マイクロレンズアレイ、マイクロレンズアレイユニット及び画像読取装置
【課題】安価でかつ画像品位の高いマイクロレンズアレイ、マイクロレンズアレイユニット及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】複数の穴13を有し、遮光部材として機能するアパーチャー11と、アパーチャー11上に積層された透明部材として機能する複数のマイクロレンズ12とを備えたマイクロレンズアレイであって、アパーチャー11が有する複数の穴13に対して、それぞれ複数のマイクロレンズ12が覆うように積層されている。また、このようなマイクロレンズアレイを相互に平行配置したマイクロレンズアレイユニットとして形成してもよい。
【解決手段】複数の穴13を有し、遮光部材として機能するアパーチャー11と、アパーチャー11上に積層された透明部材として機能する複数のマイクロレンズ12とを備えたマイクロレンズアレイであって、アパーチャー11が有する複数の穴13に対して、それぞれ複数のマイクロレンズ12が覆うように積層されている。また、このようなマイクロレンズアレイを相互に平行配置したマイクロレンズアレイユニットとして形成してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、安価に製造することが可能なマイクロレンズアレイ、マイクロレンズアレイユニット及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラや画像読取装置の光学系として、マイクロレンズアレイが用いられており、近年では、さらに画像品位の高いレンズとして、特殊な屈折率の分布を備えたセルフォックレンズ(登録商標)などが市販されている。一方、このように画像品位が高く、かつ安価なレンズを製造する要求が高まっていることから、代替品としてより安価に同等のレンズを作製するために、複数のマイクロレンズアレイを相互に平行配置することによって、より光線を収束させるようなマイクロレンズアレイユニットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−53927号公報
【特許文献2】特開平7−248404号公報
【特許文献3】特開2005−37891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマイクロレンズアレイ130では、透明部材内部を主走査方向に光が伝播するクロストークと呼ばれる現象が起こる場合がある。このクロストークが発生すると、一部の光が所定の方向へ収束せず、画像品位が低下する原因となる。以下、クロストークについて説明する。
【0005】
図13は、マイクロレンズアレイ130においてクロストークが起こっている状態を説明する図である。
図13に示すように、光線がマイクロレンズアレイ130を通過する際に、一部の光線がたとえばレンズ面から外れることにより、迷光131が生じることがある。この場合、迷光131はレンズの凹凸によって光が収束せず、隣接するレンズ面から通過する現象が起こってしまい、画像品位が低下するという問題点がある。
【0006】
また、2枚のマイクロレンズアレイ130を相互に平行配置した場合であっても、図14に示すように、透明部材内部で迷光141が反射し、結果的に隣のレンズ面から迷光141が通過してしまうため、画像品位が低下してしまう。
【0007】
本発明は前述の問題点に鑑み、安価でかつ画像品位の高いマイクロレンズアレイ、マイクロレンズアレイユニット及び画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマイクロレンズアレイは、複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のマイクロレンズアレイユニットは、複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されたマイクロレンズアレイが、前記複数の穴の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の画像読取装置は、被照明体からの反射光を、マイクロレンズアレイユニットを介して読み取る画像読取装置であって、前記マイクロレンズアレイユニットは、複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されたマイクロレンズアレイが、前記複数の穴の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単にかつ安価に作製することができるとともに、高い画像品位を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの全体構造例を示す平面図及びI−Iにおける断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの一例において拡大した断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの他の一例において拡大した断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイのその他の一例において拡大した断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの製造方法の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットの一例における全体構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットの他の一例における全体構造を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットのその他の一例における全体構造を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットのその他の一例における全体構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットのその他の一例における全体構造を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態において、画像読取装置としてフラットベッド方式のイメージスキャナーの外観構成例を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態において、CISユニット内の構成例を示す模式図である。
