説明

マイナスイオン発生体

【課題】遠赤外線を効率良く発生させると共に、マイナスイオンを同時に放出する、例えば岩盤浴或いはストーンバス等の温熱浴用として利用することに適したマイナスイオン発生体を提供すること。
【解決手段】天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面にマイナスイオン発生粉体組成物を担持したこと、或いは粉砕し、その角取りをして粉砕物に丸みを持たせ、その表面にマイナスイオン発生粉体組成物を担持したことにより、ストーンバスとして使用をする場合にも身体を傷付けないものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効果的にマイナスイオンを放出させることができ、ストーンバスや岩盤浴、すなわち温熱浴として好適に使用することができるマイナスイオン発生体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の産業・経済の著しい発達、それに伴う生活環境の変化は「ストレス社会」という言葉の通り、人間に対して物理的・心理的刺激、すなわち多くのストレスを生み出している。そしてこのような社会の複雑化に伴って、器質病変等の具体的な病変が見あたらないにも拘わらず、イライラする、不機嫌な状態が続く、寝つきが悪い、眠れない等といった症状を訴えるヒトが増えてきている。
【0003】
かかるストレスを解消するため、現代人は種々の方策を考えそれぞれ対処しており、例えば温泉入浴における各種効能による対処;マイナスイオンが多い水辺の散策、森林浴;音楽を聞きながらのリクラリゼーション等もその一つの手段である。また、最近では、温泉入浴に比較して手ごろに行える天然鉱石を用いた遠赤外線によるストーンバスや岩盤浴等の温熱浴が脚光を浴びてきている。
【0004】
すなわち、この種の温熱浴は、温めた天然鉱石から放出される遠赤外線の作用により、温水に身体を浸すことが無く、天然鉱石の上に単に身体を横たえたり、天然石粉末で身体を覆ったりするだけで、低温サウナ状態(40℃程度)となって汗をかき、体内の余分な老廃物が汗と一緒に排出し、その結果細胞を活性化し、ストレスが解消されるという、いわゆるストーンバスや岩盤浴である。
【0005】
さらに、この岩盤浴やストーンバスには、天然鉱石が放出する遠赤外線の働きにより、冷え性や肩こり等の症状を和らげるともいわれていることから、特に女性の方々に好評を得ており、最近全国各地に、かかる岩盤浴等を行える施設が数多く建設されるに至っている。
【0006】
岩盤浴は、通常、板状(プレート状)に切り出した天然鉱石の上に身体を横たえるものであり、通常15〜30分間程度身体を横たえるだけで、効果的に汗をかき、身体の老廃物を排出することができるとされている。
【0007】
本発明者らも、この温熱浴(岩盤浴)の効能に着目してきており、岩盤浴に使用することができる天然鉱石の検討を鋭意行ってきている。その検討のなかで、岩盤浴やストーンバスにおいては、遠赤外線による温熱効果に加え、マイナスイオンを効果的に発生させる機能を持たせれば、発生したマイナスイオンにより、新陳代謝の促進、血行促進、鎮静、鎮痛、快眠、鎮咳、制汗、食欲増進、血圧降下、疲労防止等の相乗効果が付与され、更に効果的なリクラリゼーションが行えるものと考えた。
【0008】
そこで、本発明者らは遠赤外線を放出する天然鉱石を粉砕して粉砕粒物とし、或いは切り出してプレート状物とし、その表面に特許文献1に記載されるようなマイナスイオン発生粉体組成物を担持してやれば、上記の各点を解決し得ることを確認し、本発明を完成させるに至った。
【特許文献1】特開2002−302665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明は、遠赤外線を効率良く発生させると共に、マイナスイオンを同時に放出する、例えば岩盤浴或いはストーンバス等の温熱浴用として利用することに適したマイナスイオン発生体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するための本発明は、基本的な態様として、遠赤外線を放出する天然鉱石の粉砕粒物又はプレート状物の表面に、マイナスイオン発生粉体組成物を担持させてなることを特徴とするマイナスイオン発生体である。
【0011】
