マルチディスプレイシステム
【課題】 ディスプレイの設定項目を、離れた位置から判読可能なように拡大することができるマルチディスプレイシステムを提供する。
【解決手段】 マルチディスプレイシステム1に、設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示するOSD重畳部223と、設定メニュー画像内のいずれかの設定項目画像を、拡大表示の対象として選択するOSD生成部231と、選択された設定項目画像を拡大した画像である拡大設定項目画像を表示するOSD拡大処理部232とを設ける。
【解決手段】 マルチディスプレイシステム1に、設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示するOSD重畳部223と、設定メニュー画像内のいずれかの設定項目画像を、拡大表示の対象として選択するOSD生成部231と、選択された設定項目画像を拡大した画像である拡大設定項目画像を表示するOSD拡大処理部232とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のディスプレイから構成されるマルチディスプレイシステムでは、ディスプレイを操作するとき、通常、すべてのディスプレイの画面全体を見渡せる程度に、ディスプレイから離れて操作する。しかしながら、マルチディスプレイシステムから離れた位置でディスプレイの設定項目を変更しようとする場合、肉眼で設定項目を確認し難く、設定値の変更が容易ではないという問題がある。設定項目は、複数の設定項目を集めた設定メニューとして表示されるのが一般的であり、1つの設定項目の表示サイズは小さくなってしまうからである。
【0003】
特許文献1には、上記の問題を解決しようとするディスプレイが記載されている。特許文献1に記載のディスプレイは、1つのディスプレイの画面全体に設定メニューを拡大することができ、これによって、上記の問題を解決しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−352511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような、画面全体に設定メニューを拡大できるディスプレイであったとしても、拡大できる大きさはディスプレイのサイズが限界であるので、離れて操作するときには、やはり、肉眼で設定項目を確認し難いという課題が生じる。この課題は、マルチディスプレイシステムを構成するディスプレイの数が増えるほど顕著になる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、ディスプレイの設定項目を、離れた位置から判読可能なように拡大することができるマルチディスプレイシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のディスプレイがデータ通信可能に接続されて構成されるマルチディスプレイシステムにおいて、
ディスプレイの設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示する設定メニュー画像表示手段と、
表示された設定メニュー画像内のいずれかの設定項目画像を、拡大表示の対象として選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段によって選択された設定項目画像を拡大した拡大設定項目画像を表示する拡大設定項目画像表示手段とを備えることを特徴とするマルチディスプレイシステムである。
【0008】
また本発明は、前記拡大設定項目画像表示手段は、複数のディスプレイに亘って、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記拡大設定項目画像表示手段は、前記設定メニュー画像の表示中、前記設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記設定メニュー画像表示手段は、1つのディスプレイ内に、そのディスプレイの設定項目を表した前記設定メニュー画像を表示することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記拡大設定項目画像表示手段は、前記設定メニュー画像を表示中のディスプレイとは異なるディスプレイに、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、各ディスプレイは、デイジーチェイン接続によってデータ通信可能に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定メニュー画像の一部である設定項目画像を拡大表示することができるので、ディスプレイから遠く離れた位置でも設定項目画像を判読することができる。
【0014】
また本発明によれば、マルチディスプレイシステム内の複数のディスプレイに亘って設定項目画像が拡大表示されるので、ディスプレイからより遠く離れた位置でも設定項目画像を判読することができる。
【0015】
また本発明によれば、設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に設定項目画像が拡大表示されるので、設定メニュー画像と設定項目画像とを両方判読することができる。
【0016】
また本発明によれば、設定メニュー画像が表示されているディスプレイを確認することで、マルチディスプレイシステムを構成する複数のディスプレイのうちのいずれのディスプレイの設定項目画像が拡大表示されているのかを確認することができる。
