説明

ポンプ付き容器

【課題】側面を押圧することで所定量の収容液体を射出させるポンプ付き容器を提供する。
【解決手段】容器本体110内に設けるチャンバ120を、筒状のチャンバ本体121と、チャンバ本体121内に上下動自在に配置されたピストン124と、該ピストン124を下方向に付勢するチャンバ用緩衝材125とで構成する。利用者が容器本体110の側面を押圧するとピストン124が上昇して、チャンバ本体121からポンプヘッド130に液体が供給され、ノズル132から射出される。利用者が押圧力を弱めると、バランスバルブ150が開き、ピストン124が下降し、チェックボール133がポンプヘッド本体131の開口を塞ぎ、液重言バルブ141が開いて、容器本体110内の液体が液充填管140を介してチャンバ本体121内に充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容された液体をポンプ機構を用いて射出する、ポンプ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ付き容器は、例えばシャンプー、ハンドソープ等の液体を収容するための容器として、使用されている。かかる容器を用いることにより、一回の操作ごとに、液体を所定量ずつ吐出させることができる。
【0003】
ポンプ付き容器を開示する文献としては、例えば下記特許文献1が知られている。特許文献1に記載のポンプ付き容器によれば、ポンプヘッドを押し下げることにより、所定量の液体をノズルから吐出させることができる。すなわち、特許文献1のポンプ付き容器では、該容器を洗面台等の上に載置した状態で、利用者が指や手のひら等でポンプヘッドを上から押し下げると、この押下力を利用してポンプのノズルから液体が吐出される。
【0004】
このようなポンプ付き容器によれば、所定量の液体を、簡単な操作のみで吐出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−265776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のポンプ付き容器には、該容器を利用者が片手に持った状態で使用することが困難であるという欠点がある。
【0007】
ポンプ付き容器を片手で使用したい場合、利用者は、通常、一方の側面に親指を押し当てるとともに他方の側面に中指や薬指等を押し当てることによって該容器を挟持することになる。そして、この状態のまま、例えば人差し指でポンプヘッドを押し下げることによって、液体を吐出させることになる。
【0008】
しかしながら、ポンプ付き容器では、ある程度強い力でポンプヘッドを押し下げる必要があり、また、収容される液体を含めると一般に数百グラム程度の重量がある。このため、上述のような挟持状態でポンプヘッドを押し下げることは容易ではなく、ポンプ付き容器を手から落下させてしまうおそれもある。
【0009】
特に、爪を長く伸ばしている場合やつけ爪をしている場合等には、ポンプ付き容器を指先部分で強く挟持することができないため、十分に強い力で挟持したままポンプヘッドを押し下げることは、利用者にとって非常に困難である。
【0010】
これに対して、両側面を押すことによって液体を吐出させることができる容器も知られている。このような容器によれば、片手に保持したままの状態で、容易に、液体を吐出させることができる。
【0011】
しかしながら、このような容器には、液体の吐出量を所定量に設定するためのポンプ機能が備わっていなかった。このため、容器の両側面を押すときの押圧力等に応じて液体の吐出量が変化してしまうという欠点があった。
【0012】
本発明の課題は、片手に保持した状態でも簡単に使用することができ、且つ、所定量の液体を吐出することが可能な、ポンプ付き容器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のポンプ付き容器は、液体を収容する容器本体と、該容器本体内に設けられた筒状のチャンバ本体と、該チャンバ本体内に上下動自在に配置されたピストンと、該ピストンを下方向に付勢するチャンバ用スプリングとを有し、前記容器本体の側面が外部からの押圧によって変形するときに該ピストンが上昇し且つ該変形から復帰するときに該ピストンが下降するように構成されたチャンバと、前記チャンバ本体の上端側に設けられ、前記ピストンが上昇することによって該チャンバ本体から供給される前記液体を射出するポンプヘッドと、前記ピストンが下降するときに前記容器本体内の前記液体を前記チャンバ本体内に充填する液充填管と、該液充填管による前記液体の充填が行われるときに、前記容器本体内に外気を導入するバランスバルブとを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のポンプ付き容器においては、前記ポンプヘッドが、下面が開口して前記チャンバ本体に接続されたポンプヘッド本体と、該ポンプヘッド本体の側面に設けられた、前記液体を射出するノズルと、前記チャンバ本体と前記ポンプヘッド本体との接続口を塞ぐチェックボールと、該チェックボールを下方向に付勢するポンプヘッド用スプリングとを備えることが望ましい。
