説明

マイクロRNA及びそれを阻害する方法

【課題】新規なマイクロRNA及びそれを阻害する方法の提供。
【解決手段】配列番号1〜94、281〜374、467〜481、497〜522又は549のいずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する、少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子。更に、修飾された一本鎖マイクロRNA分子、単離された一本鎖アンチマイクロRNA分子及び単離されたマイクロRNP分子。更に、細胞のマイクロRNP活性を阻害する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)本特許出願は、米国特許仮出願第60/714519号(2005年4月29日に出願)の優先権を主張し、その全開示内容は本願明細書に参照により援用される。本明細書に記載されている本発明は、国立衛生研究所/NIGMSの承認番号1 P01 GM073047−01及び1 R01 GM068476−01による資金によりなされたものである。ゆえに米国政府は本発明に関して一定の権利を有する。
【0002】
(技術分野)本発明は、新規なマイクロRNA及びそれを阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロRNAは、典型的には小さいRNA分子、すなわち一般に長さ約19〜25ヌクレオチド長のRNA分子である。これらのマイクロRNAは、ヘアピン前駆体が分裂して生じるノンコーディングRNAである。幾つかのマイクロRNAは、広範囲にわたる多細胞生物のゲノムにおいて同定されている。
【0004】
動物のマイクロRNAは、多くのゲノム部位で見出されている。一般的に、大部分のマイクロRNAは遺伝子間領域にコードされている。他のマイクロRNAは、mRNAのイントロン中、又は非コーディングRNA転写物内に存在する。
【0005】
多くのマイクロRNAは、近縁でない生物種間でもその配列が保存されており、組織特異的又は発生の各段階において、特徴的な発現を呈する。生物種間の配列の保存は、マイクロRNAが生物学的プロセスにおいて、重要な役割を果たすことを示唆する。
【0006】
マイクロRNAは、標的遺伝子のmRNAの3’側のノンコーディング領域に部分的にハイブリダイズした後に翻訳をブロックすることが報告されている。前記マイクロRNAの標的となる遺伝子は未だ解明すべき部分が残されている。
【0007】
しかしながら、マイクロRNAは多様な疾病や症状を発症させることを示唆する証拠が揃いつつある。例えば、ショウジョウバエ・マイクロRNAは、アポトーシスに関係する標的遺伝子に示された。例えば、ショウジョウバエのマイクロRNAは、アポトーシスに関連する遺伝子を標的としていることが明らかとされ、またB細胞慢性リンパ性白血病は、2つのマイクロRNAの欠失が関与していることが明らかとされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上より、多くの疾病及び疾患の調節において一定の役割を果たす遺伝子調節機構を解明することは重要である。上記に鑑み、例えばマイクロRNAのような多くの疾病及び疾患の調節因子の機能を解明する一助となり得る材料及び方法が求められている。
【0009】
更に、マイクロRNAはRNA分解を誘発するか又は重要なタンパク質をコードするmRNAの翻訳を抑制する能力を有するため、標的mRNAのマイクロRNAにより誘発された裂開又は翻訳抑制を阻止する新規な分子が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、配列番号1〜94のいずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、塩基の最高10%が非相補的である場合を除く)を有する、少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子に関する。
【0011】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号1〜94に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0012】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号1〜94に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子に関する。
【0013】
本発明の他の実施態様は、細胞内でマイクロRNAの活性を阻害する方法であって、前記マイクロRNAはマイクロRNA分子を含み、前記方法は請求項18の一本鎖のアンチマイクロRNA分子を細胞に導入する工程を含み、前記アンチマイクロRNAが前記マイクロRNAと相補的である方法に関する。
【0014】
本発明の他の実施態様は、本発明に従って単離されたDNA又はRNA分子を含む単離されたマイクロRNPに関する。
【0015】
本発明の他の実施態様は、本発明に係る単離された一本鎖マイクロRNA分子からを含んでなる単離されたマイクロRNPに関する。
【0016】
本発明の他の実施態様は、配列番号281〜374のいずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する、少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子に関する。
【0017】
本発明の他の実施態様は、配列番号467〜481のいずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する、少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子に関する。
【0018】
本発明の他の実施態様は、配列番号497〜522いずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する、少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子に関する。
【0019】
本発明の他の実施態様は、配列番号549に示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する、少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子に関する。
【0020】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号281〜374に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0021】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号467〜481に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0022】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号497〜522に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0023】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号549に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0024】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号281〜374に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子に関する。
【0025】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号467〜481に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子に関する。
【0026】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号497〜522に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子に関する。
【0027】
本発明の他の実施態様は、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号549に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、隣接する塩基の最高10%においてその付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せを有してもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
マイクロRNA分子
本発明の一実施態様は、単離された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0029】
別の実施形態では、本発明は配列番号281−374のいずれか1つを有する単離された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0030】
更に別の実施形態では、本発明は配列番号467−481のいずれか1つを有する単離された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0031】
更なる実施形態では、本発明は配列番号497−522のいずれか1つを有する単離された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0032】
更なる実施形態では、本発明は配列番号549のいずれか1つを有する単離された一本鎖マイクロRNA分子に関する。
【0033】
マイクロRNA分子は、従来技術において周知である(Bartel,Cell,2004,116,281−297)。BartelによるマイクロRNA分子に関する定義及び特徴は本願明細書に援用される。この種の分子は、ゲノムの染色体位置に由来し、特定のマイクロRNA遺伝子から生じる。
【0034】
成熟したマイクロRNA分子は、部分的にヘアピン構造を形成する前駆体転写物からプロセシングされる。前記ヘアピン構造はDicerとして公知の酵素によって適当に切断される。Bartelの上記文献を参照のこと。
【0035】
通常、マイクロRNAデュプレックスの2本鎖のうちの1本は、マイクロRNAリボ核タンパク複合体(マイクロRNP)で包まれる。例えば、ヒトのマイクロRNPはタンパク質eIF2C2、ヘリカーゼGemin3及びGemin4を含む。Argonauteタンパク質ファミリー(例えばAgol3及び4)の他のメンバーもまたマイクロRNAと結合してマイクロRNPを形成する。
【0036】
ヒトにおいて、Ago2を含んでいるマイクロRNPは典型的には、標的RNA配列のマイクロRNA裂開を誘導する。他のAgoタンパク質(例えばAgo1、3及び4)を含んでいるマイクロRNP複合体は通常、標的mRNAの翻訳を抑制する。
【0037】
1つの実施形態では、本発明は、配列番号1〜94に示される配列及びそれの均等物を有する少なくとも10の隣接する塩基を含んでなる、単離されたDNA又はRNA分子に関する。好ましくは、前記の単離されたDNA又はRNA分子は、少なくとも13、好ましくは少なくとも15、更に好ましくは少なくとも20の隣接する塩基を含んでなる。
【0038】
1つの実施形態では、本発明は、配列番号281〜374に示される配列及びそれの均等物を有する少なくとも10の隣接する塩基を含んでなる、単離されたDNA又はRNA分子に関する。好ましくは、前記の単離されたDNA又はRNA分子は、少なくとも13、好ましくは少なくとも15、更に好ましくは少なくとも20の隣接する塩基を含んでなる。
【0039】
1つの実施形態では、本発明は、配列番号467〜481に示される配列及びそれの均等物を有する少なくとも10の隣接する塩基を含んでなる、単離されたDNA又はRNA分子に関する。好ましくは、前記の単離されたDNA又はRNA分子は、少なくとも13、好ましくは少なくとも15、更に好ましくは少なくとも20の隣接する塩基を含んでなる。
【0040】
更なる態様では、本発明は、表A6の配列番号497−522に示される配列及びその均等物を有する少なくとも10の隣接する塩基を含んでなる、単離されたDNA又はRNA分子に関する。好ましくは、前記の単離されたDNA又はRNA分子は、少なくとも13、好ましくは少なくとも15、更に好ましくは少なくとも20の隣接する塩基を含んでなる。
【0041】
1つの実施形態では、本発明は、配列番号549に示される配列及びそれの均等物を有する少なくとも10の隣接する塩基を含んでなる、単離されたDNA又はRNA分子に関する。好ましくは、前記の単離されたDNA又はRNA分子は、少なくとも13、好ましくは少なくとも15、更に好ましくは少なくとも20の隣接する塩基を含んでなる。
【0042】
表A:マイクロRNA配列
【表1】




