説明

マイクロ波照射試験装置、該試験装置に用いられる照射試験方法及び照射試験プログラム

【課題】マイクロ波の電子機器に及ぼす影響を解析するためのマイクロ波照射試験装置の計測時間を短縮する。
【解決手段】信号発生装置制御手段(測定装置10A)により、信号発生装置21から出力される種信号scのレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと、電界検出手段(光電界センサ26)から出力される電界強度検出信号edに基づく電界強度との関係を、電力増幅器231 ,232 毎に所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースが作成される。設定された一定電界強度及び周波数のマイクロ波w1 ,w2 に対応する種信号scのレベルがデータベースに基づいて算出され、信号発生装置21に対して、算出されたレベルの種信号scを発生させるためのレベル制御信号vc及び周波数制御信号fcが与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波照射試験装置、該試験装置に用いられる照射試験方法及び照射試験プログラムに係り、たとえば、電波暗室などで電子機器にマイクロ波を広い周波数帯域にわたって照射し、同電子機器内外の電磁界の解析や同電子機器に対するマイクロ波の影響を解析する場合に用いて好適なマイクロ波照射試験装置、該試験装置に用いられる照射試験方法及び照射試験プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に及ぼすマイクロ波の影響を解析する場合、電波暗室などで同電子機器にマイクロ波を広い周波数帯域にわたって照射し、同電子機器内外の電磁界の解析や同電子機器に対するマイクロ波の影響を解析するマイクロ波照射試験装置が用いられる。
【0003】
この種のマイクロ波照射試験装置は、たとえば図7に示すように、測定装置10と、信号発生装置21と、パルス発生器22と、電力増幅器231 ,232 と、アンテナ241 ,242 と、回転台25と、光電界センサ26と、光ケーブル27とから構成されている。測定装置10は、操作部11と、表示部12と、記憶部13と、評価部14と、検出部15と、制御部16とを有している。また、上記電力増幅器231 ,232 、アンテナ241 ,242 、回転台25及び光電界センサ26は、電波暗室R内に設置されている。信号発生装置21は、測定装置10から、周波数制御信号fc及びレベル制御信号vc、及びパルス発生器22からトリガ信号tgが与えられ、周波数制御信号fcに対応した周波数かつレベル制御信号vcに対応したレベルの種信号scをトリガ信号tgに基づいて発生する。
【0004】
電力増幅器231 ,232 は、信号発生装置21から発生した種信号scを受信し、増幅してマイクロ波に対応するRF信号u,v(高周波信号)を出力する。アンテナ241 ,242 は、電力増幅器231 ,232 毎に設けられ、電力増幅器231 ,232 から出力されたRF信号u,vに対応したマイクロ波w1 ,w2 を図示しない電子機器(供試機器)に照射する。光電界センサ26は、上記電子機器に照射されたマイクロ波w1 ,w2 の電界を検出して光信号の電界強度検出信号edを出力する。パルス発生器22は、測定装置10から与えられたパルス制御信号pcに基づいてトリガ信号tgを信号発生装置21に与える。回転台25は、測定装置10からの回転台制御信号caにより制御され、載置されている図示しない供試機器を回転して水平方向を制御する。
【0005】
測定装置10は、信号発生装置21に対して、種信号scを発生させるためのレベル制御信号vc及び周波数制御信号fc、パルス発生器22に対してパルス制御信号pc、及び回転台25に対して回転台制御信号caを与える。この測定装置10では、操作部11は、オペレータにより操作される。表示部12は、試験条件や電界計算結果などを表示する。記憶部13は、計算結果や換算データを記憶する。制御部16は、光電界センサ26から光ケーブル27を経て電界強度検出信号edを受信する。検出部15は、受信された電界強度検出信号edから電界値を検出する。評価部14は、検出された電界値を算出し、設定された一定電界強度及び周波数のマイクロ波w1 ,w2 に対応する種信号scのレベルを算出し、信号発生装置21に対して、算出されたレベルの種信号scを発生させるためのレベル制御信号vc及び周波数制御信号fcを与える。
【0006】
このマイクロ波照射試験装置では、信号発生装置21から出力された種信号scは、電力増幅器231 ,232 で増幅され、その入出力特性は、図8に示されている。この図8では、横軸に信号発生装置出力レベル[dBm]、縦軸に電力増幅器出力レベル[dBm]及び電界強度レベル[V/m]がとられている。この入出力特性は、図8に示すように、一般にリニア領域a〜bと飽和領域b〜dとに別れる。リニア領域a〜bと飽和領域b〜dとの境界や飽和領域の出力特性は、電力増幅器231 ,232 に特有のものであり、周波数によっても変化する。このため、飽和領域b〜dで増幅された信号の出力レベルは不明となり、アンテナ241 ,242 から供試機器に照射されるマイクロ波w1 ,w2 の電界強度も不明となるため、この試験装置により、飽和領域でアンテナ241 ,242 から供試機器に照射されるマイクロ波w1 ,w2 の電界強度を予め測定し、データベース化しておく必要がある。
【0007】
上記のマイクロ波照射試験装置の他、この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された妨害排除能力試験装置がある。
