説明

マッサージ装置

【課題】軽い力で操作できる操作スイッチ装置を有するマッサージ装置を提供すること。
【解決手段】可撓性を有する基板4と複数の突起5,6,7から成る施療部3を、駆動部としてのマッサージ装置本体2に着脱自在に保持させ、往復駆動手段12によって前記基板4を繰り返し撓ませることで、前記各突起5〜7で頭皮S等をマッサージするマッサージ装置1であって、前記往復駆動手段12を操作するための操作スイッチ装置19が、貫通部20と、操作部21と、スイッチ22が実装されたスイッチ基板23と、前記操作部21とスイッチ基板23の間に設けられた第二シール部材24とを有して構成されると共に、この第二シール部材24に膜状の襞部24Cを設けたことで、前記操作部21を押しても、前記襞部31が膨らんで前記第二シール部材24とスイッチ基板23の間の空間C内の圧力上昇を緩和して、前記操作部21の操作感を重くしないようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力駆動のマッサージ装置に関するものであり、特に、洗髪時等における頭皮のマッサージや揉み出し洗い等に使用することができるマッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のマッサージ装置として、駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有し、この施療部が、可撓性を有する材質から成る前記基板と、この基板に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部が、ケース本体と、前記基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持する枠体(本発明の取付部に相当する)と、前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段と、前記ケース本体の表面に設けられた操作部とで構成されるものが知られている。そして、このマッサージ装置は、マッサージの際に、前記ケース本体に設けられたスイッチを操作して、前記往復駆動手段を作動させることによって前記施療部の基板を撓ませることで、この基板の撓みに伴って、この基板に設けられた複数の前記突起を繰り返し倒したり起こしたりさせることで相互に開閉させ、この相互に開閉する突起によって、揉んだり擦ったり叩いたりするように、頭皮を複雑にマッサージすることができるものである。これは、図5及び図6に示すように、駆動部101により駆動される施療部102における基板103が下に撓んだ湾曲凸状態と上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返す際、複数種類の突起104,105,106が、前記基板103の撓みに伴って動くことで、前記突起104,105,106によって頭皮Sを指先で行うようにマッサージすることができるというものである。
【特許文献1】特開2007−229159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このようなマッサージ装置は、洗髪時等でも使用できるようにするために、前記操作部の内側に防水用のシール部材が設けられている。しかしながら、このようなマッサージ装置においては、前記往復駆動手段の動作に伴って変動する前記駆動部内の圧力の影響を受けさせないようにするために、また、万が一前記シール部材が破損したとしても、侵入した水の影響が前記駆動部全体に及ばないようにするために、前記操作部によって操作されるスイッチが実装されたスイッチ基板が、前記駆動部内における他の部分から隔離されている。具体的には、前記シール部材の外周を、前記ケース本体に形成された貫通部の縁と前記スイッチ基板の外周部とで挟持することで、前記駆動部内全体がシールされると共に、前記スイッチ基板のスイッチ実装面が前記シール部材によって水密に覆われる。また、前記スイッチ基板の他面側が、取付板等で塞がれることによって、前記スイッチ基板のスイッチ実装面とシール部材とで囲まれる空間は、他の前記駆動部内空間から隔離されている。しかしながら、前記スイッチ基板のスイッチ実装面とシール部材とで囲まれる空間は狭いので、前記操作部を押圧することで前記空間の容積が少し小さくなっただけでも、前記空間内の圧力が大幅に高くなってしまう。このため、従来のマッサージ装置では、前記操作部の操作感が重いという問題があった。また、このように圧力が大幅に高くなった状態でも前記スイッチを操作することができるように、前記操作部に棒状の押圧体を形成しなければならなかった。