マッサージ歯ブラシ及びその製造方法
【課題】 歯茎等の口中のマッサージ効果および清掃効果の高いマッサージ歯ブラシ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 植毛部４を有する頭部２とそれから延長する把持部３を備え、頭部２における植毛部４以外の面にマッサージ部５を形成したマッサージ歯ブラシ１であり、前記マッサージ部５は多数のループ状繊維６により構成される。
【解決手段】 植毛部４を有する頭部２とそれから延長する把持部３を備え、頭部２における植毛部４以外の面にマッサージ部５を形成したマッサージ歯ブラシ１であり、前記マッサージ部５は多数のループ状繊維６により構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は歯ブラシに歯茎や舌等のマッサージがおよび清掃が可能な機能を付加したマッサージ歯ブラシ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的な歯ブラシは偏平な頭部とそれから延長する把持部を備え、頭部の偏平な片面に歯を磨くブラシ部分である植毛部が設けられ、把持部を手で把持して頭部の植毛部を歯に押し付けながら歯磨きを行う。通常、植毛部は適当な剛性を有する多数のプラスチック繊維を頭部の偏平な片面に密集状態で固定して形成される。
【０００３】
通常、歯ブラシは歯の表面を磨くと共に、歯茎や舌や頬の内面をブラッシングやマッサージして口臭や歯周病を予防することもできる。しかし植毛部で歯茎等のブラッシング等を強く行うと歯茎を傷める恐れがあり、さらに歯茎等の隅々まで十分なブラッシング等を行うにはかなりの根気と注意を要するため、植毛部だけを使用して口臭や歯周病を完全に予防することは困難であった。
【０００４】
そこで、植毛部を設けた頭部に歯茎等のブラッシングやマッサージ機能を効率よく発揮できるマッサージ部を付加したマッサージ歯ブラシが特許文献１、２等に提案されている。特許文献１に提案されたマッサージ歯ブラシは、頭部における植毛部の両側面にエアチューブやシリコンゴム等でマッサージ部を形成している。また特許文献２のマッサージ歯ブラシは、頭部における植毛部以外の面に表面に細かい凹凸を有するスポンジゴムからなるマッサージ部を形成している。
【０００５】
【特許文献１】特開２００３−３２５２３０号公報
【特許文献２】実用新案登録第３１０２５３８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし特許文献１，２等に提案された従来のマッサージ歯ブラシでは、そのマッサージ部の表面形状からくる制限により、十分な歯茎のマッサージ効果が得にくいという問題がある。また口中の健康維持や口臭予防には頬内面のマッサージや舌苔クリーニング等を適宜行うことが望ましいが、従来のマッサージ歯ブラシではそれらを効率よく行うことはできない。そこで本発明は、従来のマッサージ歯ブラシにおける問題を解決した新しいマッサージ歯ブラシ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記課題を解決する本発明のマッサージ歯ブラシは、植毛部を有する頭部とそれから延長する把持部を備え、頭部における植毛部以外の面にマッサージ部を形成したマッサージ歯ブラシである。そして、前記マッサージ部が多数のループ状繊維により構成されていることを特徴とする（請求項１）。
【０００８】
上記マッサージ歯ブラシにおいて、前記マッサージ部は植毛部の軸方向長さの１．１〜２．０倍の長さに形成することができる（請求項２）。
上記マッサージ歯ブラシにおいて、前記マッサージ部を、少なくとも植毛部の裏面と両側と植毛部側の首部に設けることができる（請求項３）。
【０００９】
また前記課題を解決する本発明のマッサージ歯ブラシの製造方法は、植毛部を有する頭部とそれから延長する把持部を備え、頭部における植毛部以外の面にマッサージ部を形成したマッサージ歯ブラシの製造方法である。そして、表面に多数のループ状繊維を基板に固定したループ状繊維基板の裏面側を前記頭部における植毛部以外の面に接着してマッサージ部を形成することを特徴とする（請求項４）。