【0043】
表A1:マイクロRNAヘアピン前駆体配列
【表2】







【0044】
表A2:マイクロRNA配列
【表3】



【0045】
表A3:マイクロRNAヘアピン前駆体配列
【表4】




【0046】
表A4:マイクロRNA配列
【表5】

【0047】
表A5:マイクロRNAヘアピン前駆体配列
【表6】

【0048】
表A6:マイクロRNA配列
【表7】

【0049】
表A7:マイクロRNAヘアピン前駆体配列
【表8】


【0050】
表A8:マイクロRNA配列及びヘアピン前駆体配列
【表9】

【0051】
本願明細書において、塩基とは、天然のDNA又はRNAで見られるヌクレオチドの塩基のいずれか1つのことを指す。前記塩基は、プリン又はピリミジンである。前記プリン塩基の例としては、アデニン(A)と、グアニン(G)が含まれる。前記ピリミジン塩基の例としては、チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が含まれる。アデニンは、2,6−ジアミノプリンと置換されてもよい。
【0052】
本願明細書において、開示される未修飾の核酸分子の配列は、ウラシル塩基を有して示される。ウラシル塩基は、未修飾のRNA分子中で生じる。本発明には、未修飾のDNA分子も含まれる。DNA分子ではウラシル塩基がチミン塩基で置換されている以外は、DNA分子の塩基配列はRNA分子と同様である。
【0053】
配列中の各々の塩基は、相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成できる。すなわち:アデニン及びチミン(A−T)、アデニン及びウラシル(A−U)、シトシン及びグアニン(C−G)の塩基対である。
【0054】
均等物とは、少なくとも10の隣接する塩基のうち、最高30%がゆらぎ塩基であり、また最高10%、更に好ましくは最高5%までの隣接する塩基が非相補的である状態の分子を指す。
【0055】
本発明では、ゆらぎ塩基とは、分子の配列中における、1)ウラシルによるシトシンの置換、又は2)グアニンによるアデニンの置換を指す。これらのゆらぎ塩基置換は一般に、UG又はGUゆらぎと呼ばれる。表3は、隣接する塩基の数及び分子のゆらぎ塩基の最大数を示す。
【0056】
表B:隣接塩基数及び最大ゆらぎ塩基数
【表10】

