説明

マッサージ機

【課題】 被施療者に変化に富んだ刺激を与えてマッサージ効果を向上させ得るマッサージ機を提供する。
【解決手段】 被施療者の施療部位を支えるクッション体2と、このクッション体2内に内蔵されクッション体2を介して振動による刺激を与える振動刺激手段3と、この振動刺激手段3の動作を制御する制御手段4とを備えるマッサージ機1であって、振動刺激手段3は少なくとも3つのバイブレータ6を備えており、制御手段4が、各バイブレータ6を周期的に動作させるとともにそれぞれの動作に関連する位相がずれるように動作させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の施療部位に振動による刺激を与えることにより、施療部位の血のめぐりをよくし、こりをほぐすマッサージ機に関し、特にクッション体状に形成されるマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被施療者の施療部位に振動による刺激を与えることにより、施療部位の血のめぐりをよくし、こりをほぐすマッサージ機が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1、2に開示されたマッサージ機では、被施療者の施療部位を支えるクッション体の内部に電動式バイブレータを内蔵し、このバイブレータをクッション体を介して被施療者の施療部位に当てて振動させることにより、被施療者の施療部位に振動による刺激を与えている。
【0004】
また特許文献3に開示されたマッサージ機では、クッション体の内部に複数の電動式バイブレータを内蔵し、これら電動式バイブレータのうち左右一対のバイブレータを、肩叩きを行うような比較的短い間隔で左右交互に振動させることにより、被施療者の施療部位にいわゆる叩きマッサージのような刺激を与えている。
【0005】
以上のように従来のマッサージ機には、単純な振動による刺激または叩きマッサージのような刺激を被施療者に与えるものしかなく、被施療者に対して変化に富んだ刺激を与えるものではなかった。そのため、被施療者は刺激に慣れてしまい、刺激が刺激として感じられなくなり、効果的な治療が期待できない場合があった。
【特許文献1】登録実用新案第3069745号公報 (第6頁、第2図)
【特許文献2】特開平9−140758号公報(第2頁、第1図)
【特許文献3】特開平9−215722号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、被施療者に変化に富んだ刺激を与えてマッサージ効果を向上させ得るマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマッサージ機は、被施療者の施療部位を支えるクッション体と、該クッション体内に内蔵されクッション体を介して振動による刺激を与える振動刺激手段と、該振動刺激手段に通信可能に接続され振動刺激手段の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機であって、前記振動刺激手段は少なくとも3つのバイブレータを備えており、前記制御手段が、各バイブレータを周期的に動作させるとともにそれぞれの動作に関連する位相がずれるように動作させるように構成されている。
【0008】
この構成によれば、周期的に動作する複数のバイブレータを位相をずらして動作させることが可能な構成としているので、従来のマッサージ機では体感することができないような変化に富んだ刺激を被施療者に与えることが可能となる。その結果、マッサージ効果を向上させることができる。
【0009】
この発明において、各バイブレータがクッション体の施療部位側の表面に対して所定の仮想円に沿うように互いに所定の距離を離隔して配置されており、制御手段が、被施療者に対して各バイブレータの振動による刺激が円を描くように移動するかのような体感を与えるべく、各バイブレータを前記仮想円に沿って順次起動させるように構成されてもよい。
【0010】
この構成によれば、振動による刺激が円を描くように移動するかのような体感(以下、回転振動刺激という)を、被施療者に与えることができる。これにより、従来のマッサージ機では体感することができないような変化に富んだ刺激を被施療者に与えることが可能となる。その結果、マッサージ効果を向上させることができる。