【図13】マイクロレンズアレイにおいてクロストークが起こっている状態を説明する図である。
【図14】2つのマイクロレンズアレイを相互に平行配置した場合においてクロストークが起こっている状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本実施形態に係るマイクロレンズアレイ10の構造例を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すマイクロレンズアレイ10のI−Iにおける断面図
である。
図1に示すように、マイクロレンズアレイ10は、アパーチャー11とマイクロレンズ12とから構成されている。アパーチャー11には、複数の円形の穴13が形成されている。アパーチャー11は黒色系の遮光部材として機能し、ウレア樹脂を成型して硬化されることにより製造される。このようにアパーチャー11は黒色系の遮光部材として機能するため、迷光が生じた場合であっても光を吸収し、収束される光のみが後述する図12の光電変換素子123上に結像されるようになる。また、アパーチャー11に形成されているそれぞれの穴13の上部には、凸型の球面形状あるいは非球面形状のマイクロレンズ12がそれぞれ互いに分離されて積層されている。
【0014】
図2は、図1(b)に示すマイクロレンズアレイ10の断面を示す拡大図である。
図2に示すように、マイクロレンズ12は、アパーチャー11上に凸状に形成されている。
【0015】
マイクロレンズ12の大きさ、アパーチャー11に形成されている穴13の大きさについては、以下のような条件を満たすようにする。図2に示す例は、マイクロレンズ12の頂点と、隣に位置するマイクロレンズ12の頂点との距離をマイクロレンズ12の配列ピッチPとした場合に、マイクロレンズ12の半径Rとの関係は、P>2Rという関係となる。また、アパーチャー11の穴13の半径R′とマイクロレンズ12の半径Rとの関係では、アパーチャー11にマイクロレンズ12を積層させるためにR>R′という関係となる。
【0016】
一方、アパーチャー11の穴13の半径R′とマイクロレンズ12の半径Rとの差が小さいと、マイクロレンズ12を支える面積が小さくなる。そこで、図3に示すようなマイクロレンズアレイ30のように、アパーチャー11とマイクロレンズ12との間に、マイクロレンズ12と同じ屈折率を有する透明部材としてレンズ板31を設けるようにしてもよい。レンズ板31の大きさとしては、アパーチャー11に含まれる穴13全部を覆う1枚のレンズ板31を用いてもよく、所定の周期で複数のレンズ板31を並べるように配置してもよい。レンズ板31の厚さは、マイクロレンズ12を支える板として効果が発揮されるように10μm以上であることが好ましい。また、光線の入光角度と、マイクロレンズ12の屈折率との組合せにより、レンズ板31の厚さの好ましい上限値は決まる。例えば、マイクロレンズ−マイクロレンズ間の隙間に45度で入光してくる光線を吸収させたい場合は、レンズ板31の厚さをL/2以下にすることが好ましい。
【0017】
なお、図3に示すマイクロレンズアレイ30の例は、レンズ板31にマイクロレンズ12が積層された構造であるが、マイクロレンズ12を通過する光がアパーチャー11の穴13に進むようにするために、アパーチャー11の穴13の半径R′とマイクロレンズ12の半径Rとの関係では、R>R′という関係となる。さらに、前述した理由により、アパーチャー11の幅Lとマイクロレンズ12の半径Rとの関係では、R>Lであることが好ましい。
【0018】
また、図2に示した例は、マイクロレンズ12の配列ピッチPとマイクロレンズ12の半径Rとの関係は、P>2Rという関係であったが、P≦2Rという関係であってもよい。図4に示すマイクロレンズアレイ40の例では、2つのマイクロレンズの間にアパーチャー11が露出している領域がないように連続的に繋がって積層されたマイクロレンズ41を用いている。アパーチャー11の幅Lをより小さくして、光を通過させる量をより多くしたい場合などに有効である。
【0019】
次に、図2に示したマイクロレンズアレイ10の製造方法について説明する。図5は、図2に示したマイクロレンズアレイ10の製造方法の一例を示す概略図である。
まず、図5(a)に示すように、所望の形状のアパーチャー11を作製するためにアパーチャー11用の金型51を用意し、ウレア樹脂を流し込む。このとき、遮光部材として機能するために、たとえばカーボン等を混合して黒色にして、ウレア樹脂を硬化させる。
【0020】
次に、図5(b)に示すように、マイクロレンズ12の形状となるようにマイクロレンズ12用の金型52を用意し、ウレア樹脂を流し込む。そして、図5(c)に示すように、固形のウレア樹脂が充填されたアパーチャー11用の金型51を、ウレア樹脂が充填されたマイクロレンズ12用の金型52へ張り合わせて固化させる。そして、アパーチャー11用の金型51及びマイクロレンズ12用の金型52を取り外して、図2に示すようなマイクロレンズアレイ10を作製する。また、図5に示す手順で用いられているアパーチャー11用の金型51には、凸形状の杭53が端部に設けられており、マイクロレンズ12用の金型52に設けられている凹部54に差し込むことによってアパーチャー11とマイクロレンズ12との位置合わせを容易にしている。一方、図3に示したマイクロレンズアレイ30や、図4に示したマイクロレンズアレイ40を作製する場合は、マイクロレンズ12用の金型52をこれらの形状に合わせたものにし、それ以外は前述した手順と同様である。
【0021】
以上のように本実施形態に係るマイクロレンズアレイを、金型を用いて容易に作製することができる。また、遮光部材として黒色系のアパーチャー11を用い、アパーチャー11上に透明部材であるマイクロレンズが積層された構造としているため、迷光がアパーチャー11に吸収され、収束する光のみを通過させることができるので、高い画像品位を実現することができる。
【0022】
なお、本実施形態に係るマイクロレンズアレイでは、アパーチャー11に複数の穴13が形成されているが、これらの穴13に、マイクロレンズ12と屈折率の異なる樹脂部材が充填された構造であってもよい。これにより、空気により穴13の内部で光が反射してしまうことを防止することができる。