【0015】
本発明のポンプ付容器においては、前記ノズルから導入された外気を前記バランスバルブに供給するための外気供給管をさらに備えることが望ましい。
【0016】
本発明のポンプ付容器においては、前記ポンプヘッド用緩衝材を押圧することによって、前記チェックポールが前記接続口を塞いだ状態に固定する、チェックボール固定機構をさらに備えることが望ましい。
【0017】
本発明のポンプ付き容器においては、前記液充填管が、前記ピストンが下降するときに開き且つ該ピストンが上昇するときに閉じる液充填バルブを備えることが望ましい。
【0018】
本発明のポンプ付き容器においては、前記チャンバが、前記ピストンの上昇量を調整することによって前記液体の射出量を調整する射出量調整部を備えることが望ましい。
【0019】
本発明のポンプ付き容器において、前記バランスバルブは、前記容器本体の側面が外部からの押圧によって変形するときに閉じ、且つ、該変形から復帰するときに開くことが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のポンプ付き容器によれば、容器本体の側面が外部からの押圧によって変形するときに、ピストンが上昇して、チャンバ本体内の液体がポンプヘッドから射出される。さらに、容器本体が変形状態から復元されるときに、ピストンが下降して、容器本体内の液体が液充填管を介してチャンバ本体内に充填されるとともに容器本体内に外気が導入される。したがって、本発明のポンプ付き容器によれば、ポンプ付き容器を挟持する指で容器本体の側面をそのまま押圧するだけで、液体をノズルから射出させることができる。
【0021】
本発明のポンプ付き容器において、チャンバ本体とポンプヘッド本体との接続口を塞ぐチェックボールと、該チェックボールを下方向に付勢するポンプヘッド用スプリングとを設けることにより、簡単な構成で、非射出時に接続口を塞ぐバルブを得ることができる。
【0022】
本発明のポンプ付容器において、ノズルから導入された外気をバランスバルブに供給するための外気供給管を設けることにより、外気導入時に、ノズル内に残留した液体を容器本体内に戻すことができる。
【0023】
本発明のポンプ付容器において、チェックボール固定機構を設けることにより、チャックボールが接続口を塞いだ状態に固定することができるので、輸送時等にノズルから液体が漏れることを防止できる。
【0024】
本発明のポンプ付き容器において、ピストンが下降するときに開き且つピストンが上昇するときに閉じる液充填バルブを設けることにより、ピストンが下降するときに容器本体内の液体をチャンバ本体内に充填するとともに、ピストンが上昇するときに液体がチャンバ本体内に流出することを防止できる。
【0025】
本発明のポンプ付き容器において、射出量調整部を設けることにより、一回当たりの液体射出量を調整することができる。
【0026】
本発明のポンプ付き容器において、バランスバルブを、容器本体の側面が外部からの押圧によって変形するときに閉じ且つ変形から復帰するときに開く構成とすることにより、簡単な構成で、液充填管による前記液体の充填が行われるときに容器本体内に外気を導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係るポンプ付き容器の構造を示す概略断面図である。
【図2】実施の形態に係るポンプ付き容器の動作原理を説明するための概略断面図である。
【図3】実施の形態に係るポンプ付き容器の動作原理を説明するための概略断面図である。
【図4】実施の形態に係るポンプ付き容器の動作原理を説明するための概略断面図である。
【図5】実施の形態に係るポンプ付き容器の射出量調整機構を説明するための概略断面図である。
【図6】実施の形態に係るポンプ付き容器のチェックボール固定機構を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[実施の形態1]
【0029】
以下、本発明の実施形態1について、図面を用いて説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係るポンプ付き容器の構造を概略的に示す断面図である。
【0031】
図1のポンプ付き容器100において、容器本体110は、液体(例えばシャンプー等、図1には示さず)を収容する。容器本体110は、該液体を収容するための下側本体111と、該下側本体111を塞ぐキャップとしての上側本体112を備える。
【0032】
