説明

マイクロ波ハイパーサーミア治療器および治療システム

【課題】ハイパーサーミア治療を受ける患者の障害となる高温度に長時間耐えなければならない点を解決する。
【解決手段】マイクロ波を発振させる発生部と電源部と制御部とを有し、制御部には、照射時間動作タイマー、間欠動作タイマー、2台目接続端子、及びリモートスイッチを設けたマイクロ波ハイパーサーミア治療器において、2台目接続端子を介して2台接続して、患部の両面から体幹を挟んで同時に使用することにより、重畳された強力なマイクロ波を照射する。その結果、約1分程度で患部の腫瘍温度を約43℃に達成することができるので、長い治療時間が必要でないために、患者の負担を軽減することができる。また、制御部に、リモートスイッチを2個設けた場合には、その内の1個を患者自身に使用させることにより、緊急停止スイッチとして利用できるので、従来技術のように、温度センサーを体内に挿入する必要が無く、患者の負担を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を使用したハイパーサーミア(高体温)治療器および治療システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の体温を1度上げることにより、免疫能力が30%上昇することが知られており、これを利用した各種の温熱治療手段がある。マイクロ波治療器では、非常に弱い出力を使用して、関節炎・慢性関節リュウマチなどの治療目的に使用されている。
また、人体の体温を43度付近の高体温にすることで、癌腫瘍の壊死を達成することが知られている。この高体温にするためには、各種の手段があるが、その中でも、マイクロ波を照射して加温することが知られている。
具体的には、人体の患部に向かって、2,450MHzのマイクロ波を照射して患部を約43度付近に約1時間連続加温し、一定周期でこれを繰り返すものである。
【特許文献1】特開昭61−33668号公報
【0003】
前記マイクロ波ハイパーサーミア技術を改良するものとして、マイクロ波の出力回数を制御する第1の制御手段と、出力レベルを制御する第2の制御手段とを具備するものが公開されている。
この実施例においては、電源周波数に同期してマイクロ波を出力するようにしているので、別に発振器を設ける必要がなく、50Hzの商用電源の場合は、1秒間に出力されるパルス数が50個であるので、出力調整ツマミを調整することにより1秒間に1個〜50個の間でパルス数が変化する。
出力調整ツマミの設定値を大にして行くと、1秒間に出力されるマイクロ波の数が増して行き、またそれに伴って波高値が小さくなって行く。逆に出力調整ツマミの設定値を小にして行くと、1秒間に出力されるマイクロ波の数が減少して行き、またそれに伴って波高値が大きくなって行く。したがって、出力調整ツマミの設定値を小に設定すれば、短時間で大きなエネルギーを生体に印加することができるので、生体の深層部をも加熱することができると記載されている。
また、マイクロ波の出力回数の増加に伴って出力レベルを減少させるように、二個の制御手段で制御するものである。
【特許文献2】特開平5−23400号公報
【0004】
また、間歇パルスのマイクロ波と連続パルスのマイクロ波とを交互に出力させ、深部と表面とを加温する技術が公開されている。
この実施例においては、電源周波数に同期してマイクロ波を出力するようにしており、このマイクロ波の出力値の設定は、間歇パルスマイクロ波出力の期間にあっては、パルス状出力の回数とレベル調節により行ない、連続パルスマイクロ波出力の期間にあっては、レベル調節により行なうものである。
そして、間歇パルスマイクロ波の出力期間と連続パルスマイクロ波の出力時間の割合を1対1(=5秒対5秒)とした場合、間歇パルスマイクロ波の出力時間の5秒間にはパルス幅0.2秒の間歇パルスマイクロ波を5個出力し、そのレベルを500ワットとし、次の連続パルスマイクロ波の出力時間の5秒間はレベルを100ワットとするものである。
この従来例においては、間歇パルスの場合の出力エネルギーは、
500W × (0.2sec × 5) = 500J であり、
連続パルスの場合のエネルギーは、100W × 5sec = 500J であり、
間歇パルスと連続パルスとの両者の出力エネルギーは同じである。
