説明

マッサージ器

【課題】 皮膚を傷めることがなく、また、皮膚に過剰な変位を与えることによるたるみの発生が生じることがないマッサージ器を提供する。
【解決手段】 駆動部17が稼働して軸7が正回転方向に一定角度回転すると、駆動部17は回転方向を変え、逆回転方向に回転する。軸7が逆回転方向に一定角度回転すると、駆動部17は再び正回転方向へ回転する。この際、駆動部17の正回転方向の回転角度と逆回転方向の回転角度は略同一である。したがって、軸7は、一定角度の往復回転動作をするのみで、正逆回転方向を変えながら累積的に回転することはない。このため、ブラシ5の先端をマッサージ対象の肌に当接させてマッサージ器を使用する際に、ブラシ5の先端と肌との間ではすべりは生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ対象の皮膚に損傷を与えることがなく、必要以上に皮膚に引っ張り力を付与することがないマッサージ器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体を皮膚に接触させ、回転体により皮膚を擦り、皮膚に刺激を与え血行を良好にするとともに、皮膚の新陳代謝を促進するマッサージ器がある。
【0003】
このような、マッサージ器としては超音波振動を伝達させるプローブに対し回転可能なヘッドを設け、ヘッドの表面に凹凸が形成され、凹凸の形状が回転方向に対して傾斜が変わるように設けられ、ヘッドが正逆方向に回転される際に、正回転方向では、凹部が皮膚面を削るように作用し、逆回転時には、凸部が皮膚面を叩くように作用する超音波美容装置がある(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−126310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような超音波美容装置では、ヘッドを皮膚に強く当てすぎると、皮膚に過剰な変位を与え、かえって皮膚にたるみを生じさせる恐れがあるという問題がある。また、ヘッドは正逆回転するものの、正回転時および逆回転時ともに、皮膚とヘッドとが擦れることが前提であるため、皮膚を傷める恐れがあるという問題がある。
【0006】
特に、正逆回転で肌に対するマッサージ効果を変えることから、正回転時の適切な回転数および回転速度と逆回転時の適切な回転数および回転速度とは通常異なるため、回転制御が複雑となるという問題がある。また、髪の毛の生えた頭皮に対しては、ヘッドに髪の毛が巻きついてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、皮膚を傷めることがなく、また、皮膚に過剰な変位を与えることによるたるみの発生が生じることがないマッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明は、駆動部と、前記駆動部により回転可能な回転軸と、前記回転軸の回転方向を正逆方向に反転させる制御部と、前記回転軸に接合される回転部材と、前記回転部材に接合されるブラシ部と、を具備し、前記制御部は、前記回転軸の回転方向を、正逆方向に略同一の回転角度で繰り返し変化させることを特徴とするマッサージ器である。
【0009】
前記駆動部はパルスモータであり、前記制御部は、一定数の正位相の2相パルスを前記パルスモータに与えた後、前記正位相の2相パルスと同数の逆位相の2相パルスを前記パルスモータに与えることで、前記回転軸の回転方向を変化させ、累積的に回転角度を増減することなく前記回転軸を往復回転させてもよい。
【0010】
または、前記駆動部は直流モータであり、前記回転軸の回転角度を検知する角度センサを更に具備し、前記直流モータの回転に応じて回転する第1の回転伝達部と、前記第1の回転伝達部と接触し、前記第1の回転伝達部と逆方向に回転する第2の回転伝達部と、前記回転軸に接触する第3の回転伝達部と、前記第3の回転伝達部に接合され、前記第3の回転伝達部を、前記第1の回転伝達部または前記第2の回転伝達部のいずれかに接触するように移動させる移動手段と、を具備し、前記制御部は、前記角度センサにより得られた前記回転軸の回転角度に応じて、前記移動手段により、前記第3の回転伝達部を、前記第1の回転伝達部または前記第2の回転伝達部のいずれかに接触するように移動させ、前記回転軸の回転方向を変化させてもよい。
