説明

マスク装着圧及び適正なマスク装着の決定方法

【課題】マスクの装着状態が適正であるかどうかを試験するのに適した圧力の決定方法、及び適正なマスク装着の決定方法を提供する。
【解決手段】マイクロコントローラは「マスク装着」モードを有し、ブロワにより、初期的なある一定の圧力レベルがマスクに加えられる。作用モードがマニュアルモードの場合には、マスク装着試験圧はその時点での「設定」圧である一方、その作用モードが自動滴定モードの場合には、マスク装着試験圧は、前回のセッションの95パーセンタイル圧であるか、さもなければ、そのベース治療圧、例えば10−12cmH2Oである。この一定の圧力が、ある時間の間、一般には1−3分間加えられる。マイクロコントローラは、流量センサから得られる数値「fLEAK」としてマスクのリーク量を連続的に決定し、この値をある閾値と比較し、リークの程度を示す視覚的な指標を患者に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクの装着状態が適正であるかどうかを試験するのに適した圧力の決定方法、及び適正なマスク装着の決定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)等の睡眠時異常呼吸は、持続陽圧呼吸(CPAP)装置等の陽圧換気補助を提供する装置で治療される。そのような代表的な装置は、患者に4乃至30cmHOの範囲の陽圧で可呼吸性ガスの供給をもたらす鼻マスクに結合された可制御性のフロージェネレータを含んでいる。更に、非侵襲性陽圧換気(NIPPV)として知られている分野の換気補助は、患者の呼吸サイクル中における適当な時期に、患者に様々なレベルの圧力を供給する。本明細書全体を通じ、「CPAP」または「換気補助装置」への言及は、CPAPあるいは非侵襲性陽圧換気への言及を含むものと理解すべきである。また、鼻マスクに対する代替物として、鼻プロング、口マスク、またはフルフェイスマスクを使用してもよい。本明細書におけるマスクへの言及は、これらのあらゆる患者インターフェース装置への言及を含めるべく意図されている。
【0003】
それらの装置の効能、従って治療の効能は、マスクを適正に装着し、漏れをどれだけ低減乃至は排除できるかにかかっている。例えば、CPAP装置のある既知の設備は、作用モード(または運転モード)に先立って利用し得る試験モードを提供し、これにより、ユーザはマスクの試験装着を行うことができる。この試験モードの間、装置はある試験圧をもたらす。この試験圧は、例えば、10cmHOに固定してもよいし、あるいは代替的に、その装置の最大出力圧に固定されることもある。この試験モードの間に、その試験圧で起こり得る漏れを回避するようにしてマスクが患者に装着される。
【0004】
別の既知の設備では、そのマスク試験圧が最小圧力設定値と最大圧力設定値のある関数として選択される。例えば:
【0005】
マスク装着試験圧
=Pmin-set+0.75(Pmax-set−Pmin-set) ・・・(1)
で表され、式中、
min-set=最小圧力設定値
max-set=最大圧力設定値
である。
【0006】
これらの既知の方法での問題は、その試験圧が、自動的に滴定するモードで実際に送給される圧力とは無関係なことである。自動的に滴定するモード(または自動治療モード)では、装置は、患者の睡眠中、その患者の必要条件に従って、マスクへ送給する圧力を変える。そのような自動モードで作動する治療装置及び治療方法の例は、共同所有の米国特許第5,704,345号(Berthon−JonesがResMed Limitedへ譲渡した)及びWO98/12965(Berthon−JonesがResMed Limitedへ譲渡した)に見出すことができる。
【0007】
正規の使用で遭遇する圧力と当該試験圧が有意に異なる場合には、正規の使用状態下でのマスク装着に関する良好な指標が得られないであろう。例えば、試験モードでは漏れが検出されないのに、作用モードではマスクに漏れが生じることがある。その他にも、マスク装着試験圧が不必要に高く、このため患者がそのマスク装着特性の使用を嫌がったり、あるいは、実際に必要な張力以上に高いストラップ張力でマスク装着することを患者に示唆するような、そのような試験圧に起因する不快感のために患者がその装置を使用したがらない、ということが起こり得る。
【0008】
