説明

マイクロホンケース及びその製造方法

【課題】マイクロホンユニットを収容するマイクロホンケースにおいて、マイクボディとヘッドケースとの接触面積を確保することによって、充分な電気的導通を得ることができ、ノイズに対するシールド効果、及び機械的強度を向上する。
【解決手段】上部開口部を有する金属筐体2と、前記金属筐体の上部開口部に連結された金網からなるヘッドケース3とを具備し、前記金属筐体において、その上部開口部の内周面に沿って配置された環状体7を有し、前記ヘッドケースの下端部は、前記環状体と、前記金属筐体の上部開口部の内周面との間に形成された所定深さの環状溝8に嵌合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンユニットを収音可能に収容するマイクロホンケース、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スタンド型のマイクロホンにあっては、収音を行うためのマイクロホンユニットが図14に示すようなマイクロホンケース50に収容されている。従来、このマイクロホンケース50は、金属製(例えば真鍮)の筐体であるマイクボディ51と、このマイクボディの上部開口部に連結された保護ネットとしてのヘッドケース52によって構成されている。
前記ヘッドケース52は、通常、金網で構成されている。より具体的には、通常外側が、強度を確保するために太い金属線で目が粗く編まれ、内側が、細い金属線等で目が細かく編まれ、塵埃等が内部に侵入しないようになされている。
【0003】
図15は、図14のE−E矢視断面図である。図15に示すように、金網からなるヘッドケース52は、左右対称型に形成された一対のパーツ52a、52bからなり、それらを一体に合わせた状態で、その継ぎ目上に金属製のバンド55が被せられている。尚、バンド55の内面には、例えばクリームハンダが塗布され、その後の加熱処理により一対のパーツ52a、52bがハンダ接合されている。
【0004】
また、ヘッドケース52の下端部52c(下部開口部)はマイクボディ51の上部開口部51aに嵌め込まれている。そして、その連結部60においては、ヘッドケース52とマイクボディ51とがハンダ接合されている。
尚、このようなマイクロホンユニットの構成例については、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−77391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金網からなるヘッドケース52の表面は、編み目による凹凸があり、連結部60においては、ヘッドケース下端部52cの外周面と、マイクボディ上部開口部51aの内周面との接触が点接触となっていた。このため、接触面積が少なく、ハンダ接合しても、機械的強度だけでなく電気的導通が不十分であるという課題があった。
【0007】
即ち、マイクボディ51とヘッドケース52との電気的導通が不十分であると、外部からの電磁波に起因するノイズを防止するためのシールド効果が低く、マイクユニットの性能低下に繋がる虞があった。
また、マイクボディ51とヘッドケース52との連結部60において、それらの接点の位置、及び数が特定できないため、マイク性能に個体差が生じるという課題があった。
【0008】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、マイクロホンユニットを収容するマイクロホンケースにおいて、マイクボディとヘッドケースとの接触面積を確保することによって、充分な電気的導通を得ることができ、ノイズに対するシールド効果、及び機械的強度を向上することのできるマイクロホンケース及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するために、本発明に係るマイクロホンケースは、収音を行うマイクロホンユニットを収容するマイクロホンケースであって、上部開口部を有する金属筐体と、前記金属筐体の上部開口部に連結された金網からなるヘッドケースとを具備し、前記金属筐体において、その上部開口部の内周面に沿って配置された環状体を有し、前記ヘッドケースの下端部は、前記環状体と、前記金属筐体の上部開口部の内周面との間に形成された所定深さの環状溝に嵌合していることに特徴を有する。
尚、前記ヘッドケースの下端部は、前記環状体が拡径されることにより、前記環状溝に嵌合していることが望ましい。
また、前記環状溝に嵌合する前記ヘッドケースの下端部は、前記環状溝において、前記環状体の外周面と、前記金属筐体の上部開口部の内周面とに対し、ハンダ接合されていることが望ましい。
また、前記環状体は、前記金属筐体と一体、若しくは別体に形成されていてもよい。
【0010】