より具体的な態様として本発明は、マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石が、天然鉱石を粉砕し、その角取りをした粒状の粉砕粒物であるマイナスイオン発生体である。
【0012】
また、より具体的な別の態様としての本発明は、マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石が、天然鉱石をプレート状に切り出したものであるマイナスイオン発生体である。
【0013】
さらに別な具体的態様としての本発明は、マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石が、天然鉱石の微粉砕物を粒状にセラミック成形したものであるマイナスイオン発生体である。
【0014】
また、さらに別な具体的態様としての本発明は、マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石が、天然鉱石の微粉砕物をプレート状にセラミック成形したものであるマイナスイオン発生体である。
【0015】
より好ましい本発明は、遠赤外線を放出する天然鉱石がトルマリン、医王石、貴陽石、ホルンヘルス、隕石、黒曜石、麦飯石、御影石、竜王石、光明石、黄土、溶岩、絹雲母、紫水晶、生光石、蛇紋岩、美向石、ブラックシリカ鉱石(神光石、黒鉛珪石)、三仙石赤、三仙石青、黒点花蛇紋石又は石英変岩石から選択されるものであるマイナスイオン発生体である。
【0016】
本発明において使用するマイナスイオン発生粉体組成物はとしては、トルマリン鉱石等のマイナスイオンを発生する鉱石の粉体が使用されるが、外力が加わらないとマイナスイオンの発生が少ないので、例えば、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末(比重B、平均粒子径b)との混合粉末であって、トルマリン粉末100重量部に対し電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末が下記式(I):
100Bb3/3Aa3〜1000Bb3/Aa3重量部 (I)
に示される量が配合された微粉体や、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウム粉末(比重C、平均粒子径c)との混合粉末であって、トルマリン粉末100重量部に対して電融安定化酸化ジルコニウム粉末が下記式(II):
25Cc3/Aa3〜1000Cc3/Aa3重量部 (II)
に示される量が配合されてなる微粉体、またはラジウム鉱石の微粉体等を使用するのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、遠赤外線を放出する天然鉱石の表面から、マイナスイオンも放出することが可能となり、例えば岩盤浴或いはストーンバス等の温熱浴に好適に使用し得るマイナスイオン発生体が提供される。
本発明が提供するマイナスイオン発生体は、例えば、遠赤外線放出作用を有する天然鉱石をプレート状に切り出すか、或いは一定の大きさに粉砕し、その角取りをした粉砕物に丸みを持たせ、その表面にマイナスイオン発生粉体組成物を担持したことにより、ストーンバスとして使用をする場合にも身体を傷付けないものである。
【0018】
さらに、本発明が提供するマイナスイオン発生体は、極めて効果的に遠赤外線を放出すると共に、鉱石によってはそれ自体でマイナスイオンを発生させるものもある。したがって、本発明のマイナスイオン発生組成物の担持により、マイナスイオンが相乗的に発生することなり、温熱浴効果に加えてマイナスイオンの有する新陳代謝の促進、血行促進、鎮静、鎮痛、快眠、鎮咳、制汗、食欲増進、血圧降下、疲労防止効果等により、極めて効果的な温熱浴を行えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、上記した如く、その一つの基本は、遠赤外線を放出する天然鉱石の粉砕粒物又はプレート状物の表面に、マイナスイオン発生粉体組成物を担持したマイナスイオン発生体である。
【0020】
本発明において、マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石としては、遠赤外線を放出する天然鉱石であり、好ましく、具体的には、トルマリン、医王石、貴陽石、ホルンヘルス、隕石、黒曜石、麦飯石、御影石、竜王石、光明石、黄土、溶岩、絹雲母、紫水晶、生光石、蛇紋岩、美向石、ブラックシリカ鉱石(神光石、黒鉛珪石)、三仙石赤、三仙石青、黒点花蛇紋石又は石英変岩石等を挙げることができる。
