通した輪成分の遊離を防ぐため嵩高い分子が好ましい。
【0030】
キャッピング剤として使用する「酸のハロゲン化物」の酸としては、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、中でも入手または合成の容易性の観点から、カルボン酸およびスルホン酸が好ましい。また、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられ、中でも入手または合成の容易性、副反応の起こり難さの観点から、塩素が好ましい。
【0031】
酸のハロゲン化物、ケテン、およびアミノ基を有する化合物の残基(ブロック基)の好ましい例としては、ジニトロフェニル基類、ジメチルフェニル基類、ジ−tert−ブチルフェニル基類、ジフェニルメチル基類、アダマンタン基類、ナフタレン基類、アントラセン基類、トリチル基類、フェロセン基類、シクロデキストリン類、フルオレセイン類およびピレン類、並びにこれらの誘導体基等が挙げられる。具体的には、酸のハロゲン化物としては、3,5−ジメチル安息香酸クロリド、3,5−ジメチル安息香酸ブロマイド、3,5−ジメチル安息香酸アイオダイド、3,5−ジニトロ安息香酸クロリド、1−ナフタレンカルボン酸クロリド、ジフェニル酢酸クロリド、1−ナフタレンスルホン酸クロリドなどが挙げられ、ケテンとしては、ジフェニルケテンなどが挙げられる。
【0032】
以上の化合物は、常法によって低コストで簡単に合成することができ、また、一般的に市販もされており、安価で入手が容易である。
【0033】
上記で得られた擬ポリロタキサンと上記キャッピング剤とを溶媒中で混合することによって、擬ポリロタキサンの軸分子とキャッピング剤とを反応させ、アミド結合により軸分子の両末端にブロック基を付加(キャッピング)して、ポリロタキサンを得る。なお、精製は常法によって行えばよい。
【0034】
上記の反応は効率良く進行するが、酸のハロゲン化物とアミンの組合せの場合はさらに脱ハロゲン化水素剤を存在させることが好ましい。脱ハロゲン化水素剤を存在させることにより、反応のきっかけを作ることができ、また、反応で副生するハロゲン化水素を捕捉することによって、上記反応をより高い効率で進行させることができる。
【0035】
脱ハロゲン化水素剤としては、アミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、その中でもアミンが好ましく、さらには、第三級アミンがより好ましい。具体例としては、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、イミダゾール等が挙げられる。
【0036】
キャッピング剤の使用量は、軸分子の末端官能基に対して、モル基準で等量〜30倍量であることが好ましく、特に2倍〜10倍量であることが好ましい。
【0037】
溶媒としては、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトン等の有機溶媒の他、水をも使用することができる。上記の反応においては、通常、溶媒を使用すると軸分子から輪成分が抜けてしまう可能性が高く、また、酸のハロゲン化物は水中で分解してしまうため、溶媒、特に水は使用しないのが一般的であるが、本発明では、有機溶媒および水が使用できることが分かった。
【0038】
溶媒として水を使用すると、擬ポリロタキサンの合成およびポリロタキサンの合成をワンポットで行うことができ、したがって、ポリロタキサンの製造工程を簡素化することができる。
【0039】
溶媒の温度は、輪成分としてキャッピング剤との反応性が高いもの、例えば水酸基を有するシクロデキストリン等を用いた場合、その反応を防止するために、−10〜5℃とすることが好ましい。一方、輪成分としてキャッピング剤との反応性が低いもの、例えば水酸基がアルコキシ基等に置換されたシクロデキストリン等を用いた場合、溶媒の温度は特に限定されず、常温または適当に制御された温度とすればよい。
【0040】
上記の軸分子とキャッピング剤との反応は効率良く進行するため、比較的短時間でポリロタキサンを製造することができる。例えば、0.1〜5時間程度、特に0.5〜3時間の反応時間で良好な収量に達する。
【0041】
以上の方法によれば、軸分子およびキャッピング剤として入手または合成が容易で低コストである種々の材料を使用して、効率良く短時間で、軸分子とブロック基とがアミド結合により結合してなるポリロタキサンを製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0043】
〔実施例1〕
輪成分であるα−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)1.5gをイオン交換水10mlに溶解させた水溶液に、軸分子として両末端がアミノ基のポリテトラヒドロフラン(Aldrich社製,Polytetrahydrofuran bis (3-aminopropyl) terminated,Mn:1100)54mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、室温で一晩静置した。そして、析出した固体を回収し、乾燥させて擬ポリロタキサンを得た。
【0044】
一方、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、これをキャッピング剤とした。
【0045】
得られた擬ポリロタキサン440mgをジメチルホルムアミド溶媒に分散させ、キャッピング剤としての3,5−ジメチル安息香酸クロリド77mgと、脱ハロゲン化水素剤としてのトリエチルアミン77mgとを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させてポリロタキサン5mgを得た。得られたポリロタキサンの1H−NMRチャートを図1に示す。
【0046】
1H−NMRチャートには、1.5ppm付近に軸分子であるポリテトラヒドロフランの酸素に隣接しないメチレン鎖の水素原子に基づくピーク、および4.8ppm付近に輪成分であるシクロデキストリンのグルコース環1位の水素原子に基づくピークが確認される。すなわち、単離された物質が軸分子、輪成分を共に含む分子であることが分かる(以下同じ)。
【0047】
〔実施例2〕