【0017】
また本発明によれば、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ以外のディスプレイに設定項目画像を拡大表示するので、設定項目画像をより大きく拡大表示することができる。
【0018】
また本発明によれば、デイジーチェイン接続によって各ディスプレイをデータ通信可能に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マルチディスプレイシステム1の外観を模式的に示す図である。
【図2】複数のディスプレイ10間の接続の様子を模式的に示す図である。
【図3】ディスプレイ10の電気的な構成を模式的に示す図である。
【図4】RS−232C入力接続部18およびRS−232C出力接続部19の詳細を示す図である。
【図5】ディスプレイIDの設定処理を示すフローチャートである。
【図6】スケーラー部11の構成を示すブロック図である。
【図7】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図8】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図9】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図10】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図11】設定メニュー画像103を拡大して示す図である。
【図12】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図13】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図14】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図15】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図16】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図17】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図18】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図19】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図20】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図21】リモコン30の外観図である。
【図22】メニューボタン32が押下されたときの処理を示すフローチャートである。
【図23】サイズボタン33が押下されたときの処理を示すフローチャートである。
【図24】カーソル上ボタン34aまたはカーソル下ボタン34bが押下されたときの処理を示すフローチャートである。
【図25】カーソル左ボタン34cまたはカーソル右ボタン34dが押下されたときの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態であるマルチディスプレイシステム1の外観を模式的に示す図である。マルチディスプレイシステム1は、データ通信可能に接続される複数のディスプレイ10と、ディスプレイ10を操作するための操作情報を光信号としてディスプレイ10に送信するリモートコントローラ(以下では、「リモコン」と称する)30とによって構成される。なお、リモコン30からの指示は、後述するマスタディスプレイにのみ受信される。
【0021】
図2は、複数のディスプレイ10間の接続の様子を模式的に示し、図3は、ディスプレイ10の電気的な構成を模式的に示す。また、図4は、ディスプレイ10が備えるRS−232C(Recommended Standard 232 version C)入力接続部18およびRS−232C出力接続部19の詳細を示す図である。図3および図4に示すように、ディスプレイ10は、スケーラー部11、第1メモリ12、第2メモリ13、表示器14、受光部15、画像信号入力部16、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network,LAN)接続部17、RS−232C入力接続部18、RS−232C出力接続部19、ダイオードD、第1抵抗素子R1、第2抵抗素子R2、論理和回路25、およびドライバ26,27を含む。なお、RS−232Cは、シリアル通信規格の名称である。
【0022】
図1および図2に示すように、マルチディスプレイシステム1は、9台のディスプレイ10を3行3列に配置した構成(以下では、「3×3構成」と称する)である。以下、各ディスプレイ10を区別する必要がある場合は、ディスプレイ10の参照符号「10」に添え字「a」〜「i」を付して各ディスプレイ10を区別し、ディスプレイ10a〜10iに共通し、区別する必要がない場合は、ディスプレイ10を用いる。また、同様に、RS−232C入力接続部18およびRS−232C出力接続部19についても、添え字「a」〜「i」を付してそれぞれを区別する。
【0023】