そして、長期間このようなマッサージ装置を使用した場合、前記押圧体が前記シール部材を破損させてしまう虞もあった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、軽い力で確実に操作できる操作スイッチ装置を有するマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有し、この施療部が、可撓性を有する材質から成る基板と、この基板の表面に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部が、前記基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持する取付部と、前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段と、前記駆動部の表面に設けられた操作スイッチ装置とを有して構成されるマッサージ装置において、前記操作スイッチ装置が、前記駆動部の内外を貫通して設けられた貫通部と、前記貫通部に設けられた操作部と、この操作部により操作されるスイッチが実装されたスイッチ基板と、前記貫通部に装着されて前記駆動部の内外を隔離するための可撓性を有する防水用のシール部材とを有して構成され、このシール部材が、前記操作部とスイッチ基板の間に設けられ、このスイッチ基板のスイッチ実装側が前記シール部材によって水密に覆われると共に、このシール部材に膜状の襞部を設けたことを特徴とするマッサージ装置である。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記シール部材の中央に、押圧突部を一体に形成したことを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置である。
【0007】
更に、請求項3の発明は、前記襞部が前記押圧突部を中心として環状に設けられることを特徴とする請求項2記載のマッサージ装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、前記操作部を押して前記スイッチを操作する際、前記シール部材が前記スイッチ側に押されて変形することで、前記シール部材とスイッチ基板とで囲まれた空間内の空気を圧縮することになるが、この圧縮された空気が、前記シール部材の膜状の襞部を前記スイッチ基板から離れる方向に押し出すように変形させることで、前記スイッチ基板とシール部材とで囲まれる狭い空間内の圧力上昇を緩和し、前記操作部の操作感が重くならないようにすることができる。
【0009】
また、請求項2の発明によれば、前記空間内の圧力上昇が緩和されることで、前記シール部材に一体形成された押圧突部によって前記スイッチを確実に押すことができるので、従来のように前記操作部に棒状の押圧体を形成する必要がなくなり、これによって、シール部材の破損を抑制することができる。
【0010】
更に、請求項3の発明によれば、前記押圧突起を中心として前記襞部全体が全周に亘って均一に弾性変形するので、前記襞部の変形量を小さくすることができ、これによって、特定の個所が大きく変形することによるシール部材の破損を抑制することができるばかりでなく、変形した襞部が前記操作部に当接しにくくなるので、前記操作部の操作感が重くならないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例】
【0012】
図1〜図4は一実施例を示している。なお、本例においては、図2の姿勢を基準として上下を規定する。1は本発明のマッサージ装置である。このマッサージ装置1は、駆動部としてのマッサージ装置本体2と、このマッサージ装置本体2の下部側に着脱自在に保持される施療部3とを有して構成されている。そして、この施療部3は、基板4と、この基板4の下面と交差する方向である下方側に突出して一体に設けられた3種類の突起5,6,7とで構成されている。また、前記基板4は、平面視で楕円状であって、可撓性及び弾性を有するエラストマーによって形成されている。そして、前記基板4の縁4Aは、前記マッサージ装置本体2の下縁側に固定されている。なお、ここで言う「固定」とは、多少の動きを許容して接続される状態を含むものであり、本実施例では、前記基板4の縁4Aを前記マッサージ装置本体2の下面に沿って形成された溝状の取付部8に嵌合させることで、両者を全周に亘って着脱自在に接続している。また、第一乃至第三突起5,6,7は、それぞれ先細で且つ先端が丸められた裁頭円錐形状である。そして、これらの突起5,6,7は、前記基板4のほぼ中央を上下に通る仮想的な中心軸線Xを中心として、前記基板4の縁4Aに沿って配置される楕円状の仮想外側輪Oと、その内側に配置される楕円状の仮想中間輪Mと、その内側に配置される円状の仮想内側輪Iに沿ってそれぞれ設けられている。
【0013】