下側本体111と上側本体112とは、接合部113で、着脱自在に接合・固定される。例えば、下側本体111の及び上側本体112の一方に雄ねじ溝を設けるとともに他方に雌ねじ溝を設けて、上側本体112を下側本体111にねじ込むこと等により、着脱自在な接合・固定が可能になる(図示せず)。
【0033】
上側本体112の上面中央部付近には、開口113が設けられている。この開口113にチャンバ120の上端部を貫通させて、該上端部を例えばキャップ114で固定することにより、上側本体112にチャンバ120を保持させることができる。
【0034】
また、上側本体112の上面端部付近には、開口115が設けられている。この開口115は、バランスバルブ150(後述)が開いたときに、外気やノズルに残留した液体を容器本体110内に導入するための、開口である。開口115は、外気供給管116を介して、ノズル132の開口132b(後述)に接続されている。
【0035】
下側本体111は、利用者が指で押圧することで変形させ易く且つ押圧力を緩めることで形状を復元させることができる材料、例えば軟質樹脂等で形成することが望ましい。
【0036】
チャンバ120は、チャンバ本体121と、ピストン124と、チャンバ用緩衝材(例えば、コイルスプリング)125とを有する。
【0037】
本実施形態のチャンバ本体121は、上側チャンバ本体122と下側チャンバ本体123とを有し、筒状に形成されている。上側チャンバ本体122と下側チャンバ本体123とは、接合部分121aで接合されている。本実施形態では、上側チャンバ本体122及び下側チャンバ本体123の一方に雄ねじ溝を設けるとともに他方に雌ねじ溝を設けて、上側チャンバ本体122を下側チャンバ本体123にねじ込むことで、これらを接合する。そして、このねじ込み量を調整することにより、チャンバ本体121の全長を調整する。図5を用いて後述するように、本実施形態では、チャンバ本体121の全長を調整することにより、液体の射出量を調整することができる。なお、上側チャンバ本体122と下側チャンバ本体123との接合は、一方を他方に圧入する等、他の方法でも良い。但し、全長を調整することが簡単になるため、上述のようなねじ込み方式を採用することが望ましい。
【0038】
上側チャンバ本体122の上部122aは、ポンプヘッド130の下部とほぼ同一の半径に形成されて、該ポンプヘッド130に接合・固定されている。接合・固定の方法は、上側チャンバ本体122及びポンプヘッド130の一方に雄ねじ溝を形成し且つ他方に雌ねじ溝を形成してねじ込む方法であっても良いし、単に上側チャンバ本体122にポンプヘッド130を圧入する方法であっても良いし、他の方法であっても良い。
【0039】
上側チャンバ本体122の内側面には、爪部122bが設けられている。爪部122bは、チャンバ用緩衝材125を係止するために使用される。
【0040】
また、上側チャンバ本体122の内側面には、液充填用の開口122が設けられている。後述するように、開口122cには、液充填管140が接続される。
【0041】
下側チャンバ本体123の下端部分には、この下端部分でピストン124を係止させるための折り曲げ部123aが設けられている。
【0042】
ピストン124は、チャンバ本体121の内径とほぼ同一の直径を有しており、該チャンバ本体121内を自在に上下動できる。後述するように、ピストン124が上昇することによりチャンバ本体121内の液体がポンプヘッド130内に供給され、且つ、ピストン124が下降することにより容器本体110内の液体が液充填管140を介してチャンバ本体121内に供給される。
【0043】
チャンバ用緩衝材125は、チャンバ本体121内に設けられて、上端が爪部122bの下面に係止されており、且つ、下端がピストン124の上面に当接されている。チャンバ用緩衝材125は、ピストン124を、下方向に付勢する。後述するように、容器本体110の側面が外部からの押圧によって変形するとき、ピストン124はチャンバ用緩衝材125の付勢力に抗して上昇し、また、容器本体110が該変形から復元されるとき、ピストン124はチャンバ用緩衝材125の付勢力によって下降する。
【0044】
ポンプヘッド130は、チャンバ本体121の上端に取り付けられて、該チャンバ本体121から供給される液体を射出する。このために、ポンプヘッド130は、ポンプヘッド本体131と、ノズル132と、チェックボール133と、ポンプヘッド用緩衝材134とを備えている。
【0045】
ポンプヘッド本体131は、下端が開口しており、この開口部分で上側チャンバ本体122に接合されている。この開口部分を介して、チャンバ121からポンプヘッド本体131内に液体が供給される。一方、ポンプヘッド本体131の上面は、塞がれている。ポンプヘッド本体131は、下側部分131aの内径が小さく且つ上側部分131bの内径が大きくなるように形成されている。
【0046】