【0011】
この発明において、前記仮想円と略同心の一または複数の仮想同心円のそれぞれに沿うように配置されるバイブレータをさらに備えており、各仮想同心円には、少なくとも3つのバイブレータが互いに所定の距離を離隔して配置されており、前記制御手段は、被施療者に対して前記各バイブレータの振動による刺激が外側から内側に向かって渦巻くように移動するかのような体感を与えるべく、各バイブレータを、前記仮想円および仮想同心円のうち外側の円から内側の円に向かって順にそれぞれの円毎に円周に沿って順次起動させるように構成されてもよい。
【0012】
この構成によれば、各バイブレータの振動による刺激が外側から内側に向かって渦巻くように移動するかのような体感(以下、外側から内側への渦巻き振動刺激という)を、被施療者に与えることができる。これにより、従来のマッサージ機では体感することができないような変化に富んだ刺激を被施療者に与えることができる。その結果、マッサージ効果を向上させることができる。
【0013】
この発明において、前記仮想円と略同心の一または複数の仮想同心円のそれぞれに沿うように配置されるバイブレータをさらに備えており、各仮想同心円には、少なくとも3つのバイブレータが互いに所定の距離を離隔して配置されており、前記制御手段は、被施療者に対して各バイブレータの振動による刺激が内側から外側に向かって渦巻くように移動するかのような体感を与えるべく、各バイブレータを、前記仮想円および仮想同心円のうち内側の円から外側の円に向かって順にそれぞれの円毎に円周に沿って順次起動させるように構成されてもよい。
【0014】
この構成によれば、各バイブレータの振動による刺激が内側から外側に向かって渦巻くように移動するかのような体感(以下、内側から外側への渦巻き振動刺激という)を、被施療者に与えることができる。これにより、従来のマッサージ機では体感することができないような変化に富んだ刺激を被施療者に与えることができる。その結果、マッサージ効果を向上させることができる。
【0015】
この発明において、前記制御手段が、各バイブレータの動作時間を、1周期毎に短くするとともに所定周期毎にもとの動作時間に戻すように構成されてもよい。
【0016】
この構成によれば、上述した回転振動刺激、外側から内側への渦巻き振動刺激、および内側から外側への渦巻き振動刺激が徐々に速くなるような体感を、被施療者に与えることができる。これにより、従来のマッサージ機では体感することができないような変化に富んだ刺激を被施療者に与えることができる。その結果、マッサージ効果を向上させることができる。
【0017】
前記各バイブレータの振動速度を変えるための振動速度可変手段をさらに備えており、前記制御装置が、前記振動速度可変手段と通信可能に接続されて前記各バイブレータの動作を制御するように構成されてもよい。振動速度可変手段としては、たとえば公知のインバータを用いることができる。これにより、各バイブレータの振動速度波形を、矩形波形やサインカーブ波形、山形波形、鋸歯波形、逆鋸歯波形、台形波形などにすることが可能となる。振動刺激手段の振動速度波形として矩形波形を用いる場合、各バイブレータを略一定の振動速度で所定時間動作した後所定時間停止するように(つまり間欠的に)動作させる。そのほかの波形を用いる場合、各バイブレータを上記のそれぞれの振動速度波形に応じて連続的または間欠的に動作される。しかも上述したように各バイブレータは位相をずらして起動されるので、従来のマッサージ機では体感することができないような変化に富んだ刺激を被施療者に与えることが可能となる。その結果、マッサージ効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被施療者に変化に富んだ刺激を与えてマッサージ効果を向上させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るマッサージ機の一例を示す分解斜視図である。
【0021】
図1に示すマッサージ機1は、被施療者に対して振動による刺激があたかも円を描くように移動するかのような体感(以下、回転振動刺激という)を与えることができるように構成されている。以下、詳細に説明する。
【0022】