この試験装置では、ホーンアンテナから供試機器に試験用電波を照射して、供試機器の妨害波に対する耐性を試験する際、測定装置により、ホーンアンテナから放射させる試験用電波の周波数及び偏波面の角度が、予め設定された試験条件に従って可変され、さらに、各試験条件下で、送信信号の信号レベルが可変されることにより、供試機器が正常動作から異常動作(又はその逆)へ変化する境界点が検知され、その境界点での電界強度が算出される。また、測定装置により、試験結果となる各試験条件下での電界強度が、増幅器の出力レベルから算出されるが、その換算データは、試験前に、供試機器の設置場所に設置した電界強度測定器を利用して自動生成される。この場合、換算データは、試験前に妨害波の送信出力を徐々に増加させ、送信出力に対する電界強度を周波数毎に測定しておくことにより作成される。
【0008】
また、特許文献2に記載された測定デバイスでは、センサは、プローブ部を有し、複数の測定信号を出力するために構成かつ配置され、同測定信号の各々が、同プローブ部と源との間の三次元における複数の位置関係の対応する一つにおいて同プローブ部に源から発するエネルギー場(電場、磁場、熱場)の影響を表す。位置決めデバイスは、上記複数の位置関係を制御可能に形成するために構成かつ配置されている。処理ユニットは、上記複数の位置関係に関する測定信号及び位置情報に基づいてデータを受信するために構成かつ配置され、場の特徴を出力する。場の特徴が、上記プローブ部に対するエネルギー場の影響の三次元の性質の表現を含む。
【0009】
また、特許文献3に記載された試験装置では、同試験装置の電源から増幅器の入力までの入力損失が計算され、入力損失補正係数が規定される。増幅器の出力から試験装置の電力計までの出力損失が計算され、出力損失補正係数が規定される。上記入力損失補正係数を使用して実際の入力電力レベルが決定されると共に、上記出力損失補正係数を使用して実際の出力電力レベルが決定され、増幅器の入力及び出力特性の校正が、周波数領域全体にわたって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−329877号公報
【特許文献2】特表2004−522934号公報
【特許文献3】特表2007−502402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、図7の試験装置では、マイクロ波w1 ,w2 の電界強度を予め測定してデータベース化する作業は、全ての周波数において、信号発生装置21の出力(種信号sc)を変化させたときのアンテナ241 ,242 から供試機器に照射されるマイクロ波w1 ,w2 の電界強度を測定することになり、しかも、全ての電力増幅器231 ,232 に対して行うことになるため、手作業で行うと、膨大な計測時間を必要とするという課題がある。また、マイクロ波帯の高出力の電力増幅器231 ,232 は、飽和レベル付近では送信出力に対する電界強度が線形に変化するわけではないため、周波数毎に一様な換算データにすることができないという課題がある。
【0012】
また、特許文献1に記載された試験装置では、妨害波に対する耐性を評価し得る試験結果が得られるが、上記換算データは、試験の前に妨害波の送信出力を徐々に増加させ、送信出力に対する電界強度を周波数毎に測定しておくことにより作成するものであり、図7の試験装置と同様の課題がある。
【0013】
特許文献2に記載された測定デバイスでは、処理ユニットにより、場の特徴が出力されるが、この発明とは構成が異なり、上記の課題は、改善されない。
特許文献3に記載された試験装置では、増幅器の入力及び出力特性の校正が周波数領域全体にわたって行われるが、この発明とは構成が異なり、上記の課題は、改善されない。
【0014】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、マイクロ波の電子機器に及ぼす影響を解析する場合の計測時間が短縮されるマイクロ波照射試験装置、該試験装置に用いられる照射試験方法及び照射試験プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、試験対象物である電子機器に所望の一定電界強度のマイクロ波を所定の周波数帯域にわたり照射することにより、該電子機器に及ぼすマイクロ波の影響を解析するためのマイクロ波照射試験装置に係り、周波数制御信号及びレベル制御信号が与えられ、該周波数制御信号に対応した周波数かつ該レベル制御信号に対応したレベルの種信号を発生する信号発生装置と、該信号発生装置から発生した前記種信号を増幅して前記マイクロ波に対応する高周波信号を出力する所定数の電力増幅器と、前記各電力増幅器毎に設けられ、前記各電力増幅器から出力された前記高周波信号に対応した前記マイクロ波を前記電子機器に照射するアンテナと、前記電子機器に照射された前記マイクロ波の電界を検出して電界強度検出信号を出力する電界検出手段と、前記信号発生装置から出力される前記種信号のレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと前記電界検出手段から出力される前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に前記所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースを作成し、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを前記データベースに基づいて算出し、前記信号発生装置に対して、前記算出されたレベルの前記種信号を発生させるための前記レベル制御信号及び周波数制御信号を与える信号発生装置制御手段とを備えてなることを特徴としている。