【0021】
これらの天然鉱石にあっては、その遠赤外線放出率として85%以上を有しているものが好ましい。遠赤外線放出率が85%に満たない場合であってもある程度の遠赤外線放出効果を得ることができるが、岩盤浴に使用するためには、遠赤外線放出率は好ましくは85%以上の値を有するものがよい。
【0022】
これらの天然鉱石のうち、例えば、トルマリンとはいわゆる電気石と称される鉱石であり、また、医王石とは石川県の医王山の戸室地区で採取される天然鉱石であり、学名を「石英閃緑玲石」といい、マイナスイオン放出作用に加え、遠赤外線放出作用を有する天然鉱石である。
【0023】
さらに貴陽石を始めとする上記した他の天然鉱石にあっても、遠赤外線放出作用を有する天然鉱石として広く民間で使用されている天然鉱石である。
そのいくつかの遠赤外線放出率を示せば、下記表1に記載のようになる。
【0024】
【表1】

【0025】
本発明にあっては、その一つの態様として、これらの天然鉱石を粉砕し、粉砕粒物の形態で、例えばストーンバスとしての温熱浴用に使用される。その粉砕にあたって粉砕粒物の大きさは、特に限定されないが、5mm程度までの大きさ、好ましくは3〜4mm程度までの大きさのものがメインとなるように粉砕すればよい。
その粉砕は、天然鉱石の原石(約10kg程度の大きさ)をクラッシャーにより3〜5cm程度の大きさに粉砕する一次〜二次粉砕をした後、さらにこの粉砕粒物を10mm程度にまで粉砕する三次粉砕、さらに3〜4mmの粉砕粒物とする四次粉砕等の工程を経ることにより行うことができる。
なお、かかる粉砕はこのような粉砕工程に限定されず、種々の変形を行い得ることはいうまでもない。
【0026】
目的とする大きさに粉砕された天然鉱石は、そのままでは粉砕面が鋭利な状態で粉砕されているため、これを例えばストーンバスとして使用するには身体を傷付け不向きであり、また粉砕面に孔が存在し、雑菌繁殖の温床になりかねない。そこで粉砕粒物に対して角取り処理を行い、粉砕物に丸みを持たせた粉砕粒物とする。
この角取り処理は、ドラム式回転機の中で粉砕粒物同士をぶつけ合い研磨する方法で行うことができる。
【0027】
かくして表面が滑らかになり、角取りされた粉砕粒物は、水洗、乾燥された後、その表面にマイナスイオン発生粉体組成物を含有する無機塗料或いは有機塗料でコーティングすることにより、マイナスイオン発生粉体組成物が担持される。
【0028】
本発明において担持させるマイナスイオン発生粉体組成物を構成する粉体組成物として、本発明者等の一人が開発し、特許文献1に開示されるマイナスイオン発生粉体組成物が好ましく使用される。
【0029】
具体的には、かかるマイナスイオン発生粉体組成物としては、その一つとして、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末(比重B、平均粒子径b)との混合粉末であって、トルマリン粉末100重量部に対し電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末が下記(I)式に示される量が配合されてなるマイナスイオン発生粉体である。
100Bb3/3Aa3〜1000Bb3/Aa3重量部 (I)
【0030】
また、別のマイナスイオン発生粉体組成物としては、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウム粉末(比重C、平均粒子径c)との混合粉末であって、トルマリン粉末100重量部に対して電融安定化酸化ジルコニウム粉末が下記(II)式に示される量が配合されてなるマイナスイオン発生粉体である。
25Cc3/Aa3〜1000Cc3/Aa3重量部 (II)
【0031】
なお、これらマイナスイオン発生粉体組成物の構成の詳細は、特許文献1に開示されており、これらの記載内容は本明細書中に組み入れられる。
【0032】
さらに本発明にあってはマイナスイオン発生粉体組成物が、ラジウム鉱石の微粉体であってもよい。ラジウム鉱石はマイナスイオン放出する天然鉱石として一般によく知られたものである。
【0033】
この場合のマイナスイオン発生粉体組成物の粒度としては、0.1〜10μm程度の範囲内にあるのが好ましい。
