説明

マトリックス材料への試薬の適用

試薬または試薬がその上に支持されている粒子が、接触印刷プロセスによってマトリックス材料に適用される。例えば、この印刷プロセスにおいて、試薬または試薬がその上に支持されている粒子をマトリックス材料に移動させるために、マトリックス材料は、試薬または試薬がその上に支持されている粒子をその上に配置した回転接触ロールと接触される。このような接触印刷プロセスは、アッセイデバイスの高速かつ大量の製造を可能にする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、試験デバイスとしての使用のために試薬がそれに適用されたマトリックス材料に関する。1つの局面において、本発明は、マトリックス材料への試薬の適用に関する。別の局面において、本発明は、試薬を有するマトリックス材料をそれ自体組み込む試験デバイスに関する。本発明は特に、マトリックス材料および試薬、ならびに任意に、試験結果の指標もまた含むサンプラーを備えた内蔵型アッセイデバイスをとりわけ製造するために、アッセイ法において使用される試薬およびマトリックス材料への特定の適用を有する。
【背景技術】
【0002】
試料中に存在することが疑われる分析物の現場試験のために、工程の数、試験成分の数および試薬取り扱い量を最小化することが重要である。多くの市販の試験は、サンプラーおよび、新たに取られた試料をより綿密な分析のために実験室に輸送するためのある種の輸送単位からなる。しかし、この実務は、サンプラー、輸送媒体および輸送単位それ自体に対して要求を有するので、多くの欠点を有する。実験室からのアッセイ結果を受け取る際に不可避の遅れを認知することが最重要である。
【0003】
これらの欠陥を克服するために、異なる種類の現場試験が開発されてきた。それらと反応させることによって分析物を検出する試薬を支持する、いくつかの公知の内蔵型のアッセイデバイスが存在する。陽性の結果は、例えば、目に見える変化によって示される可能性がある。一般的に、この型のアッセイデバイスは、試験のために試料が引き続いて加えられるマトリックス材料上に試薬を支持する。
【0004】
この型のアッセイデバイスの周知の例は、妊娠検査ならびに尿試料中のタンパク質、タンパク質分解酵素、および白血球を測定するための試験である。他の特定の例は以下の通りである。
【0005】
このような試験、組成物、および薬剤は、例えば、米国特許第4,278,763号、同第4,299,917号および同第4,657,855号に開示されている。これらの発明者らは、連続的に異なる試薬を含浸させ、次いで乾燥させた濾紙を開発した。試験を実行するために、尿を収集するためのデバイスが必要とされる。尿の収集後、これは、試験デバイスの試料受け取り部位に供給され、または試験ストリップが尿と接触される。
【0006】
米国特許第5,049,358号は、試験試料中のアルブミン、またはベンス・ジョーンズ(Bence Jones)タンパク質としてのタンパク質の存在および濃度を決定するデバイスまたは方法を開示している。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0214339号は、緩衝液がアッセイ法のpHを維持する水性試験液体中でタンパク質を検出する方法およびデバイスに関する。
【0008】
米国特許第6,397,690号および同第6,378,386号は、表面の清浄性を定量するための手順およびツールに関する。この手順は、拭き取りの前後での反射率の損失を決定することによって、特定の表面汚染を測定する。
【0009】
米国特許第6,770,485号は、生物学的材料を検出する方法、特に、微生物、生物学的毒素などのような生物兵器因子を測定するためのアッセイ法、方法およびキットに関する。前記特許は、試料がスワブまたはパッドなどによって最初に収集される方法を開示する。1つまたは複数の試薬と接触された場合に、タンパク質の存在は検出可能なシグナル(例えば、色)を生じる。タンパク質指示剤を含浸した試験ストリップに加えて、試験ストリップはまた、糖およびpH指示剤を含んでもよい。これらのための別々の試験ストリップもまた、提供されてもよい。
【0010】
米国特許第5,981,287号は、ハウスダストがタンパク質検出剤で処理される、ハウスダストの測定のための方法に関する。フィルター成分中のダスト物質は、タンパク質検出剤がフィルターに適用される場合に着色する。
【0011】
一般的に、マトリックス材料は、一連の範囲の形態をとってもよいが、しかし一般的には、吸収性材料であり、1つの例はペーパーウェブである。ペーパーウェブ製の従来的な製品は、いくつかの重要な特性を含む。通常、これらは、清掃および拭き取りのために使用され、それゆえに、高度に吸着性であり、かつ良好な伸縮性特徴を有するべきである。例えば、米国特許第6,649,025号は、製品の各々の側に異なる表面特性を有する別々のパイルから作られる拭き取り製品を記載している。第1および第2の外部層は互いに積層することができる。これらは、エンボス加工し、および入れ子構造にできる。この特許に開示された製品は、任意の表面または対象物を清掃および磨くために意図され、とりわけ適切である。
【0012】
一般論として、アッセイ法の実施は、アッセイ法のために必要とされるすべての必要な試薬および機能を含むコンパクトアッセイデバイスを使用することによって達成することができる。多くのアッセイ法において、サンプリングの直前、その間、またはその後に合わせられる2種以上の試薬が使用されてもよい。これらの必要性を満たすために、別々の試薬リザーバーを有する区画化された構造のような他の専門的な溶液が導入されてきた。いくつかの試料アッセイデバイスが、実験室環境と非実験室環境の両方においてサンプリングを容易にすることを目的とする種々の型の分析のために開発されてきた。非実験室環境のために、容易な輸送および廃棄物の処分を確実にする非液体試薬を有することもまた便利である。
【0013】
試薬がマトリックス材料に適用され、典型的には、吸収性マトリックス材料に含浸されることはこのようなアッセイデバイスにおいて一般的である。これは、使用する準備ができた試験を生じる。試薬を適用するための多数の技術が知られている。しかし、多くのこのような公知の技術は時間がかかりかつ高価である。公知の技術は誤りを起こしやすいことが一般的である。公知の技術のいくつかの例は以下の通りである。
【0014】
両方とも1970年代の後期にさかのぼる米国特許第4,046,513号および英国特許第1,601,283号に開示されている技術の型は、スタンプ印刷技術、例えば、シルクスクリーン印刷またはオフセット印刷を使用してマトリックス材料に試薬を適用することであり、ここでは、その上に試薬が配置された接触部材がマトリックス材料上にスタンプされる。より最近に開発された技術は以下の通りである。
【0015】