【0057】
本願明細書において、「非相補的」とは、付加、欠失、ミスマッチ又はそれらの組合せを指す。付加とは、何らかの塩基が上記隣接する配列に挿入されることを指す。欠失とは、隣接する配列に存在する何らかの部分が除去されることを指す。ミスマッチとは、隣接する配列の塩基のうちの1つが異なる塩基に置換されることを指す。
【0058】
付加、欠失又はミスマッチは、例えば隣接する配列のいずれの端部又は分子中の隣接する配列の中間部分で生じてもよい。典型的には、例えば、隣接する配列が約10〜約15塩基長と比較的短い場合、付加、欠失又はミスマッチは隣接する配列の末端付近にて生じる。隣接する配列が比較的長い場合、例えば、最低16塩基の隣接する配列である場合は、付加、欠失又はミスマッチは隣接する配列のどこでも生じ得る。
【0059】
例えば、隣接塩基数が10〜19であるときは、隣接塩基のうちの0又は1つが付加、欠失又はミスマッチであってもよく、また隣接する塩基数が20〜23であるときは、0、1又は2つの塩基の付加、欠失又はミスマッチが許容範囲となる。
【0060】
単離されたDNA又はRNA分子はまた、マイクロRNAの少なくとも10の隣接するヌクレオチドに加えて、1つ以上のヌクレオチドを追加してもよい。なお、前記の追加ヌクレオチド数に上限はない。典型的には、最高500ヌクレオチド、好ましくは最高300ヌクレオチドを、マイクロRNAの少なくとも10の隣接する塩基に追加してもよい。
【0061】
いかなるヌクレオチドを追加してもよい。前記のヌクレオチド追加は上記のいずれの塩基により行ってもよい。したがって、例えば追加ヌクレオチドはA、G、C、T又はUのいずれか1つ又は2つ以上でもよい。
【0062】
1つの実施形態では、マイクロRNAはヘアピン前駆体配列又はそのフラグメントの一部である。例えば、適切なヘアピン前駆体配列を配列番号95〜187に示す。更にヘアピン前駆体を、表A3の配列番号375〜466、表A5の配列番号482〜496、表A7の配列番号523〜548、及び表A8の配列番号550として示す。
【0063】
前記フラグメントは、その5’末端及び/又は3’末端にて、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、好ましくは最低20のヌクレオチド含む、ヘアピン前駆体配列のいかなるフラグメントであってもよい。好ましくは、前記ヌクレオチドの配列はマイクロRNAが存在するヘアピン前駆体に存在する。
【0064】
マイクロRNA又はヘアピン前駆体は、例えば組換えベクターなどに挿入できる。典型的には、マイクロRNA配列を含むヘアピン前駆体配列をベクターに挿入してマイクロRNA含有組換えベクターを構築する。例えば、Chenら、Science 2004,303:83−86を参照。
【0065】
組換えベクターは、例えばプラスミド、コスミド又はファージ等のいかなる組換えベクターでもよい。組換えベクターは、一般に複製開始点を有する。ベクターとしては、例えばアデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)等のウイルスベクターが使用可能である。例えばLedley 1996,Pharmaceutical Research13:1595−1614、Vermaら、Nature 1997,387:239−242を参照。
【0066】
ベクターに更に選択マーカーを含めてもよい。適切な選択マーカーとしては、例えばテトラサイクリン又はゲンタマイシンなどの薬剤耐性マーカー、又は例えばβ−ガラクトシダーゼ又はルシフェラーゼのような検出可能な遺伝子マーカーが使用可能である。
【0067】
好ましい実施形態では、単離されたDNA又はRNA分子は、実質的に配列番号1〜187に示されるマイクロRNA配列又はヘアピン前駆体配列のいずれか1つからなる。
【0068】
好ましい実施形態では、単離されたDNA又はRNA分子は、実質的に配列番号281〜466に示されるマイクロRNA配列又はヘアピン前駆体配列のいずれか1つからなる。
【0069】
好ましい実施形態では、単離されたDNA又はRNA分子は、実質的に配列番号467〜496に示されるマイクロRNA配列又はヘアピン前駆体配列のいずれか1つからなる。
【0070】
好ましい実施形態では、単離されたDNA又はRNA分子は、実質的に配列番号497〜548に示されるマイクロRNA配列又はヘアピン前駆体配列のいずれか1つからなる。
【0071】
好ましい実施形態では、単離されたDNA又はRNA分子は、実質的に配列番号549〜550に示されるマイクロRNA配列又はヘアピン前駆体配列のいずれか1つからなる。
【0072】
本願明細書において「単離された」とは、分子が他の核酸を実質的に含まないことを指す。他の核酸を本質的に含まないとは、分子が少なくとも約90%、好ましくは少なくとも95%、更に好ましくは少なくとも約98%の純度で他の核酸を含まないことを指す。
【0073】
なお、それは前記分子が他の核酸を含まないという意味の他に、前記分子の合成及び単離において、使用する他の材料を含まないという意味も含まれる。合成において使用する材料は、例えば酵素である。単離において使用する材料は、例えばゲル類(例えばSDS−PAGE用)である。前記分子は、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも95%、更に好ましくは少なくとも約98%の純度でこれらの材料を含まない。
【0074】
マイクロRNA又はヘアピン前駆体の塩基の配列は、高度に保存されている。そのため、いかなる哺乳類の細胞由来の配列でも使用可能である。哺乳類の例としては、イヌ及びネコなどの愛玩動物、ウシ、ウマ及びヒツジなどの家畜、ネズミ、マウス及びウサギのような実験動物、サル及びヒトのような霊長類が挙げられる。前記哺乳類は好ましくはヒト又はマウスである。
【0075】
修飾された一本鎖マイクロRNA分子:
他の実施形態では、本発明は修飾された一本鎖マイクロRNA分子に関する。修飾された一本鎖マイクロRNA分子は上記のマイクロRNA分子、そのヘアピン前駆体分子若しくは均等物のいずれであってもよいが、但し当該修飾された分子が少なくとも1つの修飾部分を含んでなる(すなわち、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない)。この実施形態では、前記の修飾されたマイクロRNA分子は、少なくとも10、好ましくは少なくとも13、好ましくは少なくとも15、更により好ましくは少なくとも18、最も好ましくは少なくとも21の部分を含む。
【0076】
修飾されたマイクロRNA分子は、多くとも50、好ましくは多くとも40、好ましくは多くとも30、更に好ましくは多くとも25、最も好ましくは多くとも23の部分を含む。前記部分の最小数及び最大数の適切な範囲は、上記のいずれかの最小数及びいずれかの最大数を組み合わせて設定してもよい。
【0077】
各々の修飾された部分は、基本単位に結合する塩基を含む。前記基本単位は、安定して塩基と結合して、オリゴマー鎖を形成できるいかなる分子単位でもあってもよい。本願明細書において、修飾された部分の基本単位には、天然のDNA又はRNA分子に通常存在する基本単位は包含されない。
【0078】
このように修飾されたマイクロRNA分子は、ヌクレアーゼ耐性が増加している。したがって、未修飾リボヌクレオチド部分のみ、未修飾デオキシリボヌクレオチド部分のみ、又はそれらの両方を有する配列と比較し、前記分子のヌクレアーゼ耐性は増加している。このような修飾された部分は、例えばKurreck,Eur.J.Biochem.270,1628−1644(2003)により公知技術である。
【0079】
エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ又はその両方のヌクレアーゼに対する耐性が得られる。エキソヌクレアーゼは3’→5’エキソヌクレアーゼ又は5’→3’エキソヌクレアーゼのいずれでもよい。3’→5’ヒトエキソヌクレアーゼの例としては、PNPT1、ワーナー症候群ヘリカーゼ、RRP40、RRP41、RRP42、RRP45、RRP46が挙げられる。5’→3’エキソヌクレアーゼの例としては、XRN2及びFEN1が挙げられる。エンドヌクレアーゼの例としては、Dicer、Drosha、RNase4、リボヌクレアーゼP、リボヌクレアーゼH1、DHP1、ERCC−I及びOGG1が挙げられる。エキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼとして機能するヌクレアーゼの例としては、APE1及びEXO1が挙げられる。
【0080】
修飾された部分を、マイクロRNA分子のいかなる位置に設けてもよい。例えば、マイクロRNA分子を3’→5’エキソヌクレアーゼから保護する場合、分子中の3’末端に少なくとも1つの修飾された部分を、好ましくは3’末端に少なくとも2つの修飾された部分を設けてもよい。分子を5’→3’エキソヌクレアーゼから保護する場合、好ましくは、マイクロRNA分子の5’末端に少なくとも1つの修飾された部分、好ましくは少なくとも2つの修飾された部分を設けてもよい。マイクロRNA分子の5’末端と3’末端の間に、少なくとも1つの好ましくは少なくとも2つの修飾された部分を設けてもよく、それによりエンドヌクレアーゼ耐性を増加させることができる。好ましくは、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、更により好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約95%の部分が修飾される。1つの実施形態では、部分の全てが修飾された(例えばヌクレアーゼ耐性)分子である。
【0081】
修飾されたマイクロRNA分子の1つの実施形態では、前記分子は少なくとも1つの修飾されたデオキシリボヌクレオチド部分を含む。適切な修飾されたデオキシリボヌクレオチド部分は、従来技術において公知である。この種の修飾されたデオキシリボヌクレオチド部分は、例えば基本単位としてチオリン酸デオキシリボース基を含む(図1の構造式1を参照)。図1中の構造式1を参照のこと。ホスホロチオエートデオキシリボヌクレオチド部分を含むオリゴヌクレオチド分子は、一般にホスホロチオエート(PS)DNAと呼ばれている。エクスタイン、Antisense Nucleic Acids Drug Dev.10、117−121(2000)を参照。
【0082】
修飾されたデオキシリボヌクレオチド部分の他の適用可能な例としては、N’3−N’5ホスホロアミダートデオキシリボヌクレオチド部分が挙げられる。図1中の構造式2を参照のこと。ホスホロアミダートデオキシリボヌクレオチド部分を含むオリゴヌクレオチド分子は、一般にホスホロアミダート(NP)DNAと呼ばれている。例えばGryaznovら、J.Am.Chem.Soc.116,3143−3144(1994)を参照のこと。
【0083】
修飾されたマイクロRNA分子の他の実施形態では、前記分子は1つ以上の修飾されたリボヌクレオチド部分を含む。修飾されたリボヌクレオチド部分の適用可能な例は、その2’位置で置換されたリボヌクレオチド部分である。前記2’位置における置換基は、例えばC−Cアルキル基であってもよい。前記C−Cアルキル基は、飽和又は不飽和であってもよく、また直鎖状又は分岐型であってもよい。C−Cアルキル基の幾つかの例としては、エチル、イソプロピル及びアリル基が挙げられる。前記の望ましいC−Cアルキル基は、メチル基である。図1中の構造式3を参照のこと。その2’位置をC−Cアルコキシで置換されたリボヌクレオチド部分を含むオリゴリボヌクレオチド分子は、一般には2’−O−(C−Cアルキル)RNA例えば2’−O−メチルRNA(OMeRNA)と呼ばれる。