この出力エネルギーが体内で減衰して患部に届くので、このような出力エネルギーレベルでは、温熱治療はできるといえても、癌腫瘍の壊死を達成することはできない。
【特許文献3】特開平8−206242号公報
【0005】
さらに、第1の周波数にて第1の電磁波を発振する第1発振手段と、第2の周波数で第2の電磁波を発振する第2発振手段と、第1の電磁波と第2の電磁波とを混合し、同時に出力する混合手段と、前記混合した電磁波を患部に放射して加温する技術が公開されている。
すなわち、周波数の高い電磁波(2450MHz)と低い電磁波(915MHz)では組織深達度、つまり組織での減衰率が異なり、低い周波数の電磁波の方が高い周波数の電磁波よりも組織での減衰率が低く遠くまで届くので、これら2つの周波数の電磁波をミキサーで任意の比率で混合し、アンテナ部から前立腺部に放射するものである。
具体的に、2つの電磁波の混合比は、前立腺重量に応じて予め設定しておき、例えば、前立腺重量が20g未満の場合、2450MHz:915MHzが9:1であり、トータル出力を50Wとすれば45W:5Wの割合になる。また、40〜50gの場合、3:7であり、トータル出力を50Wとすれば、15W:35Wの割合になるものである。
【特許文献4】特開2001−231870号公報
【0006】
しかし、前記従来技術は、いずれも1台のマイクロ波治療器を使用して、マイクロ波の照射を約1時間連続して照射するものであるから、ハイパーサーミア治療を受ける患者は、約1時間もの長い間、高温度に耐え抜くことが必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、ハイパーサーミア治療を受ける患者の障害となる高温度に長時間耐えなければならない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマイクロ波ハイパーサーミア治療器は、マイクロ波を発振させる発生部と、該発生部を駆動する電源部と、電源部を制御する制御部とを有し、該制御部には、照射時間動作タイマーと間欠動作タイマーと、2台目接続端子とを設け、さらに、リモートコードに接続されたリモートスイッチを設けたことを最も主要な特徴とする。
また、このリモートスイッチは、必要に応じて2個設けることができることを特徴とする。
そして、使用に際しては、マイクロ波ハイパーサーミア治療器を2台目接続端子を介して2台接続し、患部の両面から同時にマイクロ波を照射することを最も主要な特徴とする。また、同様にして、4台接続して、2箇所の患部の両面から挟んで、同時に使用することができる。
さらに、リモートスイッチを2個設けた場合には、その内の1個のリモートスイッチを患者自身の操作に任せることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマイクロ波ハイパーサーミア治療器は、2台目接続端子を有するため、2台のマイクロ波治療器を接続して使用することができるので、患部の両面から体幹を挟み撃ちすることにより、皮膚の温度上昇を低く抑えながら、患部や体内の腫瘍部内では、重畳された強力なマイクロ波により、短時間で十分な温度上昇が得られ、ハイパーサーミア治療時間を短縮することができる。
また、照射時間動作タイマーと間欠動作タイマーとを有するので、間欠動作タイマーを調節することにより、高出力から低出力まで、目的に応じて調節することができる。
高出力に調節した場合には、2台のマイクロ波治療器を接続して、強力なマイクロ波電力を使用したマイクロ波を重畳して照射することができ、約1分から2分程度で患部の腫瘍温度を約43℃に達成することができるので、長い治療時間が必要でないために、患者の負担を軽減できるいう利点がある。
低出力に調節した場合には、関節炎・慢性関節リュウマチなど治療目的に、2台のマイクロ波治療器を接続して、患部の両方向からマイクロ波を照射して使用できる。また、4台のマイクロ波治療器を接続して、両手の肘、両足の膝、或いは肘と膝とを同時に治療できる。