欧州特許第0,342,771号(ならびに関連案件である米国特許第5,763,262号ならびに米国特許出願公開第2001/0023075号および同第2002/0187561号)は、市販の印刷デバイスを使用することによって、試薬が小口径ノズルを通して薄い液体蒸気中でマトリックス上に適用されるスプレー送達方法を提供する。この方法はまた、試薬の適用を制御するために、音の振動および電場を用いる。
【0016】
米国特許第5,958,790号は、試薬を含む溶液中で紙をインキュベートすることによって、ニトロセルロース紙に試薬を含浸させるための方法を開示している。これは非常に時間がかかる。
【0017】
米国特許第5,252,496号は、メンブレンに抗体を適用するためのラインスプレー法を用いる。さらに、米国特許第5,149,622号は、フィルターへの試薬の滴下する付加と、または、マトリックスの材料へのスプレーされたかもしくはさもなくば分散されたかのいずれかである種々のパターンの領域の使用の両方を開示している。
【0018】
欧州特許第1,107,004号は、微小滴の蒸気が基材に向けられる、非衝撃型印刷技術を使用する、非吸着性基材の親水性標的領域への試薬の適用を開示している。
【0019】
米国特許第5,658号は、試薬の液滴のアレイがインクジェット印刷技術を使用してパターン中に置かれる、診断アレイを形成するための固体基材に試薬を適用するための技術を開示している。
【0020】
米国特許出願公開第2002/0,064,887号は、固体支持体上に液体を沈着するためにリザーバー、キャピラリーおよびノズルを備えた印刷システムを開示している。
【発明の開示】
【0021】
概観すると、マトリックス材料に試薬を適用するために使用されている技術は、ますます洗練されかつ技術的に複雑になっている。明確に、これは、技術的アプローチに対して要求を有している。本発明の第1の局面は、マトリックス材料に試薬を適用するための技術を改善することに関する。
【0022】
本発明の第1の局面に従って、試薬または試薬がその上に支持されている粒子をマトリックス材料に適用する方法が提供され、この方法は、試薬または試薬がその上に支持されている粒子をその上に配置した接触ロールが回転され、かつ上記接触ロールおよびマトリックス材料が相対的に移動されながら、上記接触ロールをマトリックス材料と接触させることによって、上記試薬または粒子をマトリックス材料に印刷する工程を含む。さらに、本発明の第1の局面に従って、この方法によって適用された試薬または粒子を有するマトリックス材料が提供される。
【0023】
このような接触印刷技術を用いることによって、安価、迅速かつ製品にやさしい、短時間に大量に製造する方法が達成されることが認識される。例えば、以降に記載される態様は、一般的に印刷の分野において標準であるロールツーロール印刷技術を用いる。このような標準的なロールツーロール印刷技術は、高速で大量の製造を均一な品質で可能にする。
【0024】
実施される方法は、手動で、または洗練されたスプレーもしくはインクジェット型のアプローチを用いて実施される技術とは明確に区別される。本発明において使用される方法は、このような公知の方法よりも強固であり、それゆえに、大スケールの連続フロー製造に適用可能である。同様に、この方法は、公知の技術と同程度に品質が変動しやすいわけではない。
【0025】
試薬がそこに適用されたマトリックス材料は、これがアッセイ法のために必要な試薬を含んで使用準備ができているので、臨床的または衛生的な現場試験のために適切である内蔵型アッセイデバイス中で特に有用である。例えば、このアッセイデバイスは、サンプラーおよび試験結果の指示剤を含んでもよい。試験結果を読み取るためにデバイスが必要とされないので、使用価値もまた高い。
【0026】
このような印刷技術の使用はまた、所定のパターンでのマトリックス材料への試薬または粒子の適用を容易にする利点を有する。例えば、所定のパターンは、試薬または粒子の部位において試料濃度を増加するように選択されてもよく、またはユーザーを補助することができる1つまたは複数の英数字記号であってもよい。これは、パターン中の接触部材上に最初に配置された試薬または粒子によって達成されてもよい。
【0027】
方法は、液体型、例えば、溶液中の試薬を印刷するために適用可能であるが、粒子上に支持されている試薬を印刷するためにも等しく適用可能である。有用な適用はクロマトグラフィーアッセイ法においてである。さらに、この方法は、いかなる試薬も支持していない印刷粒子にも同様に適用可能である。
【0028】
試薬は、単一の化合物または混合物を含む任意の型であり得る。本発明は、試料中の少なくとも1種の化学的または生物学的分析物についてのアッセイ法として作用可能であり、または試料のpHを検出可能である試薬に特に適用可能である。1つの有利な試薬はリガンドまたはアンチリガンドである。有用な試薬のあるさらに特定の例は以下に示される。
【0029】
マトリックス材料は、試薬または粒子を支持可能である任意の型であり得、マトリックス、紙、メンブレンまたはディップスライドを含むが全くこれらのみではない。しばしば、マトリックス材料は、試薬または粒子がマトリックス材料に含浸するように吸収性であり、これは試薬または粒子の保持を容易にする。同様に、吸収性材料の使用は、試薬または粒子との反応のために試料の添加を容易にし得る。従って、本発明は、アッセイデバイス、特に現場試験のために適切であるアッセイデバイスにおける使用のために、マトリックス材料に特に適用可能である。このようなデバイスにおいて、マトリックス材料はまた、土台に密閉されてもよく、アッセイ法のケーシングまたはカートリッジを形成する。
【0030】
マトリックス材料の吸収能力は、マトリックス材料の選択によって選ばれてもよい。マトリックス材料は、例えば、しかし非限定的に、織布または不織布のセルロース、ビスコース、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらのブレンド混合物であり得る。マトリックス材料は表面構造を有してもよく、またはこれは吸収性材料の表面ウィッキング特性を増加するためにクレープで覆って(crepe)もよい。マトリックス材料の厚さもまた、所望の吸収能力を達成するために調整されてもよい。
【0031】
好都合に、マトリックス材料を積層したさらなる材料の少なくとも1つの層が存在し得る。積層材料は、種々の異なる目的を有してもよく、これらのいくつかの例は以下の通りである。異なる積層手順もまた、マトリックス上での試料が脱離することと濃縮の両方を改善するために使用されてもよい。さらなる材料は、マトリックス材料の片側または両側の不浸透性層であり得る。さらなる材料は、デバイスに付加的な剛性を与え得る。さらなる材料は、例えば、サンプリングの間にマトリックス材料からの試薬の浸出または漏出のいずれかを減少または妨害するための半透性材料層であり得る。
【0032】
本発明の第2の局面は、試薬を支持するマトリックス材料を取り込む試験デバイスの操作を改善することに関する。
【0033】
本発明の第2の局面に従って、最初に、試験デバイスが提供され、このデバイスは、
2つの不浸透性層;および
上記不浸透層間に配列されたマトリックス材料の層、
試薬を有するマトリックス材料を備え、ならびに
