説明

マグナスロータ

本発明は、駆動ユニット(26)と、マグナスロータが平均風速をファクタλだけ超える周辺速度を獲得するように駆動ユニットを制御する制御器(24)とを含むマグナスロータ(8)に関する。本発明は、制御器およびマグナスロータを回転させる駆動ユニット、ならびにシップも含むマグナスロータを作動させるための方法にさらに関する。マグナスロータを従来の技術においてよりも効率的にするために、λは4より大きい。また、少なくとも3つのガイドローラ(12)がマグナスロータの下側外周に対してバックラッシュなしで位置する、マグナスロータが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部と、マグナスロータ(Magnus rotor)が平均風速よりファクタλだけ速い周辺速度を獲得するような方法で駆動部を制御する制御手段とを含むマグナスロータに関する。さらに、本発明は、マグナスロータを回転させる駆動部および制御手段、ならびにシップも含むマグナスロータを作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグナスロータは、現況の技術において知られている。それらマグナスロータは、特にシップ推進駆動部として用語「フレットナーロータ(Flettner rotor)」によっても知られるようになっており、非特許文献1に、そのようなフレットナーロータまたはマグナスロータをシップに装備することが記載されている。この書籍では、高速度モード、または流入風の速度に対する周辺速度の比として4の値でのファクタ(=λ)がすでに述べられている(非特許文献1、65ページ、第3行を参照)。そのような高速度ファクタの場合、10程度の大きさである揚力係数が得られる(上記非特許文献では、9の値が示されている)。
【0003】
一般的な現況技術として、特許文献1〜7、および非特許文献2の文献が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10−2005−028447号明細書
【特許文献2】独国特許発明第2430630号明細書
【特許文献3】米国特許第4398895号明細書
【特許文献4】独国特許第69218428号明細書
【特許文献5】独国特許第10334481号明細書
【特許文献6】独国特許第2908159号明細書
【特許文献7】独国特許第2447861号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Klaus D Wagner著、「Die Segelmaschine」、Ernst Kabel Verlag GmbH、1991
【非特許文献2】Helmut Risch、Jochen Bertholdt著「Windschiffe」、VEB Verlag Technik、Berlin、1998、62〜63ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、マグナスロータをその効果に関し、現況の技術で行われているよりもさらに良く活用することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、本明細書の初めの部分に記載されている種類の、λ>4のマグナスロータによって達成される。
【0008】
その点に関し、本発明は、何にもまして使用される駆動パワーに関係する揚力係数が4の高速度ファクタを超えて著しく大きくなることは、もうないという仮説が、技術的偏見に基づくという認識に基づいている。高速度ファクタを増加させると、著しくもっと大きい揚力係数が得られることを実験的に確かめることが可能であった。したがって、マグナスロータからもっと大きい出力も得られる。
【0009】
有利な発展型では、5≦λ≦20、特に5≦λ≦10が実施される。その範囲のマグナスロータの動作の際、一方では達成された揚力係数、また他方ではマグナスロータへの要求される駆動パワーおよび負荷が、互いに特に有利な関係にある。
【0010】
マグナスロータの内部で構成される好ましい実施形態には、軸受手段によってマグナスロータを支えるキャリアがある。そのようにして、マグナスロータは、外部から空気力学的に制限されない状態のままであり、同時にキャリアおよび軸受手段も天候の影響を受けないように保護される。
【0011】