さらに、リモートスイッチを2個設けた場合には、その内の1個のリモートスイッチを患者が使用することにより、患者自身が熱く感じた時に緊急停止スイッチとして利用できるので、従来技術のように、患部温度を測定するために、温度センサーを体内に挿入する必要が無く、患者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ハイパーサーミア治療を受ける患者の障害となる高温度に長時間耐えなければならない点を改善するという目的を、マイクロ波ハイパーサーミア治療器の制御部に、照射時間動作タイマーと間欠動作タイマーと、2台目接続端子とを設け、さらに、リモートコードに接続されたリモートスイッチを設けるいう簡便な構成で実現した。
また、リモートコードに接続されたリモートスイッチは、必要に応じて2個設けることができる。
【0011】
なお、マイクロ波加熱には、ステップアップ方式(Step up method)とステップダウン方式(Step down method)とがある。
前者は段上げ加温とも呼ばれ、次第次第に時間をかけてゆっくりと加温して行く方法であり、後者は段下げ加温とも呼ばれ、急激に加温する方法である。
前記段下げ加温の場合、目的の温度に達するまでに約10分以上掛けるのに対して、段下げ加温の場合、目的の温度に達するまでに約1分位である。
そして、段上げ加温の場合には、時間が掛かることにより、腫瘍の内部で耐熱酵素ができてしまうことがあることからみて、急激に温度上昇が得られる段下げ加温の方が治療効果からみて望ましいことになる。
以上のマイクロ波加熱2つの方式の説明図を図8に示す。
本発明においては、ステップダウン方式(Step down method)の段下げ加温を採用するものである。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明マイクロ波ハイパーサーミア治療器の1実施例を示すブロック線図である。図2は、本発明マイクロ波ハイパーサーミア治療器の回路図である。
実施例1で使用する高圧トランスは、1次側入力100V、2次側出力4,000Vであり、公知のものを使用する。また、マグネトロンは、周波数2,450MHz、定格出力750Wであり、公知のものを使用する。
【0013】
本発明のマイクロ波ハイパーサーミア治療器本体1は、5本足キャスター2上に設けられた上下機構3の上部に設置した首振り機構4の上に載置されている。
以上の構成を、マイクロ波ハイパーサーミア治療器の正面図として図3に示す。
首振り機構4には、首振りクランプ5が設けられ、マイクロ波ハイパーサーミア治療器本体1を上下左右に動かすことが可能である。この実施例1においては、上下各々30°まで動かすことが可能である。
以上の構成を、マイクロ波ハイパーサーミア治療器の側面図として図4に示す。
【0014】
マイクロ波ハイパーサーミア治療器本体1の背面には、AC電源スイッチ6、照射時間動作タイマー7を設定する操作盤8と、間欠動作タイマー9を設定する操作盤10、および2台目接続端子11が設けられている。
そして、マイクロ波ハイパーサーミア治療器本体1の下面には、AC電源コード12、およびリモートコードに接続されたリモートスイッチ(動作開始スイッチ、停止スイッチ)13が設けられている。
以上の構成を、マイクロ波ハイパーサーミア治療器の背面図として図5に示す。
なお、リモートスイッチ13は、マイクロ波ハイパーサーミア治療器本体1から直接、あるいはリモートコードの途中から分岐して、必要に応じて、2個設けることができる。
2個目のリモートスイッチ13aは、患者用の緊急停止スイッチであり、患者に渡して、患者自身が熱いと思った時に押すとマイクロ波の出力が緊急停止するものである。
なお、2個目のリモートスイッチ13aは、患者があわてて2回以上スイッチボタンを押しても再び回路が動作開始しないようになっている。リモートスイッチ13aは、図5において(13a)と表示している。。
このマイクロ波ハイパーサーミア治療器は、周波数2,450MHzのマイクロ波で、最大出力750Wであり、従来のマイクロ波治療器よりも、はるかに強力なマイクロ波を出力することが可能である。
そのために、短時間で十分な温度上昇が得られ、約1分程度で、患部の腫瘍温度43°が達成できる。
本発明のマイクロ波ハイパーサーミア治療器における制御を示すタイミングチャートを図6に示す。
【0015】
前記マイクロ波ハイパーサーミア治療器の操作方法は、下記のとおりである。
(1)AC電源コード12をAC100Vコンセント(容量15A)に接続する。
(2)マイクロ波ハイパーサーミア治療器の高さ、および角度を目的の位置に合わせる。