上記不浸透層の一方がマトリックス材料と並列されている複数の開口部を有し、そこを通して試料がマトリックス材料に適用されてもよい。
【0034】
試験またはアッセイ法の実施のために、試料は、開口部を通してマトリックス材料に、従って、マトリックス材料上に運ばれた試薬に適用されてもよい。特定の利点は、以下のように、単一の大きな開口部を示すものと比較して、複数の開口部の提供により達成される。
【0035】
複数の開口部の提供は、試薬との反応の強度を増加することの結果を有すること、従って、試験結果の改善、例えば、色の変化がより見られるようにすることが観察される。このことを達成するための理由は十分に理解されていないが、以下のようにマトリックス材料の内部でのキャピラリー作用に起因して達成されると考えられている。開口部は、試料が各開口部の下でマトリックス材料と接触するという点で、各開口部下での別々の反応の実施を提供するものとして見られてもよい。これは、1つの開口部の下の各位置において試料によるマトリックス材料の局所的飽和を生じ、試料は、各開口部の周辺に向かって外側に拡散する。これは、より強烈な反応を局所的に生じる濃度の障壁を引き起こすと考えられている。
【0036】
複数の開口部はまた、表面をこする不浸透性層中に形成した開口部の各々の端によって表面から試料を抽出する際の補助を行うことができる。
【0037】
本発明の第2の局面に従って、2つめには試験デバイスが提供され、このデバイスは、
2つの不浸透性層;
上記不浸透性層の一方がマトリックス材料と並列されている少なくとも1つの開口部を有し、そこを通して試料がマトリックス材料に適用されてもよい、上記不浸透層間に配列されたマトリックス材料の1つの層;および
試薬の逆流を制限しながら、試料がそこを通って通過することが可能である半透性材料から作られている、少なくとも1つの開口部を横切って広がる半透性層
を備える。
【0038】
半透性層は、サンプリングの間にマトリックス材料からの試薬の浸出または漏出を減少する利点を有する。さらにこれは、サンプリングされた表面に戻る水分の浸出または漏出を減少する。
【0039】
印刷によってマトリックス材料に試薬を適用するために適切である接触印刷技術を実施するために操作可能である装置が初めて記載される。より正確には、診断試験の製造よりはむしろ文書の印刷のために通常用いられる高速、大量の標準的なロールツーロール印刷技術を含む装置が、試薬をマトリックスに含浸させる。ロールツーロール技術はそれ自体公知であるが、本発明を使用するために必要である程度まで説明される。
【0040】
この装置は、ブロモクレゾールグリーン(BCG)、酢酸、酢酸メチルおよびアルコールを含むブロモクレゾールグリーン試薬をマトリックス材料に適用するために設計されている。それにも関わらず、この技術は、BCGには限定されず、しかし一般的には、同様の技術を使用して任意の試薬をマトリックスに適用することもまたできる。この技術は、試薬を支持する粒子を適用するために等しく適用可能である。粒子上での試薬の支持は、リガンドまたはアンチリガンドである試薬への特定の適用である。粒子は任意の種類、材料またはサイズであってもよく、例えば、ラテックス粒子、コロイド状金粒子または磁気粒子であり得る。粒子は、着色していてもよいし、着色していなくてもよいかのいずれかである。
【0041】
この態様において、マトリックス材料1はペーパーウェブであるが、マトリックス材料は任意の型をとることができ、好ましくは、アッセイデバイス中でのその使用を容易にするために吸収性であることが注目される。
【0042】
ブロモクレゾールグリーン化学に基づくタンパク質試験のロールツーロール製造は、3つの段階に分けることができる。すなわち、1)マトリックス材料の前処理、2)試験マトリックスへの試薬溶液の印刷、および3)コンパクト型の1つまたは複数の層を有する試験実体を形成するための、1つまたは複数の補助層を用いる印刷される試験マトリックスの積層である。これらの3つの段階を実施するための装置がここで説明されるが、これらの段階は所定の順序で実施される必要はないことが注目される。
マトリックス材料1の前処理は、酸バス中でマトリックス材料1を洗浄すること、または必要とされる酸溶液をマトリックス材料に直接的に印刷することのいずれかによって実施することができる。この酸は任意の種類の酸(例えば、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、酒石酸)であり得、その機能は小さなpHの変化に対して試験マトリックスを緩衝することである。従って、これは、試験の信頼性および安定性を増加する。洗浄プロセスによる前処理は、マトリックス材料1が徹底的に湿らされ、引き続く乾燥時間まで、所定のpHの酸を含む酸バスへのマトリックス材料1の浸漬を含む。印刷による前処理は、ロールツーロールプロセスまたはストップアンドゴー型のプロセスのいずれかであり得る。
【0043】
図1は、前処理を適用するための印刷技術としてロールツーロールグラビア印刷を用いて、前処理試薬としてクエン酸を使用する前処理プロセス装置20の図解である。図1において、および続く図において、矢印は、マトリックス材料1の流れの方向を示す。前処理プロセス装置20は以下のように配列される。
【0044】
オープントレイ21は前処理酸22を含む。接触ロール23は、それが回転するにつれてその上に酸22が沈着するように、酸22の中に部分的に浸漬される。接触ロール23は、マトリックス材料1の反対側に、かつまたマトリックス材料1と接触して配置された圧力ロール24に対向してマトリックス材料1と接触する。ワイパー25は、接触ロール23が回転するにつれてマトリックス材料1との接触の前に過剰の酸22を除去するために、接触ロール23に対向して配列される。
【0045】
操作中、接触ロール23および圧力ロール24に対して相対的に移動するように、マトリックス材料1がそれらの間に供給されながら、接触ロール23および圧力ロール24は、同じ速度で回転される。接触ロール23は、酸22をトレイ21からマトリックス材料1まで移動させ、および圧力ロール24からの圧力下でのマトリックス材料1との接触により、酸22をマトリックス材料1に印刷する。
【0046】
この例においてはBCGである試薬32の適用は、前処理段階のために上記と同じ従来的な印刷技術を使用して実施される。特に、図2は、試薬32を適用するための印刷技術としてロールツーロールグラビア印刷を用いる試薬印刷プロセス装置30の図解である。試薬印刷プロセス装置30は以下のように配列される。
【0047】
オープントレイ31は試薬32を含む。試薬32の粘度は5〜5000cPの範囲であり得るが、好ましくはその粘度は100〜1000cPの間である。接触ロール33は、接触ロール33が回転するにつれて試薬32が接触ロール33上に沈着するように、試薬32に部分的に浸漬される。接触ロール33は、マトリックス材料1の反対側に、かつまたマトリックス材料1と接触して配置された圧力ロール34に対向してマトリックス材料1と接触する。ワイパー35は、マトリックス材料1との接触の前に、接触ロール33が回転するにつれて過剰の試薬32を除去するために、接触ロール33に対向して配列される。