【0016】
この発明の第2の構成は、試験対象物である電子機器に所望の一定電界強度のマイクロ波を所定の周波数帯域にわたり照射することにより、該電子機器に及ぼすマイクロ波の影響を解析するためのマイクロ波照射試験装置に用いられる照射試験方法に係り、該マイクロ波照射試験装置は、周波数制御信号及びレベル制御信号が与えられ、該周波数制御信号に対応した周波数かつ該レベル制御信号に対応したレベルの種信号を発生する信号発生装置と、該信号発生装置から発生した前記種信号を増幅して前記マイクロ波に対応する高周波信号を出力する所定数の電力増幅器と、前記各電力増幅器毎に設けられ、前記各電力増幅器から出力された前記高周波信号に対応した前記マイクロ波を前記電子機器に照射するアンテナと、前記電子機器に照射された前記マイクロ波の電界を検出して電界強度検出信号を出力する電界検出手段と、信号発生装置制御手段とを備え、該信号発生装置制御手段が、前記信号発生装置から出力される前記種信号のレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと前記電界検出手段から出力される前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に前記所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースを作成し、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを前記データベースに基づいて算出し、前記信号発生装置に対して、前記算出されたレベルの前記種信号を発生させるための前記レベル制御信号及び周波数制御信号を与える信号発生装置制御処理を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
この発明の構成によれば、マイクロ波の電子機器に及ぼす影響を解析する場合の計測時間が短縮されるマイクロ波照射試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の第1の実施形態であるマイクロ波照射試験装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1のマイクロ波照射試験装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】コンプレッションファイルの例を示す図である。
【図4】校正テーブルの例を示す図である。
【図5】この発明の第2の実施形態であるマイクロ波照射試験装置の電力増幅器の入出力特性に基づいてデータベースを作成するための飽和領域の態様を示す図である。
【図6】この発明の第3の実施形態であるマイクロ波照射試験装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】関連技術に係るマイクロ波照射試験装置の構成図である。
【図8】図7中の電力増幅器の入出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記各電力増幅器は、上記種信号のレベルの増加に対して上記高周波信号のレベルが線形に増加する線形領域(リニア領域)、及び上記種信号のレベルの増加に対して上記高周波信号のレベルが非線形に増加する非線形領域(飽和領域)からなる入出力特性を有し、上記信号発生装置制御手段(測定装置)は、上記線形領域(リニア領域)と上記非線形領域(飽和領域)との境界及び上記非線形領域(飽和領域)内の任意の点での上記種信号のレベルと上記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を上記各電力増幅器毎に測定して上記データベースを作成する構成とされているマイクロ波照射試験装置を実現する。
【0020】
また、上記信号発生装置制御手段(測定装置)は、設定された上記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する上記種信号のレベルを、上記データベースの上記電界強度を線形補間することにより算出する構成とされている。また、上記信号発生装置制御手段(測定装置)は、上記非線形領域(飽和領域)内の複数の点での上記種信号のレベルと上記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を上記各電力増幅器毎に測定して上記データベースを作成する構成とされている。また、上記各電力増幅器は、周波数帯域がそれぞれ異なる構成とされている。また、上記各電力増幅器は、上記種信号を増幅する利得がそれぞれ異なる構成とされている。
【実施形態1】
【0021】
図1は、この発明の第1の実施形態であるマイクロ波照射試験装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態のマイクロ波照射試験装置は、同図に示すように、図7中の測定装置10に代えて、異なる構成の測定装置10Aが設けられている。このマイクロ波照射試験装置は、試験対象物である供試機器28(電子機器)に所望の一定電界強度のマイクロ波w1 ,w2 を所定の周波数帯域にわたり照射することにより、同供試機器28に及ぼすマイクロ波w1 ,w2 の影響を解析するための装置である。
【0022】
