マッサージ装置
【要 約】
【課 題】 従来のマッサージ装置は、施療部位の筋肉側において適切な圧迫力を加えることができず、施療部位の血液を心臓に向けて送り返して施療部位の血流を良好にさせるマッサージ効果が十分得られないものである。
【解決手段】 一端を固定端、他端を自由端とする一対の形状記憶合金体部から形成され、巻装方向に対して所定の角度をもってその各固定端が中央側、各自由端が両端側に位置するよう配設されるアクチュエータと、同アクチュエータの両端部間に介装されることでアクチュエータと共に身体の施療部位X周囲に巻装させる環状の施療帯Aを構成する弾性シート6a、6bと、前記形状記憶合金体部への通電を制御して加熱期間と冷却期間とを交互に繰り返すことで形状記憶合金体部を変態させ前記アクチュエータの両端部を中央部に対して伸縮させる駆動制御部とを備えて構成する。
【課 題】 従来のマッサージ装置は、施療部位の筋肉側において適切な圧迫力を加えることができず、施療部位の血液を心臓に向けて送り返して施療部位の血流を良好にさせるマッサージ効果が十分得られないものである。
【解決手段】 一端を固定端、他端を自由端とする一対の形状記憶合金体部から形成され、巻装方向に対して所定の角度をもってその各固定端が中央側、各自由端が両端側に位置するよう配設されるアクチュエータと、同アクチュエータの両端部間に介装されることでアクチュエータと共に身体の施療部位X周囲に巻装させる環状の施療帯Aを構成する弾性シート6a、6bと、前記形状記憶合金体部への通電を制御して加熱期間と冷却期間とを交互に繰り返すことで形状記憶合金体部を変態させ前記アクチュエータの両端部を中央部に対して伸縮させる駆動制御部とを備えて構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ装置に関し、特に形状記憶合金体の変態を用いたマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなマッサージ装置は、形状記憶合金体のマルテンサイト変態、オーステナイト変態による伸縮力を利用して身体のマッサージを行うもので、例えば本出願人にて出願され、特開2002−48053号公報として開示されたものが知られている。(特許文献1参照)。
【0003】
このマッサージ装置は、図11に示したように、メッシュ状にした形状記憶合金101をメッシュ体とし、複数を複合させたメッシュ状の形状記憶合金アクチュエータ100を人体の脚等に巻き付け、温度制御部(図示せず)より直流を通電しジュール熱により加熱を図り、記憶した形状に急激に戻る際の超弾性作用を利用したアクチュエータとしての形状記憶合金101の伸縮力を圧迫マッサージの圧迫力又はその一部に用いるものである。このような構成によれば、従来のエアセルにより圧迫マッサージをおこなうものと比べ、小型(薄型)・軽量で装着時に人が負担を感じないマッサージ機器を提供することができる。
【特許文献1】特開2002−48053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べた従来のマッサージ装置では、形状記憶合金体が硬い金属であり、脚部等、身体の施療部位を包み込むように装着したときに、形状記憶合金体の伸縮力による圧迫マッサージの圧迫力を施療部位全周に亘って均一に加えることとなる。その結果、施療部位の筋肉側において適切な圧迫力を加えることができず、施療部位の血液を心臓に向けて送り返して施療部位の血流を良好にさせるマッサージ効果が十分得られないものであった。
【0005】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、形状記憶合金体をアクチュエータとして用いたマッサージ装置において、施療部位に均一な圧力を加えて効率良く血液を心臓へ送り返すことができるマッサージ装置を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために、一端を固定端、他端を自由端とする一対の形状記憶合金体部から形成され、巻装方向に対して所定の角度をもってその各固定端が中央側、各自由端が両端側に位置するよう配設されるアクチュエータと、同アクチュエータの両端部間に介装されることでアクチュエータと共に身体の施療部位周囲に巻装させる環状の施療帯を構成する弾性シートと、前記形状記憶合金体部への通電を制御して加熱期間と冷却期間とを交互に繰り返すことで形状記憶合金体部を変態させ前記アクチュエータの両端部を中央部に対して伸縮させる駆動制御部とを備えたものである。
【0007】
また、第2の課題解決手段としては、前記弾性シートが、前記アクチュエータの両端部間を分離自在に介在連結する連結手段を備えているのが好ましい。
【0008】
また、第3の課題解決手段としては、前記アクチュエータが、施療部位側に位置させる柔軟性シートと同柔軟性シートの表面側に配せられた前記形状記憶合金体部とで構成されているのが好ましい。
【0009】
また、第4の課題解決手段としては、複数の施療帯を前記施療部位の周囲に心臓方向に向けて並行巻装し、駆動制御部にてアクチュエータの形状記憶合金体部の収縮が心臓側から最も遠い位置の施療帯から順次心臓に近い位置の施療帯に向けて変化し発現されるよう成すのが好ましい。
【0010】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、弾性シートを身体の施療部位の筋肉側に配し、形状記憶合金体部からなるアクチュエータを骨側に配して施療帯を巻装させ、駆動制御部がアクチュエータの形状記憶合金体部への通電を制御し加熱期間と冷却期間とを交互に繰り返すことで当該形状記憶合金体部を変態させることにて、一端を固定端、他端を自由端とする2組の形状記憶合金体部から形成されてその各固定端が中央側及び各自由端が両端側に位置して巻装方向に対して所定の角度をもって配設されるアクチュエータ両端部が中央部に対して伸縮されてねじれ変位し、形状記憶合金体部の収縮時に弾性シートを介して筋肉側にひねり圧迫を加えて全体的に均一な力で圧迫することができ、そのため血流を心臓側に送り返す効果が高く、血流を良くするマッサージ効果が得られる。
【0011】
また、第2の課題解決手段による作用は、弾性シートが、前記アクチュエータの両端部間を分離自在に介在連結する連結手段を備えるよう構成させた結果、上肢や下肢の施療部位に対して簡単に着脱することができ、使い易さが向上する。
【0012】
また、第3の課題解決手段による作用は、アクチュエータが、施療部位側に位置させる柔軟性シートと同柔軟性シートの表面側に配せられた前記形状記憶合金体部とで構成させた結果、直接形状記憶合金体部が身体に接触することがなく、そのため不快な電気刺激を身体に与えることがなく、その上形状記憶合金体部の伸縮時に施療部位に加わる力を適度に均一化することができ、使用時に痛みを使用者に感じさせることがない。
【0013】
また、第4の課題解決手段による作用は、心臓から遠い位置の施療部位から心臓に近い位置の施療部位へ順次圧迫する力を加えることで、血流を効率良く心臓へ送ることができる。
【発明の効果】
【0014】
上述したように本発明のマッサージ装置は、弾性シートを身体の施療部位の筋肉側に配し、形状記憶合金体部からなるアクチュエータを骨側に配して施療帯を巻装することで、形状記憶合金体部の収縮時に弾性シートを介して筋肉側にひねり圧迫を加えて全体的に均一な力で圧迫することができ、そのため血流を心臓側に送り返す効果が高く、血流を良くするマッサージ効果が得られ、しかもアクチュエータ側を施療部位の筋肉側に配し、弾性シート側を骨側に配すれば、形状記憶合金体部の硬さにより、筋肉側を圧迫する力が部位によってばらつきが生じ、このこのばらつきの分布が施療部位に与える刺激に変化をもたらせ、刺激によるマッサージ効果に対して有効に働くという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0016】
本発明のマッサージ装置は、図1のように帯状の柔軟性シート1と、この柔軟性シート1の両端の表面部に移動自在に配設した可動電極部2a、2bと、中央部に一定間隔を開けて可動電極部2a、2bと並行するよう固定配設した固定電極部3a、3bと、可動電極部2a、2bの各電極21と対応する固定電極部3a、3bに設けた各電極31との間に所定の角度をもって斜めに橋絡配設した複数の形状記憶合金体4により構成され、対称的に配置された2組の形状記憶合金体部からなるアクチュエータと、両固定電極部3a、3bの各基体32に両端が支持され柔軟性シート1との間に空間を持つように配設された強制冷却用ファン装置5と、可動電極部2a、2bの基体22にそれぞれ一端が連結された弾性シート6a、6bとで1組の施療帯Aを構成し、この施療帯Aは、施療対象となる上肢や下肢の長さに合わせるために、後述するように複数用いるようになっている。
【0017】
一方、各施療帯Aの強制冷却用ファン装置5に電源を供給する電源部と、アクチュエータを構成する形状記憶合金体4…に対する通電を制御することで形状記憶合金体4…を加熱する加熱期間と冷却期間とを交互に作り出して、形状記憶合金体4…を伸縮させる制御回路7(図3参照)等を備えた駆動制御部たるコントローラBが外付けされる。
【0018】
次に各構成要素について詳説する。
【0019】
まず、可動電極部2a、2bは、絶縁体からなる基体22に、互いに電気的に接続された対の電極21、21を2対備えている。一方固定電極部3a、3bは、両側(図において上端と、下端)に一つの電極31を設け、この両側の電極31の間に互いに電気的に接続された対の電極31、31を1対備えている。また図において強制冷却用ファン装置5を挟んで隣接する固定電極部3a、3bの図において上端の電極31同士はケーブル12で接続してある。従って斜めに各々対向する電極21、31間に橋絡する各形状記憶合金体4…は電気的に直列接続されることになり、この直列回路の両端が図において強制冷却用ファン装置5を挟んで隣接する下端の電極31、31となり、この電極31、31間にコントローラBから加熱(自己発熱)用のPWM制御された電圧がケーブル13、13を介して印加されることで、形状記憶合金体4…の直列回路に通電電流が流れることになる。
【0020】
ここで各形状記憶合金体4は、図1の場合、図2(a)に示すように極めて小さな線径(例えば0.2mm)の形状記憶合金体線を極めて小さい直径(例えば0.8mm)のコイル状に巻回して形成されたもので、一端を可動電極部2a又は2bの電極21に、他端を固定電極部3a又は3bの電極31に電気的且つ機械的に接合することで電極21、31間に橋絡される。形状記憶合金体4の形状としてはコイル状以外に、同図(b)に示すように線状の形状記憶合金体をメッシュ状に編んだものや、同図(c)に示すように波状に曲げて配設したものでも良い。
【0021】
柔軟性シート1は、ポリプロピレンや塩化ビニルなど成形加工が可能なシート材から形成され、可動電極部2a、2bが柔軟性シート1上を移動する際の移動摩擦を軽減するようになっている。なお、柔軟性シート1に当接する可動電極部2a、2bの基体22の面を曲面とすることで、移動摩擦を更に軽減することができる。
【0022】
弾性シート6a、6bは、上肢や下肢に形状記憶合金体4…に予歪を与えつつ施療帯Aを巻き付けて固定するための締結部を構成するもので、一方の弾性シート6a又は6b側には面状ファスナーの雄側部材8aを、また他方の弾性シート6b又は6aには雄側部材8aに分離自在に連結される雌側部材8bを設けてある。また弾性シート6a、6b自体はアクチュエータ側の伸縮に伴って伸縮できる弾性を布地若しくは樹脂シートにより形成されている。
【0023】
コントローラBの制御回路7は、図3に示すように、施療帯Aの形状記憶合金体4の近傍に設けられ形状記憶合金体4の温度を検知するための温度センサ70と、コントローラBに内蔵され、使用環境の温度を検知する環境温度検知用温度センサ71と、予め環境温度と形状記憶合金体4に供給する投入電力値との関係を示すデータからなるデータベース72と、温度センサ71の検知温度に基づいてデータベース72から目標となる電力値を設定する目標電力値設定部73と、形状記憶合金体4…の直列回路と直流電源部+Eとの間に挿入され形状記憶合金体4…の通電をオン・オフするためのスイッチング素子SWからなる電流アンプ部74と、前記目標電力値に対応したPWM信号のデュティ比を予め設定し、このデュティ比で設定されたPWM信号を電流アンプ部74のスイッチング素子SWのゲートに加えてスイッチング素子SWのスイッチング動作を制御し、スイッチング素子SWを介して形状記憶合金体4…の直列回路に印加する加熱用電圧をPWM制御することにより投入電力(通電電流)を制御するともに、PWM制御された電圧によって通電される期間(加熱期間)を一定周期で設定するPWM制御部75とからなる。
【0024】
なお、PWM制御部75には温度センサ70の検知温度が形状記憶合金体4の温度が形状記憶合金体4のオーステナイト変態点の温度を越えたことを検知すると、検知温度が変態点の温度(目標温度)付近で維持されるように目標電力値を変更設定機能と、後述する下肢用(或いは上肢用)の複数の施療帯A1〜A4の形状記憶合金体4…に対する逐次通電制御機能とを備えている。
【0025】
以下、上記構成の動作を説明する。
【0026】
例えば施療部位Xたる下肢に対してマッサージを行おうとした場合には、図4(a)に示すように4つの施療帯A1〜A4を下肢の足首付近から膝付近までの間に順次巻き付ける。この巻き付けに当たり下肢の筋肉側に形状記憶合金体4…を、弾性シート6a、6bを骨側に配置する。このとき弾性シート6a、6bの面状ファスナーの重ね代を巻き付ける施療部位Xの太さに合わせて調節する。図5(a)は弾性シート6a、6bを連結していない状態の施療帯Aの斜視図を、図5(b)は弾性シート6a、6bを連結して環状とした施療帯Aの斜視図を示す。
【0027】
そしてこの後図4(b)に示すカバー91〜94を必要に応じて用い、対応する施療帯A1〜A4の形状記憶合金体4…及び強制冷却用ファン装置5の配置部位を覆う。
【0028】
次にコントローラBの電源をオンして制御動作を開始させると、制御回路7の目標電力値設定部73は温度センサ71の検知温度を取り込み、その検知温度に対応する投入する目標電力値をデータベース72から抽出し、PWM制御部75に出力する。PWM制御部75は受け取った目標電力値に対応するデュティ比からなるPWM信号を生成する。図6(a)はデータベース72に登録されている環境温度と投入電力目標値との関係を示す。
【0029】
このPWM信号は、まず施療部位Xである下肢の最も下に巻く付けてある施療帯A1の形状記憶合金体4…の通電をスイッチングする電流アンプ部74のスイッチング素子SWのゲートに出力して、スイッチング素子SWを駆動する。
【0030】
これにより施療帯A1の形状記憶合金体4…には図6(b)に示すようにPWM制御された電圧が印加されて通電が制御され所定の電力が供給されることになる。これにより形状記憶合金体4…は自己加熱して温度上昇する。図6(c)は温度センサ70が検知する当該形状記憶合金体4…の温度変化を示す。
【0031】
さて形状記憶合金体4…の温度がオーステナイト変態点に対応する温度以上に達すると、形状記憶合金体4は変態収縮することになる。この収縮により固定電極部3a、3b側へ巻装方向に対して所定の角度をもって配設される可動電極部2a、2bが柔軟性シート1上をねじれ変位して移動する形となり、そのため弾性シート6a、6bが引っ張られ、形状記憶合金体4…の収縮前(図7(a))の状態から対応する施療部位X、特に筋肉部位を弾性シート6a、6bがひねり圧迫するように施療帯A1の全体が縮径することになる(図7(b))。
【0032】
この状態を一定時間T1の間保持されるようにPWM制御部75は当該施療帯A1に対するPWM制御による通電を継続する(図8(d))。一方通電開始時点t0からから0.5〜1秒程度経過した時点t1で施療帯A2のアクチュエータの形状記憶合金体4に対応したスイッチング素子SWに対するPWM制御を開始する(図8(c))。これにより施療帯A2のアクチュエータの形状記憶合金体4も上述と同様に収縮し、対応する施療部位を圧迫することになる。このようにして最下段の施療帯A1の形状記憶合金体4…から最上段の施療帯A4の形状記憶合金体4に対する通電を切り替えて図8(d)〜(a)に示すようにそれぞれ一定時間T1の間行うことで、心臓に最も遠い位置から心臓に近い方に向けて血流を効率良くポンプアップすることができ、マッサージ効果が増大する。この効果が所謂ミルキング効果である。
【0033】
図9(a)〜(d)は各施療帯A1〜A4における身体圧迫の遷移パターンを示している。(a)は非通電時、(b)は施療帯A1の圧迫動作から施療帯A2への圧迫動作への移行時を、(c)は施療帯A2の圧迫動作から施療帯A3への圧迫動作への移行時を、更に(d)は施療帯A3の圧迫動作から施療帯A4への圧迫動作への移行時を示している。
【0034】
各施療帯A1〜A4においてアクチュエータの形状記憶合金体4に対する通電が止まると、それぞれの形状記憶合金体4を冷却してその温度をマルテンサイト変態点の温度以下にし、そのスプリング形状による弾発力により伸びた態に戻す冷却期間を設定することになるが、本実施形態では温度を速やかに低下させるために、コントローラBは形状記憶合金体4に対する通電を停止した施療帯A1〜A4の強制冷却用ファン装置5に通電を行って形状記憶合金体4と柔軟性シート1との間に図7(a)の矢印で示すように送風して形状記憶合金体4の放熱を促し、速やかに伸びた状態に戻すのである。
【0035】
以上のようにして施療帯A1の形状記憶合金体4…からA4の施療帯A1の形状記憶合金体4…に対する逐次通電は、一定時間(0〜10秒)T2間隔でサイクリックに繰り返すことで、加熱期間と冷却期間とが交互に繰り返されマッサージ効果を高めることになる。なお、この一定時間間隔を変化させることでマッサージ効果の一つであるもみ効果を変化させることができる。また上記施療帯A1〜A4の身体部位への巻き付け装着時において、筋肉側にアクチュエータの形状記憶合金体4…を、骨側に弾性シート6a、6bを配置した場合には、形状記憶合金体4が硬い金属のために、筋肉に与える圧力が不均一となって圧力分布が生じ、血流の心臓側にポンプアップする効果は低下するものの、圧力分布の変化によよるマッサージ効果を得ることができる。
【0036】
ところで、本実施形態のコントローラBのPWM制御部75は上記の形状記憶合金体4…に対する通電加熱時に温度センサ70が検知する温度が形状記憶合金体4のオーステナイト変態点の変態温度よりも高い温度となった場合には目標電力値を低下させ、それに対応したデュティ比を持つPWM信号を生成し、図6(c)に示すように形状記憶合金体4…の温度を所定温度に保持するようにフィードバック制御し、形状記憶合金体4…の温度が過大温度となって劣化するを防止するようになっている。
【0037】
なお、本発明は上記各実施形態の構成に限定されない。例えば、強制冷却用ファン装置5を設けず、形状記憶合金体4…と柔軟性シート1との間の空間を介して自然対流により形状記憶合金体4…を冷却するようにしても良く、この場合、図10に示すように、可動電極部2a、2bに対する固定電極部を一つの電極部30で共用することができるなど、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の、マッサージ装置の一施療帯の展開状態の正面図である。
【図2】同マッサージ装置に用いる形状記憶合金体を示し、(a)はその一例の斜視図、(b)は別の例の一部省略せる正面図、(c)は他の例の一部省略せる正面図である。
【図3】同マッサージ装置に用いるコントローラの制御回路の構成図である。
【図4】(a)は同マッサージ装置の各施療帯を施療部位に巻装した状態の斜視図、(b)は各施療帯の表面側を覆うカバーの斜視図である。
【図5】同マッサージ装置の一施療帯を示し、(a)は弾性シートの非連結状態の斜視図、(b)は弾性シートの連結状態の斜視図である。
【図6】(a)は同マッサージ装置の制御回路に用いるデータベースのデータ内容の説明図、(b)は同マッサージ装置の施療帯の形状記憶合金体に印加する電圧の波形図、(c)は同マッサージ装置の施療帯の形状記憶合金体の温度制御の説明図である。
【図7】同マッサージ装置の施療部位に巻装した一施療帯の状態を示す図であって、(a)は形状記憶合金体の伸張時の使用状態図、(b)は形状記憶合金体の収縮時の使用状態図である。
【図8】同マッサージ装置の動作説明用タイミングチャートである。
【図9】同マッサージ装置の施療部位に対する各施療帯の圧迫の遷移パターン図である。
【図10】同マッサージ装置の別の例を示す使用状態図である。
【図11】従来のマッサージ装置の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
A 施療帯
B コントローラ(駆動制御部)
1 柔軟性シート
4 形状記憶合金体
6a、6b 弾性シート
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ装置に関し、特に形状記憶合金体の変態を用いたマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなマッサージ装置は、形状記憶合金体のマルテンサイト変態、オーステナイト変態による伸縮力を利用して身体のマッサージを行うもので、例えば本出願人にて出願され、特開2002−48053号公報として開示されたものが知られている。(特許文献1参照)。
【0003】
このマッサージ装置は、図11に示したように、メッシュ状にした形状記憶合金101をメッシュ体とし、複数を複合させたメッシュ状の形状記憶合金アクチュエータ100を人体の脚等に巻き付け、温度制御部(図示せず)より直流を通電しジュール熱により加熱を図り、記憶した形状に急激に戻る際の超弾性作用を利用したアクチュエータとしての形状記憶合金101の伸縮力を圧迫マッサージの圧迫力又はその一部に用いるものである。このような構成によれば、従来のエアセルにより圧迫マッサージをおこなうものと比べ、小型(薄型)・軽量で装着時に人が負担を感じないマッサージ機器を提供することができる。
【特許文献1】特開2002−48053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べた従来のマッサージ装置では、形状記憶合金体が硬い金属であり、脚部等、身体の施療部位を包み込むように装着したときに、形状記憶合金体の伸縮力による圧迫マッサージの圧迫力を施療部位全周に亘って均一に加えることとなる。その結果、施療部位の筋肉側において適切な圧迫力を加えることができず、施療部位の血液を心臓に向けて送り返して施療部位の血流を良好にさせるマッサージ効果が十分得られないものであった。
【0005】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、形状記憶合金体をアクチュエータとして用いたマッサージ装置において、施療部位に均一な圧力を加えて効率良く血液を心臓へ送り返すことができるマッサージ装置を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために、一端を固定端、他端を自由端とする一対の形状記憶合金体部から形成され、巻装方向に対して所定の角度をもってその各固定端が中央側、各自由端が両端側に位置するよう配設されるアクチュエータと、同アクチュエータの両端部間に介装されることでアクチュエータと共に身体の施療部位周囲に巻装させる環状の施療帯を構成する弾性シートと、前記形状記憶合金体部への通電を制御して加熱期間と冷却期間とを交互に繰り返すことで形状記憶合金体部を変態させ前記アクチュエータの両端部を中央部に対して伸縮させる駆動制御部とを備えたものである。
【0007】
また、第2の課題解決手段としては、前記弾性シートが、前記アクチュエータの両端部間を分離自在に介在連結する連結手段を備えているのが好ましい。
【0008】
また、第3の課題解決手段としては、前記アクチュエータが、施療部位側に位置させる柔軟性シートと同柔軟性シートの表面側に配せられた前記形状記憶合金体部とで構成されているのが好ましい。
【0009】
また、第4の課題解決手段としては、複数の施療帯を前記施療部位の周囲に心臓方向に向けて並行巻装し、駆動制御部にてアクチュエータの形状記憶合金体部の収縮が心臓側から最も遠い位置の施療帯から順次心臓に近い位置の施療帯に向けて変化し発現されるよう成すのが好ましい。
【0010】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、弾性シートを身体の施療部位の筋肉側に配し、形状記憶合金体部からなるアクチュエータを骨側に配して施療帯を巻装させ、駆動制御部がアクチュエータの形状記憶合金体部への通電を制御し加熱期間と冷却期間とを交互に繰り返すことで当該形状記憶合金体部を変態させることにて、一端を固定端、他端を自由端とする2組の形状記憶合金体部から形成されてその各固定端が中央側及び各自由端が両端側に位置して巻装方向に対して所定の角度をもって配設されるアクチュエータ両端部が中央部に対して伸縮されてねじれ変位し、形状記憶合金体部の収縮時に弾性シートを介して筋肉側にひねり圧迫を加えて全体的に均一な力で圧迫することができ、そのため血流を心臓側に送り返す効果が高く、血流を良くするマッサージ効果が得られる。
【0011】
また、第2の課題解決手段による作用は、弾性シートが、前記アクチュエータの両端部間を分離自在に介在連結する連結手段を備えるよう構成させた結果、上肢や下肢の施療部位に対して簡単に着脱することができ、使い易さが向上する。
【0012】
また、第3の課題解決手段による作用は、アクチュエータが、施療部位側に位置させる柔軟性シートと同柔軟性シートの表面側に配せられた前記形状記憶合金体部とで構成させた結果、直接形状記憶合金体部が身体に接触することがなく、そのため不快な電気刺激を身体に与えることがなく、その上形状記憶合金体部の伸縮時に施療部位に加わる力を適度に均一化することができ、使用時に痛みを使用者に感じさせることがない。
【0013】
また、第4の課題解決手段による作用は、心臓から遠い位置の施療部位から心臓に近い位置の施療部位へ順次圧迫する力を加えることで、血流を効率良く心臓へ送ることができる。
【発明の効果】
【0014】
上述したように本発明のマッサージ装置は、弾性シートを身体の施療部位の筋肉側に配し、形状記憶合金体部からなるアクチュエータを骨側に配して施療帯を巻装することで、形状記憶合金体部の収縮時に弾性シートを介して筋肉側にひねり圧迫を加えて全体的に均一な力で圧迫することができ、そのため血流を心臓側に送り返す効果が高く、血流を良くするマッサージ効果が得られ、しかもアクチュエータ側を施療部位の筋肉側に配し、弾性シート側を骨側に配すれば、形状記憶合金体部の硬さにより、筋肉側を圧迫する力が部位によってばらつきが生じ、このこのばらつきの分布が施療部位に与える刺激に変化をもたらせ、刺激によるマッサージ効果に対して有効に働くという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0016】
本発明のマッサージ装置は、図1のように帯状の柔軟性シート1と、この柔軟性シート1の両端の表面部に移動自在に配設した可動電極部2a、2bと、中央部に一定間隔を開けて可動電極部2a、2bと並行するよう固定配設した固定電極部3a、3bと、可動電極部2a、2bの各電極21と対応する固定電極部3a、3bに設けた各電極31との間に所定の角度をもって斜めに橋絡配設した複数の形状記憶合金体4により構成され、対称的に配置された2組の形状記憶合金体部からなるアクチュエータと、両固定電極部3a、3bの各基体32に両端が支持され柔軟性シート1との間に空間を持つように配設された強制冷却用ファン装置5と、可動電極部2a、2bの基体22にそれぞれ一端が連結された弾性シート6a、6bとで1組の施療帯Aを構成し、この施療帯Aは、施療対象となる上肢や下肢の長さに合わせるために、後述するように複数用いるようになっている。
【0017】
一方、各施療帯Aの強制冷却用ファン装置5に電源を供給する電源部と、アクチュエータを構成する形状記憶合金体4…に対する通電を制御することで形状記憶合金体4…を加熱する加熱期間と冷却期間とを交互に作り出して、形状記憶合金体4…を伸縮させる制御回路7(図3参照)等を備えた駆動制御部たるコントローラBが外付けされる。
【0018】
次に各構成要素について詳説する。
【0019】
まず、可動電極部2a、2bは、絶縁体からなる基体22に、互いに電気的に接続された対の電極21、21を2対備えている。一方固定電極部3a、3bは、両側(図において上端と、下端)に一つの電極31を設け、この両側の電極31の間に互いに電気的に接続された対の電極31、31を1対備えている。また図において強制冷却用ファン装置5を挟んで隣接する固定電極部3a、3bの図において上端の電極31同士はケーブル12で接続してある。従って斜めに各々対向する電極21、31間に橋絡する各形状記憶合金体4…は電気的に直列接続されることになり、この直列回路の両端が図において強制冷却用ファン装置5を挟んで隣接する下端の電極31、31となり、この電極31、31間にコントローラBから加熱(自己発熱)用のPWM制御された電圧がケーブル13、13を介して印加されることで、形状記憶合金体4…の直列回路に通電電流が流れることになる。
【0020】
ここで各形状記憶合金体4は、図1の場合、図2(a)に示すように極めて小さな線径(例えば0.2mm)の形状記憶合金体線を極めて小さい直径(例えば0.8mm)のコイル状に巻回して形成されたもので、一端を可動電極部2a又は2bの電極21に、他端を固定電極部3a又は3bの電極31に電気的且つ機械的に接合することで電極21、31間に橋絡される。形状記憶合金体4の形状としてはコイル状以外に、同図(b)に示すように線状の形状記憶合金体をメッシュ状に編んだものや、同図(c)に示すように波状に曲げて配設したものでも良い。
【0021】
柔軟性シート1は、ポリプロピレンや塩化ビニルなど成形加工が可能なシート材から形成され、可動電極部2a、2bが柔軟性シート1上を移動する際の移動摩擦を軽減するようになっている。なお、柔軟性シート1に当接する可動電極部2a、2bの基体22の面を曲面とすることで、移動摩擦を更に軽減することができる。
【0022】
弾性シート6a、6bは、上肢や下肢に形状記憶合金体4…に予歪を与えつつ施療帯Aを巻き付けて固定するための締結部を構成するもので、一方の弾性シート6a又は6b側には面状ファスナーの雄側部材8aを、また他方の弾性シート6b又は6aには雄側部材8aに分離自在に連結される雌側部材8bを設けてある。また弾性シート6a、6b自体はアクチュエータ側の伸縮に伴って伸縮できる弾性を布地若しくは樹脂シートにより形成されている。
【0023】
コントローラBの制御回路7は、図3に示すように、施療帯Aの形状記憶合金体4の近傍に設けられ形状記憶合金体4の温度を検知するための温度センサ70と、コントローラBに内蔵され、使用環境の温度を検知する環境温度検知用温度センサ71と、予め環境温度と形状記憶合金体4に供給する投入電力値との関係を示すデータからなるデータベース72と、温度センサ71の検知温度に基づいてデータベース72から目標となる電力値を設定する目標電力値設定部73と、形状記憶合金体4…の直列回路と直流電源部+Eとの間に挿入され形状記憶合金体4…の通電をオン・オフするためのスイッチング素子SWからなる電流アンプ部74と、前記目標電力値に対応したPWM信号のデュティ比を予め設定し、このデュティ比で設定されたPWM信号を電流アンプ部74のスイッチング素子SWのゲートに加えてスイッチング素子SWのスイッチング動作を制御し、スイッチング素子SWを介して形状記憶合金体4…の直列回路に印加する加熱用電圧をPWM制御することにより投入電力(通電電流)を制御するともに、PWM制御された電圧によって通電される期間(加熱期間)を一定周期で設定するPWM制御部75とからなる。
【0024】
なお、PWM制御部75には温度センサ70の検知温度が形状記憶合金体4の温度が形状記憶合金体4のオーステナイト変態点の温度を越えたことを検知すると、検知温度が変態点の温度(目標温度)付近で維持されるように目標電力値を変更設定機能と、後述する下肢用(或いは上肢用)の複数の施療帯A1〜A4の形状記憶合金体4…に対する逐次通電制御機能とを備えている。
【0025】
以下、上記構成の動作を説明する。
【0026】
例えば施療部位Xたる下肢に対してマッサージを行おうとした場合には、図4(a)に示すように4つの施療帯A1〜A4を下肢の足首付近から膝付近までの間に順次巻き付ける。この巻き付けに当たり下肢の筋肉側に形状記憶合金体4…を、弾性シート6a、6bを骨側に配置する。このとき弾性シート6a、6bの面状ファスナーの重ね代を巻き付ける施療部位Xの太さに合わせて調節する。図5(a)は弾性シート6a、6bを連結していない状態の施療帯Aの斜視図を、図5(b)は弾性シート6a、6bを連結して環状とした施療帯Aの斜視図を示す。
【0027】
そしてこの後図4(b)に示すカバー91〜94を必要に応じて用い、対応する施療帯A1〜A4の形状記憶合金体4…及び強制冷却用ファン装置5の配置部位を覆う。
【0028】
次にコントローラBの電源をオンして制御動作を開始させると、制御回路7の目標電力値設定部73は温度センサ71の検知温度を取り込み、その検知温度に対応する投入する目標電力値をデータベース72から抽出し、PWM制御部75に出力する。PWM制御部75は受け取った目標電力値に対応するデュティ比からなるPWM信号を生成する。図6(a)はデータベース72に登録されている環境温度と投入電力目標値との関係を示す。
【0029】
このPWM信号は、まず施療部位Xである下肢の最も下に巻く付けてある施療帯A1の形状記憶合金体4…の通電をスイッチングする電流アンプ部74のスイッチング素子SWのゲートに出力して、スイッチング素子SWを駆動する。
【0030】
これにより施療帯A1の形状記憶合金体4…には図6(b)に示すようにPWM制御された電圧が印加されて通電が制御され所定の電力が供給されることになる。これにより形状記憶合金体4…は自己加熱して温度上昇する。図6(c)は温度センサ70が検知する当該形状記憶合金体4…の温度変化を示す。
【0031】
さて形状記憶合金体4…の温度がオーステナイト変態点に対応する温度以上に達すると、形状記憶合金体4は変態収縮することになる。この収縮により固定電極部3a、3b側へ巻装方向に対して所定の角度をもって配設される可動電極部2a、2bが柔軟性シート1上をねじれ変位して移動する形となり、そのため弾性シート6a、6bが引っ張られ、形状記憶合金体4…の収縮前(図7(a))の状態から対応する施療部位X、特に筋肉部位を弾性シート6a、6bがひねり圧迫するように施療帯A1の全体が縮径することになる(図7(b))。
【0032】
この状態を一定時間T1の間保持されるようにPWM制御部75は当該施療帯A1に対するPWM制御による通電を継続する(図8(d))。一方通電開始時点t0からから0.5〜1秒程度経過した時点t1で施療帯A2のアクチュエータの形状記憶合金体4に対応したスイッチング素子SWに対するPWM制御を開始する(図8(c))。これにより施療帯A2のアクチュエータの形状記憶合金体4も上述と同様に収縮し、対応する施療部位を圧迫することになる。このようにして最下段の施療帯A1の形状記憶合金体4…から最上段の施療帯A4の形状記憶合金体4に対する通電を切り替えて図8(d)〜(a)に示すようにそれぞれ一定時間T1の間行うことで、心臓に最も遠い位置から心臓に近い方に向けて血流を効率良くポンプアップすることができ、マッサージ効果が増大する。この効果が所謂ミルキング効果である。
【0033】
図9(a)〜(d)は各施療帯A1〜A4における身体圧迫の遷移パターンを示している。(a)は非通電時、(b)は施療帯A1の圧迫動作から施療帯A2への圧迫動作への移行時を、(c)は施療帯A2の圧迫動作から施療帯A3への圧迫動作への移行時を、更に(d)は施療帯A3の圧迫動作から施療帯A4への圧迫動作への移行時を示している。
【0034】
各施療帯A1〜A4においてアクチュエータの形状記憶合金体4に対する通電が止まると、それぞれの形状記憶合金体4を冷却してその温度をマルテンサイト変態点の温度以下にし、そのスプリング形状による弾発力により伸びた態に戻す冷却期間を設定することになるが、本実施形態では温度を速やかに低下させるために、コントローラBは形状記憶合金体4に対する通電を停止した施療帯A1〜A4の強制冷却用ファン装置5に通電を行って形状記憶合金体4と柔軟性シート1との間に図7(a)の矢印で示すように送風して形状記憶合金体4の放熱を促し、速やかに伸びた状態に戻すのである。
【0035】
以上のようにして施療帯A1の形状記憶合金体4…からA4の施療帯A1の形状記憶合金体4…に対する逐次通電は、一定時間(0〜10秒)T2間隔でサイクリックに繰り返すことで、加熱期間と冷却期間とが交互に繰り返されマッサージ効果を高めることになる。なお、この一定時間間隔を変化させることでマッサージ効果の一つであるもみ効果を変化させることができる。また上記施療帯A1〜A4の身体部位への巻き付け装着時において、筋肉側にアクチュエータの形状記憶合金体4…を、骨側に弾性シート6a、6bを配置した場合には、形状記憶合金体4が硬い金属のために、筋肉に与える圧力が不均一となって圧力分布が生じ、血流の心臓側にポンプアップする効果は低下するものの、圧力分布の変化によよるマッサージ効果を得ることができる。
【0036】
ところで、本実施形態のコントローラBのPWM制御部75は上記の形状記憶合金体4…に対する通電加熱時に温度センサ70が検知する温度が形状記憶合金体4のオーステナイト変態点の変態温度よりも高い温度となった場合には目標電力値を低下させ、それに対応したデュティ比を持つPWM信号を生成し、図6(c)に示すように形状記憶合金体4…の温度を所定温度に保持するようにフィードバック制御し、形状記憶合金体4…の温度が過大温度となって劣化するを防止するようになっている。
【0037】
なお、本発明は上記各実施形態の構成に限定されない。例えば、強制冷却用ファン装置5を設けず、形状記憶合金体4…と柔軟性シート1との間の空間を介して自然対流により形状記憶合金体4…を冷却するようにしても良く、この場合、図10に示すように、可動電極部2a、2bに対する固定電極部を一つの電極部30で共用することができるなど、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の、マッサージ装置の一施療帯の展開状態の正面図である。
【図2】同マッサージ装置に用いる形状記憶合金体を示し、(a)はその一例の斜視図、(b)は別の例の一部省略せる正面図、(c)は他の例の一部省略せる正面図である。
【図3】同マッサージ装置に用いるコントローラの制御回路の構成図である。
【図4】(a)は同マッサージ装置の各施療帯を施療部位に巻装した状態の斜視図、(b)は各施療帯の表面側を覆うカバーの斜視図である。
【図5】同マッサージ装置の一施療帯を示し、(a)は弾性シートの非連結状態の斜視図、(b)は弾性シートの連結状態の斜視図である。
【図6】(a)は同マッサージ装置の制御回路に用いるデータベースのデータ内容の説明図、(b)は同マッサージ装置の施療帯の形状記憶合金体に印加する電圧の波形図、(c)は同マッサージ装置の施療帯の形状記憶合金体の温度制御の説明図である。
【図7】同マッサージ装置の施療部位に巻装した一施療帯の状態を示す図であって、(a)は形状記憶合金体の伸張時の使用状態図、(b)は形状記憶合金体の収縮時の使用状態図である。
【図8】同マッサージ装置の動作説明用タイミングチャートである。
【図9】同マッサージ装置の施療部位に対する各施療帯の圧迫の遷移パターン図である。
【図10】同マッサージ装置の別の例を示す使用状態図である。
【図11】従来のマッサージ装置の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
A 施療帯
B コントローラ(駆動制御部)
1 柔軟性シート
4 形状記憶合金体
6a、6b 弾性シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端を固定端、他端を自由端とする一対の形状記憶合金体部から形成され、巻装方向に対して所定の角度をもってその各固定端が中央側、各自由端が両端側に位置するよう配設されるアクチュエータと、同アクチュエータの両端部間に介装されることでアクチュエータと共に身体の施療部位周囲に巻装させる環状の施療帯を構成する弾性シートと、前記形状記憶合金体部への通電を制御して加熱期間と冷却期間とを交互に繰り返すことで形状記憶合金体部を変態させ前記アクチュエータの両端部を中央部に対して伸縮させる駆動制御部とを備えたマッサージ装置。
【請求項2】
前記弾性シートが、前記アクチュエータの両端部間を分離自在に介在連結する連結手段を備えている請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記アクチュエータが、施療部位側に位置させる柔軟性シートと同柔軟性シートの表面側に配せられた前記形状記憶合金体部とで構成されている請求項1又は2記載のマッサージ装置。
【請求項4】
複数の施療帯を前記施療部位の周囲に心臓方向に向けて並行巻装し、駆動制御部にてアクチュエータの形状記憶合金体部の収縮が心臓側から最も遠い位置の施療帯から順次心臓に近い位置の施療帯に向けて変化し発現されるよう成した請求項1乃至3の何れか記載のマッサージ装置。
【請求項1】
一端を固定端、他端を自由端とする一対の形状記憶合金体部から形成され、巻装方向に対して所定の角度をもってその各固定端が中央側、各自由端が両端側に位置するよう配設されるアクチュエータと、同アクチュエータの両端部間に介装されることでアクチュエータと共に身体の施療部位周囲に巻装させる環状の施療帯を構成する弾性シートと、前記形状記憶合金体部への通電を制御して加熱期間と冷却期間とを交互に繰り返すことで形状記憶合金体部を変態させ前記アクチュエータの両端部を中央部に対して伸縮させる駆動制御部とを備えたマッサージ装置。
【請求項2】
前記弾性シートが、前記アクチュエータの両端部間を分離自在に介在連結する連結手段を備えている請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記アクチュエータが、施療部位側に位置させる柔軟性シートと同柔軟性シートの表面側に配せられた前記形状記憶合金体部とで構成されている請求項1又は2記載のマッサージ装置。
【請求項4】
複数の施療帯を前記施療部位の周囲に心臓方向に向けて並行巻装し、駆動制御部にてアクチュエータの形状記憶合金体部の収縮が心臓側から最も遠い位置の施療帯から順次心臓に近い位置の施療帯に向けて変化し発現されるよう成した請求項1乃至3の何れか記載のマッサージ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−6581(P2006−6581A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187160(P2004−187160)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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