図1に示すようにマッサージ機1は、被施療者の施療部位を支えるクッション体2と、このクッション体2内に内蔵されクッション体2を介して前記施療部位に振動による刺激を与える振動刺激手段3と、この振動刺激手段3の動作を制御する制御装置4とを備える。この振動刺激手段3は、後で詳述するように3つのバイブレータ6a〜6cから構成される。
【0023】
まずクッション体2は、図示するように3層構造をなし、全体として円板状に形成されている。このクッション体2は、被施療者の施療部位が乗る表面側クッション層2aと、該表面側クッション体2aの裏面(施療部位側と反対側)に積層される中間クッション層2bと、該中間クッション層2bの裏面(表面クッション層2b側と反対側)に積層される裏面側クッション層2cとから構成される。すなわち、中間クッション体2bは、表面側クッション層2aと裏面側クッション層2cとの間に配置されている。そしてこの中間クッション層2b内に前記振動刺激手段3が内蔵される。詳細は後述する。なお、ここではクッション体2は円板状に形成されているが、その他の形状例えば矩形状に形成されても構わない。
【0024】
このクッション体2は例えば直径30cm〜35cmに形成される。これにより、被施療者が上向けに寝た状態で頭、首、背中、腰、臀部、大腿部、ふくらはぎ等の下にこのクッション体2(マッサージ機1)を置いてこれらの部位に振動刺激を与えることが可能となる。またうつ伏せに寝た状態で腹部の下にこのクッション体2(マッサージ機1)を置いて腹部に振動刺激を与えることも可能となる。さらに椅子や椅子型マッサージ機の、背もたれ部や座部、フットレスト部に着脱自在に配置することも可能となる。ただしこの場合には、背もたれ部などに装着するための装着具(図示せず)をクッション体2の表面に取り付けることが望ましい。例えば、装着具として面ファスナなどを用いることができる。
【0025】
前記表面側クッション層2aおよび裏面側クッション層2cには、通常のウレタンフォームまたは低反発性ウレタンフォームなどが使用される。
【0026】
例えば両クッション層2a、2cに通常のウレタンフォームを使用する場合、通常のウレタンフォームが比較的高密度であることから、振動刺激手段3で発生した振動を、表面側クッション層2a内に沈み込んでいる被施療者の施療部位だけでなく施療部位全体に伝搬することができる。
【0027】
これに対して両クッション層2a、2cに低反発性ウレタンフォームを使用する場合、低反発性ウレタンフォームが通常のウレタンフォームに比べて低密度であることから、後述の振動刺激手段で発生した振動を、表面側クッション層2a内に沈み込んでいる被施療者の施療部位の表面方向に、被施療者の体重などの負荷により圧縮されて高密度になった部位を介して伝搬するが、その他の施療部位にはほとんど伝搬しない。
【0028】
以上のように両クッション層2a、2cが同質の材料から構成される場合には、被施療者に対して、クッション体2の表裏に依らずほぼ同質の、振動による刺激を与えることが可能となる。また両クッション層2a、2cの材質の統一により、材料コスト低減を図ることも可能である。
【0029】
また表面側クッション層2aおよび裏面側クッション層2cは、上記のように同質の材料から構成されるのではなく、互いに異なる材料から構成されてもよい。この場合、クッション体2を裏返したり元に戻すことにより、それぞれの材料に応じた2つの異なる刺激を被施療者に与えることが可能となる。具体的には、例えば表面側クッション層2aとして通常のウレタンフォームを用い、裏面側クッション層2cとして低反発性ウレタンフォームを用いることができる。例えば被施療者が施療部位を表面側クッション層2aにのせた場合、表面側クッション層2aには通常のウレタンフォームを使用しているので、上記のとおり施療部位全体に振動による刺激を与えることができる。さらにクッション体2を裏返して施療部位を裏面側クッション層2aにのせた場合、裏面側クッション層2cには低反発性ウレタンフォームを使用しているので、上記のとおり裏面側クッション層2c内に沈み込んでいる施療部位に集中して振動による刺激を与えることができる。このように、2つの異なる刺激を、被施療者に与えることができる。
【0030】
前記中間クッション層2bはチップウレタンなどから構成される。ここに、チップウレタンは軟質ウレタンフォームを粉砕したチップを主原料として、これにウレタン系接着剤を混合してプレス成形したものである。この中間クッション層2bの表面側クッション層2a側には、後述の3つのバイブレータ6a〜6cをそれぞれ収容するための凹部5a〜5cが設けられている。