【0084】
修飾されたリボヌクレオチド部分の2’位置における置換基の他の適用可能な例は、(C−Cアルコキシ)−(C−Cアルキル)基である。前記C−Cアルコキシ(アルキルオキシ)及びC−Cアルコキシ基は、上記のアルキル基のいかなるものを含めてもよい。前記の望ましい(C−Cアルコキシ)−(C−Cアルキル)基はメトキシエチル基である。図1中の構造式4を参照のこと。1つ以上のリボヌクレオチド部分を含み、その2’位置を(C−Cアルコキシ)−(C−Cアルキル)基で置換されたオリゴヌクレオチド分子は、2’−O−(C−Cアルコキシ)−(C−Cアルキル基)RNA、例えば2’−O−メトキシエチルRNA(MOE RNA)と呼ばれる。
【0085】
修飾されたリボヌクレオチド部分の他の適切な例は、2’−酸素原子と4’−炭素原子との間でメチレン架橋を有するリボヌクレオチドである。図1中の構造式5を参照のこと。2’−酸素原子と4’−炭素原子との間でメチレン架橋を有するリボヌクレオチド部分を含むオリゴリボヌクレオチド分子は一般にロックされた核酸(LNA)と呼ばれる。例えば、Kurreckその他、Nucleic Acids Res.30(1911−1918(2002));Elayadiその他、Curr. Opinion Invest.Drugs 2、558−561(2001);Orumuその他、Curr.Opinion Mol.Ther.3、239−243(2001);Koshikinその他、Tetrahedron 54、3607−3630(1998);Obikaその他、Tetrahedron Lett.39、5401−5404(1998)を参照のこと。ロックされた核酸は、Proligo社(Paris,France and Boulder,Colorado,USA)から購入可能である。
【0086】
修飾されたリボヌクレオチド部分の他の適切な例は、フルオロ基により2’位置を置換されたリボヌクレオチドである。そのような2’−フルオロリボヌクレオチド部分は当業者に公知である。2’−フルオロリボヌクレオチド部分を含む分子を、本発明において2’−フルオロリボ核酸(FANA)と称する。図1中の構造式7を参照のこと。またDamhaら、J.Am.Chem.Soc.120,12976−12977(1998)を参照のこと。
【0087】
修飾されたマイクロRNA分子の他の実施形態では、前記分子はアミノ酸残基に結合する1つ以上の塩基を含む。アミノ酸残基に結合する1つ以上の塩基を含む部分は、本発明において以下ペプチド核酸(PNA)部分と記す。そのような部分はヌクレアーゼ耐性であり、当業者に公知である。PNA部分を有する分子は一般にペプチド核酸と呼ばれる。図1中の構造式6を参照のこと。Nielson、Methods Enzymol.313,156−164(1999);Elayadiら、id.;Braaschら、Biochemistry 41,4503−4509(2002),Nielsenら、Science 254,1497−1500(1991)を参照のこと。
【0088】
上記アミノ酸はいかなるアミノ酸であってもよい。天然アミノ酸としては、通常タンパク質中に存在する20の一般的なアミノ酸である、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)チロシン(Tyr)及びバリン(Val)が挙げられる。
【0089】
人工のアミノ酸としては、例えばアルキル、アリール又はアルキルアリール基含有アミノ酸が挙げられる。アルキルアミノ酸の例としては、α−アミノブチル酸、β−アミノブチル酸、γ−アミノブチル酸、δ−アミノバレリン酸及びε−アミノカプロン酸が挙げられる。アリールアミノ酸の若干の実施例としては、オルト−、メタ−、パラ−アミノ安息香酸が挙げられる。アルキルアリールアミノ酸の若干の実施例としては、オルト−、メタ−、パラ−アミノフェニル酢酸及びγ−フェニルβ−アミノブチル酸が挙げられる。
【0090】
人工アミノ酸にはまた、天然アミノ酸の派生物も包含される。前記天然アミノ酸の派生物には、例えば1つ又は複数の化学基を付加した天然アミノ酸が包含される。
【0091】
例えば、1つ又は複数の化学基を、フェニルアラニン又はチロシン残基の芳香環の2’、3’、4’、5’若しくは6’の位置、又はトリプトファン残基のベンゼン環の4’、5’、6’若しくは7’の位置の1つ又は複数に付加させることができる。前記基は、芳香族環に付加できるいかなる化学基であってもよい。そのような基の例としては、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ニトロ、ハロ(すなわちフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード)又は分岐若しくは直鎖状のC−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル又はt−ブチル)が挙げられる。
【0092】
人工アミノ酸の他の例としては、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)及びヒドロキシプロリン(Hyp)などを含む天然アミノ酸の派生物が挙げられる。
【0093】
前記アミノ酸は、同一であってもよく、又はそれぞれ異なるものであってもよい。塩基は前記アミノ酸単位に分子結合により結合する。結合の例としては、メチレンカルボニル、エチレンカルボニル及びエチル結合が挙げられる。これらのPNA部分の詳細については、Nielsenら、Peputide Nucleic Acid −Protocols and Applications,Horizon Scientific Press,pages1−19の図5を参照のこと。PNA部分のアミノ酸残基の一例としては、N−(2−アミノエチル)−グリシンが挙げられる。
【0094】
更に、PNA部分の例としては、シクロヘキシルPNA、レトロ−インベルソPNA、フォスフォンPNA、プロピオニルPNA及びアミノプロリンPNAが挙げられる。これらのPNA部分の詳細については、Nielsenら、Peputide Nucleic Acid −Protocols and Applications,Horizon Scientific Press,pages1−19の図5を参照のこと。前記Nielsenらの文献の7ページの図5は本発明に援用される。
【0095】
PNAは、公知の方法、例えば修飾Fmoc又はtBocペプチド合成プロトコルにより化学的に合成できる。前記PNAは多くの望ましい特性、例えば高い溶融温度(Tm)、核酸及び非荷電の基本分子との高い塩基対形成特異性を有する。更に、前記PNAは前記標的RNAにRNAaseH感受性を与えず、また一般に良好な代謝安定性を有する。
【0096】
ペプチド核酸はまた、Applied Biosystems社(Foster City,California,USA)から購入可能である。
【0097】
修飾されたマイクロRNA分子の他の例において、前記分子は1つ以上のモルフォリノホスホロアミダートヌクレオチド部分を含む。モルフォリノホスホロアミダートヌクレオチド部分を含む分子は一般にモルフォリノ(MF)核酸と呼ばれている。図1中の構造式8を参照のこと。Heasman、Dev.Biol.243,209−214(2002)を参照のこと。モルフォリノオリゴヌクレオチドは、Gene Tools LLC(Corvallis,Oregon,USA)から購入可能である。
【0098】
修飾されたマイクロRNA分子の更なる例では、前記分子は1つ以上のシクロヘキセンヌクレオチド部分を含む。シクロヘキセンヌクレオチド部分を含む分子はシクロヘキセン核酸(CeNA)と呼ばれる。図1中の構造式10を参照のこと。Wangら、J.Am.Chem.Soc.122,8595−8602(2000)、Verbeureら、Nucleic Acid Res.29,4941−4947(2001)を参照のこと。
【0099】
最後に、修飾されたマイクロRNA分子の例として、前記DNAウイルスのマイクロRNA分子は1つ以上のトリシクロヌクレオチド部分を含む。トリシクロヌクレオチド部分を含む分子は一般的にトリシクロ核酸(tcDNA)と呼ばれる。図1中の構造式9を参照のこと。Steffensら、J.Am.Chem.Soc.119,11548−11549(1997)、Rennebergら、J.Am.Chem.Soc.124,5993−6002(2002)を参照のこと。
【0100】
分子はキメラ修飾されたマイクロRNA分子であってもよい。また前記部分のいずれかの混成物を含むキメラ分子は公知であり、公知の方法によって調製できる。上記の文献及びWangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA96,13989−13994(1999);Liangら、Eur.J.iochem.269,5753−5758(2002);Lokら、Biochemistry41,3457−3467(2002)及びDamhaら、J.Am.Chem.Soc.120,12976−12977(2002)を参照のこと。
【0101】
本発明の修飾されたマイクロRNA分子は、配列番号1〜94、配列番号281〜374、配列番号467〜481、配列番号497〜522又は配列番号549に示される天然のマイクロRNA分子の隣接する塩基配列のいずれかを有する、少なくとも10、好ましくは少なくとも13、好ましくは、少なくとも15、更により好ましくは少なくとも20の隣接する塩基を含んでなり、当該修飾された分子は少なくとも1つの修飾部分を含んでなる。好ましい実施形態では、修飾されたマイクロRNA分子は、配列番号1−94、配列番号281−374、配列番号467−481、配列番号497−522又は配列番号549に示されるマイクロRNA分子のいずれかの全配列を含んでなる。
【0102】
分子中の部分の総数が50を上回らない限り、いかなる塩基配列を有するいかなる数の付加的な部分(最高40の部分)も、隣接する塩基配列を有する部分に追加できる。前記の追加部分は、隣接する配列の5’末端、3’末端又はその両方の端に追加してもよい。前記の追加部分としては、マイクロRNAを有するヘアピン前駆体又はそのフラグメントに存在する3’末端及び/又は5’末端の塩基配列が挙げられる。分子中の前記付加的な部分は、必要に応じて上記のいかなる修飾又は未修飾の部分であってもよい。
【0103】
前記の修飾されたマイクロRNA分子には、その均等物も包含される。均等物には、上記のようなゆらぎ塩基及び非相補的な塩基包含される。
【0104】
更に、隣接する部分の50%以下、好ましくは30%以下が、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含むのが望ましい。表C及び表Dは各々の数の隣接する塩基におけるデオキシリボヌクレオチド基本単位の最大数を示す。
【0105】
別の実施形態では、上記のゆらぎ塩基対及び非相補的な塩基に加えて、天然のマイクロRNA配列の位置11に対応する部分が付加、欠失又はミスマッチであってもよい。
【0106】
修飾されたマイクロRNA分子は、上記の通り単離、更には精製されているのが望ましい。
【0107】
表C:デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む隣接部分の50%数:
【表11】