前記マッサージ装置本体2は、片手で把握可能な大きさである。そして、前記マッサージ装置本体2は、底面側が開口したフレーム2Aと、このフレーム2Aの開口した底面側を閉塞する底面部2Bと、前記フレーム2Aの外面を覆う外殻体2Cとを有して構成されている。そして、前記底面部2Bは、底板9と第一シール部材11とを有する。なお、前記取付部8は、前記底板9に形成されている。そして、前記底板9は、平面視で楕円状に形成されており、前記フレーム2Aの底縁にその外周が固定されていると共に、前記底板9の中央部には上下方向に貫通する円形の窓孔10が形成されており、この窓孔10を覆って伸縮可能な前記第一シール部材11が設けられている。この第一シール部材11は、例えばゴム或いは合成ゴムやエラストマー等の可撓性を有する材質から成る蛇腹状の膜によって、前記窓孔10を水密に封ずるように設けられている。そして、前記マッサージ装置本体2の内部には、前記基板4の中央部を上下方向に往復動させる往復駆動手段12が設けられている。この往復駆動手段12は、前記底板9上に設けられる駆動源としてのモータ13と、このモータ13のモータ軸13Aに減速歯車機構14を介して接続されるクランク機構15と、このクランク機構15の偏心軸15Aに対して一側が連結されるコンロッド16を備えている。なお、前記第一シール部材11のほぼ中央には、接続中継部材17が一体的に取り付けられている。この接続中継部材17は、その上面側と前記コンロッド16の他側とで前記第一シール部材11を挟持して固定すると共に、その下面側にフック17Aが設けられており、このフック17Aに前記基板4中央の上面に設けられたフック受け部4Bが着脱自在に接続されている。従って、前記接続中継部材17は、前記モータ13の回転運動が前記クランク機構15とコンロッド16とで往復運動に変換されることで、上下方向に往復運動するようになっている。これにより、前記フック受け部4Bが設けられた位置が、前記基板4における最大振幅部となり、その振幅は、前記クランク機構15の中心軸から前記偏心軸15Aまでの偏心距離Fの2倍(2F)となる。また、前記フック受け部4B及び接続中継部材17を通って上下方向に仮想的な前記中心軸線Xが形成される。また、前記マッサージ装置本体2の内部には、前記モータ13に電力を供給するための二次電池18が設けられていると共に、前記マッサージ装置本体2の上面側表面には、前記モータ13を操作するための操作スイッチ装置19が設けられている。
【0014】
前記操作スイッチ装置19について詳述する。この操作スイッチ装置19は、前記マッサージ装置本体2に形成された貫通部20と、この貫通部20に設けられた操作部21と、スイッチ22が実装されたスイッチ基板23と、前記操作部21とスイッチ基板23との間に設けられた防水用の第二シール部材24と、前記スイッチ基板23を前記フレーム2Aに固定するための取付板25とを有して構成されている。
【0015】
前記貫通部20は、前記フレーム2Aに形成された貫通孔26と、この貫通孔26から内側に延びた内側環状リブ26Aと、この内側環状リブ26Aと同心状に形成された外側環状リブ26Bと、前記貫通孔26の内側に取り付けられた短円筒状のリング部材27と、このリング部材27を露出させるように、前記貫通孔26に対応して前記外殻体2Cに形成された貫通孔28とで構成されている。なお、前記リング部材27は透光性を有する材質から構成されている。また、前記リング部材27には、その外面に前記貫通孔26からの脱落を防止するためのフランジ部27Aが形成されていると共に、その内面に段差部27Bが形成されている。
【0016】
また、前記操作部21は、ほぼ円盤状に形成されていると共に、その外縁部に、前記段差部27Bと当接可能なフランジ部21Aが形成されており、このフランジ部21Aによって、前記操作部21が前記リング部材27から抜け止めされている。そして、前記操作部21の内面側には、平坦な押圧面21Bが形成されている。
【0017】
また、前記スイッチ基板23におけるスイッチ実装面23Aには、前記スイッチ22の他に、複数の発光ダイオード29が実装されている。なお、前記モータ13の回転速度が停止を含めてn段階に設定可能な場合、前記発光ダイオード29はn個実装される。これらのn個の発光ダイオード29のうち、n−1個は前記モータ13の回転速度表示用であり、1個は充電表示用である。そして、前記スイッチ基板23の他面23Bには、前記スイッチ基板23を図示しない制御回路に接続するためのコネクタ30が実装されている。また、前記スイッチ基板23は、位置決めのために一部が切り欠かれた円形に形成されている。更に、前記スイッチ基板23には、スイッチ実装面23Aの配線パターンと他面23Bの配線パターンを接続するための小径の通孔(図示せず)が複数形成されている。
【0018】
また、前記第二シール部材24は、ゴム弾性及び透光性を有する材質から構成されている。そして、この第二シール部材24は、環状の被挟持部24Aと、この被挟持部24Aの外縁に形成された短円筒状の圧入リブ24Bと、前記被挟持部24Aの内側に形成された膜状の襞部24Cと、この襞部24Cの内側に形成された被押圧部24Dと、この被押圧部24Dの内側に形成された押圧突部24Eとを有して一体に形成されている。前記被挟持部24Aは、前記リング部材27とスイッチ基板23とで挟持される。なお、前記被挟持部24Aの前記スイッチ基板23側には、このスイッチ実装面23Aとの密着性を高めるための環状の突条が形成されている。(この突条は、前記リング部材27とスイッチ基板23とで挟持されることで潰れるため、図3には表れない。)