説明

マッサージ装置

【課題】この発明は利用者の背面のマッサージと同時に肩の部分をマッサージすることができるようにしたマッサージ装置を提供することにある。
【解決手段】基体1と、基体の上面の長手方向に沿って設けられたガイドレール4と、ガイドレールに沿って往復駆動可能に設けられ上記基体上に仰臥した利用者の背面をマッサージする主マッサージローラ35と、基体の長手方向一端部に設けられ利用者の肩の部分をマッサージする肩用マッサージローラと51を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は仰臥した利用者の背面をマッサージするためのマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のマッサージ装置は矩形板状の基体を有し、この基体の上面には一対のガイドレールが平行に設けられている。このガイドレールの一端側には駆動装置が設けられている。この駆動装置は2つで対をなすとともに互いに逆方向に回転駆動される駆動プーリを有する。
【0003】
上記ガイドレールには通路が形成され、この通路にはベルトが挿通されている。このベルトは、一端部と他端部とが上記一対の駆動プーリに巻回され、中途部は上記ガイドレールの他端部に回転自在に設けられた従動ローラに掛けられている。
【0004】
上記基体上には、回転自在に設けられたマッサージローラを有する保持体が上記ガイドレールに沿って走行自在に設けられている。この保持体は上記ベルトに連結されている。
【0005】
したがって、上記駆動装置の一対の駆動プーリが互いに逆方向に回転駆動されることで、上記ベルトの一端部が一方の駆動プーリに巻き取られ、他端部が他方の駆動プーリから繰り出されて上記ベルトが走行する。上記保持体は上記ベルトの走行に連動するから、保持体に設けられたマッサージローラによって利用者の背面がマッサージされることになる。
【0006】
上記保持体には支軸が設けられ、この支軸に上記マッサージローラが回転可能に支持されている。通常、上記マッサージローラは2つ或いは4つのマッサージローラが上記支軸の軸方向中心に対して左右対称に設けられている。
【0007】
仰臥した利用者は2つ或いは4つのマッサージローラによって背面全体にマッサージを受けることができる。マッサージ装置によっては、マッサージローラが設けられた保持体を一定の速度で基体上の全長にわたって往復駆動させることができるだけでなく、所望する部分(範囲)で往復駆動させることもできるようになっている。
そのため、利用者が肩の部分に他の部分よりも長い時間にわたってマッサージを受けたい場合、上記マッサージローラを利用者の肩の部分で往復駆動させるようにすれば、快適なマッサージ効果を得ることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、利用者によっては全身にマッサージを受けながら肩の部分に他の部分よりの長い時間にわたってマッサージを受けたいことがある。つまり、肩の部分に集中的にマッサージを受けながら、全身のマッサージを受けることでマッサージ効果を高めたいことがある。
【0009】
しかしながら、従来のマッサージ装置は上述したように、肩の部分に他の部分よりも長い時間にわたってマッサージを受けたい場合、マッサージローラが往復駆動される範囲を肩の部分だけに制限するようにするため、肩以外の部分にはマッサージを全く受けることができなくなるということがあった。
【0010】
この発明は、往復駆動されるマッサージローラによって全身にマッサージを受けながら、肩の部分にも集中的にマッサージを受けることができるようにしたマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、基体と、
この基体の上面の長手方向に沿って設けられたガイドレールと、
このガイドレールに沿って往復駆動可能に設けられ上記基体上に仰臥した利用者の背面をマッサージする主マッサージローラと、
上記基体の長手方向一端部に設けられ上記利用者の肩の部分をマッサージする肩用マッサージローラと
を具備したことを特徴とするマッサージ装置にある。
【0012】
上記肩用マッサージローラは上記基体の上面に設けられ、
上記ガイドローラは上記基体の長手方向一端部で上方に向かって傾斜した傾斜部に形成されていて、上記主マッサージローラが上記傾斜部に沿って走行することで、上記肩用マッサージローラと干渉するのが阻止されていることが好ましい。
【0013】
上記基体の長手方向一端部の上面に幅方向に沿って設けられた取り付け部材と、