【0031】
これらの凹部5a〜5cは、中間クッション層2bの径方向中心に対して同一の仮想円上にほぼ等間隔に配置されている。もちろんこれらの凹部5a〜5cを、不等間隔に配置しても構わない。またこれらの凹部5a〜5cは、中間クッション体2bの表面側から視て矩形状をなしており、長手方向が前記仮想円の接線方向に向くようにそれぞれ配置されている。ただしこれに限定するものではない。例えば凹部5a〜5cは、長手方向が前記仮想円の径方向に向くように配置されてもよい。この場合これらの凹部5a〜5cを、図示されていないが、例えば内部に後述の各バイブレータ6a〜6cを設置して表面側クッション層2aの裏面を中間クッション層2bの表面に重ね合わせたときにバイブレータ6a〜6cが表面側クッション層2aと干渉しないように形成するとよい。これにより中間クッション層2bに表面側クッション層2aを容易に重ね合わせることができる。なお、以下の説明では、説明の便宜上、これらの凹部5a〜5cを、第1凹部5a、第2凹部5b、第3凹部5cとそれぞれ呼ぶ。
【0032】
前記振動刺激手段3は、3つの電動式バイブレータ6a〜6c(以下、それぞれ第1バイブレータ6a、第2バイブレータ6b、第3バイブレータ6cという)を備える。第1〜第3バイブレータ6a〜6cのそれぞれは、モータ7と、このモータ7の出力軸7aの軸端に取りつけた偏心分銅8とを備える。第1バイブレータ6aは前記第1凹部5a内に、また第2バイブレータ6bは前記第2凹部5b内に、さらに第3バイブレータ6cは前記第3凹部5c内にそれぞれ設置される。第1〜第3バイブレータ6a〜6cのそれぞれは、出力軸7aの軸線方向が対応する第1〜第3凹部5a〜5cの長手方向とほぼ一致するように配置されている。第1〜第3バイブレータ6a〜6cは、モータ7を回転させたときに偏心分銅8が出力軸7aの軸線に対して偏心して回転し表面側クッション層2aを介して被施療者の施療部位に振動刺激を与えるように構成されている。
【0033】
なお、ここでは、振動刺激手段3として電動式バイブレータを用いているが、これに代えて、音響機器から発生される音響信号源で振動を発生させるもの、あるいはソレノイドにより振動板を振動させることにより振動を発生させるものなどを用いてもよい。さらに上記のモータ7として一定回転速度のモータや可変速モータ(たとえば、インバータモータ)を用いることができる。上記モータ7としてたとえばインバータモータを用いる場合、図示されていないがインバータ装置(振動速度可変手段)をさらに設ける。このインバータ装置は制御装置4と通信可能に接続され、制御装置4によって動作が制御されるように構成されている。これによりモータ7の回転速度を変化させ、各バイブレータ6a〜6cの振動速度を変化させることが可能となる。なお、各バイブレータ6a〜6cの振動速度の時間的な変化を表現する波形を、以下では、単に振動速度波形という。
【0034】
前記制御装置4は、図示されていないが、マイクロコンピュータなどで構成され、中央演算処理部(CPU)、入出力インターフェース、コンピュータプログラムその他各種情報を格納すべくRAM、ROM等からなる記憶部、並びに、CPUに接続されるディスプレイ、入力キー等からなる入力部等を備える。
【0035】
制御装置4の入出力インターフェースには、上述した第1〜第3バイブレータ6a〜6cがそれぞれ通信可能に接続されている。これにより、制御装置4が各バイブレータ6の動作を制御することが可能になる。
【0036】
この制御装置4は、例えば図2(a)の回転振動刺激を被施療者に与える場合のタイムチャートが示すように、前記第1〜第3バイブレータ6a〜6cを、間欠的な矩形状の振動速度波形で動作(振動)させるとともに、第1〜第3バイブレータ6a〜6cを順次起動させるように構成されている。第1〜第3バイブレータ6a〜6cの各動作時間はほぼ一定に設定されている。また各バイブレータ6a〜6cは、動作期間中略一定の振動速度で動作される。つまりモータ7が略一定速度で回転される。
【0037】