マグナスロータの下側の外周に等しく隔置され、遊びなしでそのマグナスロータに押し付けられる少なくとも3のガイドローラを設けることが、特に好ましい。これらのガイドローラによって、マグナスロータの内部におけるキャリアの高さ、およびそれに関連した軸受手段の高さにかかわりなく、マグナスロータが、その回転運動上に重ね合わされる、どのようなフラッピング運動も起こさないことが保証される。それゆえ、一方ではマグナスロータが一様にガイドされ、他方では軸受手段がロータの起こり得る偏位から生じるモーメントを受けない。その結果、そのことは、軸受手段の耐用年数に有益になる。
【0012】
マグナスロータ上で走行するガイドローラによるノイズの発生を減少させる、または完全になくすことさえするために、各ガイドローラは、その外周表面上に弾性被覆部を有する。その弾性被覆部は、たとえば、硬質ゴムの混合体、可塑材、あるいは一方ではガイドローラとマグナスロータの間の回転ノイズを減少または抑制させ、他方では摩耗量をできるだけ最小にすることにかかわる他の適切な材料とすることができる。
【0013】
その代わりとしてまたは追加として、各ガイドローラは、振動を減衰させる関係で取り付けられる。その場合、振動減衰は、ゴムダンパによって達成することができる。弾性的に被覆されたガイドローラへの代替実施形態として、関連するノイズの主な部分を振動減衰軸受手段によってなくすことができる一方、弾性的に被覆されたガイドローラとガイドローラのための振動減衰軸受手段との組合せによって最適なノイズ除去を達成することができる。
【0014】
ガイドローラがマグナスロータの下側の外周に対して連続的に回転するので、それに付随して、摩耗がそこに生じることになる。摩耗したガイドローラは、交換することができる。ガイドローラによってすり減らされたマグナスロータをある時点で交換する必要をなくすために、マグナスロータの下側外周に、ガイドローラがその上を回転するガイドトラックが設けられる。そのガイドトラックは、分割された鋼板から形成し、必要なら、分割して交換することができることが好ましい。そのようにして、マグナスロータの誘導は、良好な運転状態に維持することが容易にでき、マグナスロータ自体は、ガイドローラによるどのような摩耗も受けず、または、ガイドトラックとガイドローラの間の異物による損傷も受けない。
【0015】
特に有利な発展型では、マグナスロータが、マグナスロータの下側外周に対して所定の長さだけ押し付けられる駆動ベルトによって駆動される。その所定長さは、関与する要求に応じて、たとえばπ/2または2π/3とすることができる。その駆動には、ピニオンの個々の歯面からだけでなく、マグナスロータと駆動ベルトの間の接触表面の全体にわたって力が加えられる。それは、従来の駆動部よりも不具合の影響をほとんど受けず、そして個々の駆動構成要素は、必要なら、どのような問題もなく交換することができる。さらに、たとえば、マグナスロータ自体は、損傷する恐れがあり、そのために修理しなければならないことになるリングギアを有さない。ここでマグナスロータを容易に摩耗させないようにするために、少なくとも、駆動ベルトがマグナスロータに対して押し付けられたマグナスロータの下側外周の領域が鋼製にされる。
【0016】
駆動部自体は、3つのローラからなり、その中の少なくとも1つが駆動される、駆動ベルトのためのガイド構成によって実施されることが好ましい。そして、その駆動されたローラから、マグナスロータの外周に対してぴったりと押し付けられたベルトによって、力がマグナスロータ自体に伝達される。
【0017】
たとえば熱的影響およびそれに付随した駆動ベルトの張力の変化の結果、駆動ベルトの長さが変化することに対抗することができるように、そしてまた、駆動ベルト上に作用する駆動力によってその駆動ベルトの長さが伸びることを補償することができるように、マグナスロータの半径方向に変位可能なテンショニングローラを設けることが特に好ましい。そのようにしてベルトの張力に、またそれとともに駆動ベルトがマグナスロータに対して押し付けられる張力にも、テンショニングローラの変位によって作用させることができる。そのような変位は、手動で、または駆動ベルトの張力を同時に検出することによって、またテンショニングローラのモータ駆動による変位を自動的に使用して起こすことができることが当業者に完全に明らかである。
【0018】