上記マッサージ歯ブラシの製造方法において、前記マッサージ部５の存在する頭部２および首部３ａにそれ以外の部分から少なくとも前記基板７の厚み分凹陥させた段差部３ｂを予め設けておき、その段差部に前記ループ状繊維基板８を接着することができる（請求項５）。
【００１０】
また前記課題を解決する本発明の他のマッサージ歯ブラシの製造方法は、植毛部を有する頭部とそれから延長する把持部を備え、頭部における植毛部以外の面にマッサージ部を形成したマッサージ歯ブラシの製造方法である。そして前記頭部における植毛部以外の面に複数の固定孔を形成し、複数の繊維をループ状にしてそれらの繊維端を束ねたループ状繊維束を複数用意し、各ループ状繊維束の繊維端を各固定孔にそれぞれ挿入・固定してマッサージ部を形成することを特徴とする（請求項６）。
【発明の効果】
【００１１】
本発明のマッサージ歯ブラシは、マッサージ部を多数のループ状繊維で構成したことに特徴がある。このような多数のループ状繊維の各ループ部分は細い線状体であり、それら線状部が次々と歯茎表面に線接触しながらそれを擦るように摩擦していくので、単なるゴム面、スポンジの凹凸面、或いは繊維体の先端部で擦るより歯茎を効果的に摩擦でき且つ複雑な歯茎表面に沿って柔軟に追従できる。そのため本発明のマッサージ歯ブラシにおけるマッサージ部を歯茎に押し付けるようにして前後若しくは左右に擦ると、歯茎表面に対して十分な密着もしくは追従性を維持しながら、適度な押圧力と摩擦力で効果的なマッサージを行うことができる。
【００１２】
また、このマッサージ部は植毛部の背面等に存在するから、通常の歯ブラシ操作のときに当然に頬内面等の口の内面に接触し、その接触部を同時に清掃およびマッサージすることができる。そして、歯茎同様に頬内面等に対して十分な密着もしくは追従性を維持しながら、適度な押圧力と摩擦力で効果的なマッサージを行うことができる。しかも各ループ部分はその弾性や変形性等により口の内面の粘膜に優しく接するという利点もある。さらに各ループ部分が頬内面等の垢を効果的にかきとることができる。
【００１３】
さらに、このマッサージ部を舌表面に押し付けるようにして前後若しくは左右或いは円形に擦ると、歯茎同様に舌表面に対して十分な密着もしくは追従性を維持しながら、適度な押圧力と摩擦力で効果的に舌苔を除去することができる。このとき、舌の表面に傷をつけることがない。
【００１４】
さらに、本発明のマッサージ歯ブラシの植毛部に歯磨き剤を付けて通常の歯磨きを行うと、多数のループ状繊維で構成したマッサージ部が歯磨き剤に対する泡立て器として作用するので、歯磨き剤の使用量が少なくて済む。そして歯磨き中もマッサージ部が歯茎や口の内面等をマッサージおよび清掃することが出来るので、それら部分の血流が良くなり、歯磨き後にマッサージの快感が残っており、口をすすいだ後に従来のマッサージ歯ブラシでは経験できない爽快感が得られる。そしてこれら種々の効果により、口臭予防、虫歯予防、歯周病予防、口中の健康増進が期待できる。
【００１５】
上記マッサージ歯ブラシにおいて、前記マッサージ部は植毛部の軸方向長さの１．１〜２．０倍の長さに形成することができる。多くの使用実験の結果によれば、マッサージ部の長さをこの範囲にすると頬内面のマッサージ部の使用性およびマッサージ効果を高くできることが分かった。またマッサージ部５は頭部２における植毛部４以外のいずれの面にも形成でき、例えば図１、図２に示すように植毛部４以外の５面（裏面、両側面、先端面、植毛部側の首部）にマッサージ部５を設け、マッサージ面積を可能な限り広げることが望ましい。しかしマッサージ部５を植毛部４の両面または背面だけに形成することもできる。
【００１６】
本発明のマッサージ歯ブラシの製造方法は、表面に多数のループ状繊維を基板に固定したループ状繊維基板の裏面側を頭部における植毛部以外の面に接着してマッサージ部を形成することを特徴とする。前記ループ状繊維基板は例えば面ファスナー（所謂マジックテープ(登録商標））の片方に用いるループ状繊維基板をそのまま使用出来るので、安価に且つ効率よく本発明のマッサージ歯ブラシを製造することができる。