【0011】
前記回転軸の回転角度は、正逆方向にそれぞれ3〜90°の範囲であることが望ましい。
【0012】
本発明によれば、皮膚と接触するブラシ部は、正逆同一角度に回転させられるため、皮膚とブラシ先端とのあいだにすべりが生じず、このため、ブラシが皮膚を擦らないため、皮膚を傷めることがない。特に、正逆方向の回転角度が3〜90°であれば、皮膚に適度な変位量を与え、たるみを生じることがない。
【0013】
また、ブラシが累積的に回転しないため、髪の毛の生えた頭皮に対して使用しても、ブラシに髪の毛が巻きつくことがなく、頭皮に対しても効果的にマッサージを行うことができる。
【0014】
また、回転駆動部としてパルスモータを用いれば、ギアの回転に伴う騒音の発生がなく、使用時にも騒音の発生を抑えることができる。また、駆動部に直流モータを用い、ブラシの回転方向を回転部材の位置で制御すれば、モータは正逆回転する必要がないため、制御が容易なマッサージ器を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、皮膚を傷めることがなく、また、皮膚に過剰な変位を与えることによるたるみの発生が生じることがなく、毛の長い部位に対しても利用可能なマッサージ器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態にかかるマッサージ器1について説明する。図1は、マッサージ器1の斜視図であり、図2は、マッサージ器1の正面透視図である。
【0017】
マッサージ器1は、主に、本体3、ブラシ5、軸7、回転体9等から構成される。本体3は筒状部材である。本体3の内部には、制御部13、角度センサ15、駆動部17等が内蔵されている。
【0018】
軸7は、本体3の内部から突出し、円盤状の回転体9と接合される。回転体9の軸7と接合されている側とは反対側の面には、ブラシ5が接合される。ブラシ5の先端が、マッサージ対象の肌等に接触する部位である。ブラシ5としては、弾性に優れ、皮膚等を傷つけない材質であれば良く、例えば合成繊維、羊毛等が使用できる。
【0019】
軸7は、本体3内部の駆動部17と接続される。すなわち、駆動部17によって軸7は回転可能であり、駆動部17を動作させることで、回転体9に接合されたブラシ5が回転する。
【0020】
角度センサ15は、軸7の回転角度を検知する。角度センサ15としては既存の接触型または非接触型の回転角度センサが使用できる。角度センサ15で検知された軸7の回転角度の情報は、制御部13へ送られる。制御部13は、軸7の回転角度を監視し、あらかじめ設定された回転角度だけ軸7が回転すると、駆動部7の回転方向を逆転させる。
【0021】
すなわち、駆動部17が稼働して軸7が正回転方向に一定角度回転すると、駆動部17は回転方向を変え、逆回転方向に回転する。軸7が逆回転方向に一定角度回転すると、駆動部17は再び正回転方向へ回転する。この際、駆動部17の正回転方向の回転角度と逆回転方向の回転角度は略同一である。したがって、軸7は、一定角度の往復回転動作をするのみで、正逆回転方向を変えながら累積的に回転することはない。
【0022】
このため、ブラシ5の先端をマッサージ対象の肌に当接させてマッサージ器を使用する際に、ブラシ5の先端と肌との間ではすべりは生じない。ブラシ5と皮膚との変位の関係については、詳細は後述する。
【0023】
駆動部17の回転角度としては、3〜90°が好ましく、さらに望ましくは3〜30°である。回転角度が3°未満では、ブラシによるマッサージ効果がほとんど望めず、また、90°を超えると、ブラシ5の先端が皮膚に対してすべりを生じ、皮膚を傷つける恐れがあるためである。ブラシ5の回転角度30°以下であれば、ブラシ5の先端と皮膚とのすべりの恐れが低く、また、回転方向を正逆方向に変化させる場合の、1サイクルの時間を抑えることができる。
