説明

マイクロセンシング装置

【課題】発振回路を構成する電気素子の不具合を招くことなく水晶振動子を使用して高精度な測定、分析を行うことができると共に、小型化及び省電力化を図ること。
【解決手段】測定対象物Wが導入される反応槽10を有するセル2と、両面に一対の電極20、21が形成され、少なくとも一方の電極20が反応槽に導入された測定対象物に接するようにセルに配設された水晶振動子3と、水晶振動子を共振させる発振回路4を有する発振基板5と、水晶振動子を加熱冷却する第1の加熱冷却部6と、発振回路を加熱冷却する第2の加熱冷却部8と、第1の加熱冷却部を温度制御する第1の温度制御部7と、第2の加熱冷却部を温度制御する第2の温度制御部9と、を備えているマイクロセンシング装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子を共振させ、その共振変化から測定対象物の物理量測定や分析を行うマイクロセンシング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より水晶振動子は、時計、コンピュータ、計測機器等の各種電子機器に組み込まれる電子回路の周波数標準に数多く使用されており、高精度で安定した発振素子として利用されている。
近年では、この水晶振動子を利用して測定対象物の特性を分析したり、物理量(粘度等)を測定したりする装置が開発されている。この装置では、厚み滑り振動する水晶振動子を主に利用している。そして、水晶振動子の両面には電圧が印加される電極がそれぞれ形成されており、電圧印加の後、水晶振動子は発振回路により所定の周波数で共振するようになっている。この際、水晶振動子は、少なくとも一方の電極が反応槽に導入される測定対象物に接するように配設されている。
【0003】
このような構成のもと、例えば、測定対象物を特定物質(例えば、抗体や蛋白質等)とし、この特定物質の特性を分析する場合には、まず、水晶振動子の表面に特定物質が吸着反応して結合するリガンド等と呼ばれる固定物質を所定量固定しておく。その後、特定物質を含む溶液を反応槽内に導入すると共に水晶振動子を共振させる。すると、特定物質が固定物質に吸着して結合するので、水晶振動子の表面付近に微小な質量変化が生じる。これにより、水晶振動子の共振周波数が変化する。つまり、微小な質量変化を共振周波数変化として測定することができる。続いて、上記測定を、複数の濃度の特定物質を含む溶液についてそれぞれ行う。そして、それらの測定結果から、固定物質に吸着する吸着定数を算出することができる。
【0004】
また、これとは反対に、固定物質から特定物質が脱離する際にも水晶振動子の表面付近に微小な質量変化が生じるので、水晶振動子の共振周波数が変化する。従って、上述した場合と同様に、固定物質から脱離する脱離定数を算出することができる。
このように、固定物質に対する特定物質の脱離吸着定数を得ることができ、特定物質の特性を分析することができる。特に、この手法は新薬開発等に応用することができ、生化学やバイオテクノロジー等の分野で期待されている。
【0005】
また、測定対象物を液体とし、この液体の粘度(物理量)を測定する場合には、まず、基準溶液を反応槽内に導入すると共に水晶振動子を共振させる。そして、このときの共振点における共振抵抗値、即ち基準抵抗値を測定しておく。
次に、測定したい液体を反応槽内に導入すると共に水晶振動子を共振させる。このとき水晶振動子は、液体から粘度に応じた抵抗を受けるので共振抵抗が変化する。そして、ここで測定した共振抵抗値と、先ほど測定した基準抵抗値とを比較した測定データを取得する。続いて、異なる複数の基準溶液について同様の測定を行い、それぞれの基準溶液に対する測定データを取得する。そして、これら複数の測定データの検量線に基づいて、測定したい液体の粘度を測定することができる。
【0006】
上述したように、水晶振動子の共振変化に基づいて測定対象物の分析や物理量測定を行う技術が知られているが、水晶振動子は温度特性を有しているので、温度によって共振振動が影響を受けてしまう。従って、正確な測定を行うためにはできるだけ水晶振動子の温度を一定にして、温度変化に起因する共振周波数変化や共振抵抗値変化を抑制することが望まれている。
【0007】
また、特定物質が固定物質に対して吸着脱離する反応も温度変化に左右され易い。そのため、この反応をさせる場合には、水晶振動子の温度を一定にすることが一層強く求められている。
【0008】
このようなニーズに応えるものの1つとして、セルと発振回路とのうち少なくとも1つを、ヒーター等の加熱手段やペルチェ冷却素子等の冷却手段が取り付けられたアルミブロック等の金属塊内に埋設させ、この金属塊を温度制御した状態で測定を行う装置が知られている(特許文献1参照)。
このように構成された装置によれば、セル内に配設されている水晶振動子を所定の温度に制御できるので、正確な測定を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−38784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しなしながら、従来の装置では、発振回路がセルと共に金属塊内に埋設されて一緒に温度制御されるか、或いは、金属塊とは別個に配設されて全く温度制御されていないか、のいずれかの状態となっている。