輪成分であるα−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)1.5gをイオン交換水10mlに溶解させた水溶液に、軸分子として両末端がアミノ基のポリテトラヒドロフラン(Aldrich社製,Polytetrahydrofuran bis (3-aminopropyl) terminated,Mn:1100)54mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、室温で一晩静置した。その後、その反応水溶液中に、実施例1で調製したキャッピング剤としての3,5−ジメチル安息香酸クロリド77mgと、脱塩化水素剤としてのトリエチルアミン77mgとを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をテトラヒドロフランに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させてポリロタキサン30mgを得た(ワンポット合成)。得られたポリロタキサンの1H−NMRチャートを図2に示す。
【0048】
〔実施例3〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに3,5−ジニトロ安息香酸クロリド(Aldrich社製)116mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は14mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図3に示す。
【0049】
〔実施例4〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに3,5−ジニトロ安息香酸クロリド(Aldrich社製)116mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は5mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図4に示す。
【0050】
〔実施例5〕
1−ナフタレンカルボン酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、1−ナフタレンカルボン酸クロリドを合成し、これをキャッピング剤とした。
【0051】
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに1−ナフタレンカルボン酸クロリド95mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は15mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図5に示す。
【0052】
〔実施例6〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに、実施例5で調製した1−ナフタレンカルボン酸クロリド95mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は34mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図6に示す。
【0053】
〔実施例7〕
ジフェニル酢酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、ジフェニル酢酸クロリドを合成し、これをキャッピング剤とした。
【0054】
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりにジフェニル酢酸クロリド116mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は19mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図7に示す。
【0055】
〔実施例8〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに、実施例7で調製したジフェニル酢酸クロリド116mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は5mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図8に示す。
【0056】
〔実施例9〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに1−ナフタレンスルホン酸クロリド(Aldrich社製)113mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は70mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図9に示す。
【0057】
〔実施例10〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに1−ナフタレンスルホン酸クロリド(Aldrich社製)113mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は27mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図10に示す。
【0058】
〔実施例11〕
ジフェニル酢酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、ジフェニル酢酸クロリドを合成した。得られたジフェニル酢酸クロリドを、ジエチルエーテル中にてトリエチルアミンと0℃で反応させてジフェニルケテンを合成し、これをキャッピング剤とした。
【0059】
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりにジフェニルケテン97mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は15mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図11に示す。
【0060】
〔実施例12〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに、実施例11で調製したジフェニルケテン97mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は2mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図12に示す。
【0061】
〔実施例13〕
α−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)を、ジメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムおよびヨウ化メチルと反応させることにより、α−シクロデキストリンの水酸基がメトキシ基に置換されたメチル化α−シクロデキストリンを得た。
【0062】