測定装置10Aでは、図7中の測定装置10の評価部14に代えて、異なる機能を有する評価部14Aが設けられている。評価部14Aは、信号発生装置21から出力される種信号scのレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと、光電界センサ26から出力される電界強度検出信号edに基づく電界強度との関係を、電力増幅器231 ,232 毎に所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースを作成する。さらに、評価部14Aは、設定された一定電界強度及び周波数のマイクロ波w1 ,w2 に対応する種信号scのレベルを上記データベースに基づいて算出し、信号発生装置21に対して、上記算出されたレベルの種信号scを発生させるためのレベル制御信号vc及び周波数制御信号fcを与える。
【0023】
電力増幅器231 ,232 は、図8に示すように、種信号scのレベルの増加に対してRF信号u,vのレベルが線形に増加する線形領域(リニア領域a〜b)、及び種信号scのレベルの増加に対してRF信号u,vのレベルが非線形に増加する非線形領域(飽和領域b〜d)からなる入出力特性を有している。また、電力増幅器231 ,232 は、周波数帯域がそれぞれ異なる構成となっている。評価部14Aは、特に、この実施形態では、上記線形領域(リニア領域)と非線形領域(飽和領域)との境界及び非線形領域(飽和領域)内の任意の点での種信号scのレベルと電界強度検出信号edに基づく電界強度との関係を電力増幅器231 ,232 毎に測定して上記データベースを作成する。また、評価部14Aは、設定された一定電界強度及び周波数のマイクロ波w1 ,w2 に対応する種信号scのレベルを、上記データベースの上記電界強度を線形補間することにより算出する。また、この測定装置10Aは、照射試験プログラムに基づいて動作するコンピュータで構成されている。
【0024】
図2は、図1のマイクロ波照射試験装置の動作を説明するフローチャート、図3は、コンプレッションファイルの例を示す図、及び図4が、校正テーブルの例を示す図である。
これらの図を参照して、この形態のマイクロ波照射試験装置に用いられる照射試験方法の処理内容について説明する。
このマイクロ波照射試験装置では、信号発生装置制御手段(測定装置10A)により、信号発生装置21から出力される種信号scのレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと、電界検出手段(光電界センサ26)から出力される電界強度検出信号edに基づく電界強度との関係を、電力増幅器231 ,232 毎に所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースが作成される。そして、設定された一定電界強度及び周波数のマイクロ波w1 ,w2 に対応する種信号scのレベルがデータベースに基づいて算出され、信号発生装置21に対して、算出されたレベルの種信号scを発生させるためのレベル制御信号vc及び周波数制御信号fcが与えられると共に、パルス発生器22に対してパルス制御信号pcが与えられる(信号発生装置制御処理)。
【0025】
信号発生装置21では、信号発生装置制御手段(測定装置10A)から周波数制御信号fc及びレベル制御信号vc、及びパルス発生器22からトリガ信号tgが与えられ、周波数制御信号fcに対応した周波数かつレベル制御信号vcに対応したレベルの種信号scがトリガ信号tgに基づいて発生する。電力増幅器231 ,232 により、信号発生装置21から発生した種信号scが増幅されてマイクロ波w1 ,w2 に対応するRF信号u,vが出力される。アンテナ241 ,242 により、電力増幅器231 ,232 から出力されたRF信号u,vに対応したマイクロ波w1 ,w2 が電子機器(供試機器28)に照射される。電界検出手段(光電界センサ26)により、電子機器(供試機器28)に照射されたマイクロ波w1 ,w2 の電界が検出されて電界強度検出信号edが出力される。
【0026】
上記データベースは、信号発生装置制御手段(測定装置10A)により、電力増幅器231 ,232 の入出力特性の線形領域(リニア領域)と非線形領域(飽和領域)との境界及び非線形領域(飽和領域)内の任意の点での種信号scのレベルと電界強度検出信号edに基づく電界強度との関係を電力増幅器231 ,232 毎に測定することにより作成される。また、上記設定された一定電界強度及び周波数のマイクロ波w1 ,w2 に対応する種信号scのレベルは、信号発生装置制御手段(測定装置10A)により、上記データベースの電界強度を線形補間することにより算出される。
【0027】
すなわち、図2に示すように、まず、コンプレッションファイルを作成する(コンプレッションファイル作成処理、ステップA1)。コンプレッションファイルの作成では、図8に示すような信号発生装置21の出力レベル(種信号scのレベル)に対する電力増幅器231 (又は232 )の出力レベル(RF信号のレベル)の特性が測定される(電力増幅器の入出力特性の測定、ステップA2)。そして、各周波数毎に、傾きが略“1”になる点a、傾きが略“0.5”となる点b、傾きが略“0.3”となる点c、及び、傾きが略“0”となる点dを求め、点a,b,c,dでの信号発生装置21の出力レベルを抽出することにより作成される(コンプレッションファイルの作成、ステップA3)。作成されたコンプレッションファイルでは、たとえば図3に示すように、周波数f1[MHz]に対して、点a,b,c,dでの信号発生装置21の出力レベルがP1,P2,P3,P4[dBm]となっている。
【0028】