一般的に発振回路を構成する電気素子は、自己発熱し易く、発振回路の作動時に温度がどうしても上昇してしまう。そのため、電気素子の温度は、発振回路が置かれた温度よりも数℃〜数十℃高温になってしまう。従って、発振回路が何ら温度制御されない場合には、測定中に電気素子の温度が高温になりすぎてしまい、この温度に耐えられず電気素子が故障等、不具合を起こす恐れがあった。
仮に、発振回路がセルと同時に温度制御されていたとしても、測定に必要な温度が高温の場合には、水晶振動子の温度を高温に設定せざるを得ない。このような場合には、発振回路自体も同様に高温となってしまい、電気素子の温度はそれよりもさらに高温になってしまう。従って、やはり電気素子が不具合を起こす恐れがあった。
【0011】
更に、従来の装置では、発振回路やセルを埋設させるだけでなく、外部からの電磁的影響を排除させるシールド効果を金属塊に求めているので、サイズが大型化する傾向にある。従って、大掛かりな装置になってしまい、小型化を図ることが困難であった。また、大きな金属塊を温度制御する必要があるので、大掛かりな電源回路が必要であるうえ、電気消費量も膨大になる恐れがあった。
【0012】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、発振回路を構成する電気素子の不具合を招くことなく水晶振動子を使用して高精度な測定、分析を行うことができると共に、小型化及び省電力化を図り易いマイクロセンシング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係るマイクロセンシング装置は、測定対象物が導入される反応槽を有するセルと、両面に電圧が印加される一対の電極が形成され、少なくとも一方の電極が前記反応槽に導入された前記測定対象物に接するように前記セルに配設された水晶振動子と、前記水晶振動子を共振させる発振回路を有する発振基板と、前記水晶振動子を加熱冷却する第1の加熱冷却部と、前記発振回路を加熱冷却する第2の加熱冷却部と、前記第1の加熱冷却部を温度制御する第1の温度制御部と、前記第2の加熱冷却部を温度制御する第2の温度制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
この発明に係るマイクロセンシング装置においては、反応槽内に測定対象物を導入すると共に、一対の電極に電圧を印加させて発振回路により水晶振動子を共振させる。すると、導入された測定対象物が一方の電極を含む水晶振動子の片面に作用するので、その影響により水晶振動子の共振周波数又は共振抵抗値が変化する。従って、このような水晶振動子の共振変化を測定することで、測定対象物の粘度等の物理量を測定したり、特性の分析を行ったりすることができる。
【0015】
ところで、上述した測定や分析を行う際、第1の温度制御部によって温度制御された第1の加熱冷却部を利用して水晶振動子を適宜加熱冷却できるので、水晶振動子の温度を一定温度に調整することが可能である。従って、温度変化に起因して水晶振動子の共振周波数や共振抵抗値が変化してしまうことを抑制することができる。よって、高精度な測定、分析を行うことができる。また、測定対象物に応じた最適な温度に水晶振動子の温度を設定できるので、この点においても高精度な測定、分析を行うことができる。
【0016】
また、発振回路に関しても水晶振動子と同様に、第2の温度制御部によって温度制御された第2の加熱冷却部を利用して適宜加熱冷却できるので、発振回路の温度を一定温度に調整することが可能である。しかも、水晶振動子とは別個に温度制御できるので、水晶振動子の温度に左右されずに発振回路の温度を所望する温度に調整することができる。従って、従来のように発振回路を構成する電気素子が高温になり過ぎてしまうことを抑制することができる。よって、故障等の不具合を招くことなく測定、分析を行うことができ、信頼性の高い装置とすることができる。
【0017】
更に、従来のような大きな金属塊を温度制御する場合とは異なり、水晶振動子及び発振回路を局所的に温度制御すれば良いので、第1の加熱冷却部及び第2の加熱冷却部の小型化を容易に図ることができる。そのため、それらを温度制御する第1の温度制御部及び第2の温度制御部に関しても小型化を図り易い。従って、装置全体のサイズの小型化を図ることができる。
また、小型化された第1の加熱冷却部及び第2の加熱冷却部を温度制御すれば良いので、従来に比べて省電力化を図ることもできる。しかも、水晶振動子及び発振回路の発熱量がそれぞれ異なっていたとしても、両者を別々に温度制御できるので、それぞれに合った最適な温度勾配で効率良く温度制御することができる。従って、この点においても省電力化を図ることができる。
【0018】
更に、水晶振動子と発振回路とを別々に温度制御できるので、例えば、水晶振動子を高精度に温度制御し、それとは逆に発振回路を若干低い精度で温度制御するといった、加熱冷却性能に差をつけることも可能である。従って、高精度に温度制御する領域を絞ることができ、コスト高になることを抑えることができる。よって、低コスト化に繋げることもできる。