得られたメチル化α−シクロデキストリン(輪成分)0.4gをイオン交換水1mlに溶解させた水溶液に、軸分子として末端官能基アミンのポリテトラヒドロフラン(Aldrich社製,Polytetrahydrofuran bis (3-aminopropyl) terminated,Mn:1100)22mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、室温で一晩静置した。
【0063】
その反応水溶液中に、実施例1で調製したキャッピング剤としての3,5−ジメチル安息香酸クロリド31mgと、脱ハロゲン化水素剤としてのトリエチルアミン31mgを添加し、室温で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収した。それを排除限界の分子量が5000の分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(展開溶媒:CHCl3)にかけてキャッピングされなかった擬ポリロタキサン等を除去し、乾燥させてポリロタキサン23mgを得た(ワンポット合成)。得られたポリロタキサンの1H−NMRチャートを図13に示す。
【0064】
〔実施例14〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに1−ナフタレンスルホン酸クロリド(Aldrich社製)45mgを使用する以外、実施例13と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は20mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図14に示す。
【0065】
〔実施例15〕
3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成した。合成した3,5−ジメチル安息香酸クロリド1gをアセトニトリル3mlに溶解させ、ヨウ化ナトリウム0.9gを加えた。そして、室温で1時間反応させ、反応溶液を濾過することで、3,5−ジメチル安息香酸アイオダイドのアセトニトリル溶液5mlを得て、これをキャッピング剤溶液とした。
【0066】
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに上記3,5−ジメチル安息香酸アイオダイドのアセトニトリル溶液0.5mlを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は115mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図15に示す。
【0067】
以上の実施例に示すとおり、本発明により、多くの種類のキャッピング剤を使用することが可能になり、その結果、キャッピングされた軸分子末端の選択の幅が広がった。また、これまでの擬ポリロタキサンのキャッピング反応では、半日程度を要していたのに対して、本発明の方法によれば、2時間程度という比較的短時間で良好な収量のポリロタキサンを得ることができた。さらに、本発明のキャッピング反応を利用することにより、擬ポリロタキサンの形成およびキャッピング反応を水中で一貫して行う、いわゆるワンポット合成が可能であることも明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、効率良くポリロタキサンを製造するのに有用である。また、本発明に係る新規ポリロタキサンは、ゲル材料、架橋材料、医療材料等に用いられる機能性材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例1で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図2】実施例2で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図3】実施例3で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図4】実施例4で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図5】実施例5で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図6】実施例6で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図7】実施例7で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図8】実施例8で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図9】実施例9で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図10】実施例10で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図11】実施例11で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図12】実施例12で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図13】実施例13で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図14】実施例14で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図15】実施例15で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリロタキサンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリロタキサンは、軸分子と輪成分が可動性を有することから、その可動性を利用した様々な分野への応用が期待されている。例えば、分子スイッチング材料、分子モーター、応力緩和性を有する架橋剤、可動性ゲル等が挙げられる。このような幅広い分野に対応するためには、ポリロタキサンの輪成分であるシクロデキストリンの水酸基への様々な修飾基の導入、およびキャッピング剤により形成される軸分子末端基の種類の充実が求められている。
【0003】
しかし、これまで、ポリロタキサンの軸分子末端基を形成するキャッピング反応としては、特許文献1に記載されるように、キャッピング剤として2,4−ジニトロフルオロベンゼン等を用い、軸分子としてアミノ基を末端に有するものを用いた、フッ素化合物とアミンといった組み合わせが一般的であった。このような特殊なキャッピング剤を用いる場合には、汎用性に欠け、軸分子末端基の種類も限られたものとなる。