この取り付け部材の両端部に一端を枢着し他端に上記肩用マッサージローラが設けられた一対の揺動アームと、
一対の揺動アームを一端を支点として揺動させる揺動駆動機構と
を具備したことが好ましい。
【0014】
上記揺動駆動機構は、駆動軸部と従動軸部とに分割された動力伝達軸と、
上記駆動軸部を正転方向と逆転方向とに交互に回転駆動する駆動源と、
上記駆動軸部と従動軸部との一端部に設けられ上記駆動軸部の回転に上記従動軸部を連動させるとともに、上記駆動軸部が正転方向と逆転方向とのどちらか一方の回転から他方の方向に回転方向を変換するときに上記駆動軸部が180度回転してから上記従動軸部を連動させる継ぎ手機構と、
上記駆動軸部と従動軸部との他端部の偏心位置にそれぞれ一端を枢着して設けられ他端が上記揺動アームの他端部に弾性部材を介して枢着された一対の連動アームと
を具備したことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、基体上に仰臥した利用者は、主マッサージローラによって背面全体のマッサージを受けることができ、それと同時に肩の部分のマッサージを受けることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すマットレスタイプのマッサージ装置は矩形平板状の基体1を備えている。この基体1は折り曲げ可能なシート状の合成樹脂によって形成されていて、長手方向中途部から2つに折り曲げることが可能となっている。
【0017】
基体1は、たとえば1枚の合成樹脂シートあるいは硬さや強度の異なる複数の合成樹脂シートを積層して構成してもよい。さらに、基体1は1枚または積層された複数枚の合成樹脂シートに限られず、骨格構造等であってもよく、その構造や形態にはなんら限定されるものでない。
【0018】
上記基体1の上面の幅方向両端部には、ナイロン(商品名)やポリプロピレンなどの合成樹脂によって成形された一対のガイドレール4が平行に離間して敷設されている。このガイドレール4は図3に示すように帯状の基部4aを有し、この基部4aの幅方向両端にはL字状の支持部4bが形成されている。上記基部4aの中途部の上下面にはそれぞれ一対のL字状片4cが対向して突設されている。それによって、上記基部4aの上下面にはそれぞれ通路4dが形成され、また上側の通路4dの側方は後述する車輪27の走行面4eとなっている。
【0019】
上記ガイドレール4は複数の保持具4f(図3に1つだけ図示)によって上記基体1の上面にスライド可能に保持されている。つまり、保持具4fは図3に示すようにほぼU字状に形成されていて、中途部を基体1の下面に位置させ、L字状に折曲された両側の係合部4gを上記基体1に形成された一対の通孔1aから基体1の上面側に突出させ、上記ガイドレール4の支持部4bに係合させている。それによって、上記ガイドレール4は上記基体1にスライド自在に保持されている。
【0020】
図1に示すように、上記ガイドレール4の長手方向の中央部には、ガイドレール4の基部4aを除く部分に所定の間隔で複数のスリット5が形成されている。そのため、ガイドレール4はそのスリット5の部分から上記基体1とともに折り曲げることができるようになっている。
【0021】
図2に示すように、上記基体1の長手方向一端部には、側面形状が三角形状の架台6が設けられている。この架台6は上記ガイドレール4の長手方向の一端部を、末端にゆくにつれて次第に高く傾斜するよう支持している。
【0022】
上記基体1の長手方向他端部の上面、つまりガイドレール4の他端には駆動装置10が設けられている。この駆動装置10は図1と図2に示すようにケース11を有する。このケース11内には減速機とモータとが一体化された駆動源12が設けられている。この駆動源12はケース11の両側に設けられた各一対の互いに噛合した歯車13をそれぞれ逆方向に回転駆動するようになっている。各歯車13にはそれぞれ駆動プーリ14が一体的に設けられている。
【0023】
図2に示すように、各一対の駆動プーリ14にはステンレス鋼などの金属帯からなる動力伝達条体としてのベルト15の両端部がそれぞれ巻回されている。上記ベルト15の中途部は図2に示すように上記ガイドレール4の上側と下側の通路4dに挿通され、中途部は図3に示すように上記ガイドレール4の一端部を支持した架台6に支軸16aによって回転自在に設けられたローラ16に掛けられている。
【0024】