【0023】
また、前述したマイクロレンズアレイはアパーチャー11にマイクロレンズ12が積層された1層のマイクロレンズアレイであるが、このマイクロレンズアレイを2層以上に構成するようにしてもよい。
【0024】
図6は、マイクロレンズ12が積層された面が両側(外側)に位置するようにマイクロレンズアレイ10を2層構造にしたマイクロレンズアレイユニット60の一例を示す断面図である。以下、図2〜図4に示した2つ以上のマイクロレンズアレイ10を複数の穴13の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置することにより後述する図12のCISユニット115に組み込まれるものをマイクロレンズアレイユニットと称す。
図6に示す例では、両側(外側)にマイクロレンズ12が位置するようにマイクロレンズアレイ10が平行配置されている。マイクロレンズアレイ10のアパーチャー11部分は同じアパーチャー11用の金型51を用いて作製されるため、2つのアパーチャー11の外周を横から囲むことにより、2つのマイクロレンズアレイ10の位置が調整される。このようにアパーチャー11の端を揃えることにより、アパーチャー11に形成されている穴13の位置が互いに一致する。
【0025】
図6に示すマイクロレンズアレイユニット60の場合、両面(外側)にマイクロレンズ12が取り付けられているため、イメージスキャナー等の組立て時にマイクロレンズ12の破損の虞が生じ、取り扱いにくいことがある。そこで、図7に示すように、マイクロレンズ12が互いに内側になるようなマイクロレンズアレイユニット70としてもよい。この場合、互いのマイクロレンズ12が接触しないように空間71を設ける必要がある。空間71の大きさについては、光を結像させるための距離に応じて適宜設計される。このように空間71を設ける場合も同様に、2つのアパーチャー11を横から囲むことにより、2つのマイクロレンズアレイ10の位置が調整される。また、光が収束されるような距離を保つように空間71に屈折率が異なる樹脂部材を充填させてもよい。
【0026】
この空間71が大きくなりすぎる場合には、図8に示すように、マイクロレンズが積層されていないアパーチャー11が挿入されたマイクロレンズアレイユニット80であってもよい。図7に示すマイクロレンズアレイユニット70または図8に示すマイクロレンズアレイユニット80の場合は、両面(外側)にはマイクロレンズ12がないため、組立て時のマイクロレンズ12の破損の虞を低減できる。ところが、両面(外側)にはアパーチャー11の穴13がそのまま存在しているため、この穴13にゴミなどが溜まることで解像度が低下する虞がある。そこで、この穴13に屈折率が異なる樹脂部材を充填させてもよい。これにより、穴13にゴミが溜まることを防止することができるとともに、穴13の内部における光の反射を抑えることができる。
【0027】
また、図9に示すように、2つのマイクロレンズアレイ10を同一方向に2枚相互に平行配置したようなマイクロレンズアレイユニット90であってもよい。この場合は、マイクロレンズアレイユニット90の片側にマイクロレンズ12が位置し、他の一方の側が平らとなる構造であるため、図6に示したマイクロレンズアレイユニット60よりは組立て時の取り扱いが容易となる。なお、図7に示したマイクロレンズアレイユニット70と同様に、2つのマイクロレンズアレイ10の間に空間71を設ける必要がある。前述したように、この空間71に屈折率の異なる樹脂部材を充填してもよい。また、図7に示した例と同様に、マイクロレンズアレイユニット70のマイクロレンズ12に形成されている穴13に、屈折率の異なる樹脂部材を充填させてもよい。
【0028】
さらには、図10に示すように、図6に示したマイクロレンズアレイユニット60を2段構造にしたマイクロレンズアレイユニット100であってもよい。この場合、2つのマイクロレンズアレイユニット60の間の空間71は、図7に示すマイクロレンズアレイユニット70における空間71と同様のものである。この空間71を設ける方法は、図7に示した例と同様である。
【0029】
次に、前述したマイクロレンズアレイ、もしくはマイクロレンズアレイユニットを画像読取装置に適用した例について説明する。なお、以下で説明する各図では、必要に応じてイメージセンサユニットの主走査方向を矢印Mで示し、副走査方向を矢印Sで示している。
図11は、画像読取装置としてフラットベッド方式のイメージスキャナー111の外観構成例を示す斜視図である。図11に示すように、イメージスキャナー111は、筐体112と、原稿を覆うことができるように筐体112に対して開閉自在に設けられるプラテンカバー113と、を備えている。
【0030】
筐体112は、プラテンガラス114、密着型イメージセンサユニット(以下、CISユニット115という)、保持部材116、スライドシャフト117、駆動モータ118、ワイヤ119などを備えている。プラテンガラス114は原稿載置部としてのガラス製の透明板である。CISユニット115は、プラテンガラス114上に載置された被照明体としての原稿の画像情報を光学的に読み取って電気信号に変換する。CISユニット115の詳細な構成については後述する。保持部材116は、CISユニット115の周囲を囲むように保持する。駆動モータ118を駆動することによってワイヤ119を介して、保持部材116に保持されたCISユニット115が、スライドシャフト117に沿って読取方向(副走査方向)に移動する。
【0031】
次に、CISユニット115内の構成部品と光源120からの光路との関係について図12を参照して説明する。図12は、CISユニット115内の構成例を示す模式図である。なお、本実施形態では、図6に示したマイクロレンズアレイユニット60が組み込まれている例について説明する。CISユニット115の内部には、光源120、導光体121、マイクロレンズアレイユニット60、センサ基板124が配設されている。
光源120は、原稿を照明するためのものであり、例えば赤緑青3色の発光波長を持つ発光素子120r、120g、120bを有している。光源120は、発光素子120r、120g、120bを順次点灯駆動することによって光を照射する。
【0032】