粒度が0.1μm未満であると無機塗料或いは有機塗料中への分散が困難となり、また10μmを超えるものであると、塗料中でのダレ及び担持性の低下が発生しやすくなる。
【0034】
本発明にあっては、例えば、上記のマイナスイオン発生粉体組成物を含有させた無機塗料或いは有機塗料を、天然鉱石の粉砕粒物の表面に、例えばスプレー法やディップスピン法等によりコーティングすることにより、天然鉱石の粉砕粒物の表面にマイナスイオン発生粉体組成物を担持することができる。
【0035】
マイナスイオン発生粉体組成物を天然鉱石の粉砕粒物の表面に担持するために使用する無機塗料としては、アルコキシ金属塩系塗料、水性金属塩系塗料又は無機物を主体としこれに有機物をハイブリッドした変性シリコン樹脂塗料等を挙げることができる。
【0036】
また、マイナスイオン発生粉体組成物を合成樹脂組成物からなる有機塗料中に含有させ、コーティングすることにより、天然鉱石の粉砕粒物の表面にマイナスイオン発生作用を有する物質を担持させることもできる。
【0037】
塗料である合成樹脂組成物に使用される合成樹脂としては、種々のものを挙げることができ、例えば、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂などの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のほか、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0038】
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンモノマーの単独重合体のほか、エチレンやプロピレンなどのオレフィン系モノマーと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、α−オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル、アクリロニトリルなどとの共重合体のほか、これらオレフィン系樹脂を主成分とする他のポリマーとの混合物が使用できる。塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルなどとの共重合体のほか、塩化ビニル系樹脂を主成分とする他のポリマーとの混合物が使用できる。
【0039】
ポリウレタン系樹脂としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル・エーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリメチルバレロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等のポリマージオールから選ばれる1種以上のポリオールと、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートから選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、活性水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物、例えば脂肪族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、ヒドラジン誘導体等の群から選ばれる1種以上の鎖伸長剤とを反応させて得られる1液型又は2液型ポリウレタン樹脂が使用できる。アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル等のアクリル系モノマーの群から選ばれる1種以上を重合させてなる単独重合体や共重合体が使用できる。また上記のアクリル系モノマーの1種以上と他のモノマー、例えばスチレンなどとの共重合体も使用できるし、これらアクリル系樹脂を主体とする他のポリマーとの混合物も使用できる。
【0040】
ポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸やイソフタル酸と、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオールから選ばれる1種以上のジオールとを重合させたものが使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの共重合体(PET−G)、イソフタル酸とネオペンチルグリコールとシクロヘキサンジオールとを共重合したものなどが挙げられる。
