説明

マッサージ器の放熱構造、マッサージ器

【課題】振動を利用して被施療者の施療部位について血行、コリ、疲労感を改善する振動マッサージ器と、これを用いた振動式のマッサージ器を提供する。
【解決手段】タタキ玉1、ソレノイド2とそのプランジャ2a、磁界発生用のコイル3、ソレノイドフレーム4、サーマルプロテクタ5、発泡ウレタンカバー6からなるタタキ玉構造40を複数個用い、レザーカバー31内に収納して一つの装置とする。位相制御された電力の供給を受け駆動されるソレノイド2は発熱するが、ソレノイド2と発泡ウレタンカバー6との間に金属シャーシ10を介在させ、発泡ウレタンカバー6に多数の開放穴11を設けることで、冷却効果が高まり、長時間の使用が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を利用して被施療者の施療部位について血行、コリ、疲労感を改善する振動マッサージ器と、これを用いた振動式のマッサージ器の放熱構造と、この構造を採用したマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような振動式のマッサージ器(マッサージ装置等の類似の名称を使用するものも含む)では、モータやソレノイドなどをタタキ玉の駆動源として組み込み、その周囲を発泡ウレタンなど断熱性と弾性とを有する素材で覆い、タタキ玉を上下動させるなどしてその振動を利用するものや、複数の振動を干渉させて共鳴振動を利用するものなどが知られている。
【0003】
図1は、従来公知のマッサージ器のタタキ玉の周囲構造を示す透視図である。図中1はタタキ玉、2はこれを上下に駆動するソレノイド、2aはそのプランジャ、3は磁界発生用のコイル、4はプランジャ2aやコイル3を収納したソレノイドフレーム、5はソレノイドフレーム4に組み込んだサーマルプロテクタ、そして6はタタキ玉1の動作粋の開口7を残して上述の各要素を囲繞する発泡ウレタン性のカバー(以下では発泡ウレタンカバーと言う。)である。なお、実際にマッサージ器として使用する際は、この構造のものをひとつの要素とし、これを複数個用い、合成皮革などからなる外被カバー材などの内部に収納して一つの装置として用いる。
【0004】
発泡ウレタンカバー6は、位相制御された電力の供給を受け駆動されるソレノイド2の全体、その他を包み、そのクッション性と断熱性とを利用し、マッサージ器として使用する際のソレノイド2の発熱が使用者に伝わりにくいようにしているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3102683号公報
【特許文献2】特表2005−525872号公報
【特許文献3】特許第3743160号公報
【特許文献4】特開平10−33612号公報
【特許文献5】特許第3949071号公報
【特許文献6】特許第3120803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで発泡ウレタンカバー6は、クッション性と同時に断熱材としての性質を強く持ち、その断熱性のために、温度上昇が早い。したがって、使用者が心地よいタタキ強度で使用し続けてしまうと、使用時間が所定時間内(例えば30分)であっても、ソレノイド2の温度が安全範囲を超えてしまう事態が生じることがあった。
【0007】
そのため、装置を再使用するには、ソレノイド2の温度が下がり、使用に適する温度に冷えるまでの待ち時間を要するが、断熱性の強い発泡ウレタンカバー6で囲まれているため、冷却時間が長かった。
【0008】
また温度上昇対策としては、発火の危険等からコイル3の一部に取り付けたサーマルプロテクタ5でソレノイド2の駆動回路を遮断するようにしているが、この方法では、安全性がサーマルプロテクタ5の性能に依存してしまうという危うさがあり、かつ装置の連続長時間使用を難しくしてしまうものとなっていた。
【0009】
そこで本発明は、ソレノイドが発生させる熱の放熱面を広げて冷却効果を高めたマッサージ器の放熱構造と、これを用いたマッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のマッサージ器のうち請求項1に係るものは、タタキ玉と該タタキ玉の駆動源を有する振動ユニットと、該振動ユニットを1個以上実装する金属製のシャーシと、前記実装した振動ユニットの前記タタキ玉を露出させ、前記シャーシを囲繞する断熱性の被覆材と、これら振動ユニット、シャーシ、被覆材を覆うカバー材からなり、前記被覆材に、弾性と断熱性を有するクッション材を用いてなることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係るものは、請求項1の振動マッサージ器において、前記クッション材が、1個以上の放熱用の開口あるいは穴、凹みを有することを特徴とする。
