説明

マッサージ機

【目的】 マイクロコンピュータが施療終了時の施療条件を記憶することにより、再度動作スイッチを押したときに前回終了時と同じ施療条件で施療を開始する。
【構成】 複数の施療手段と施療部位の組合せを押しボタン方式のスイッチが配列されたマイクロコンピュータ制御による操作器で選択し施療を行う椅子型マッサージ機に於て、施療終了時に動作スイッチを切るとマイクロコンピュータが施療終了時の施療手段と施療部位の組合せを記憶し、再度動作スイッチを入れたときにマイクロコンピュータが記憶した前回終了時の施療条件を読みだし、その施療条件で施療を開始する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は人体に対して刺激を与えることで施療を行うマッサージ機に関するものであり、特に押しボタン方式のスイッチが配列されたマイクロコンピュータ制御による操作器を備え、複数の施療手段と施療部位の組合せが選択できる機能を有したマッサージ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マッサージ機能は、さすり、指圧、たたき等の施療手段と腰、肩、全身等の施療部位の二つの要素から成り立っており、マッサージ機に於いては使用者は希望の施療手段、施療部位の組合せを操作器上のスイッチにより選択できるものが一般的である。
【0003】
前記したマイクロコンピュータを用いた押しボタン方式のスイッチより成る操作部によって施療手段と施療部位の組合せを選択するマッサージ機に於いては、施療開始に当たり、動作スイッチを入れた時点で安全性の面から人体に対して刺激の弱い施療手段、即ち、‘さすり’を施療部位‘全身’として組み合わせた設定とするものがよく見受けられる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、不特定多数の使用者が施療を行う場合はこのような従来方式でも不都合はないが、一般に家庭内に於て個人使用を目的とし施療対象者が毎回限定されている場合には、使用時の施療手段と施療部位の組合せは往々にして同一となる場合が多く、このようなケースに於いて前記した従来方式では施療者は、施療開始に当たって動作スイッチを入れた後これから実行しようとする施療手段と施療部位の組合せを更に変更し設定しなければならない。
【0005】
このように、毎回施療開始に当たって施療条件の選択の為の複雑なスイッチ操作を行うことは、煩わしくもあり、使用性の面で問題を残していた。そこで、本考案は上記の欠点を補完し、施療開始時の煩わしいスイッチ操作を省いて、特定の施療者の好みに合わせた組合せ施療条件が再現できる使用性のよいマッサージ機を供給することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は、選択手段としてマイクロコンピュータ制御による押しボタン方式の操作部を有するマッサージ機に於いて、従来方式の欠点を改善するために、施療終了後動作スイッチを切ると、その直前に行っていた施療手段と施療部位の組合せを一旦マイクロコンピュータに記憶し、再度電源を入れたときには前回と同一の施療条件、即ち、施療手段と施療部位の組合せが再現され、施療者は煩雑なスイッチ操作を行うことなく動作スイッチを押すだけで毎回同一条件で施療を実行できるものである。
【0007】
【実施例】
次に本考案を図示の実施例に基づいて詳述する。まず、構造上の点から説明すると、第1図は椅子の背部にマッサージ機構を組み込んだ椅子型マッサージ機の外観を示す。椅子本体は背部1、座部2、左右肘部3そして脚部4により構成され、クッション材を介し、外装布をカバーリングした背部1内部(第2図)には施療子6が組み込まれている。施療子6は背部1中央の上下方向に設置された送りネジ棒7上をその回転に伴い上下方向に移動するとともに、送りネジ棒7の回転駆動は背部1内下部に取り付けられた正反転可能なモータ8によってベルト駆動される。マッサージ動作は左肘3内部に設置された制御回路によって、モータ8の動作、即ち停止、正転、反転と、また、さすり、指圧、たたきの各動作切り換えを行うクラッチ機構を駆動するソレノイド9のオン、オフの組合せによって制御される。
【0008】