【0024】
駆動部17の回転速度としては、1分間当たり120〜600回転程度が望ましい。前述のとおり、ブラシ5の先端は肌との間にすべりを生じない。したがって、ブラシ5が正逆方向に回転方向を反転させて移動する際に、皮膚はブラシ5の移動方向にわずかに引っ張られる。すなわち、マッサージ器1によるマッサージ効果は、ブラシ5と肌との摩擦によるものではなく、一定量の変位を繰り返し肌へ付与することにより、肌を正逆方向に所定量引き延ばすことによるものである。
【0025】
なお、マッサージ器1の回転角度は、あらかじめ制御部13に設定されて固定されてもよく、また、マッサージ器1の起動および停止を行う操作部11によって、所定範囲の回転角度及び回転速度を設定可能としてもよい。操作部11によって回転角度が設定される場合には、設定された回転角度によって制御部13が制御され、駆動部17は操作部11によって設定された回転角度について、正逆回転を行う。
【0026】
次に、駆動部17について説明する。図3は駆動部17の構造を示す平面概略図、図4は、駆動部17の部分概略図を示す図である。
【0027】
駆動部17は、主に回転子23、固定子19、21等から構成される。回転子23は周囲にN極およびS極の永久磁石が交互に設けられる。また、軸7は回転子23の中心と接合され、軸7を中心に回転可能である。すなわち、回転子23が回転すると軸7が回転する。
【0028】
図3に示すように、回転子23の上面の円周方向には、複数の固定子19が所定の間隔をおいて設置される。固定子19の中央にはコイルが巻きつけられており、コイルに電流を流すことで、固定子19の両端には電流の向きに応じた磁力が発生する。
【0029】
同様に、回転子23の下面の円周方向には、複数の固定子21が所定の間隔をおいて設置される。なお、図4に示すように固定子21は、固定子19に対して円周方向に半ピッチずれた位置に設置される。なお、図3においては固定子21a、21bを点線で示し、その他の固定子21については図示を省略する。固定子21の中央にはコイルが巻きつけられており、コイルに電流を流すことで、固定子21の両端には電流の向きに応じた磁力が発生する。
【0030】
図4は、回転子23の上方の固定子19a、19bと、回転子23の下方の固定子21a、21bの位置関係を示した図である。この状態で固定子19a、19bに電流を流すと、固定子19a、19bともに磁力発生部20a、20bに磁力が発生する。たとえば、磁力発生部20a(図中固定子19の左側)がS極、磁力発生部20b(図中固定子19の右側)がN極となるように電流を流すと、回転子23のN極は固定子19のS極(磁力発生部20a)へ引き寄せられる。すなわち、回転子23は矢印A方向へ回転を開始する。
【0031】
次いで、固定子21に電流を流し、磁力発生部22a(図中固定子21の左側)がN極、磁力発生部22b(図中固定子21の右側)がS極となるように電流を流すと、回転子23のN極は固定子21のN極(磁力発生部22a)と反発するとともに、固定子21のS極(磁力発生部22b)方向に引き寄せられる。したがって回転子23はさらにA方向へ回転する。
【0032】
次に、固定子19の電流をとめると、回転子23のN極は、さらに固定子21の磁力発生部22bの方向へ引き寄せられる。その後、固定子19にながす電流の向きを逆転させ、磁力発生部20aがN極、磁力発生部20bがS極となるように電流を流すと、回転子23のN極は磁力発生部20bへ引き寄せられる。したがって回転子23はさらにA方向へ回転する。
【0033】
同様にして、固定子19、21の電流方向を変化させることで、回転子23を連続的に回転させることができる。なお、固定子19、21への電流の制御を逆にすれば、回転子23は矢印B方向へ回転する。すなわち、固定子19、21への電流のオンオフおよび変化タイミング等を制御することによって、回転子23を任意の方向に任意の速度で回転させることができる。なお、上述した駆動部17の構成によるモータをパルスモータと呼ぶ。