【0048】
操作中、接触ロール33および圧力ロール34に対して相対的に移動するように、マトリックス材料1がそれらの間に供給されながら、接触ロール33および圧力ロール34は、同じ速度で回転される。接触ロール33は、試薬32をトレイ31からマトリックス材料1まで移動させ、および圧力ロール34からの圧力下でのマトリックス材料1との接触により、試薬32をマトリックス材料1に印刷する。
【0049】
試薬印刷プロセス装置30の場合において、および前処理プロセス装置20から識別できるように、グラビア印刷プロセスは、試薬32がその凹部で接触ロール33上に配置され、かつその凹部の所定のパターンでマトリックス材料1に適用されるように、所定のパターンの凹部を有する接触ロール33によって適用される。任意の所定のパターンが試薬の使用のために適切に使用されてもよい。所定のパターンの1つの型は、1つまたは複数の英数字、例えば、1つまたは複数の文字、または記号、またはその組み合わせである。これらは、例えば、「きれい」、「きたない」、「陽性」、「+」(「++」、「+++」など)、「陰性」または「-」などの用語によって、例えば、アッセイ法の結果を示し得る。
【0050】
マトリックス材料1は、さらなる層48で積層されてもよい。一般的に、このような積層は、ロールツーロールプロセスまたはストップアンドゴー型のプロセスのいずれかを使用することによって行うことができるが、前者が好ましい。適切な積層プロセス装置40は図3に示され、以下のように配列される。
【0051】
積層プロセス装置40の第1のセクション4aにおいて、前処理段階および試薬段階のために上記と同じ従来的な印刷技術を使用して、接着剤42がマトリックス材料1に適用される。特に、この第1のセクション4aは、接着剤42を適用するために印刷技術としてロールツーロールグラビア印刷を用いて、以下のように配列される。
【0052】
オープントレイ41は接着剤42を含む。接触ロール43は、接触ロール43が回転するにつれて接着剤42が接触ロール43上に沈着するように、接着剤42に部分的に浸漬される。接触ロール43は、マトリックス材料1の反対側に、かつまたマトリックス材料1と接触して配置された圧力ロール44に対向してマトリックス材料1と接触する。ワイパー45は、接触ロール43が回転するにつれてマトリックス材料1との接触の前に過剰の接着剤42を除去するために、接触ロール43に対向して配列される。
【0053】
操作中、接触ロール43および圧力ロール44に対して相対的に移動するように、マトリックス材料1がそれらの間に供給されながら、接触ロール43および圧力ロール44は、同じ速度で回転される。接触ロール43は、接着剤42をトレイ41からマトリックス材料41まで移動させ、および圧力ロール44からの圧力下でのマトリックス材料1との接触により、接着剤42をマトリックス材料1に印刷する。
【0054】
積層プロセス装置40の第2のセクション4bにおいて、マトリックス材料1上の接着剤42が乾燥される。この第2のセクション4bにおいて、マトリックス材料を、熱風をマトリックス材料1上の接着剤42に適用するドライヤー47を通して多数のバルブロール46が通過する。
【0055】
積層プロセス装置40の第3のセクション4cにおいて、接着剤42を使用してマトリックス材料1を接着することによって、さらなる層48に、マトリックス材料1が積層される。マトリックス材料1およびさらなる層48は、圧力ロール50の対の間で互いと接触する圧力ロール49を使用して供給される。圧力ロール50は、マトリックス材料1に圧力を適用し、さらなる層48は、接着剤42がそれらを一緒に接着させる。圧力ロール50は、例えば、0.5〜10バール、好ましくは2〜4バールの間の圧力を適用するために室温で操作される。
【0056】
接着剤42は、高温接着剤または低温接着剤であり得る。接着剤42が低温接着剤である場合、これは、液体型でマトリックス材料に加えられ、さらなる層48の積層前に第2のセクション4bにおいて乾燥されてもよい。使用されてもよい別の有用な型の低温接着剤は、紫外線(UV)硬化接着剤である。この場合、接着剤42を乾燥させるための第2のセクション4bの代わりに、接着剤42を硬化させるためにUV照射を適用するセクションが用いられてもよい。接着剤42が高温接着剤である場合、接着剤42は熱可塑性物質であり、ガラス転移温度よりも上の温度でマトリックス材料1に加えられる。この場合、第2のセクション4bにおける乾燥は必要ないが、しかし、次に圧力と温度の両方が、マトリックス材料1およびさらなる層48への接着のために一緒に使用される。
【0057】
積層プロセス装置40において、接着剤42はマトリックス材料1に適用されるが、しかし、これは、代替的には、さらなる層48に適用することができる。
【0058】
積層プロセス装置40は、必要とされる場合、よりさらなる層を積層するために使用することができる。さらなる層42は、多数の異なる型をとってもよい。可能なさらなる層(これは任意の組み合わせで使用されてもよい)の例には以下が含まれる:
a)補強材および/または保護層として使用されるプラスチック材料;
b)パターンおよび/または保護層として使用される不浸透性層;
c)保護層として使用される半透性層、および
d)さらなる試料吸収層として使用されるウィッキングメンブレン。
【0059】
上記の装置20、30および40において使用されるマトリックス材料1およびさらなる層48の厚さは、典型的には、1μm〜500μmの範囲であるが、好ましくは1μm〜100μmの範囲である。
【0060】
上記の装置において、マトリックス材料1は、ロール、例えば、接触ロール43および圧力ロール44の周速と同じ速度で供給される。また、対向するロール、例えば、接触ロール43および圧力ロール44の各々の対は同じサイズである。しかし、これらの特徴は、異なる適用、例えば、異なる直径のロールを用いて、ならびに互いに異なる速度、および/またはマトリックス材料1と異なる速度で操作される適用において変動する可能性がある。
【0061】
試験デバイス60は図4に示され、ここで説明される。試験デバイス60は、上記の装置2、3および4を使用して形成されてもよく、試験デバイス60は、積層プロセス装置40からの連続的なマトリックス材料1の一部を単に切断することによって形成される。
【0062】
試験デバイス60は、そこに試薬が適用され、3つのさらなる層、すなわち、マトリックス材料1に隣接する半透性層61;半透性層61の外側の不浸透性層62;および半透性層61から反対側でマトリックス材料1に隣接する不浸透性基材層63が積層した、マトリックス材料1の層を備える。
【0063】
半透性層61は任意選択であり、試験デバイス60のある態様においては省略されてもよい。
【0064】
任意に、試験デバイス60は、マトリックス材料1と不浸透性基材層63の間のウィッキング層をさらに備えて、マトリックス材料1による試料の吸収を増強してもよい。