【0108】
表D:デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む隣接部分の30%数:
【表12】

【0109】
更に別の実施形態では、キャップを分子の一端、両方の端及び/又は両端の間に結合させ、それにより本発明に係る上記の修飾されたマイクロRNA分子、又は未修飾の単離されたDNA若しくはRNAのヌクレアーゼ耐性を増加させることができる。例えば、エキソヌクレアーゼ及び/又はエンドヌクレアーゼに対する耐性を増加させるのが望ましい。ヌクレアーゼ耐性を増加させるのに通常用いられる公知のいかなるキャップを使用してもよい。
【0110】
この種のキャップの例としては、逆向きヌクレオチドキャップ及び化学修飾キャップが挙げられる。逆向きヌクレオチドキャップは5’及び/又は3’端に結合させることができる。化学修飾キャップは、分子の一端、両端及び/又は両末端の間に結合させることができる。
【0111】
逆向きヌクレオチドキャップとは、修飾されたマイクロRNA分子又は未修飾DNA又はRNA分子の5’及び/又は3’末端に付着する、3’→5’の核酸配列を指す。その標的mRNAにマイクロRNA分子又は単離されたDNA又はRNA分子の結合に干渉しない限り、前記逆向きキャップのヌクレオチドの数には特に上限がない。いかなるヌクレオチドも、逆向きヌクレオチドキャップに使用できる。通常、前記ヌクレオチドキャップは、約40未満のヌクレオチド長、好ましくは約30未満のヌクレオチド長、好ましくは約20未満のヌクレオチド長、更に好ましくは約10未満のヌクレオチド長である。典型的には、逆向きヌクレオチドキャップは1ヌクレオチド長である。逆向きキャップ構造に用いられるヌクレオチドは通常チミンであるが、他のいかなるヌクレオチド(例えばアデニン、グアニン、ウラシル又はシトシン)でもよい。
【0112】
化学修飾キャップは、核酸のヌクレアーゼ耐性を増加させる公知のあらゆる化学基のことを指す。そのような化学修飾キャップの例としては、ヒドロキシアルキル基(アルキルヒドロキシド)又はアミノアルキル基(アルキルアミン)が挙げられる。ヒドロキシアルキル基はしばしばアルキルグリコシル基(例えばエチレングリコール)と呼ばれる。アミノアルキル基はしばしばアミノリンカーと呼ばれる。
【0113】
ヒドロキシアルキル基又はアミノアルキル基中の前記アルキル鎖は直鎖状若しくは分岐状のいずれでもよい。前記アルキル鎖中に存在させる最小の炭素原子数は1であり、好ましくは少なくとも2であり、より好ましくは少なくとも約3である。
【0114】
前記アルキル鎖に存在させる最大炭素原子数は約18、好ましくは約16、より好ましくは12である。典型的な前記アルキル基としては、メチル、エチル及びプロピル基が挙げられる。前記アルキル基は、1つ以上の水酸基及び/又はアミノ基で更に置換されてもよい。
【0115】
表6にリストとして挙げられている前記アミノリンカーは、TriLink Biotechnologies社(San Diego,CA.)から購入可能である。
【0116】
単離されたマイクロRNP:
本発明の別の形態は、上記の単離されたDNA若しくはRNA分子、又は上記の修飾されたマイクロRNA分子のいずれかを含んでなる、単離されたマイクロRNPの提供に関する。マイクロRNP中の、上記の単離されたDNA若しくはRNA分子、又は修飾されたマイクロRNA分子は、タンパク質と結合していてもよい。
【0117】
かかるタンパク質の例としては、Agoファミリーに属するタンパク質が挙げられる。Agoファミリーのタンパク質の例としては、Ago1、2、3及び4が挙げられる。典型的には、Ago2タンパク質及びマイクロRNA複合体はRNAiの標的mRNA裂開を誘導し、一方Ago1、3及び4は標的mRNAの翻訳を抑制する。
【0118】
アンチマイクロRNA分子:
別の形態では、本発明はアンチマイクロRNA分子の提供に関する。アンチマイクロRNA分子は上記の単離されたDNA若しくはRNA分子、又は上記の修飾されたマイクロRNA分子であってもよく、但し当該アンチマイクロRNA分子の塩基配列は、単離されたDNA若しくはRNA分子、又は修飾されたマイクロRNA分子の塩基配列と相補的である。
【0119】
アンチマイクロRNA分子の配列の実施例は、表7及び8に示される。
【0120】
表E:TriLink Biotechnologies社のアミノリンカー
【表13】