【0004】
ところが、最近においては特許文献2に記載のとおり、軸分子末端にカルボン酸を用い、キャッピング剤の官能基にアミノ基を用いた、カルボン酸とアミンによるキャッピング反応が提案されている。特許文献2に記載の方法によれば、キャッピング剤の選択の幅が広がり、汎用性の観点からはかなり改善されたということができる。
【0005】
しかし、特許文献2に記載の方法では、該キャッピング反応に半日を要している。すなわち、カルボン酸とアミンを用いるキャッピング反応は、反応時間という観点から工業的な応用を考えた場合に問題となる。なお、特許文献1に記載の方法の場合においても、キャッピング反応に半日を要している。
【0006】
また、特許文献1や特許文献2に記載のキャッピング反応では、反応溶媒の選択によっては、キャッピング反応が遅いために、キャッピングされる前に軸分子から輪成分が抜け出してしまうという問題点もある。
【特許文献1】特開平6−25307号公報
【特許文献2】特開2005−154675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように従来、輪成分に軸分子が貫通した擬ポリロタキサンに対して、その軸分子の両末端をキャッピングすることによりポリロタキサンを得る反応は、反応時間に難点を有するとともに、そのキャッピング剤の汎用性にも問題を有するものであった。
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、擬ポリロタキサンの軸分子末端形成のキャッピング反応において、反応時間を短縮し、且つ、使用するキャッピング剤の汎用性を向上させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、輪成分の開口部に軸分子が貫通し、前記軸分子の両末端にキャッピング剤によるブロック基を有してなるポリロタキサンの製造方法であって、軸分子とキャッピング剤との組み合わせを、酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとして、溶媒中で反応させることを特徴とするポリロタキサンの製造方法を提供する(請求項1)。
【0010】
上記発明(請求項1)によれば、軸分子とキャッピング剤との反応が効率良く進行するため、反応時間を短縮することができる。また、擬ポリロタキサンのキャッピング剤として、汎用性が高く、安価で入手または合成が容易な種々の材料を使用することができる。
【0011】
上記発明(請求項1)においては、両末端にアミノ基を有する軸分子と、酸のハロゲン化物またはケテンからなるキャッピング剤とを反応させることが好ましい(請求項2)。かかる軸分子およびキャッピング剤は、特に汎用性が高く、安価で入手または合成が容易である。
【0012】
上記発明(請求項1,2)においては、前記溶媒中に、さらに脱ハロゲン化水素剤を存在させることが好ましい(請求項3)。かかる発明によれば、反応に伴い発生するハロゲン化水素を捕捉することにより、軸分子とキャッピング剤との反応をより高い効率で進行させることができる。
【0013】
上記発明(請求項1〜3)において、前記溶媒は水であってもよい(請求項4)。一般的に、輪成分の開口部に軸分子を貫通させる擬ポリロタキサンの製造工程では、溶媒として水を使用するため、軸分子とキャッピング剤との反応でも溶媒として水を使用すると、擬ポリロタキサンの合成およびポリロタキサンの合成をワンポットで行うことができる。したがって、上記発明(請求項4)によれば、ポリロタキサンの製造工程を簡素化することができる。
【0014】
上記発明(請求項1〜4)においては、前記輪成分がシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体であることが好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、擬ポリロタキサンのキャッピング剤として汎用性が高く、安価で入手または合成が容易な種々の材料を使用できる上、従来はキャッピング反応に半日を要していた時間を大きく短縮することができる。
【0016】
また、本発明においては、キャッピング反応を酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとの反応にすることにより、水中におけるキャッピング反応を安定に行うことができる。これにより、擬ポリロタキサンの単離工程を経ずに、そのままポリロタキサンの合成までをワンポットで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、輪成分の開口部に軸分子を貫通させて(軸分子を輪成分で包接させて)擬ポリロタキサンを製造し、次いで、得られた擬ポリロタキサンの軸分子とキャッピング剤とを、溶媒中で、酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとの組み合わせで反応させて、軸分子の両末端にブロック基を付加し、ポリロタキサンを得る。
【0018】
軸分子とキャッピング剤との組み合わせとしては、(1)両末端にアミノ基を有する軸分子と、酸のハロゲン化物またはケテンからなるキャッピング剤との組み合わせ、および(2)両末端が酸のハロゲン化物またはケテンとなっている軸分子と、アミンからなるキャッピング剤との組み合わせがある。軸分子およびキャッピング剤の入手または合成の容易性の観点から、(1)の組み合わせの方が好ましい。
【0019】
(1)の場合の軸分子としては、例えば、末端にアミノ基を有するポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレンの他、末端にアミノ基が導入された炭素数6〜18のアルカン等が挙げられる。これらの中でも、水中での包接錯体形成能の観点から、末端にアミノ基を有するポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;末端にアミノ基が導入された炭素数6〜18のアルカンなどを使用することが好ましい。
【0020】
(2)の場合の軸分子としては、例えば、末端が酸のハロゲン化物またはケテンとなっているポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレンの他、末端に酸のハロゲン化物またはケテンが導入された炭素数6〜18のアルカン等が挙げられる。これらの中でも、水中での包接錯体形成能の観点から、末端が酸のハロゲン化物またはケテンとなっているポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;末端に酸のハロゲン化物またはケテンが導入された炭素数6〜18のアルカンなどを使用することが好ましい。