ノズル132は、ポンプヘッド本体131の側面に形成されている。ノズル132は、ポンプヘッド本体131に供給された液体を、先端部132aから外部に射出する。射出の方式としては、液体を吐出する方式であっても良いし、噴霧する方式であっても良い。また、ノズル132の下面には、開口132bが設けられている。上述のように、開口132bは、外気供給管116を介して、上側本体112の開口115に接続されている。
【0047】
チェックボール133は、ポンプヘッド本体131内に配置される。チェックボール133の直径は、ポンプヘッド本体131の下側部分131aの内径よりも大きく、且つ、上側部分131bの内径よりも小さい。したがって、チェックボール133は、ポンプヘッド本体131の下端付近に位置しているときは該ポンプヘッド本体131の開口を塞ぐが、該ポンプヘッド本体131内を上昇すると該開口を露出させることになる。
【0048】
ポンプヘッド用緩衝材134は、上端部分が押さえ板135a(後述)に当接し、且つ、下端部分がチェックボール133に当接している。これにより、ポンプヘッド用緩衝材134は、チェックボール133を、下方向(すなわち、ポンプヘッド本体131の開口を塞ぐ方向)に付勢している。
【0049】
チェックボール133及びポンプヘッド用緩衝材134により、液体を射出するときのみにポンプヘッド本体131の開口を露出させるバルブが構成される。
【0050】
ポンプヘッド本体131の上部には、チェックボール固定機構135が設けられている。チェックボール固定機構135は、ポンプヘッド用緩衝材134を上から押圧することによって、チェックボール133を、ポンプヘッド本体131の開口を塞いだ状態に固定するための機構である。図1に示したように、本実施形態のチェックボール固定機構135は、ポンプヘッド本体131内に配置された押さえ板135aと、ポンプヘッド本体131の上面を貫通させて設けられたねじ込み棒135bとを有する。上述のように、押さえ板135aは、ポンプヘッド用緩衝材134に当接する。ねじ込み棒135bの下端は押さえ板135aに当接しており、上部に設けられた摘みを回転させること等によって押さえ棒135aを下降或いは上昇させることができる。ねじ込み棒を下降或いは上昇させる方式は、ネジ溝を用いた方式で良いが、例えばポンプヘッド本体131に圧入する方式等の他の方式でも良い。
【0051】
液充填管140は、容器本体110内の液体をチャンバ本体121内に充填するために使用される。液充填管140の内部には、液充填バルブ141が設けられている。後述するように、液充填バルブ141は、ピストン124が下降するときに開いて液体をチャンバ本体121内に供給し、且つ、ピストン124が上昇するときに閉じてチャンバ本体121内の液体が液充填管140から流出することを防止する。
【0052】
バランスバルブ150は、容器本体110内に外気を導入する気圧調整弁である。後述するように、液充填管140がチャンバ本体121内に液体を充填するとき(すなわち、容器本体110が変形状態から元の状態に戻るとき)、バランスバルブ150による外気の導入が行われる。
【0053】
以下、図1に示したポンプ付き容器100の原理について、図2〜図4の概略断面図を用いて説明する。
【0054】
図2は、ポンプ付き容器100内の使用が開始される前の状態を示している。
【0055】
ポンプ付き容器100には、液体201が収容されている。すなわち、図2の例では、液体201が、容器本体110内、チャンバ本体121内、液充填管140内及びポンプヘッド本体131の下側部分131a(すなわち、チェックボール133よりも下の部分)に充填されている。なお、ポンプ付容器110を実際に使用するとき、チェックボール固定機構135の押さえ板135aは、最も上の部分まで押し上げられている。
【0056】
図2の状態では、ピストン124は、チャンバ用緩衝材125の付勢力によって、チャンバ本体121の下端部分(すなわち、折り曲げ部123aで係止される位置)まで下降している。また、チェックボール133は、ポンプヘッド用緩衝材134の付勢力により、ポンプヘッド本体131の下側部分131aを塞いでいる。
【0057】
さらに、図2の状態では、容器本体110内の液圧とチャンバ本体121内の液圧とはほぼ一致し、したがって液充填バルブ141は閉じている。また、容器本体110内の空気圧は外気圧とほぼ一致し、したがってバランスバルブ150は閉じている。
【0058】
次に、図2の状態にあるポンプ付き容器100において、容器本体110の側面が押圧された場合(例えば、利用者が指等で容器本体110の両側面を押圧した場合)を説明する。図3は、かかる場合を示す概略断面図である。
【0059】
図3に示したように、かかる押圧によって容器本体110が内側に凹むと、容器本体110の内部容積が減少することになる。このため、容器本体110内の空気圧が上昇する。また、このとき、バランスバルブ150は閉じたままである。