RS−232C入力接続部18は、ディスプレイ10の外部から信号を受信するための受信手段であり、RS−232C出力接続部19は、ディスプレイ10の外部へ信号を送信するための送信手段である。図3に示すように、RS−232C入力接続部18およびRS−232C出力接続部19は、スケーラー部11に接続され、RS−232C入力接続部18は、外部から受信した信号をスケーラー部11に送り、RS−232C出力接続部19は、スケーラー部11から受け取った情報を外部へ送信する。
【0024】
スケーラー部11は、中央処理装置(以下、「CPU」と称する)21、表示制御回路部22、およびオンスクリーンディスプレイ(On-Screen Display,OSD)回路部23を含む集積回路によって構成される。第1メモリ12は、たとえば半導体メモリによって構成され、後述するケーブルチェック(以下、「Cable_ck」と称する)レジスタ情報、ディスプレイIDなどの情報を記憶する。ディスプレイIDは、各ディスプレイ10を識別するための識別情報である。第2メモリ13は、たとえば半導体メモリによって構成され、CPU21によって実行される制御プログラムデータ、マルチディスプレイシステム1に関する情報、RS−232Cに関する情報などを記憶する。第1メモリ12および第2メモリ13への情報の書き込み、ならびに第1メモリ12および第2メモリ13からの情報の読み出しは、CPU21によって行われる。
【0025】
表示器14は、たとえば液晶パネルによって構成され、スケーラー部11から受け取った画像データに基づく画像を液晶パネルに表示する。受光部15は、リモコン30から送信された光信号を受信し、光信号が表す情報をスケーラー部11に送る。画像信号入力部16は、外部から画像信号を入力するためのコネクタである。外部から入力される画像信号は、たとえばパーソナルコンピュータから出力されるアナログ信号、DVI(Digital Visual Interface)信号もしくはディスプレイポート(DisplayPort)信号、または、オーディオビデオ機器から出力されるコンポジット信号、コンポーネント信号もしくはHDMI(High-Definition Multimedia Interface)信号などである。LAN接続部17は、LANケーブルを接続するコネクタを含み、LANによる情報の送受信を制御する。LAN接続部17は、受信した情報をスケーラー部11に送り、スケーラー部11から受け取った情報を送信する。
【0026】
図2に示すように、ディスプレイ10aを除くディスプレイ10のRS−232C入力接続部18には、RS−232C用接続ケーブルK1〜K8(区別する必要がない場合は「RS−232C用接続ケーブルK」と称する)のうちのいずれか1つのケーブルの一端が接続され、このケーブルの他端は、他のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19に接続される。このとき、ケーブルの一端がRS−232C入力接続部18に接続されるディスプレイ10を、ケーブルの他端がRS−232C出力接続部19に接続されるディスプレイ10に対して、下流側のディスプレイ10であると称し、逆に、ケーブルの他端がRS−232C出力接続部19に接続されるディスプレイ10を、ケーブルの一端がRS−232C入力接続部18に接続されるディスプレイ10に対して、上流側のディスプレイ10であると称する。
【0027】
本実施形態では、RS−232C用接続ケーブルK1〜K8による接続は、デイジーチェイン接続である。すなわち、各ディスプレイ10は、RS−232C用接続ケーブルK1〜K8によって直列的に接続される。より詳細には、RS−232C用接続ケーブルK1によって、RS−232C出力接続部19aとRS−232C入力接続部18bとが接続され、RS−232C用接続ケーブルK2によって、RS−232C出力接続部19bとRS−232C入力接続部18cとが接続され、以降同様に、RS−232C用接続ケーブルK8まで、上流側のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19と、下流側のディスプレイ10のRS−232C入力接続部18とが接続される。
【0028】
図4に示すように、RS−232C入力接続部18は、端子X1〜X9を含み、RS−232C出力接続部19は、端子Y1〜Y9を含む。RS−232C出力接続部19の端子Y9は、アノードが電源、たとえば+5Vの電源に接続されるダイオードDのカソードに接続される。RS−232C入力接続部18の端子X9は、一端がアースに接続される第1抵抗素子R1の他端、およびスケーラー部11に接続される。端子X9からスケーラー部11への信号を、Cable_ck信号と称する。
【0029】
RS−232C入力接続部18がRS−232C用接続ケーブルKによって上流側のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19に接続されるとき、RS−232C入力接続部18の端子X9は、上流側のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19の端子Y9と接続される。端子X9が端子Y9に接続されると、端子Y9がダイオードDを介して電源に接続されるので、Cable_ck信号は、電源の電圧からダイオードDの電圧降下を減算した電圧(以下では、「ハイレベル」と称する)になる。そして、RS−232C入力接続部18がRS−232C用接続ケーブルKによって上流側のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19に接続されないとき、端子X9が第1抵抗素子R1によってアースに接続されるので、Cable_ck信号は、アースの電圧(以下では、「ローレベル」と称する)になる。