【0021】
軸分子末端の「酸のハロゲン化物」の酸としては、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、中でも入手または合成の容易性の観点から、カルボン酸およびスルホン酸が好ましい。また、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられ、中でも入手または合成の容易性、副反応の起こり難さの観点から、塩素が好ましい。すなわち、「酸のハロゲン化物」としては、カルボン酸クロリドが最も好ましい。
【0022】
軸分子の平均分子量は、特に限定されず、ポリロタキサンの使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常は数平均分子量(Mn)が100〜500000であり、好ましくは500〜100000であり、特に好ましくは1000〜50000である。
【0023】
上記軸分子は、市販のものを使用することもできるし、従来公知の方法、例えば、Nature, 356, 325-327 (1992)に記載の方法などによって合成することもできる。具体的には、例えば、末端官能基をアミノ基とする場合には、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール等の軸分子の末端のヒドロキシル基をトシルクロライドによりトシル化し、その後フタルイミドカリウムによりフタルイミド化し、最後にヒドラジンを用いて還元を行い、軸分子の末端をアミノ基とする。また、末端官能基をカルボン酸クロリドとする場合には、両末端カルボキシル基のポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール等を塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流することで、両末端をカルボン酸クロリドとする。
【0024】
両末端にケテンを有する軸分子としては、両末端が酸のハロゲン化物となっている分子より合成することができる。例えば、上記反応により得られた両末端がカルボン酸クロリドのポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール等をジエチルエーテルに溶解させ、0℃においてトリエチルアミンと反応させることにより、両末端をケテンとする。
【0025】
輪成分としては、特に限定されないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体が好ましい。
【0026】
シクロデキストリン誘導体としては、例えば、アルキル基、アセチル基、トリチル基、トシル基、トリメチルシラン基、フェニル基、ハロゲン基等の置換基が導入されたシクロデキストリンなどが挙げられる。上記置換基は、ポリロタキサンの使用目的に応じて適宜選択すればよいが、キャッピング剤との反応性の低い置換基、例えばアルキル基等を選択すると、後述するブロック基の付加工程(キャッピング工程)において、反応系を低温にする必要がなくなる。
【0027】
擬ポリロタキサンの製造は、末端に官能基を有する軸分子および輪成分を溶媒中、通常は水中に存在させた状態にして(例えば、輪成分の水溶液に軸分子を添加して)、その溶液を撹拌することによって行うことができる。加えて、撹拌後にその溶液を静置することで収率を向上させることができるので好ましい。好ましい静置期間は、1〜7日程度である。
【0028】
撹拌方法については特に制限はなく、常温または適当に制御された温度で、機械的撹拌処理、超音波処理などの方法で撹拌することができ、特に、超音波処理で撹拌することが好ましい。撹拌時間は、数分〜1時間の条件で行うことが好ましい。超音波の照射条件については特に制限はないが、周波数20〜40kHzで行うことが好ましい。
【0029】
末端にアミノ基を有する軸分子を使用した場合(1)のキャッピング剤としては、酸のハロゲン化物またはケテンを使用する。一方、末端に酸のハロゲン化物またはケテンを有する軸分子を使用した場合(2)のキャッピング剤としては、アミンを使用する。いずれの場合も、軸分子を貫通した輪成分の遊離を防ぐため嵩高い分子が好ましい。
【0030】
キャッピング剤として使用する「酸のハロゲン化物」の酸としては、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、中でも入手または合成の容易性の観点から、カルボン酸およびスルホン酸が好ましい。また、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられ、中でも入手または合成の容易性、副反応の起こり難さの観点から、塩素が好ましい。
【0031】
酸のハロゲン化物、ケテン、およびアミノ基を有する化合物の残基(ブロック基)の好ましい例としては、ジニトロフェニル基類、ジメチルフェニル基類、ジ−tert−ブチルフェニル基類、ジフェニルメチル基類、アダマンタン基類、ナフタレン基類、アントラセン基類、トリチル基類、フェロセン基類、シクロデキストリン類、フルオレセイン類およびピレン類、並びにこれらの誘導体基等が挙げられる。具体的には、酸のハロゲン化物としては、3,5−ジメチル安息香酸クロリド、3,5−ジメチル安息香酸ブロマイド、3,5−ジメチル安息香酸アイオダイド、3,5−ジニトロ安息香酸クロリド、1−ナフタレンカルボン酸クロリド、ジフェニル酢酸クロリド、1−ナフタレンスルホン酸クロリドなどが挙げられ、ケテンとしては、ジフェニルケテンなどが挙げられる。
【0032】
以上の化合物は、常法によって低コストで簡単に合成することができ、また、一般的に市販もされており、安価で入手が容易である。
【0033】
上記で得られた擬ポリロタキサンと上記キャッピング剤とを溶媒中で混合することによって、擬ポリロタキサンの軸分子とキャッピング剤とを反応させ、アミド結合により軸分子の両末端にブロック基を付加(キャッピング)して、ポリロタキサンを得る。なお、精製は常法によって行えばよい。
【0034】
上記の反応は効率良く進行するが、酸のハロゲン化物とアミンの組合せの場合はさらに脱ハロゲン化水素剤を存在させることが好ましい。脱ハロゲン化水素剤を存在させることにより、反応のきっかけを作ることができ、また、反応で副生するハロゲン化水素を捕捉することによって、上記反応をより高い効率で進行させることができる。
【0035】
脱ハロゲン化水素剤としては、アミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、その中でもアミンが好ましく、さらには、第三級アミンがより好ましい。具体例としては、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、イミダゾール等が挙げられる。