(3)AC電源スイッチ6をONにする(ランプ点灯)。
(4)操作盤8の設定スイッチで、照射時間動作タイマー7の照射時間を設定する。
設定時間は、1分から30分の間で、1分単位になる。
(5)操作盤10の設定スイッチで、間欠動作タイマー9の照射時間を設定する。
ここで、間欠動作タイマー9のON時間とOFF時間とを順次、独立に設定する。
間欠動作タイマー9のON時間は、1秒から30秒の間で、1秒単位になる。
間欠動作タイマー9のOFF時間は、0秒から59秒の間で、1秒単位になる。
例えば、照射時間動作タイマー7の設定時間を10分、間欠動作タイマー9のON時間を10秒、OFF時間を5秒に設定すると、10分の間は、10秒間最大出力で作動して、次の5秒間は完全に休み、それから10秒間はまた最大出力というサイクルになる。
この設定により、本発明のマイクロ波ハイパーサーミア治療器は、周波数2,450MHzのマイクロ波で、最大出力750Wの出力を調整することができる。
例えば、ON時間を3秒、OFF時間を3秒に設定した場合の照射エネルギーは、最大出力750Wのほぼ50%相当の出力になる。
(6)リモートケーブル先のリモートスイッチ13を押す。
照射時間動作タイマー7のランプ(赤)が点灯する。以上でマイクロ波照射の動作が開始し、照射時間動作タイマー7で設定した時間の間、間欠動作タイマー9で設定した間隔で間欠照射動作を行う。その間、間欠動作タイマー9のランプ(緑)が点滅する。
(7)照射時間動作タイマー7で設定した時間が経過すると、照射時間動作タイマー7のランプ(赤)および間欠動作タイマー9のランプ(緑)は消灯し、マイクロ波照射を終了する。
(8)なお、途中で、マイクロ波の照射を一時停止する場合は、リモートケーブル先のリモートスイッチ13を再度押す。
また、リモートスイッチ13を2個設けた場合には、その内の1個のリモートスイッチ13aを患者の渡して、患者自身が操作して、熱く感じた時には緊急停止スイッチとして使用する。
【実施例2】
【0016】
実施例2は、実施例1のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の2台目接続端子11に接続ケーブル(図示せず。)を接続し、接続ケーブルの他端を2台目のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の2台目接続コネクター11に接続し、2台を使用して、患部の両面から体幹を挟んで同時に使用する例である。
以上の構成を、本発明マイクロ波ハイパーサーミア治療器2台を同時に使用する模式図として図7に示す。
本発明マイクロ波ハイパーサーミア治療器を2台使用した場合のマイクロ波照射角は、約90°から180°の範囲で、任意に設定できるが、図7においては、体幹を挟んで180°で使用している。
【0017】
前記マイクロ波ハイパーサーミア治療器を接続ケーブル(図示せず。)を介して2台接続し、同時に使用する操作方法は、下記のとおりである。
(1)マイクロ波ハイパーサーミア治療器2台のAC電源コード12をAC100Vコンセント(容量15A)に接続する。
(2)マイクロ波ハイパーサーミア治療器2台の高さ、および角度を目的の位置に合わせる。
(3)2台の照射時間動作タイマー7および間欠動作タイマー9を同じ値に設定する。
(4)2台のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の各々の2台目接続端子11間を接続ケーブル(図示せず。)を介して接続する。
(5)何れか1台のマイクロ波ハイパーサーミア治療器のリモートスイッチ13を押す。
(6)以下の操作は、マイクロ波ハイパーサーミア治療器1台の操作と同じ操作をする。
また、リモートスイッチ13を2個設けた場合には、その内の1個のリモートスイッチ13aを患者に渡して、患者自身が操作して、熱く感じた時には緊急停止スイッチとして使用することも実施例1と同じである。
【0018】
さらに、照射時間動作タイマー7および間欠動作タイマー9の設定例、および操作方法を参考のために挙げると、照射時間動作タイマー7の設定値は2分、間欠動作タイマー9のON時間の設定値は10秒、OFF時間の設定値は5秒である。