さらに詳しく説明すると、第1〜第3バイブレータ6a〜6cのそれぞれは、所定の時間間隔で交互に振動と停止とを繰り返している。そして第2バイブレータ6bおよび第3バイブレータ6bは、第1バイブレータ6aの最初の起動から次の起動まで(以下、1周期という)の間にほぼ等時間間隔で順次起動される。より具体的には、まず最初に例えば第1バイブレータ6aを起動させる。次にこの第1バイブレータ6aに隣接する第2バイブレータ6bを、前記第1バイブレータ6aの起動時刻から所定時間Tb遅れて起動させる。次に前記第2バイブレータ6bに隣接する第3バイブレータ6cを、前記第2バイブレータ6bの起動時刻から所定時間Tc(=Tb)遅れて起動させる。さらにもとに戻って第1バイブレータ6aを、前記第3バイブレータ6cの起動時刻から所定時間Ta(=Tb)遅れて起動させる。これにより、第1〜第3バイブレータ6a〜6cは、上述した仮想円に沿って中間クッション層2bの表面側から視て左回りに、順次起動されることになる。その結果、被施療者に対して回転振動刺激を与えることが可能となる。
【0038】
なお、ここでは、第1〜第3バイブレータ6a〜6cをほぼ等時間間隔で起動しているが、不等時間間隔で起動しても構わない。またここでは、例えば第1バイブレータ6aの振動中に第2バイブレータ6bを起動させているが、第1バイブレータ6aの振動終了後に第2バイブレータ6bを起動するようにしても構わない。すなわち、第1〜第3バイブレータ6a〜6cの起動のタイミングは、第1〜第3バイブレータ6a〜6cが振動中であるか否かを問わない。以上のようにしても、被施療者に変化に富んだ刺激を与えることができ、マッサージ効果を向上させることができる。
【0039】
また図2(b)の回転振動刺激が速くなるような体感を被施療者に与える場合のタイムチャートが示すように、前記第1〜第3バイブレータ6a〜6cの動作時間を、1周期毎に短くするとともに所定周期毎にもとの動作時間に戻してもよい。ここで、動作時間は、以下、第1バイブレータ6aを例としてこの動作を詳細に説明する。
【0040】
まず第1バイブレータ6aを所定の第1振動時間T1振動させる。そのあと第1バイブレータ6aの動作を所定の時間停止させる。これが第1周期に対応する。そのあと第1バイブレータ6aを所定の第2振動時間T2(<T1)振動させる。そのあと第1バイブレータ6aの動作を所定の時間停止させる。これが第2周期に対応する。そのあと第1バイブレータ6aを所定の第3振動時間T3(<T2)振動させる。そのあと第1バイブレータ6aの動作を所定の時間停止させる。これが第3周期に対応する。そしてこれら一連の動作(第1周期から第3周期までの動作)を繰り返して行う。他の第2および第3バイブレータ6b、6cの動作も同様にする。
【0041】
なお、前記第1〜第3振動時間T1〜T3に対応する、第1バイブレータ6aの動作停止時間(各周期の停止時間)は、第1〜第3振動時間T1〜T3の時間の長さに比例して1周期毎に短くしてもよいし、また各周期の動作停止時間を同じにしてもよい。またここでは第1〜第3振動時間T1〜T3を順次短くしているが、これらの第1〜第3振動時間T1〜T3を略同じにして第1〜第3振動時間T1〜T3に対応する動作停止時間を順次短くしてもよい。
【0042】
以上により、被施療者に対して振動刺激が速くなるような体感を与えることが可能となる。そして上記同様、第1〜第3バイブレータ6a〜6cを間欠的に動作(振動)させるとともに上述した仮想円に沿って順次起動させているので、被施療者に対して徐々に速くなる回転振動刺激を繰り返し与えることが可能となる。これにより、変化に富んだ刺激を被施療者に与えることが可能となる。その結果、マッサージ効果を向上させることが可能となる。
【0043】
またここでは、何れの場合も第1〜第3バイブレータ6a〜6cをクッション体2の表面側から視て左回りに順次起動するようにしているが、右回りに順次起動するようにしても構わない。また第1〜第3バイブレータ6a〜6cを、クッション体2の表面側から視て、左回りおよび右回りを繰り返すようにしてもよい。これにより、変化に富んだ刺激を被施療者に与えることが可能となる。その結果、マッサージ効果を向上させることが可能となる。
【0044】
次に本発明の実施の形態に係るマッサージ機に使用されるバイブレータの配置について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係るマッサージ機に使用されるバイブレータの配置図の一例を示し、(a)はバイブレータが3つ配置される場合の配置図を示し、(b)はバイブレータが4つ配置される場合の配置図を示し、(c)はバイブレータが6つ配置される場合の配置図をそれぞれ示している。図3(a)は上述の実施の形態に対応する配置図である。なお、図3(a)に示した部品と同等の部品には同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0045】
