説明

マッサージ器具

【課題】腟などの内壁に効果的に指圧刺激を与えることの出来、感覚鍛練効果が高くなるような全く新しいマッサージ器具を提供する。
【解決手段】挿入本体部10と共に挿入される前記挿入本体部から分岐した分岐部11を備え、この分岐部は前記挿入本体部に対して屈曲自在に設けられており、前記挿入本体部側には屈曲した前記分岐部を納めるための凹部12が形成されているものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、夫婦生活を充実させるべく開発されたハンディータイプのマッサージ器具(感覚鍛練具である)に係り、特に挿入本体部と共に腟のような器官に挿入してこれを内側から指圧するための分岐部を備えているマッサージ器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より夫婦生活を充実させる性感帯刺激具(感覚鍛練具)として、陰茎を模した形状の腟内に挿入するマッサージ器が各種提案されている。これには例えば単なる棒状のものやその内部にバイブレータ(振動発生部)を内蔵して腟内に振動刺激を加えられるタイプのものなどがある。前記バイブレータは一般的には偏心重錘を有するモータが設けられて成るものであり、このモータに電池とスイッチとが接続されている。さらに前記モータの動きを細かく制御するためのコントローラが設けられたものもある。
【0003】
ところで腟の入り口付近には腟括約筋があり、奥の方は伸縮性に富む袋のような形状をしている。そして興奮期には奥の方が広がることが医学的に知られている。しかしながら腟自体の感覚は他の性感帯と比較してそれほど敏感ではないことが分かっている。従って上記陰茎を模した形状の性感帯刺激具では、特開2004−329834号公報にあるようなすり漕ぎ運動などの複雑な運動をする機構を備えたものも提案されている。すなわちこの種マッサージ器は、腟内に挿入する柔軟な素材から成る挿入部とモータや電池やスイッチを納めたハンドル部とから成り、前記モータの回転軸に延設された緩やかなカーブを有する回転杆が前記挿入部内にあり、前記モータの回転に伴なって首を振るような回転を行ない、これが前記挿入部にも首振り運動を生じさせるように構成されている。
【特許文献1】特開2004−329834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述したように腟は単なる筒状のものではなく、その時々の状況によって形状が変化するものであるため、マッサージ器具も単なる棒状のものではその挿入部が腟内壁に接触せずに腟内壁から浮いたような状態となることがある。また上述した腟内に挿入する柔軟な素材から成る挿入部とモータや電池やスイッチを納めたハンドル部とから成るマッサージ器では、前記モータの回転方向への刺激を挿入部を通して腟内壁に伝えようとするものである。これはこれで良いのであるが、しかし挿入部が大きく首を振るようなことは出来ず、必ずしも腟内壁を十分に刺激しているとは言えずマッサージの効果も限定的なものに止まっているように思われる。従って腟内壁に指圧のような刺激を与えることが出来たら、感覚鍛練効果が高くなることは明白である。
【0005】
そこでこの発明は腟などの内壁に効果的に指圧刺激を与えることの出来るような、全く新しいマッサージ器具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を鋭意研究する内に当発明者は、挿入本体部と共に腟内に挿入される前記挿入本体部から分岐した分岐部を備えたものとすれば、この分岐部で腟内壁を確実に刺激出来ると言う着想を得た。しかしながら挿入本体部を腟口に挿入するに当たっては前記分岐部が腟口に引っ掛かると言う問題を生ずる場合があることが新たに見付かった。確かに腟口は伸縮自在であるため、前記分岐部程度のものが通過するには全く問題のない器官ではあるが、それでも違和感が生じてしまうことは否めない。挿入が円滑であるに越したことはないのである。
【0007】
そこでこの発明では、挿入本体部と共に挿入される前記挿入本体部から分岐した分岐部を備え、この分岐部は前記挿入本体部に対して屈曲自在に設けられており、前記挿入本体部側には屈曲した前記分岐部を納めるための凹部が形成されていることを特徴とするマッサージ器具とすることによって、上述した全ての課題を解決している。この分岐部は力が加わると屈曲し、力が掛からなくなると元に戻るように設けられている。また前記凹部は前記分岐部を屈曲させる側に設けられる。例えば前記挿入本体部の先端部を前側として、分岐部を後方に屈曲させるのであれば後側に、分岐部を前方に屈曲させるのであれば前側に、或いはどちらに屈曲させても良いように前後両側に設けるのである。
【0008】
前記挿入本体部から分岐部を分岐させる場合の最大角度は直角であるが、分岐部をどのような角度で設けたとしても通常であれば腟口に引っ掛かってしまう。しかしながらこの発明のマッサージ器具では、分岐部は挿入本体部に対して屈曲自在に設けられているために、腟口への挿入時には分岐部を挿入本体部に添わせて寝た姿勢を取らせることが出来るが、これでもまだ腟口を分岐部が通過する際には腟口を押し広げるような違和感を与えてしまう。ところがこの発明では屈曲した分岐部を納めるための凹部が挿入本体部側に形成されていることにより分岐部が凹部内に逃れるため、上述したような違和感を与えることが殆どなくなるのである。