更に、前記圧入リブ24Bは、前記フレーム2Aに形成された内側環状リブ26Aと外側環状リブ26Bとの間に圧入されて、これら内側環状リブ26Aと外側環状リブ26Bに密着する。これによって、前記第二シール部材24は、前記フレーム2A内を水密に保つように、このフレーム2Aに保持される。また、図示しない前記突条が前記スイッチ基板23のスイッチ実装面23Aに密着することで、前記スイッチ基板23と第二シール部材24との間に空間Cが形成される。また、前記襞部24Cは、前記第二シール部材24の他の部分よりも相対的に薄く形成されていることで、他の部分よりも相対的に変形しやすい。そして、前記襞部24Cは、折り返し部24Fにおいて1回折り返されることで、前記スイッチ基板23側に突出した断面V字状となっている。なお、前記折り返し部24Fは、前記スイッチ基板23側に突出しているため、前記操作部21側から見て環状に凹んでいる。従って、前記操作部21と襞部24Cとの間には、環状の空間Rが形成される。なお、この空間Rは、前記リング部材27と操作部21とがシールされていないため、前記マッサージ装置本体2の外部空間と連通している。また、前記被押圧部24Dは、前記押圧面21Bと面接触するように、平坦に形成されている。更に、前記押圧突部24Eは、前記第二シール部材24の他の部分よりも相対的に厚く形成されていることで、他の部分よりも相対的に変形しにくい。そして、前記押圧突部24Eは、前記第二シール部材24の中央に設けられており、前記押圧突部24Eを中心として、前記被押圧部24D、襞部24C、被挟持部24A及び圧入リブ24Bが同軸状で且つ環状に形成されている。また、前記押圧突部24Eは、その内端が前記スイッチ22の可動部22Aに当接する。
【0019】
更に、前記取付板25は、前記フレーム2Aにビス等で固定されることで、このフレーム2Aの内側環状リブ26Aとの間で、前記リング部材27のフランジ部27Aと、前記第二シール部材24の被挟持部24Aと、前記スイッチ基板23を挟持するものである。そして、前記取付板25には、前記スイッチ基板23の他面23Bと当接する平面部25Aが形成されている。なお、この平面部25Aには、前記コネクタ30に対応して貫通孔25Bが形成されている他は、孔が形成されていない。従って、前記平面部25Aが前記スイッチ基板23の他面23Bに当接することで、前記スイッチ基板23に形成された図示しない前記通孔が塞がれる。これによって、前記空間Cは他の空間から隔離される。
【0020】
次に、前記構成について、その作用を説明する。頭皮Sのマッサージを行ったり揉み出し洗いを行ったりする場合、まず使用者は、前記マッサージ装置本体2を把持し、前記操作スイッチ装置19の操作部21を図示しない使用者の指で前記スイッチ22側に押圧する。このように、前記操作部21が押圧されると、この操作部21の押圧面21Bと面接触している前記第二シール部材24の被押圧部24Dも前記スイッチ22側に押されるので、この被押圧部24Dと一体に形成されている前記押圧突部24Eも前記スイッチ22側に移動する。そして、前記押圧突部24Eが前記スイッチ22側に移動すると、この押圧突部24Eによって前記スイッチ22の可動部22Aが押されることになる。なお、前述したように、前記スイッチ基板23と第二シール部材24とで囲まれた狭い前記空間Cが他の空間から隔離されていることにより、前記操作部21、ひいては前記第二シール部材24の被押圧部24Dが前記スイッチ22側に押されると、前記空間C内が圧縮されることになる。しかしながら、この空間C内の圧縮された空気は、前記操作部21側から見て凹んだ前記折り曲げ部24Fを伸ばして前記襞部24Cを前記スイッチ基板23から離れる方向に押し出すように弾性変形させる。これによって、前記空間C内の圧力上昇が緩和され、前記操作部21の操作感が重くならないようにすることができる。なお、前述したように、前記操作部21と襞部24Cとの間に環状の空間Rが形成されているため、弾性変形した前記襞部24Cの行き場が空間Rに確保されている。また、前記空間Rが前記マッサージ装置本体2の外部空間と連通しているので、前記操作部21を押しても、前記空間Rの内圧が上昇せず、前記襞部24Cの前記空間R側への変形を妨げることもない。また、前記襞部24Cは、前記押圧突部24Eを中心として環状に形成されているので、前記襞部24Cが弾性変形する際には、前記襞部24C全体が全周に亘って均一に弾性変形することになる。これによって、前記襞部24Cが局所的に大きく変形したりせず、全体的に小さく変形させることができるので、前記第二シール部材24の特定個所が破損することを抑制することができるばかりでなく、変形した前記襞部24Cが前記操作部21に当接しにくくなるので、前記操作部21の操作感が重くならないようにすることができる。更に、前記空間C内の圧力上昇が緩和されることで、前記空間C内の圧力によって前記押圧突部24Eが変形したりしないので、前記押圧突部24Eを支えるための棒状の構造体が不要となり、前記押圧突部24Eのみによって前記スイッチ22の可動部22Aを確実に押すことができる。これによって、従来用いられてきた棒状の固い構造体によって前記第二シール部材24が押されないので、前記第二シール部材24の破損が抑制される。また、前記スイッチ22の可動部22Aが、弾性変形可能な前記押圧突部24Eのみによって押圧されるので、前記操作部21を強く押しすぎてしまった場合でも、前記押圧突部24Eが弾性変形する。これによって、前記可動部22Aの押圧力を緩和して前記スイッチ22の破損を抑制することができる。なお、前記操作部21から指(図示せず)を離して押圧力を解除すると、前記スイッチ22の可動部22Aの復元力、前記第二シール部材24自体の復元力、及び僅かに上昇した前記空間Cの内圧によって、前記操作部21が、そのフランジ部21Aが前記リング部材27の段差部27Bと当接するまで押し戻されて復帰する。