【0012】
請求項3に係るものは、請求項1または2の振動マッサージ器において、前記クッション材が発泡材であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係るものは、請求項3の振動マッサージ器において、前記発泡材が発泡ウレタンであることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかの振動マッサージ器において、前記駆動源としてソレノイドを用いることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、全体概観の平面形状が矩形または略矩形で、少なくとも前記振動ユニットを収納可能な高さ寸法を有する薄い直方体状のマット形態を有することを特徴とする。
【0016】
請求項7に係るものは、請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、全体概観の平面形状が矩形または略矩形以外の形状で、少なくとも前記振動ユニットを収納可能な高さ寸法を有する薄い直方体状のマット形態を有することを特徴とする。
【0017】
請求項8に係るものは、請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器において、前記カバー材に1個以上の持ち手部を形成してなることを特徴とする。
【0018】
請求項9に係るものは、請求項8の振動マッサージ器において、前記持ち手部を高さ方向をなす側面のうちの相隣る2側面にそれぞれ設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、熱伝導率が高い金属シャーシを介在させることで、駆動源や駆動源であるソレノイドからの熱は先ずシャーシ全体に効率良く伝わり、シャーシ全体が熱源となることで、放熱面が格段に広くなり、冷却効果を高めることができ、さらに金属シャーシを介在させたことで駆動源のフレームが剛体に固定される結果となり、タタキ玉のたたき力が強くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来公知のマッサージ器のタタキ玉の周囲構造を示す透視図
【図2】本発明のマッサージ器の基本構造であるタタキ玉の周囲構造を示す透視図
【図3】同駆動源であるソレノイドとタタキ玉の駆動構造を示す断面図
【図4】本発明のマッサージ器の実施例を示す透視図
【図5】同電気系統図
【図6】本発明のマッサージ器の駆動源の位相制御例の内容を示す説明図
【図7】本発明の実施例に係るマッサージ器の使用例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、従来技術ではタタキ玉の駆動源であるソレノイドの作動に伴う発熱をサーマルプロテクタによって遮断する方式であったが、この方式は安全面や使用面で問題がある点にかんがみ、駆動源であるソレノイドとこれを囲繞する発泡体等の被覆材との間に金属シャーシを介在させることに特徴がある。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお以下では図1に示す従来の例と共通する部分には共通する符号を付して説明する。
【0023】
図2は、本発明のマッサージ器の基本構造であるタタキ玉の周囲構造を示す透視図である。図中1はタタキ玉、2はソレノイド、2aはそのプランジャ、3は磁界発生用のコイル、4はソレノイドフレーム、5はサーマルプロテクタ、6は発泡ウレタンカバーである。なお、実際にマッサージ器として使用する際は、この構造のものをひとつの要素とし、これを複数個用い、カバー材などの内部に収納して一つの装置として用いる。タタキ玉1は、従来の例と同様に、上面が球状を呈し、下面が平面をなすものであるが、本発明で使用するタタキ玉はこの形状のものに限定されず、種々公知、周知の形状のものを採用できる。
【0024】
発泡ウレタンカバー6で、位相制御された電力の供給を受け駆動されるソレノイド2の全体、その他を包み、そのクッション性と断熱性とを利用し、マッサージ器を使用する際のソレノイド2の発熱が使用者に伝わりにくいようにしている点では従来の例と同様である。
【0025】
ただし従来の例と異なり、ソレノイド2と発泡ウレタンカバー6との間に金属シャーシ10を介在させるという特徴を有している。これは、