【0065】
不浸透性表面層62および不浸透性基材層63は、マトリックス材料1の端の周辺にシールを作製する。このシールは、積層プロセスにおいて内因的に作製されてもよく、または別の工程において作製されてもよい。
【0066】
不浸透性表面層62および不浸透性基材層63は、ここで説明されるように、制御された様式において以外は、液体がマトリックス材料に到達することを妨害する。マトリックス材料1に試料が到達することを可能にするために、不透過性表面層62は取り外し可能であってもよく、さもなくば、例えば、その一部を取り外すことによって物理的に修飾されることによってそれが連続的でないように、開口部を備えてもよい。
【0067】
表面層62が開口部を備える試験デバイス60の2つの例を図5および図6に示す。
【0068】
図5の例において、表面層62は、試料を受け取るためのサンプリング表面として働く半透性メンブレン61の領域66を曝露する試験デバイス60の一方の末端において形成される単一の開口部65を有する。使用時において、試料は、試験デバイスを表面上で拭き取ることによって、液体試料を試験デバイス60に滴下することによって、または固体試料もしくは液体試料に対向する開口部65に隣接する試験デバイスの端70と接触することによって、領域66に適用されてもよい。表面層62は、表面層62の一部を取り外すことによって、例えば、開口部66の端の周辺の表面層に穿孔を供給することによって形成される開口部65を最初に完備してもよい。
【0069】
加えて、試験デバイス6は、開口部65に形成され、かつ試験デバイス60の全体の厚さを通して伸びる、2つ(または一般的には任意の数の)切り込み67を供給し、ユーザーによって切り込み67を通してスライドされるナイフなどの鋭利な物体からの試料の収集を可能にする。
【0070】
切り込み67および開口部65のサイズおよび形状は、適用の必要性に従って変化されてもよい。開口部65は、言及されるように、任意のサイズおよび形状、例えば、端部70の平面切断、ショートカットまたはその一部の延長、ショートカットの突出を有してもよく、ここで、この突出は、任意のサイズまたは形状を有してもよい。当然ながら、上記の特徴は、短い端部70の代わりに試験デバイス60の長い端の上でも同様にあり得る。
【0071】
図6の例において、表面層62は、複数の開口部71を有する。この場合、16個の開口部71が存在するが、この数は変動し得る。開口部71は環状であるが、他の形状を有し得る。開口部71は、規則的なアレイで配列され、これは、本質的ではないが、開口部71が一緒に密集することを可能にする利点を有する。図6の例における複数の開口部71の提供は、図5の例における単一の開口部65と比較して、より強力な試験結果を提供することが観察される。これは、上記のような各開口部71の下でマトリックス材料1の局所的な濃度の境界を作製するキャピラリー作用に起因して生じると考えられている。複数の開口部71はまた、各開口部71の端が表面をこするにつれて、表面からの試料の脱離を補助する。
【0072】
図5と6の両方の例において、開口部65または開口部71の外側の表面層62の残りは、ユーザーのためのグリップ68を形成する。グリップ68は、フォールド69によって開口部65または開口部71から区分けされてもよい。フォールド69の角度ならびにグリップ68のサイズおよび形状は、適用の要件に従って変化されてもよい。
【0073】
または、ウィッキングチャネルがまた、試験デバイス60の断面図において試薬マトリックス1を露出する小さな切断開口部を有する平面の突出として配列される。
【0074】
マトリックス材料1に適用された試薬が使用中に放出され、マトリックス材料1から表面または試験下の対象物までの試薬の流れを引き起こす危険が存在する。この流れは、表面からの試料の放出を補助するために、サンプリングのために表面が湿らされた場合にはっきりわかる可能性があり、結果的に、サンプラーの試料をマトリックス材料1に移動させ、試料中の分析物と試薬を反応させる。湿らされたマトリックス材料1は、サンプリングの間に取り込まれた高レベルの湿り気に起因する逆流を防ぐことができない可能性がある。
【0075】
従って、所望の一方向の流れは異なる手段によって確実にすることができる。
【0076】
1つの選択肢は、試薬がマトリックス材料1から漏出することを減少し、またはそれを防ぐために、半浸性層61の材料が選択され得ることである。例えば、半透性層61は、疎水性層から作られてもよい。適切な疎水性材料は不織布ポリプロピレン材料である。この材料は、適用に依存して、永続的または非永続的に、疎水性または親水性のいずれかであり得る。使用される材料は、試験下で表面によって湿らされた後で、マトリックス材料1からの試薬の流れを阻害する。同様に、これは、上記表面への試料の逆流を阻害する。衛生的な観点から、このことは非常に重要な特徴である。なぜなら、これは、微生物を含む可能性がある試料が表面を再汚染することを減少または妨害するからである。さらに、表面は、サンプリング後でもまた乾燥したままであり、さらなる汚染の問題のための土台にはならない。
【0077】
この効果は、開口部65または開口部71を横切って伸びる半透性層61によって達成される。これは、図4に示される構成から生じ、ここでは、半透性層61は、マトリックス材料61と表面層62の間のマトリックス材料1の全体の領域を横切って伸びる。しかし、半透性層61が開口部65または開口部71を横切って伸びる他の構成が、例えば、開口部65もしくは開口部71の領域を超えて伸びるのみであるか、または表面層62の前にあるのみである半透性層61を用いて可能である。
【0078】
材料が試験デバイス60からの漏れることを妨害するための手段の別の例は、例えば、図5に示されるように、ウィッキング表面、チャネル、または湿った試料がマトリックス材料61に入るための任意の領域を供給する、開口部65を有する不浸透性表面層62を使用することである。開口部65の構成は、近接に到達するように設計された単一の切り込みまたは突出であり得る。
【0079】
任意に、不浸透性表面層62と不浸透性基材層63の一方または両方のいずれかは、開口部65または開口部71に隣接した領域において透明である。このことは、試験結果を決定するためにマトリックス材料1の検査を可能にし、ここでは試験結果は目に見える変化である。
【0080】
試験デバイス60は、試薬がマトリックス材料1に適用される部位において試料の濃度を改善するように設計されてもよい。1つの選択肢は、例えば、印刷技術によって、マトリックス材料1にレリーフを適用することであり、このレリーフがこのことを達成する。別の選択肢は、例えば、印刷することによって、一定のパターンの不浸透性インクを適用し、そのようにして濃度を改善することである。レリーフまたは不浸透性インクのパターンは任意の適切なパターンであり得、この技術は他の分野において公知であり、清掃のために使用される拭き取り製品において使用されている。例えば、レリーフまたは不浸透性インクのパターンは、溝、グリッド、または円のエンボス加工したアレイであり得、液体の拡散を減少し、ならびに/または液体の流れおよび濃度を小さな表面積において改善する。