【0034】
次に、ブラシ5を肌25に接触させて回転動作を行った際の、ブラシ5および肌25の動きについて説明する。図5(a)は、一本のブラシ5を肌25に接触させた状態を示す模式図である。
【0035】
ブラシ5の先端をマッサージ対象の肌25に接触させてマッサージ器1を起動すると、ブラシ5は回転体(図示せず)の回転動作に伴い、図5(b)に示すように、矢印C方向へ移動する。この際の回転体の停止位置からの移動距離をXとする。すなわち、Xは回転体の回転角度と回転径により決定される。
【0036】
回転体がXだけ移動した際に、ブラシ5と肌25との接触点は変わらない。すなわち、ブラシ5は肌25に対してすべりを生じない。この場合、図5(b)に示すように、ブラシ5の先端は、肌25と接触した状態でーX1だけ変位する(図5においては、図中左側への変位を+方向、右側への変位方向をー方向とする。以下同じ。)。また、肌25はブラシ5との接触位置からブラシ5により引っ張られ、X2だけ変位する。すなわち、肌25はX2だけ引っ張られる。
【0037】
次に、回転体の回転方向が変化し、逆側へ回転する。すなわち、図5(c)に示すように、回転体は矢印D方向へ移動する。この際の停止位置からの移動距離はーXとなる。
【0038】
回転体がーXだけ移動した際にも、ブラシ5と肌25との接触点は変わらない。すなわち、ブラシ5は肌25に対してすべりを生じない。この場合、図5(c)に示すように、ブラシ5の先端は、肌25と接触した状態でX1だけ変位するまた、肌25はブラシ5との接触位置からブラシ5により引っ張られ、ーX2だけ変位する。すなわち、肌25はX2だけ引っ張られる。
【0039】
ここで、ブラシ5の変形を弾性体の変形としてとらえ、力と変位量との関係にフックの法則が成り立つとすると、以下の(1)式が成り立つ。
F1=−k1xX1 ・・・(1)
ここで、F1はブラシ5と肌25との接触部で、ブラシ5が変位に対して復元しようとする復元力を示し、k1はブラシ5のばね定数である。
【0040】
また、ブラシ5との接触部の肌25においては、以下の(2)式が成り立つ。
F2=ーk2xX2 ・・・(2)
ここで、F2はブラシ5と肌25との接触部で、肌25が変位に対して復元しようとする復元力を示し、k2は肌25のばね定数である。
【0041】
ブラシ5の先端と肌25との接触部においては、それぞれの力が平衡するため、以下の(3)式が成り立つ。
k1xX1=k2xX2 ・・・(3)
【0042】
また、X=−X1+X2であるので、以下の(4)式が成り立つ。
X2=X/((k2/k1)+1) ・・・(4)
【0043】
したがって、k1に対してk2が大きい場合、すなわちブラシ5に対して肌25がかたい場合には、X2は小さくなるため、肌25には過剰な変位が与えられることはない。また、k1に対してk2が小さい場合、すなわちブラシ5に対して肌25が柔らかい場合には、肌25には最大でもXの変位量を与えられるとともに、最大でもk1xXの力が付与されるにとどまる。
【0044】
したがって、ブラシ5と肌25との間にすべりを生じさせないようにすることで、肌25とブラシ5との摩擦を考慮する必要がなく、肌25に応じて効率良いブラシ5を選択することで、過剰な肌の変位(引張り)や、過剰な力を肌25に与えることがない。なお、バネ定数k2が50N/M(約10g重で2mmの変位)程度であれば、バネ定数k1は20N/Mから50N/Mが望ましい。また、Xは部位により3〜10mmが望ましい。人間の顔面ではなく動物の体ではバネ定数k1は部位により300N/M以上が望ましい。
【0045】
以上説明したように、第1の実施の形態にかかるマッサージ器1によれば、効果的に肌25をマッサージすることができる。マッサージ器1は、正逆方向に同角度の回転を繰り返すため、ブラシ5の先端が肌25に対して累積的に回転せず、すべりが生じないため、肌25へ過剰な変位を与えてむしろたるみを与えたりすることがなく、また、ブラシ5により肌25を傷めることがない。また、毛の長い動物や髪の毛の生えた頭皮等に対しても、ブラシは所定角度の往復動作をするのみであるため、毛が回転体に巻きつくことがなく、効果的にマッサージを行うことができる。したがって、特に動物用に好適なマッサージ器を得ることができる。