このとき、基板の厚さ分だけ基板接着部を予め凹陥した段差部を設ける場合には、ループ状繊維基板の剥離を防止すると共に、基板の縁が口腔の表面に接触せず、使い心地がよい。
【００１７】
本発明の他のマッサージ歯ブラシの他の製造方法は、前記頭部における植毛部以外の面に複数の固定孔を形成し、複数の繊維をループ状にしてそれらの繊維端を束ねたループ状繊維束を複数用意し、各ループ状繊維束の繊維端を各固定孔にそれぞれ挿入・固定してマッサージ部を形成することを特徴とする。本方法も本発明のマッサージ歯ブラシを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
次に、図面を基に本発明を実施する最良の形態を説明する。図１は本発明のマッサージ歯ブラシの主要部を示す正面図であり、図２は平面図である。これらの図において、マッサージ歯ブラシ１は偏平で略方形な断面を有する細長い頭部２とその頭部２の後端から連続的に延長する首部３ａおよび細長い把持部３を備えている。
【００１９】
頭部２の一方の偏平面に例えばポリアミド繊維やポリプロピレン繊維等の合成繊維を密集して植毛した植毛部４が設けられる。この植毛部４は歯磨き剤を付けて歯を磨く部分であり、前記把持部３は歯磨きやマッサージを行う際に手で把持する部分である。なお植毛部４の長さ、幅、または植毛部４を構成する繊維の剛性、長さ及び植毛密度等は使用対象者及びその好みや使用目的等により適宜選択される。
【００２０】
頭部２における植毛部４以外の面に、図３に拡大図で示す、本発明の特徴部分である多数のループ状繊維６で構成したマッサージ部５が形成される。本実施形態では頭部２における植毛部４以外の背面と両側面、先端面、植毛側の首部にマッサージ部５が延長して形成される。このようなマッサージ部５を備えたマッサージ歯ブラシ１を製造するには、例えば図３（Ａ）（Ｂ）に示すように、可撓性の繊維で作られた基板７の表面から多数のループ状繊維６を立ち上げたループ状繊維基板８を用意し、そのループ状繊維基板８の裏面側を例えば市販の標準的な歯ブラシの頭部２における植毛部４以外の表面に接着することにより、前記マッサージ歯ブラシ１が製造できる。
【００２１】
ループ状繊維基板８は前記のように、例えば市販の面ファスナー（所謂マジックテープ(登録商標）の雌部材）の片方に用いるループ状繊維基板をそのまま使用出来る。市販のループ状繊維基板におけるループ状繊維の材質や弾性（若しくは剛性）、ループ高さ、ループ密度等は種々のグレードのものが存在するので、その中から本発明のマッサージ部５に適したものを適宜選択することができる。
【００２２】
本発明に好適なループ状繊維基板８としては、例えばポリアミド繊維（所謂ナイロン繊維）等の可撓性の合成繊維で作られた基板７の表面からポリアミド繊維等の合成繊維で作られた多数のループ状繊維６を立ち上げたループ状繊維基板８を使用することができる。ループ状繊維６の弾性若しくは剛性は歯茎等の表面を傷つけず、それら表面に良好に追従でき、且つ十分な摩擦および清掃力を歯茎等に付与できる範囲から選択することが望ましい。ループの高さは口中に無理なく挿入でき、且つ口中に含んでも違和感がない範囲、たとえば０．５ｍｍ〜３ｍｍ程度の範囲から選択することが望ましい。またループ密度は上記ループ高さ範囲を有する市販のループ状繊維基板から選択すればよい。
【００２３】
図３に示すようなループ状繊維基板８は、市販の標準サイズのものを所定の大きさに切断加工して、その裏面側を頭部２の表面に接着する。接着には安全性の高い接着剤、たとえば歯科治療における歯冠被着用などの安全性と強固な接着力を有する接着剤を使用することが望ましい。
図５はその基板７の厚み分だけ頭部および首部を予め凹陥した段差部３ｂを設けておき、そこにループ状繊維基板８の基板７を埋め込んで接着したものである。このようにすると、基板７が露出しないので、その縁が口腔の内面に接触することがなく、使い心地がよい。
【００２４】