【0021】
次に、前記操作部21及び第二シール部材24を介して前記スイッチ22の可動部22Aを押すと、図示しない前記制御回路によって、前記電池18から電力が給電されることで、前記モータ13が作動して前記モータ軸13Aが回転すると共に、一部の前記発光ダイオード29が点灯する。なお、前記モータ13の回転速度が停止を含めてn段階に設定可能な場合、前記モータ13は、前記スイッチ22を1回押す毎に回転速度が変化してゆき、前記スイッチ22をn回押すと停止する。同様に、前記モータ13の回転速度が停止を含めてn段階に設定可能な場合、前記発光ダイオード29は、前記スイッチ22を1回押す毎に点灯する個数が変化してゆき、前記スイッチ22をn回押すと全て消灯する。そして、前記モータ13の回転に伴い、前記モータ軸13Aに前記減速歯車機構14を介して接続された前記クランク機構15が回転し、このクランク機構15及びこのクランク機構15の偏心軸15Aに連結された前記コンロッド16によって、前記モータ軸13Aの回転運動が往復運動に変換され、前記コンロッド16に連結された前記接続中継部材17が上下に往復動する。そして、前記基板4は、前記接続中継部材17に接続された前記フック受け部4B、即ち、前記基板4の中央が最大振幅箇所となるように、従来技術と同様に下に撓んだ湾曲凸状態と上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返し、その前記最大振幅個所における振幅は、前記クランク機構の中心軸から偏心軸15Aまでの偏心距離Fの2倍(2F)となる。また、前記発光ダイオード29が発した光は、透光性を有する前記第二シール部材24及びリング部材27を介して、このリング部材27の外端部から放射される。これによって、使用者は前記マッサージ装置1の動作状態を視認することができる。
【0022】
このように、前記施療部3の基板4が下に撓んだ湾曲凸状態と上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返している状態で、使用者は、前記マッサージ装置本体2を把持し、前記突起5,6,7の先端部を前記頭皮Sに押し当てて手で保持する。これにより、主として前記第一突起5は、前記中心軸線Xを中心としてその内側方向に傾斜したり、或いはその後起立したりすることを繰り返すことで、前記頭皮Sを揉むようにしてマッサージを行うことができる。また、前記第二突起6は、前記第一突起5よりも短いため、前記中心軸線Xを中心としてその内側方向に傾斜したり、或いはその後起立したりすることを繰り返すことで、前記頭皮Sに対して先端が擦るようにしてマッサージを行うことができる。また、前記第三突起7は、前記基板4の撓みによって、前記頭皮Sに対して当接と離間を繰り返すことで、前記頭皮Sを軽く叩くようにしてマッサージを行うことができる。
【0023】
なお、前記モータ13の回転に伴い、前記接続中継部材17が繰り返し上下に往復動することで、前記第一シール部材11が撓んで前記フレーム2A内の空間の内圧が変動する。しかしながら、前述したように、前記空間Cが他の空間から隔離されていることで、前記フレーム2A内における前記空間C以外の空間の内圧がどのように変動したとしても、前記空間C内の圧力に影響を与えない。従って、前記モータ13の作動状態によらず、前記スイッチ装置19の操作感を一定に保つことができる。
【0024】
以上のように、前記実施例においては、可撓性を有する基板4とこの基板4の面と交差するように基板4に設けられた複数の突起5,6,7から成る施療部3を、駆動部としてのマッサージ装置本体2の取付部8及び前記マッサージ装置本体2内の往復駆動手段12に、前記マッサージ装置本体2に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持させ、前記往復駆動手段12によって前記基板4をその表面4Sと交差する方向に繰り返し撓ませることで、前記各突起5〜7によって頭皮S等を洗浄又はマッサージするマッサージ装置1であって、前記往復駆動手段12を操作するための操作スイッチ装置19が、前記マッサージ装置本体2に設けられた貫通部20と、この貫通部20に設けられた操作部21と、スイッチ22が実装されたスイッチ基板23と、前記操作部21とスイッチ基板23との間に設けられて前記スイッチ基板23のスイッチ実装面23Aを水密に覆う防水用の第二シール部材24とを有して構成されると共に、この第二シール部材24に膜状の襞部24Cを設けたことによって、前記操作部21を押して前記スイッチ22を操作する際、前記第二シール部材24とスイッチ基板23とで囲まれた狭い空間C内の圧縮された空気が、前記第二シール部材24の変形しやすい襞部24Cを前記スイッチ基板23から離れる方向に押し出すように変形させることで、前記空間C内の圧力上昇を緩和して前記操作部21の操作感が重くならないようにすることができる。