本発明の好ましい発展型では、マグナスロータの下側周囲のまわりに少なくとも部分的に延在し、かつ駆動ベルトをガイドするためのローラ、ベルト自体およびガイドローラを被覆する被覆手段を備える。そのようにして、一方では、異物が駆動部およびガイドローラ中に侵入しないように防止することが可能である。他方では、それによって、操作者への危険の原因をなくす。というのは、そのような被覆手段が、駆動構成との偶発的な接触でさえ確実に防止することができるからである。
【0019】
被覆手段が、その下に設けられる構成要素に基づき分割されることが特に好ましい。したがって、ガイドローラにアクセスするためには、それに対応する被覆手段の断片だけを取り外せばよく、被覆手段全体を取り外す必要はない。一方では、それによって時間、複雑さや費用が省かれ、他方では、たとえば駆動部およびローラなどの他の部分に対する安全面が保たれる。というのは駆動ベルトが依然として被覆されたままであるからである。
【0020】
マグナスロータを確実に動作させるために、マグナスロータの第1の固有振動数を、マグナスロータのもっとも速い回転速度より高くする。それによって、マグナスロータの回転速度が、いかなる場合も、その第1の固有振動数に達することがなく、したがってマグナスロータが共振振動を起こすことがないことが保証される。この点に関し、第1の固有振動数は、曲げ剛性を増加すると高くなり、質量を増加すると下がることが当業者に明らかである。したがって、当業者は、その第1の固有振動数が所望の値になるように、マグナスロータの寸法を決め、それを設計することができる立場にある。
【0021】
したがって、マグナスロータは、その第1の固有振動数より低い回転速度で作動させる方法によって制御される。したがって、その方法は、マグナスロータが、その第1の固有振動数より低い回転速度で動作することも保証する。
【0022】
本発明による、マグナスロータを作動させる方法は、好ましくは、高速度ファクタが4より大きい、好ましくは5〜20の範囲に、特に好ましくは5〜10の範囲にセットされるようなやり方で、駆動部が制御されるような方法である。したがって、本発明による方法は、より高い高速度ファクタにおいて、広く行き渡った技術的偏見に反し、著しくより高い揚力係数、したがってその結果得られるより大きい力が達成されるという、実験的に確かめられた認識も考慮している。
【0023】
本発明の特に好ましい構成では、推進力を発生するために本発明によるマグナスロータを少なくとも1つ装備したシップが提供される。
【0024】
本発明は、以下に実施形態によって極めて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】全体システムの簡略化された図である。
【図2】マグナスロータの斜視図である。
【図3】マグナスロータの簡略化された側面図である。
【図4】マグナスロータのための駆動部およびガイド構成の詳細図である。
【図5】マグナスロータの下側領域の詳細図である。
【図6】ガイドローラおよびその軸受手段の斜視図である。
【図7】ガイドローラおよび軸受手段の断面図である。
【図8】駆動部およびガイドローラの被覆手段の簡略化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に、エンドプレート10を有するマグナスロータ8を示す。そのエンドプレートは、マグナスロータ8の効率を向上させるが、現況の技術では十分に知られている。
【0027】
マグナスロータ8は、マグナスロータ8の周辺速度が風速の倍数になるようなやり方で制御手段24によって制御される駆動部26によって駆動される。
【0028】
その目的のため、風速は、たとえば風速計22によって測定され制御手段24に送られ、その制御手段24は、次いで駆動部26を適切に制御する。セットされる回転速度は、マグナスロータ8の直径に依存し、400または500rpm程度の大きさの値を容易に達成することができる。
【0029】
