説明

マットレス装置及びベッド装置

【課題】利用者が伏臥状態で利用するときに外部の埃を吸い込むことがないようにしたマットレス装置を提供することにある。
【解決手段】矩形状のクッション体6が外装地7によって被覆されたマットレス装置であって、その長手方向の一端部には厚さ方向に貫通する通気孔9が穿設され、通気孔の下端開口には通気孔内に塵埃が入り込むのを阻止するフィルタ部材15が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は利用者が下を向いた伏臥状態で就寝したり、背面にマッサージを受ける場合などに好適するマットレス装置及びそのマットレス装置が用いられたベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マットレス装置を利用して就寝する場合、利用者によっては上を向いた仰臥状態よりも、下を向いた伏臥状態で就寝することを好む場合があり、またマットレス装置上で身体の背面にマッサージを受ける場合、利用者は伏臥姿勢をとることになる。
【0003】
利用者がマットレス装置上で伏臥姿勢をとると、顔面がマットレス装置の上面によって圧迫されるため不快であったり、呼吸がし難くなるなどのことがある。
【0004】
そこで、利用者が伏臥姿勢をとったときに、顔面が圧迫されることがないようにするため、特許文献1に示す構成のクッション用具が提案されている。特許文献1に示されたクッション用具はその一部に顔面が挿入されるクッション性を有する凹部を設け、この凹部には側部又は底部から連通する通気孔或いはパイプを設けるようにしている。
【0005】
それによって、伏臥姿勢をとって上記凹部に顔面を挿入しても、凹部が外部に連通しているため、呼吸がし難くなるのを防止するようにしている。
【特許文献1】特開2004−351217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示されるように、凹部の側部又は底部から連通する通気孔或いはパイプを設ければ、上記凹部の通気性を確保することができる。しかしながら、利用者が顔面を凹部に挿入した状態で呼吸すると、利用者は上記通気孔或いはパイプを通じて上記凹部内に入り込む塵埃を吸い込むということがあり、好ましくなかった。
【0007】
この発明は、利用者が伏臥姿勢で利用した場合に、顔面が圧迫されず、しかも呼吸がし難くなることがないばかりか、塵埃を吸い込むことがないようにしたマットレス装置及びそのマットレス装置が用いられたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、矩形状のクッション体が外装地によって被覆されたマットレス装置であって、
その長手方向の一端部には厚さ方向に貫通する通気孔が穿設され、この通気孔の下端開口には上記通気孔内に塵埃が入り込むのを阻止するフィルタ部材が設けられることを特徴とするマットレス装置にある。
【0009】
上記フィルタ部材は着脱可能に設けられることが好ましい。
【0010】
上記通気孔の上端開口縁は曲面に形成されていることが好ましい。
【0011】
上記通気孔は上記クッション体に設けられた筒状弾性体によって形成されていることが好ましい。
【0012】
この発明は、マットレス装置と、このマットレス装置が載置される載置台を有するベッド装置であって、
上記マットレス装置は長手方向の一端部に厚さ方向に貫通する通気孔が穿設され、この通気孔の下端開口には上記通気孔内に塵埃が入り込むのを阻止するフィルタ部材が設けられ、
上記載置台には上記通気孔に連通する連通孔が形成されていることを特徴とするベッド装置にある。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、マットレス装置の長手方向一端部に厚さ方向に貫通する通気孔を形成し、この通気孔の下端開口にフィルタ部材を設けたから、利用者が伏臥して顔面を上記通気孔の上端開口の部分に押し当てて呼吸しても、外部の塵埃が上記通気孔内に入り込むことがないから、快適な状態で呼吸することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1はベッド装置を示し、このベッド装置は載置台1を備えている。この載置台1は矩形状の載置板2を有し、この載置板はその四隅部下面に設けられた脚体3によって所定の高さで水平に支持されている。
【0016】
上記載置台1にはマットレス装置5が載置されている。このマットレス装置5はウレタンフォームなどの弾性材料によって所定の厚さを有する板状に形成されたクッション体6と、このクッション体6を被覆した外装地7とによって形成されている。
【0017】
図3に示すように、上記マットレス装置5の長手方向一端部には、ウレタンフォームなどの弾性材料によってクッション体6とほぼ同じ厚さ寸法に形成された筒状弾性体11が設けられている。この筒状弾性体11は、図5(a),(b)に示すように断面形状が楕円状の通気孔9が厚さ方向に貫通して形成されている。なお、上記外装地7の上鏡地7a及び下鏡地7bの上記通気孔9の上下面に対応する部分は開口されている。
【0018】
上記通気孔9の内周面は断面が楕円形状の筒状布地12によって被覆されている。この筒状布地12は、長さ寸法が上記クッション体6の厚さ寸法よりも短く設定されていて、上端は上記外装地7の上鏡地7aの通気孔9と対応する部分に形成された開口の周縁に縫合され、下端には第1のファスナ12aが全周にわたって縫着されている。
【0019】
上記外装地7の下鏡地7bの上記通気孔9に対応して形成された開口の周縁には第2のファスナ12bが楕円形状に縫着されている。そして、上記第1のファスナ12aは上記第2のファスナ12bに連結される。
【0020】
上記筒状布地12は長さ寸法がクッション体6の厚さ寸法よりも短く設定されている。そのため、上記第1のファスナ12aを上記第2のファスナ12bに連結するとき、筒状布地12を下方へ引っ張ることによって、上記第1、第2のファスナ12a,12bを連結する。
【0021】
それによって、上記筒状弾性体11の通気孔9の上端縁の部分が円弧状に弾性変形するから、上記通気孔9の上端開口縁が曲面13となる。なお、筒状弾性体11の上端部を下端部よりも柔らかな弾性材料によって形成すれば、第1、第2のファスナ12a,12bを連結したときに、上記筒状弾性体11の上端部である、通気孔9の上端開口縁に曲面13を確実に形成することができる。