【0025】
また、前記空間C内の圧力上昇が緩和されることで、前記第二シール部材24に一体形成された押圧突部24Eによって前記スイッチ22を確実に押すことができるので、従来のように前記操作部21に棒状の構造体を形成する必要がなくなり、これによって、前記第二シール部材24の破損を抑制することができる。
【0026】
更に、前記押圧突起24Eを中心として環状に前記襞部24Cが形成されていることにより、前記襞部24C全体が全周に亘って均一に弾性変形するので、前記襞部24Cの変形量を小さくすることができ、これによって、特定の個所が大きく変形することによる前記第二シール部材24の破損を抑制することができるばかりでなく、変形した前記襞部24Cが前記操作部21に当接しにくくなるので、前記操作部21の操作感が重くならないようにすることができる。
【0027】
なお、本発明のマッサージ装置は、以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施例では、前記襞部の断面形状をV字状としたが、要は、前記襞部が圧力で変形しやすく且つ膨らんだ前記襞部の逃げ場が前記操作部との間に確保されていれば良いので、断面形状がU字状となるようにしても良く、また、折り返し部を複数設けてW字状となるように形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように本発明に係るマッサージ装置は、各種の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す要部の断面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す分解斜視図である。
【図5】従来例を示す湾曲凸状態の基板まわりの断面図である。
【図6】従来例を示す湾曲凹状態の基板まわりの断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 マッサージ装置
2 マッサージ装置本体(駆動部)
3 施療部
4 基板
4A 縁
4S 表面
5 第一の突起(突起)
6 第二の突起(突起)
7 第三の突起(突起)
8 取付部
12 往復駆動手段
19 操作スイッチ装置
20 貫通部
21 操作部
22 スイッチ
23 スイッチ基板
23A スイッチ実装面
24 第二シール部材(シール部材)
24C 襞部
24E 押圧突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有し、この施療部が、可撓性を有する材質から成る基板と、この基板の表面に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部が、前記基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持する取付部と、前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段と、前記駆動部の表面に設けられた操作スイッチ装置とを有して構成されるマッサージ装置において、
前記操作スイッチ装置が、前記駆動部の内外を貫通して設けられた貫通部と、前記貫通部に設けられた操作部と、この操作部により操作されるスイッチが実装されたスイッチ基板と、前記貫通部に装着されて前記駆動部の内外を隔離するための可撓性を有する防水用のシール部材とを有して構成され、
このシール部材が、前記操作部とスイッチ基板の間に設けられ、このスイッチ基板のスイッチ実装側が前記シール部材によって水密に覆われると共に、このシール部材に膜状の襞部を設けたことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
前記シール部材の中央に、押圧突部を一体に形成したことを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記襞部が前記押圧突部を中心として環状に設けられることを特徴とする請求項2記載のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−189661(P2009−189661A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35151(P2008−35151)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】