実際の動作の点に関し、回転速度が平均風速から出発してセットされる。それは、10分間の平均値として知られた方法で確かめることができるが、当然他の期間にわたっても確かめることができる。制御手段は、平均値に基づき、一方では、調節のための介入頻度が限界値内に保たれるという利点がある。他方では、安定化効果も追加される。より具体的には、マグナスロータ8の回転速度が同じままである場合、たとえ風速が、たとえば追風の突風の結果として一時的に速くなっても、高速度ファクタは、自動的に減少し、それとともにマグナスロータの揚力係数が減少する、したがってマグナスロータ8に生じる力は、風速とともには増加しない。それゆえ、逆風の突風の場合、すなわち、わずかに風速が低下した場合、高速度ファクタは増加する。したがってその結果生じる力は、著しくは減少しない。というのは、揚力係数が大きくなるからである。したがって、風速が一定に変化する場合でも、マグナスロータの回転速度が一様になり、その結果得られる力は、一定に保たれることになる。
【0030】
図2の斜視図に、本発明による、マグナスロータ8の上端部にエンドプレート10が取り付けられたマグナスロータ8を示す。マグナスロータ8が、たとえばシップのデッキなどのベースプレート(図示せず)上に取り付けられる限りにおいて、その付随するエンドプレートは、マグナスロータ8の下側端部に必要でない。というのは、エンドプレートは、プレートまたはデッキ自体によって形成されるからである。マグナスロータ8は、軸受手段6の助けでマグナスロータ8の内部に配置され、マグナスロータ8がその上で回転するキャリア4によって支えられる。軸受手段は、知られた転がり軸受または他の任意の適切な軸受構成とすることができる。
【0031】
駆動構成が、マグナスロータ8の下側周囲縁部において示してある。
【0032】
ローラ16を駆動する駆動部26によって、駆動力が加えられる。駆動ベルト14が、そのローラ16のまわりを通り、さらに方向切替ローラ18およびテンショニングローラ20の上をガイドされる。これらの3つのローラ16、18、20がマグナスロータ8の中心点のまわりに配置されているので、駆動ベルト14は、マグナスロータの外周に対して所定の部分に沿って押し付けられ、摩擦によってそれを引きずる。駆動ベルト14の運動は、駆動部26によって発生され、そしてマグナスロータ8に伝達され、それゆえマグナスロータ8は、回転させられる。その駆動は、図4を参照してさらに詳しく示す。
【0033】
図3に、本発明による、内部に設けられたキャリア4、軸受手段6、エンドプレート10およびテンショニングローラ20を有するマグナスロータ8の簡略化された断面図を示す。この図に、ガイドローラ12および被覆手段28a、28dも示す。
【0034】
被覆手段28aおよび28dは、マグナスロータの下側周囲縁部、ガイドローラ12、およびテンショニングローラ20の簡単な形でここに示した駆動部も被覆し、したがって、一方では、異物が駆動部またはガイドローラ12中に入るのを防止し、他方では、操作者が露出された回転部分で負傷を被るのを防止する。
【0035】
図4に、マグナスロータ8のための駆動部およびガイド構成の細部を示す。ガイドローラ12は、マグナスロータ8の下側周囲縁部に配置される。それらのガイドローラ12は、マグナスロータ8の全周上に分散配置され、遊びがない関係でマグナスロータ8に対して押し付けられる。したがって、たとえ、突風によって、および軸受手段が相対的に高く配置されていること(たとえば図3参照)によって傾斜モーメントが生じても、それは、マグナスロータ8のフラッピング運動に繋がることがない。というのは、ガイドローラ12が確実にそれを防止するからである。これによって、マグナスロータ8が常に正確な回転運動をすることが保証される。
【0036】
さらにこの図に、マグナスロータ8の下側領域でその外周に対してぴったりと押し付けられた駆動ベルト14を明瞭に示す。駆動ベルト14がそれらのまわりを通るローラ16、18、20のそれぞれの位置に応じて、駆動ベルト14は、マグナスロータ8の表面に対して、アーチ形の範囲、たとえばπ/2、2π/3、またはπの範囲にさえわたって押し付けられ、そのようにして、摩擦によって駆動力をマグナスロータ8に伝達する。
【0037】
次いで、駆動ベルト14は、駆動部26、たとえば電気モータによって対応する力が作用する駆動ローラ16による運動にセットされる。駆動ベルト14は、マグナスロータ8に沿って駆動ローラ16から方向切替ローラ18にガイドされ、そこからさらにテンショニングローラ20に、次いで駆動ローラ16に再び戻るようにガイドされる。本例では、したがって、これよりエンドレスの駆動ベルトが生じる。
【0038】