このようにマイクロホンケースを構成することにより、前記環状溝において、ヘッドケースの下端部は、その内周面と外周面とがそれぞれ金属筐体に嵌合した状態で接するため、接触面積が広く安定する。その結果、外部からの電磁波ノイズ等に対する高いシールド効果を奏するための充分な電気的導通が得られると共に、ヘッドホンケースの機械的強度を向上することができる。
更には、ヘッドケース下端部が、環状溝内において金属筐体に対しハンダ接合されることにより、ヘッドケースと金属筐体との接合強度、及び導通面積を格段に向上することができ、マイク性能の個体差をより抑えることができる。
【0011】
また、前記環状体の外周面には複数の突起が形成され、前記複数の突起が前記ヘッドケース下端部の編み目に嵌合していることが望ましい。
このように構成することによって、ヘッドケースと金属筐体との接合強度を、より向上することができる。
【0012】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係るマイクロホンケースの製造方法は、上部開口部及び下部開口部を有する円筒状の金属筐体と、前記金属筐体の上部開口部に連結された金網からなるヘッドケースとを具備し、収音を行うマイクロホンユニットを収容するマイクロホンケースの製造方法であって、前記金属筐体の上部開口部の内周に沿った所定高さの環状体を設ける工程と、上部に向かって徐々に拡径する拡径部を有し、少なくとも前記拡径部の最大径が前記環状体の内径よりも大きい円柱状の治具を、その下部側から前記金属筐体の上部開口部に挿入し、前記拡径部を前記金属筐体の環状体の上方に配置する工程と、前記環状体と前記金属筐体の上部開口部の内周面との間に形成された所定深さの環状溝に、前記ヘッドケースの下部を差し込む工程と、前記治具を前記金属筐体の下部開口部から引き抜く工程とを含むことに特徴を有する。
尚、前記環状体と前記金属筐体の上部開口部の内周面との間に形成された所定深さの環状溝に、前記ヘッドケースの下部を差し込む工程の前に、前記環状溝にクリームハンダを埋め込む工程と、前記治具を前記金属筐体の下部開口部から引き抜く工程の後に、前記クリームハンダが溶融可能な温度に加熱する工程とを含むことが望ましい。
また、前記金属筐体の上部開口部の内周に沿った所定高さの環状体を設ける工程において、前記環状体は、前記金属筐体と一体、若しくは別体に形成して設けることが望ましい。
【0013】
このような工程により、前記治具を前記金属筐体の下部開口部から引き抜く際、環状体7を治具の拡径部で押し拡げ、ヘッドケース下端部が環状溝に挟み込まれて嵌合される。
これにより、前記環状溝において、ヘッドケースの下端部は、その内周面と外周面とがそれぞれ金属筐体に嵌合した状態で接するため、接触面積が広く安定する。その結果、外部からの電磁波ノイズ等に対する高いシールド効果を奏するための充分な電気的導通が得られると共に、ヘッドホンケースの機械的強度を向上することができる。
更には、ヘッドケース下端部が、環状溝内において金属筐体に対しハンダ接合されることにより、ヘッドケースと金属筐体との接合強度、及び導通面積を格段に向上することができ、マイク性能の個体差をより抑えることができる。
【0014】
また、前記治具の拡径部の外周面には、周方向に沿って複数の突起が形成され、前記治具を前記金属筐体の下部開口部から引き抜く工程において、前記複数の突起によって前記環状体の押し拡げられた部位を、前記ヘッドケース下部の編み目に嵌合させることが望ましい。また、或いは、前記環状体の外周面には、周方向に沿って複数の突起が形成され、前記治具を前記金属筐体の下部開口部から引き抜く工程において、前記拡径部によって前記環状体を押し拡げ、前記複数の突起を前記ヘッドケース下部の編み目に嵌合させるようにしてもよい。
このような工程により、ヘッドケースと金属筐体との接合強度を、より向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、マイクロホンユニットを収容するマイクロホンケースにおいて、マイクボディとヘッドケースとの接触面積を確保することによって、充分な電気的導通を得ることができ、ノイズに対するシールド効果、及び機械的強度を向上することのできるマイクロホンケース及びその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に係るマイクロホンケースの斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1のマイクロホンケースのA−A矢視断面図、図2(b)は、図1のマイクロホンケースのB−B矢視断面図である。
【図3】図3は、図1のマイクロホンケースが備えるヘッドケースの構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1のマイクロホンケースが備えるマイクボディの斜視図である。
【図5】図5(a)は、図4のC−C矢視断面図、図5(b)は、図4のD−D矢視断面図である。