上記駆動源12が作動して各一対の歯車13が逆方向に駆動されると、上記ベルト15は一方の歯車13の駆動プーリ14から繰り出され、他方の歯車13の駆動プーリ14に巻き取られる。それによって、上記ベルト15は上記通路4dに沿って走行駆動される。
【0025】
たとえば、図2において、一方の駆動プーリ14が矢印X方向、他方の駆動プーリ14がY方向に回転させられると、ベルト15の上側の通路4dに通された部分は矢印Zで示す方向に走行駆動されるようになっている。
【0026】
図1に示すように、上記ケース11内には上記ベルト15を一定の走行範囲内で往復駆動させる走行範囲検出機構17が設けられている。この走行範囲検出機構17は、詳細は図示しないが、たとえばベルト15の走行距離を駆動プーリ14の回転数などで検出し、その検出信号で上記駆動源12による歯車13の回転方向を変換する。それによって、上記ベルト15を一定の走行範囲内で往復駆動することができるようになっている。
【0027】
上記一対のガイドレール4間には、図1に示すように第1の保持体21aと第2の保持体21bとが設けられている。各保持体21a、21bは図3に示すように中空状の支軸22を備えている。この支軸22の両端部はサポート23に形成された取り付け孔24に着脱自在に嵌着されている。上記支軸22にはねじ軸25が挿通されている。このねじ軸25の両端部は上記サポート23の外面側に突出し、そこにはナット26が螺着されている。
【0028】
上記サポート23の下端部両側には上述した一対の上記車輪27(図6に示す)が支軸27aによって回転自在に設けられている。上記車輪27は上述したごとく上記ガイドレール4のガイド面4eを走行するようになっている。
【0029】
図6に示すように、上記サポート23の上部外面にはワイヤ30の両端部がねじ31によって固定されている。このワイヤ30の中途部は上記ベルト15の上面に固着された一対の取り付け部材34に連結固定されている。それによって、上記ワイヤ30は上記取り付け部材34を介して上記各保持体21a、21bを上記ベルト15の走行に連動させるようになっている。つまり、各保持体21a、21bは図1に実線で示す位置から鎖線で示す位置の範囲で往復駆動されるようになっている。
【0030】
上記保持体21a、21bの支軸22には図1と図3に示すように、4つの主マッサージローラ35がカラー36を介して回転自在に保持されている。各マッサージローラ35の外周面には半球形状の複数の突起35aが周方向に所定間隔で突設されている。
【0031】
図1と図2に示すように、一対のガイドレール4の上記駆動装置10側に位置する一端部にはベルト15の張力を制御する張力調整機構38が設けられている。この張力調整機構38は、詳細は図示しないが、図1に矢印Aで示す方向に加わるベルト15の張力によって圧縮されるばね39を有する。
【0032】
上記ベルト15が伸びるなどしてたるみが生じると、上記張力調整機構38はばね39の復元力によって上記ガイドレール4を矢印Aと逆方向にスライドさせる。それによって、上記ベルト15に生じたたるみを除去できるようになっている。
【0033】
上記基体1の長手方向一端部の上面で、上記ガイドレール4の架台6によって上方に湾曲されて支持された部分には帯板状の取り付け部材41が幅方向に沿って設けられている。この取り付け部材41は上記基体1に固定され、長手方向両端にはそれぞれ揺動アーム42の一端部がピン43によって枢着されている。
【0034】
上記揺動アーム42の他端は図10に示すようにL字状の折り曲げ部44が形成されていて、この折り曲げ部44の一辺には図7に示すようにねじ軸45の一端がナット46によって固定されている。
【0035】
上記ねじ軸45には厚肉スペーサ47aを挟んで一対の薄肉スペーサ47bが設けられている。これらスペーサ47a,47bは上記ねじ軸45の他端に螺合された袋ナット48によって抜出不能に保持されている。一対の薄肉スペーサ47bには樹脂製の保持具49が回転可能に装着されている。各保持具49には肩用マッサージローラ51が保持されている。つまり、1つの揺動アーム42に2つの肩用マッサージローラ51が設けられている。
【0036】
なお、図4に示すように、各揺動アーム42の取り付け部材41に枢着された一端は一対のガイドレール4の外側に位置し、肩用マッサージローラ51が設けられた他端は内側に位置している。
【0037】
上記構成の一対の揺動アーム42は、取り付け部材41にピン43によって枢着された一端部を支点として揺動駆動機構53により揺動駆動されるようになっている。この揺動駆動機構53は図4と図5に示すように動力伝達軸54を有する。この動力伝達軸54は駆動軸部54aと従動軸部54bとに分割されていて、駆動軸部54aの回転は継ぎ手機構55によって後述するように従動軸部54bに伝達される。