加えて、水晶振動子と発振回路とを別々に温度制御できるので、セルの温度を変化させた場合も、発振回路の温度を一定にすることができ、発振回路の温度特性の影響を受けることなく、正確に温度特性の評価を行うことができる。
【0019】
(2)本発明に係るマイクロセンシング装置は、上記本発明のマイクロセンシング装置において、前記第1の加熱冷却部が、前記水晶振動子と同時に前記セルを加熱冷却することを特徴とする。
【0020】
この発明に係るマイクロセンシング装置においては、第1の加熱冷却部が水晶振動子だけでなく、同時にセルを加熱冷却する。これにより、反応槽内に導入された測定対象物に関しても、水晶振動子の温度に調整することが可能である。水晶振動子は、自身よりも熱容量が大きい測定対象物の温度に影響され易い。よって、水晶振動子だけを加熱冷却しても、所望する一定温度に調整し難い場合がある。しかしながら、セルを同時に加熱冷却することで、このような懸念もなく、水晶振動子をより高精度に温度調整することができる。従って、さらに高精度な測定、分析を行うことができる。
【0021】
(3)本発明に係るマイクロセンシング装置は、上記本発明のマイクロセンシング装置において、前記第2の温度制御部が、前記発振回路の温度が室温よりも+5℃以上+30℃未満の範囲内の温度となるように、前記第2の加熱冷却部を温度制御することを特徴とする。
【0022】
この発明に係るマイクロセンシング装置においては、発振回路の温度が室温よりも+5℃以上+30℃未満の範囲内の温度となるように温度制御する。なお、ここでいう室温とは、一般的な実験や測定を行う際に適した室内温度であって、年間の平均的な室内温度(略25℃前後)である。通常、測定対象物の測定、分析を行う場合には、室温下で行うことが考えられる。そして、このような室温下で発振回路を作動させた場合には、電気素子の自己発熱等により通常室温よりも自然に高い温度に達し、この温度に落ち着き易い。
【0023】
従って、上述した温度範囲内になるように発振回路を温度制御することで、自然な状態に近い形にすることができ、過大な加熱冷却を行うことなく、発振回路を一定温度に制御することができる。よって、さらなる省電力化を図り易い。
仮に、発振回路の温度が室温よりも30℃を超えて高くなってしまった場合には、発振回路を構成する電気素子の不具合を招き易く、寿命の低下を引き起こしたり、装置全体のエネルギー消費の増大化を招き易くなったりしてしまう。
【0024】
(4)本発明に係るマイクロセンシング装置は、上記本発明のマイクロセンシング装置において、前記第2の温度制御部が、起動時以降、前記発振回路の温度が使用環境温度よりも所定値高い温度となるように、前記第2の加熱冷却部を使用環境温度の変化に追従して温度制御すると共に、測定開始の入力がされた後、入力時に達していた温度を維持するように第2の加熱冷却部を温度制御することを特徴とする。
【0025】
この発明に係るマイクロセンシング装置においては、電源投入して起動させると、第2の温度制御部が、発振回路の温度が使用環境温度よりも所定値高い温度となるように第2の加熱冷却部を温度制御する。この際、第2の温度制御部は、起動後に空調等によって使用環境温度が変化した場合には、この温度変化に追従して第2の加熱冷却部を温度制御する。そのため、発振回路の温度は、使用環境温度よりも所定値高い温度に維持される。そして、使用環境温度が最適な温度に達して測定開始の入力がされると、第2の温度制御部は、これ以降、入力時に達していた発振回路の温度を維持するように第2の加熱冷却部を温度制御する。例えば、所定値が15℃の場合、使用環境温度が25℃(最適な温度)に達して測定開始の入力がされると、このとき達していた40℃に発振回路の温度が維持されるように温度制御を行う。
【0026】
通常、発振回路を作動させた場合、電気素子の自己発熱等により使用環境温度よりも高い温度に自然に達し、その温度に落ち着き易い。従って、測定や分析中、使用環境温度よりも高い温度を維持するように発振回路を温度制御することで、自然な状態に近い形にすることができ、過大な加熱冷却を行うことなく、発振回路を一定温度に制御することができる。よって、さらなる省電力化を図り易い。
また、起動時以降、発振回路の温度が使用環境温度よりも所定値高い温度となるように、使用環境温度の変化に追従して温度制御しているので、測定開始の入力をした後、タイムラグを発生させることなく直ちに測定対象物の測定、分析を行える。従って、非常に使い易く、利便性に優れた装置することができる。
【0027】
(5)本発明に係るマイクロセンシング装置は、上記本発明のマイクロセンシング装置において、前記第2の温度制御部が、起動時に前記使用環境温度が予め決められた規定値以上の温度に達していた場合には、温度制御を中止することを特徴とする。
【0028】
この発明に係るマイクロセンシング装置においては、起動時に使用環境温度が予め決められた規定値以上の温度に達して場合、例えば、夏場の室内等、使用環境温度が高温(40℃〜50℃)に達していた場合には、第2の加熱冷却部の温度制御を中止する。従って、発振回路の温度が40℃〜50℃よりも所定値高い温度となってしまうことを防止することができ、このことに起因して不具合が生じてしまうことを防止することができる。
