説明

マスチック樹脂を乾性油に溶かしたチューブ入り油絵具用媒体

【課題】チューブ入り油絵具を安定させる為の媒体として体質顔料を使用することによる発色の鈍化、蜜蝋を使用することによる艶の消失、あるいは西洋古典油彩のメルギプを使用した際のメルギプ自体の経年劣化およびチューブ入り絵具に使用した場合の分離、凝固、等々の問題点を解決した油絵具用媒体を提供する。
【解決手段】チューブ入りの油絵具を安定させる為の媒体として、乾性油にマスチック樹脂を20重量%以下加熱して溶かした油絵具用媒体を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチューブ入り油絵具用媒体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
西洋古典油彩においては乾性油とテレピン、マスチック樹脂を加熱溶解して作ったメルギプというゼリー状のメディウムが使われていた。(例えば非特許文献1参照)
【非特許文献1】巨匠に学ぶ絵画技法 著者 J.シェパード
【非特許文献2】油彩画の技術 著者 グザヴィエ・ド・ラングレ
【非特許文献3】絵画技術体系 著者 マックスデルナー
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来チューブ入りの油絵具を安定させる為の媒体には体質顔料や蜜蝋が使われていたが、体質顔料の使用はその分色彩を薄め発色を鈍くしてしまい、蜜蝋の使用は艶をなくし発色を鈍くしてしまう。西洋古典油彩のメルギプを使用した場合、メルギプ自体の性能は経年劣化しやすく、又チューブ入り絵具に使用しても早々に分離、凝固等の好ましくない結果を生じた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
チューブ入りの油絵具を安定させる為の媒体に乾性油にマスチック樹脂を20重量%以下加熱して溶かした油絵具用媒体を使用する。
【発明の効果】
【0005】
マスチック樹脂を油絵具用媒体である乾性油に溶かしこむことにより絵具の顔料と媒体の分離、凝固を防ぎ安定させることができる。
体質顔料のように色彩顔料の割合を低下させることもない為、色彩顔料そのものの色合いを保ち、絵具の輝度、透過性を向上させ絵具の伸びを良くし、なめらかで描きやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
乾性油を加熱し100℃から120℃でマスチック樹脂を溶解する。乾性油とマスチック樹脂の重量比は対象の顔料や望む効果により変える事ができるがおよそ重量比10:1程にて各種顔料に対し良好な結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾性油にマスチック樹脂を加熱して溶かしたチューブ入り油絵具用媒体。
【請求項2】
マスチック樹脂を25重量%以下含有することを特徴とする請求項1記載のチューブ入り油絵具用媒体