導光体121は、光源120から照射された光を上述したプラテンガラス114上に載置された原稿へと導くものであり、原稿の幅に対応した長さの細長状に形成されている。導光体121は、アクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明プラスチックにより形成される。
導光体121の長手方向(主走査方向)の一方の端面は、光源120からの光が入光される入光面121aである。CISユニット115では、光源120からの光が効率よく導光体121に入光するように、光源120の発光素子120r、120g、120bが入光面121aに対向して配置される。また、導光体121の長手方向に沿い、かつプラテンガラス114上の原稿と対向する面は、導光体121に入光した光が出光される出光面121bである。また、出光面121bと対向する面は、入光面121aからの光を導光体121の内部で反射させる反射面121cである。
【0033】
したがって、導光体121は、入光面121aから入光された光を反射面121cで散乱させ、出光面121bから出光させて、原稿を照明する。このように、光源120と導光体121とは、原稿を照明する照明装置として機能する。
マイクロレンズアレイユニット60の内部には、前述した図2のマイクロレンズアレイ10が組み込まれている。このようにマイクロレンズアレイユニット60は、原稿からの反射光を光電変換素子123に結像させる。
センサ基板124は、マイクロレンズアレイユニット60により結像された反射光を電気信号に変換する光電変換素子123を導光体121の長手方向と同方向に複数実装したものである。
また、マイクロレンズアレイユニット60および光電変換素子123は、原稿の幅に対応する長さに形成されている。
【0034】
上述したように構成されるCISユニット115を備えたイメージスキャナー111が原稿の読み取りを行う場合、イメージスキャナー111は原稿の読み取り開始位置までCISユニット115を移動する。読み取り開始位置に移動したCISユニット115は、光源120の発光素子120r、120g、120bを順次点灯する。光源120からの光は、導光体121の入光面121aから入光した後、出光面121bから均一に出光する。導光体121を出光した光は、原稿の表面を主走査方向に沿ってライン状に照射する。照射された光は、原稿によって反射された後、マイクロレンズアレイユニット60によってセンサ基板124上に実装された光電変換素子123に結像される。光電変換素子123は、結像された反射光を電気信号に変換する。CISユニット115は、赤緑青全ての反射光を変換することで、主走査方向に沿った1走査ラインの読み取り動作が終了する。
【0035】
続いて、イメージスキャナー111は、CISユニット115を1走査ライン分だけ副走査方向に移動する。CISユニット115は、上述と同様に1走査ラインの読み取り動作を行う。このように、CISユニット115が1走査ラインの移動と読み取り動作とを繰り返すことで、原稿全面の読み取りを行うことができる。イメージスキャナー111では、CISユニット115によって変換された電気信号を、必要に応じて画像処理したり、記憶部に画像データとして記憶したりすることで、プラテンガラス114上に載置された原稿全面の読み取りが完了する。
【0036】
以上のように本実施形態によれば、アパーチャー11用の金型51と、マイクロレンズ12用の金型52とを用いて作成することができるため、マイクロレンズアレイを簡単にかつ安価に作製することができる。また、複数のマイクロレンズアレイを用いてマイクロレンズアレイユニットとする場合には、さらに高い画像品位を実現させることができる。
【符号の説明】
【0037】
11 アパーチャー
12 マイクロレンズ
13 穴
41 レンズ板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、安価に製造することが可能なマイクロレンズアレイ、マイクロレンズアレイユニット及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラや画像読取装置の光学系として、マイクロレンズアレイが用いられており、近年では、さらに画像品位の高いレンズとして、特殊な屈折率の分布を備えたセルフォックレンズ(登録商標)などが市販されている。一方、このように画像品位が高く、かつ安価なレンズを製造する要求が高まっていることから、代替品としてより安価に同等のレンズを作製するために、複数のマイクロレンズアレイを相互に平行配置することによって、より光線を収束させるようなマイクロレンズアレイユニットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−53927号公報
【特許文献2】特開平7−248404号公報
【特許文献3】特開2005−37891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマイクロレンズアレイ130では、透明部材内部を主走査方向に光が伝播するクロストークと呼ばれる現象が起こる場合がある。このクロストークが発生すると、一部の光が所定の方向へ収束せず、画像品位が低下する原因となる。以下、クロストークについて説明する。
【0005】
図13は、マイクロレンズアレイ130においてクロストークが起こっている状態を説明する図である。
図13に示すように、光線がマイクロレンズアレイ130を通過する際に、一部の光線がたとえばレンズ面から外れることにより、迷光131が生じることがある。この場合、迷光131はレンズの凹凸によって光が収束せず、隣接するレンズ面から通過する現象が起こってしまい、画像品位が低下するという問題点がある。
【0006】
また、2枚のマイクロレンズアレイ130を相互に平行配置した場合であっても、図14に示すように、透明部材内部で迷光141が反射し、結果的に隣のレンズ面から迷光141が通過してしまうため、画像品位が低下してしまう。
【0007】