【0029】
(6)本発明に係るマイクロセンシング装置は、上記本発明のマイクロセンシング装置において、前記第2の温度制御部が、前記使用環境温度が前記規定値よりも低下した後に、前記第2の加熱冷却部の温度制御を開始することを特徴とする。
【0030】
この発明に係るマイクロセンシング装置においては、第2の加熱冷却部の温度制御を中止した後、空調等により使用環境温度が規定値よりも低下した場合、第2の温度制御部が第2の加熱冷却部の温度制御を開始する。これにより、発振回路をより安全に作動させることができ、信頼性を向上することができる。
【0031】
(7)本発明に係るマイクロセンシング装置は、上記本発明のマイクロセンシング装置において、前記発振基板の両面に配設された絶縁性の熱伝導性部材と、該熱伝導性部材を介して前記発振基板を両面から挟持して固定する金属板と、を備え、前記第2の加熱冷却部が、前記金属板に固定されていることを特徴とする。
【0032】
この発明に係るマイクロセンシング装置においては、発振回路を有する発振基板が、熱伝導性部材及び金属板に周囲が囲まれているので、放熱性能及び冷却性能に非常に優れている。従って、発振回路を速やかに温度変化させることができ、短時間で効率良く所望の温度に調整することができるうえ、さらなる省電力化も図り易い。
特に、金属板に第2の加熱冷却部が固定されているので、金属板及び熱伝導性部材を介して熱を無駄に放熱することなく伝えることができる。この点においても、上述した作用効果を顕著なものとすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るマイクロセンシング装置によれば、発振回路を構成する電気素子の不具合を招くことなく水晶振動子を使用して高精度な測定、分析を行うことができると共に、小型化、省電力化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るマイクロセンシング装置の構成図である。
【図2】図1に示すマイクロセンシング装置を構成するセルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るマイクロセンシング装置の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、測定対象物をサンプル溶液とし、このサンプル溶液の粘度(物理量)を測定する場合を例に挙げて説明する。
【0036】
本実施形態のマイクロセンシング装置1は、図1に示すように、セル2と、水晶振動子3と、発振回路4を有する発振基板5と、水晶振動子3を加熱冷却するペルチェ素子(第1の加熱冷却部)6と、このペルチェ素子6に電流を流して温度制御を行う温度制御部(第1の温度制御部)7と、発振回路4を加熱冷却するペルチェ素子(第2の加熱冷却部)8と、このペルチェ素子6に電流を流して温度制御を行う温度制御部(第2の温度制御部)9と、を備えている。
【0037】
セル2は、ベース部2aと、このベース部2a上に被さるように組み合わされ、内部にサンプル液Wが導入される反応槽10が形成されたカバー部2bと、で構成されている。これらベース部2a及びカバー部2bは、アルミニウム等の金属材料でそれぞれ形成されており、図示しないネジ等の締結手段によって密着した状態で組み合わされている。
【0038】
カバー部2bには、サンプル液Wを外部から供給して反応槽10内に導入する供給路11が形成されていると共に、反応槽10内に導入されたサンプル液Wを外部に排出する排出路12が形成されている。この際、供給路11と排出路12とは、反応槽10を挟んで対向するように形成されている。そのため、供給路11から供給されたサンプル液Wは、図示しないポンプ等の作動により排出される際、反応槽10を確実に通過した後に排出路12を経由して外部に排出されるように設計されている。このように、本実施形態のセル2は、サンプル液Wを流しながら反応槽10内に導入することが可能なフロー型セルとして機能する。
なお、供給路11の入口及び排出路12の出口には、供給チューブ13及び排出チューブ14がそれぞれ接続されるようになっており、サンプル液Wを確実に供給及び排出することが可能とされている。
【0039】
水晶振動子3は、例えばATカット水晶片であり、8mm角ウエハから略正方形状に形成された透明な基板である。この水晶振動子3の両面には、図示しない電源により電圧が印加される一対の電極、即ち、検出電極20及び対向電極21が形成されている。これら検出電極20及び対向電極21は、それぞれ水晶振動子3の略中心に位置するように蒸着やスパッタ等によって形成されている。つまり、検出電極20及び対向電極21は、水晶振動子3を間に挟んで対向した状態となっている。なお、水晶振動子3及び一対の電極20、21は、QCMセンサとして機能する。
【0040】
また、水晶振動子3の両面には、検出電極20及び対向電極21にそれぞれ電気接続される図示しないリード電極が形成されている。これら検出電極20、対向電極21及びリード電極は、1種類の金属或いは異なる金属を積層(例えば、チタンと金とを2層に積層)して形成されたものである。
【0041】