【図6】図6は、本発明に係るマイクロホンケースの製造方法の流れを示すフロー図である。
【図7】図7は、本発明に係るマイクロホンケースの製造方法を説明するための図であって、マイクボディに治具を挿入した状態を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明に係るマイクロホンケースの製造方法を説明するための図であって、マイクボディにヘッドケースを差し込む状態を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明に係るマイクロホンケースの製造方法を説明するための図であって、マイクボディにヘッドケースを差し込んだ状態を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明に係るマイクロホンケースの製造方法を説明するための図であって、マイクボディの下部開口から治具を引き抜く状態を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明に係る他の実施形態を示す図であって、図11(a)は治具の断面図、図11(b)は治具の平面図である。
【図12】図12は、本発明に係る他の実施形態を示すマイクボディの断面図である。
【図13】図13(a)、(b)は、本発明に係る他の実施形態を示すマイクボディ及び環状体の断面図である。
【図14】図14は、従来のマイクケースの全体を示す正面図である。
【図15】図15は、従来のマイクケースにおけるマイクボディとヘッドケースとの連結部を示す図14のE−E矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明に係るマイクロホンケースの斜視図、図2(a)は図1のA−A矢視断面図、図2(b)は図1のB−B矢視断面図である。
図1に示すマイクロホンケース1は、受音部により収音を行うマイクロホンユニット(図示せず)を収容するためのケースである。
このマイクロホンケース1は、金属製(例えば真鍮)のマイクボディ(金属筐体)2と、図2に示すようにマイクボディ2の上部に連結された保護ネットとしてのヘッドケース3を備える。また、ヘッドケース3の上には金属製(例えば真鍮)のバンド6が被せられ、機械的強度が確保されている。このバンド6の下端はマイクボディ2に接合されている。
【0018】
ヘッドケース3は、2層構造の金網で構成される。即ち、図1に示すように、外側は、太い金属線で目が粗く編まれた金網4で形成され、高い強度を有している。また、図1に一部破断で示す内側は、目を細かく編んだ薄い金網5で形成され、塵埃等がケース内に侵入しないようになされている。
尚、このヘッドケース3は、図3に示すように、2つの左右対称型のパーツ3a,3bが合わされて構成されており、それらの合わせ目を覆うようにバンド6が被せられている。
【0019】
また、マイクボディ2は、図4(斜視図)、及び図5(a)(図3のC−C矢視断面図)、図5(b)(図3のD−D矢視断面図)に示すように、円筒状に形成され、上部開口部2a、及び下部開口部2bを有している。
このマイクボディ2には、その上部開口部2aの内周面に沿って、所定の高さ、厚みを有する環状体7が設けられている。図5(a)、図5(b)に示すように、環状体7は、マイクボディ2本体の内周面にその下端から一体に形成されている。また、環状体7の内周面には、周方向に沿って断面テーパ状(山なり)の環状突起7aが形成されている。
【0020】
また、この環状体7とマイクボディ2の上部開口部2aの内周面との間には、ヘッドケース3の下部開口と径が略一致する所定深さの環状溝8が形成されている。この環状溝8は、マイクボディ2とヘッドケース3との連結部となる。
また、前記のようにバンド6の下端部6aはマイクボディ2に接合されるが、図4、図5(b)に示すように、環状溝8には、バンド下端部6aの形状に合わせた嵌合部9が形成されている。
【0021】
図2(a)、(b)に示すように、ヘッドケース3の下端部3cは、マイクボディ2に形成された前記環状溝8に嵌合している。また、バンド6の下端部6aは環状溝8に形成された嵌合部9に嵌合している。
更に、環状溝8内においてヘッドケース下端部3cは、マイクボディ2に対しハンダ接合され、嵌合部9においてバンド下端部6aは、マイクボディ2に対しハンダ接合されている。
【0022】
即ち、前記環状溝8内において、ヘッドケース3の下端部3cは、その内周面と外周面とがそれぞれマイクボディ2に嵌合した状態で接し、更にハンダ接合されているため、接触面積(導通面積)が広く安定している。
その結果、マイクケース1は、高い機械的強度を有するだけでなく、マイクボディ2とヘッドケース3との電気的導通が充分に確保され、外部からの電磁波ノイズ等に対する高いシールド効果を奏することができる。
【0023】
続いて、本発明に係るマイクロホンケース1の製造方法について、図3乃至図8に基づき説明する。