このコンプレッションファイルを基に、校正テーブルを作成する(校正データの作成処理、ステップA4)。この校正テーブルは、供試機器28の照射領域に、コンプレッションファイルの信号発生装置21の出力レベルに基づいてマイクロ波w1 ,w2 を照射し、光電界センサ26により電界強度を測定することにより、種信号scの周波数、信号発生装置21の出力値、及び測定した電界値をデータベース化した換算テーブルである。
この場合、まず、校正データを作成するための種信号scの周波数の範囲が設定される(校正周波数範囲の設定、ステップA5)。そして、図3のコンプレッションファイルから、設定された周波数の範囲内の各周波数における信号発生装置21の出力レベル(SG出力レベル)を4点(出力レベルP1,P2,P3,P4)読み込み、周波数を変更して同様に出力レベルを読み込む(校正の開始、ステップA6、周波数のシフト、ステップA7)。これにより、図4に示すように、信号発生装置21の出力レベルP1,P2,P3,P4[dBm]に対応した電界値E1,E2,E3,E4[dBm]が得られ、校正テーブルが作成される(校正データの完成、ステップA8)。
【0029】
この校正データの出力レベルP1,P2,P3,P4の各データ間は、電界値E1,E2,E3,E4を線形補間することにより算出され、アンテナ241 ,242 から所望の一定の電界強度のマイクロ波w1 ,w2 を照射することが可能となる(電界一定モード実行処理、ステップA9)。この場合、所望する電界値が入力され(ステップA10)、校正データより信号発生装置21の出力レベルが自動計算されて同信号発生装置21が制御され、電界値が一定の照射試験が行われる(ステップA11)。さらに、種信号scの周波数がシフトされ(ステップA12)、ステップA11に戻って同様の照射試験が行われる。
【0030】
上記所望の電界強度を計算する場合、この電界強度の値をEset(V/m)とし、照射したいマイクロ波w1 ,w2 の周波数をfrとする。周波数frにおいて、校正テーブル中の電界値を、小さい値から電界値E1,E2,E3,E4とし、同校正テーブル中の信号発生装置21の出力レベルを小さい値から出力レベルP1,P2,P3,P4とするとき、電界強度Esetの値に応じて信号発生装置21の出力レベルPsetの計算方法は、次の[1]乃至[5]のように場合分けされる。すなわち、
[1]Eset<E1のとき、
Pset=P1+20log(Eset)−20log(E1)
[2]E1≦Eset<E2のとき、
Pset=P1+(P2−P1){log(Eset)−log(E1)}
÷{log(E2)−log(E1)}
[3]E2≦Eset<E3のとき、
Pset=P2+(P3−P2){log(Eset)−log(E2)}
÷{log(E3)−log(E2)}
[4]E3≦Eset<E4のとき、
Pset=P3+(P4−P3){log(Eset)−log(E3)}
÷{log(E4)−log(E3)}
[5]E4≦Esetのとき、
Pset=P4
【0031】
操作部11にて、オペレータが周波数frの所望の電界値Esetを設定すると、評価部14Aで上記校正テーブルを基にして上記の自動計算が短時間で行われ、アンテナ241 ,242 から電界値Esetのマイクロ波w1 ,w2 が供試機器28に照射される。
【0032】
以上のように、この第1の実施形態では、測定装置10Aにより、信号発生装置21から出力される種信号scのレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと、光電界センサ26から出力される電界強度検出信号edに基づく電界強度との関係を、電力増幅器231 ,232 毎に所定の周波数帯域内の周波数毎に予め測定してデータベースが作成され、設定された一定電界強度及び周波数のマイクロ波w1 ,w2 に対応する種信号scのレベルがデータベースに基づいて短時間で算出され、信号発生装置21に対して、算出されたレベルの種信号scを発生させるためのレベル制御信号vc及び周波数制御信号fcが与えられる。これにより、アンテナ241 ,242 から所望の電界値のマイクロ波w1 ,w2 が供試機器28に照射される。
【実施形態2】
【0033】
図5は、この発明の第2の実施形態であるマイクロ波照射試験装置の電力増幅器の入出力特性に基づいてデータベースを作成するための飽和領域の態様を示す図である。
この形態のマイクロ波照射試験装置では、図1中の評価部14Aに代えて、新たな機能が付加された図示しない評価部14Bが設けられている。
評価部14Bは、信号発生装置21から出力される種信号scの飽和領域(非線形領域)内の複数の点でのレベルと電界強度検出信号edに基づく電界強度との関係を測定してデータベースを作成する。すなわち、評価部14Bは、図5に示すように、各周波数毎に、傾きが略“1”の点a、傾きが略“0.7”となる点b、傾きが略“0.5”となる点c、傾きが略“0.3”となる点d、傾きが略“0.1”となる点e、傾きが略“0”となる点fを求め、点a,b,c,d,e,fでの信号発生装置21の出力レベルを抽出することにより、コンプレッションファイルを作成する。そして、評価部14Bは、このコンプレッションファイルを基に、校正テーブルを作成する。
【0034】
このマイクロ波照射試験装置では、評価部14Bにより、信号発生装置21から出力される種信号scの飽和領域(非線形領域)内の複数の点でのレベルと電界強度検出信号edに基づく電界強度との関係が測定されてデータベースが作成されるので、設定された一定電界強度に対する供試機器28に照射されるマイクロ波w1 ,w2 の電界値の差が少なくなり、同マイクロ波w1 ,w2 の電界値の精度が向上する。ただし、この場合、データベースの作成時間が増加するので、時間と精度の兼ね合いを考慮した最良の方法で試験を行う必要がある。