【0038】
図8に示すように上記継ぎ手機構55は、駆動軸部54aの一端部の外周面に突設された伝達ピン56と、円筒状の部材の一端部を半円筒部57aとし、残りの円筒部を上記従動軸部54bの一端部に外嵌固定して設けられた伝動部材57とによって構成されている。
【0039】
そして、上記駆動軸部54aの一端部は上記伝動部材57の円筒部分に挿入される。それによって、上記駆動軸54aが回転すると、上記伝達ピン56が上記半円筒部57aの端面に当たって上記駆動軸部54aの回転を上記従動軸部54bに伝達するようになっている。
【0040】
上記継ぎ手機構55によって互いの一端部が連結された駆動軸部54aと従動軸部54bとの中途部はそれぞれ軸受58によって回転可能に支持され、他端部には円盤59がそれぞれ取り付けられている。
【0041】
各円盤59の偏心位置には連結孔61が形成されている。各連結孔61にはピン62が嵌合され、そのピン62には連動アーム63の一端が回動可能に連結されている。この連動アーム63の他端は防振ゴムなどの弾性部材64を介して上記揺動アーム42の他端に連結固定されている。
【0042】
図4と図5に示すように、上記基体1の上記駆動軸部54aの近くには、この駆動軸部54aと軸線を平行にして動力伝達軸67が配置されている。この動力伝達軸67は一対の軸受68によって回転可能に支持されて設けられている。
【0043】
上記動力伝達軸67の一端部には歯付きの駆動プーリ69が設けられ、他端には従動歯車71が設けられている。上記駆動プーリ69と従動プーリ66とには歯付きベルト72が張設されている。上記従動歯車71はモータと減速機とが一体化された揺動駆動源73の図示しない出力軸に嵌着された駆動歯車75に噛合している。
【0044】
それによって、上記揺動駆動源73が作動して駆動歯車75が回転駆動されると、その回転が歯付きベルト72及び従動歯車71を介して動力伝達軸54の駆動軸部54aに伝達される。駆動軸部54aが回転すれば、その回転は継ぎ手機構55を介して従動軸部54bに伝達されるようになっている。
【0045】
駆動軸部54aと従動軸部54bが回転すれば、その回転に連動する一対の円盤59の偏心位置に一端が連結された連動アーム63が往復運動するから、その往復運動によって一対の揺動アーム42が取り付け部材41に連結された一端部を支点として肩用マッサージローラ51が設けられた他端部が揺動運動するようになっている。
【0046】
なお、連動アーム63が往復運動する際、円盤59に連結された一端は水平運動とともに垂直運動する。しかしながら、この連動アーム63の他端は弾性部材64を介して揺動アーム42に連結されているから、上記弾性部材64が弾性変形して上記連動アーム63の水平方向及び垂直方向の動きを吸収して揺動アーム42に伝達することができる。つまり、連動アーム63はクランク運動をするが、揺動アーム42を水平方向に揺動させることができる。
【0047】
図示しないリモートコントローラによって上記揺動駆動源73による上記駆動歯車75の回転方向を、手動で、或いは自動で所定時間毎に正転方向と逆転方向とに切り換えることができる。それによって、上記駆動軸部54aの回転方向が切り換わる。
【0048】
上記駆動軸部54aの回転は継ぎ手機構55を介して従動軸部54bに伝達される。継ぎ手機構55は伝達ピン56と半円筒部57aを有する伝動部材57とからなる。図4と図5に示すように伝達ピン56が半円筒部57aの上下一対の端面のうちの上側の端面57bに当たっている状態で駆動軸部57aが図8に矢印で示す時計方向に回転駆動されると、この駆動軸部57aが180度回転して半円筒部57aの下側の端面57cに当接するまでは従動軸部57bは駆動軸部57aの回転に連動せずに待機する。
【0049】
また、駆動軸部57aの回転方向が時計方向から反時計方向に変換されたときも、同様に、駆動軸部57aが180度回転するまでは従動軸部57bは回転せずに待機し、それから連動して回転する。
【0050】
したがって、左右一対の揺動アーム42のうち、駆動軸部54a側の一方の揺動アーム42は揺動駆動源73の出力軸74の回転方向が切り換わると、揺動位置を図5に実線で示す位置から鎖線で示す位置或いはその逆の位置に変えてから従動軸部54b側の他方の揺動アーム42と連動して揺動するようになっている。
【0051】