図1は、2人の患者(A:「―」、B:「−・−・−」)に対して自動的に滴定するCPAP装置を用いて夜通し治療したときの累積度数図であり、またこの図には95パーセンタイル(…)も示されている。サンプリング速度は1回/分であった。患者Aの場合、375個の圧力読み取り値があり、その95パーセンタイル圧は約7cmHOであった。一方、患者Bの場合には、79個の圧力読み取り値があり、その95パーセンタイル圧は約20cmHOであった。最小圧力設定値及び最大圧力設定値をそれぞれ4cm及び20cmとし、前述の式(1)を用いる先行技術の解を採用したとすれば、マスク装着圧は16cmHOになる。この圧力は、患者Aに対して必要な圧力よりもずっと高く、そして、患者Bにとっては不十分な可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5823187号明細書
【特許文献2】特開平8−159855号公報
【特許文献3】国際公開第98/06449号
【特許文献4】国際公開第99/08036号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1145702号明細書
【特許文献6】特表平11−511120号公報
【特許文献7】特開平8−159856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的はこれらの問題を克服するか、あるいは少なくとも改善することであり、この目的は、前回の使用をベースとしたマスク装着試験圧の融通性のある決定方法を提供することにより達成される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、換気補助装置により着用者のマスクに加えられるべきマスク装着試験圧を決定するための方法を開示し、その方法が:
上記試験圧とすべき前回の換気補助セッションのあるパーセンタイル圧を決定するステップ;
を含んでいることを特徴とするものである。
【0012】
更に、本発明は、換気補助装置によりもたらされる換気補助をマスクの着用者に送給する上記マスクの装着状態が適正であるかどうかを評価するための方法を開示し、当該方法が:
試験圧として加えるべき前回の換気補助セッションのあるパーセンタイル圧を決定するステップ;
その試験圧で当該マスクから漏れる流量を決定するステップ;及び
適正なマスク装着の指標として、その漏れ流量の大きさを表示もしくは他の手段で指示するステップ;
を含んでいることを特徴とするものである。
【0013】
本発明は、更に、換気補助装置を開示し、その換気補助装置が:
可呼吸性ガスの陽圧をもたらす可制御性のフロージェネレータ;
上記ガスを受け入れるべく上記フロージェネレータに結合された導管;
着用者により着用されるべきマスクであって、順に、上記導管からある所望の圧力で上記ガスを受け入れるためのマスク;及び
上記フロージェネレータの制御手段を有し、且つ、当該マスクに加えられるべきマスク装着試験圧をもたらすべく動作することが可能な制御装置であって、前記試験圧が前回の換気補助セッションのあるパーセンタイル圧として決定される制御装置;
を含んでいることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明は、更に、以上で定義された通りの換気補助装置であって、当該換気補助装置が更に:
呼吸流量を検知するための流量センサ手段であって、流量信号を当該制御装置へ送る流量センサ手段;及び
表示または指示手段;
を含み;そして
当該制御装置が、更に、その試験圧でのマスク漏れ流量をその呼吸流量信号から決定し、そして、当該表示または指示手段に適正なマスク装着の指標としてその漏れ流量の大きさを表示させるか、あるいは他の仕方で指示させるべく動作することができる;
ことを特徴とする換気補助装置を開示する。
【0015】
適正なマスク装着の上記指標は、漏れの程度を示すものとして定量化されていることが好ましい。そのマスク漏れ流量を、漏れなしの等級を表すある閾値と比較し、上記流量がその閾値を超えていないかどうかにより、マスクが適正に装着されているかどうかを決定することができる。
【0016】
有利なことには、前回のセッションが存在していない場合、あるベース圧がその試験圧として選択される。当該パーセンタイル圧は75パーセンタイル圧から95パーセンタイル圧までの範囲にあってよい。更に、上記ベース圧は、10−12cmHOの範囲にあってよい。
【0017】
一つの好適な態様では、その換気補助装置は自動圧力モードとマニュアル圧力モードを有していてよく、上記自動圧力モードでは、制御装置の動作との兼ね合いにおいて以上で説明された個々のステップが実施され、そして、上記マニュアル圧力モードでは、現行で設定されている換気補助圧力が上記試験圧として選択される。
