説明

マットレス装置

【課題】この発明は詰め物のへたり度合いを客観的に判断することができるマットレス装置を提供することにある。
【解決手段】スプリングユニット1と、スプリングユニットの上下面のうちの少なくとも上面に設けられたシート状の第1の詰め物6と、スプリングユニットと第1の詰め物とを被覆した外装体7と、詰め物及び外装体を貫通して設けられ一端がスプリングユニットに固定され外装体から突出した他端には外装体の外面に接触する接触部材16が連結されていて、第1の詰め物にへたりがないときにはたるみのない状態に張られる紐状部材15とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はスプリングユニットを外装体で被覆して構成されるマットレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マットレス装置はスプリングユニットを有する。このスプリングユニットはばね体としてたとえば多数のコイルスプリングを行列状に配置し、隣り合うコイルスプリングの上端面と下端面とを図示しないヘリカル線によって連結するとともに、上下面の周縁部に枠線をクリップによって取着して形成されている。
【0003】
上記スプリングユニットの上下面にはそれぞれウレタンフォームや綿などを所定の厚さのシート状に形成した詰め物が積層され、この詰め物とスプリングユニットの積層体は外装体によって被覆される。このような構成のマットレス装置は特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開2000−225143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のマットレス装置を長期間にわたって使用すると、スプリングユニット上に設けられた詰め物が繰り返して圧縮荷重を受けることになる。その結果、上記詰め物にへたりが生じるから、その詰め物が本来有した詰め物としてのクッション性能や保温性などの性能が大幅に低下することになる。
【0005】
しかしながら、従来は上記詰め物にへたりが生じたかどうかの判断は利用者が主観的に行うだけであり、客観的に判断するということができなかった。そのため、詰め物の性能が損なわれたマットレス装置を使用し続けることがあるため、上記詰め物のへたり度合いを客観的に判断できるようにすることが望まれていた。
【0006】
この発明は、詰め物のへたり度合いを客観的に判断することができるようにしたマットレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、スプリングユニットと、
このスプリングユニットの上下面のうちの少なくとも上面に設けられたシート状の第1の詰め物と、
上記スプリングユニットと上記第1の詰め物とを被覆した外装体と、
上記詰め物及び上記外装体を貫通して設けられ一端が上記スプリングユニットに固定され上記外装体から突出した他端には上記外装体の外面に接触する接触部材が連結されていて、上記第1の詰め物にへたりがないときにはたるみのない状態に張られる紐状部材と
を具備したことを特徴とするマットレス装置にある。
【0008】
上記外装体の上記詰め物を被覆した鏡部は、表地と裏地との間に第2の詰め物が設けられた構成であって、上記紐状部材は上記第1の詰め物と第2の詰め物とにへたりがないときにたるみのない状態に張られていることが好ましい。
【0009】
上記外装体は、上記スプリングユニットの上下面に設けられる一対の鏡部と、上下端を上記鏡部の周縁部に着脱可能に連結して設けられたまち部とによって構成されていることが好ましい。
【0010】
上記紐状体には、上記詰め物にへたりが生じて上記紐状体にたるみが生じたときに、そのたるみ量を判別する識別部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、スプリングユニット上に設けられた第1の詰め物がへたると、そのへたりに応じて紐状部材にたるみが生じるから、そのたるみ量によって詰め物のへたり度合いを判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態を図1乃至図4を参照して説明する。
図1乃至図3に示すこの発明のマットレス装置はスプリングユニット1を有する。このスプリングユニット1は多数のコイルスプリング2を行列状に配置し、隣り合うコイルスプリング2の上下端面をそれぞれヘリカル線3によって連結して平面形状が矩形状になるよう形成されている。
【0013】
上記スプリングユニット1の上下面の周縁部にはそれぞれ枠線4が図示しないクリップによって連結されている。さらに、スプリングユニット1の上下面にはフェルトなどの保護布5を介してウレタンフォームや綿などの第1の詰め物6が積層されている。
【0014】
上記スプリングユニット1と第1の詰め物6との積層体は外装体7によって被覆されている。この外装体7は、スプリングユニット1の上下面に設けられる一対の鏡部8と、上記スプリングユニット1の外周面に設けられるまち部9を有する。
【0015】
上記まち部9の上下端には上記一対の鏡部8の周縁がテープエッジ11によって縫合されている。一対の鏡部8の内面に周辺部にはフランジ布12の一端が縫合されている。フランジ布12の他端は上記スプリングユニット1の周辺部に位置するコイルスプリング2にクリップ13によって連結されている。それによって、上記第1の詰め物6及び外装体7が上記スプリングユニット1に保持されている。
【0016】
上記鏡部8は表地8aと裏地8bとの間にシート状のウレタンフォームや綿などの第2の詰め物8cを設け、これら三者を一体的にキルティングして形成されている。
【0017】
上記まち部9も、上記鏡部8と同様、表地9aと裏地9bとの間にシート状のウレタンフォームや綿などの詰め物9cを設け、これら三者を一体的にキルティングして形成されている。
【0018】
上記スプリングユニット1の一方の面には樹脂製繊維などからなる紐状部材15の一端が連結固定されている。この紐状部材15は上記第1の詰め物6及び上記鏡部8のキルティングの部分から外れた部分、つまり第2の詰め物8bの部分を貫通している。そして、鏡部8の外面に突出した他端には円盤状の接触部材16が連結固定されている。