(1)熱伝導率が高い金属シャーシ10を介在させることで、ソレノイド2からの熱が先ず金属シャーシ10全体に効率良く伝わり、
(2)金属シャーシ10全体が、いわば熱源となることで従来の例と比べれば放熱面が格段に広くなり、冷却効果が高まり、
(3)発泡ウレタンカバー6に、金属シャーシ10と外装材である合成皮革などからなる外被カバー(図示せず)とを結ぶ多数の開放穴11を設けることで、さらに冷却効果が高まる。
【0026】
なお、開放穴11は、図示の例では上下方向に4個、水平方向に1個設けるように描いてあるが、これは単なる一例であって、本発明がこの例のものに限定されることはなく、設計的に最適の個数、位置、開口面積等を選択すればよい。また金属シャーシ10と外装材である外被カバーに対してそれぞれ直接的に開口するものである必要は無く、穴のように底部が存在する構造であっても良い。要するに、熱を外部へ放出する経路としての開口部分、穴部分があればよく、図示の例には限定されない。
【0027】
また、本実施例では、
(1)金属シャーシ10を介在させたことでソレノイドフレーム4が剛体に固定される(図示の例ではネジ止めしてある)結果となり、タタキ玉1のたたき力が強くなり、
(2)従来通りの電力を供給するとタタキ力が強くなり過ぎてしまうので、供給電力を抑えて強度を調整する方法を採用したが、これが、結果的に省電力につながり、ソレノイド2の発熱をいっそう低減させることができた。
(3)さらに、従来は一定時間にわたって使用するとソレノイド2の温度上昇の制約から、それまでの使用時間あるいはそれ以上の休止時間が必要であったが、本実施例では温度についての制約が解消され、長時間の連続使用が可能となった。
【0028】
図3は駆動源であるソレノイド2とタタキ玉1の駆動構造を示す断面図である。ソレノイド2のプランジャ2a先端には戻しバネ12が設けてあり、ソレノイドフレーム4の上面とタタキ玉1の下面との間に配してあり、この戻しバネ12の力を適宜選択することでもタタキ玉1のタタキ力を調整できる。なお、ソレノイドフレーム4中には、コイルボビン13、コイル14、リードワイヤ15等が配してあるが、これらはソレノイド2としては周知の要素であるので符号を付すにとどめ、説明を省略する。
【0029】
なお図3(B)は、ソレノイド回路の構成を示す概念図である。
【0030】
図4は、本発明のマッサージ器の実施例を示す透視図である。本実施例のマッサージ器30は、最外装をレザーカバー31で覆い、その内側をクッション性と断熱性を有する発泡ウレタンカバー6で満たし、中核部に上述したソレノイド2その他の要素からなるタタキ玉1とその周囲構造(以下、タタキ玉構造40と言う。)を6個を配置して構成してある。また発泡ウレタンカバー6内には回路ボックス41が配置してあり、各タタキ玉構造40からのリードワイヤ15がこの回路ボックス41に接続し、回路ボックス41からは商用電源へ接続するための電源コード及びプラグ42と、外部からの操作用のリモコン43へ接続するためのワイヤ44が導出されている。
【0031】
本実施例では、6個のタタキ玉1・・・をレザーカバー31を介して、さらには衣服を介してあるいは直接に人体の施療部位に当てて使用する。もちろん、使用に当たっては衣服やタオルなどを用い、人体の施療部位が直接にレザーカバー31に触れないようにするほうが好ましいが、これは使用者の好みであるので、如何様な使用形態も可能である。
【0032】
図5は本発明のマッサージ器の実施例で採用した電気系統図、図6は、本発明のマッサージ器の駆動源の位相制御内容を示す説明図である。回路ボックス41は、大まかには、マイクロコンピュータ50、電源回路51、ドライブ回路52そして商用電源から供給される電力の変動をカットするためのノイズフィルタ53を備え、実際の使用時には、リードワイヤ15を介して接続したリモコン43を操作して、タイマー等の図示しない制御回路、制御プログラム等により、自動オフとなるまでの間、多様なタタキパターンを継続し続けることができるようになっている。
【0033】
各ソレノイド2は、マイクロコンピュータ50を利用した制御によってそれぞれ別の時間と強度で駆動でき、全体としは協調のとれたタタキ、あるいは使用者の好みに合わせたタタキを提供できるようになっている。例えば、リモコン43によって、モード(背中/足裏)選択、始動/停止、強/中/弱、を選択し、かつ好みのタタキ制御を行わせることができる。ただし、このようなタタキ制御について公知、周知の例が多数あるので、適宜それを採用すればよく、説明は省略する。なお図6に示す本発明のマッサージ器の駆動源の位相制御例の内容は、位相制御の説明のための図であって、本発明の駆動源の駆動制御をこの種の制御で行わなければならないというものではない。