本発明は前述の問題点に鑑み、安価でかつ画像品位の高いマイクロレンズアレイ、マイクロレンズアレイユニット及び画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマイクロレンズアレイは、複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のマイクロレンズアレイユニットは、複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されたマイクロレンズアレイが、前記複数の穴の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の画像読取装置は、被照明体からの反射光を、マイクロレンズアレイユニットを介して読み取る画像読取装置であって、前記マイクロレンズアレイユニットは、複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されたマイクロレンズアレイが、前記複数の穴の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単にかつ安価に作製することができるとともに、高い画像品位を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの全体構造例を示す平面図及びI−Iにおける断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの一例において拡大した断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの他の一例において拡大した断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイのその他の一例において拡大した断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの製造方法の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットの一例における全体構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットの他の一例における全体構造を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットのその他の一例における全体構造を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットのその他の一例における全体構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイユニットのその他の一例における全体構造を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態において、画像読取装置としてフラットベッド方式のイメージスキャナーの外観構成例を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態において、CISユニット内の構成例を示す模式図である。
【図13】マイクロレンズアレイにおいてクロストークが起こっている状態を説明する図である。
【図14】2つのマイクロレンズアレイを相互に平行配置した場合においてクロストークが起こっている状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本実施形態に係るマイクロレンズアレイ10の構造例を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すマイクロレンズアレイ10のI−Iにおける断面図
である。
図1に示すように、マイクロレンズアレイ10は、アパーチャー11とマイクロレンズ12とから構成されている。アパーチャー11には、複数の円形の穴13が形成されている。アパーチャー11は黒色系の遮光部材として機能し、ウレア樹脂を成型して硬化されることにより製造される。このようにアパーチャー11は黒色系の遮光部材として機能するため、迷光が生じた場合であっても光を吸収し、収束される光のみが後述する図12の光電変換素子123上に結像されるようになる。また、アパーチャー11に形成されているそれぞれの穴13の上部には、凸型の球面形状あるいは非球面形状のマイクロレンズ12がそれぞれ互いに分離されて積層されている。
【0014】
図2は、図1(b)に示すマイクロレンズアレイ10の断面を示す拡大図である。
図2に示すように、マイクロレンズ12は、アパーチャー11上に凸状に形成されている。
【0015】
マイクロレンズ12の大きさ、アパーチャー11に形成されている穴13の大きさについては、以下のような条件を満たすようにする。図2に示す例は、マイクロレンズ12の頂点と、隣に位置するマイクロレンズ12の頂点との距離をマイクロレンズ12の配列ピッチPとした場合に、マイクロレンズ12の半径Rとの関係は、P>2Rという関係となる。また、アパーチャー11の穴13の半径R′とマイクロレンズ12の半径Rとの関係では、アパーチャー11にマイクロレンズ12を積層させるためにR>R′という関係となる。
【0016】
一方、アパーチャー11の穴13の半径R′とマイクロレンズ12の半径Rとの差が小さいと、マイクロレンズ12を支える面積が小さくなる。そこで、図3に示すようなマイクロレンズアレイ30のように、アパーチャー11とマイクロレンズ12との間に、マイクロレンズ12と同じ屈折率を有する透明部材としてレンズ板31を設けるようにしてもよい。レンズ板31の大きさとしては、アパーチャー11に含まれる穴13全部を覆う1枚のレンズ板31を用いてもよく、所定の周期で複数のレンズ板31を並べるように配置してもよい。レンズ板31の厚さは、マイクロレンズ12を支える板として効果が発揮されるように10μm以上であることが好ましい。また、光線の入光角度と、マイクロレンズ12の屈折率との組合せにより、レンズ板31の厚さの好ましい上限値は決まる。例えば、マイクロレンズ−マイクロレンズ間の隙間に45度で入光してくる光線を吸収させたい場合は、レンズ板31の厚さをL/2以下にすることが好ましい。
【0017】
なお、図3に示すマイクロレンズアレイ30の例は、レンズ板31にマイクロレンズ12が積層された構造であるが、マイクロレンズ12を通過する光がアパーチャー11の穴13に進むようにするために、アパーチャー11の穴13の半径R′とマイクロレンズ12の半径Rとの関係では、R>R′という関係となる。さらに、前述した理由により、アパーチャー11の幅Lとマイクロレンズ12の半径Rとの関係では、R>Lであることが好ましい。
【0018】