【0046】
ブラシ5と肌25との間に相対的な滑りを生じないため、肌25とブラシ5との間の(動)摩擦を考慮する必要がなく、肌25の硬さに応じて適切なばね定数を有するブラシ5を選択すれば、効率良くマッサージを行うことができる。
【0047】
また、駆動部17に図3、図4に示したようなパルスモータを使用すれば、正逆任意の方向に回転させることができ、また、ギア等を使用しないため、静粛性にすぐれるマッサージ器1を得ることができる。また、ブラシ対象に一定以上の力が加わると、モータがスリップしてそれ以上の力が対象物へかかることがない。したがって、対象物へは所定の力以上の力が及ぶことがないため、対象物を傷めたり、肌をたるませたりすることがない。
【0048】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対して駆動部が異なる。図6は駆動部30の構造を示す図である。
【0049】
駆動部30は、主に、直流モータ(図示せず)、駆動ローラ32、正回転ローラ35、逆回転ローラ37、可動ローラ39等から構成される。
【0050】
直流モータは、既存のモータであり、常に一定の方向へ回転する。直流モータの回転力は、モータ出力軸31を介して駆動ローラ33へ伝達される(矢印E方向)。すなわち、駆動ローラ33は直流モータと同一方向に回転する。
【0051】
駆動ローラ33の回転力は、正回転ローラ35へ伝達される(矢印F方向)。すなわち、正回転ローラ35は直流モータとは反対方向へ回転する(以後この回転方向を正回転とする)。正回転ローラ35は逆回転ローラ37と接触し、回転力が伝達される。したがって逆回転ローラ37は正回転方向とは逆の向き(以下逆回転方向とする)に回転する(矢印G方向)。
【0052】
可動ローラ39は、正回転ローラ35と逆回転ローラ37のいずれかと接触するように移動することができる。可動ローラ39の移動方法については後述する。図6(a)は可動ローラ39が正回転ローラ35と接触した状態を示す図である。すなわち、可動ローラ39は矢印H方向へ移動して正回転ローラ35と接触し、矢印I方向(逆回転方向)へ回転する。
【0053】
可動ローラ39は、同時に回転体ローラ41と接触する。回転体ローラ41は軸7と一体化されている。したがって、可動ローラ39から伝達された回転力は、回転体ローラ41を介して軸7へ伝えられ正回転方向へ回転する(矢印J方向)。
【0054】
図6(b)に示すように、可動ローラ39が矢印K方向へ移動すると、可動ローラ39は逆回転ローラ37と接触し、矢印L方向(正回転方向)へ回転する。可動ローラ39は、同時に回転体ローラ41と接触する。したがって、可動ローラ39から伝達された回転力は、回転体ローラ41を介して軸7へ伝えられ逆回転方向へ回転する(矢印M方向)。したがって、可動ローラ39の位置に応じて、軸7の回転方向を正逆変化させることができる。
【0055】
次に、可動ローラ39の移動方法について説明する。図7は、可動ローラ39を移動させる移動手段の模式図である。図7(a)に示すように、可動ローラ39は、一方にばね45が接合されており、ばね45はばね固定面43へ接続されている。可動ローラ39のもう一方側には、鉄芯等のブランジャ49が接続されており、プランジャ49はソレノイド47内に一部が挿入されている。
【0056】
図7(a)の状態においては、可動ローラ39はばね45により矢印H方向へ引き寄せられる。この状態では、可動ローラ39は正回転ローラ35に押し付けられ、可動ローラ39は正回転ローラ35からの回転力を回転ローラ41へ伝達する。
【0057】