【0041】
ポリアミド系樹脂としては、一般的にナイロンと称されるものが使用でき、具体的には、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン6T等が挙げられ、これらは単独若しくは2種以上を混合して使用することもできるものである。
【0042】
これらの無機塗料或いは有機塗料には、必要に応じて、一般的にこの技術分野で汎用されている可塑剤、安定剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤、充填剤、着色剤等の各種の添加剤を添加することができる。
【0043】
これらの無機塗料或いは有機塗料中に配合するマイナスイオン発生粉体組成物の量は、無機塗料或いは有機塗料の合成樹脂100重量部に対して5〜60重量部である。好ましくは10〜50重量部であり、もっとも好ましくは15〜40重量部である。5重量部未満の場合には、十分なマイナスイオン発生作用が発揮されない場合がある。また、60重量部を越えて配合した場合には、無機塗料或いは有機合成樹脂塗料をコーティングしにくくなるばかりでなく、コーティング後の粉砕粒物の風合いが十分でない場合がある。
【0044】
これら塗料に、マイナスイオン発生粉体組成物を配合するには、塗料を製造する原材料中に配合し、その後塗料を製造するようにしてもよいし、製造された塗料中に配合するようにしてもよい。製造された塗料に配合する場合には、それらの溶媒溶液やエマルジョンにマイナスイオン発生粉体組成物を配合するようにしてもよいものである。
【0045】
本発明の天然鉱石の粉砕粒物に無機塗料或いは有機合成樹脂塗料を塗布するには、浸漬塗布法やスプレー塗布法或いはディップスピン法が粉砕粒物の風合いを損なうことなく塗布できるので好ましい。
【0046】
本発明が提供するマイナスイオン発生用の天然鉱石にあっては、別の態様として天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面にマイナスイオン発生粉体組成物を担持させたものであってもよい。切り出されるプレート状の大きさとしては特に限定されるものではないが、厚みが10〜30mm、その横及び縦の長さがそれぞれ50〜300mmを有する正方形、あるいは長方形のプレート状にするのがよい。なお、切り出しされたプレート状の形状は正方形、あるいは長方形に限定されるものではなく、適宜菱形、円形、楕円形等の形状であってもよいことはいうまでもない。
【0047】
このプレートは、切り出した段階ではその表面がざらついているので、通常の研磨により滑らかにした後、マイナスイオン発生粉体組成物を、上記した無機塗料或いは有機塗料によるコーティングにより、マイナスイオン発生作用物質が担持される。
【0048】
本発明にあっては、マイナスイオン発生用の天然鉱石として、天然鉱石の粉砕粒物或いはプレート状物の表面にマイナスイオン発生粉体組成物を担持させたもの以外に、その個々の天然鉱石粉砕粒物の集合としてセラミック成形した粉砕粒物であってもよい。また、個々の天然鉱石粉砕粒物をプレート(板)状にセラミックス成形されたものであってもよい。
【0049】
セラミック成形は、例えば、天然鉱石の粉砕物としてより細かな粉砕物とし、この粉砕物をプレス加工により目的とするセラミック成形した天然鉱石の粉砕粒物として成形することができる。また、プレート状への成形は、例えば、通常のプレス加工によるプレート状への成形で実施することができる。プレート状の大きさとしては特に限定されるものではないが、厚みが10〜30mm、その横及び縦の長さがそれぞれ50〜300mmを有する正方形、あるいは長方形のプレート状に成形するのがよい。なお、成形されたプレート状の形状は正方形、あるいは長方形に限定されるものではなく、適宜菱形、円形、楕円形等の形状として再成形し得ることはいうまでもない。
【0050】
このセラミック成形された天然鉱石の粉砕粒物或いはプレート状物の表面に、上記したと同様の方法によりマイナスイオン発生粉体組成物含有の無機塗料或いは有機塗料によりコーティングし、マイナスイオン発生物質を担持させることができる。
【0051】