【0018】
その試験圧をある時間の間、例えば3分間加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】治療圧の関数として表した2人の患者に対する累積度数図。
【図2】CPAP装置の概略ブロック図。
【図3】即時的な漏れ流量の計算のブロックフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照しながら本発明の一つの実施態様を説明する。
【0021】
図2は、本発明を具体化する陽圧換気補助の一つの形態としてのCPAP治療装置10を示している。機械的に結合された電気モータ16により運転されるタービン/ブロワ14は、それのインレット18で空気または可呼吸性ガスを受け入れ、そして、その可呼吸性ガスを送給用チューブ/ホース20へある送給圧で供給する。上記チューブ/ホース20のもう一方の端部は鼻マスク12に接続されている。このようにして、CPAP治療を施すため、可呼吸性ガスが患者の気道に供給され、このとき、患者の呼気は、送給用チューブ20に設けられた排気口22により大気中へ放出される。排気口22は、典型的には、マスク12のすぐ近くに配置される。
【0022】
本発明の実施態様は、2つの作用モード(「マニュアル」モードと「自動滴定」モード)、及び「スタンバイ」または「ストップ」モードを有するCPAP装置と共に使用することができる。マニュアルモードでは、装置は、予め定められた圧力で可呼吸性ガスを送給する。一方、自動滴定モードでは、装置は、共同所有の米国特許第5,704,345号(上記の如くBerthon−JonesがResMed Limitedへ譲渡した)に記載されているようにして可呼吸性ガスを送給する。
【0023】
(流量の測定)
マスク12と排気口22との間の送給用チューブ20に呼吸流量計24が配置されている。呼吸流量計24は、当該呼吸流量計を横切る2つの圧力信号、P及びPをもたらし、それぞれの圧力信号がホース28、30により差圧センサ32へ送られる。結果として流量信号fをもたらすこの差圧P−Pにより、マスク12内におけるガスの流量が決定される。マスクの圧力Pは、それぞれのホース28から取られた支線36により圧力センサ34へも送られ、上記圧力センサ34からの出力として送給圧信号pが発生する。
【0024】
流量信号fと圧力信号pの両信号はマイクロコントローラ38へ送られ、ここで、それらの信号は、以降の信号処理を受けるべく、典型的には50Hzの速度でサンプリングされる。
【0025】
マイクロコントローラ38は、その流量並びに圧力信号(f、P)を処理して出力制御信号yを生成すべくプログラムされており、そして、その出力制御信号が電子モーターサーボ制御装置42へ供給され、次いで、モータ速度制御出力信号Vが生成される。このモータ速度制御出力信号がモータ16に供給されることにより、タービン14の回転速度が制御され、そして、鼻マスク12に所望の治療圧Pがもたらされる。
【0026】
モーターサーボ制御装置42は、信号pの形態における実際の送給圧と制御信号yとを比較する負のフィードバック制御技術を用いている。
【0027】
圧力及び/又は流量センサをブロワ14に配置した場合にも、それらの圧力及び/又は流量センサに対して同様なことが成り立ち、ブロワの圧力とホース20の空気圧特性に関する情報からマスク圧と流量値が決定される。
【0028】
(マスク漏れの決定)
マスク漏れを大まかに決定するためのマイクロコントローラ38の動作は以下の如きものである。マイクロコントローラ38内に組み込まれている制御用ソフトウェアは、以下で大まかに説明され、また図3のフロー図でも示されているようにして、呼吸性の空気流を決定するための以下のステップを実施する。「平均」という用語は、ここでは、ローパスフィルタリングステップの結果という最も一般的な意味で使用されており、算術平均に限定されるものではない。
1. 例えばT=20ミリ秒の間隔でマスクの空気流fとマスク圧Pを繰り返しサンプリングしてfからサンプル信号fMASKを得、そして、Pからサンプル信号PMASKを得る。(ステップ50、52)。
2. 10秒の時定数で当該空気流のサンプル信号fMASKをローパスフィルタリングした結果である平均漏れ量「LP(L)」を算出し、これを漏れ流量fLEAKとする。(ステップ54)。
【0029】
漏れ流量を決定するための他のどんな便利な形態をも利用することができ、例えば、国際公表公報第WO98/06440号に記載されている技法を用いてもよい。