【0081】
試料表面からの試料の脱離を改善するために、試験デバイス60は、適切な積層層、例えば、試料脱離のために好ましい表面構造を有するように選択された不浸透性表面材料を含んでもよい。サンプル脱離のために使用されるパターンは、エンボス加工した溝、小塊または同様のパターンであり得、および材料のパターンの一部であり得、または試験製造プロセスの間に上記材料にエンボス加工されてもよい。表面構造はまた、マトリックス材料1上で脱離した試料を濃縮するために使用されてもよい。不浸透性積層は、吸収性材料層上で、刷り込みされた表面パターンについて説明されているものと同様に、表面パターンを形成するために穿孔されてもよい。
【0082】
別の選択肢は、不浸透性材料層が、所望の程度の剛性を与え、かつ試験デバイス60を形成するために使用されることである。この材料はまた、マトリックス材料1のための収納部を形成することができる。従って、マトリックス材料1は、マトリックス材料1を支持し、かつ試験のためにより長い保存時間を可能にする条件を生じる土台(ケーシングまたはカートリッジ)に密閉されてもよい。収納部は、試料の適用のための穿孔および分析物の検出のためのディスプレイを含んでもよい。全体の試験デバイス60は、試料およびユーザーの要求に依存して所望の形状およびサイズを有してもよい。
【0083】
別の選択肢は、液体またはゲル様の表面湿潤残渣を含む液体区画を有するブリスターパッケージを使用することである。この区画は、別々のアセンブリープロセスによって試験デバイス60に結合された別々の品目であり得る。湿潤剤は、例えば、片側からブリスターパッケージを押しかつ破ることによって放出される。
【0084】
例えば、試薬のために使用される印刷技術を使用して印刷することによって、マトリックス材料1に導電性材料を適用することもまた可能である。このような導電性材料は、例えば、試験デバイス60の温めまたは加熱を可能にするために、外部の電源供給への試験デバイス60の接続を可能にしてもよい。このような試験デバイス60の温めおよび加熱は、タンパク質検出の感度を改善するためにBCA試薬とともに用いることができる。BCA法の感度は時間および温度に依存する。従って、また、試験時間は感度を改善するために使用することができる。+40〜100℃、好ましくは55℃までの試験デバイス60の温めまたは加熱はまた、室温においては検出されない還元糖の検出を可能にする。さらに、現在の開発は、異なる電荷を有する化合物の電気泳動的な分離を可能にする。さらに、これは電気的手段による検出シグナルの増幅を可能にする。電気泳動的分離の場合において、例えば、試薬のために使用された印刷技術を使用して、マトリックス材料1にゲルを適用することが可能である。
【0085】
同様に、例えば、試薬のために使用された印刷技術を使用して、例えば、Enfucell Ltd and VoltaFlex Corporationによって製造された型の低出力適用のための薄膜電池(時折、ペーパーバッテリーと呼ばれる)の型の出力供給源を適用することが可能である。
【0086】
より洗練された適用において、例えば、試薬のために使用された印刷技術を使用して、マトリックス材料1または試験デバイス60の他の成分に、基材または培地をさらに適用することによって、選択的または非選択的微生物増殖を達成することができる。培地は、選択的または非選択的であり得、乾燥またはすぐに使用できる形式であり得る。培地は、適切な温度、典型的には30℃〜45℃、好ましくは37℃の範囲である温度まで、試料を加熱または温めることを提供するように配列された、導電性材料または薄膜電池と組み合わせて使用されてもよい。これは例えば、マトリックス材料1上で、抵抗ワイヤを通して電流を通すことまたは2つの電極間に電流を通すことによって行われてもよい。
【0087】
さらにより特定の分析のために、マトリックス材料1に適用された試薬は、任意のリガンドまたはアンチリガンドであってもよく、選択した生物学的マーカーの検出を可能にするためにマトリックスの中/上に含浸することができる。
【0088】
多くの試験デバイスにおいて、試薬は、目に見える変化を生じる反応を有する。このような場合において、試験デバイス60の外部表面は、マトリックス材料の示差的な変化の意味を示す参照パネルとともに印刷されてもよい。例えば、参照パネルは、異なる色を異なる反応強度と相関させ、それゆえに、ある程度まで試験を較正してもよい。
【0089】
試験デバイス60の上記の特徴は、個々にまたは任意の組み合わせで適用されてもよい。確かに、これらは、試薬が接触印刷以外のある技術によってマトリックス材料に適用される試験デバイスにもまた、適用されてもよい。
【0090】
すでに言及したように、試薬は、任意の型をとってもよい。単に例示として、かつ本発明の範囲を限定することなく、対応する試薬を用いるある特定の試験手順がここで説明される。他に示さない限り、使用される方法は標準的な化学、生化学、および物理学的な技術である。
【0091】
同様に、試料は任意の型をとり得る。試料は液体であり得る。他の場合において、試料は液体以外の物質、例えば、タンパク質などの生物学的試料であり得る。この場合、試料は、液体によって、例えば、水または緩衝溶液によって湿らされるかまたは濡らされて、マトリックス材料1への移動を補助し得る。この場合、半透性メンブレン61は、懸濁液または溶液中で、試料がそこを通って通過することを可能にする。
【0092】
タンパク質試験手順は以下のように適用されてもよい。この手順は、低濃度のタンパク質と反応する能力を有する試薬組成物を用いる。この試薬組成物は、ブロモクレゾールグリーン(BCG)、ピロガロールレッド、クマシーブルー、ビシンコニン酸(BCA)-銅-錯体、を含むがこれらに限定されない既知のタンパク質検出方法のいずれかを用いてもよい。試薬とタンパク質の間の相互作用は、目に見える結果、または機器で検出可能な結果および/もしくは測定可能な結果のいずれかを生じる。この手順に従って、湿らせた表面は試験デバイス60で拭き取られる。湿らせることは、試料表面への湿潤剤の添加のための別個のデバイスを用いることによって、またはサンプリングされる表面を湿らせるために開口しかつ放出される、試験デバイス60に結合した所定量の湿潤剤を含む区画によって達成されてもよい。サンプリングの間に表面に対して使用される圧力は、試料を含む水分が半透性層61を通して進む。試料表面に残った過剰の水分は、上記のようにウィッキングチャネルに露出した開口部65を通してマトリックス材料1に吸収されてもよい。同じウィッキングチャネルはまた、液体から試料をとるために使用されてもよい。試料がタンパク質を含む場合、これは、マトリックス材料1の中で提供される試薬と反応する。これは、試薬に、黄色-橙色から緑色へのその色の変化を引き起こし、従って、定量的または定性的のいずれかで、透明な半透性層61を通して目に見えて検出可能である。
【0093】