このように構成された水晶振動子3は、一方の電極である検出電極20が反応槽10内に導入されたサンプル液Wに接するようにベース部2a上に固定されている。この際、水晶振動子3の両面には、フッ素ゴムやシリコーンゴム等から形成されたOリング22が固定されている。これにより、サンプル液Wが対向電極21側に漏れてしまうことを防止している共に、対向電極21がベース部2aに直接接触してしまうことを防止している。
なお、検出電極20側のOリング22は、セル2のカバー部2bの内面に形成された固定部材2cによって上方から押さえつけられるように固定されている。
【0042】
ところで、セル2のベース部2aの下面には、上記ペルチェ素子6の一方の面が接着等により固定されている。また、ペルチェ素子6の他方の面(一方の面の反対側の面)には、ファン25が取り付けられたヒートシンク26が固定されている。
このペルチェ素子6は、上記温度制御部7に接続されており、該温度制御部7から流れる電流量や極性の反転等によって、一方の面が発熱或いは吸熱するようになっている。また、その際の発熱量及び吸熱量も制御されている。これにより、ペルチェ素子6は、セル2を介して水晶振動子3を適宜加熱冷却することができるようになっている。
特に、ペルチェ素子6の他方の面には、ファン25が取り付けられたヒートシンク26が固定されているので、吸熱した熱を効率良く熱交換することができる。
【0043】
なお、ベース部2aには、水晶振動子3の温度を測定するサーミスタ27が設けられている。温度制御部7は、このサーミスタ27で測定された温度を参照しながらペルチェ素子6をフィードバック制御するようになっており、水晶振動子3を所望する一定の温度に制御することが可能とされている。但し、サーミスタ27の位置は、ベース部2a上に限定されるものではなく、水晶振動子3の温度を測定することができる位置であれば自由に設計して構わない。
【0044】
発振回路4は、水晶振動子3を発振させるための回路であって、複数の図示しない電気素子から構成されており、発振基板5内に組み込まれている。そして、この発振回路4は、水晶振動子3の両面に形成されたリード電極を介して一対の電極20、21に電気接続されている。
発振基板5は、セル2の外部に配設された位置にて金属板30により固定されている。より詳細に説明すると、発振基板5の両面には絶縁性の熱伝導性部材31が配設されている。そして、発振基板5は、これら熱伝導性部材31を介して金属板30によって両面側から挟持された状態で固定されている。つまり、発振基板5は、熱伝導性部材31及び金属板30によって周囲が囲まれた状態で安定に支持されている。
なお、熱伝導性部材31としては、例えば熱伝導性に優れたシリコーン樹脂、シリコーンゲルをマトリクスとしたシリコーン樹脂、アクリル樹脂、銅の層を含む積層樹脂である。また、金属板30としては、例えばアルミニウム板である。
【0045】
そして、発振基板5の下方に位置する金属板30の下面には、上記ペルチェ素子8の一方の面が接着等により固定されている。また、ペルチェ素子8の他方の面(一方の面の反対側の面)には、ファン32が取り付けられたヒートシンク33が固定されている。
このペルチェ素子8は、上記温度制御部9に接続されており、該温度制御部9から流れる電流量や極性の反転等によって、一方の面が発熱或いは吸熱するようになっている。また、その際の発熱量及び吸熱量も制御されている。これにより、ペルチェ素子8は、熱伝導性部材31及び金属板30を介して発振回路4を含む発振基板5全体を適宜加熱冷却することができるようになっている。
特に、ペルチェ素子8の他方の面には、ファン32が取り付けられたヒートシンク33が固定されているので、吸熱した熱を効率良く熱交換することができる。
【0046】
なお、発振基板5には、発振回路4の温度を測定するサーミスタ34が設けられている。温度制御部9は、このサーミスタ34で測定された温度を参照しながらペルチェ素子8をフィードバック制御するようになっており、発振回路4を所望する一定の温度に制御することが可能とされている。但し、サーミスタ34の位置は、発振基板5に限定されるものではなく、発振回路4の温度を測定することができる位置であれば自由に設計して構わない。
また、発振基板5を固定している一対の金属板30は、ケース35内に収容されており、外部との接触が防止されている。
【0047】
次に、このように構成されたマイクロセンシング装置1によって、サンプル液Wの粘度を測定する場合について説明する。
はじめに、供給チューブ13及び供給路11を通じて基準溶液(例えば、水や生理食塩水等の緩衝液)を供給し、セル2の反応槽10内に導入する。また、これと同時に発振回路4により検出電極20と対向電極21との間に電圧を印加させ、水晶振動子3を共振させる。そして、このときの共振点における共振抵抗値、即ち基準抵抗値を測定しておく。
【0048】
次に、排出チューブ14及び排出路12を通じて反応槽10内の基準溶液を排出した後、再度供給チューブ13及び供給路11を通じてサンプル液Wを供給して反応槽10内に導入する。また、これと同時に再び水晶振動子3を共振させる。このとき水晶振動子3は、サンプル液Wから粘度に応じた抵抗を受けるので共振抵抗が変化する。そして、ここで測定した共振抵抗値と、先ほど測定した基準抵抗値とを比較した測定データを取得する。続いて、異なる複数の基準溶液について同様の測定を行い、それぞれの基準溶液に対する測定データを取得する。そして、これら複数の測定データの検量線に基づいて、測定したいサンプル液Wの粘度を測定することができる。