【0030】
(マスク装着圧及び漏れの決定)
適正なマスク装着の決定は、覚醒状態にある患者に対して治療セッションを開始することにより行われる。マイクロコントローラ38は可操作性の「マスク装着」モードを有しており、このモードへは、患者が押しボタン式の制御手段を用いることにより手操作で入るか、あるいは自動的に入ることができる。どちらのケースにおいても、ブロワ14により、マスク12に初期的なある一定の圧力レベルが加えられる。作用モードがマニュアルモードの場合には、マスク装着試験圧はその時点での「設定」圧力である。一方、作用モードが自動滴定モードであるときには、マスク装着試験圧は、前回のセッションが存在していた場合、その前回のセッションの95パーセンタイル圧であり、前回のセッションが存在していない場合にはベース治療圧、例えば10−12cmHOである。この一定の圧力が、ある時間の間、一般には1−3分間加えられる。
【0031】
マスク装着モードの間、マイクロコントローラ38は、上述の如き数値fLEAKとしてマスクのリーク量を連続的に決定し、この値をある閾値、典型的には0.2l/sと比較し、リークの程度を示す視覚的な指標を患者に提供する。この閾値は「漏れなし」の等級を表している。このようにして、患者は、その適切なメッセージで示された通りにマスクを操作することにより、マスクの適正な装着を確実に行うことができる。
【0032】
以下のアルゴリズムを使用することができる:
【0033】
利用可能な場合、最も最近のセッションの95パーセンタイル圧を得る。
【0034】
モードが自動滴定の場合
もし95パーセンタイル圧が利用可能で、且つ、最小許容圧よりも大きいならば
・その圧力をその95パーセンタイル圧に設定する
でなければ
・その圧力をその最小許容圧に設定する
終了、もし
その代わりに、モードがマニュアルの場合
・その圧力を現行のCPAP圧に設定する
終了、もし
マスク装着モードにある間
・マスクのリークをチェックする
・マスクの装着状態を****、***、**、*、または不良の表現方式で表示する
終了、暫時
【0035】
一つの好適な態様では、前回のセッションが3時間より長い期間のものであった場合にのみ、「前回のセッション」が有効(即ち「利用可能」)とされよう。代表的な「最小許容圧」は10cmHOである。
【0036】
供給される治療圧の設定及び調節にはPMASKの値が使用される。
【0037】
マスク装着モードからの退出は、1)3分経過したとき;もしくは2)ユーザが(i)マスク装着ボタンか(ii)スタンバイ/スタートボタンかのどちらかのボタンを押したときのいずれかにより行われる。(i)の場合、装置は前の作用モードへ戻る。一方、(ii)の場合には、制御装置38はストップモードへ戻る。また、3分経過したためにマスク装着モードから抜けた場合には、制御装置38は前の作用モードへ戻る。
【0038】
本発明の実施態様は、先行技術よりも高い精度を持って適正なマスク装着状態を決定し、これにより、治療効率を改善するという利点を提供する。また、換気補助装置マシン上の視覚的なインジケータを観察することにより、患者は、適正な仕方でマスクを装着するにはどうしたらよいかを学習しやすくなるであろう。
【0039】
また、本発明の実施態様は、1つもしくはそれ以上のパラメータの設定を変える能力も含んでいてもよい。例えば、以下の項目のうちの1つもしくはそれ以上の手段を備えていてもよい:
a) 装置が試験圧モードに留まるプリセット時間間隔を(その時間間隔を延長させるかあるいは短縮することにより)変更できるようにするためのコントロール手段。そのコントロール手段による設定は、装置が使用される度に毎回その設定を適用してもよいし、あるいは代替的に、コントロール手段が使用されたセッションに対してその設定を適用し、次いで、次の使用セッションでは予め決定された設定にリセットしてもよい。また、連続的な仕方でその時間を変更する能力を備えていてもよいし、あるいは、例えば15秒間隔または1分間隔で増分的にその時間を変更する能力を備えていてもよい。
b) プリセット時間が満了する前にその試験圧を停止するためのオーバーライドコントロール手段;また、このコントロール手段に、装置を停止するか、あるいは作用モードを直接的に選択するかのいずれかを選択する手段が更に含まれていてもよい。