この図では、テンショニングローラ20が、マグナスロータ8の半径方向でその位置を移動することができることが明確に見てとれる。そのようにして、駆動ベルト14の張力は、たとえば、熱の影響による、さらにまた機械的負荷および摩耗による長さの変化を補償することができるように、調節することができる。
【0039】
自動システムも現況の技術で知られており、張力検出器(この図には示さず)が駆動ベルト14の張力を自動的に検出し、適切な制御構成によってテンショニングローラ20を適切に調節する調節用駆動部(同じく図示せず)を作動させる。
【0040】
この駆動システムは、その良好なアクセス性およびその簡単な構造が実質的な利点である。そのようにして、複雑さと費用が低いレベルで不具合に対処することができる。したがって、マグナスロータ8上で摩耗する、または損傷することがある部分は、どんなものであれない。
【0041】
したがって、はっきりと見ることができるように外部からアクセスもできるガイドローラ12の交換は、どのような問題もなく可能である。保守も容易に行えるようにされている。というのは、動作進行中でさえ、マグナスロータ8の内部に入る必要がないので、目視点検を実施することができるからである。
【0042】
図5に、マグナスロータ8の下側外周における駆動ベルト14およびガイドローラ12の構成を詳細に示す。マグナスロータ8は、その重さを軽く保つためにアルミニウムから製作されるが、その下側領域中に鋼製の駆動領域9が設けられる。その駆動領域9中で、駆動ベルト14は、マグナスロータ8に対して押し付けられ駆動力をマグナスロータ8に伝達する。アルミニウムは、比較的軟質の材料であり、それゆえより高いレベルの摩耗を受けるが、それは、鋼の場合には当てはまらない。その構造によって、マグナスロータが確実に動作できるようにする摩耗が少ない駆動領域がもたらされる。
【0043】
ガイドローラ12も、その駆動領域9中でマグナスロータ8に対して押し付けられる。それらのガイドローラは、マグナスロータ8の全動作時間の期間すべてにわたって、マグナスロータ8の下側外周に対して回転するので、やはり一定量の摩耗がここでは予想される。ガイドローラ12自体が外部からアクセス可能であり、それゆえ容易に交換することができるので、マグナスロータ8自体は、非常に高いレベルの複雑さや費用を伴うようなマグナスロータを交換する必要を生じる、いかなる摩耗も被ることがあり得ない。
【0044】
そして、駆動領域9上に順に固定される分割された鋼板を含むガイドトラック13が、駆動領域9中に設けられる。ガイドローラ12は、そのガイドトラック13に対して回転する。ここではガイドトラック13が摩耗限界に達したとき、ガイドトラック13の個々の断片は、摩耗の性質および程度に応じて交換することができる。そのようにして、マグナスロータ8は、ガイドトラック13が摩耗を被っているときでさえ、即座に動作できる状態に容易に保つことができる。
【0045】
たとえ異物が外部からガイドトラック13とガイドローラ12の間を通り、それによって損傷が生じた場合でさえ、問題のガイドトラック13の断片および問題のガイドローラ12は、容易に交換することができる。
【0046】
図6に、付属したホルダを有するガイドローラ12の実施形態の斜視図を示す。この例では、ガイドローラ12は、その外周表面に弾性カバー32を有する。弾性カバー32は、マグナスロータの表面に対し、そしてそこではガイドトラックに対して走行する(図5の参照記号13参照)。弾性カバー32は、マグナスロータの外周に対するローラ12の回転によるマグナスロータの動作中のノイズ発生およびマグナスロータ上の摩耗もともに著しく減少させる。
【0047】
ローラ12は、上側ホールディングプレート34および下側ホールディングプレート35の間に回転可能に取り付けられる。ローラ12およびホールディングプレート34、35を含むユニットは、ホルダ40中にゴムダンパ42によって枢動可能に取り付けられる。次いで、ホルダ40は、固定プレート46によって、マグナスロータ8に接続される。
【0048】
ガイドローラ12および上側および下側のホールディングプレート34、35を含むユニットは、この図ではその右側でこのようにホルダ40中に配置される。ユニットの左側に、別のゴムダンパ42に接続されたバイアス用ねじ付ロッド44が設けられる。さらに、それらのゴムダンパ42は、隣接したホルダ40の対応するダンパマウント41中に組み込まれ、したがってその結果は、ガイドローラ12が取り付けられたホルダ40の連続したチェーンになり、それは、マグナスロータ8の下側外周のまわり全体に延在する。