【0121】
表F:表AのマイクロRNAに対するアンチマイクロRNA配列
【表14】



【0122】
表F1:表A2のマイクロRNAに対するアンチマイクロRNA配列
【表15】



【0123】
表F2:表A4のマイクロRNAに対するアンチマイクロRNA配列
【表16】

【0124】
表F3:表A6のマイクロRNAに対するアンチマイクロRNA配列
【表17】

【0125】
表F4:表A8のマイクロRNAに対するアンチマイクロRNA配列
【表18】

【0126】
アンチマイクロRNA分子は、修飾されたマイクロRNA分子への使用のために、上記のように修飾されてもよい。一実施態様では、アンチマイクロRNA分子の隣接部分は、それに対応するマイクロRNA分子と相補的である。前記アンチマイクロRNAの相補性の程度は、付加、欠失及びミスマッチに関する規定と同様に、ゆらぎ塩基対に関する規定を含め、上記の修飾したマイクロRNA分子に対する規定と同じ規定に従う。
【0127】
好ましい実施形態では、アンチマイクロRNA分子が未修飾の部分のみを含む場合、アンチマイクロRNA分子は、少なくとも10の隣接する塩基中に少なくとも1つの塩基(それはマイクロRNAと非相補的)及び/又は化学キャップを含む。
【0128】
他の好ましい実施形態では、アンチマイクロRNA分子に存在する隣接する少なくとも10の塩基が、マイクロRNA分子と完全に(すなわち100%)相補的である場合は、アンチマイクロRNA分子は、少なくとも10の隣接する塩基当たり少なくとも1つの修飾された部分及び/又は化学キャップを含む。
【0129】
更に別の実施態様では、天然のマイクロRNAの位置11に対応する位置の、アンチマイクロRNA分子における部分は非相補的である。天然のマイクロRNAの位置11に対応するアンチマイクロRNA分子の部分は、上記の通り付加、欠失又はミスマッチの導入によって非相補的とすることができる。
【0130】
用途:
本発明のマイクロRNA分子及びアンチマイクロRNA分子は、非常に多くのin vitro、in vivo、ex vivoの用途に使用可能である。
【0131】
例えば、本発明のマイクロRNA分子及び/又はアンチマイクロRNA分子を細胞に導入し、マイクロRNAの機能を解析してもよい。
【0132】
一実施形態では、細胞のマイクロRNAは適切なアンチマイクロRNA分子により阻害される。あるいは、細胞のマイクロRNA分子の活性は、1つ以上の追加的なマイクロRNA分子を細胞に導入することによって強化することもできる。マイクロRNAの機能は、細胞のマイクロRNAの活性の抑制及び/又は強化に関連する変化を観察することにより推定できる。
【0133】
本発明の一形態は、本発明は、細胞のマイクロRNP活性の阻害方法に関する。細胞のマイクロRNP活性の阻害方法は、細胞内に一本鎖のアンチマイクロRNA分子を導入する工程を含んでなる。マイクロRNPにはマイクロRNA分子が含まれる。上記の規定を前提として、アンチマイクロRNA分子がマイクロRNPに存在するマイクロRNAに相補的である限り、いかなるアンチマイクロRNA分子も、細胞のマイクロRNP活性を阻害する方法に用いることができる。
【0134】
本発明のアンチマイクロRNA分子を宿主細胞のマイクロRNPのマイクロRNAと結合させることによって、マイクロRNP活性を阻害してもよい。なお、マイクロRNP活性とは、標的配列の裂開又は翻訳の抑制を指す。前記標的配列は、マイクロRNAの塩基配列と部分的に又は完全に相補的ないかなる配列でもよい。
【0135】
例えば、本発明のマイクロRNA分子及びアンチマイクロRNA分子は、それらのアンチマイクロRNA分子又はマイクロRNAと少なくとも部分的に相補的である遺伝子の発現モジュレータとして使用することもできる。例えば、特定のマイクロRNAが細胞の生存に有益である場合、本発明の適当な単離されたマイクロRNAを細胞に導入し、生存を促進することができる。あるいは、特定のマイクロRNAが有害である(例えばアポトーシス誘導、癌誘発など)場合、適切なアンチマイクロRNA分子を細胞に導入し、マイクロRNAの活性を阻害してその毒性を軽減することができる。
【0136】
マイクロRNA分子及び/又はアンチマイクロRNA分子はいかなる公知の方法によっても細胞に導入できる。例えば、マイクロインジェクションのような方法によりマイクロRNA分子及び/又はアンチマイクロRNA分子を直接細胞に注入できる。あるいは、好ましくは輸送システムの補助を伴いながら前記分子を細胞と接触させることができる。
【0137】
使用可能な輸送システムとしては、例えばリポソーム及び荷電した脂質が挙げられる。リポソームは典型的には、それらの中心の水相中にオリゴヌクレオチド分子を封入する。荷電した脂質は、反対の電荷を持つ結果、一般に脂質−オリゴヌクレオチド分子複合体を形成する。
【0138】
これらのリポソーム−オリゴヌクレオチド分子複合体又は脂質−オリゴヌクレオチド分子複合体は、通常エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる。リポソーム又は荷電した脂質は一般に、エンドソームの膜を崩壊してオリゴヌクレオチド分子を放出するヘルパー脂質を含む。
【0139】
マイクロRNA分子又はアンチマイクロRNAを細胞に導入する他の方法としては、例えばデンドリマー、生分解性ポリマー、アミノ酸ポリマー、糖ポリマー及びオリゴヌクレオチド結合性ナノ粒子などの輸送手段の使用法が挙げられる。更に、貯蔵手段としてプルロニック(登録商標)のゲルを用い、長期間にわたるアンチマイクロRNAのオリゴヌクレオチド分子の輸送を可能にしてもよい。上記方法は、例えば、Hughesら、Drug Discovery Today 6,303−315(2001);Beckerら、In Antisense Technology in the Central Nervous System(Leslie,R.A.,Hunter,A.J.&Robertson,H.A.,eds),pp.147−157,Oxford University Pressに記載されている。
【0140】
特定の細胞に対するマイクロRNA分子又はアンチマイクロRNA分子のターゲティングは、いかなる公知の方法によって行ってもよい。例えば、マイクロRNA分子又はアンチマイクロRNA分子は、特に細胞上のレセプタによって認識される抗体又はリガンドとコンジュゲートすることができる。
【0141】
当該分子はいかなる公知の方法で哺乳類に投与してもよい。適切な投与方法の若干の例としては、経口投与と全身投与とが挙げられる。全身投与は腸内又は非経口的な投与方法が可能である。液体又は固体状(例えば錠剤、ゼラチンカプセル)の製剤を使用できる。
【0142】
分子の非経口投与としては、例えば静脈、筋肉、又は皮下への注射が挙げられる。例えば、公知の徐放性投与によって、哺乳類に当該分子を投与してもよい。徐放性投与とは、一定期間にわたり一定の投薬レベルを維持させる薬剤輸送方法である。
【0143】
他の投与のルートとしては、経口、局所、気管支内又は鼻腔内への投与が挙げられる。経口投与の場合、液体又は固体状の製剤としてもよい。経口投与に適している製剤の若干の例としては錠剤、ゼラチンカプセル、ピル、トローチ、エリキシル、サスペンション、シロップ及びウェーハが挙げられる。気管支内投与の場合は吸入器スプレーを使用できる。また、本発明の分子の鼻腔内投与による投与は、ネビュライザ又は液霧によって行うことができる。
【0144】
本発明の分子を、適切な医薬用の担体中に含有させてもよい。本発明における医薬用担体とは、従来技術において当業者により理解されている賦形剤(vehicle又はexcipient)と同義であると解される。担体の例としては、澱粉、牛乳、糖、特定の種類の粘土、ゼラチン、ステアリン酸若しくはその塩、ステアリン酸のマグネシウム又はカルシウムによる塩、タルク、植物性脂肪若しくは油、ガム及びグリコールが挙げられる。
【0145】
医薬用担体には、安定化剤、界面活性剤(好ましくは非イオン系界面活性剤)、任意に塩及び/又はバッファーのうちの1つ又は2つ以上を含有させてもよい。
【0146】
安定化剤としては、グリシンなどのアミノ酸、蔗糖、テトラロース、ラクトース又はデキストランなどのオリゴ糖類が使用可能である。あるいは、前記安定化剤は糖アルコールであってもよく、例えばマンニトール又はその組合せであってもよい。好ましくは、安定化剤の重量は分子の重量に対して約0.1〜約10重量%である。
【0147】
界面活性剤は、好ましくは非イオン系界面活性剤(例えばポリソルベート)である。ポリエチレングリコール又はプルロニックF−68などのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを約0.001%(w/v)〜約10%(w/v)含有させるのが望ましい。
【0148】
塩又はバッファー試薬としては、それぞれ、例えば塩化ナトリウム又はナトリウム/リン酸カリウムのようないかなる塩又はバッファー試薬も使用可能である。バッファー試薬は、本発明の分子のpHを約5.5〜約7.5の範囲で維持するものが望ましい。塩及び/又はバッファー試薬はまた、浸透圧レベルを哺乳類への投与に適する態様に維持するのに有用である前記塩又はバッファー試薬は、約150mM〜約300mMの範囲でほぼ等張となる態様で添加するのが望ましい。
【0149】
前記医薬用担体は、1つ又は2つ以上の従来公知の添加剤を追加的に含有させてもよい。かかる添加剤の例としては、可溶化剤(例えばグリセロール)、酸化防止剤(例えばベンザルコニウム塩化物(第四アンモニウム化合物(「クォート」として公知)の混合物)、ベンジルアルコール、クロレトン又はクロロブタノール、麻酔薬(例えばモルヒネ誘導体)又は等張剤(上記)などが挙げられる。酸化又は他の損傷に対する更なる予防措置として、当該分子は、非浸透性のストッパーでシールしたバイアル中で窒素ガス充填下で充填するのが望ましい。
【0150】
本発明のマイクロRNA分子及び/又はアンチマイクロRNA分子の別のin vitroでの用途は、診断ツールとしての用途である。この場合には、マイクロRNA分子及び/又はアンチマイクロRNA分子を標識してもよい。
【0151】
本発明の分子は、当該技術分野において公知のいかなる方法に従って標識することが可能である。例えば、オリゴヌクレオチドの標識方法は、例えばLearyら、1983.Proc.Natl.Acad.Sd.USA80:4045;Renz及びKurz 1984.Nucl Acids Res.12:3435;Richardson及びGumport 1983.Nucl.Acids Res.11:6167;Smithら、1985.Nucl.Acids Res.13:2399;Meinkoth及びWahl,Anal.1984.Biochem.138:267;Ausubel,F.M.ら、(Eds.)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,New York,1999の方法に従い行うことができる(各々の開示内容を本願明細書に参照により援用する)。
【0152】
放射性標識を行ってもよい。有用な放射性ラベルの例としては、32P、125I、131I、35S、14C及びHが挙げられる。放射性ラベルの使用は、英国特許第2034323号、米国特許第4358535号及び第4302204号に記載されている。
【0153】
非放射性標識の例としては、酵素及びクロモフォアが挙げられる。有用な酵素標識としては、基質を検出可能な態様に変化させる酵素が挙げられる。有用な酵素とその基質の組合せとしては、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ(ピロガロール及びo−フェニレンジアミン)、β−ガラクトシダーゼ(フルオレセインβ−D−ガラクトピラノシド)及びアルカリホスファターゼ(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩/ニトロブルーテトラゾリウム)が挙げられる。酵素標識の使用は、英国特許第2019404号、欧州特許第63879号、Ausubel,F.M.ら編、Rotman 1961.Proc.Natl.Acad.Sd.USA 47:1981−1991及びCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,New York(1999)に記載されている。
【0154】
有用なクロモフォアとしては、例えば蛍光、化学発光及び、生物発光分子並びに色素が挙げられる。本発明において有用なクロモフォアとしては、例えばフルオレセイン、ローダミン、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フィコエリトリン、ウンベリフェロン、ルミノールなどが挙げられる。
【0155】
公知技術を用いて、本発明の分子に上記標識分子を結合させることができる。分子上の官能基を介して標識を直接させてもよい。プローブは、この種の官能基を含有してもよく、又は含有するに至ってもよい。適切な官能基の一部の例としては、例えばアミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、マレイミド、イソシアネート、イソチオシアネートが挙げられる。
【0156】
あるいは、酵素及びクロモフォア分子のようなラベルを、カップリング剤(例えばジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミドなど)を介して分子と結合させてもよい。上記ラベルは、上記の方法によって分子に結合させたリガンドと、ラベルに結合するリガンドに対するレセプタとの相互作用を利用して、分子に結合させてもよい。周知のリガンド−レセプタの組合せのいずれを用いてもよい。例えば、適切なリガンド−レセプタの組合せとしては、ビオチン−アビジン若しくはストレプトアビジン、及び抗体−抗原の組合せが挙げられる。ビオチン−アビジンの組合せが好適である。
【0157】
一部のマイクロRNAは、特定の組織又は細胞中で発現させる。様々な組織における本発明のマイクロRNAの発現に関して、表G及び表G1に示す。表G及び表G1は、ライブラリごとに同定されたマイクロRNAの総数に対する、相対的なクローニング頻度(%)を示す。マイクロRNAの発現に関する表G及び表G1を、複数ページにわたり記載する。
【0158】
マイクロRNAの発現は、その発現が、他の組織若しくは細胞タイプにおける発現量の約3倍超、好ましくは約4倍超、より好ましくは約5倍超である場合、当該組織若しくは細胞タイプにおいて増強されたと解される。例えば、マイクロRNA hsa−mir−20bは、B細胞由来のリンパ腫BL41(0.05%の発現)、胚性細胞系/腫瘍NT2/D1(0.37%の発現)、NCCIT(0.72%の発現)及びHek(0.13%の発現)において、小細胞副腎癌細胞系SW13(黄熱ウイルス感染あり・なし、それぞれ2.01%及び2.93%の発現)、延性乳癌HCC38(0.09%の発現)において発現する。マイクロRNA hsa−ミール−20bの発現は、小細胞副腎癌細胞系SW13におけるその発現が他の組織及び細胞タイプのその発現量の約3倍に超えた場合に、増強されたと解される。
【0159】
すなわち、例えば本発明のアンチマイクロRNA分子は、特定の組織若しくは細胞種を検出するプローブとして用いることも可能である。
【0160】
例えば、本発明のマイクロRNA分子及び/又はアンチマイクロRNA分子を細胞に導入し、マイクロRNAの機能を解析することも可能である。本発明の分子は、適切な医薬用担体中に含有させてもよい。マイクロRNAを含有するサンプルを添加し、そのハイブリダイゼーション形成を検出することができる。例えば、マイクロアレイ技術を用いて癌患者の臨床検体中のマイクロRNA発現を解析し、特定の癌タイプの危険評価のための診断及びステージングを行うこともできる。
【0161】
表G:各ライブラリにおける、同定されたマイクロRNAの総数に対する相対クローニング頻度(%)
【表19】