【0049】
ところで、上述した測定を行う際、温度制御部7によって温度制御されたペルチェ素子6を利用して水晶振動子3を適宜加熱冷却できるので、水晶振動子3の温度と反応槽10内のサンプル液Wの温度とを一定温度に調整することが可能である。従って、温度変化に起因して水晶振動子3の共振抵抗値が変化してしまうことを抑制することができる。よって、高精度な測定を行うことができる。
【0050】
また、発振回路4に関しても水晶振動子3と同様に、温度制御部9によって温度制御されたペルチェ素子8を利用して適宜加熱冷却できるので、発振回路4の温度を一定温度に調整することができる。しかも、水晶振動子3とは別個に温度制御できるので、水晶振動子3の温度に左右されずに発振回路4の温度を所望する温度に調整することができる。従って、従来のように発振回路4を構成する電気素子が高温になり過ぎてしまうことを抑制することができる。よって、故障等の不具合を招くことなく測定を行うことができ、信頼性の高い装置とすることができる。
【0051】
更に、従来のような大きな金属塊を温度制御する場合とは異なり、水晶振動子3及び発振回路4を局所的に温度制御すれば良いので、2つのペルチェ素子6、8の小型化を容易に図ることができる。そのため、それらを温度制御する2つの温度制御部7、9に関しても小型化を図り易い。従って、装置全体のサイズの小型化を図ることができる。
また、小型化された2つのペルチェ素子6、8を温度制御すれば良いので、従来に比べて省電力化を図ることもできる。しかも、水晶振動子3及び発振回路4の発熱量がそれぞれ異なっていたとしても、両者を別々に温度制御できるので、それぞれに合った最適な温度勾配で効率良く温度制御することができる。従って、この点においても省電力化を図ることができる。
【0052】
更に、水晶振動子3と発振回路4とを別々に制御できるので、例えば、水晶振動子3を±0.03℃の誤差精度で高精度に温度制御し、それとは逆に発振回路4を±0.1℃という若干低い誤差精度で温度制御するといった、加熱冷却性能に差をつけることも可能である。従って、高精度に温度制御する領域を絞ることができ、コスト高になることを抑えることができる。よって、低コスト化に繋げることもできる。
加えて、水晶振動子3と発振回路4とを別々に温度制御できるので、セル2の温度を変化させた場合も、発振回路4の温度を一定にすることができ、発振回路4の温度特性の影響を受けることなく、正確に温度特性の評価を行うことができる。
【0053】
上述したように、本実施形態のマイクロセンシング装置1によれば、発振回路4を構成する電気素子の不具合を招くことなく水晶振動子3を使用して高精度な測定を行うことができると共に、小型化、省電力化及び低コスト化を図ることができる。
更に、本実施形態では、発振回路4を有する発振基板5が熱伝導性部材31及び金属板30によって囲まれているので、放熱性能及び冷却性能に非常に優れている。従って、発振回路4を速やかに温度変化させることができ、短時間で効率良く所望の温度に調整することができるうえ、さらなる省電力化を図り易い。
特に、金属板30にペルチェ素子8が固定されているので、金属板30及び熱伝導性部材31を介して熱を無駄に放熱することなく伝えることができる。この点においても、上述した作用効果を顕著なものにすることができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、測定対象物をサンプル液Wとし、このサンプル液Wの粘度を測定する場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、測定対象物を特定物質(例えば、抗体や蛋白質等)とし、この特定物質の特性を分析することも可能である。この場合について、簡単に説明する。
【0055】
まず、検出電極20を含む水晶振動子3の表面に、特定物質(アナライト等と呼ばれる)が吸着反応して結合するリガンド等と呼ばれる固定物質を予め所定量固定しておく。その後、供給チューブ13及び供給路11を通じて特定物質を含む溶液を供給してセル2の反応槽10内に導入する。また、これと同時に発振回路4により検出電極20と対向電極21との間に電圧を印加させ、水晶振動子3を共振させる。
【0056】
すると、特定物質が固定物質に吸着して結合するので、水晶振動子3の表面付近に微小な質量変化が生じる。これにより、水晶振動子3の共振周波数が変化する。つまり、微小な質量変化を共振周波数変化として測定することができる。
続いて、上記測定を、複数の濃度の特定物質を含む溶液についてそれぞれ行う。そして、それらの測定結果から、固定物質に吸着する吸着定数を算出することができる。
【0057】
また、上記測定が終了した後、洗浄機能や緩衝機能(脱離機能)を有する緩衝液を反応槽10内に導入すると、固定物質に結合していた特定物質が脱離する。このときにも水晶振動子3の表面付近にやはり微小な質量変化が生じるので、水晶振動子3の共振周波数が変化する。従って、上述した場合と同様に、固定物質から脱離する脱離定数を算出することができる。