また、図2に示した例は、マイクロレンズ12の配列ピッチPとマイクロレンズ12の半径Rとの関係は、P>2Rという関係であったが、P≦2Rという関係であってもよい。図4に示すマイクロレンズアレイ40の例では、2つのマイクロレンズの間にアパーチャー11が露出している領域がないように連続的に繋がって積層されたマイクロレンズ41を用いている。アパーチャー11の幅Lをより小さくして、光を通過させる量をより多くしたい場合などに有効である。
【0019】
次に、図2に示したマイクロレンズアレイ10の製造方法について説明する。図5は、図2に示したマイクロレンズアレイ10の製造方法の一例を示す概略図である。
まず、図5(a)に示すように、所望の形状のアパーチャー11を作製するためにアパーチャー11用の金型51を用意し、ウレア樹脂を流し込む。このとき、遮光部材として機能するために、たとえばカーボン等を混合して黒色にして、ウレア樹脂を硬化させる。
【0020】
次に、図5(b)に示すように、マイクロレンズ12の形状となるようにマイクロレンズ12用の金型52を用意し、ウレア樹脂を流し込む。そして、図5(c)に示すように、固形のウレア樹脂が充填されたアパーチャー11用の金型51を、ウレア樹脂が充填されたマイクロレンズ12用の金型52へ張り合わせて固化させる。そして、アパーチャー11用の金型51及びマイクロレンズ12用の金型52を取り外して、図2に示すようなマイクロレンズアレイ10を作製する。また、図5に示す手順で用いられているアパーチャー11用の金型51には、凸形状の杭53が端部に設けられており、マイクロレンズ12用の金型52に設けられている凹部54に差し込むことによってアパーチャー11とマイクロレンズ12との位置合わせを容易にしている。一方、図3に示したマイクロレンズアレイ30や、図4に示したマイクロレンズアレイ40を作製する場合は、マイクロレンズ12用の金型52をこれらの形状に合わせたものにし、それ以外は前述した手順と同様である。
【0021】
以上のように本実施形態に係るマイクロレンズアレイを、金型を用いて容易に作製することができる。また、遮光部材として黒色系のアパーチャー11を用い、アパーチャー11上に透明部材であるマイクロレンズが積層された構造としているため、迷光がアパーチャー11に吸収され、収束する光のみを通過させることができるので、高い画像品位を実現することができる。
【0022】
なお、本実施形態に係るマイクロレンズアレイでは、アパーチャー11に複数の穴13が形成されているが、これらの穴13に、マイクロレンズ12と屈折率の異なる樹脂部材が充填された構造であってもよい。これにより、空気により穴13の内部で光が反射してしまうことを防止することができる。
【0023】
また、前述したマイクロレンズアレイはアパーチャー11にマイクロレンズ12が積層された1層のマイクロレンズアレイであるが、このマイクロレンズアレイを2層以上に構成するようにしてもよい。
【0024】
図6は、マイクロレンズ12が積層された面が両側(外側)に位置するようにマイクロレンズアレイ10を2層構造にしたマイクロレンズアレイユニット60の一例を示す断面図である。以下、図2〜図4に示した2つ以上のマイクロレンズアレイ10を複数の穴13の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置することにより後述する図12のCISユニット115に組み込まれるものをマイクロレンズアレイユニットと称す。
図6に示す例では、両側(外側)にマイクロレンズ12が位置するようにマイクロレンズアレイ10が平行配置されている。マイクロレンズアレイ10のアパーチャー11部分は同じアパーチャー11用の金型51を用いて作製されるため、2つのアパーチャー11の外周を横から囲むことにより、2つのマイクロレンズアレイ10の位置が調整される。このようにアパーチャー11の端を揃えることにより、アパーチャー11に形成されている穴13の位置が互いに一致する。
【0025】
図6に示すマイクロレンズアレイユニット60の場合、両面(外側)にマイクロレンズ12が取り付けられているため、イメージスキャナー等の組立て時にマイクロレンズ12の破損の虞が生じ、取り扱いにくいことがある。そこで、図7に示すように、マイクロレンズ12が互いに内側になるようなマイクロレンズアレイユニット70としてもよい。この場合、互いのマイクロレンズ12が接触しないように空間71を設ける必要がある。空間71の大きさについては、光を結像させるための距離に応じて適宜設計される。このように空間71を設ける場合も同様に、2つのアパーチャー11を横から囲むことにより、2つのマイクロレンズアレイ10の位置が調整される。また、光が収束されるような距離を保つように空間71に屈折率が異なる樹脂部材を充填させてもよい。
【0026】
この空間71が大きくなりすぎる場合には、図8に示すように、マイクロレンズが積層されていないアパーチャー11が挿入されたマイクロレンズアレイユニット80であってもよい。図7に示すマイクロレンズアレイユニット70または図8に示すマイクロレンズアレイユニット80の場合は、両面(外側)にはマイクロレンズ12がないため、組立て時のマイクロレンズ12の破損の虞を低減できる。ところが、両面(外側)にはアパーチャー11の穴13がそのまま存在しているため、この穴13にゴミなどが溜まることで解像度が低下する虞がある。そこで、この穴13に屈折率が異なる樹脂部材を充填させてもよい。これにより、穴13にゴミが溜まることを防止することができるとともに、穴13の内部における光の反射を抑えることができる。
【0027】
また、図9に示すように、2つのマイクロレンズアレイ10を同一方向に2枚相互に平行配置したようなマイクロレンズアレイユニット90であってもよい。この場合は、マイクロレンズアレイユニット90の片側にマイクロレンズ12が位置し、他の一方の側が平らとなる構造であるため、図6に示したマイクロレンズアレイユニット60よりは組立て時の取り扱いが容易となる。なお、図7に示したマイクロレンズアレイユニット70と同様に、2つのマイクロレンズアレイ10の間に空間71を設ける必要がある。前述したように、この空間71に屈折率の異なる樹脂部材を充填してもよい。また、図7に示した例と同様に、マイクロレンズアレイユニット70のマイクロレンズ12に形成されている穴13に、屈折率の異なる樹脂部材を充填させてもよい。
【0028】
さらには、図10に示すように、図6に示したマイクロレンズアレイユニット60を2段構造にしたマイクロレンズアレイユニット100であってもよい。この場合、2つのマイクロレンズアレイユニット60の間の空間71は、図7に示すマイクロレンズアレイユニット70における空間71と同様のものである。この空間71を設ける方法は、図7に示した例と同様である。