【実施形態3】
【0035】
図6は、この発明の第3の実施形態であるマイクロ波照射試験装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態のマイクロ波照射試験装置では、図6に示すように、図1の試験装置の構成に加え、電力増幅器233 ,234 及びアンテナ243 ,244 が付加されている。電力増幅器233 ,234 は、周波数帯域がそれぞれ異なる構成とされ、信号発生装置21から発生した種信号scを増幅してマイクロ波に対応するRF信号m,n(高周波信号)を出力する。また、電力増幅器233 ,234 は、電力増幅器231 ,232 とも周波数帯域が異なる構成となっている。また、電力増幅器231 ,232 ,233 ,234 は、種信号scを増幅する利得がそれぞれ異なる構成とされている。アンテナ243 ,244 は、RF信号m,nに対応したマイクロ波w3 ,w4 を供試機器28に照射する。他は、図1と同様の構成である。
【0036】
このマイクロ波照射試験装置では、電力増幅器233 ,234 は、周波数帯域がそれぞれ異なり、また、電力増幅器231 ,232 とも周波数帯域が異なることにより、より広帯域で所望する電界強度のマイクロ波w1 ,w2 ,w3 ,w4 が供試機器28に照射される。また、電力増幅器231 ,232 ,233 ,234 は、利得がそれぞれ異なることにより、供試機器28に照射するマイクロ波w1 ,w2 ,w3 ,w4 の電界強度の幅が広げられる。
【0037】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、上記第2の実施形態では、図5中の飽和領域内の点d,eに加え、他の点を付加することにより、マイクロ波w1 ,w2 の電界値の精度がさらに向上する。また、上記第3の実施形態では、図6中の電力増幅器231 ,232 ,233 ,234 に加え、周波数帯域及び利得が異なる電力増幅器を付加することにより、供試機器28に照射されるマイクロ波の周波数帯域及び電界強度の幅が広がる。
【0038】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0039】
(付記1)試験対象物である電子機器に所望の一定電界強度のマイクロ波を所定の周波数帯域にわたり照射することにより、該電子機器に及ぼすマイクロ波の影響を解析するためのマイクロ波照射試験装置であって、周波数制御信号及びレベル制御信号が与えられ、該周波数制御信号に対応した周波数かつ該レベル制御信号に対応したレベルの種信号を発生する信号発生装置と、該信号発生装置から発生した前記種信号を増幅して前記マイクロ波に対応する高周波信号を出力する所定数の電力増幅器と、前記各電力増幅器毎に設けられ、前記各電力増幅器から出力された前記高周波信号に対応した前記マイクロ波を前記電子機器に照射するアンテナと、前記電子機器に照射された前記マイクロ波の電界を検出して電界強度検出信号を出力する電界検出手段と、前記信号発生装置から出力される前記種信号のレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと前記電界検出手段から出力される前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に前記所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースを作成し、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを前記データベースに基づいて算出し、前記信号発生装置に対して、前記算出されたレベルの前記種信号を発生させるための前記レベル制御信号及び周波数制御信号を与える信号発生装置制御手段とを備えてなるマイクロ波照射試験装置。
【0040】
(付記2)前記各電力増幅器は、前記種信号のレベルの増加に対して前記高周波信号のレベルが線形に増加する線形領域、及び前記種信号のレベルの増加に対して前記高周波信号のレベルが非線形に増加する非線形領域からなる入出力特性を有し、前記信号発生装置制御手段は、前記線形領域と前記非線形領域との境界及び前記非線形領域内の任意の点での前記種信号のレベルと前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に測定して前記データベースを作成する構成とされている付記1記載のマイクロ波照射試験装置。
【0041】
(付記3)前記信号発生装置制御手段は、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを、前記データベースの前記電界強度を線形補間することにより算出する構成とされている付記1又は2記載のマイクロ波照射試験装置。
【0042】
(付記4)前記信号発生装置制御手段は、前記非線形領域内の複数の点での前記種信号のレベルと前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に測定して前記データベースを作成する構成とされている付記2又は3記載のマイクロ波照射試験装置。
【0043】
(付記5)前記各電力増幅器は、周波数帯域がそれぞれ異なる構成とされている付記1、2、3又は4記載のマイクロ波照射試験装置。
【0044】