【0036】
キャッピング剤の使用量は、軸分子の末端官能基に対して、モル基準で等量〜30倍量であることが好ましく、特に2倍〜10倍量であることが好ましい。
【0037】
溶媒としては、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトン等の有機溶媒の他、水をも使用することができる。上記の反応においては、通常、溶媒を使用すると軸分子から輪成分が抜けてしまう可能性が高く、また、酸のハロゲン化物は水中で分解してしまうため、溶媒、特に水は使用しないのが一般的であるが、本発明では、有機溶媒および水が使用できることが分かった。
【0038】
溶媒として水を使用すると、擬ポリロタキサンの合成およびポリロタキサンの合成をワンポットで行うことができ、したがって、ポリロタキサンの製造工程を簡素化することができる。
【0039】
溶媒の温度は、輪成分としてキャッピング剤との反応性が高いもの、例えば水酸基を有するシクロデキストリン等を用いた場合、その反応を防止するために、−10〜5℃とすることが好ましい。一方、輪成分としてキャッピング剤との反応性が低いもの、例えば水酸基がアルコキシ基等に置換されたシクロデキストリン等を用いた場合、溶媒の温度は特に限定されず、常温または適当に制御された温度とすればよい。
【0040】
上記の軸分子とキャッピング剤との反応は効率良く進行するため、比較的短時間でポリロタキサンを製造することができる。例えば、0.1〜5時間程度、特に0.5〜3時間の反応時間で良好な収量に達する。
【0041】
以上の方法によれば、軸分子およびキャッピング剤として入手または合成が容易で低コストである種々の材料を使用して、効率良く短時間で、軸分子とブロック基とがアミド結合により結合してなるポリロタキサンを製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0043】
〔実施例1〕
輪成分であるα−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)1.5gをイオン交換水10mlに溶解させた水溶液に、軸分子として両末端がアミノ基のポリテトラヒドロフラン(Aldrich社製,Polytetrahydrofuran bis (3-aminopropyl) terminated,Mn:1100)54mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、室温で一晩静置した。そして、析出した固体を回収し、乾燥させて擬ポリロタキサンを得た。
【0044】
一方、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、これをキャッピング剤とした。
【0045】
得られた擬ポリロタキサン440mgをジメチルホルムアミド溶媒に分散させ、キャッピング剤としての3,5−ジメチル安息香酸クロリド77mgと、脱ハロゲン化水素剤としてのトリエチルアミン77mgとを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させてポリロタキサン5mgを得た。得られたポリロタキサンの1H−NMRチャートを図1に示す。
【0046】
1H−NMRチャートには、1.5ppm付近に軸分子であるポリテトラヒドロフランの酸素に隣接しないメチレン鎖の水素原子に基づくピーク、および4.8ppm付近に輪成分であるシクロデキストリンのグルコース環1位の水素原子に基づくピークが確認される。すなわち、単離された物質が軸分子、輪成分を共に含む分子であることが分かる(以下同じ)。
【0047】
〔実施例2〕
輪成分であるα−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)1.5gをイオン交換水10mlに溶解させた水溶液に、軸分子として両末端がアミノ基のポリテトラヒドロフラン(Aldrich社製,Polytetrahydrofuran bis (3-aminopropyl) terminated,Mn:1100)54mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、室温で一晩静置した。その後、その反応水溶液中に、実施例1で調製したキャッピング剤としての3,5−ジメチル安息香酸クロリド77mgと、脱塩化水素剤としてのトリエチルアミン77mgとを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をテトラヒドロフランに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させてポリロタキサン30mgを得た(ワンポット合成)。得られたポリロタキサンの1H−NMRチャートを図2に示す。
【0048】
〔実施例3〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに3,5−ジニトロ安息香酸クロリド(Aldrich社製)116mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は14mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図3に示す。
【0049】
〔実施例4〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに3,5−ジニトロ安息香酸クロリド(Aldrich社製)116mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は5mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図4に示す。
【0050】
〔実施例5〕
1−ナフタレンカルボン酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、1−ナフタレンカルボン酸クロリドを合成し、これをキャッピング剤とした。
【0051】
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに1−ナフタレンカルボン酸クロリド95mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は15mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図5に示す。
【0052】
〔実施例6〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに、実施例5で調製した1−ナフタレンカルボン酸クロリド95mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は34mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図6に示す。
