説明

マッサージベッド用高濃度酸素ガス供給方法と該方法に用いる装置

【課題】マッサージによる肉体的疲労回復を依り一層促進し、且つ、精神的にもリラックスさせることによって全身、全体としての疲労回復を図ること。
【解決手段】高濃度酸素ガス供給手段2から高濃度酸素ガスをマッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置に導管3を介して供給してマッサージ治療者の頭部近傍に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成するマッサージベッド用高濃度酸素ガス供給方法とその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージベッドに高濃度酸素ガスを供給する方法と該方法に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
古くからの身体の疲労を回復させる手段としては勿論のこと、最近では、身体疲労に密接な関係があることが解明されてきている精神的疲労を回復させるという手段としても、マッサージ(按摩)が再び注目を集めている。基本的には、筋肉マッサージ(人体の筋肉を直接揉み解す)と、合わせて人体各所のツボを刺激するものである。
【0003】
こうしたマッサージには、人手によるものと、最近普及している電動式等の按摩器(揉み、叩き機能)によるものに大別されるが、電動機器を用いる方法は、現実には、到底人手の施術に適うものではない。
そして、こうしたマッサージの治療の効果が見直されるにつれ、多くの者が一度に気軽に受けることが出来るように、数多くのマッサージ専門店が街角に展開されてきている。
【0004】
このような人手によるマッサージは、使用する器具としては、筋肉を解すサウナ等を併用することがあるものの、基本的にはマッサージ用ベッドが用いられるだけであった。
こうした施術用器具としてのマッサージ用ベッドとしては、次の技術が知られている。
【特許文献1】特開平5−317381。これは、マッサージ台に枕と胸部持上部材を備えている。
【特許文献2】特開平11−57025。これは、イオン静電治療のマットを付設し、複数個のバイブレーターを備えている。
【特許文献3】特開2004−167238。これは、ベッドの上面に保定凹所と傾斜部とを設けている。 その他、マッサージのための電動器具を付設したものも多数提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献にあるように、人手による施療を行うベッドとしては、ベッド自体に種々の工夫を凝らしているものが見受けられるが、それは、マッサージを施術するのに好適条件(姿勢等)を得ることが目的であった。
【0006】
しかし、マッサージの効果は、その施術者による筋肉及びツボに対する刺激によって表れることは確かであるが、筋肉疲労の回復を、筋肉の揉み解しによる血行の改善だけでなく、更に効果的な回復方法がないものかと考えた。
更に、疲労回復が、筋肉疲労に基づく肉体的身体機能の低下と合わせて、精神的な疲労回復を図ることも重要な要素であるとの認識を持った。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑み、マッサージによる肉体的疲労回復を図るに際して、マッサージの進行に伴い血中の炭酸ガスの排出を促進し、また、グリコーゲンの燃焼に伴う乳酸の排出を助けることで、より一層のマッサージ効果を得ることになるのではないかと考えた。
【0008】
更に、同時に、人体に好ましい香りによって嗅覚を刺激し、マイナスイオンの効果を付与することで、精神をリラックスさせることが精神的疲労の回復、引いては全身、全体としての疲労の回復に寄与するものではないかと考えた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるマッサージベッド用高濃度酸素ガス供給方法は、上記目的を達成するために、マッサージ用ベッドの頭部載置近傍位置に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成するためのマッサージベッド用高濃度酸素ガス供給方法であっで、
高濃度酸素ガス供給手段2から高濃度酸素ガスをマッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置に導管3を介して供給してマッサージ治療者の頭部近傍に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成する、
という手段を講じたものである。
【0010】
また、本発明にかかるマッサージ用ベッドに対する高濃度酸素ガス供給装置は、請求項1の方法に用いる装置であって、
頭部載置位置に貫通孔4を備えたマッサージ用ベッド1、
高濃度酸素ガス供給手段2、及び
前記高濃度酸素ガス供給手段2からの酸素ガスを前記貫通孔4の底部開口4Aに供給する導管3、
から構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マッサージによる肉体的疲労回復を図るに際して、マッサージの施療と平行して治療者の頭部近傍に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成し、以って、大気中の酸素よりも酸素リッチの状態で空気を吸い込むことが出来るようにし、以って、治療者が運動をしていない状態(マッサージ中)における血液中の酸素濃度を高めることにより、血中の炭酸ガスの排出を促進し、更に、施療に伴う筋肉の揉み解し、緊張に伴い生成される乳酸の排出を助け、より一層のマッサージ効果が得られる利点がある。
【0012】
また、頭部載置位置に貫通孔を備えたマッサージ用ベッドを使用する場合に、うつ伏せ状態でのマッサージ施療に際して、口頭部、鼻部が貫通項に位置する楽な姿勢で、ベッドの下から高濃度酸素ガスを吸引できるので、呼吸が行い易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施に際しては、前記導管3の途中に高濃度酸素ガスに対する加湿手段5を設けてあるのが好ましい。この加湿手段5としては、水を噴霧するスプレー方式、後述する如き水槽5Aに高濃度酸素ガスを通して水分を付加する方法を採っても良い。
このように、高濃度酸素ガスの湿度を適正に調節することは、高濃度酸素ガスの水分が無いことによる吸気の際の不快感を改善になる。
【0014】
また、前記加湿手段5が水槽5Aから構成され、且つ、該水槽5A内の水に香料6が添加され、以って、前記高濃度酸素ガスにアロマ(各人の好みの香料を用いる)が付与されるように構成されているのが好ましい。
これによって、高濃度酸素ガスを吸気した際に、嗅覚を刺激して、精神的なリラックス状態を付与出来る。
【0015】
更に、前記導管3の途中にトルマリン濾過手段7を設けてあるのが好ましい。
これにより、マイナスイオンの発生を促して、その現実的な効果と共に好適な気分を付与出来る。
【0016】
また、前記マッサージ用ベッド1の上半身相当部1Aが起伏自在に構成され、前記導管3に切り替えバルブ8を介して分岐管3Bが設けられて、且つ、前記分岐管3Bの一端部3Cがマッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置の上方に延設され、該一端部3Cにフード9が設けられているのが好ましい。
これによって、受療者が半身を起した状態で、例えば、脚、足をマッサージしているときに、その頭部近傍に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成することが出来て、常に、高濃度酸素ガスを吸気出来る。
【実施例1】
【0017】
本発明にかかる実施例1を図1乃至図4に基づいて詳述する。
マッサージ用ベッドの頭部載置近傍位置に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成するためのマッサージベッド用高濃度酸素ガス供給方法は、図1に示す装置を用いて、次のように行われる。
【0018】
先ず、高濃度酸素ガス供給手段2から高濃度酸素ガスをマッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置に導管3を介して供給してマッサージ治療者の頭部近傍に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成することにより行う。この場合、高濃度酸素ガスが約90%〜95%の濃度を持っている場合でも、直接口に吸引させるのではなく、一旦大気中に放出して高濃度酸素ガスの雰囲気として吸引させるので、現実には、大気中の空気における酸素の濃度よりも数%乃至数十%程度リッチとなった状態である。
【0019】
ここに用いる装置は、頭部載置位置に貫通孔4を備えたマッサージ用ベッド1、高濃度酸素ガス供給手段2、前記高濃度酸素ガス供給手段2からの高濃度酸素ガスを前記貫通孔4の底部開口4Aに供給する導管3から構成されている。前記貫通孔4は、図2、図3に示す如く、本来、マッサージをうつ伏せ姿勢で受ける時の口頭部、鼻部の圧迫を回避するための窪みとして用いられているものである。
【0020】
前記高濃度酸素ガス供給手段2としては、ここでは、吸着剤(オキシファイブ・商品名)を用いた吸着方式の既存の酸素P.S.A.2A(商品名:ベルスイング)が用いられている。この機器は、コンプレッサー2Bから大気中の空気を送り込むことで、窒素ガスを分離生成するものであるが、その反作用として酸素濃度が90〜95%以上の酸素ガスを分離、供給できるものであり、酸素供給能力は、毎分4リットル〜100リットル程度であるが、ここでは25リットルを生成できるようにしたものである。
尚、この方式に代えて、他の公知の酸素分離機、或いは、既存の酸素ボンベを直接設置するようにしても良い。
【0021】
そして、前記導管3の途中に高濃度酸素ガスに対する加湿手段5を設けてある。この加湿手段5は、ここでは、水槽5Aから構成され、且つ、該水槽5A内の水に香料6が添加され、以って、空気から分離される際に湿度も除去されている高濃度酸素ガスを加湿と同時にアロマが付与されるように構成されている。勿論、アロマは、受療者の好みの香料を選択し、添加出来るようにする。
【0022】
更に、前記導管3の途中にトルマリン濾過手段7を、前記水槽5Aと直列配置で設けてある。この方式としては、同様の水槽に水とトルマリン原石7A及び水晶原石を充填し、ここに高濃度酸素ガスを送り込む方式が採られている。この際、前記水槽の水によって同時に高濃度酸素ガスを加湿できる。
【0023】
また、図4に示すように、前記マッサージ用ベッド1の上半身相当部1Aが起伏自在に構成され、前記導管3に切り替えバルブ8を介して分岐管3Bが設けられて、且つ、前記分岐管3Bの一端部3Cがマッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置の上方に延設され、該一端部3Cにフード9が設けられている。
【0024】
このように、図4に示す如き前記マッサージ用ベッド1の上半身相当部1Aが起伏自在にする構成は、既に、介護用ベッド等で開発されており、その機構自体は特別なものではないが、手動方式或いは電動方式の何れを採用してもよい。
【0025】
また、前記分岐管3Bの一端部3Cがマッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置の上方に延設する構成としては、形状保持可能な蛇腹等の可撓性の管を用いている。これにより、使用しない場合(うつ伏せ受療時等)には、ベッドの下方に折り曲げて収納しておくことも出来る。
【0026】
更に、前記導管3に設けた切り替えバルブ8は、3方弁でレバー8Aを操作することにより、前記貫通孔4の底部開口4Aに供給する場合と、マッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置に供給する場合とに切り替えができる。
また、この前記分岐管3Bの一端部3Cのフード9は、ラッパ状に構成され、頭部近傍への高濃度酸素ガスが無制限に拡散されることを防止するために設けられている。
【実施例2】
【0027】
この実施例2を、図5及び図6に基づき説明する。
ここでは、頭部載置位置に貫通孔4を備えたマッサージ用ベッド1、高濃度酸素ガス供給手段2、及び前記高濃度酸素ガス供給手段2からの酸素ガスを前記貫通孔4の底部開口4Aに供給する導管3から構成され、前記導管3の途中に高濃度酸素ガスに対する加湿手段5を水槽5Aから構成され、且つ、該水槽5A内の水に香料6が添加され、更に、前記導管3の途中にトルマリン濾過手段7を設け、以って、前記高濃度酸素ガスにアロマが付与され、マイナスイオンも付与されるように構成されている点は、上記実施例1と同じである。
【0028】
しかし、ここでは、更に、別途、第2のアロマを選択的に供給できる加湿手段5′を設け、水槽5A′内の水に上記水槽5Aとは異なる香料6′が添加されている。この第2加湿手段5′は、受療者の好みに応じたアロマを提供できるようにするために設けられたものであり、図5に示す如く、第1の加湿手段5、トルマリン濾過手段7、第2加湿手段5′が互いに並列に連結されており、これらへの高濃度酸素ガス供給側には、夫々バルブ10A,10B,10Cが設けられ、ガス供給を選択的に制御できるように構成している。
【0029】
また、図6に示す如く、ここでは、前記高濃度酸素ガス供給手段2からの酸素ガスを前記貫通孔4の底部開口4Aに供給する導管3の構造として、導管3の先端部に、多数の小孔を穿孔した分散排出管3Dを設け、この分散排出管3Dをヒンジ11によって、前記底部開口4Aに対して開閉自在に取り付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、マッサージ用ベッドに付帯させて設けるものであるので、マッサージ専業の業務用としてのみならず、個人のマッサージルームに設置可能であり、更に、ホテル、旅館、サウナ風呂、スポーツ施設にも設置できる等、広い分野で実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1における装置の高濃度酸素ガスを供給する全体概略図である。
【図2】実施例1におけるベッドの要部の縦断側面図である。
【図3】実施例1における一使用状態を示す斜視図である。
【図4】実施例1における一使用状態を示す斜視図である。
【図5】実施例2における装置の高濃度酸素ガスを供給する全体概略図である。
【図6】実施例2におけるベッドの要部の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0032】
1:マッサージ用ベッド
1A:上半身相当部
2:高濃度酸素ガス供給手段
3:導管
3A:排出口部
3B:分岐管
3C:一端部
4A:底部開口
5:加湿手段
5A:水槽
6:香料
7:トルマリン濾過手段
8:切り替えバルブ
9:フード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ用ベッドの頭部載置近傍位置に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成するためのマッサージベッド用高濃度酸素ガス供給方法であっであって、
高濃度酸素ガス供給手段2から高濃度酸素ガスをマッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置に導管3を介して供給してマッサージ治療者の頭部近傍に高濃度酸素ガスの雰囲気を形成することを特徴とするマッサージベッド用高濃度酸素ガス供給方法。
【請求項2】
請求項1の方法に用いる装置であって、
頭部載置位置に貫通孔4を備えたマッサージ用ベッド1、
高濃度酸素ガス供給手段2、及び
前記高濃度酸素ガス供給手段2からの酸素ガスを前記貫通孔4の底部開口4Aに供給する導管3、
から構成されていることを特徴とするマッサージ用ベッドに対する高濃度酸素ガス供給装置。
【請求項3】
前記導管3の途中に高濃度酸素ガスに対する加湿手段5を設けてある、
請求項1又は請求項3のマッサージ用ベッドに対する高濃度酸素ガス供給装置。
【請求項4】
前記加湿手段5が水槽5Aから構成され、且つ、該水槽5A内の水に香料6が添加され、以って、前記高濃度酸素ガスにアロマが付与されるように構成されている、
請求項1乃至請求項3の何れか一項のマッサージ用ベッドに対する高濃度酸素ガス供給装置。
【請求項5】
前記導管3の途中にトルマリン濾過手段7を設けてある、
請求項1乃至請求項4の何れか一項のマッサージ用ベッドに対する高濃度酸素ガス供給装置。
【請求項6】
前記マッサージ用ベッド1の上半身相当部1Aが起伏自在に構成され、前記導管3に切り替えバルブ8を介して分岐管3Bが設けられて、且つ、前記分岐管3Bの一端部3Cがマッサージ用ベッド1の頭部載置近傍位置の上方に延設され、該一端部3Cにフード9が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項のマッサージ用ベッドに対する高濃度酸素ガス供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−81879(P2006−81879A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304905(P2004−304905)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(304049226)有限会社つじの (1)
【出願人】(504389739)有限会社野中運送 (1)