(付記6)前記各電力増幅器は、前記種信号を増幅する利得がそれぞれ異なる構成とされている付記1、2、3、4又は5記載のマイクロ波照射試験装置。
【0045】
(付記7)試験対象物である電子機器に所望の一定電界強度のマイクロ波を所定の周波数帯域にわたり照射することにより、該電子機器に及ぼすマイクロ波の影響を解析するためのマイクロ波照射試験装置に用いられる照射試験方法であって、該マイクロ波照射試験装置は、周波数制御信号及びレベル制御信号が与えられ、該周波数制御信号に対応した周波数かつ該レベル制御信号に対応したレベルの種信号を発生する信号発生装置と、該信号発生装置から発生した前記種信号を増幅して前記マイクロ波に対応する高周波信号を出力する所定数の電力増幅器と、前記各電力増幅器毎に設けられ、前記各電力増幅器から出力された前記高周波信号に対応した前記マイクロ波を前記電子機器に照射するアンテナと、前記電子機器に照射された前記マイクロ波の電界を検出して電界強度検出信号を出力する電界検出手段と、信号発生装置制御手段とを備え、該信号発生装置制御手段が、前記信号発生装置から出力される前記種信号のレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと前記電界検出手段から出力される前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に前記所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースを作成し、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを前記データベースに基づいて算出し、前記信号発生装置に対して、前記算出されたレベルの前記種信号を発生させるための前記レベル制御信号及び周波数制御信号を与える信号発生装置制御処理を行う照射試験方法。
【0046】
(付記8)前記各電力増幅器は、前記種信号のレベルの増加に対して前記高周波信号のレベルが線形に増加する線形領域、及び前記種信号のレベルの増加に対して前記高周波信号のレベルが非線形に増加する非線形領域からなる入出力特性を有し、前記信号発生装置制御手段が、前記線形領域と前記非線形領域との境界及び前記非線形領域内の任意の点での前記種信号のレベルと前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に測定して前記データベースを作成する付記7記載の照射試験方法。
【0047】
(付記9)前記信号発生装置制御手段が、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを、前記データベースの前記電界強度を線形補間することにより算出する付記7又は8記載の照射試験方法。
【0048】
(付記10)前記信号発生装置制御手段が、前記非線形領域内の複数の点での前記種信号のレベルと前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に測定して前記データベースを作成する付記8又は9記載の照射試験方法。
【0049】
(付記11)前記各電力増幅器は、周波数帯域がそれぞれ異なる構成とされている付記7、8、9又は10記載の照射試験方法。
【0050】
(付記12)前記各電力増幅器は、前記種信号を増幅する利得がそれぞれ異なる構成とされている付記7、8、9又は10記載の照射試験方法。
【0051】
(付記13)コンピュータを、付記1乃至6のいずれか一に記載の信号発生装置制御手段として機能させる照射試験プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明は、マイクロ波の供試機器に及ぼす影響を解析するマイクロ波照射試験装置全般に適用できる。
【符号の説明】
【0053】
10A 測定装置(信号発生装置制御手段)
11 操作部(信号発生装置制御手段の一部)
12 表示部(信号発生装置制御手段の一部)
13 記憶部(信号発生装置制御手段の一部)
14A 評価部(信号発生装置制御手段の一部)
15 検出部(信号発生装置制御手段の一部)
16 制御部(信号発生装置制御手段の一部)
21 信号発生装置
231 ,232 ,233 ,234 電力増幅器
241 ,242 ,243 ,244 アンテナ
26 光電界センサ(電界検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象物である電子機器に所望の一定電界強度のマイクロ波を所定の周波数帯域にわたり照射することにより、該電子機器に及ぼすマイクロ波の影響を解析するためのマイクロ波照射試験装置であって、
周波数制御信号及びレベル制御信号が与えられ、該周波数制御信号に対応した周波数かつ該レベル制御信号に対応したレベルの種信号を発生する信号発生装置と、
該信号発生装置から発生した前記種信号を増幅して前記マイクロ波に対応する高周波信号を出力する所定数の電力増幅器と、
前記各電力増幅器毎に設けられ、前記各電力増幅器から出力された前記高周波信号に対応した前記マイクロ波を前記電子機器に照射するアンテナと、
前記電子機器に照射された前記マイクロ波の電界を検出して電界強度検出信号を出力する電界検出手段と、
前記信号発生装置から出力される前記種信号のレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと前記電界検出手段から出力される前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に前記所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースを作成し、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを前記データベースに基づいて算出し、前記信号発生装置に対して、前記算出されたレベルの前記種信号を発生させるための前記レベル制御信号及び周波数制御信号を与える信号発生装置制御手段とを備えてなることを特徴とするマイクロ波照射試験装置。