【0053】
〔実施例7〕
ジフェニル酢酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、ジフェニル酢酸クロリドを合成し、これをキャッピング剤とした。
【0054】
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりにジフェニル酢酸クロリド116mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は19mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図7に示す。
【0055】
〔実施例8〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに、実施例7で調製したジフェニル酢酸クロリド116mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は5mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図8に示す。
【0056】
〔実施例9〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに1−ナフタレンスルホン酸クロリド(Aldrich社製)113mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は70mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図9に示す。
【0057】
〔実施例10〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに1−ナフタレンスルホン酸クロリド(Aldrich社製)113mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は27mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図10に示す。
【0058】
〔実施例11〕
ジフェニル酢酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、ジフェニル酢酸クロリドを合成した。得られたジフェニル酢酸クロリドを、ジエチルエーテル中にてトリエチルアミンと0℃で反応させてジフェニルケテンを合成し、これをキャッピング剤とした。
【0059】
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりにジフェニルケテン97mgを使用する以外、実施例1と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は15mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図11に示す。
【0060】
〔実施例12〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに、実施例11で調製したジフェニルケテン97mgを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は2mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図12に示す。
【0061】
〔実施例13〕
α−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)を、ジメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムおよびヨウ化メチルと反応させることにより、α−シクロデキストリンの水酸基がメトキシ基に置換されたメチル化α−シクロデキストリンを得た。
【0062】
得られたメチル化α−シクロデキストリン(輪成分)0.4gをイオン交換水1mlに溶解させた水溶液に、軸分子として末端官能基アミンのポリテトラヒドロフラン(Aldrich社製,Polytetrahydrofuran bis (3-aminopropyl) terminated,Mn:1100)22mgを加え、超音波(周波数:35kHz)を20分間照射し、室温で一晩静置した。
【0063】
その反応水溶液中に、実施例1で調製したキャッピング剤としての3,5−ジメチル安息香酸クロリド31mgと、脱ハロゲン化水素剤としてのトリエチルアミン31mgを添加し、室温で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収した。それを排除限界の分子量が5000の分取ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(展開溶媒:CHCl3)にかけてキャッピングされなかった擬ポリロタキサン等を除去し、乾燥させてポリロタキサン23mgを得た(ワンポット合成)。得られたポリロタキサンの1H−NMRチャートを図13に示す。
【0064】
〔実施例14〕
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに1−ナフタレンスルホン酸クロリド(Aldrich社製)45mgを使用する以外、実施例13と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は20mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図14に示す。
【0065】
〔実施例15〕
3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成した。合成した3,5−ジメチル安息香酸クロリド1gをアセトニトリル3mlに溶解させ、ヨウ化ナトリウム0.9gを加えた。そして、室温で1時間反応させ、反応溶液を濾過することで、3,5−ジメチル安息香酸アイオダイドのアセトニトリル溶液5mlを得て、これをキャッピング剤溶液とした。
【0066】
キャッピング剤として、3,5−ジメチル安息香酸クロリドの代わりに上記3,5−ジメチル安息香酸アイオダイドのアセトニトリル溶液0.5mlを使用する以外、実施例2と同様にしてポリロタキサンを合成した。得られたポリロタキサンの収量は115mgであった。当該ポリロタキサンの1H−NMRチャートを図15に示す。
【0067】