図１には植毛部４の軸方向の長さ、すなわち植毛部４の先端部から後端部までの長さＬ1と、マッサージ部５の軸方向の長さ、すなわちマッサージ部５の先端部から後端部までの長さＬ2が示されている。多くの使用実験の結果によれば、マッサージ部５の軸方向のＬ2の長さは植毛部４の軸方向長さＬ1の１．１〜２．０倍程度の長さに形成すると、マッサージ効果に優れ、且つ使い易いことが分かっている。
【００２５】
図４は本発明のマッサージ歯ブラシ１の他の製造方法を説明するために示したマッサージ部５の部分拡大断面略図である。本製造方法ではマッサージ部５を形成する頭部２の表面に複数の固定孔９を形成し、複数の繊維をループ状にしてそれらの繊維端を束ねたループ状繊維束６ａを複数用意し、各ループ状繊維束６ａの繊維端を各固定孔９にそれぞれ挿入し、接着剤１０で固定する。なお接着剤１０は前記図３の例と同様な安全性の高い接着剤を使用することが好ましい。またループ状繊維の材質、弾性若しくは剛性、ループ高さ、ループ密度等は図３の例に準じて選択することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【００２６】
本発明のマッサージ歯ブラシ及びその製造方法は、歯茎等の口中マッサージおよび清掃ができる歯ブラシ及びその製造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明のマッサージ歯ブラシの主要部を示す正面図。
【図２】図１の平面図。
【図３】図１のマッサージ歯ブラシを製造するためのループ状繊維基板の部分拡大断面図および斜視拡大図。
【図４】本発明のマッサージ歯ブラシの他の製造方法を説明するために示したマッサージ部５の部分拡大断面図。
【図５】図１のマッサージ歯ブラシを製造するためのループ状繊維基板の接着部分拡大断面図。
【符号の説明】
【００２８】
１ マッサージ歯ブラシ
２ 頭部
３ 把持部
３ａ 首部
３ｂ 段差部
４ 植毛部
５ マッサージ部
【００２９】
６ ループ状繊維
６ａ ループ状繊維束
７ 基板
８ ループ状繊維基板
９ 固定孔
１０ 接着剤
【技術分野】
【０００１】
本発明は歯ブラシに歯茎や舌等のマッサージがおよび清掃が可能な機能を付加したマッサージ歯ブラシ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的な歯ブラシは偏平な頭部とそれから延長する把持部を備え、頭部の偏平な片面に歯を磨くブラシ部分である植毛部が設けられ、把持部を手で把持して頭部の植毛部を歯に押し付けながら歯磨きを行う。通常、植毛部は適当な剛性を有する多数のプラスチック繊維を頭部の偏平な片面に密集状態で固定して形成される。
【０００３】
通常、歯ブラシは歯の表面を磨くと共に、歯茎や舌や頬の内面をブラッシングやマッサージして口臭や歯周病を予防することもできる。しかし植毛部で歯茎等のブラッシング等を強く行うと歯茎を傷める恐れがあり、さらに歯茎等の隅々まで十分なブラッシング等を行うにはかなりの根気と注意を要するため、植毛部だけを使用して口臭や歯周病を完全に予防することは困難であった。
【０００４】
そこで、植毛部を設けた頭部に歯茎等のブラッシングやマッサージ機能を効率よく発揮できるマッサージ部を付加したマッサージ歯ブラシが特許文献１、２等に提案されている。特許文献１に提案されたマッサージ歯ブラシは、頭部における植毛部の両側面にエアチューブやシリコンゴム等でマッサージ部を形成している。また特許文献２のマッサージ歯ブラシは、頭部における植毛部以外の面に表面に細かい凹凸を有するスポンジゴムからなるマッサージ部を形成している。
【０００５】
【特許文献１】特開２００３−３２５２３０号公報