このように、固定物質に対する特定物質の吸着脱離定数を得ることができ、特定物質の特性を分析することができる。
【0058】
特に、この手法は、DNAのハイブリダイゼーション反応や、蛋白質の結合反応や、酵素の結合反応等、様々な生化学反応に応用することができ、これらの反応を容易且つ正確に把握することができる。従って、新薬開発や生化学分野やバイオテクノロジー分野等に応用することができる。
本実施形態のマイクロセンシング装置1によれば、このような分析を行う場合であっても、水晶振動子3と発振回路4とを別々に温度制御できるので高精度な分析を行うことができる。
【0059】
また、上記実施形態において、発振回路4の温度が室温下での作動時に達する平均使用温度となるように、具体的には室温よりも+5℃以上+30℃未満の範囲内の温度となるように、温度制御部9がペルチェ素子8を温度制御するように設定しても構わない。
なお、室温とは、一般的な実験や測定を行う際に適した室内温度であって、年間の平均的な室内温度(略25℃前後)である。通常、測定対象物の測定や分析を行う場合には、室温下で行うことが考えられる。そして、このような室温下で発振回路4を作動させた場合には、その温度は電気素子の自己発熱等により通常室温よりも高い温度に自然に達し、落ち着いた状態となる。
【0060】
従って、上述した温度範囲内になるように発振回路4を温度制御することで、自然な状態に近い形にすることができ、過大な加熱冷却を行うことなく発振回路4を一定温度に制御することができる。よって、さらなる省電力化を図ることができる。
仮に、発振回路4の温度が室温よりも30℃を超えて高くなってしまった場合には、発振回路4を構成する電気素子の不具合を招き易く、寿命の低下を引き起こしたり、装置全体のエネルギー消費の増大化を招き易くなったりしてしまう。
なお、発振回路4の温度が室温よりも+5℃以上+30℃未満の範囲内の温度となるように温度制御するが、室温よりも+10℃〜+15℃の範囲に温度制御することが、より好ましい。
【0061】
なお、上述した場合は、実際に測定や分析を行う使用環境温度に関係なく、予め事前に設定した温度になるように発振回路4を温度制御するものであるが、実際の使用環境温度に応じて発振回路4の温度を一定温度に制御しても構わない。
即ち、装置の起動時以降、発振回路4の温度が使用環境温度よりも所定値高い温度となるように、ペルチェ素子8を使用環境温度の変化に追従して温度制御すると共に、測定開始の入力がされた後、入力時に達していた温度を維持するようにペルチェ素子8を温度制御するように設定しても構わない。
【0062】
この場合には、電源投入して装置を起動させると、温度制御部9が、発振回路4の温度が使用環境温度よりも所定値高い温度となるようにペルチェ素子8を温度制御する。この際、温度制御部9は、起動後に空調等によって使用環境温度が変化した場合には、この温度変化に追従してペルチェ素子8を温度制御する。そのため、発振回路4の温度は、使用環境温度よりも所定値高い温度に維持される。そして、使用環境温度が最適な温度に達して測定開始の入力がされると、温度制御部9は、これ以降、入力時に達していた温度を維持するようにペルチェ素子8を温度制御する。例えば、所定値が15℃の場合、使用環境温度が25℃(最適な温度)に達して測定開始の入力がされると、このとき達していた40℃に発振回路4の温度が維持されるように温度制御を行う。
【0063】
通常、発振回路4を作動させた場合、その温度は電気素子の自己発熱等により使用環境温度よりも高い温度に自然に達し、落ち着いた状態となる。従って、測定や分析中、使用環境温度よりも高い温度を維持するように発振回路4を温度制御することで、自然な状態に近い形にすることができ、過大な加熱冷却を行うことなく発振回路4を一定温度に制御することができる。よって、さらなる省電力化を図り易い。
また、起動時以降、発振回路4の温度が使用環境温度よりも所定値高い温度となるように、使用環境温度の変化に追従して温度制御しているので、測定開始の入力をした後、タイムラグを発生させることなく直ちに測定対象物の測定や分析を行える。従って、非常に使い易く、利便性に優れた装置することができる。
【0064】
更に、上述した場合において、起動時に使用環境温度が予め決められた規定値以上の温度に達していた場合には、温度制御を中止することが好ましい。
このように設定することで、起動時に使用環境温度が予め決められた規定値以上の温度に達していた場合、例えば、夏場の室内等、使用環境温度が高温(40℃〜50℃)に達していた場合には、ペルチェ素子8の温度制御を中止することができる。
従って、発振回路4の温度が40℃〜50℃よりも所定値高い温度となってしまうことを防止することができ、このことに起因して不具合が生じてしまうことを防止することができる。
【0065】
更に、上記の場合において、使用環境温度が規定値よりも低下した後に、ペルチェ素子8の温度制御を開始するようにすることがより好ましい。