例えば図3(b)に示すように、中間クッション体2b内に4つのバイブレータ6a〜6dを配置してもよい。この場合も、上記同様、バイブレータ6a〜6dを中間クッション体2bの中央部に対して同心円状に配置してその周方向に等間隔に配置する。そして制御装置4は、これらのバイブレータ6a〜6dの動作を上記実施の形態の場合と同様に制御する。これにより、被施療者に対してより円に近い回転振動刺激を与えることができる。もちろん5つ以上のバイブレータを用いてもよい。これにより、被施療者に対してさらに円に近い回転振動刺激を与えることが可能となる。
【0046】
その他図3(c)に示すように、中間クッション体2b内に6つのバイブレータ6a〜6fを配置してもよい。このうち3つのバイブレータ6a〜6cは、バイブレータ6a、6b、6cの順に、中間クッション体2bの径方向中心に対して外側の仮想円に所定の距離を離隔してほぼ等間隔で配置される。残りの3つのバイブレータ6d〜6fは、バイブレータ6d、6e、6fの順に、前記外側の仮想円と略同心の内側の仮想同心円に沿って所定の距離を離隔して等間隔に配置される。さらにこれら内側のバイブレータ6d〜6fは、前記外側の3つのバイブレータ6a〜6cの各間に対応する位置にそれぞれ配置される。具体的には、バイブレータ6a、6bの間に対応する位置にバイブレータ6eを配置する。バイブレータ6b、6cの間に対応する位置にバイブレータ6fを配置する。バイブレータ6c、6aの間に対応する位置にバイブレータ6dを配置する。もちろんこれらのバイブレータ6d〜6fは、前記外側の3つのバイブレータ6a〜6cと同じピッチで配置されても構わない。なおここでは、上述した2つの同心円に沿ってバイブレータを配置しているが、3つ以上の同心円に沿ってバイブレータを配置してもよい。但し、この場合、各円には、少なくとも3つのバイブレータをそれぞれ配置する。これにより、上記同様、前記各円において振動による刺激が円を描くように移動し得る。
【0047】
そして制御装置4は、各バイブレータ6a〜6fを、上記実施の形態と同様に間欠的に動作させるとともに、外側の仮想円から内側の仮想同心円に向かって順にそれぞれの円毎にこの円に沿って順次起動させるように構成されている。すなわち、各バイブレータ6a〜6fを、クッション体2の表面側から視て外側から内側に向かって渦巻くように順次起動させる。具体的には、バイブレータ6a、6b、6c、6d、6e、6fの順に起動させる。またこれに代えて、各バイブレータ6a〜6fを、間欠的に動作させるとともに、内側の仮想同心円から外側の仮想円に向かって順にそれぞれの円毎にこの円に沿って順次起動させるようにしてもよい。すなわち、各バイブレータ6a〜6fを、クッション体2の表面側から視て内側から外側に向かって渦巻くように順次起動させてもよい。具体的には、バイブレータ6f、6e、6d、6c、6b、6aの順に起動させる。または前2者を組み合わせて、各バイブレータ6a〜6cを、クッション体2の表面側から視て外側から内側に向かって渦巻くように順次起動させ、続いて内側から外側に向かって渦巻くように順次起動させ、これらを繰り返して行うようにしてもよい。なおこの際、右巻き、左巻きのいずれでも構わない。またこの場合も、上記実施の形態同様、各バイブレータ6a〜6fを、図2(a)または(b)の各タームチャートと同じように動作させる。
【0048】
さらに詳細に説明する。ここでは、各バイブレータ6a〜6fを外側の仮想円から内側の仮想同心円に向かって順にそれぞれの円毎にこの円に沿って順次起動させる場合を、一例として具体的に説明する。
【0049】