先ず、図3に示したように2つの左右対称型のパーツ3a,3bを相対向させ、双方の側端部を合わせることによりヘッドケース3を構成する(図6のステップS1)。
また、パーツ3a、3bの合わせ目を覆うようにバンド6を被せる(図6のステップS2)。尚、これらステップS1、S2において、パーツ3a、3bの側端部、及びバンド6の内側(即ちバンド6とヘッドケース3との接触面)には、クリームハンダを塗布しておく。
【0024】
また、図7に断面図で示すように、上部に向かって断面テーパ状に徐々に拡径し、上端に拡径部20aを有する円柱状の治具20を用意する。そして、この治具20を、その下部側からマイクボディ2の上部開口部2aに挿入し、図8に示すように拡径部20aがマイクボディ2の環状体7の上方に位置する状態とする(図6のステップS3)。
尚、前記したようにマイクボディ2の環状体7の内周面には、周方向に沿って断面テーパ状の環状突起7aが形成されており、少なくとも前記治具20の拡径部20aの最大径は、前記環状体7の最小径(縁部)よりも大きく最大径(環状突起7a)よりも小さく形成されている。
【0025】
また、図8に示すように環状溝8(及び嵌合部9)にクリームハンダ30を埋め込み(図6のステップS4)、図9に示すようにヘッドケース3の下端部3cを環状溝8に差し込むと共に、バンド6の下端部6aを嵌合部9に差し込む(図6のステップS5)。
そして、図10に示すように治具20をマイクボディ2の下部開口部2b側から下方に引き抜き、ヘッドケース下端部3cを環状溝8に嵌合させ、マイクボディ2とヘッドケース3とを連結する(図6のステップS6)。
【0026】
即ち、このステップS6において、治具20の拡径部20aが環状体7の内周面に沿って下方に移動すると、拡径部20aが環状体7を押し拡げ拡径させる。ここで、環状体7の内周面には環状突起7aが形成されているため、治具20の拡径部20aが前記環状突起7aを通過する際に、環状体7が最も押し拡げられる。
これにより環状体7の外周面がヘッドケース下端部3cの内周面(金網5)に強く押圧されると共に、ヘッドケース下端部3cの外周面(金網4)がマイクボディ2の上部開口部2aの内周面に強く押圧される。
その結果、ヘッドケース下端部3cの内周面(金網5)に、環状体7の外周面が塑型変形して食い込み、ヘッドケース3下端部3cが環状溝8に嵌合した状態となり、ヘッドケース3とマイクボディ2との接触面積が広く安定する。
【0027】
次いで、前記のように連結されたマイクボディ2とヘッドケース3とを所定温度(クリームハンダが溶融可能な温度)で所定時間加熱し、クリームハンダ30を溶融後、冷却する(図6のステップS7)。
これにより、環状溝8内でマイクボディ2とヘッドケース3とがハンダ接合され、導通面積が大きくなって、外部からの電磁波ノイズ等に対する高いシールド効果を奏するための電気的導通が確実に確保され、機械的強度の高いマイクロホンケース1が得られる。
【0028】
以上のように本実施の形態によれば、ヘッドホンケース1の製造の際、マイクボディ2の環状溝8にヘッドケース下端部3cを差し込んだ状態から、環状体7を治具20で押し拡げることにより、ヘッドケース下端部3cが環状溝8に挟み込まれて嵌合される。
即ち、前記環状溝8において、ヘッドケース3の下端部3cは、その内周面と外周面とがそれぞれマイクボディ2に嵌合した状態で接するため、接触面積が広く安定する。その結果、外部からの電磁波ノイズ等に対する高いシールド効果を奏するための充分な電気的導通が得られると共に、ヘッドホンケース1の機械的強度を向上することができる。
更には、ヘッドケース下端部3cが、環状溝8内においてマイクボディ2に対しハンダ接合されるため、ヘッドケース3とマイクボディ2との接合強度、及び導通面積を格段に向上することができ、マイク性能の個体差をより抑えることができる。
【0029】
尚、前記実施の形態においては、治具20が単に断面テーパ状に拡径する拡径部20aを有する構成を示したが、それに限定されず、例えば図11(a)(断面図)、及び図11(b)(平面図)のように形成された治具20を用いてもよい。
即ち、治具20の拡径部20aの外周面に、周方向に沿って複数の突起20bが形成されていてもよい。その場合、環状体7は塑型変形しやすいように肉薄に形成されていることが好ましい。
そのような治具20を用いることにより、治具20をマイクボディ2の下部開口2b側から下方に引き抜く際、前記複数の突起20bによって環状体7の複数部位が突起状に押し拡げられ、それらがヘッドケース3の編み目に嵌合し、より確実にマイクボディ2とヘッドケース3とを連結することができる。
【0030】
或いは、前記実施形態のように治具20の拡径部20aに突起20bが形成されていない場合、図12に示すように環状体7の外周面に周方向に沿って複数の突起7bが形成されていてもよい。