【請求項2】
前記各電力増幅器は、
前記種信号のレベルの増加に対して前記高周波信号のレベルが線形に増加する線形領域、及び前記種信号のレベルの増加に対して前記高周波信号のレベルが非線形に増加する非線形領域からなる入出力特性を有し、
前記信号発生装置制御手段は、
前記線形領域と前記非線形領域との境界及び前記非線形領域内の任意の点での前記種信号のレベルと前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に測定して前記データベースを作成する構成とされていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波照射試験装置。
【請求項3】
前記信号発生装置制御手段は、
設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを、前記データベースの前記電界強度を線形補間することにより算出する構成とされていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ波照射試験装置。
【請求項4】
前記信号発生装置制御手段は、
前記非線形領域内の複数の点での前記種信号のレベルと前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に測定して前記データベースを作成する構成とされていることを特徴とする請求項2又は3記載のマイクロ波照射試験装置。
【請求項5】
前記各電力増幅器は、
周波数帯域がそれぞれ異なる構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のマイクロ波照射試験装置。
【請求項6】
前記各電力増幅器は、
前記種信号を増幅する利得がそれぞれ異なる構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のマイクロ波照射試験装置。
【請求項7】
試験対象物である電子機器に所望の一定電界強度のマイクロ波を所定の周波数帯域にわたり照射することにより、該電子機器に及ぼすマイクロ波の影響を解析するためのマイクロ波照射試験装置に用いられる照射試験方法であって、
該マイクロ波照射試験装置は、
周波数制御信号及びレベル制御信号が与えられ、該周波数制御信号に対応した周波数かつ該レベル制御信号に対応したレベルの種信号を発生する信号発生装置と、
該信号発生装置から発生した前記種信号を増幅して前記マイクロ波に対応する高周波信号を出力する所定数の電力増幅器と、
前記各電力増幅器毎に設けられ、前記各電力増幅器から出力された前記高周波信号に対応した前記マイクロ波を前記電子機器に照射するアンテナと、
前記電子機器に照射された前記マイクロ波の電界を検出して電界強度検出信号を出力する電界検出手段と、
信号発生装置制御手段とを備え、
該信号発生装置制御手段が、前記信号発生装置から出力される前記種信号のレベルの可変範囲内での上限値及び下限値を含む複数のレベルと前記電界検出手段から出力される前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に前記所定の周波数帯域内の任意の周波数毎に予め測定してデータベースを作成し、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを前記データベースに基づいて算出し、前記信号発生装置に対して、前記算出されたレベルの前記種信号を発生させるための前記レベル制御信号及び周波数制御信号を与える信号発生装置制御処理を行うことを特徴とする照射試験方法。
【請求項8】
前記各電力増幅器は、前記種信号のレベルの増加に対して前記高周波信号のレベルが線形に増加する線形領域、及び前記種信号のレベルの増加に対して前記高周波信号のレベルが非線形に増加する非線形領域からなる入出力特性を有し、
前記信号発生装置制御手段が、前記線形領域と前記非線形領域との境界及び前記非線形領域内の任意の点での前記種信号のレベルと前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に測定して前記データベースを作成することを特徴とする請求項7記載の照射試験方法。
【請求項9】
前記信号発生装置制御手段が、設定された前記一定電界強度及び周波数のマイクロ波に対応する前記種信号のレベルを、前記データベースの前記電界強度を線形補間することにより算出することを特徴とする請求項7又は8記載の照射試験方法。
【請求項10】
前記信号発生装置制御手段が、前記非線形領域内の複数の点での前記種信号のレベルと前記電界強度検出信号に基づく電界強度との関係を前記各電力増幅器毎に測定して前記データベースを作成することを特徴とする請求項8又は9記載の照射試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257199(P2011−257199A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130523(P2010−130523)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】