説明

ポルフィリン化合物の精製方法

【課題】真迅速かつ安価で、しかも環境負荷の小さいポルフィリン化合物の精製方法を提供すること。
【解決手段】ポルフィリン化合物の粗製品を昇華精製する方法であって、昇華精製の装置として横型を用い、キャリアーガスとして不活性ガスを一定量流しながら加熱し、粗製品中の低温昇華物及び有機溶剤を除去することを特徴とするポルフィリン化合物の精製方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポルフィリン化合物の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度光ディスクシステムに適用可能な耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体用の記録材料として、ポルフィリン化合物の一種であるテトラアザポルフィリン化合物が注目されている。
テトラアザポルフィリン化合物は、耐光性が高い、吸光係数が高い等有益な色素として知られ、近年、電子写真用光導電体、DVD−RやCD−Rなどの追記型光ディスク材料、プラズマディスプレイパネルなどの光学フィルター用材料として検討がなされている。
【0003】
テトラアザポルフィリン化合物の製造方法としては、マレオニトリル化合物又は2,5−ジイミノピロール化合物を、金属又は遷移金属カルボン酸塩等の金属誘導体とジアザビシクロウンデセンやアザビシクロノネン等の有機塩基を反応させる方法が提案されている(特許文献1参照)。また、アルキル置換トリシアノエチレン化合物と、金属又は遷移金属ハロゲン化物や遷移金属カルボン酸塩等の金属誘導体と、モリブデン酸アンモニウムを反応させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、特定の金属化合物をアンモニアで処理した後、マレオニトリル誘導体と反応させる高純度なテトラアザポルフィリン化合物を収率よく製造する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
上述のように種々の方法によりテトラアザポルフィリン化合物などのポルフィリン化合物は製造されるが、電子材料などとして用いられるためには、高い純度が要求される。従って、上述のような方法で製造された後、これを精製して純度を高めることが一般に行われる。
ポルフィリン化合物は多環構造で分子量が大きいため、精製方法としては、昇華精製法が用いられてきたが、操作に時間がかかり、しかも収率が低いという問題があった。そこで、より安価な精製方法としてカラムクロマトグラフィーなどの液体クロマトグラフィーを用いた方法が行われてきた。
【0005】
【特許文献1】特開平11−116574号公報
【特許文献2】特開平11−35837号公報
【特許文献3】特開2006−321925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液体クロマトグラフィーを用いた精製は、純度が高いという利点はあるものの、依然として操作時間が長いこと、及びポルフィリン化合物は有機溶剤への溶解性が低いために、精製に際して大量の有機溶剤を使用せざるを得ない点が問題であった。すなわち、精製されたポルフィリン化合物は有機溶剤を含有し、その有機溶剤が容易に分離できないため、これをそのまま電子材料として使用すると電子製品に悪影響を及ぼしたり、また電子製品の製造過程で真空状態を得る際に真空度を上げることができなかったり、また真空ポンプに支障をきたす原因になったりした。
また、大量に用いられる有機溶剤は廃棄物処理の問題があって、環境負荷が大きいという課題もあり、さらに取扱者に対して、人体的悪影響を及ぼす可能性があるなどの問題点があった。
本発明は、このような状況下、ポルフィリン化合物を迅速に安価に精製する方法であって、しかも環境負荷の小さい精製方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ポルフィリン化合物の粗製品を横型気流法にて昇華精製し、粗製品中の低温昇華物及び有機溶剤を除去することで、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記式(I)で表されるポルフィリン化合物及び/又は下記式(II)で表されるポルフィリン化合物の粗製品を昇華精製する方法であって、昇華精製の装置として横型を用い、キャリアーガスとして不活性ガスを一定量流しながら加熱し、粗製品中の低温昇華物及び有機溶剤を除去することを特徴とするポルフィリン化合物の精製方法を提供するものである。
【0008】
【化1】

【0009】
【化2】

【0010】
式中、X1〜X8は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲノアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数6〜20のヘテロアリール基を示す。また、R1〜R4はそれぞれ独立に、窒素原子又は3価の有機基であって、R1〜R4のうち少なくとも1つは窒素原子である。Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、又はオキシ金属を示す。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、迅速かつ安価で、しかも環境負荷の小さいポルフィリン化合物の精製方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は上記式(I)で表されるポルフィリン化合物及び/又は上記式(II)で表されるポルフィリン化合物の粗製品を昇華精製の装置として横型を用い、キャリアーガスとして不活性ガスを一定量流しながら加熱し、粗製品中の低温昇華物及び有機溶剤を除去することを特徴とする。