このように設定することで、ペルチェ素子8の温度制御を中止した後、空調等により使用環境温度が規定値よりも低下した場合に、温度制御部9がペルチェ素子8の温度制御を開始する。これにより、発振回路4をより安全に作動させることができ、信頼性を向上することができる。
【0066】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態では、ペルチェ素子を利用して水晶振動子及び発振回路をそれぞれ加熱冷却した構成としたが、ペルチェ素子に限定されるものではない。少なくとも、水晶振動子及び発振回路をそれぞれ加熱冷却できれば、加熱冷却部として採用することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、フロー型のセルを例に挙げて説明したが、反応槽が設けられたセルであればフロー型でなくても構わない。
例えば、図2に示すように、反応槽10の上部が開放され、測定対象物を上方から滴下等によって反応槽10内に導入するウェル型のセル40であっても構わない。この場合であっても同様の作用効果を奏することができる。
但し、フロー型のセルを利用した場合には、反応槽10内に速やかに測定対象物を導入したり、反応槽10内から速やかに測定対象物を排出したりすることができるので、効率良く測定、分析を行えるのでより好ましい。
【0069】
また、上記実施形態では、一方の電極である検出電極20のみが測定対象物に接触するように構成した場合を例に挙げて説明したが、例えば、測定対象物がガス等の絶縁性物質の場合には、両方の電極(検出電極20、対向電極21)が測定対象物に接触するように構成しても構わない。この点は、測定対象物に応じて適宜変更すれば良い。
【符号の説明】
【0070】
W…サンプル液(測定対象物)
1…マイクロセンシング装置
2…セル
3…水晶振動子
4…発振回路
5…発振基板
6…ペルチェ素子(第1の加熱冷却部)
7…温度制御部(第1の温度制御部)
8…ペルチェ素子(第2の加熱冷却部)
9…温度制御部(第2の温度制御部)
10…反応槽
20、21…電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物が導入される反応槽を有するセルと、
両面に電圧が印加される一対の電極が形成され、少なくとも一方の電極が前記反応槽に導入された前記測定対象物に接するように前記セルに配設された水晶振動子と、
前記水晶振動子を共振させる発振回路を有する発振基板と、
前記水晶振動子を加熱冷却する第1の加熱冷却部と、
前記発振回路を加熱冷却する第2の加熱冷却部と、
前記第1の加熱冷却部を温度制御する第1の温度制御部と、
前記第2の加熱冷却部を温度制御する第2の温度制御部と、を備えていることを特徴とするマイクロセンシング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロセンシング装置において、
前記第1の加熱冷却部は、前記水晶振動子と同時に前記セルを加熱冷却することを特徴とするマイクロセンシング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマイクロセンシング装置において、
前記第2の温度制御部は、前記発振回路の温度が室温よりも+5℃以上+30℃未満の範囲内の温度となるように、前記第2の加熱冷却部を温度制御することを特徴とするマイクロセンシング装置。
【請求項4】
請求項1に記載のマイクロセンシング装置において、
前記第2の温度制御部は、起動時以降、前記発振回路の温度が使用環境温度よりも所定値高い温度となるように、前記第2の加熱冷却部を使用環境温度の変化に追従して温度制御すると共に、測定開始の入力がされた後、入力時に達していた温度を維持するように第2の加熱冷却部を温度制御することを特徴とするマイクロセンシング装置。
【請求項5】
請求項4に記載のマイクロセンシング装置において、
前記第2の温度制御部は、起動時に前記使用環境温度が予め決められた規定値以上の温度に達していた場合には、温度制御を中止することを特徴とするマイクロセンシング装置。
【請求項6】
請求項5に記載のマイクロセンシング装置において、
前記第2の温度制御部は、前記使用環境温度が前記規定値よりも低下した後に、前記第2の加熱冷却部の温度制御を開始することを特徴とするマイクロセンシング装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロセンシング装置において、
前記発振基板の両面に配設された絶縁性の熱伝導性部材と、
該熱伝導性部材を介して前記発振基板を両面から挟持して固定する金属板と、を備え、
前記第2の加熱冷却部は、前記金属板に固定されていることを特徴とするマイクロセンシング装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−64599(P2011−64599A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216242(P2009−216242)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(710002462)セイコー・イージーアンドジー株式会社 (7)