c) 決定されたマスク装着試験圧の変更を可能にするためのコントロール手段。このコントロール手段は、連続的な仕方でその圧力を変更できるようになっていてもよいし、あるいは、1/2cmHOの増分または1cmHOの増分等、適当な増分における段階的な仕方でその圧力を変更できるようになっていてもよい。
【0040】
1つもしくはそれ以上のこれらのコントロール手段を組み込むことによる利点は、ユーザがそのシステムを調節できる度合いが高まることであり、これにより、治療過程に関わっているという感覚をユーザ(臨床スタッフであっても患者であっても)に与えることができる。また、これらのコントロール手段は、治療時点での微細な調節も可能にする(例えば、患者の主観的な好みを満足させるため、マスクのストラップの張力を、本発明により適切と決定された張力よりも若干高めに調節することができる)。これらの各コントロール手段により可能になった融通性は、各患者に固有の臨床的ニーズに合わせるべくその装置を調節するためのサービス・コールや、資格を有するサービス人員の参加といった必要性を回避する働きを為すことができる。また、臨床的な要件により必要な場合には、これらのコントロール手段のいずれかへの患者のアクセスや、あるいは、これらのコントロール手段のアクセス可能な方法での可変範囲への患者のアクセスを制限し得ることも想定される。臨床担当者の監督を伴わずに患者が家庭環境でその装置を使用しているかどうかに関わらず、この制限を適用するのが適切であろう。コントロール手段へのアクセスの制限はどんな便利な仕方で達成してもよく、例えば、隠蔽されたコントロール手段を組み込んでもよいし、あるいは、マイクロプロセッサーのコマンドによるコントロール手段ではあるが、暗証コードの入力後にしかアクセスできないようにしてもよい。
【0041】
本発明を好適な実施態様に関して説明してきたが、当業者であれば、本発明が他の多くの形態で具体化できることが理解されよう。例えば、漏れの大きさまたは程度を表す指標を音響的な手段で知らせることもできる。更に、試験圧は75乃至95パーセンタイル圧の範囲であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気補助装置により着用者のマスクに加えるべきマスク装着試験圧を決定するための方法であって、当該方法が:
上記試験圧とすべき前回の換気補助セッションのあるパーセンタイル圧を決定するステップ;
を含むことを特徴とする決定方法。
【請求項2】
上記パーセンタイル圧が75−95パーセンタイル圧の範囲から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の決定方法。
【請求項3】
当該方法が更に:
利用可能な前回のパーセンタイル圧がないときに、上記試験圧とすべきあるベース圧を決定するステップ;
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の決定方法。
【請求項4】
上記ベース圧が10−12cmHOの範囲にあることを特徴とする、請求項3に記載の決定方法。
【請求項5】
当該方法が更に:
ある予め定められた時間間隔よりも長い期間にわたって圧力換気補助セッションが生じた場合に、ある前回の圧力が利用可能であると決定するステップ;
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の決定方法。
【請求項6】
上記予め定められた時間間隔が3時間であることを特徴とする、請求項5に記載の決定方法。
【請求項7】
換気補助装置によりもたらされる換気補助をマスクの着用者へ送給する上記マスクの装着状態が適正であるかどうかを評価するための方法であって、当該方法が:
試験圧として加えるべき前回の換気補助セッションのあるパーセンタイル圧を決定するステップ;
その試験圧で当該マスクから漏れる流量を決定するステップ;及び
適正なマスク装着の指標として、その漏れ流量の大きさを表示もしくは他の手段で指示するステップ;
を含むことを特徴とする評価方法。
【請求項8】
上記漏れ流量が漏れの程度を表すべく定量化されることを特徴とする、請求項7に記載の評価方法。
【請求項9】
当該方法が更に:
上記漏れ流量を、ゼロ度の漏れを表すある閾値と比較するステップ;及び
上記漏れ流量がその閾値を越えていない場合に、マスクが適正に装着されていると決定するステップ;
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の評価方法。
【請求項10】
当該方法が更に:
利用可能な前回のパーセンタイル圧がないときに、上記試験圧として加えるべきあるベース圧を決定するステップ;