【0034】
なお、本実施例では、座布団あるいは平坦なクッションシート状の概観を有するものとし、レザーカバー31の2つの側面(平置きした状態で縦になる側面であってかつ隣り合う側面)に搬送用の持ち手55を設けてあり、使用者は好きな場所へ運んで、好みの形態で使用できるようにしてある。
【0035】
図7は、本発明の実施例に係るマッサージ器の使用例を示す説明図である。(A)は、使用者60が椅子61の背もたれ部分62において背中をマッサージしている使用例、(B)は背もたれのない腰掛63に座った使用者60が足の下に置いて足裏をマッサージしている使用例、(C)は、寝ている状態の使用者60の背中あたりに配置してマッサージしている使用例(図中30aは補助マットであり、例えば座布団や、クッション等も使用できる)、(D)は、上述してきたマッサージ器30を二つつなげて、例えば(C)と同様に使用できるようにした例、(E)は、二つつなげたマッサージ器30を折りたたんで枕などのように使用できるようにした例を示す。使用形態は、このほか、使用者が種々工夫して自分にあう使い方を見つければよいものであって、図示の例は単なる一例である。
【符号の説明】
【0036】
1:タタキ玉
2:ソレノイド
2a:プランジャ
3:磁界発生用のコイル
4:ソレノイドフレーム
5:サーマルプロテクタ
6:発泡ウレタンカバー
10:金属シャーシ
11:開放穴
12:戻しバネ
13:コイルボビン
14:コイル
15:リードワイヤ
30:マッサージ器
31:レザーカバー
40:タタキ玉構造
41:回路ボックス
42:電源コード及びプラグ
43:操作用のリモコン
44:ワイヤ
50:マイクロコンピュータ
51:電源回路
52:ドライブ回路
53:ノイズフィルタ
55:持ち手
60:使用者
61:椅子
62:椅子の背もたれ部分
63:背もたれのない腰掛


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タタキ玉と該タタキ玉の駆動源を有する振動ユニットと、
該振動ユニットを1個以上実装する金属製のシャーシと、
前記実装した振動ユニットの前記タタキ玉を露出させ、前記シャーシを囲繞する断熱性の被覆材と、
これら振動ユニット、シャーシ、被覆材を覆うカバー材からなり、
前記被覆材に、弾性と断熱性を有するクッション材を用いてなる、
ことを特徴とするマッサージ器。
【請求項2】
請求項1のマッサージ器において、
前記クッション材が、1個以上の放熱用の開口あるいは穴、凹みを有することを特徴とするマッサージ器。
【請求項3】
請求項1または2のマッサージ器において、
前記クッション材が発泡材であることを特徴とするマッサージ器。
【請求項4】
請求項3のマッサージ器において、
前記発泡材が発泡ウレタンであることを特徴とするマッサージ器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかのマッサージ器において、前記駆動源としてソレノイドを用いることを特徴とするマッサージ器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかのマッサージ器において、
全体概観の平面形状が矩形または略矩形で、少なくとも前記振動ユニットを収納可能な高さ寸法を有する薄い直方体状のマット形態を有することを特徴とするマッサージ器。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかのマッサージ器において、
全体概観の平面形状が矩形または略矩形以外の形状で、少なくとも前記振動ユニットを収納可能な高さ寸法を有する薄い直方体状のマット形態を有することを特徴とするマッサージ器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかのマッサージ器において、
前記カバー材に1個以上の持ち手部を形成してなることを特徴とするマッサージ器。
【請求項9】
請求項8のマッサージ器において、
前記持ち手部を高さ方向をなす側面のうちの相隣る2側面にそれぞれ設けてなることを特徴とするマッサージ器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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