以上の実施例に示すとおり、本発明により、多くの種類のキャッピング剤を使用することが可能になり、その結果、キャッピングされた軸分子末端の選択の幅が広がった。また、これまでの擬ポリロタキサンのキャッピング反応では、半日程度を要していたのに対して、本発明の方法によれば、2時間程度という比較的短時間で良好な収量のポリロタキサンを得ることができた。さらに、本発明のキャッピング反応を利用することにより、擬ポリロタキサンの形成およびキャッピング反応を水中で一貫して行う、いわゆるワンポット合成が可能であることも明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、効率良くポリロタキサンを製造するのに有用である。また、本発明に係る新規ポリロタキサンは、ゲル材料、架橋材料、医療材料等に用いられる機能性材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例1で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図2】実施例2で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図3】実施例3で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図4】実施例4で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図5】実施例5で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図6】実施例6で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図7】実施例7で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図8】実施例8で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図9】実施例9で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図10】実施例10で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図11】実施例11で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図12】実施例12で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図13】実施例13で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図14】実施例14で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである。
【図15】実施例15で合成したポリロタキサンの1H−NMRチャートである
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪成分の開口部に軸分子が貫通し、前記軸分子の両末端にキャッピング剤によるブロック基を有してなるポリロタキサンの製造方法であって、
軸分子とキャッピング剤との組み合わせを、酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとして、溶媒中で反応させることを特徴とするポリロタキサンの製造方法。
【請求項2】
両末端にアミノ基を有する軸分子と、酸のハロゲン化物またはケテンからなるキャッピング剤とを反応させることを特徴とする請求項1に記載のポリロタキサンの製造方法。
【請求項3】
前記溶媒中に、さらに脱ハロゲン化水素剤を存在させることを特徴とする請求項1または2に記載のポリロタキサンの製造方法。
【請求項4】
前記溶媒が水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリロタキサンの製造方法。
【請求項5】
前記輪成分がシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリロタキサンの製造方法。
【請求項1】
輪成分の開口部に軸分子が貫通し、前記軸分子の両末端にキャッピング剤によるブロック基を有してなるポリロタキサンの製造方法であって、
軸分子とキャッピング剤との組み合わせを、酸のハロゲン化物またはケテンと、アミンとして、溶媒中で反応させることを特徴とするポリロタキサンの製造方法。
【請求項2】
両末端にアミノ基を有する軸分子と、酸のハロゲン化物またはケテンからなるキャッピング剤とを反応させることを特徴とする請求項1に記載のポリロタキサンの製造方法。
【請求項3】
前記溶媒中に、さらに脱ハロゲン化水素剤を存在させることを特徴とする請求項1または2に記載のポリロタキサンの製造方法。
【請求項4】
前記溶媒が水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリロタキサンの製造方法。
【請求項5】
前記輪成分がシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリロタキサンの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−13253(P2009−13253A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175230(P2007−175230)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)日本化学会第87春季年会 主催者名:社団法人 日本化学会 発表日:平成19(2007)年3月25日 発表場所:関西大学 講演予稿集発行日:平成19(2007)年3月12日 (2)第56回高分子学会年次大会 主催:社団法人 高分子学会 期日:平成19(2007)年5月31日 会場:国立京都国際会館 文書の種類:高分子学会予稿集56巻 562頁/ポスター
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)日本化学会第87春季年会 主催者名:社団法人 日本化学会 発表日:平成19(2007)年3月25日 発表場所:関西大学 講演予稿集発行日:平成19(2007)年3月12日 (2)第56回高分子学会年次大会 主催:社団法人 高分子学会 期日:平成19(2007)年5月31日 会場:国立京都国際会館 文書の種類:高分子学会予稿集56巻 562頁/ポスター
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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