まず外側の仮想円に沿って配置されるバイブレータ6a〜6cを、バイブレータ6a、6b、6cの順に起動させる。そのあとバイブレータ6a、6cの間に対応する位置に配置されるバイブレータ6dを起動する。そのあとバイブレータ6e、6fをこの順に順次起動する。これにより、被施療者に対して各バイブレータ6a〜6fの振動による刺激があたかも外側から内側に向かって渦巻くように移動するかのような体感(以下、外側から内側への渦巻き振動刺激という)を与えることが可能となる。各バイブレータ6a〜6fを、図2(a)のタイムチャートと同じように動作させれば、ほぼ等速度で外側から内側への渦巻き振動刺激を被施療者に与えることが可能となる。また各バイブレータ6a〜6fを、図2(b)のタイムチャートと同じように動作させれば、外側から内側へ徐々に速くなる渦巻き振動刺激を被施療者に与えることができる。
【0050】
その他、図示されていないが、図3の中間クッション2bの径方向中心にバイブレータを設けてもよい。そしてこのバイブレータを含む上記のバイブレータ6a〜6fを、径方向中心から径方向外方に、または径方向外方から径方向中心に向かって放射状に波打つかのように順次動作させてもよい。もちろんこのバイブレータを含む上記のバイブレータ6a〜6fを、上記のように渦巻くように順次動作させてもよい。
【0051】
以上により、従来のマッサージ機では体感することができないような変化に富んだ刺激を被施療者に与えることができる。その結果、マッサージ効果を向上させることができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態においては、図2(a)、(b)に示すように各バイブレータ6a〜6cを矩形波状の振動速度波形で動作させているが、これに限定するものではない。例えば、各バイブレータ6a〜6cを動作させる振動速度波形として、図4ないし図7の示すような振動速度波形を採用してもよい。図4(a)は、図2(a)と同じである。図4(b)は、矩形波状の振動速度波形に代えて、サインカーブの正半波状の振動速度波形を採用する場合を示している。図4(c)は、矩形波状の振動速度波形に代えて、間欠的な山形状の振動速度波形を採用する場合を示している。図5(a)は、矩形波状の振動速度波形に代えて、間欠的な鋸歯波状の振動速度波形を採用する場合を示している。図5(b)は、矩形波状の振動速度波形に代えて、間欠的な逆鋸波状の振動速度波形を採用する場合を示している。図5(c)は、矩形波状の振動速度波形に代えて、間欠的な台形波状の振動速度波形を採用する場合を示している。図6(a)は、図4(b)のサインカーブの正半波状の振動速度波形に代えて、サインカーブ状の振動速度波形を採用する場合を示している。図6(b)は、図4(c)の間欠的な山形状の振動速度波形に代えて、連続的な山形状の振動速度波形を採用する場合を示している。図6(c)は、図5(a)の間欠的な鋸歯波状の振動速度波形に代えて、連続的な鋸歯波状の振動速度波形を採用する場合を示している。図7(a)は、図5(b)の間欠的な逆鋸波状の振動速度波形に代えて、連続的な逆鋸波状の振動速度波形を採用する場合を示している。図7(b)は、図5(c)の間欠的な台形波状の振動速度波形に代えて、連続的な台形波状の振動速度波形を採用する場合を示している。図7(c)は、図6(c)の連続的な鋸歯波状の振動速度波形を変形した変形鋸歯波状の振動速度波形を採用した場合を示している。変形鋸歯波状の振動速度波形とは、図7(c)に示すように振動速度が直線的に上昇した後所定期間略一定の値を保持するような波形である。このように、種々の振動速度波形に基づいて各バイブレータ6a〜6cを動作させることにより、従来のマッサージ機では体感することができないような変化に富んだ刺激を被施療者に与えることができる。その結果、マッサージ効果を向上させることができる。
【0053】
なお、上述した実施形態は一例であり、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係るマッサージ機の一例を示す分解斜視図である。
【図2】3つのバイブレータの動作のタイムチャートであり、(a)は回転振動刺激を被施療者に与える場合のタイムチャートを示し、(b)は回転振動刺激が速くなるような体感を被施療者に与える場合のタイムチャートをそれぞれ示している。
【図3】本発明の実施の形態に係るマッサージ機に使用されるバイブレータの配置図の一例を示し、(a)はバイブレータが3つ配置される場合の配置図を示し、(b)はバイブレータが4つ配置される場合の配置図を示し、(c)はバイブレータが6つ配置される場合の配置図をそれぞれ示している。
【図4】各バイブレータを動作させる振動速度波形を示しており、(a)は図2(a)と同じ振動速度波形を、(b)はサインカーブの正半波状の振動速度波形を、(c)は間欠的な山形状の振動速度波形を示している。