【0029】
次に、前述したマイクロレンズアレイ、もしくはマイクロレンズアレイユニットを画像読取装置に適用した例について説明する。なお、以下で説明する各図では、必要に応じてイメージセンサユニットの主走査方向を矢印Mで示し、副走査方向を矢印Sで示している。
図11は、画像読取装置としてフラットベッド方式のイメージスキャナー111の外観構成例を示す斜視図である。図11に示すように、イメージスキャナー111は、筐体112と、原稿を覆うことができるように筐体112に対して開閉自在に設けられるプラテンカバー113と、を備えている。
【0030】
筐体112は、プラテンガラス114、密着型イメージセンサユニット(以下、CISユニット115という)、保持部材116、スライドシャフト117、駆動モータ118、ワイヤ119などを備えている。プラテンガラス114は原稿載置部としてのガラス製の透明板である。CISユニット115は、プラテンガラス114上に載置された被照明体としての原稿の画像情報を光学的に読み取って電気信号に変換する。CISユニット115の詳細な構成については後述する。保持部材116は、CISユニット115の周囲を囲むように保持する。駆動モータ118を駆動することによってワイヤ119を介して、保持部材116に保持されたCISユニット115が、スライドシャフト117に沿って読取方向(副走査方向)に移動する。
【0031】
次に、CISユニット115内の構成部品と光源120からの光路との関係について図12を参照して説明する。図12は、CISユニット115内の構成例を示す模式図である。なお、本実施形態では、図6に示したマイクロレンズアレイユニット60が組み込まれている例について説明する。CISユニット115の内部には、光源120、導光体121、マイクロレンズアレイユニット60、センサ基板124が配設されている。
光源120は、原稿を照明するためのものであり、例えば赤緑青3色の発光波長を持つ発光素子120r、120g、120bを有している。光源120は、発光素子120r、120g、120bを順次点灯駆動することによって光を照射する。
【0032】
導光体121は、光源120から照射された光を上述したプラテンガラス114上に載置された原稿へと導くものであり、原稿の幅に対応した長さの細長状に形成されている。導光体121は、アクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明プラスチックにより形成される。
導光体121の長手方向(主走査方向)の一方の端面は、光源120からの光が入光される入光面121aである。CISユニット115では、光源120からの光が効率よく導光体121に入光するように、光源120の発光素子120r、120g、120bが入光面121aに対向して配置される。また、導光体121の長手方向に沿い、かつプラテンガラス114上の原稿と対向する面は、導光体121に入光した光が出光される出光面121bである。また、出光面121bと対向する面は、入光面121aからの光を導光体121の内部で反射させる反射面121cである。
【0033】
したがって、導光体121は、入光面121aから入光された光を反射面121cで散乱させ、出光面121bから出光させて、原稿を照明する。このように、光源120と導光体121とは、原稿を照明する照明装置として機能する。
マイクロレンズアレイユニット60の内部には、前述した図2のマイクロレンズアレイ10が組み込まれている。このようにマイクロレンズアレイユニット60は、原稿からの反射光を光電変換素子123に結像させる。
センサ基板124は、マイクロレンズアレイユニット60により結像された反射光を電気信号に変換する光電変換素子123を導光体121の長手方向と同方向に複数実装したものである。
また、マイクロレンズアレイユニット60および光電変換素子123は、原稿の幅に対応する長さに形成されている。
【0034】
上述したように構成されるCISユニット115を備えたイメージスキャナー111が原稿の読み取りを行う場合、イメージスキャナー111は原稿の読み取り開始位置までCISユニット115を移動する。読み取り開始位置に移動したCISユニット115は、光源120の発光素子120r、120g、120bを順次点灯する。光源120からの光は、導光体121の入光面121aから入光した後、出光面121bから均一に出光する。導光体121を出光した光は、原稿の表面を主走査方向に沿ってライン状に照射する。照射された光は、原稿によって反射された後、マイクロレンズアレイユニット60によってセンサ基板124上に実装された光電変換素子123に結像される。光電変換素子123は、結像された反射光を電気信号に変換する。CISユニット115は、赤緑青全ての反射光を変換することで、主走査方向に沿った1走査ラインの読み取り動作が終了する。
【0035】
続いて、イメージスキャナー111は、CISユニット115を1走査ライン分だけ副走査方向に移動する。CISユニット115は、上述と同様に1走査ラインの読み取り動作を行う。このように、CISユニット115が1走査ラインの移動と読み取り動作とを繰り返すことで、原稿全面の読み取りを行うことができる。イメージスキャナー111では、CISユニット115によって変換された電気信号を、必要に応じて画像処理したり、記憶部に画像データとして記憶したりすることで、プラテンガラス114上に載置された原稿全面の読み取りが完了する。
【0036】
以上のように本実施形態によれば、アパーチャー11用の金型51と、マイクロレンズ12用の金型52とを用いて作成することができるため、マイクロレンズアレイを簡単にかつ安価に作製することができる。また、複数のマイクロレンズアレイを用いてマイクロレンズアレイユニットとする場合には、さらに高い画像品位を実現させることができる。
【符号の説明】
【0037】
11 アパーチャー
12 マイクロレンズ
13 穴
41 レンズ板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の穴を有する遮光部材と、
前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、
前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