本発明が提供するマイナスイオン発生用の天然鉱石にあっては、さらに、ゲルマニウム鉱石の微粉砕物及び/又はブラックシリカ鉱石の微粉砕物を無機塗料或いは有機塗料中に含有させることにより、更に遠赤外線放出効果、或いはマイナスイオン発生効果を高めることができる。
このようなゲルマニウム鉱石としては豊光石を、また、ブラックシリカ鉱石としては神光石又は黒鉛硅石を挙げることができる。
【0052】
これらゲルマニウム鉱石の微粉砕物及び/又はブラックシリカ鉱石の微粉砕物については、その無機塗料或いは有機塗料中の含有量は一概に限定できないが、それぞれが目的とする遠赤外線放出効果、或いはマイナスイオン発生効果がより相乗的に得られる範囲内で適宜選択して添加すればよい。
なお、添加するゲルマニウム鉱石の微粉砕物及びブラックシリカ鉱石の微粉砕物にあっては、その粒子径は一般に限定し得ないが、無機塗料或いは有機塗料中への含有を考慮した場合、微粉砕されていることが好ましく、0.1〜10μm程度の範囲内であることが好ましい。0.1μm未満であると、分散装置を用いても均一に塗料中に分散させることは困難であり、また10μmを超える場合には、これらの微粉砕物が目視により判明してしまい、好ましいものではない。
【0053】
かくして調製された本発明のマイナスイオン発生用の天然鉱石は、例えば、温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物として、そのまま敷きつめて、或いはその中に身体を横たえ、更には身体上に天然粉砕粒物を覆うサンドバスとしての使用、あるいはプレート状に成形した天然鉱石上に身体を横たえて行うストーンバス(岩盤浴)用として使用する。その結果、天然鉱石が発生する遠赤外線により、低温サウナ状態(40℃程度)となって、好ましい温熱浴が実施しうると共に、マイナスイオン発生粉体組成物によりマイナスイオンが効果的に発生し、それにより、新陳代謝の促進、血行促進、鎮痛、快眠、鎮咳、制汗、食欲増進、血圧降下、疲労防止等の効果を得ることが可能となる。
【実施例】
【0054】
以下に本発明について、実施例として、温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物の調製、プレート状への再成形等の実際を詳細に説明する。
【0055】
実施例1:天然鉱石の粉砕粒物の製造
[粉砕工程]
天然鉱石を貯蔵した岩石専用のホッパーより鉱石の原石(一原石の重量として、約10kgを有する)を取り出し、シングルトックルクラシャーに投入して粉砕(第一次粉砕)を行い、平均粒径70mmまでに粉砕した第一次粉砕粒物を得た。
さらに、この第一次粉砕粒物を同じシングルトックルクラシャーに投入して粉砕(第二次粉砕)を行い、平均粒径30mmまでに粉砕した第二次粉砕粒物を得た。
【0056】
次いで、この第二次粉砕粒物(平均粒径:30mm)を、ロール式粉砕機を用いて第三次粉砕し、振動篩にかけて、平均粒径10mmまでの第三次粉砕粒物を選別し、篩上に残った10mmを超える粉砕粒物は更にロール式粉砕機を用いて粉砕を繰り返し、振動篩にかけて、平均粒径10mmまでの第三次粉砕粒物を選別した。
【0057】
さらに、この第三次粉砕粒物(平均粒径:10mm)を、インペラ式粉砕機を用いて、粉砕粒物の大きさを調整(第四次粉砕)した。すなわち、第三次粉砕粒物をインペラ式粉砕機内で大きさ5mm以内に粉砕し、3〜4mmをメッシュにて分級し、3〜4mmの大きさを有する第四次粉砕粒物を得た。
【0058】
[角取り工程]
上記の第四次粉砕粒物には表面に凹凸があるので、丸みを帯びさせるため、角取りを行った。すなわち、大型のドラム式回転機に第四次粉砕粒物を投入し、ドラム式回転機を回転させ、粉砕粒物同士をぶつけ合い、粉砕粒物を研磨した。
【0059】
[水洗]
角取りした粉砕粒物を水洗により洗浄した。すなわち、回転式ディップ水洗方式により、ディップ容器(200L)に粉砕粒物200kgを投入し、回転(50〜60回転/分)させながら水洗水(新鮮井戸水)を連続的に注入(12L/分)し、オーバーフローさせながら洗浄(10分間)を行った。
【0060】
[水切り乾燥]
水洗した粉砕粒物をステンレス籠に入れ、粉砕粒物を籠の中に平らに引き延ばし、トンネル型熱風循環式乾燥炉により、120℃/20分間乾燥した。
【0061】
[加熱滅菌]
上記により乾燥させた粉砕粒物を、紫外線照射式乾燥炉に入れ、150℃/10分間の加熱滅菌を行った。
【0062】
[冷却]