ポルフィリン化合物は、エチレン性不飽和化合物の環化反応によって合成される。従って、不純物としては未反応の原料、環化せずに直鎖状に反応した副生成物、及び反応過程で用いられる有機溶剤が考えられる。これらの物質はポルフィリン化合物と比較して、いずれも低分子量であり、昇華点が低い。本発明はこの点に着目し、ポルフィリン化合物の粗製品を昇華精製するにあたり、従来のように、目的物を昇華させて精製するのではなく、昇華点の低い不純物を昇華によって除くことで、残渣として残る高純度のポルフィリン化合物を得るものである。
そのため、昇華に要する時間を大幅に短縮することができ、かつ、高い収率で高純度ポルフィリン化合物を得ることができる。
【0013】
昇華精製装置には、その形状から垂直型、水平型(横型)があり、昇華方法からガス随伴型昇華装置、真空昇華型装置に大別される。本発明では、昇華精製装置として横型(水平型)を用い、キャリアーガスとして不活性ガスを一定量流しながら加熱して昇華精製を行うこと(以下、この方法を横型気流法と表記する場合がある)が特徴である。
装置の形状及び昇華方法は、精製する化合物の比重の大きさ、残存している有機溶剤量等を考慮して決定される。ポルフィリン化合物の精製において、縦型昇華装置を用いると、比較的比重の大きい不純物の昇華が困難であり、また不純物に液体が含まれている場合には、該液体が重力により再び試料を入れた昇華ボートに戻り、分離が困難な場合がある。これに対して、横型では上記のような問題点がなく好ましい。また、精製時間を短縮し、効率的な昇華を得るために、キャリアーガスを用いる点が特徴である。キャリアーガスを使用することにより、真空にすることのみより不純物を昇華ボートから遠ざけ、高精度の分離が可能になり、また迅速な昇華が可能になる。
なお、キャリアーガスの導入に際しては、昇華精製の前に不活性ガスを流通させて系内を不活性ガスと置換する方法、又は系内を真空ポンプ等で減圧にした後不活性ガスを導入する方法があるが、後者の方が効率的であり好ましい。
【0014】
以下、本発明で用いる横型気流法について、図1を用いて説明する。
図1は本発明で用いられる昇華精製装置の一例を示したものである。本発明の昇華精製装置は、精製部Aと、排気装置Bとを有し、精製部Aはさらに化学物質を昇華させる昇華部A−1と昇華した該化学物質を捕集する捕集部A−2に分けられる。
ポルフィリン化合物粗製品はチャンバー1の昇華部A−1に装入され、真空ポンプ7で精製部内は真空状態とされる。ここでの減圧度としては、後のキャリアーガスの導入及びキャリアーガスの流量を制御し得る範囲であれば、特に制限はないが、通常13.3Pa(0.1torr)以下、さらには6.6Pa(0.05torr)以下とすることが好ましい。
ここで用いられる真空ポンプ7としては、特に制限はく、通常粗引きポンプと高真空ポンプを組み合わせて用いる。粗引きポンプとしては、油回転ポンプ、メカニカルブースターポンプ、ソープションポンプなどが挙げられ、高真空ポンプとしては、拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、スパッタイオンポンプ、ゲッタポンプなどが挙げられる。
【0015】
次に、真空ポンプ7とチャンバー1間のバルブ5を開けたままで、チャンバー1内にキャリアーガスとして一定流量の不活性ガスを、ガス導入口(図示せず)から導入する。ここで用いられる不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどが挙げられるが、取り扱いやすさの点から、窒素又はアルゴンを用いることが好ましい。
また、ここで導入する不活性ガスの導入量としては、その流量が20mL/分〜50mL/分の範囲であることが好ましい。20mL/分以上であると短時間で不純物の昇華が可能であり、50mL/分以下であると目的物の昇華まで到らず、また不純物が真空ポンプ等へ混入しない点で好適である。以上の観点から、30mL/分〜40mL/分の範囲であることがさらに好ましい。なお、不活性ガスの流量はマスフローコントローラーなどにより制御される。
【0016】
次いで、昇華部A−1は熱源3で所望の温度に加熱され、不純物を昇華部A−1から昇華させ、捕集部A−2で凝固(凝縮)させて、不純物を捕集する。このようにして、不純物は昇華により取り除かれ、昇華部A−1に残渣として高純度のポルフィリン化合物が残される。
本発明においては、熱源3で加熱される昇華部A−1の温度は、目的物質であるポルフィリン化合物の昇華点より20℃低い温度以下の温度に設定することが好ましい。この温度以下であると、目的とするポルフィリン化合物が昇華することなく、十分な収率が得られる。一方、下限の温度については、不純物の昇華が十分行える範囲で特に制限はないが、通常は目的とするポルフィリン化合物の昇華温度よりも50℃低い温度以上であることが好ましい。