【請求項2】
前記複数のマイクロレンズはそれぞれ、互いに分離されて前記遮光部材上に積層されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項3】
前記遮光部材と前記複数のマイクロレンズとの間に、少なくとも前記複数の穴を覆う厚さ10μm以上の透明部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項4】
前記複数のマイクロレンズはそれぞれ、連続的に繋がって前記遮光部材上に積層されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項5】
前記遮光部材が有する複数の穴にそれぞれ前記複数のマイクロレンズと屈折率が異なる部材が充填されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項6】
複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されたマイクロレンズアレイが、前記複数の穴の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置されていることを特徴とするマイクロレンズアレイユニット。
【請求項7】
前記マイクロレンズアレイユニットの両側に前記複数のマイクロレンズが並ぶように、前記マイクロレンズアレイが相互に平行配置されていることを特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズアレイユニット。
【請求項8】
前記マイクロレンズアレイユニットの両側が、前記遮光部材の前記複数のマイクロレンズが積層されていない側になるように、前記マイクロレンズアレイが相互に平行配置されていることを特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズアレイユニット。
【請求項9】
前記マイクロレンズアレイユニットの片側に前記複数のマイクロレンズが並び、他の一方の側が前記遮光部材の前記複数のマイクロレンズが積層されていない側になるように前記マイクロレンズアレイが相互に平行配置されていることを特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズアレイユニット。
【請求項10】
被照明体からの反射光を、マイクロレンズアレイユニットを介して読み取る画像読取装置であって、
前記マイクロレンズアレイユニットは、複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されたマイクロレンズアレイが、前記複数の穴の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項1】
複数の穴を有する遮光部材と、
前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、
前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
【請求項2】
前記複数のマイクロレンズはそれぞれ、互いに分離されて前記遮光部材上に積層されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項3】
前記遮光部材と前記複数のマイクロレンズとの間に、少なくとも前記複数の穴を覆う厚さ10μm以上の透明部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項4】
前記複数のマイクロレンズはそれぞれ、連続的に繋がって前記遮光部材上に積層されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項5】
前記遮光部材が有する複数の穴にそれぞれ前記複数のマイクロレンズと屈折率が異なる部材が充填されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のマイクロレンズアレイ。
【請求項6】
複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されたマイクロレンズアレイが、前記複数の穴の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置されていることを特徴とするマイクロレンズアレイユニット。
【請求項7】
前記マイクロレンズアレイユニットの両側に前記複数のマイクロレンズが並ぶように、前記マイクロレンズアレイが相互に平行配置されていることを特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズアレイユニット。
【請求項8】
前記マイクロレンズアレイユニットの両側が、前記遮光部材の前記複数のマイクロレンズが積層されていない側になるように、前記マイクロレンズアレイが相互に平行配置されていることを特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズアレイユニット。
【請求項9】
前記マイクロレンズアレイユニットの片側に前記複数のマイクロレンズが並び、他の一方の側が前記遮光部材の前記複数のマイクロレンズが積層されていない側になるように前記マイクロレンズアレイが相互に平行配置されていることを特徴とする請求項6に記載のマイクロレンズアレイユニット。
【請求項10】
被照明体からの反射光を、マイクロレンズアレイユニットを介して読み取る画像読取装置であって、
前記マイクロレンズアレイユニットは、複数の穴を有する遮光部材と、前記遮光部材上に積層された複数のマイクロレンズとを備え、前記遮光部材が有する複数の穴に対して、それぞれ前記複数のマイクロレンズが覆うように積層されたマイクロレンズアレイが、前記複数の穴の位置がそれぞれ整合するように相互に平行配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−29617(P2013−29617A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164747(P2011−164747)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]