pH試験手順は以下のように適用されてもよい。上記のようなBCG試薬はまた、単に、中性pH範囲まで、マトリックス材料1に適用された前処理酸22を調整することによって、または中性pHを有する試薬マトリックス材料を選択することによって、pH指示薬として使用されてもよい。BCG試薬のpH指示薬特性は、独立したpH試験として、またはpHおよびタンパク質測定領域への試料接触領域の分配によるタンパク質とpHの両方の同時測定として、用いてもよい。
【0094】
試験デバイス60は、診断キットの一部として供給されてもよい。このようなキットは、本発明の方法における使用のために適切であり、衛生的モニタリングのために表面からとられた試料中のタンパク質の診断および評価のために一般的に有用である。キットの内容は、キットが意図するアッセイ形式のために適切である。典型的には、このキットは、例えば、その存在が色もしくは沈殿生成によって示される、タンパク質、炭水化物、糖、pH、リガンドもしくはアンチリガンドの検出のための試薬を含む、上記のような試験デバイス60、または非積層マトリックス材料1を含む。一般的に、キットは、特定のアッセイ法における使用のための他の試薬または成分、例えば、緩衝液、沈殿剤、標識および/または検出手段を含んでもよい。1つの態様において、このキットは、指示手段、例えば、キットの内容物およびアッセイ形式に関して、キットの使用者に指示を与えるパッケージ挿入物を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
より良好な理解を可能にするために、本発明の態様は、ここで添付の図面を参照して、非限定的な実施例によって説明される。以下は図面の説明である。
【図1】前処理プロセス装置の説明図である。
【図2】試薬印刷プロセス装置の説明図である。
【図3】積層プロセス装置の説明図である。
【図4】積層マトリックス材料によって形成された試験デバイスの分解斜視図である。
【図5】試験デバイスの1つの態様の分解上面図である。
【図6】試験デバイスの別の態様の分解上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬または試薬がその上に支持されている粒子をその上に配置した接触ロールが回転され、かつ接触ロールおよびマトリックス材料が相対的に移動されながら、接触ロールをマトリックス材料と接触させることによって、試薬または粒子をマトリックス材料に印刷する工程を含む、試薬または試薬がその上に支持されている粒子をマトリックス材料に適用する方法。
【請求項2】
接触部材をマトリックス材料と接触させる工程が、接触部材からマトリックス材料の反対側に配置され、マトリックス材料と接触し、かつ回転している圧力ロールを用いて実施される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
試薬または試薬がその上に支持されている粒子のトレイを通して接触ロールを回転させることによって、試薬または試薬がその上に支持されている粒子を接触ロール上に配置する工程をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ワイパーを使用して、過剰の試薬または試薬がその上に支持されている粒子を除去する工程をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
試薬または試薬がその上に支持されている粒子が、所定のパターンで接触部材上に配置される、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
試薬または試薬がその上に支持されている粒子が所定のパターンである凹部中の接触部材上に配置される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
所定のパターンが英数字記号を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
試薬が5cPから5000cPまでの範囲の粘度を有する、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
さらなる材料の層をマトリックス材料に積層する工程をさらに含む、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
試料中の少なくとも1種の化学物質または生物学的分析物についてのアッセイ法として作用することが可能である試薬を適用する方法である、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
分析物がタンパク質、炭水化物、糖、リガンドまたはアンチリガンドである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
試薬がリガンドまたはアンチリガンドである、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
試料のpHを検出可能である試薬を適用する方法である、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
マトリックス材料が吸収性である、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
導電性材料をマトリックス材料に適用する工程をさらに含む、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
培地をマトリックス材料に適用する工程をさらに含む、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
ゲルをマトリックス材料に適用する工程をさらに含む、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
試薬または試薬がその上に支持されている粒子をその上に配置した接触ロールが回転され、かつ接触ロールおよびマトリックス材料が相対的に移動されながら、マトリックス材料と接触された接触ロールによって、試薬または試薬がその上に支持されている粒子をマトリックス材料に印刷する工程によってそれに適用された、試薬または試薬がその上に支持されている粒子を有するマトリックス材料。
【請求項19】
少なくとも1つのさらなる材料の層がマトリックス材料に積層されている、請求項18記載のマトリックス材料。
【請求項20】
少なくとも1つのさらなる材料の層が、マトリックス材料の片側または両側に不浸透性の層を含む、請求項19記載のマトリックス材料。
【請求項21】
少なくとも1つのさらなる材料の層が、半透性材料の層を含み、試薬または試薬がその上に支持されている粒子の逆流を制限しながら、試料がそこを通して通過することが可能である、請求項19または20記載のマトリックス材料。
【請求項22】
半透性材料が疎水性である、請求項21記載のマトリックス材料。
【請求項23】
半透性材料が不織布ポリプロピレンである、請求項21記載のマトリックス材料。