【特許文献２】実用新案登録第３１０２５３８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし特許文献１，２等に提案された従来のマッサージ歯ブラシでは、そのマッサージ部の表面形状からくる制限により、十分な歯茎のマッサージ効果が得にくいという問題がある。また口中の健康維持や口臭予防には頬内面のマッサージや舌苔クリーニング等を適宜行うことが望ましいが、従来のマッサージ歯ブラシではそれらを効率よく行うことはできない。そこで本発明は、従来のマッサージ歯ブラシにおける問題を解決した新しいマッサージ歯ブラシ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記課題を解決する本発明のマッサージ歯ブラシは、植毛部を有する頭部とそれから延長する把持部を備え、頭部における植毛部以外の面にマッサージ部を形成したマッサージ歯ブラシである。そして、前記マッサージ部が多数のループ状繊維により構成されていることを特徴とする（請求項１）。
【０００８】
上記マッサージ歯ブラシにおいて、前記マッサージ部は植毛部の軸方向長さの１．１〜２．０倍の長さに形成することができる（請求項２）。
上記マッサージ歯ブラシにおいて、前記マッサージ部を、少なくとも植毛部の裏面と両側と植毛部側の首部に設けることができる（請求項３）。
【０００９】
また前記課題を解決する本発明のマッサージ歯ブラシの製造方法は、植毛部を有する頭部とそれから延長する把持部を備え、頭部における植毛部以外の面にマッサージ部を形成したマッサージ歯ブラシの製造方法である。そして、表面に多数のループ状繊維を基板に固定したループ状繊維基板の裏面側を前記頭部における植毛部以外の面に接着してマッサージ部を形成することを特徴とする（請求項４）。
上記マッサージ歯ブラシの製造方法において、前記マッサージ部５の存在する頭部２および首部３ａにそれ以外の部分から少なくとも前記基板７の厚み分凹陥させた段差部３ｂを予め設けておき、その段差部に前記ループ状繊維基板８を接着することができる（請求項５）。
【００１０】
また前記課題を解決する本発明の他のマッサージ歯ブラシの製造方法は、植毛部を有する頭部とそれから延長する把持部を備え、頭部における植毛部以外の面にマッサージ部を形成したマッサージ歯ブラシの製造方法である。そして前記頭部における植毛部以外の面に複数の固定孔を形成し、複数の繊維をループ状にしてそれらの繊維端を束ねたループ状繊維束を複数用意し、各ループ状繊維束の繊維端を各固定孔にそれぞれ挿入・固定してマッサージ部を形成することを特徴とする（請求項６）。
【発明の効果】
【００１１】
本発明のマッサージ歯ブラシは、マッサージ部を多数のループ状繊維で構成したことに特徴がある。このような多数のループ状繊維の各ループ部分は細い線状体であり、それら線状部が次々と歯茎表面に線接触しながらそれを擦るように摩擦していくので、単なるゴム面、スポンジの凹凸面、或いは繊維体の先端部で擦るより歯茎を効果的に摩擦でき且つ複雑な歯茎表面に沿って柔軟に追従できる。そのため本発明のマッサージ歯ブラシにおけるマッサージ部を歯茎に押し付けるようにして前後若しくは左右に擦ると、歯茎表面に対して十分な密着もしくは追従性を維持しながら、適度な押圧力と摩擦力で効果的なマッサージを行うことができる。
【００１２】
また、このマッサージ部は植毛部の背面等に存在するから、通常の歯ブラシ操作のときに当然に頬内面等の口の内面に接触し、その接触部を同時に清掃およびマッサージすることができる。そして、歯茎同様に頬内面等に対して十分な密着もしくは追従性を維持しながら、適度な押圧力と摩擦力で効果的なマッサージを行うことができる。しかも各ループ部分はその弾性や変形性等により口の内面の粘膜に優しく接するという利点もある。さらに各ループ部分が頬内面等の垢を効果的にかきとることができる。
【００１３】
さらに、このマッサージ部を舌表面に押し付けるようにして前後若しくは左右或いは円形に擦ると、歯茎同様に舌表面に対して十分な密着もしくは追従性を維持しながら、適度な押圧力と摩擦力で効果的に舌苔を除去することができる。このとき、舌の表面に傷をつけることがない。
【００１４】
さらに、本発明のマッサージ歯ブラシの植毛部に歯磨き剤を付けて通常の歯磨きを行うと、多数のループ状繊維で構成したマッサージ部が歯磨き剤に対する泡立て器として作用するので、歯磨き剤の使用量が少なくて済む。そして歯磨き中もマッサージ部が歯茎や口の内面等をマッサージおよび清掃することが出来るので、それら部分の血流が良くなり、歯磨き後にマッサージの快感が残っており、口をすすいだ後に従来のマッサージ歯ブラシでは経験できない爽快感が得られる。そしてこれら種々の効果により、口臭予防、虫歯予防、歯周病予防、口中の健康増進が期待できる。