そのように複数の突起7bを設けることにより、治具20をマイクボディ2の下部開口2b側から下方に引き抜く際、環状体7が拡径部20aにより押し拡げられて拡径すると、前記複数の突起7bがヘッドケース3の編み目に嵌合し、より確実にマイクボディ2とヘッドケース3とを連結することができる。
【0031】
また、前記実施形態においては、環状体7はマイクボディ2に一体形成されているものとしたが、本発明にあっては、それに限定されず、図13に示すように環状体7とマイクボディ2とは別体のものであってもよい。尚、図13(b)は環状体7の外周面に突起7bを設けた場合を示している。
また、このように環状体7とマイクボディ2とを別体とした場合、図示するようにマイクボディ2内面に、周方向に沿って鍔部2cを設け、そこに環状体7を載置することにより、環状溝8が形成される。
また、その場合、環状体7を鍔部2cに載置する際に、環状体7下面と鍔部2cとの間にクリームハンダを塗布しておくことが望ましく、その後の加熱処理(図6のステップS7)により環状体7とマイクボディ2本体とをハンダ接合し、一体化することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 マイクロホンケース
2 マイクボディ(金属筐体)
3 ヘッドケース
4 金網
5 金網
6 バンド
7 環状体
8 環状溝
20 治具
20a 拡径部
30 クリームハンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収音を行うマイクロホンユニットを収容するマイクロホンケースであって、
上部開口を有する金属筐体と、前記金属筐体の上部開口部に連結された金網からなるヘッドケースとを具備し、
前記金属筐体において、その上部開口部の内周面に沿って配置された環状体を有し、
前記ヘッドケースの下端部は、前記環状体と、前記金属筐体の上部開口部の内周面との間に形成された所定深さの環状溝に嵌合していることを特徴とするマイクロホンケース。
【請求項2】
前記ヘッドケースの下端部は、前記環状体が拡径されることにより、前記環状溝に嵌合していることを特徴とする請求項1に記載されたマイクロホンケース。
【請求項3】
前記環状溝に嵌合する前記ヘッドケースの下端部は、
前記環状溝において、前記環状体の外周面と、前記金属筐体の上部開口部の内周面とに対し、ハンダ接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたマイクロホンケース。
【請求項4】
前記環状体の外周面には複数の突起が形成され、前記複数の突起が前記ヘッドケース下端部の編み目に嵌合していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたマイクロホンケース。
【請求項5】
前記環状体は、前記金属筐体と一体、若しくは別体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたマイクロホンケース。
【請求項6】
上部開口部及び下部開口部を有する円筒状の金属筐体と、前記金属筐体の上部開口部に連結された金網からなるヘッドケースとを具備し、収音を行うマイクロホンユニットを収容するマイクロホンケースの製造方法であって、
前記金属筐体の上部開口部の内周に沿った所定高さの環状体を設ける工程と、
上部に向かって徐々に拡径する拡径部を有し、少なくとも前記拡径部の最大径が前記環状体の内径よりも大きい円柱状の治具を、その下部側から前記金属筐体の上部開口部に挿入し、前記拡径部を前記金属筐体の環状体の上方に配置する工程と、
前記環状体と前記金属筐体の上部開口部の内周面との間に形成された所定深さの環状溝に、前記ヘッドケースの下部を差し込む工程と、
前記治具を前記金属筐体の下部開口部から引き抜く工程とを含むことを特徴とするマイクロホンケースの製造方法。
【請求項7】
前記環状体と前記金属筐体の上部開口部の内周面との間に形成された所定深さの環状溝に、前記ヘッドケースの下部を差し込む工程の前に、
前記環状溝にクリームハンダを埋め込む工程と、
前記治具を前記金属筐体の下部開口部から引き抜く工程の後に、
前記クリームハンダが溶融可能な温度に加熱する工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載されたマイクロホンケースの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−193313(P2011−193313A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58794(P2010−58794)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000128566)株式会社オーディオテクニカ (787)
【Fターム(参考)】