【請求項24】
少なくとも1つの切り込みがその中に形成されている、請求項18〜23のいずれか一項記載のマトリックス材料。
【請求項25】
試薬または試薬がその上に支持されている粒子がマトリックス材料に適用された試料に適用される部位において濃度を増加するための手段を備える、請求項18〜24のいずれか一項記載のマトリックス材料。
【請求項26】
表面からの試料の脱離を補助するための手段をさらに備える、請求項18〜25のいずれか一項記載のマトリックス材料。
【請求項27】
培地、ゲル、導電性材料または薄膜電池の任意の1つまたは複数がそれにさらに適用されている、請求項18〜26のいずれか一項記載のマトリックス材料。
【請求項28】
培地、および培地を加熱または温めるための導電性材料または薄膜電池のいずれかがそれにさらに適用されている、請求項18〜27のいずれか一項記載のマトリックス材料。
【請求項29】
臨床的または衛生的試験のために適切である、請求項18〜28のいずれか一項記載のマトリックス材料。
【請求項30】
請求項18〜29記載のいずれか一項記載のマトリックス材料を含む試験デバイス。
【請求項31】
請求項30記載の試験デバイスおよび緩衝溶液を含むキット。
【請求項32】
2つの不浸透性層;および
不浸透層間に配列されたマトリックス材料の層、
試薬を有するマトリックス材料を備え、
不浸透層の一方がマトリックス材料と並列されている複数の開口部を有し、そこを通して試料がマトリックス材料に適用されてもよい、
試験デバイス。
【請求項33】
開口部が環状である、請求項32記載の試験デバイス。
【請求項34】
開口部が均一サイズである、請求項32または33記載の試験デバイス。
【請求項35】
少なくとも1つの開口部を横切って広がる半透性層をさらに備え、半透性層が、試薬の逆流を制限しながら、試料がそこを通って通過することを可能にする半透性材料から作られている、請求項32〜34のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項36】
半透性材料が疎水性である、請求項35記載の試験デバイス。
【請求項37】
半透性材料が不織布ポリプロピレンである、請求項35記載の試験デバイス。
【請求項38】
半透性層が、マトリックス材料の層と、少なくとも1つの開口部を有する不浸透性層の層の間に配列される、請求項35〜37のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項39】
一方または両方の不浸透性層が複数の開口部に隣接した領域において透明である、請求項35〜38のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項40】
2つの不浸透性層;
不浸透性層の一方がマトリックス材料と並列されている少なくとも1つの開口部を有し、そこを通して試料がマトリックス材料に適用されてもよい、不浸透層間に配列されたマトリックス材料の1つの層;および
試薬の逆流を制限しながら、試料がそこを通って通過することを可能にする半透性材料から作られている、少なくとも1つの開口部を横切って広がる半透性層
を備える、試験デバイス。
【請求項41】
半透性材料が疎水性である、請求項40記載の試験デバイス。
【請求項42】
半透性材料が不織布ポリプロピレンである、請求項40記載の試験デバイス。
【請求項43】
半透性層が、マトリックス材料の層と、少なくとも1つの開口部を有する不浸透層の層の間に配列される、請求項40〜42のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項44】
一方または両方の不浸透層が少なくとも1つの開口部に隣接した領域において透明である、請求項40〜43のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項45】
少なくとも1つの開口部が複数の開口部を備える、請求項40〜44のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項46】
開口部が環状である、請求項45記載の試験デバイス。
【請求項47】
開口部が均一サイズである、請求項45または46記載の試験デバイス。
【請求項48】
少なくとも1つの切り込みがその中に形成されている、請求項32〜47のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項49】
試薬がマトリックス材料に適用された試料に運ばれる部位において濃度を増加するための手段を備える、請求項32〜48のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項50】
表面からの試料の脱離を補助するための手段をさらに備える、請求項32〜49のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項51】
試薬が、試料中の少なくとも1種の化学物質または生物学的分析物についてのアッセイ法として作用することが可能である、請求項32〜50のいずれか一項記載の試験デバイス。
【請求項52】
分析物がタンパク質、炭水化物、糖、リガンドまたはアンチリガンドである、請求項51記載の試験デバイス。
【請求項53】
試薬がリガンドまたはアンチリガンドである、請求項51または52記載の試験デバイス。
【請求項54】
試薬が試料のpHを検出可能である、請求項32〜53のいずれか1項記載の試験デバイス。
【請求項55】
マトリックス材料が吸収性である、請求項32〜54のいずれか1項記載の試験デバイス。
【請求項56】
マトリックス材料が、培地、ゲル、導電性材料または薄膜電池の任意の1つまたは複数をさらに有する、請求項32〜55のいずれか1項記載の試験デバイス。
【請求項57】
マトリックス材料が、培地、および培地を加熱または温めるための導電性材料または薄膜電池のいずれかをさらに有する、請求項32〜56のいずれか1項記載の試験デバイス。
【請求項58】
臨床的または衛生的試験のために適切である、請求項32〜57のいずれか1項記載の試験デバイス。
【請求項59】
マトリックス材料が、粒子上に支持された試薬を有する、請求項32〜58のいずれか1項記載の試験デバイス。
【請求項60】
請求項32〜59のいずれか一項に記載の試験デバイスおよび緩衝溶液を含むキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−541107(P2008−541107A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511604(P2008−511604)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004536
【国際公開番号】WO2006/122733
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(506005237)
【Fターム(参考)】