【0022】
上記通気孔9の下端開口にはフィルタ部材15が着脱可能に設けられている。このフィルタ部材15は、図3と図4に示すように、メッシュ状の布地によって縫製された扁平状の袋16に、布地や紙材などのフィルタシート17が収納されていて、その一側面の周辺部には第1の面状ファスナ18が周方向の全長にわたって矩形状に設けられている。
【0023】
上記マットレス装置5の下面の上記通気孔9の周辺部には第2の面状ファスナ19が第1の面状ファスナ18と対応して矩形状に設けられている。それによって、上記フィルタ部材15は、第1の面状ファスナ18を第2の面状ファスナ19に係着させることで、上記マットレス装置5の下面に着脱可能に設けられている。
【0024】
なお、第1、第2の面状ファスナ18,19を矩形状に設けたことで、フィルタ部材15の周辺部が全長にわたってマットレス装置5の下面に係着保持される。それによって、通気孔9の下面開口はフィルタ部材15によって確実に閉塞されるから、フィルタ部材15を通過した外気だけが通気孔9の下面開口からその内部に入り込む。
【0025】
図1に示すように、上記載置台1の載置板2には、上記マットレス装置5の通気孔9に対応する位置に連通孔21が厚さ方向に貫通して形成されている。それによって、上記通気孔9は上記フィルタ部材15を介して載置板2の下面側の外気に連通している。
【0026】
上記構成のベッド装置において、図1に鎖線で示すように利用者Uがマットレス装置5の上面に伏臥する場合、顔面を上記マットレス装置5の長手方向の一端部に開口形成された通気孔9の部分に押し当てる。つまり、通気孔9内に鼻と口とが位置するよう、顔面を押し当てる。
【0027】
上記通気孔9は載置板2に形成された連通孔21に連通している。それによって、通気孔9は外部に連通しているから、楽に呼吸することができる。しかも、通気孔9の下端開口にはフィルタ部材15が設けられている。そのため、そのフィルタ部材15によって、外部の塵埃が通気孔9の下端開口内部に流入するのが阻止されるから、利用者Uは清浄な空気だけを吸引することができる。
【0028】
上記通気孔9の上端開口縁は筒状布地12によって曲面13に形成されている。そのため、利用者Uが顔面を通気孔9の部分に押し当てたとき、顔面には通気孔9の開口縁の曲面13が当たるから、エッジが当たる場合のように利用者Uに不快感を与えるということがない。
【0029】
上記フィルタ部材15はマットレス装置5の下面に着脱可能に設けられている。そのため、マットレス装置5の下面からフィルタ部材15を取り外し、通気孔9に、図6(a),(b)に示す、上記通気孔9とほぼ同じ形状に形成された詰め物23を挿入すれば、伏臥用でなく、仰臥用のマットレス装置5として使用することができる。
【0030】
なお、上記詰め物23はウレタンフォームなどの弾性材24をファスナ25aによって開閉可能な袋状に縫製された布地25で被覆して形成されている。弾性材24は硬さの異なる三層24a〜24c構造となっていて、最も柔らかな層24aを上にすれば、利用者Uに快適な感触を与え、詰め物23による不快感を与えることがない。
【0031】
上記一実施の形態ではマットレス装置のクッション体がウレタンフォームで形成されている場合について説明したが、クッション体はプリングユニットであっても差し支えない。
【0032】
マットレス装置に形成される通気孔の断面形状は楕円形に限定されず、三角形状や円形状などであってもよく、要は伏臥した利用者が顔面を押し当てたときに、鼻と口の部分がマットレス装置の上面で圧迫されず、通気孔によって開放される形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この一実施の形態を示すベッド装置の正面図。
【図2】上記ベッド装置に用いられるマットレス装置の平面図。
【図3】マットレス装置の通気孔が形成された部分の拡大断面図。
【図4】上記開口部に設けられるフィルタ部材の一部断面した平面図。
【図5】(a)は開口部を形成するためにマットレス装置のクッション体に設けられる筒状弾性体の平面図、(b)は一部断面した側面図。
【図6】(a)は開口部に装填される詰め物の平面図、(b)は同じく外装地の一部を除去した側面図。
【符号の説明】
【0034】
1…載置台、2…載置板、5…マットレス装置、7…外装地、9…通気孔、11…筒状弾性体、13…曲面、15…フィルタ部材、23…詰め物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のクッション体が外装地によって被覆されたマットレス装置であって、
その長手方向の一端部には厚さ方向に貫通する通気孔が穿設され、この通気孔の下端開口には上記通気孔内に塵埃が入り込むのを阻止するフィルタ部材が設けられることを特徴とするマットレス装置。
【請求項2】
上記フィルタ部材は着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。
【請求項3】
上記通気孔の上端開口縁は曲面に形成されていることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。
【請求項4】
上記通気孔は上記クッション体に設けられた筒状弾性体によって形成されていることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。
【請求項5】
マットレス装置と、このマットレス装置が載置される載置台を有するベッド装置であって、
上記マットレス装置は長手方向の一端部に厚さ方向に貫通する通気孔が穿設され、この通気孔の下端開口には上記通気孔内に塵埃が入り込むのを阻止するフィルタ部材が設けられ、
上記載置台には上記通気孔に連通する連通孔が形成されていることを特徴とするベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−35970(P2008−35970A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211284(P2006−211284)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】