【0162】
表G1:各ライブラリにおける、同定されたマイクロRNAの総数に対する相対クローニング頻度(%)
【表20】
















【実施例】
【0163】
<実施例1>材料及び方法全RNA単離、クローニング及びアノテーション
上記の通り全RNA100〜200μgから小分子RNAを単離し、クローニングした。アノテーションは、GenBank(http://www.ncbi.nih.gov/Genbanlc/)、ヒトtRNA配列のデータセット(http://rna.wustl.edu/GtRDB/Hs/Hs−seqs.html)、ヒトsn/snoRNA配列のデータセット(snoRNA−LBME−dBはhttp://www−snorna.biotoul.fr/index.phpから、及び非コードv1はhttp://mbcr.bcm.tmc.edu/smallRNA/Database、http://noncode.bioinfo.org.cn/から入手)、マイクロRNAレジストリ5.1版及びヒトゲノムアセンブリ17版の繰り返しエレメントのアノテーション(UCSC(http://genome.ucse.edu))からの情報に基づいて作成した。細胞系及び脳下垂体組織を、親類の書面による同意の後、死後2時間において解剖した。人の身元はプライバシー保護の理由から明らかにしなかった。ヒトの乳癌細胞系MCF7及びSkBr3を、Dr.Neal Rosen(Memorial Sloan−Kettering Cancer Center,NY)から贈与され、それをDME:100単位/mlペニシリン添加F12培地の1:1混合液中で維持し、100μg/mlストレプトマイシン、4mMのグルタミン及び10%の熱不活性化ウシ胎児血清、5%のCO、37℃の条件においてインキュベートした。ヒト神経芽細胞腫細胞BE(2)−M17(ATCC:CRL−2267)を、OptiMem:F12培地の1:1混合液中で維持し、非必須アミノ酸を添加し、10%の熱不活性化ウシ胎児血清、5%のCO、37℃の条件においてインキュベートした。
【0164】
<実施例2>新規miRNA遺伝子の予測
保存性フィルタ、並びにヘアピンの構造特性及びフォールディングエネルギーを用いて、マイクロRNA前駆体を予測した。これらの予測されたシーケンスをヒトの組織及び細胞系からのクローニング結果、並びに他の哺乳類で実験的に検査したマイクロRNAの配列と比較した。類似性を考察する際、我々はRfam(ヒトのエントリーの45%以上が他の哺乳類のマイクロRNAとの類似性でサポートされている)に従った。表1は立証された予測部分を示す。図2Aは、ヒトの組織からのクローニングにより立証された追加メンバーを含む、miR−200のクラスタの範囲を示し、miR−200aから約1000ヌクレオチド下流に位置する(表1)。図2BはmiR−369の付近における更に2つのマイクロRNA遺伝子の同定を示し、1つはクローニングによって立証され、もう1つはマウスホモロク(以下の表1)との配列類似性でサポートされている。
【0165】
表1:周知のマイクロRNAの付近の、予測されたマイクロRNA遺伝子の裏づけとなる証拠
【表21】