【００１５】
上記マッサージ歯ブラシにおいて、前記マッサージ部は植毛部の軸方向長さの１．１〜２．０倍の長さに形成することができる。多くの使用実験の結果によれば、マッサージ部の長さをこの範囲にすると頬内面のマッサージ部の使用性およびマッサージ効果を高くできることが分かった。またマッサージ部５は頭部２における植毛部４以外のいずれの面にも形成でき、例えば図１、図２に示すように植毛部４以外の５面（裏面、両側面、先端面、植毛部側の首部）にマッサージ部５を設け、マッサージ面積を可能な限り広げることが望ましい。しかしマッサージ部５を植毛部４の両面または背面だけに形成することもできる。
【００１６】
本発明のマッサージ歯ブラシの製造方法は、表面に多数のループ状繊維を基板に固定したループ状繊維基板の裏面側を頭部における植毛部以外の面に接着してマッサージ部を形成することを特徴とする。前記ループ状繊維基板は例えば面ファスナー（所謂マジックテープ(登録商標））の片方に用いるループ状繊維基板をそのまま使用出来るので、安価に且つ効率よく本発明のマッサージ歯ブラシを製造することができる。
このとき、基板の厚さ分だけ基板接着部を予め凹陥した段差部を設ける場合には、ループ状繊維基板の剥離を防止すると共に、基板の縁が口腔の表面に接触せず、使い心地がよい。
【００１７】
本発明の他のマッサージ歯ブラシの他の製造方法は、前記頭部における植毛部以外の面に複数の固定孔を形成し、複数の繊維をループ状にしてそれらの繊維端を束ねたループ状繊維束を複数用意し、各ループ状繊維束の繊維端を各固定孔にそれぞれ挿入・固定してマッサージ部を形成することを特徴とする。本方法も本発明のマッサージ歯ブラシを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
次に、図面を基に本発明を実施する最良の形態を説明する。図１は本発明のマッサージ歯ブラシの主要部を示す正面図であり、図２は平面図である。これらの図において、マッサージ歯ブラシ１は偏平で略方形な断面を有する細長い頭部２とその頭部２の後端から連続的に延長する首部３ａおよび細長い把持部３を備えている。
【００１９】
頭部２の一方の偏平面に例えばポリアミド繊維やポリプロピレン繊維等の合成繊維を密集して植毛した植毛部４が設けられる。この植毛部４は歯磨き剤を付けて歯を磨く部分であり、前記把持部３は歯磨きやマッサージを行う際に手で把持する部分である。なお植毛部４の長さ、幅、または植毛部４を構成する繊維の剛性、長さ及び植毛密度等は使用対象者及びその好みや使用目的等により適宜選択される。
【００２０】
頭部２における植毛部４以外の面に、図３に拡大図で示す、本発明の特徴部分である多数のループ状繊維６で構成したマッサージ部５が形成される。本実施形態では頭部２における植毛部４以外の背面と両側面、先端面、植毛側の首部にマッサージ部５が延長して形成される。このようなマッサージ部５を備えたマッサージ歯ブラシ１を製造するには、例えば図３（Ａ）（Ｂ）に示すように、可撓性の繊維で作られた基板７の表面から多数のループ状繊維６を立ち上げたループ状繊維基板８を用意し、そのループ状繊維基板８の裏面側を例えば市販の標準的な歯ブラシの頭部２における植毛部４以外の表面に接着することにより、前記マッサージ歯ブラシ１が製造できる。
【００２１】
ループ状繊維基板８は前記のように、例えば市販の面ファスナー（所謂マジックテープ(登録商標）の雌部材）の片方に用いるループ状繊維基板をそのまま使用出来る。市販のループ状繊維基板におけるループ状繊維の材質や弾性（若しくは剛性）、ループ高さ、ループ密度等は種々のグレードのものが存在するので、その中から本発明のマッサージ部５に適したものを適宜選択することができる。
【００２２】
本発明に好適なループ状繊維基板８としては、例えばポリアミド繊維（所謂ナイロン繊維）等の可撓性の合成繊維で作られた基板７の表面からポリアミド繊維等の合成繊維で作られた多数のループ状繊維６を立ち上げたループ状繊維基板８を使用することができる。ループ状繊維６の弾性若しくは剛性は歯茎等の表面を傷つけず、それら表面に良好に追従でき、且つ十分な摩擦および清掃力を歯茎等に付与できる範囲から選択することが望ましい。ループの高さは口中に無理なく挿入でき、且つ口中に含んでも違和感がない範囲、たとえば０．５ｍｍ〜３ｍｍ程度の範囲から選択することが望ましい。またループ密度は上記ループ高さ範囲を有する市販のループ状繊維基板から選択すればよい。
【００２３】
図３に示すようなループ状繊維基板８は、市販の標準サイズのものを所定の大きさに切断加工して、その裏面側を頭部２の表面に接着する。接着には安全性の高い接着剤、たとえば歯科治療における歯冠被着用などの安全性と強固な接着力を有する接着剤を使用することが望ましい。
図５はその基板７の厚み分だけ頭部および首部を予め凹陥した段差部３ｂを設けておき、そこにループ状繊維基板８の基板７を埋め込んで接着したものである。このようにすると、基板７が露出しないので、その縁が口腔の内面に接触することがなく、使い心地がよい。
【００２４】
図１には植毛部４の軸方向の長さ、すなわち植毛部４の先端部から後端部までの長さＬ1と、マッサージ部５の軸方向の長さ、すなわちマッサージ部５の先端部から後端部までの長さＬ2が示されている。多くの使用実験の結果によれば、マッサージ部５の軸方向のＬ2の長さは植毛部４の軸方向長さＬ1の１．１〜２．０倍程度の長さに形成すると、マッサージ効果に優れ、且つ使い易いことが分かっている。
【００２５】
図４は本発明のマッサージ歯ブラシ１の他の製造方法を説明するために示したマッサージ部５の部分拡大断面略図である。本製造方法ではマッサージ部５を形成する頭部２の表面に複数の固定孔９を形成し、複数の繊維をループ状にしてそれらの繊維端を束ねたループ状繊維束６ａを複数用意し、各ループ状繊維束６ａの繊維端を各固定孔９にそれぞれ挿入し、接着剤１０で固定する。なお接着剤１０は前記図３の例と同様な安全性の高い接着剤を使用することが好ましい。またループ状繊維の材質、弾性若しくは剛性、ループ高さ、ループ密度等は図３の例に準じて選択することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【００２６】
本発明のマッサージ歯ブラシ及びその製造方法は、歯茎等の口中マッサージおよび清掃ができる歯ブラシ及びその製造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明のマッサージ歯ブラシの主要部を示す正面図。
【図２】図１の平面図。
【図３】図１のマッサージ歯ブラシを製造するためのループ状繊維基板の部分拡大断面図および斜視拡大図。
【図４】本発明のマッサージ歯ブラシの他の製造方法を説明するために示したマッサージ部５の部分拡大断面図。
【図５】図１のマッサージ歯ブラシを製造するためのループ状繊維基板の接着部分拡大断面図。
【符号の説明】
【００２８】
１ マッサージ歯ブラシ
２ 頭部
３ 把持部
３ａ 首部
３ｂ 段差部
４ 植毛部
５ マッサージ部
【００２９】
６ ループ状繊維
６ａ ループ状繊維束
７ 基板
８ ループ状繊維基板
９ 固定孔
１０ 接着剤
【特許請求の範囲】
【請求項１】
植毛部４を有する頭部２とそれから延長する把持部３を備え、頭部２における植毛部４以外の面にマッサージ部５を形成したマッサージ歯ブラシにおいて、
前記マッサージ部５が多数のループ状繊維６により構成されていることを特徴とするマッサージ歯ブラシ。
【請求項２】
請求項１において、前記マッサージ部５は植毛部４の軸方向長さの１．１〜２．０倍の長さに形成されていることを特徴とするマッサージ歯ブラシ。
【請求項３】
請求項１または請求項２において、前記マッサージ部５が、少なくとも植毛部４の裏面および両側面ならびに、植毛面側の首部３ａに設けられているマッサージ歯ブラシ。
【請求項４】
植毛部４を有する頭部２とそれから延長する把持部３を備え、頭部２における植毛部４以外の面にマッサージ部５を形成したマッサージ歯ブラシの製造方法において、
表面に多数のループ状繊維６を基板７に固定したループ状繊維基板８の裏面側を前記頭部２における植毛部４以外の面に接着してマッサージ部５を形成することを特徴とするマッサージ歯ブラシの製造方法。
【請求項５】
請求項４において、前記マッサージ部５の存在する頭部２および首部３ａにそれ以外の部分から少なくとも前記基板７の厚み分凹陥させた段差部３ｂを予め設けておき、その段差部３ｂに前記ループ状繊維基板８を接着したことを特徴とするマッサージ歯ブラシの製造方法。
【請求項６】
植毛部４を有する頭部２とそれから延長する把持部３を備え、頭部２における植毛部４以外の面にマッサージ部５を形成したマッサージ歯ブラシの製造方法において、
前記頭部２における植毛部４以外の面に複数の固定孔９を形成し、複数の繊維をループ状にしてそれらの繊維端を束ねたループ状繊維束６ａを複数用意し、各ループ状繊維束６ａの繊維端を各固定孔９にそれぞれ挿入・固定してマッサージ部５を形成することを特徴とするマッサージ歯ブラシの製造方法。
【請求項１】
植毛部４を有する頭部２とそれから延長する把持部３を備え、頭部２における植毛部４以外の面にマッサージ部５を形成したマッサージ歯ブラシにおいて、
前記マッサージ部５が多数のループ状繊維６により構成されていることを特徴とするマッサージ歯ブラシ。
【請求項２】
請求項１において、前記マッサージ部５は植毛部４の軸方向長さの１．１〜２．０倍の長さに形成されていることを特徴とするマッサージ歯ブラシ。
【請求項３】
請求項１または請求項２において、前記マッサージ部５が、少なくとも植毛部４の裏面および両側面ならびに、植毛面側の首部３ａに設けられているマッサージ歯ブラシ。
【請求項４】
植毛部４を有する頭部２とそれから延長する把持部３を備え、頭部２における植毛部４以外の面にマッサージ部５を形成したマッサージ歯ブラシの製造方法において、
表面に多数のループ状繊維６を基板７に固定したループ状繊維基板８の裏面側を前記頭部２における植毛部４以外の面に接着してマッサージ部５を形成することを特徴とするマッサージ歯ブラシの製造方法。
【請求項５】
請求項４において、前記マッサージ部５の存在する頭部２および首部３ａにそれ以外の部分から少なくとも前記基板７の厚み分凹陥させた段差部３ｂを予め設けておき、その段差部３ｂに前記ループ状繊維基板８を接着したことを特徴とするマッサージ歯ブラシの製造方法。
【請求項６】
植毛部４を有する頭部２とそれから延長する把持部３を備え、頭部２における植毛部４以外の面にマッサージ部５を形成したマッサージ歯ブラシの製造方法において、
前記頭部２における植毛部４以外の面に複数の固定孔９を形成し、複数の繊維をループ状にしてそれらの繊維端を束ねたループ状繊維束６ａを複数用意し、各ループ状繊維束６ａの繊維端を各固定孔９にそれぞれ挿入・固定してマッサージ部５を形成することを特徴とするマッサージ歯ブラシの製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−２６５（Ｐ２００８−２６５Ａ）
【公開日】平成２０年１月１０日（２００８．１．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１７１２９２（Ｐ２００６−１７１２９２）
【出願日】平成１８年６月２１日（２００６．６．２１）
【出願人】（５０４３９９７９４）株式会社真和 (1)
【出願人】（５０７１３０９６７）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１月１０日（２００８．１．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年６月２１日（２００６．６．２１）
【出願人】（５０４３９９７９４）株式会社真和 (1)
【出願人】（５０７１３０９６７）
【Ｆターム（参考）】
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