また、捕集部A−2の温度はポルフィリン化合物の昇華点より100℃以上低い温度であることが好ましい。
なお、熱源3によって加熱される昇華部A−1は、真空ポンプ7の方向に向けて、温度が低くなるように温度勾配が設けられていてもよい。
【0017】
上記熱源の加熱方式の例としては、昇華部A−1をほぼ均一に加熱できればよく、特に限定されず、例えば、抵抗加熱式、電磁誘導加熱式、IR加熱式などが挙げられる。熱源はチャンバー1の外側に配置されていても、内側に配置されていてもよい。
【0018】
昇華時間については、ポルフィリン化合物の種類によって異なり、また減圧度等の他の要件によっても異なるが、通常60〜180分程度となるように制御される。60分以上であると、不純物を除去して精製するのに十分であるし、一方、180分以内であると目的とするポルフィリン化合物の分解や重合などの変質を生じることがない。以上の観点から、昇華時間は100〜150分とすることがさらに好ましい。
【0019】
本発明において、昇華精製される対象は、上記式(I)及び(II)に示されるポルフィリン化合物である。上記式(I)及び(II)において、X1〜X8は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲノアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数6〜20のヘテロアリール基を示す。
【0020】
また、R1〜R4はそれぞれ独立に、窒素原子又は3価の有機基であり、3価の有機基としては炭化水素基が好ましい。また、R1〜R4のうち少なくとも1つは窒素原子であり、好ましくは2つ以上が窒素原子であり、R1〜R4のすべてが窒素原子であるのが特に好ましい。
【0021】
Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、又はオキシ金属を示す。
2価の金属原子としては、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)等が挙げられる。
また、3価の置換金属原子としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−F、Ga−I、In−Cl、In−Br、In−F、In−I、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−F、Tl−I、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3)、In−C6H5、In−C6H4(CH3)、Mn(OH)、Mn(O C6H5)、Mn(OSi(CH33)、Fe−Cl、Ru−Cl等が挙げられる。
【0022】
4価の置換金属原子としては、CrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、GeCl2、GeBr2、GeF2、GeI2、SnCl2、SnF2、SnBr2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiR' 2、CrR' 2、SiR' 2、SnR' 2、GeR' 2[R'は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表す]、Si(OR'') 2、Sn(OR'') 2、Ge(OR'') 2、Ti(OR'') 2、Cr(OR'') 2[R''は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基を表す]、Sn(SR''') 2、Ge(SR''') 2[R'''は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基を表す]等が挙げられる。
ここで、R'、R''、R'''として示されるアルキル基、フェニル基及びナフチル基としては特に限定されないが、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のフェニル基、炭素数10〜20のナフチル基が好ましい。
また、R'、R''、R'''として示されるトリアルキルシリル基、及びジアルキルアルコキシシリル基についても特に限定されないが、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基及び炭素数3〜20のジアルキルアルコキシシリル基が好ましい。
また、オキシ金属としては、VO、MnO、TiO等が挙げられる。
【0023】
本発明の精製方法は、液体クロマトグラフィーを用いた精製のように有機溶剤を使用することがないため、環境負荷の小さい方法である。
【実施例】
【0024】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(昇華装置の作製)
直径30mm、長さ400mmの昇華管、高真空排気装置、マスフローコントローラー、マントルヒーター、及び熱電対温度センサーを組み合わせて、図1に示す昇華装置を作製した。
【0025】
実施例1