一方、ソレノイド47に電流を流し、プランジャ49をソレノイド47へ引き込むと、図7(b)に示すように、可動ローラ39はばね45による引張力に打ち勝ち、矢印K方向へ移動する。この状態では、可動ローラ39は逆回転ローラ37に押し付けられ、可動ローラ39は逆回転ローラ37からの回転力を回転ローラ41へ伝達する。以上のように、ソレノイド47への通電のオンオフにより軸7の回転方向を変化させることができる。
【0058】
第2の実施の形態にかかる駆動部30によれば、第1の実施の形態にかかる駆動部17を有するマッサージ器1と同様の効果を得ることができる。また、モータは一般の直流モータが使用でき、モータ自体の回転方向を変化させる必要がないことから、簡易な構成で正逆方向の回転方向を制御することができる。
【0059】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】マッサージ器1を示す斜視図。
【図2】マッサージ器1の正面透視図。
【図3】駆動部17の構造を示す平面模式図。
【図4】駆動部17の構造を示す正面模式図。
【図5】ブラシ5と肌25との変位関係を示す概念図。
【図6】駆動部30の構成を示す模式図。
【図7】可動ローラ39の移動方法を示す模式図。
【符号の説明】
【0061】
1………マッサージ器
3………本体
5………ブラシ
7………軸
9………回転体
11………操作部
13………制御部
15………角度センサ
17………駆動部
19a、19b………固定子
21a、21b………固定子
23………回転子
25………肌
30………駆動部
31………モータ出力軸
33………駆動ローラ
35………正回転ローラ
37………逆回転ローラ
39………可動ローラ
41………回転体ローラ
43………ばね固定面
45………ばね
47………ソレノイド
49………プランジャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
前記駆動部により回転可能な回転軸と、
前記回転軸の回転方向を正逆方向に反転させる制御部と、
前記回転軸に接合される回転部材と、
前記回転部材に接合されるブラシ部と、
を具備し、
前記制御部は、前記回転軸の回転方向を正逆方向に略同一の回転角度で繰り返し変化させることを特徴とするマッサージ器。
【請求項2】
前記駆動部はパルスモータであり、
前記制御部は、一定数の正位相の2相パルスを前記パルスモータに与えた後、前記正位相の2相パルスと同数の逆位相の2相パルスを前記パルスモータに与えることで、前記回転軸の回転方向を変化させ、累積的に回転角度を増減することなく前記回転軸を往復回転させることを特徴とする請求項1記載のマッサージ器
【請求項3】
前記駆動部は直流モータであり、
前記回転軸の回転角度を検知する角度センサを更に具備し、
前記直流モータの回転に応じて回転する第1の回転伝達部と、
前記第1の回転伝達部と接触し、前記第1の回転伝達部と逆方向に回転する第2の回転伝達部と、
前記回転軸に接触する第3の回転伝達部と、
前記第3の回転伝達部に接合され、前記第3の回転伝達部を、前記第1の回転伝達部または前記第2の回転伝達部のいずれかに接触するように移動させる移動手段と、
を具備し、
前記制御部は、前記角度センサにより得られた前記回転軸の回転角度に応じて、前記移動手段により、前記第3の回転伝達部を、前記第1の回転伝達部または前記第2の回転伝達部のいずれかに接触するように移動させ、前記回転軸の回転方向を変化させることを特徴とする請求項1記載のマッサージ器。
【請求項4】
前記回転軸の回転角度は、正逆方向にそれぞれ3〜90°の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマッサージ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−75264(P2010−75264A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244246(P2008−244246)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(508287611)
【Fターム(参考)】