【0009】
そして円滑に腟内に挿入された前記分岐部は、腟が筒状であれば寝たままの姿勢で腟壁を接触刺激し、腟内壁が広がっていればそれに合わせて起き上がり腟壁を接触刺激することが出来るのである。これは挿入本体部に対する最大角度まで刺激可能であるから、例えば直角に設けられていれば直角まで起き上がるため、その有効性は絶大である。なお腟口から上に3〜5センチの距離にある腟前壁部分にはGスポットと呼称される重要な性感帯があることが体験的に広く知られているが、前記分岐部はこのGスポットを刺激することが出来る。
【0010】
次に前記分岐部に振動発生部が納められているものとすることが出来る。振動発生部としてはモータの回転軸に偏心重錘を有するバイブレータが一般的であるが、これに限定されるものではない。前記分岐部は腟壁に接触刺激を与えるが、振動発生部を備えることによりバイブレータとして作用し、更に腟壁を刺激することが出来るのである。
【0011】
次に前記挿入本体部に振動発生部が納められているものとすることが出来る。挿入本体部はこれにより振動を発生するため、腟内への挿入に先立っては腟口の周辺部に振動刺激を与えることが出来るし、挿入後は接触している腟壁部分に、更にはその先端部が子宮口の周辺部に振動刺激を与えることが出来るのである。
【0012】
次に前記挿入本体部から分岐した陰核刺激部を備えているものとすることが出来る。この陰核刺激部は、前記挿入本体部の先端部を前側とすれば、前記分岐部の後方に設けられることになる。そして挿入本体部から分岐部までは腟内に挿入されるが、この陰核刺激部は挿入されずに陰核に対して接触刺激を与えるものである。なお前記陰核刺激部に振動発生部が納められているものとすることが出来る。これによれば陰核に対して更に振動刺激を与えることが出来るのである。
【発明の効果】
【0013】
この発明のマッサージ器具によれば、腟内壁が広がって挿入本体部が接触しない状況が生じたとしても、挿入本体部から分岐する分岐部が腟内壁に接触刺激を与えることが出来るようになっている。また挿入本体部を腟口へ挿入するに当たっては、分岐部が挿入本体部に添って寝た姿勢を取ると共に挿入本体部に設けられている凹部内に納まるようになっているため、分岐部が邪魔になることもなく腟口を円滑に通過することが出来る。そして腟口を通過した後は分岐部は腟壁の形状に追随して腟壁に接触刺激を与えることが出来るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下この発明の3種の実施形態を説明するが、この発明はこれ等の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0015】
(第1実施形態)
図1及び図2は第1実施形態のマッサージ器具1を縦方向の断面図にて表わしたものである。シリコンゴム製のマッサージ器具1は図面左方が挿入方向であり、挿入本体部10からはほぼ直角に分岐部11が突設されており、この分岐部11の後方(図面右方)には分岐部11を挿入本体部10に添うように寝かせた際に、分岐部11が納まるような凹部12が形成されている。シリコンゴム製の分岐部11は挿入本体部10に対して屈曲自在である。
【0016】
このマッサージ器具1を手で持ち腟口から腟内へ挿入しようとすると分岐部11が腟口に引っ引っ掛かるが、それでも更に挿入しようとすると分岐部11に後方への圧力が加わって分岐部11が矢線の方向に傾斜姿勢を取るようになり、最終的には分岐部11は凹部12に納まってしまうのである。この一連の圧力回避動作により分岐部11は挿入本体部10共々円滑に腟内に挿入されるのである。また挿入時に親指などを用いて分岐部11を寝かせ、凹部12に納めるようにしてから挿入本体部10共々腟内に挿入するようにしても良い。なお凹部12の深さに付いては、分岐部11が挿入本体部10内に完全に隠れるようにしても良いが、腟口への挿入が円滑に行なわれる範囲であれば図2のように完全に納まらなくても問題はない。
【0017】
こうして腟口を円滑に通過した分岐部11で腟内壁を確実に刺激することが出来るのである。上述したようにいわゆるGスポットに刺激を与えることも可能である。
【0018】
(第2実施形態)
次に図3は第2実施形態のマッサージ器具2を先端方向から見た正面図である。上述した第1実施形態のマッサージ器具1とは異なる点が2つある。その一は挿入本体部20の周りの3回対称の位置に分岐部21,21,21が突設されている点である。各々の分岐部21の前方(図面左方)には分岐部21を挿入本体部20に添うように寝かせた際に、分岐部21が納まるような凹部22が形成されている。その二は図3のX−X線断面図である図4から明かとなるように、各々の分岐部21が挿入本体部20に対する角度を90度よりも幾分小さい角度となるように前傾して設けられている点である。
【0019】
このマッサージ器具2の挿入本体部20を腟口に挿入するに際しては、親指と人差し指とで作る輪で3つの分岐部21,21,21を矢線方向に押さえ付けるようにして各々の分岐部21を凹部22に納めるようにするのである。こうすることによって円滑に腟口に挿入することが出来るのである。なおこのマッサージ器具2を腟口から引き出す際には、各々の分岐部21は夫々の凹部22に収納された状態で円滑に引き出されることになる。なお分岐部21の前方への傾斜は、指で分岐部21を寝かせる際にも腟口から引き出す際にも役に立つことが分かる。