テトラ−tertブチル−テトラキス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ポルフィリン銅(昇華温度;250℃(13.3Paにおける昇華温度))の粗製品0.5gを昇華ボートに載せ、昇華管の中のマントルヒーターが当たる部分に固定した。排気して、13.3Pa(0.1torr)以下に保持し、キャリアーガスとして窒素を導入し、40mL/分の流量とした。昇華ボートの温度を220℃まで5℃/分の速度で昇温し、220℃で2時間保持して、不純物を昇華させ、室温まで冷却した。不純物が除去され精製された残渣を0.28g回収した。収率は56%であり、粗製品と同一の条件で液体クロマトグラフ分析を行った結果、液体クロマトグラフの目的物の面積比率(純度)は96.7%であった。なお、精製に要した全体の時間は約3時間であった。
【0026】
比較例1
テトラ−tertブチル−テトラキス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ポルフィリン銅の粗製品の量を0.4gとし、従来、一般に行われる昇華方法で精製した。すなわち、実施例1と同様に、該粗製品を昇華ボートに載せ、昇華管の中のマントルヒーターが当たる部分に固定した。排気して、13.3Pa(0.1torr)以下に保持し、キャリアーガスとして窒素を導入し、40mL/分の流量とした。昇華ボートを290℃まで5℃/分の速度で昇温し、290℃で3時間保持し、目的物であるテトラ−tertブチル−テトラキス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ポルフィリン銅を昇華させた。室温に冷却後、昇華精製品を0.1g回収した。収率は25%であり、粗製品と同一の条件で液体クロマトグラフ分析を行った結果、液体クロマトグラフの目的物の面積比率(純度)は、98.2%であった。なお、精製に要した全体の時間は約4時間であった。
【0027】
比較例2
テトラ−tertブチル−テトラキス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ポルフィリン銅の粗製品0.8gを、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒はトルエンとn−ヘキサンの1:20の混合物)を用いて精製し、精製品0.335gを回収した。収率は37.7%であり、液体クロマトグラフの目的物の面積比率(純度)は、99.5%であった。なお、精製に必要な時間は8時間であった。
【0028】
実施例及び比較例から明らかなように、本発明の方法は、従来の昇華精製方法(比較例1)及びクロマトグラフィーによる方法(比較例2)と比較して、収率が極めて高く、精製時間が短い。また、純度の点でも同等であり、実用上問題ないレベルである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、迅速かつ安価で、しかも環境負荷の小さいポルフィリン化合物の精製方法を提供することができる。該ポルフィリン化合物は電子写真用光導電体、DVD−RやCD−Rなどの追記型光ディスク材料、プラズマディスプレイパネルなどの光学フィルター用材料として有用であり、これら最終製品の製造の効率化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明で用いる昇華装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0031】
A 精製部
B 排気装置
A−1 昇華部
A−2 捕集部
1 昇華管(チャンバー)
2 昇華ボート
3 熱源(マントルヒーター)
4 マスフローコントローラー
5 バルブ(真空調整用)
6 トラップ
7 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるポルフィリン化合物及び/又は下記式(II)で表されるポルフィリン化合物の粗製品を昇華精製する方法であって、昇華精製の装置として横型を用い、キャリアーガスとして不活性ガスを一定量流しながら加熱し、粗製品中の低温昇華物及び有機溶剤を除去することを特徴とするポルフィリン化合物の精製方法。
【化1】

【化2】

(式中、X1〜X8は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲノアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数6〜20のヘテロアリール基を示す。R1〜R4はそれぞれ独立に、窒素原子又は3価の有機基であって、R1〜R4のうち少なくとも1つは窒素原子である。Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、又はオキシ金属を示す。)
【請求項2】
昇華精製の温度がポルフィリン化合物の昇華点よりも20℃低い温度以下である請求項1に記載のポルフィリン化合物の精製方法。
【請求項3】
前記不活性ガスの導入量が20mL/分〜50mL/分である請求項1又は2に記載のポルフィリン化合物の精製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−242668(P2009−242668A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92526(P2008−92526)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】