【0049】
マグナスロータ8に対して押し付けられ、そしてそこではガイドトラック13に対して押し付けられたガイドローラ12による接触圧は、バイアス用ねじ付ロッド44によって調節することができる。その構造によって、一方では、ゴムダンパ42は、一定の制限内でガイドローラ12を弾性的に取り付け、ガイドローラ12とホルダ40を音響的に切り離し、したがって、そのようにしてノイズ伝搬を少なくとも減少させる。
【0050】
ホルダ40は、固定プレート46によって基礎構造に接続される。そのことは、図5から明確に見てとれる。そこでは(図5では)、マグナスロータの下側フランジ11を見ることができ、その上には固定プレート46が、それらの下面で取り付けられ、一方、固定プレート46の垂直後面、すなわち観察者から離れたその面は、マグナスロータの最下部の周囲縁部に固定される。その固定は、たとえば溶接結合によって達成することができる。
【0051】
図6の左側の部分に示したゴムダンパが隣接したホルダ40のダンパマウント41(図6参照)中に組み込まれた、隣接したホルダ40の間に、ガイドローラ12の構成を図5から見ることも可能である。
【0052】
図7に、図6に示した構成を貫いた断面図を示す。しかし、図6の図との違いとして、ガイドローラ12が、ここでは完全に1つの材料、好ましくは鋼から形成されることに留意されたい。そのガイドローラ12は、上側ホールディングプレート34と下側ホールディングプレート35の間に上側軸受36および下側軸受37によって回転可能に取り付けられ、そしてガイドローラ12、ホールディングプレート34、35および軸受36、37から構成されたそのユニットは、図6を参照した説明の中ですでに述べたように、ホルダ40中にそのユニットを取り付けることができるようにするゴムダンパ42をやはり備える。この点に関し、図7に、ホルダ40の右側部分中にダンパマウント41をはっきりと示し、図7にはこのユニットを示していないが、ホルダの右側に隣接しガイドローラ12、ホールディングプレート34、35および軸受36、37を有するユニットが、ゴムダンパ42によって、この図に示すホルダ40中に組み込まれる。
【0053】
最後に、図8に、エンドプレートなしの平面図でキャリアおよび軸受手段を示さずに、マグナスロータ8の簡略化された図を示す。カバー28a〜28hが、マグナスロータ8の外周のまわりに配置される。この場合、被覆手段28a、28bおよび28cは、ローラおよび駆動ベルトがその下に配置されるカバーであり、一方カバー28d〜28hは、ガイドローラ12を被覆する。分割構造は、駆動およびガイドシステムの個々の部分にアクセスするために、毎回全部の被覆手段を取り外す必要がないということを意味する。
【符号の説明】
【0054】
4 キャリア
6 軸受手段
8 マグナスロータ
9 駆動領域
10 エンドプレート
11 下側フランジ
12 ガイドローラ
13 ガイドトラック
14 駆動ベルト
16 駆動ローラ
18 方向切替ローラ
20 テンショニングローラ
22 風速計
24 制御手段、制御器
26 駆動部
28a〜28h 被覆手段
32 弾性カバー
34 上側ホールディングプレート
35 下側ホールディングプレート
36 上側軸受
37 下側軸受
40 ホルダ
41 ダンパマウント
42 ゴムダンパ
44 バイアス用ねじ付ロッド
46 固定プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部および制御手段であって、該制御手段は、マグナスロータが周辺速度に到達し、前記周辺速度に高速度ファクタが5から20の範囲でセットされるように前記駆動部を制御する、駆動部および制御手段と、
前記マグナスロータの下側外周に配置され前記マグナスロータ(8)に対して遊びなしに押し付けられる少なくとも3つのガイドローラ(12)と、
を備え、前記高速度ファクタが、所定の期間にわたって確かめられる平均風速から導かれることを特徴とするマグナスロータを作動させる方法。
【請求項2】
前記マグナスロータ(8)の内部に配置され軸受(6)によって前記マグナスロータ(8)を支えるキャリア(4)を特徴とする請求項1に記載のマグナスロータ。