【0020】
なお上述した第1実施形態では凹部12が分岐部11の後方(図面右方)に設けられていた。また上述した第2実施形態では凹部22が分岐部21の前方(図面左方)に設けられていた。従って更に分岐部の前後方に凹部を設ける構成が可能である。
【0021】
(第3実施形態)
次に図5は第3実施形態のマッサージ器具3の側面図であるが、このマッサージ器具3の特徴は、挿入本体部30の根元にコントローラ4を兼ねる握り部40が設けられている点と、挿入本体部30から分岐した陰核刺激部33を備えている点と、挿入本体部30の先端付近と陰核刺激部33と分岐部31との中に各々振動発生部5が納められている点とにある。なお分岐部31は陰核刺激部33の前方(図面上方)に立設され、その凹部32は分岐部31の後方に設けられている。
【0022】
各々の振動発生部5はモータ50とこの回転軸51に取り付けられた偏心重錘52とにより構成されている。モータ50から出ているリード線53はコントローラ4に配線されている。このコントローラ4は握り部40を兼ね、接続部41にて挿入本体部30を固定している。またコントローラ4に設けられた蓋部42から電池の着脱が自由に行なえる。また握り部40には3つのダイヤル43,43,43が設けられているが、これ等は上述した3つのモータ50,50,50の何れか一に接続されている。ダイヤル43は図示しないバリオームに付属のものであり、ON/OFFスイッチを兼ねるバリオームと電池とモータ50とがリード線53によって直列に配線されている。
【0023】
このマッサージ器具3は前記陰核刺激部33の手前まで腟内に挿入されるものであり、腟口外にある陰核刺激部33は陰核に刺激を与えるものである。従ってこれより前方にある分岐部31は腟内に挿入されるが、この際に分岐部31が屈曲して凹部32に納まるようになっている。
【0024】
ところでこの実施形態のマッサージ器具3は振動発生部5を備えている。コントローラ4のダイヤル43を操作すると、OFF,ON弱−強とモータ50の回転を制御することが出来る。モータ50をON状態にすると、偏心重錘52が回転軸51に偏って固定されているために振動を発する。この振動は挿入本体部30の先端部分、分岐部31、陰核刺激部33とそれぞれの場所で発生して、外性器や内性器にバイブレーション効果を与えることが出来る。なお陰核刺激部33は外性器刺激専用であると言うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0025】
なお分岐部が挿入本体部に対して着脱自在なものも提供することが可能である。分岐部を屈曲自在に自立させるために分岐部をゴム製のものとすると製造が比較的容易である。しかしながら挿入本体部と分岐部との接続にコイルバネなどのバネ類を用い、外側を例えばラテックスゴムのカバーで覆うなどの構成も自由である。また分岐部をどのような形状や太さや高さのものとするなども任意である。また分岐部に昆虫の触覚のような飾り付を施すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 この発明の第1実施形態の断面図である。
【図2】 同実施形態の使用状態を説明する断面図である。
【図3】 この発明の第2実施形態を先端方向から見た正面図である。
【図4】 同実施形態のX−X線断面図である。
【図5】 この発明の第3実施形態の側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 マッサージ器具
10 挿入本体部
11 分岐部
12 凹部
2 マッサージ器具
20 挿入本体部
21 分岐部
22 凹部
3 マッサージ器具
30 挿入本体部
31 分岐部
32 凹部
33 陰核刺激部
4 コントローラ
40 握り部
41 接続部
42 蓋部
43 ダイヤル
5 振動発生部
50 モータ
51 回転軸
52 偏心重錘
53 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入本体部と共に挿入される前記挿入本体部から分岐した分岐部を備え、この分岐部は前記挿入本体部に対して屈曲自在に設けられており、前記挿入本体部側には屈曲した前記分岐部を納めるための凹部が形成されていることを特徴とするマッサージ器具。
【請求項2】
前記分岐部に振動発生部が納められている、請求項1に記載のマッサージ器具。
【請求項3】
前記挿入本体部に振動発生部が納められている、請求項1に記載のマッサージ器具。
【請求項4】
前記挿入本体部から分岐した陰核刺激部を備えている、請求項1に記載のマッサージ器具。
【請求項5】
前記陰核刺激部に振動発生部が納められている、請求項4に記載のマッサージ器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−296299(P2007−296299A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154019(P2006−154019)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(501480451)ジーボックス有限会社 (5)
【Fターム(参考)】