1.前駆体の座標を列記する。予測されたmiRNAがすでに周知のmiRNAクラスタの付近に存在するとき、全集団の座標を、第1のmiRNAの前駆体の第1の座標から最後のmiRNAの前駆体の端座標の順で列記する。
2.染色体番号、ストランド及び座標は、2003年7月の、UCSCからのヒトゲノムアセンブリ ビルド34(hg16)(http://genome.ucsc.edu)から得た。
3.予測されたmiRNAsの座標が、周知のクラスタメンバーと同じ染色体及びストランドに存在する。
4.クローニングされた4つのmiRNAsに新規な名称を付与した。前駆体の両ステムからのmiRNAsを同定して我々の予測とマッチしたとき、3p及び5pとして示した。
5.類似性に基づく裏付けには3種類存在する。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明に係る修飾されたヌクレオチド単位を示す。Bは、核酸塩基のアデノシン、シチジン、グアノシン、チミン又はウリジンのいずれか1つを意味する。
【図2A】周知の及び予測されたヒトマイクロRNAの保存性パターン。保存性パターンは、UCSC phastConsスコア(http://genome.ucsc.edu)に基づく。両側部に更に3000のフランキングヌクレオチドを有するマイクロRNAの染色体領域を示す。染色体座標は、UCSC(http://genome.ucsc.edu/)からのヒトゲノムのビルド34アセンブリ(hgl6)に従う。説明の簡略化のため、X軸は相対位置を示す。周知のマイクロRNAは、「hsa」接頭辞を省略してそれらのRfam名により示す。予測されたマイクロRNAを、次の2つのカテゴリに分類する。(1)立証された予測:これらの予測は本試験において実験的に立証されているもの。(2)新規な予測:これらの予測は試験を行っていない。マイクロRNAの方向を矢印で示す。周知の一対のクラスタにわたるマイクロRNA予測の例。
【図2B】新規なマルチメンバークラスタの解析を示す。図は、一定の比率でプロットされていないため、保存領域の幅は示された領域の長さの関数であり、より長い領域の場合ではより狭いプロフィールとなって表れる)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜94のいずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する、少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子。
【請求項2】
更に5’末端に及び/又は3’末端に、配列番号95〜187に示されるヘアピン前駆体配列のいずれか1つ又はそのフラグメントに存在する塩基配列を含む、請求項1記載の単離された分子。
【請求項3】
前記ヘアピン前駆体の配列が、マイクロRNAに存在する配列である、請求項2記載の単離された分子。
【請求項4】
前記マイクロRNAがベクターに組み込まれている、請求項1記載の単離された分子。
【請求項5】
DNA分子である、請求項1記載の単離された分子。
【請求項6】
RNA分子である、請求項1記載の単離された分子。
【請求項7】
更にキャップを含む、請求項1記載の単離された分子。
【請求項8】
前記キャップが逆向きのヌクレオチドキャップである、請求項7記載の単離された分子。
【請求項9】
前記キャップが化学キャップである、請求項7記載の単離された分子。
【請求項10】
実質的に、配列番号1〜94に示されるマイクロRNAの配列のいずれか1つを含む、請求項1記載の単離された分子。
【請求項11】
実質的に、配列番号1〜187に示される配列のいずれか1つを含む、請求項1に記載の単離された分子。
【請求項12】
修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号1〜94に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子。
【請求項13】
更に、配列番号95〜187に示されるヘアピン前駆体配列のいずれか1つ又はそのフラグメントに存在する塩基配列を、その5’末端及び/又は3’末端に含む、請求項12記載の分子。
【請求項14】
前記ヘアピン前駆体配列がマイクロRNAを有する配列である、請求項13記載の分子。
【請求項15】
修飾されてヌクレアーゼ耐性が増加している、請求項12記載の分子。
【請求項16】
単離された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号1〜94に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子。
【請求項17】
前記マイクロRNAの位置11に対応する位置の部分が非相補的である、請求項16記載の分子。
【請求項18】
前記隣接する部分の最高5%がマイクロRNAの塩基の隣接する配列と非相補的であってもよい、請求項16記載の分子。
【請求項19】
非相補的な部分が付加、欠失、ミスマッチ又はそれらの組合せによるものである、請求項18記載の分子。
【請求項20】
表Fに示されるアンチ−マイクロRNA配列のいずれか1つを有する、請求項16に記載の分子。
【請求項21】
前記部分のうちの少なくとも1つが、修飾されたデオキシリボヌクレオチド部分である、請求項16記載の分子。
【請求項22】
前記修飾されたデオキシリボヌクレオチドがホスホロチオネートデオキシリボヌクレオチド部分である、請求項21記載の分子。
【請求項23】
前記修飾されたデオキシリボヌクレオチドがN’3−N’5 ホスホロアミデートデオキシリボヌクレオチド部分である、請求項21記載の分子。
【請求項24】
前記部分のうちの少なくとも1つが、修飾されたリボヌクレオチド部分である、請求項16記載の分子。
【請求項25】
前記修飾されたリボヌクレオチドが2’の位置で置換されている、請求項24記載の分子。
【請求項26】
前記2’の位置の置換基が、炭素数1〜4のアルキル基である、請求項25記載の分子。
【請求項27】
前記アルキル基がメチル基である、請求項26記載の分子。
【請求項28】
前記アルキル基がアリル基である、請求項28記載の分子。
【請求項29】
前記2’の位置の置換基が、(炭素数1〜4のアルコキシ)−(炭素数1〜4のアルキル)基である、請求項25記載の分子。
【請求項30】
前記(炭素数1〜4のアルコキシ)−(炭素数1〜4のアルキル)基がメトキシエチル基である、請求項29記載の分子。
【請求項31】
前記修飾されたリボヌクレオチドが、2’−酸素原子及び4’−炭素原子の間のメチレン架橋を有する、請求項24記載の分子。
【請求項32】
前記部分のうちの少なくとも1つが、ペプチド核酸部分である、請求項16記載の分子。
【請求項33】
前記部分のうちの少なくとも1つがT−フルオロミボヌクレオチド部分である、請求項16記載の分子。
【請求項34】
前記部分のうちの少なくとも1つが、モルフォリノホスホロアミダートヌクレオチド部分である、請求項16記載の分子。
【請求項35】
前記部分のうちの少なくとも1つが、トリシクロヌクレオチド部分である、請求項16記載の分子。
【請求項36】
前記部分のうちの少なくとも1つが、シクロヘキセンヌクレオチド部分である、請求項16に記載の分子。
【請求項37】
キメラ分子である、請求項16に記載の分子。
【請求項38】
少なくとも1つの修飾された部分を含むことによりヌクレアーゼ耐性が増加している、請求項16記載の分子。
【請求項39】
前記ヌクレアーゼがエキソヌクレアーゼである、請求項38記載の分子。
【請求項40】
前記分子が5’末端に少なくとも1つの修飾された部分を含む、請求項39記載の分子。
【請求項41】
前記分子が5’末端に少なくとも2つの修飾された部分を含む、請求項39記載の分子。
【請求項42】
前記分子が3’末端に少なくとも1つの修飾された部分を含む、請求項39記載の分子。
【請求項43】
前記分子が3’末端に少なくとも2つの修飾された部分を含む、請求項39記載の分子。
【請求項44】
前記分子が5’末端に少なくとも1つの修飾された部分、及び3’末端に少なくとも1つの修飾された部分を含む、請求項39記載の分子。
【請求項45】
前記分子が5’末端に少なくとも2つの修飾された部分、及び3’末端に少なくとも2つの修飾された部分を含む、請求項39記載の分子。
【請求項46】
前記分子が5’末端、3’末端又はその両末端にキャップを含む、請求項39記載の分子。
【請求項47】
前記分子が化学キャップを含む、請求項46記載の分子。
【請求項48】
前記分子が逆向きヌクレオチドキャップを含む、請求項46記載の分子。
【請求項49】
前記ヌクレアーゼがエンドヌクレアーゼである、請求項16記載の分子。
【請求項50】
前記分子が5’末端と3’末端の間に少なくとも1つの修飾された部分を含む、請求項49記載の分子。
【請求項51】
前記分子が5’末端と3’末端の間に化学キャップを含む、請求項49記載の分子。
【請求項52】
前記部分の全てがヌクレアーゼ耐性である、請求項16記載の分子。
【請求項53】
細胞内でマイクロRNAの活性を阻害する方法であり、前記マイクロRNAがマイクロRNA分子を含み、前記方法が請求項16記載の一本鎖のアンチマイクロRNA分子を細胞に導入する工程を含み、前記アンチマイクロRNAが前記マイクロRNAと相補的である方法。
【請求項54】
マイクロRNAの位置11に対応する位置のアンチマイクロRNA分子の部分が非相補的である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
請求項1に記載の単離されたDNA又はRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項56】
請求項12に記載の単離された一本鎖マイクロRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項57】
配列番号281〜374のいずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%がゆらぎ塩基であり、塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子。
【請求項58】
配列番号467〜481のいずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%がゆらぎ塩基であり、塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子。
【請求項59】
配列番号497〜522のいずれかに示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%がゆらぎ塩基であり、塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子。
【請求項60】
配列番号549に示されるマイクロRNAの塩基配列(ただし、塩基の最高30%がゆらぎ塩基であり、隣接する塩基の最高10%がゆらぎ塩基であり、塩基の最高10%が非相補的であってもよい)を有する少なくとも10の隣接する塩基を含む、単離されたDNA又はRNA分子。
【請求項61】
修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号281〜374に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子。
【請求項62】
修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基は、配列番号467〜481に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子。
【請求項63】
修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号497〜522に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子。
【請求項64】
修飾された一本鎖マイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号549に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と同じ配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、少なくとも1つの部分が未修飾デオキシリボヌクレオチド部分又は未修飾リボヌクレオチド部分でない、修飾された一本鎖マイクロRNA分子。
【請求項65】
修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号281〜374に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子。
【請求項66】
修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号467〜481に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子。
【請求項67】
修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号497〜522に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子。
【請求項68】
修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子であって、その基本分子上に最低10の部分、最高50の部分が含まれ、前記基本分子が基本単位を含み、各々の部分が基本単位に結合した塩基を含み、各塩基が相補的な塩基とワトソン−クリック塩基対を形成し、少なくとも10の隣接する塩基が配列番号549に示されるマイクロRNA分子の塩基の隣接する配列と相補的な配列(ただし塩基対の最高30%がゆらぎ塩基対で、また隣接する塩基の最高10%はそれについて付加、欠失、ミスマッチ又はその組合せであってもよい)を有し、デオキシリボヌクレオチド基本単位を含む部分が隣接する部分の50%を越えず、マイクロRNP活性を阻害できる、修飾された一本鎖アンチマイクロRNA分子。
【請求項69】
細胞内でマイクロRNAの活性を阻害する方法であって、前記マイクロRNAがマイクロRNA分子を含み、前記方法が請求項65の一本鎖のアンチマイクロRNA分子を細胞に導入する工程を含み、前記アンチマイクロRNAが前記マイクロRNAと相補的である方法。
【請求項70】
細胞内でマイクロRNAの活性を阻害する方法であって、前記マイクロRNAがマイクロRNA分子を含み、前記方法が請求項66の一本鎖のアンチマイクロRNA分子を細胞に導入する工程を含み、前記アンチマイクロRNAが前記マイクロRNAと相補的である方法。
【請求項71】
細胞内でマイクロRNAの活性を阻害する方法であり、前記マイクロRNAがマイクロRNA分子を含み、前記方法が請求項67の一本鎖のアンチマイクロRNA分子を細胞に導入する工程を含み、前記アンチマイクロRNAが前記マイクロRNAと相補的である方法。
【請求項72】
細胞内でマイクロRNAの活性を阻害する方法であって、前記マイクロRNAがマイクロRNA分子を含み、前記方法が請求項68の一本鎖のアンチマイクロRNA分子を細胞に導入する工程を含み、前記アンチマイクロRNAが前記マイクロRNAと相補的である方法。
【請求項73】
請求項57に記載の単離されたDNA又はRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項74】
請求項58に記載の単離されたDNA又はRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項75】
請求項59に記載の単離されたDNA又はRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項76】
請求項60に記載の単離されたDNA又はRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項77】
請求項61に記載の単離された一本鎖マイクロRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項78】
請求項62に記載の単離された一本鎖マイクロRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項79】
請求項63に記載の単離された一本鎖マイクロRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。
【請求項80】
請求項64に記載の単離された一本鎖マイクロRNA分子を含む、単離されたマイクロRNP。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate


【公表番号】特表2008−539699(P2008−539699A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509245(P2008−509245)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/016767
【国際公開番号】WO2006/119266
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(591197334)ザ ロックフェラー ユニバーシティ (9)
【Fターム(参考)】