マッサージ手段の選択操作は、左肘3の操作パネル5により行う。第3図に於て操作パネル5上には、動作スイッチSW1、上端部で施療子を停止させ動作を停止する上部停止スイッチSW2、予めマイクロコンピュータにプログラムされている動作(自動コース)を行う自動コーススイッチSW3、SW4、SW5、指圧動作を行う指圧スイッチSW6、指圧と移動を繰り返す動作を行う移動指圧スイッチSW7、たたき動作を行うたたきスイッチSW8、たたきと移動を繰り返す動作を行う移動たたきスイッチSW9、さすり動作となるローリングを行うスイッチSW10、たたきとローリングで施療子の出代、即ち強弱を切り換える強/弱スイッチSW11、施療子の移動範囲をそれぞれ首肩、全身、腰に指定する施療部位切り替えスイッチSW12、SW13、SW14、移動範囲の上限(肩位置)を高低2段階に切り換える肩位置スイッチSW15、施療子の位置を上下方向に調節する位置調節スイッチSW16、SW17を備えている。また、施療手段と施療部位の選択スイッチには表示ランプが設置され、動作の状況が一目で分かるようになっている。
操作パネル上のスイッチSW1〜SW17の状態は制御回路中のマイクロコンピュータに送られ、マイクロコンピュータはモータの動作、即ち、正転、反転、停止とソレノイドのオン、オフとの組合せを制御して操作パネル上に表示された動作を行わせる。
【0009】
第4図に於て最初の施療開始時、即ち電源コードをコンセントに差込み操作パネル上の動作スイッチSW1を入れた時には、マイクロコンピュータに予め設定されている施療手段がローリングそして施療部位が全身という組合せの施療条件で施療を開始する。施療条件を変える場合には、使用者は自分の希望する施療条件を操作パネル上のスイッチを押すことにより設定する。操作パネル上の状態は常にマイクロコンピュータに送られているので、スイッチの組合せが変更されるとマイクロコンピュータは、その施療条件を満たす動作を制御回路中のモータ、ソレノイドによりドライブ回路を介して行わせる。
施療終了時には、動作スイッチを切ると操作パネル上のランプが消え、モータとソレノイドの動作は停止するが、制御回路には電源回路より常に電圧が供給されており、マイクロコンピュータは施療終了時に行っていた施療条件を記憶保持した状態で待機する。
そして再び施療開始する時には、動作スイッチSW1を押すとマイクロコンピュータが記憶している前回使用時の施療条件を読み出し、操作パネル上のスイッチサイドにあるランプを点灯させ、同時にモータとソレノイドの動作を指令し、自動的に施療状態に入る。その後、他の施療動作に切り換えても動作スイッチSW1を切った時点でマイクロコンピュータはその時の操作パネル上の各機能の組合せを記憶保持しており、再び動作スイッチSW1を入れることで前回終了時の施療条件を再現することができる。即ち、動作スイッチSW1を切った時と同じ施療手段と施療部位が実行される。これらの動作の流れは第5図に示している通りである。
【0010】
【考案の効果】
以上のように本考案によるマッサージ機に於ては、動作スイッチを入れると前回行っていた施療状態が再現されるため、特に毎回同一の施療手段と施療部位の組合せによる施療頻度が高い場合には、これらの組合せを選択するための煩わしいスイッチ操作が必要なく、使用性の面で大幅な向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マッサージ機の斜視図
【図2】同上の背面図
【図3】同上の左肘付属の操作パネル
【図4】同上のブロックダイヤグラム
【図5】同上の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
1 背部
2 座部
3 肘部
4 脚部
5 操作パネル
6 施療子
7 送りネジ棒
8 交流モーター
9 ソレノイド
10 電源コード
SW1〜SW17 各操作スイッチ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上下に移動自在な施療子を備え、施療子の上下動でマッサージ位置を可変とし、施療子はその動作によって、さすり、指圧、たたき等の複数の施療手段を行い、該施療手段と施療部位の選択を押しボタン方式のスイッチが配列されたマイクロコンピュータ制御による操作器で実行できるマッサージ機に於いて、使用中に該操作器上の動作開始スイッチを切ると、その時実行していた施療手段と施療部位の組合せを該マイクロコンピュータが記憶保持し、その後再度動作開始スイッチを入れたときには前回の使用時と同一の組合せ動作で施療を開始、継続することを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】実開平5−56131
【公開日】平成5年(1993)7月27日
【考案の名称】マッサージ機
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−113417
【出願日】平成3年(1991)12月27日
【出願人】(390018773)丸高医療機株式会社 (4)