そして、操作方法は、750Wの定格出力で、10秒間マイクロ波による加温を行い、10秒後から次の5秒間は加温を休止し、次の10秒間(最初にリモートスイッチ13を押した時から15秒後より25秒までの時間)は加温というサイクルを自動的に継続する。その間、患者に熱いといわれれば、リモートスイッチ13で緊急にストップし、5秒間の休止時間で皮膚温度を下げながら、再びリモートスイッチ13を押し、照射時間動作タイマー7の設定値の時間が満了するまで、再び加温を繰り返す。
また、リモートスイッチ13aを患者に渡した場合には、患者が自らリモートスイッチ13aにより緊急停止することができる。
さらに、患者の様子を見ながら、より慎重に加温を行いたい場合には、照射時間動作タイマー7の設定値を1分、間欠動作タイマー9のON時間の設定値を10秒、OFF時間の設定値を0秒に設定し、リモートスイッチ13を手動で逐一ON、OFF操作を繰り返しなら、最大の出力エネルギーで10秒間の照射が実現できる。
この設定例における1台の出力エネルギーは、750W × 10sec=7500J
体幹を挟んで2台使用するのであるから、合計の出力エネルギーは、
7500J × 2 = 15,000J になる。
この計算式は、従来例との比較を、出力エネルギーでもって表したものである。
この出力エネルギーが体内で減衰して患部に届き、患部(癌腫瘍)自体が誘電損失効果による熱エネルギーを発生させ、癌腫瘍を壊死させる。
【0019】
なお、前記マイクロ波ハイパーサーミア治療器を2台接続して、高出力で、同時に使用する際には、タオル・冷凍パック・薄手の氷嚢、液体循環式冷却パック等の種々の冷却材を患部の皮膚表面に当て、その上からマイクロ波を照射する。
このことにより、万一の皮膚の火傷が避けられ、かつ体内の癌腫瘍部では十分な加温により、癌組織の壊死効果が得られる。
【実施例3】
【0020】
実施例3は、実施例1のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の2台目接続端子11に接続ケーブル(図示せず。)を接続し、接続ケーブルの他端を2台目のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の2台目接続端子11に接続し、同様にして、3台目のマイクロ波ハイパーサーミア治療器、および4台目のマイクロ波ハイパーサーミア治療器を直列に接続して、4台を使用して、患部の両面から挟んで同時に使用する例である。
この使用例においては、関節炎・慢性関節リュウマチなどの治療目的に、両手の肘、および両足の膝、或いは肘と膝とに対して同時に使用することができる。
【0021】
実施例3における照射時間動作タイマー7および間欠動作タイマー9の設定例、および操作方法を参考のために挙げると、照射時間動作タイマー7の設定値は30分、間欠動作タイマー9のON時間の設定値は1秒、OFF時間の設定値は15秒である。
この設定例では、16秒間の平均出力の理論値は、出力46.88Wと等価になる。
そして、操作方法は、750Wの定格出力で1秒間マイクロ波による加温を行い、自動的に15秒間は加温を休止し、次の1秒間は加温というサイクルを30分間自動的に継続し、患者に熱いといわれればリモートスイッチ13で緊急にストップしながら、照射時間動作タイマー7の設定値が満了するまで加温を継続的に行なう。
また、患者に緊急停止用のリモートスイッチ13aを渡した場合は、患者自らが緊急停止することができることも実施例1および実施例2と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
従来の周波数2,450MHzを使用したマイクロ波ハイパーサーミア治療器においては、50Wの出力のものがほとんどで、500Wを超えるものは知られていない。
その理由は、高出力の電磁波による有害性・危険性、特に火傷の危険性等を考慮したためである。そのために、ゆっくりと時間を掛けて加温するステップアップ方式の段上げ加温で十分効果が出るという考えが常識であった。
本発明は、前記理由が科学的根拠に乏しい誤った常識で、行った者がいなかっただけであり、治療用の短時間の被曝は無害であるとの知見に基づいて、周波数2,450MHz、750Wの高出力マイクロ波ハイパーサーミア治療器を開発した。
しかも、2台目接続端子11を設けたことにより、1台の使用のみならず、複数台の同時使用が可能であり、患部の両面から体幹を挟み撃ちすることにより、皮膚の温度上昇を低く抑えながら、患部や体内の腫瘍部内では、短時間で十分な温度上昇が得られる上に、一度の複数の患部を同時に治療する用途にも適用できるので、用途が広がる。