つまり、一対の揺動アーム42は図5に実線で示すように揺動の位相が同じ状態で揺動駆動したり、一方が実線で、他方が鎖線の位置になるよう揺動の位相をずらした状態で揺動駆動することができるようになっている。
【0052】
上記駆動装置10によって基体1の長手方向に対して往復駆動される第1の保持体21aが揺動アーム42に接近する位置である、基体1の長手方向他端部に駆動され、そのことが走行範囲検出機構17によって検出されると、上記揺動駆動機構53の揺動駆動源73による上記揺動アーム42の揺動駆動が停止されるようになっている。
【0053】
上記肩用マッサージローラ51は、基体1のガイドレール4を架台6によって上方に屈曲させて支持した部分に設けられている。そのため、主マッサージローラ35が揺動アーム42に設けられた肩用マッサージローラ51に近づくと、図6に示すように主マッサージローラ35が設けられた第1の保持体21aが上方へ変位しながらガイドレール4を走行する。したがって、第1の保持体21aに設けられた主マッサージローラ35が肩用マッサージローラ51に干渉するのを防止することができる。
【0054】
すなわち、第1の保持体21aが利用者の肩の部分に駆動されてきたときには、主マッサージローラ35によって利用者の肩の部分をマッサージするから、肩用マッサージローラ51は揺動駆動が停止される。
【0055】
図1と図3に示すように、上記基体1の上面の、一対のガイドレール4の外側にはウレタンフォームなどの発泡弾性材77が設けられている。さらに、上記基体1の上面側及び下面側は、図3に示すように伸縮性の布地からなるカバー78によって覆われている。このカバー78には張力が付与されている。それによって、カバー78の内面には各保持体21a、21bに設けられた主マッサージローラ35に接触している。
【0056】
このように構成されたマッサージ装置によって利用者がマッサージを受ける場合、利用者は基体1の上面のカバー78上に仰臥する。その状態で、一対の保持体21a,21bを基体1の長手方向に沿って往復駆動するとともに、揺動駆動機構53の揺動駆動源73を作動させる。
【0057】
一対の保持体21a,21bを往復駆動すると、各保持体21a,21bに設けられた主マッサージローラ35によって利用者の背面が全体にわたってマッサージされる。それと同時に、揺動駆動機構53が作動して肩用マッサージローラ51が設けられた揺動アーム42が揺動運動する。
【0058】
したがって、利用者は背面に主マッサージローラ35によるマッサージを受けながら、肩の部分には肩用マッサージローラ51によってマッサージを受けることができるから、とくに肩の凝りやすい利用者にとっては有効なマッサージ効果を得ることができる。
【0059】
第1の保持体21aが肩用マッサージローラ51に近付いてくると、この第1の保持体21aはガイドレール4の架台6によって上方に屈曲支持された部分を走行する。しかも、第1の保持体21aが近付くと、揺動駆動機構53は停止し、利用者の肩の部分は主マッサージローラ35によってマッサージされる。
【0060】
そのため、肩用マッサージローラ51が第1の保持体21aに設けられた主マッサージローラ35に干渉することがないから、基体1に肩用マッサージローラ51を設けても、上記第1の保持体21aを円滑に往復走行させることができる。また、利用者の肩の部分のマッサージは第1の保持体21aの主マッサージローラ35によって継続される。
【0061】
肩用マッサージローラ51が設けられた左右一対の揺動アーム42は継ぎ手機構55によって連動する。この継ぎ手機構55は、分割された動力伝達軸54の駆動軸部54aの回転を従動軸部54bに伝達する。
【0062】
駆動軸部54aの回転方向は変換可能である。駆動軸部54aの回転方向を変換すると、この駆動軸部54aが180度回転し、この駆動軸部54aの端部に設けられた伝達ピン56が従動軸部54bの端部に設けられた伝動部材57の半円筒部57aの一対の端面57b,57cのどちらか一方から他方に当たることで連動するようになっている。
【0063】
そのため、駆動軸部54aの回転方向が変換されたとき、一対の揺動アーム42のうち、駆動軸部54a側の揺動アーム42の揺動位置だけが図5に実線で示す位置と鎖線で示す位置とのどちらか一方から他方へ変位することになる。
【0064】
したがって、一対の揺動アーム42は駆動軸部54aの回転方向が切り換わるごとに、駆動軸部54a側の揺動アーム42が従動軸部54b側の揺動アーム42に対して揺動の位相をずらした状態や同じ状態で一体的に揺動する。