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の評価方法。
【請求項11】
上記パーセンタイル圧が75−95パーセンタイル圧の範囲から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の評価方法。
【請求項12】
上記ベース圧が10−12cmHOの範囲にあることを特徴とする、請求項11に記載の評価方法。
【請求項13】
当該方法が更に:
ある予め定められた時間間隔よりも長い期間にわたって圧力換気補助セッションが生じた場合に、ある前回の圧力が利用可能であると決定するステップ;
を含むことを特徴とする、請求項12に記載の評価方法。
【請求項14】
上記の予め定められた時間間隔が3時間であることを特徴とする、請求項13に記載の評価方法。
【請求項15】
換気補助装置であって、当該装置が:
可呼吸性ガスの陽圧をもたらす可制御性のフロージェネレータ;
上記ガスを受け入れるべくそのフロージェネレータに結合された導管;
着用者により着用されるべきマスクであって、順に、上記導管からある所望の圧力で上記ガスを受け入れるためのマスク;及び
上記フロージェネレータの制御手段を有し、且つ、当該マスクに加えられるべきマスク装着試験圧をもたらすべく動作することが可能な制御装置であって、上記試験圧が前回の換気補助セッションのあるパーセンタイル圧として決定される制御装置;
を含むことを特徴とする換気補助装置。
【請求項16】
当該装置が更に:
呼吸流量を検知するための流量センサ手段であって、流量信号を当該制御装置へ送る流量センサ手段;及び
表示または指示手段;
を含み;そして
当該制御装置が、更に、その試験圧でのマスク漏れ流量を上記呼吸流量信号から決定し、そして、当該表示または指示手段に適正なマスク装着の指標としてその漏れ流量の大きさを表示させるか、あるいは他の仕方で指示させるべく動作することができる;
ことを特徴とする、請求項15に記載の換気補助装置。
【請求項17】
当該制御装置が漏れの程度を表すべく上記漏れ流量を定量化することを特徴とする、請求項16に記載の換気補助装置。
【請求項18】
当該制御装置が、更に、ゼロ度の漏れを表すある閾値と上記漏れ流量を比較し、そして、上記漏れ流量がその閾値を越えていない場合に、マスクが適正に装着されていると決定すべく動作することができることを特徴とする、請求項17に記載の換気補助装置。
【請求項19】
利用可能な前回のパーセンタイル圧がないときに、上記制御装置が、試験圧としてあるベース圧を加えるべきであると決定することを特徴とする、請求項18に記載の換気補助装置。
【請求項20】
上記パーセンタイル圧が75−95パーセンタイル圧の範囲から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の換気補助装置。
【請求項21】
上記ベース圧が10−12cmHOの範囲にあることを特徴とする、請求項20に記載の換気補助装置。
【請求項22】
上記制御装置が、更に、ある予め定められた時間間隔よりも長い期間にわたって前回の換気補助セッションが生じている場合に、ある前回の圧力が利用可能であると決定すべく動作することができることを特徴とする、請求項21に記載の換気補助装置。
【請求項23】
上記に予め定められた時間間隔が3時間であることを特徴とする、請求項22に記載の換気補助装置。
【請求項24】
当該制御装置が更にマニュアル圧力モードを有しており、当該マニュアル圧力モードでは、その時点で設定されている換気補助圧が当該試験圧として加えられるべく選択されることを特徴とする、請求項16に記載の換気補助装置。
【請求項25】
上記制御装置が、ある時間の間、当該試験圧を加えることを特徴とする、請求項24に記載の換気補助装置。
【請求項26】
上記時間が3分間であることを特徴とする、請求項25に記載の換気補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−36700(P2011−36700A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−228813(P2010−228813)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2000−589242(P2000−589242)の分割
【原出願日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD