説明

マッサージ装置

【課題】洗髪及び頭皮のマッサージを行う場合等に、施療部によって優しく且つ効果的に頭皮のマッサージ及び洗浄を行うことができるマッサージ装置を提供する。
【解決手段】可撓性及び弾性を有する基部18とこの基部18の面と交差するように基部18に設けられた複数の突起19〜22から成る施療部3を、駆動部としての本体2の枠体8及び本体2内の往復駆動手段7に、本体2に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持させ、往復駆動手段7によって基部18をその面と直交する方向に繰り返し撓ませることで、各突起19〜22によって頭皮S等を洗浄又はマッサージし、施療部3を本体2に取り付けた状態において、複数の突起19〜22の先端を結んだ仮想面が、無負荷状態で往復駆動手段7の状態によらず常に凹状となるように構成したことで、複数の突起19〜22の先端を頭皮S等の凸曲面に押し当てやすくすることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力駆動のマッサージ装置に関するものであり、特に人体の頭皮などを洗浄及びマッサージするためのマッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のマッサージ装置としては、例えば、モータを内蔵したケーシングに弾性部材を介して振動ヘッドを取り付け、この振動ヘッド内に前記モータのモータ軸を突設させ、このモータ軸に振動子を偏心させた状態で取り付け、更に、前記振動ヘッドの一側面に柔軟物質から成るブラシを取り付けたマッサージ兼電動洗髪ブラシが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このマッサージ兼電動洗髪ブラシにおいては、前記ブラシは円盤状に形成された基部としてのブラシ本体部と、該ブラシ本体部の一側面に多数突設された突起としての針状体片とから成る。そして、このマッサージ兼電動洗髪ブラシを使用する場合、使用者は、まずケーシングを把持して前記ブラシを頭部に押し当て、前記モータを作動させることで、前記振動ヘッドに内蔵されている振動子の偏心回転によって生じる振動が、前記振動ヘッド及びブラシを介して頭皮に伝達される。そして、前記ブラシは柔軟物質から構成されているので、頭皮を傷つけることなく毛穴の脂垢を取り除き、同時にマッサージを行うというものである。
【特許文献1】特開2001−258974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなマッサージ装置は、洗髪時における頭皮のマッサージ等を行うとき、前記振動ヘッドに内蔵されている振動子の偏心回転によって生じる振動が、前記振動ヘッド及び柔軟物質から構成されている前記ブラシを介して頭皮に伝達されるというものであるが、前記ブラシは頭皮に対して単純に振動しているだけなので、頭皮のマッサージを充分に行うことができないばかりでなく、頭皮の汚れを充分落とすことができないという問題があった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、洗髪及び頭皮のマッサージを行う場合等に、施療部によって優しく且つ効果的に頭皮のマッサージ及び洗浄を行うことができるマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載のマッサージ装置は、駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有し、前記駆動部に、前記施療部の基部の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持する枠体を設けると共に、前記基部の中心の面と直交する方向にこの基部を撓ませる往復駆動手段を設け、前記施療部が、可撓性及び弾性を有する材質から成る前記基部と、この基部に突出して設けられた複数の突起とで構成されるマッサージ装置において、前記施療部が前記枠体及び往復駆動手段に接続された状態において、複数の前記突起の先端を結んだ仮想面が、無負荷状態では前記往復駆動手段の状態によらず常に凹状となるように構成されているものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載のマッサージ装置は、請求項1において、前記施療部を前記枠体及び往復駆動手段に接続した状態において、この往復駆動手段が最も外側に突出した場合の前記基部の形状が、この基部の自然状態における形状と同じかやや内側に引かれた形状であるものである。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載のマッサージ装置は、請求項1乃至2において、前記基部が、自然状態で外側に凸となるように形成されたものである。
【0008】
更に、本発明の請求項4に記載のマッサージ装置は、請求項3において、前記施療部を前記枠体及び往復駆動手段に接続した状態において、この往復駆動手段が最も内側に引き込まれた場合の前記基部の形状が、この基部の中央部が外周部よりも凹んだ形状であるものである。
【0009】
また、本発明の請求項5に記載のマッサージ装置は、前記複数の突起を、前記基部の中央から外周にかけて、前記突起の長さを漸次長く形成したものである。
【0010】
更に、本発明の請求項6に記載のマッサージ装置は、前記基部の前記面の形状を、平面形状を略円状又は略楕円状とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載のマッサージ装置は、以上のように構成することにより、前記施療部の基部の周縁が前記枠体によって保持された状態で、前記基部の中央部を、往復駆動手段によって前記基部の中心の面と直交する方向に撓ませることで、前記複数の突起を繰り返し相互に開閉させ、これらの突起を頭皮に当てることで、頭皮を効果的に洗浄したりマッサージしたりすることができる。そして、前記往復駆動手段の状態によらず、複数の前記突起の先端を結んだ前記仮想面が必ず凹状となるので、複数の前記突起の先端を頭等の凸曲面に押し当てやすくすることができる。
【0012】
また、使用時に前記施療部の基部が最も外側に突出した状態の形状が、この基部の自然状態の形状と同じか、それよりもやや内側に引かれた形状であるので、前記基部の弾性による復元力が前記往復駆動手段に加わることで、前記基部が自然状態に復元した場合を除き、前記往復駆動手段が外側に引かれ続けており、これによって、前記往復駆動手段によって前記基部を押し出す際に、この基板が復元するのと同時に前記往復駆動手段によって押されることで、前記基板がこの基板の弾性力に抗して斜めに押されたりすることがなく、ほぼ均一に復元するので、頭皮や患部のマッサージ等を良好に行うことができる。
【0013】
また、前記施療部の基部が自然状態において外側に凸であるので、前記往復駆動手段によって前記基部を引き込む場合、この基部を撓ませるだけでよく、面方向に引き延ばす必要がないので、前記施療部の基部を変形させるための力が小さくて済み、従って、消費電力を抑えることができる。
【0014】
更に、凸形状の前記基部を引き込んで中央部が外周部よりも凹んだ形状となるまで変形させることで、前記基部を凸状態と凹状態の間で繰り返し撓ませることになり、これによって、前記基部に形成された突部を大きく動かして、効果的に頭皮や患部のマッサージ等を行うことができる。
【0015】
また、複数の前記突起を基部の中央から外周にいくほど、突起の長さを漸次長く形成することにより、外周側の突起ほど可撓性が大きくなり、基部の中央から外周にかけて位置する突起がそれぞれ異なった刺激を頭皮に与えることで、頭皮に対してより良好なマッサージ及び洗浄を行うことができる。さらに、前記施療部を前記枠体に取り付けた状態では、前記往復駆動手段の状態によらず、複数の前記突起の先端を結んだ前記仮想面が必ず凹状となるので、複数の前記突起の先端を頭等の凸曲面にさらに押し当てやすくすることができる。
【0016】
更に、前記基部の自然状態における複数の前記突起の先端を結んだ仮想面の凹曲面を人体の頭頂部等の凸曲面に対応した形状とし、複数の突起の先端を頭等の凸曲面にさらに押し当てやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図5に基づいて説明する。なお、本例においては、図1乃至図3の姿勢を基準として前後上下左右を規定する。1は本発明のマッサージ装置である。このマッサージ装置1は、駆動部としての本体2と、この本体2に対して着脱自在に保持される施療部3とを有して構成されている。
【0018】
前記本体2は、合成樹脂等によって構成される外殻体4に、二次電池5と、図示しない制御回路と、これらの二次電池5及び制御回路によって作動させられる電動機6と、この電動機6の駆動軸6Aの回転を往復運動に変換する往復駆動手段7とを収容して構成されている。そして、前記外殻体4には、前記施療部3を取り付けるための枠体8を有する、平面視で楕円状の取付板9が固定されていると共に、この取付板9の中央部には、内外を貫通する円形の窓孔10が形成されており、この窓孔10を覆って伸縮可能な覆い体11が設けられている。なお、この覆い体11は、可撓性を有する蛇腹状板材によって、前記窓孔10を水密に封ずるように設けられている。そして、前記往復駆動手段7は、前記電動機6の駆動軸6Aに減速機構12を介して接続されるクランク機構13と、このクランク機構13の偏心軸13Aに基端14A側が接続されて、この偏心軸13Aの回転運動を往復運動に変換するコンロッド部材14とを備えている。なお、前記覆い体11の肉厚に形成された中央部11Aを前記コンロッド部材14の先端14B側と接続中継部材15とで内外から挟み、このコンロッド部材14の先端14B側と接続中継部材15を螺子Nにより固定している。また、前記接続中継部材15の外方には、フック16が取り付けられている。そして、前記フック16は、前記クランク機構13により、前記電動機6の回転に伴って前記本体2に対して出没する方向に往復運動するように構成されている。なお、前記フック16の往復動に伴って、蛇腹状の前記覆い体11が水密状体を保ったまま撓むことになる。また、前記フック16の振幅は、前記偏心軸13Aの偏心距離Fの2倍(2F)である。更に、前記外殻体4には、前記電動機6を操作するためのスイッチ17が設けられている。
【0019】
前記施療部3は、可撓性及び弾性を有する軟質合成樹脂等によって一体に形成されている。そして、前記施療部3は、基部18と、この基部18に設けられた4種類の突起19〜22とで構成されている。前記基部18は、正面視で略楕円状であると共に、自然状態において、中央が外側に滑らかに膨らんだ凸曲面形状となるように形成されている。また、前記基部18は、その外周にリブ18Aが全周にわたって一体に形成されていると共に、このリブ18Aの内側に、前記本体2の取付板9の枠体8と係合して固定される係止部18Bが形成されている。なお、ここで言う「固定」とは、多少の動きを許容して固定される状態を含むものである。また、前記基部18の裏面には、中心部に前記フック16を受けるフック受部18Cが形成されている。
【0020】
また、前記基部18の外周部には、前記基部18の中心軸線Xを中心として、複数の前記第一突起19が環列状に形成されている。また、この第一突起19の内側には、前記中心軸線Xを中心として、複数の前記第二突起20が環列状に形成されている。また、この第二突起20の内側には、前記中心軸線Xを中心として、複数の前記第三突起21が形成されている。なお、この第三突起21は、円弧状に並べた群を二つ軸対称に設けることで形成されている。更に、前記第三突起21の内側には、前記中心軸線Xを中心として、複数の前記第四突起22が環列状に形成されている。また、第一乃至第四突起19〜22の長さL1〜L4は、L1>L2>L3>L4となるように形成されている。なお、前記第一突起19、第二突起20、第四突起22は、いずれも先端側がやや細くなっていると共に先端が丸められた棒状(即ち、頂角の小さな円錐状)に形成されており、前記第三突起21は頂角の比較的大きな円錐状に形成されている。そして、この第三突起21の先端は、他の突起19,20,22の先端よりも尖った形状に形成されていると共に、前記第三突起21の基端は、他の突起19、20,22の基端よりも太く形成されている。これによって、前記第三突起21は外力によって撓むものの、他の突起19,20,22よりは撓みにくいように形成されている。
【0021】
なお、前記枠体8に前記施療部3の係止部18Bを係合させると共に前記フック受部18Cに前記フック16を掛けた状態、即ち前記施療部3を前記枠体8及び往復駆動手段7に接続した状態において、前記フック16が下死点にある状態における前記基部18の形状は、この基部18の自然状態における形状と等しくなるように構成されている。逆に、前記フック16が上死点にある状態では、前記基部18は、その外縁よりも中央が凹んだ凹曲面形状となる。(なお、便宜上、前記フック16が最も突出した状態を下死点、前記フック16が最も引っ込んだ状態を上死点とする。)そして、前記フック16が下死点にある状態、即ち前記基部18の中央が最も外側に突出した状態において、前記第一突起19の高さが最も高く、前記第四突起22の高さが最も低い。そして、これらの突起19〜22の先端を結んで仮想曲面を形成すると、凹曲面状となる。また、前記第一突起19は、前記施療部3が前記枠体8に取り付けられた状態において、前記往復駆動手段7の状態によらず(前記フック16が上死点にあっても下死点にあっても、或いはその中間にあっても)、前記取付板9からの高さ距離H1が前記第二突起20の高さ距離H2よりも常時大きくなるように形成されている。同様に、前記第二突起20は、その高さ距離H2が前記第三突起21の高さ距離H3よりも常時大きくなるように形成されており、更に、前記第三突起21は、その高さ距離H3が前記第四突起22の高さ距離H4よりも常時大きくなるように形成されている(H1>H2>H3>H4)。
【0022】
なお、図3乃至図5において、全ての前記突起19〜22を記載してしまうと、線が入り組んで複雑になることで説明が困難となってしまう虞があるため、説明に必要な突起19〜22のみを記載し、その他の突起19〜22は省略した。
【0023】
次に、本実施形態の作用について説明する。洗髪時等において頭皮Sのマッサージを行ったり揉み出し洗いを行ったりする場合、まず使用者は、前記施療部3を把持し、この施療部3の基部18の裏面中央に形成された前記フック受部18Cを前記フック16に掛けた後、前記係止部18Bを前記係止受部枠体8に係合させることで、前記施療部3を前記本体2に対して取り付ける。そして、このように前記施療部3が前記本体2に取り付けられた状態で、使用者が前記マッサージ装置1の本体2を把持し、前記施療部3の各突起19〜22の先端部を前記頭皮Sに押し当てて手で保持する。なお、前述したように、前記往復駆動手段6の状態によらず、H1>H2>H3>H4であり、各突起19〜22の先端を結んだ前記仮想面が常に凹曲面状となるので、各突起19〜22の先端を頭皮Sの凸曲面に押し当てやすくすることができる。
【0024】
そして、前記スイッチ17を閉成すると、前記二次電池5から電力が給電されることで、前記電動機6が作動して前記駆動軸6Aが回転する。この回転に伴い、前記駆動軸6Aに前記減速機構12を介して接続された前記クランク機構13が回転し、このクランク機構13及びこのクランク機構13の偏心軸13Aに連結された前記コンロッド部材14によって、前記駆動軸6Aの回転運動が往復運動に変換され、前記コンロッド部材14に連結された前記接続中継部材15及びフック16が、前記本体2に対して出没する方向に往復運動する。なお、前記取付板9の窓孔10は前記覆い体11によって水密に封止されているため、前記窓孔10から前記本体2内に水が侵入することが防止される。また、前記覆い体11は可撓性を有する材質によって蛇腹状に形成されているため、前記コンロッド部材14及び接続中継部材15の往復運動に従動して撓むことで、前記窓孔10の封止状態を保つことができる。
【0025】
そして、前記フック16が出没方向に往復運動することで、このフック16に掛けられた前記フック受部18Cを有する施療部3の基部18の中央部も出没方向に往復運動することになる。このとき、前記基部18の外周縁に形成された前記係止部18Bが前記枠体8に係合していることで、前記基部18の外周縁が前記本体2に対して位置関係が固定されているので、前記基部18の中央部が出没方向に往復運動したとしても、前記基部18の外周縁が動かないことで、前記基部18は、この基部18の面方向に対して直交する方向に、外側に突出した湾曲凸状態と内側に凹んだ湾曲凹状態との間で繰り返し撓むことになる。なお、前記基部18は、前記フック16が掛けられた前記フック受け部18C、即ち前記基部18の中央が最大振幅箇所となると共に、この振幅は、前述したように、前記クランク機構13の中心から偏心軸13Aまでの偏心距離Fの2倍(2F)となる。そして、前記施療部3の基部18が自然状態で外側に凸となるように形成されていると共に、前記枠体8及び往復駆動手段7に前記施療部3を接続した状態で、前記フック16が下死点にある場合の前記基部18の形状が、前記基部18の自然状態における形状と等しくなるように構成されていることで、前記往復駆動手段7によって前記基部18を引き込む際には、この基部18の弾性に抗して、この基部18が撓ませながら引かれると共に、前記往復駆動手段7によって前記基部18を押し出す際には、復元する前記基部18に引かれる形で前記往復駆動手段7が押し出されることで、前記基部18がその復元方向からずれた方向に押されず、ほぼ均一に復元するので、頭皮Sのマッサージ等を良好に行うことができるばかりでなく、前記往復駆動手段7によって前記基部18を引き込む場合、この基部18を撓ませるだけでよく、この基部18の面方向に引き延ばす必要がないので、前記基部18を変形させるための力が小さくて済み、従って、消費電力を抑えることができる。
【0026】
そして、前記基部18が、外側に突出した湾曲凸状態と内側に凹んだ湾曲凹状態との間で繰り返し撓むことで、この基部18に一体に形成された各突起19〜22も動くことになる。具体的には、無負荷の場合、前記各突起19〜22は、前記フック16が下死点にある状態、即ち前記基部18が最も突出した状態において、全体として先端が広がった状態(開いた状態)であると共に、前記フック16が上死点にある状態、即ち前記基部18が最も凹んだ状態において、全体として先端が狭まった状態(閉じた状態)となる。これにより、各突起19〜22は、前記中心軸線Xを中心としてその内側方向に傾斜したり外側方向に傾斜したりすることを繰り返し、これによって、前記頭皮Sを揉むようにしてマッサージを行うことができる。
【0027】
頭皮Sのマッサージ時における各突起19〜22の動きについて詳述する。前記基部18が、前記往復駆動手段7によって、最も外側に突出した湾曲凸状態と最も内側に凹んだ湾曲凹状態との間で繰り返し撓むと、前記各突起19〜22のうち、比較的撓みにくい前記第三突起21は、その先端が常に頭皮Sに対して接するように押し付けた場合、首振り方向に僅かに撓むものの、先端が頭皮Sを摩擦するように動くので、この第三突起21によって頭皮Sが擦られるように洗浄及びマッサージされる。特に、本例においては、前記第三突起21の刺激を与える先端が比較的先鋭状であるので、前記第三突起21によって、頭皮Sは擦られるような、或いは掻かれるような刺激を受けて良好に洗浄及びマッサージされる。また、前記第三突起21よりも長く撓みやすい前記第一突起19及び第二突起20は、その先端が頭皮Sに対して接するように押し付けた場合、前記基部18が最も外側に突出した湾曲凸状態と最も内側に凹んだ湾曲凹状態との間で繰り返し撓むと、首振り方向に大きく撓むことになる。そしてこの時、撓んだ状態の前記第一突起19及び第二突起20に復元力が働くことで、前記頭皮Sが掴まれるような刺激を受けて洗浄及びマッサージされる。また、前記第一突起19及び第二突起20が撓みやすくなっていることで、前記第三突起21がより確実に常時頭皮Sに接し続けることができ、これによって、前記第三突起21による刺激を頭皮Sに対して常に与え続けることができる。更に、前記第三突起21よりも短い前記第四突起22は、前記基部18が最も外側に突出した湾曲凸状態で頭皮Sに接したとしても、前記基部18が最も内側に凹んだ湾曲凹状態では頭皮Sに対して離間している。これは、前記基部18が最も内側に凹んだ湾曲凹状態において、前記第三突起21の先端と前記第四突起22の先端とを結んだ凹曲面の曲率が、頭皮Sの曲率よりも大きくなるためである。そして、これは特に、本例において前記第三突起21がより撓みにくくなっていることも、前記第四突起22が頭皮Sに対して接離を繰り返すことを助長している。そして、前記第四突起22が頭皮Sに対して接離を繰り返すことで、頭皮Sは前記第四突起22によって軽く叩かれるように洗浄及びマッサージされる。特に、本例においては、前記第四突起22は、その先端が比較的太く且つその基端が比較的細い略棒状に形成されていることで、より撓み易くなっているので、前記第四突起22が頭皮に当たった際に撓むことで、頭皮Sに必要以上の刺激を与えないようにして痛さを感じさせないようにすることができるばかりでなく、前記第四突起22の基端が比較的細くなっていることで、この第四突起22の基端部が前記基部18の撓みを妨げないようにすることができる。このように、前記各突起19〜22がそれぞれ異なった刺激を頭皮Sに与えることで、頭皮Sに対してより良好なマッサージ及び洗浄を行うことができる。
【0028】
なお、前記施療部3は、使用を繰り返すことによって汚れたり破損したりするので、適宜交換する必要が生じる。そして、この施療部3を前記本体2から取り外す場合、使用者が前記係止部18Bと枠体8の係合を解いた後、前記フック16から前記フック受部18Cを外すことで、前記施療部3が前記本体2から外れる。そして、新たな施療部3或いは洗浄された施療部3を、前述した手順によって本体2に取り付けることで、再度前記マッサージ装置1の使用が可能になる。
【0029】
以上のように、本発明のマッサージ装置1は、可撓性及び弾性を有する基部18とこの基部18の面と交差するように基部18に設けられた複数の突起19〜22から成る施療部3を、駆動部としての本体2の枠体8及び前記本体2内の往復駆動手段7に、前記本体2に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持させ、前記往復駆動手段7によって前記基部18をその面と直交する方向に繰り返し撓ませることで、前記各突起19〜22によって頭皮S等を洗浄又はマッサージし、前記施療部3を前記本体2に取り付けた状態において、複数の前記突起19〜22の先端を結んだ仮想面が、無負荷状態で前記往復駆動手段7の状態によらず常に凹状となるように構成したことで、複数の前記突起19〜22の先端を頭皮S等の凸曲面に押し当てやすくすることができるものである。
【0030】
また、本発明のマッサージ装置1は、前記施療部3を前記枠体8及び往復駆動手段7に接続した状態において、この往復駆動手段7が最も外側に突出した場合の前記基部18の形状を、この基部18の自然状態における形状と同じかやや内側に引かれた形状とすることで、前記基部18の弾性による復元力により、この基部18が自然状態に復元した場合を除き、前記往復駆動手段7のコンロッド部材14が外側に引かれ続け、これによって、前記基部18を外側に押し出す際に、復元する前記基部18に引かれる形で前記往復駆動手段7のコンロッド部材14が押し出されることで、前記基部18がその復元方向からずれた方向に押されず、ほぼ均一に復元するので、頭皮S等のマッサージ等を良好に行うことができるものである。
【0031】
また、本発明のマッサージ装置1は、前記基部18を、自然状態で外側に凸となるように形成したことで、前記往復駆動手段7によって前記基部18を引き込む場合、この基部18を撓ませるだけでよく、前記基部18をその面方向に引き延ばす必要がないので、前記基部18を変形させるための力が小さくて済み、従って、消費電力を抑えることができるものである。
【0032】
更に、本発明のマッサージ装置1は、前記枠体8及び往復駆動手段7に接続された前記施療部3の凸形状の前記基部18を引き込んで中央部が外周部よりも凹んだ形状となるまで変形させ、前記基部18を湾曲凸状態と湾曲凹状態の間で繰り返し撓ませることで、前記基部18に形成された突部19〜22を大きく動かして、効果的に頭皮S等のマッサージ等を行うことができるものである。
【0033】
また、前記複数の突起19〜22は、前記基部18の中央から外周にかけて、前記突起19〜22の長さL1〜L4を漸次大きく形成(L1>L2>L3>L4)したことで、外周側の突起ほど可撓性が大きくなり、基部18の中央から外周にかけて位置する突起19〜22がそれぞれ異なった刺激を頭皮に与えることで、頭皮Sに対してより良好なマッサージ及び洗浄を行うことができる。さらに、前記施療部3を前記枠体8に取り付けた状態では、前記往復駆動手段7の状態によらず、複数の前記突起19〜22の先端を結んだ前記仮想面が必ず凹状となるので、複数の前記突起19〜22の先端を頭等の凸曲面にさらに押し当てやすくすることができる。
【0034】
更に、前記基部18の前記面の形状を、平面形状を略円状又は略楕円状とすることで、前記基部18の自然状態における複数の前記突起19〜22の先端を結んだ仮想面の凹曲面を、人体の頭頂部等の凸曲面に対応した逆球面状、或いは逆楕球面状とし、複数の突起19〜22の先端を頭等の凸曲面にさらに押し当てやすくすることができる。
【0035】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、前記施療部を前記枠体及び往復駆動手段に取り付けた状態における前記施療部の基部の最大突出時形状が、前記施療部の基部の自然状態形状となるように前記往復駆動手段を設定したが、前記施療部の基部の最大突出時形状が、前記施療部の基部の自然状態形状よりもやや内側に引かれた形状となるように前記往復駆動手段を設定してもよい。また、前記基部の正面から見た形状を略楕円状としたが、略円状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例を示すマッサージ装置の正面図である。
【図2】同上、右側面図である。
【図3】同上、A−A断面図である。
【図4】同上、無負荷状態における動作説明図であり、(a)は基部が最も突出した状態、(b)は基部が最も引き込まれた状態である。
【図5】同上、有負荷状態における動作説明図であり、(a)は基部が最も突出した状態、(b)は基部が最も引き込まれた状態である。
【符号の説明】
【0037】
1 マッサージ装置
2 本体(駆動部)
3 施療部
7 往復駆動手段
8 枠体
18 基部
19 第一突起(突起)
20 第二突起(突起)
21 第三突起(突起)
22 第四突起(突起)
L1 突起の長さ(第一突起)
L2 突起の長さ(第二突起)
L3 突起の長さ(第三突起)
L4 突起の長さ(第四突起)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有し、前記駆動部に、前記施療部の基部の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持する枠体を設けると共に、前記基部の中心の面と直交する方向にこの基部を撓ませる往復駆動手段を設け、前記施療部が、可撓性及び弾性を有する材質から成る前記基部と、この基部に突出して設けられた複数の突起とで構成されるマッサージ装置において、
前記施療部が前記枠体及び往復駆動手段に接続された状態において、複数の前記突起の先端を結んだ仮想面が、無負荷状態では前記往復駆動手段の状態によらず常に凹状となるように構成されていることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
前記施療部を前記枠体及び往復駆動手段に接続した状態において、この往復駆動手段が最も外側に突出した場合の前記基部の形状が、この基部の自然状態における形状と同じかやや内側に引かれた形状であることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記基部が、自然状態で外側に凸となるように形成されたことを特徴とする請求項1乃至2に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
前記施療部を前記枠体及び往復駆動手段に接続した状態において、この往復駆動手段が最も内側に引き込まれた場合の前記基部の形状が、この基部の中央部が外周部よりも凹んだ形状であることを特徴とする請求項3に記載のマッサージ装置。
【請求項5】
前記複数の突起を、前記基部の中央から外周にかけて、前記突起の長さを漸次長く形成したことを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ装置。
【請求項6】
前記基部の前記面の形状を、平面形状を略円状又は略楕円状とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−206902(P2008−206902A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48635(P2007−48635)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】