【0065】
つまり、駆動軸部54aの回転方向を変換することで、利用者の肩の部分に与えるマッサージの状態を変化させることができるから、その変化によって利用者が肩部に受けるマッサージ効果を向上させることができる。
【0066】
肩用マッサージローラ51が設けられた揺動アーム42は、動力伝達軸54の駆動軸部54aと従動軸部54bとの回転運動を連動アーム63の往復運動に変換して伝達されることで揺動運動する。
【0067】
上記連動アーム63は弾性部材64を介して揺動アーム42に連結されている。そのため、上記弾性部材64は駆動軸部54aと従動軸部54bとの回転運動によって図9(a),(b)に示すように上記連動アーム63に生じる上下左右方向の動きを弾性変形によって吸収し、直線運動だけを伝達する。したがって、動力伝達軸54は上記揺動アーム42を確実に揺動運動させることができる。
【0068】
上記一実施の形態では基体に2つの保持体を設けたマッサージ装置を例に挙げて説明したが、保持体は1つであっても差し支えない。また、揺動アームに設けられる肩用マッサージローラの数は2つでなく1つ或いは3つ以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の一実施の形態を示すマッサージ装置のカバーを除去した平面図。
【図2】マッサージ装置の側断面図。
【図3】基体及びマッサージローラが設けられた保持体の断面図。
【図4】基体の肩用マッサージローラが設けられた一端部を示す平面図。
【図5】肩用マッサージローラ及び揺動駆動機構を示す平面図。
【図6】ガイドレールが上方に屈曲された部分の側面図。
【図7】(a)は肩用マッサージローラの取付け構造を示す断面図、(b)は同じく側面図。
【図8】継ぎ手機構を示す分解斜視図。
【図9】(a),(b)は動力伝達軸が180度回転するときの連動アームの動きを示す説明図。
【図10】揺動アームの斜視図。
【符号の説明】
【0070】
1…基体、4…ガイドレール、21a,21b…保持体、35…主マッサージローラ、42…揺動アーム、51…肩用マッサージローラ、53…揺動駆動機構、54…動力伝達軸、54a…駆動軸部、54b…従動軸部、55…継ぎ手機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
この基体の上面の長手方向に沿って設けられたガイドレールと、
このガイドレールに沿って往復駆動可能に設けられ上記基体上に仰臥した利用者の背面をマッサージする主マッサージローラと、
上記基体の長手方向一端部に設けられ上記利用者の肩の部分をマッサージする肩用マッサージローラと
を具備したことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
上記肩用マッサージローラは上記基体の上面に設けられ、
上記ガイドローラは上記基体の長手方向一端部で上方に向かって傾斜した傾斜部に形成されていて、上記主マッサージローラが上記傾斜部に沿って走行することで、上記肩用マッサージローラと干渉するのが阻止されていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項3】
上記基体の長手方向一端部の上面に幅方向に沿って設けられた取り付け部材と、
この取り付け部材の両端部に一端を枢着し他端に上記肩用マッサージローラが設けられた一対の揺動アームと、
一対の揺動アームを一端を支点として揺動させる揺動駆動機構と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項4】
上記揺動駆動機構は、駆動軸部と従動軸部とに分割された動力伝達軸と、
上記駆動軸部を正転方向と逆転方向とに交互に回転駆動する駆動源と、
上記駆動軸部と従動軸部との一端部に設けられ上記駆動軸部の回転に上記従動軸部を連動させるとともに、上記駆動軸部が正転方向と逆転方向とのどちらか一方の回転から他方の方向に回転方向を変換するときに上記駆動軸部が180度回転してから上記従動軸部を連動させる継ぎ手機構と、
上記駆動軸部と従動軸部との他端部の偏心位置にそれぞれ一端を枢着して設けられ他端が上記揺動アームの他端部に弾性部材を介して枢着された一対の連動アームと
を具備したことを特徴とする請求項3記載のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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