滅菌した粉砕粒物を、強制送風による冷却を約5分間行い、冷却し、次いで容器に分包して、目的とする各鉱石の粉砕粒物を得た。
【0063】
以上の方法により、九州宮崎県高千穂地方に産出する高千穂美向石、埼玉県秩父山系で産出する蛇紋岩(平均粒径:3〜4mm)を得た。
【0064】
実施例2:マイナスイオン発生粉体組成物の担持(その1)
上記実施例1で得た高千穂美向石、或いは蛇紋岩(平均粒径:3〜4mm)に、下記の原料からなるマイナスイオン発生合成樹脂組成物をスプレー塗布・乾燥し、マイナスイオン発生粉体組成物を担持した天然鉱石粉砕粒物を得た。
なお、スプレー塗布はイワタ製W−100(口径1mm)を使用し、吹付けエア圧力3.5kg・f/cm、吹付け塗出量70cc/分、吹付け距離150〜200cmの条件で行った。
【0065】
塗料中のマイナスイオン発生粉体組成物におけるエルバイトトルマリン粉末数/珪酸ジルコニウム粉末数の混合比率≒1/3であった。
アクリル樹脂溶液(固形分40重量%) 100重量部
マイナスイオン発生粉体組成物(1) 8重量部
注:マイナスイオン発生粉体組成物(1)は、珪酸ジルコニウム粉末(比重4.2/粒径0.2μm)11gとショールトルマリン粉末(比重3.0/粒径0.3μm)9gを混合したものである。
【0066】
実施例3:マイナスイオン発生粉体組成物の担持(その2)
上記実施例1で得た高千穂美向石、或いは蛇紋岩(平均粒径:3〜4mm)に、下記の原料からなるマイナスイオン発生合成樹脂組成物をスプレー塗布・乾燥し、マイナスイオン発生粉体組成物を担持した天然鉱石粉砕粒物を得た。
なお、スプレー塗布はイワタ製W−100(口径1mm)を使用し、吹付けエア圧力3.5kg・f/cm、吹付け塗出量70cc/分、吹付け距離150〜200cmの条件で行った。
【0067】
塗料中のマイナスイオン発生粉体組成物におけるエルバイトトルマリン粉末数/電融安定化ジルコニウム粉末数の混合比率≒1/2であった。
アクリル樹脂溶液(固形分40重量%) 100重量部
マイナスイオン発生粉体組成物(2) 8重量部
注:マイナスイオン発生粉体組成物(2)は、電融安定化ジルコニウム粉末(比重5.6/粒径0.2μm)13gとショールトルマリン粉末(比重2.0/粒径0.3μm)27gを混合したものである。
【0068】
実施例4:プレート状の鉱石粉砕粒物の調製
実施例1で得た高千穂美向石の粉砕粒物(平均粒径:3〜5mm)を、機械プレスにより厚さ30mm、各辺100mmの正方形のプレート状に成形した。
なお、同様にして、実施例1で得た蛇紋岩(平均粒径:3〜4mm)を、機械プレスにより厚さ30mm、各辺100mmの正方形のプレート状に成形した。
【0069】
実施例5:マイナスイオン発生粉体組成物の担持(その3)
上記実施例4で得た高千穂美向石のプレート状の粉砕粒物に対して、実施例2で使用したマイナスイオン発生粉体組成物を含有する塗料を塗布し、粉砕粒物表面にマイナスイオン発止粉体組成物を担持させた。
【0070】
実施例6:各鉱石粉砕粒物の遠赤外線放出作用及びマイナスイオン発生数
上記で得た、各鉱石粉砕粒物について、その遠赤外線放出作用及びマイナスイオン発生数を測定した。
(1)遠赤外線放出作用
[測定機器]
日本電子(株)製のJIR−E500を使用した。
[測定条件]
1.分解能:16cm−1
2.積算回数:200回
3.検知機:MCT
[測定法法]
上記した実施例で得た各鉱石の粉砕粒物を、一定量(約100g)秤量し、A4サイズの面積に緻密に配置し、供試体とした。
【0071】
(2)マイナスイオン発生数
[測定機器]
有限会社エムアイティ社製のKM2001
[測定条件]
1.天気:晴れ
2.温度:24℃
3.湿度:45%RH
[測定方法]
上記した実施例で得た各鉱石の粉砕粒物を、一定量(約100g)秤量し、A4サイズの面積に緻密に配置し、供試体とし、静止状態で各サンプルから10mm離れた場所にマイナスイオン測定器を用いて、各サンプルの表面から発せられるマイナスイオン数を測定した。
【0072】
なお、各天然鉱石粉砕粒物については、その表面処理として、マイナスイオン発生粉体組成物を担持しないもの、担持したもの、更にゲルマニウム鉱石微細粉末及び/又はブラックシリカ鉱石微細粉末を含有したものを担持した各種組み合わせにより実験を行った。
【0073】
[結果]
その結果を下記表1に示した。
【0074】
【表2】

【0075】