また、リモートスイッチ13は、必要に応じて2個設けることができるので、その内の1個を患者に渡して、患者自身が操作して、熱く感じた時には緊急停止スイッチとして使用できるので、患部温度を測定するための温度センサーを体内に挿入する必要を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の構成を示すブロック線図である。
【図2】実施例1のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の回路図である。
【図3】実施例1のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の正面図である
【図4】実施例1のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の側面図である
【図5】実施例1のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の背面図である。
【図6】実施例1のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の制御を示すタイミングチャートである。
【図7】実施例2のマイクロ波ハイパーサーミア治療器の2台目接続コネクターを介し、2台接続して、患部の両面から体幹を挟んで同時に使用することを示す模式図である。
【図8】マイクロ波加熱の2つの加熱方式示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 マイクロ波ハイパーサーミア治療器本体
2 5本足キャスター
3 上下機構
4 首振り機構
5 首振りクランプ
6 AC電源スイッチ
7 照射時間動作タイマー
8 照射時間動作タイマー7を設定する操作盤
9 間欠動作タイマー(アットネーター)
10 間欠動作タイマー9を設定する操作盤
11 2台目接続端子(リモートコントロール)
12 AC電源コード
13 リモートスイッチ(動作開始スイッチ、停止スイッチ)
13a リモートスイッチ(患者用の緊急停止スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を発振させる発生部と、該発生部を駆動する電源部と、電源部を制御する制御部とを有し、
該制御部には、照射時間動作タイマーと間欠動作タイマーと、2台目接続端子とを設け、
さらに、リモートコードに接続されたリモートスイッチを設けた
ことを特徴とするマイクロ波ハイパーサーミア治療器。
【請求項2】
マイクロ波を発振させる発生部と、該発生部を駆動する電源部と、電源部を制御する制御部とを有し、
該制御部には、照射時間動作タイマーと間欠動作タイマーと、2台目接続端子とを設け、
さらに、リモートコードに接続されたリモートスイッチを2個設けた
ことを特徴とするマイクロ波ハイパーサーミア治療器。
【請求項3】
マイクロ波を発振させる発生部は、定格出力750W、2,450MHzであることを特徴とする請求項1および請求項2記載のマイクロ波ハイパーサーミア治療器。
【請求項4】
請求項1、請求項2および請求項3記載のマイクロ波ハイパーサーミア治療器を2台目接続コネクターを介して2台接続して、患部の両面から体幹を挟んで同時に使用することを特徴とするマイクロ波ハイパーサーミア治療システム。
【請求項5】
請求項1、請求項2および請求項3記載のマイクロ波ハイパーサーミア治療器を2台目接続コネクターを介して4台接続して、2箇所の患部の両面から挟んで同時に使用することを特徴とするマイクロ波ハイパーサーミア治療システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−61195(P2006−61195A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243935(P2004−243935)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(304039272)有限会社インテレックス (1)
【Fターム(参考)】