【0019】
上記紐状部材15の長さ寸法は、第1の詰め物6と第2の詰め物8bとが新しい状態、つまり圧縮荷重を繰り返して受ける前のへたりがない状態において、図1に示すようにたるみのない長さに設定されている。さらに、紐状部材15は、図4に示すようにその長さの上側の約40%が下半分と識別可能となるよう色分けられた識別部17に形成されている。
【0020】
このような構成のマットレス装置によれば、図1に示すようにスプリングユニット1上に設けられた第1の詰め物6と第2の詰め物8bとにへたりがない場合、紐状部材15はこの紐状部材15に連結された接触部材16が鏡部8の外面に接触していることで、たるみのない状態に張っている。そのため、接触部材16を摘んで持ち上げても、この接触部材16が鏡部8の外面から浮き上がることがない。つまり、接触部材16を掴み上げたときに、この接触部材16が鏡部8の外面から浮き上がらなければ、第1、第2の詰め物6,8bにへたりが生じていないことになる。
【0021】
マットレス装置を長期間にわたって使用することで、第1、第2の詰め物6,8bにへたりが生じると、図2に示すように上記詰め物6、8bのへたり度合に応じて紐状部材15にたるみが生じる。紐状部材15にたるみが生じたときに、図3に示すように接触部材16を摘み上げると、この接触部材16が上記紐状部材15のたるみに応じた分だけ鏡部8の上面から浮き上がる。それによって、利用者は詰め物6、8bにへたりが生じたことを客観的に判断することができる。
【0022】
上記紐状部材15の長さの約40%は他の部分と色分けされた識別部17に形成されている。そのため、接触部材16を摘み上げてたるんだ紐状部材15を引き伸ばしたときに、識別部17が鏡部8の上面からどの程度露出しているかによって、詰め物6、8bのへたり度合を判定することができる。
【0023】
接触部材16を摘み上げたときに、たとえば鏡部8の上面から紐状部材15の識別部17のほぼ全体が露出すれば、詰め物6、8bのへたり度合が最初の厚さに対して約40%であると判定することができる。
【0024】
つまり、紐状部材15に識別部17を設けたから、接触部材16を摘み上げてたるんだ紐状部材15を伸ばしたときの上記識別部17が鏡部8の外面から露出する度合によって詰め物6、8bのへたり度合を判定することができる。
【0025】
図5はこの発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態は外装体7の鏡部8とまち部9をテープエッジ11によって縫合せず、連結手段としてのファスナ21によって着脱可能に連結した。なお、連結手段としてはファスナに代わり、ホックなどであってもよい。
【0026】
鏡部8を着脱可能な構成とすれば、詰め物6、8bに所定以上のへたりが生じたとき、鏡部8を取り外して第1の詰め物6を交換したり、第2の詰め物8bが設けられた鏡部8交換することができる。
【0027】
なお、上述した各実施の形態では鏡部に第2の詰め物が設けられた構成を例に挙げて説明したが、鏡部に第2の詰め物がなく、第1の詰め物だけが設けられる場合であっても、接触部材が連結された紐状部材を設けることで、第1の詰め物のへたり度合を判定することができる。
【0028】
また、マットレス装置としては第1の詰め物や鏡部がスプリングユニットの少なくとも上面に設けられる構成であればよい。さらに、紐状部材及び接触部材はマットレス装置の上下面及び各面にそれぞれ複数設けるようにしてもよく、その数や位置はなんら限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施の形態のマットレス装置の第1、第2の詰め物がへたりを生じていない状態を示す一部分の拡大断面図。
【図2】第1、第2の詰め物にへたりが生じて紐状部材にたるみが生じた状態を示すマットレス装置の一部分の拡大断面図。
【図3】第1、第2の詰め物にへたりが生じたときにたるんだ紐状部材を引き伸ばした状態を示すマットレス装置の一部分の拡大断面図。
【図4】接触部材が連結された紐状部材を示す斜視図。
【図5】この発明の他の実施の形態を示すマットレス装置の一部分を示す断面図。
【符号の説明】
【0030】
1…スプリングユニット、2…コイルスプリング、5…第1の詰め物、7…外装体、鏡部、8b…第2の詰め物、9…まち部、15…紐状部材、16…接触部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリングユニットと、
このスプリングユニットの上下面のうちの少なくとも上面に設けられたシート状の第1の詰め物と、
上記スプリングユニットと上記第1の詰め物とを被覆した外装体と、
上記詰め物及び上記外装体を貫通して設けられ一端が上記スプリングユニットに固定され上記外装体から突出した他端には上記外装体の外面に接触する接触部材が連結されていて、上記第1の詰め物にへたりがないときにはたるみのない状態に張られる紐状部材と
を具備したことを特徴とするマットレス装置。
【請求項2】
上記外装体の上記詰め物を被覆した鏡部は、表地と裏地との間に第2の詰め物が設けられた構成であって、上記紐状部材は上記第1の詰め物と第2の詰め物とにへたりがないときにたるみのない状態に張られていることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。
【請求項3】
上記外装体は、上記スプリングユニットの上下面に設けられる一対の鏡部と、上下端を上記鏡部の周縁部に着脱可能に連結して設けられたまち部とによって構成されていることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。
【請求項4】
上記紐状体には、上記詰め物にへたりが生じて上記紐状体にたるみが生じたときに、そのたるみ量を判別する識別部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−289266(P2007−289266A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118163(P2006−118163)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】