表中に示した結果からも判明するように、美向石および蛇紋岩の各粉砕粒物のみでは遠赤外線放出作用はあるもののマイナスイオン発生作用は認められない。しかしながら、鉱石粉砕粒物の表面を、マイナスイオン発生粉体組成物を担持させることにより、効果的にマイナスイオンが発生することが理解される。
この遠赤外線放出効果並びにマイナスイオン発生効果は、更にゲルマニウム鉱石及び/又はブラックシリカ鉱石を配合することで、効果的に維持されていることが判明する。
【0076】
実施例7:各鉱石粉砕粒物(プレート状物)の遠赤外線放出作用及びマイナスイオン発生数
上記の実施例6と同様にして天然鉱石粉砕粒物(プレート状物)について、遠赤外線放出作用及びマイナスイオン放出数を測定した。
但し、試料サンプルは、L50mm×W50mm×t5mmに切り出したプレート状のサンプルとした。
その結果を下記表2にまとめた。
【0077】
【表3】

【0078】
上記の表から判明するように、本発明の天然鉱石粉砕粒物(プレート状物)にあっても、マイナスイオン発生粉体組成物を担持させることにより、効果的にマイナスイオンが発生することが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上記載のように、本発明により例えば温熱浴に使用することができるマイナスイオン発生体が提供される。このマイナスイオン発生体は、遠赤外線を放出し、さらにその表面にマイナスイオン発生粉体組成物を担持させたものであることから、遠赤外線による温熱浴効果に加え、マイナスイオンによる新陳代謝の促進、血行促進、鎮静、鎮痛、快眠、鎮咳、制汗、食欲増進、血圧降下、疲労防止等の効果があり、更に効果的なリクラリゼーションが行える利点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠赤外線を放出する天然鉱石の粉砕粒物又はプレート状物の表面に、マイナスイオン発生粉体組成物を担持させてなることを特徴とするマイナスイオン発生体。
【請求項2】
マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石が、天然鉱石を粉砕し、その角取りをした粒状の粉砕粒物である請求項1に記載のマイナスイオン発生体。
【請求項3】
マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石が、天然鉱石をプレート状に切り出したものである請求項1に記載のマイナスイオン発生体。
【請求項4】
マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石が、天然鉱石の微粉砕物を粒状にセラミック成形したものである請求項1に記載のマイナスイオン発生体。
【請求項5】
マイナスイオン発生粉体組成物を担持する天然鉱石が、天然鉱石の微粉砕物をプレート状にセラミック成形したものである請求項1に記載のマイナスイオン発生体。
【請求項6】
天然鉱石がトルマリン、医王石、貴陽石、ホルンヘルス、隕石、黒曜石、麦飯石、御影石、竜王石、光明石、黄土、溶岩、絹雲母、紫水晶、生光石、蛇紋岩、美向石、ブラックシリカ鉱石(神光石、黒鉛珪石)、三仙石赤、三仙石青、黒点花蛇紋石又は石英変岩石から選択されるものである請求項1〜5のいずれかに記載のマイナスイオン発生体。
【請求項7】
マイナスイオン発生粉体組成物が、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末(比重B、平均粒子径b)との混合粉末であって、トルマリン粉末100重量部に対し電融安定化酸化ジルコニウムを除くジルコニウム化合物粉末が下記(I)式に示される量が配合されてなるものである請求項1〜6のいずれかに記載のマイナスイオン発生体。
100Bb3/3Aa3〜1000Bb3/Aa3重量部 (I)
【請求項8】
マイナスイオン発生粉体組成物が、トルマリン粉末(比重A、平均粒子径a)と電融安定化酸化ジルコニウム粉末(比重C、平均粒子径c)との混合粉末であって、トルマリン粉末100重量部に対して電融安定化酸化ジルコニウム粉末が下記(II)式に示される量が配合されてなるものである請求項1〜6のいずれかに記載のマイナスイオン発生体。
25Cc3/Aa3〜1000Cc3/Aa3重量部 (II)
【請求項9】
マイナスイオン発生粉体組成物が、ラジウム鉱石の微粉体である請求項1〜6のいずれかに記載のマイナスイオン発生体。