【0060】
したがって、容器本体110内の空気は、液体201の液面を押し下げる方向の圧力を発生させる。このため、液体201は、ピストン124に上方向の圧力を加える。その結果、ピストン124は、チャンバ用緩衝材125の付勢力に抗して上昇する。
【0061】
このとき、液充填バルブ141は閉じた状態に維持される。このため、チャンバ本体121内の液体210は、チェックボール133に上方向の圧力を加える。その結果、チェックボール133は、ポンプヘッド用緩衝材134の付勢力に抗して、上昇する。
【0062】
チェックボール133が上昇すると、ポンプヘッド本体131の開口が露出する。そして、この開口からポンプヘッド本体131内に液体201が供給されて、ノズル132から射出する。
【0063】
チャンバ用緩衝材125が完全に縮んだ状態になると、ピストン124の上昇が停止し、液体201の射出も終了する。
【0064】
このように、液体201の射出量は、ピストン124が折り曲げ部123aによって係止する位置と、ピストン124の上昇後の停止位置との距離によって、決定される。
【0065】
続いて、図3の状態において、押圧が緩められて容器本体110の形状が元の状態に戻る場合の動作を説明する。図4は、かかる場合の動作を示す概略断面図である。
【0066】
容器本体110の形状が元の状態に戻ろうとするとき、容器本体110の容積が増大しようとする。このため、容器本体110内の空気圧が低下して、バランスバルブ150が開く。このため、ノズル132を介して容器本体110内に外気が導入される。この結果、容器本体110内の空気が液体201の液面を押し下げる力が弱まる。これにより、ピストン124が、チャンバ用緩衝材125の付勢力による下降を開始する。
【0067】
ピストン124が下降を開始すると、チェックボール133も、ポンプヘッド用緩衝材134の付勢力による下降を開始する。そして、チェックボール133によって、ポンプヘッド本体131の開口が塞がれる。
【0068】
ポンプヘッド本体131の開口が塞がれた後も、ピストン124は、さらに下降する。このため、チャンバ本体121内の液圧が容器本体110内の液圧よりも低くなって、液充填バルブ141が開く。これにより、液充填管140を介して、液体201が、容器本体110内からチャンバ本体121内に充填される。
【0069】
その後、ピストン124は、折り曲げ部123aまで達して、下降を停止する。また、容器本体110内の空気圧が外気圧とほぼ一致することにより、バランスバルブ150が閉じる。これにより、ポンプ付き容器100の各構成部は、図2に示されたような状態に戻る。
【0070】
なお、バランスバルブ150が開いているとき、外気とともに、ノズル132内に残留した液体を、容器本体110内に戻すことができる。
【0071】
次に、本実施形態のポンプ付き容器100において、液体の射出量を調整する方法につき、図5の概略断面図を用いて説明する。
【0072】
上述のように、本実施形態のポンプ付き容器100では、上側チャンバ本体122を下側チャンバ本体123にねじ込む際のねじ込み量を調整することで、チャンバ本体121の全長を調整することができる。図1と図5との比較から解るように、図5の例では、かかるねじ込み量を多くすることにより、チャンバ本体121の全長(より正確には、爪部122bと折り曲げ部123aとの距離)が図1の例よりも短く設定されている。
【0073】
このため、図5の例では、容器本体110の両側面を押圧したときにピストン124が上昇する量(すなわち、ピストン124の上昇開始前の位置と上昇後の停止位置との距離)は、図1の例よりも短くなる。
【0074】
ここで、上述のように、液体201の射出量は、ピストン124の上昇量によって、決定される。
【0075】
したがって、図5のようにしてチャンバ本体121の全長を調整することにより、液体201の射出量を調整することができる。
【0076】
次に、本実施形態のポンプ付き容器100において、チェックボール固定機構135によってチャックボール133を固定する方法について、図6の概略断面図を用いて説明する。
【0077】
上述のように、チェックボール固定機構135のねじ込み棒135bをポンプヘッド本体131の上部からねじ込みことによって、押さえ板135aを下降させることができ、これによって、ポンプヘッド用緩衝材134を上側から押圧することができる。そして、ポンプヘッド用緩衝材134を押圧することで、チェックボール133を、ポンプヘッド本体131の開口を塞いだ状態に固定することができる。このような状態にチェックボール133を固定した場合、容器本体110の側面が外部からの押圧によって変形しても、ノズル132から液体が射出されることはない。
【0078】