【図5】各バイブレータを動作させる別の振動速度波形を示しており、(a)は間欠的な鋸歯波状の振動速度波形を、(b)は間欠的な逆鋸波状の振動速度波形を、(c)は間欠的な台形波状の振動速度波形を示している。
【図6】各バイブレータを動作させる別の振動速度波形を示しており、(a)はサインカーブ状の振動速度波形を、(b)は連続的な山形状の振動速度波形を、(c)は連続的な鋸歯波状の振動速度波形を示している。
【図7】各バイブレータを動作させる別の振動速度波形を示しており、(a)は連続的な逆鋸波状の振動速度波形を、(b)は連続的な台形波状の振動速度波形を、(c)は変形鋸歯波状の振動速度波形をを示している。
【符号の説明】
【0055】
1…マッサージ機
2…クッション体
2a…表面側クッション層
2b…中間クッション層
2c…裏面側クッション層
3…振動刺激手段
4…制御装置
5a〜5c…凹部
6a〜6f…バイブレータ
7…モータ
7a…出力軸
8…偏心分銅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の施療部位を支えるクッション体と、該クッション体内に内蔵されクッション体を介して振動による刺激を与える振動刺激手段と、該振動刺激手段に通信可能に接続され振動刺激手段の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機であって、
前記振動刺激手段は少なくとも3つのバイブレータを備えており、
前記制御手段が、各バイブレータを周期的に動作させるとともにそれぞれの動作に関連する位相がずれるように動作させるように構成されている、マッサージ機。
【請求項2】
前記各バイブレータが前記クッション体の施療部位側の表面に対して所定の仮想円に沿うように互いに所定の距離を離隔して配置されており、
前記制御手段が、被施療者に対して前記各バイブレータの振動による刺激が円を描くように移動するかのような体感を与えるべく、前記各バイブレータを、前記仮想円に沿って順次起動させるように構成されている、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記仮想円と略同心の一または複数の仮想同心円のそれぞれに沿うように配置されるバイブレータをさらに備えており、
前記各仮想同心円には、少なくとも3つのバイブレータが互いに所定の距離を離隔して配置されており、
前記制御手段が、被施療者に対して前記各バイブレータの振動による刺激が外側から内側に向かって渦巻くように移動するかのような体感を与えるべく、前記各バイブレータを、前記仮想円および仮想同心円のうち外側の円から内側の円に向かって順にそれぞれの円毎に該円に沿って順次起動させるように構成されている、請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記仮想円と略同心の一または複数の仮想同心円のそれぞれに沿うように配置されるバイブレータをさらに備えており、
前記各仮想同心円には、少なくとも3つのバイブレータが互いに所定の距離を離隔して配置されており、
前記制御手段が、被施療者に対して前記各バイブレータの振動による刺激が内側から外側に向かって渦巻くように移動するかのような体感を与えるべく、前記各バイブレータを、前記仮想円および仮想同心円のうち内側の円から外側の円に向かって順にそれぞれの円毎に該円に沿って順次起動させるように構成されている、請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記制御手段が、各バイブレータの動作時間を、1周期毎に短くするとともに所定周期毎にもとの動作時間に戻すべくなしてある、請求項2乃至4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記各バイブレータの振動速度を変えるための振動速度可変手段をさらに備えており、
前記制御装置が、前記振動速度可変手段と通信可能に接続されて前記各バイブレータの動作を制御すべくなしてある、請求項1に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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