【請求項3】
前記少なくとも3つのガイドローラが、前記マグナスロータ(8)の下側外周に一様に隔置された関係で配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマグナスロータ。
【請求項4】
各ガイドローラ(12)の外周表面上の弾性カバーを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のマグナスロータ。
【請求項5】
各ガイドローラ(12)のための振動を減衰させる取付手段を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のマグナスロータ。
【請求項6】
各ガイドローラ(12)の振動を減衰させる取付のためのゴムダンパ(42)を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のマグナスロータ。
【請求項7】
前記マグナスロータ(8)の下側外周にある分割された鋼板から成るガイドトラック(13)であって、前記ガイドローラ(12)が前記ガイドトラック(13)上を回転することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のマグナスロータ。
【請求項8】
前記マグナスロータ(8)の下側外周表面に対して所定の距離にわたって押し付けられる駆動ベルト(14)を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のマグナスロータ。
【請求項9】
駆動される3つのローラ(16、18、20)のうち少なくとも1つによる前記駆動ベルト(14)のための誘導を特徴とする請求項8に記載のマグナスロータ。
【請求項10】
前記マグナスロータ(8)の半径方向に変位可能なテンショニングローラ(20)を特徴とする請求項9に記載のマグナスロータ。
【請求項11】
モータによるテンショニングローラ(20)の変位を特徴とする請求項10に記載のマグナスロータ。
【請求項12】
前記マグナスロータ(8)の下側周囲を少なくとも部分的に囲繞し、且つ前記駆動ベルト(14)をガイドするための前記ローラ(16、18、20)の他に、前記駆動ベルト(14)自体および前記ガイドローラ(12)を被覆する被覆手段(28a〜28h)を特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のマグナスロータ。
【請求項13】
前記被覆手段(28a〜28h)の下方に配置された構成要素に対応する前記被覆手段の分割を特徴とする請求項12に記載のマグナスロータ。
【請求項14】
前記マグナスロータ(8)の最高回転速度を超える第1の固有振動数を特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のマグナスロータ。
【請求項15】
マグナスロータを回転させる駆動部と、
制御手段と、
を備え、前記駆動部(26)は、高速度ファクタが5から20の範囲にセットされるように制御され、
前記高速度ファクタが、所定の期間にわたって確かめられる平均風速から導かれることを特徴とするマグナスロータを作動させる方法。
【請求項16】
前記マグナスロータ(8)が、前記マグナスロータ(8)の第1の固有振動数より低い回転速度で作動されることを特徴とする請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のマグナスロータを少なくとも1つ含むことを特徴とするシップ。
【請求項18】
請求項15〜16のいずれか一項に記載の方法によって制御されるマグナスロータを少なくとも1つ含むことを特徴とするシップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−538770(P2009−538770A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512494(P2009−512494)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004816
【国際公開番号】WO2007/137844
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)