したがって、例えば流通過程等において、ポンプ付容器100に液体が収容された状態で運搬等を行う場合に、ポンプ付容器100からの液体漏れを防止することができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、容器本体110の側面が外部からの押圧によって変形するときに、ピストン124が上昇して、チャンバ本体121内の液体201がポンプヘッド130から射出される。さらに、容器本体110が変形状態から復元されるときに、ピストン124が下降して、容器本体110内の液体201が液充填管140を介してチャンバ本体121内に充填されるとともに容器本体110内に外気が導入される。したがって、本実施形態によれば、ポンプ付き容器100を挟持する指で容器本体110の側面をそのまま押圧するだけで、所定量の液体201をノズル132から射出させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係るポンプ付き容器は、例えばシャンプー、ハンドソープ等の液体石鹸類に使用できるだけでなく、食品、化学薬品、医薬品等あらゆる液体を収容する容器に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
100 ポンプ付き容器
110 容器本体
111 下側本体
112 上側本体
113 接合部
114 キャップ
115 開口
116 外気供給管
120 チャンバ
121 チャンバ本体
121a 接合部分
122 上側チャンバ本体
122b 爪部
123 下側チャンバ本体
123a 折り曲げ部
124 ピストン
125 チャンバ用緩衝材
130 ポンプヘッド
131 ポンプヘッド本体
131a 下側部分
131b 上側部分
132 ノズル
132a 先端部
132b 開口
133 チェックボール
134 ポンプヘッド用緩衝材
135 チェックボール固定機構
135a 押さえ板
135b ねじ込み棒
140 液充填管
141 液充填バルブ
150 バランスバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体と、
該容器本体内に設けられた筒状のチャンバ本体と、該チャンバ本体内に上下動自在に配置されたピストンと、該ピストンを下方向に付勢するチャンバ用緩衝材とを有し、前記容器本体の側面が外部からの押圧によって変形するときに該ピストンが上昇し且つ該変形から復帰するときに該ピストンが下降するように構成されたチャンバと、
前記チャンバ本体の上端側に設けられ、前記ピストンが上昇することによって該チャンバ本体から供給される前記液体を射出するポンプヘッドと、
前記ピストンが下降するときに前記容器本体内の前記液体を前記チャンバ本体内に充填する液充填管と、
該液充填管による前記液体の充填が行われるときに、前記容器本体内に外気を導入するバランスバルブと、
を備えることを特徴とするポンプ付き容器。
【請求項2】
前記ポンプヘッドが、
下面が開口して前記チャンバ本体に接続されたポンプヘッド本体と、
該ポンプヘッド本体の側面に設けられた、前記液体を射出するノズルと、
前記チャンバ本体と前記ポンプヘッド本体との接続口を塞ぐチェックボールと、
該チェックボールを下方向に付勢するポンプヘッド用緩衝材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のポンプ付き容器。
【請求項3】
前記ノズルから導入された外気を前記バランスバルブに供給するための外気供給管をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のポンプ付容器。
【請求項4】
前記ポンプヘッド用緩衝材を押圧することによって、前記チェックボールが前記接続口を塞いだ状態に固定する、チェックボール固定機構をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のポンプ付容器。
【請求項5】
前記液充填管が、前記ピストンが下降するときに開き且つ該ピストンが上昇するときに閉じる液充填バルブを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポンプ付き容器。
【請求項6】
前記チャンバが、前記ピストンの上昇量を調整することによって前記液体の射出量を調整する射出量調整部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポンプ付き容器。
【請求項7】
前記バランスバルブは、前記容器本体の側面が外部からの押圧によって変形するときに閉じ、且つ、該変形から復帰するときに開くことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポンプ付き容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate