説明

マッサージローラー

【課題】指圧と同様の効果を適切且つ連続的に身体に作用させて所望の筋肉を鍛錬し得るマッサージローラーを提供する。
【解決手段】ローラー周面10aを仮想の球の球面に略倣わせると共に、弾性変形を生じない材料で構成されたローラーベース10のローラー周面10aに、このローラーベース10の回転軸xに沿う向きに続く弾性突条11を、このローラーベース10の回転方向において隣り合う弾性突条11間に間隔を開けるようにして複数条備えさせてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、身体に押し当てて回転走行させることで、この押し当て箇所にある筋肉を鍛錬し得るマッサージローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
人の筋線維は、これに適度の負荷をかけることで、鍛錬されることが知られている。すなわち、筋線維に適度の負荷をかけることで、筋線維を構成する筋原線維が一旦破壊された後より強靱に再生され、(筋原線維の代謝)これにより筋線維が鍛錬されると考えられている。このような負荷は運動によりもたらされるが、指圧によってももたらされる。例えば、加齢により顔の表情筋の鍛錬が必要とされる場合には、この顔に対する指圧が有効であることが知られている。
【0003】
身体に押し当て回転走行させて一定のマッサージ効果を身体に作用させる器具として従来より様々なものが提案されているが、(特許文献参照)前記指圧と同様の効果を適切且つ連続的に身体に作用させるようにはなっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3038744号公報
【特許文献2】登録実用新案第3129403号公報
【特許文献3】登録実用新案第3154738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、指圧と同様の効果を適切且つ連続的に身体に作用させて所望の筋肉を鍛錬し得るマッサージローラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、マッサージローラーを、ローラー周面を仮想の球の球面に略倣わせると共に、弾性変形を生じない材料で構成されたローラーベースのローラー周面に、このローラーベースの回転軸に沿う向きに続く弾性突条を、このローラーベースの回転方向において隣り合う弾性突条間に間隔を開けるようにして複数条備えさせてなるものとした。
【0007】
マッサージローラーは弾性変形を生じないローラーベースと、これを生じる弾性突条を組み合わせて構成されることから、身体に対しては指圧の場合と同じようにマッサージローラーは押し当てられ、しかもこの押し当て状態において回転走行されることから、指圧と同じ効果を連続的に身体に与えることができ、しかも皮膚を痛めることがない。すなわち、指圧の場合の指の骨にローラーベースが相当し、指圧の場合の指の腹の肉に弾性突条が相当する。また、マッサージローラは、仮想の球の球面にローラー周面を倣わしたローラーベースのこのローラー周面に設けられる弾性突条をもって身体に接することから、身体への接触端において鍛錬対象となる箇所に常時前記筋原線維の代謝の促進に十分な荷重を指圧の場合と同じように作用させる。また、かかるマッサージローラーは、弾性突条をローラーベースの回転軸に沿わせて備えることから、身体における鍛錬対象となる箇所の筋肉の筋線維の連続方向に沿って回転走行させることでこの筋線維を構成する筋原線維をほぐしながら分断する向きの荷重をこの筋原線維に作用させ前記代謝を促進する。
【発明の効果】
【0008】
この発明にかかるマッサージローラ−によれば、身体における鍛錬対象となる箇所に一定の力で押し当てて回転走行させることにより、指圧と同様の効果を適切且つ連続的に作用させてこの箇所にある筋肉を鍛錬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1はマッサージローラーの正面図である。
【図2】図2はマッサージローラーの要部断面図である。
【図3】図3は支持体にマッサージローラーを組み合わせてなるマッサージ装置の正面構成図である。
【図4】図4は人間の顔の表情筋の一部の配置を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜図4に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるマッサージローラー1は、身体に押し当てて回転走行させることで、この押し当て箇所にある筋肉を鍛錬し得るものである。
【0011】
具体的には、かかるマッサージローラー1は、単一の回転軸xを中心に回転可能に支持され、これを構成するローラーベース10のローラー周面10aを身体の表面、つまり身体における鍛錬対象となる箇所の皮膚に押し当てながらこの回転軸xを中心とした回転走行を繰り返すように、つまり往動走行と復動走行を交互に行うように操作することで、この箇所の筋肉を鍛錬し得るものである。
【0012】
より具体的には、かかるマッサージローラー1は、一定範囲の押しつけ力をもって前記操作を行うことで、筋肉の筋線維を構成する筋原線維の代謝を効果的に促進してこの筋線維を増強し得るものである。典型的には、後述の弾性突条11が1mm2 あたり15g〜30gの荷重で身体に押しつけられるようにすることで、前記筋原線維の代謝、つまり、その破壊と再生が効果的に促されることが認められる。
【0013】
かかるマッサージローラー1は、ローラー周面10aを仮想の球の球面に略倣わせるように構成されたローラーベース10と、このローラーベース10のローラー周面10aに備えられる複数の弾性突条11、11…とから構成されている。
【0014】
図示の例では、ローラーベース10は、前記仮想の球の中心を挟んだ左右両側にそれぞれ前記回転軸xに直交する端面10bを有し、この左右の端面10b、10b間を前記ローラー周面10aとしている。図示の例では、かかる左右の端面10b、10bにはそれぞれボス部10cが形成されており、ローラーベース10はこの左右のボス部10c、10c間に亘る軸穴10eを備えている。そして、図示の例では、この軸穴10eに通されるシャフト3により、マッサージローラー1がその支持体2に回転可能に支持されるようになっている。図3は、かかる支持体2の一例を示している。この図3の例では、支持体2は棒状のグリップ20の一端にU字状のヘッド21を備え、このヘッド21の左右両端21a、21a間にマッサージローラー1を回転可能に支持するようになっている。すなわち、前記シャフト3の左端をヘッド21の左端21aに支持させ、前記シャフト3の右端をヘッド21の右端21aに支持させ、このシャフト3の中心軸が前記回転軸xとなるようになっている。マッサージローラー1はかかる支持体2などの適宜の支持体と組み合わされてマッサージ装置を構成する。
【0015】
かかるローラーベース10は、そのローラー周面10aを前記の荷重が作用されるように身体に押しつけたときに、弾性変形を生じない硬さを持った材料により構成される。典型的には、かかるローラーベース10は、金属や硬質の合成樹脂により構成される。
【0016】
一方、前記弾性突条11は、前記ローラーベース10のローラー周面10aを前記の荷重が作用されるように身体に押しつけたときに、適度な弾性変形を生じる材料により構成される。典型的には、かかる弾性突条11は、ゴムやゴム状弾性を持った合成樹脂により構成される。
【0017】
図示の例では、かかる弾性突条11は、ローラベースの左側の端面10bとローラー周面10aとがなす縁部10dと、このローラベースの右側の端面10bとローラー周面10aとがなす縁部10dとの間に亘って、ローラー周面10aに固着されている。図示の例では、隣り合う弾性突条11間には、ローラーベース10の回転方向におけるどの位置においても、略等しい間隔が形成されている。
【0018】
図示の例では、各弾性突条11はそれぞれ前記弾性変形を生じる材料から構成された紐状体11aの下端部を、ローラーベース10に設けた溝10fに入れ込ませてこの溝10f内に固着させることで、ローラーベース10に備えられている。かかる固着は、典型的には、接着により、あるいは、ローラーベース10をインサートとしたインサート成形によりこのローラーベース10のローラー周面10aに弾性突条11を設けることにより、あるいは、ローラーベース10と弾性突条11を二色成形により同時に成形することにより、なされる。
【0019】
典型的には、ローラーベース10のローラ周面の倣う仮想の球の直径を30mm〜45mmの範囲とすると共に、弾性突条11を構成する前記紐状体がローラー周面10aから少なくとも1mm〜2mmの範囲で突出され、隣り合う弾性突条11、11間に4mm〜7mmの間隔が開けられるようにする。
【0020】
なお、図示の例では、各弾性突条11はそれぞれ、その長さ方向略中程の位置11bにおいて、やや湾曲されている。
【0021】
マッサージローラー1は弾性変形を生じないローラーベース10と、これを生じる弾性突条11を組み合わせて構成されることから、身体に対しては指圧の場合と同じようにマッサージローラー1は押し当てられ、しかもこの押し当て状態において回転走行されることから、指圧と同じ効果を連続的に身体に与えることができ、しかも皮膚を痛めることがない。すなわち、指圧の場合の指の骨にローラーベース10が相当し、指圧の場合の指の腹の肉に弾性突条11が相当する。また、マッサージローラは、仮想の球の球面にローラー周面10aを倣わしたローラーベース10のこのローラー周面10aに設けられる弾性突条11をもって身体に接することから、身体への接触端において鍛錬対象となる箇所に常時前記筋原線維の代謝の促進に十分な荷重を指圧の場合と同じように作用させる。また、かかるマッサージローラー1は、弾性突条11をローラーベース10の回転軸xに沿わせて備えることから、身体における鍛錬対象となる箇所の筋肉の筋線維の連続方向に沿って回転走行させることでこの筋線維を構成する筋原線維をほぐしながら分断する向きの荷重をこの筋原線維に作用させ前記代謝を促進する。
【0022】
かかるマッサージローラー1は、図示の例では、前記支持体2のグリップを把持してマッサージローラー1を前記弾性突条11が1mm2 あたり15g〜30gの荷重で身体に押しつけられる力で身体に押しつけ回転走行させて用いる。かかるマッサージローラー1は、例えば、顔の表情筋を鍛錬する場合には、図4において符号101で示される小頬骨筋や、符号102で示される大頬骨筋や、符号103で示される上唇挙筋の連続方向に沿ってローラーベース10が走行するように、顔面に押し当てて用いる。
【符号の説明】
【0023】
x 回転軸
1 マッサージローラー
10 ローラーベース
10a ローラー周面
11 弾性突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー周面を仮想の球の球面に略倣わせると共に、弾性変形を生じない材料で構成されたローラーベースのローラー周面に、このローラーベースの回転軸に沿う向きに続く弾性突条を、このローラーベースの回転方向において隣り合う弾性突条間に間隔を開けるようにして複数条備えさせてなることを特徴とするマッサージローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−217876(P2011−217876A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88473(P2010−88473)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(592128755)株式会社鹿浜製作所 (4)
【Fターム(参考)】