【0030】
スケーラー部11は、Cable_ck信号がハイレベルであるとき、自装置の上流側に他のディスプレイ10が接続されていると判断する。また、Cable_ck信号がローレベルであるとき、自装置の上流側には他のディスプレイ10が接続されておらず、自装置が最も上流側であると判断する。そして、スケーラー部11は、Cable_ck信号がハイレベルであるとき、Cable_ckレジスタ情報として、Cable_ck信号がハイレベルであることを示す「1」を、第1メモリ12に記憶し、Cable_ck信号がローレベルであるとき、Cable_ckレジスタ情報として、Cable_ck信号がローレベルであることを示す「0」を、第1メモリ12に記憶する。
【0031】
なお、RS−232C入力接続部18の端子X2,X3、およびRS−232C出力接続部19の端子Y2,Y3は、シリアル通信用の端子であり、スケーラー部11に接続される。端子X3からスケーラー部11への信号は、RS232C_in_TxD信号であり、端子X2からスケーラー部11への信号は、RS232C_in_RxD信号である。スケーラー部11から端子Y3への信号は、RS232C_out_RxD信号であり、スケーラー部11から端子Y2への信号は、RS232C_out_TxD信号である。
【0032】
図2に示すように、最も上流側のディスプレイ10は、ディスプレイ10aである。マルチディスプレイシステム1では、最も上流側のディスプレイ10aは、他のディスプレイ10にコマンドを送信するマスタディスプレイとなり、マスタディスプレイの下流側にある他のすべてのディスプレイ10は、マスタディスプレイから送られたコマンドを受信するスレーブディスプレイとなる。マスタディスプレイから送られるコマンドの1つに、各ディスプレイ10にディスプレイIDを設定するための自動ID振分コマンド(以下では、「振分コマンド」と称する)がある。
【0033】
図4および図5を用いて、ディスプレイIDの設定処理について説明する。図5は、ディスプレイIDの設定処理を示すフローチャートである。各ディスプレイ10が接続され、各ディスプレイ10の電源が投入され後、各ディスプレイ10において、ステップA1の処理が行われる。
【0034】
ステップA1では、CPU21は、Cable_ckロジックを第1メモリ12へ格納する。具体的には、CPU21は、Cable_ck信号がハイレベルであるとき、Cable_ckレジスタ情報として「1」を第1メモリ12に記憶し、Cable_ck信号がローレベルであるとき、Cable_ckレジスタ情報として「0」を第1メモリ12に記憶する。ステップA2では、CPU21は、第1メモリ12に記憶されるCable_ckロジックが「1」であるか否かを判定する。Cable_ckレジスタ情報が「1」であるとき、ステップA3に進み、Cable_ckレジスタ情報が「1」ではないとき、ステップA5に進む。
【0035】
ステップA3およびステップA3の後に行われるステップA4は、マスタディスプレイによって行われる処理である。ステップA3では、マスタディスプレイのCPU21は、自装置のディスプレイIDを「1」に設定する。すなわち、自装置の第1メモリ12に記憶されるディスプレイIDとして「1」を記憶する。そして、ステップA4では、マスタディスプレイのCPU21は、下流のディスプレイ10に、振分コマンドおよびディスプレイID「1」を送信する。
【0036】
ステップA5およびステップA5の後に行われるステップA6〜A8は、スレーブディスプレイによって行われる処理である。ステップA5では、スレーブディスプレイは、上流のディスプレイ10から、振分コマンドおよびディスプレイIDを受信する。そして、スレーブディスプレイのCPU21は、受信したディスプレイIDに「1」を加算し(ステップA6)、加算して得られた値を、自装置のディスプレイIDとして設定、すなわち、自装置の第1メモリ12に記憶する(ステップA7)。
【0037】
ステップA8では、スレーブディスプレイのCPU21は、下流のディスプレイ10に、振分コマンドを転送するとともに、自装置のディスプレイIDを送信する。なお、最も下流側のディスプレイ10iは、ディスプレイIDの設定が終了すると、すべてのディスプレイIDの設定が終了したことを示す通知を、上流側のスレーブディスプレイを介して、マスタディスプレイに送信する。
【0038】
以上のようなディスプレイIDの設定処理によって、ディスプレイ10aには、ディスプレイID「1」が設定され、ディスプレイ10bには、ディスプレイID「2」が設定され、以降同様にして、ディスプレイ10c〜10iに、ディスプレイID「3」〜「9」がそれぞれ設定される。ディスプレイIDの設定後、ユーザによって、マスタディスプレイの第1メモリ12に、マルチディスプレイシステム1が3×3構成であること、および、マルチディスプレイ内座標が入力される。マルチディスプレイ内座標は、各ディスプレイ10が、マルチディスプレイシステム1においてどの位置に配置されているかを示す座標であり、たとえば、図1において上から2行目左から3列目に配置されているディスプレイ10fのマルチディスプレイ内座標は、(2,3)である。
【0039】
次に、スケーラー部11による画像の表示処理について説明する。図6は、スケーラー部11の構成を示すブロック図である。図7〜図10、図12、および図13は、マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。スケーラー部11は、上述したように、CPU21と、表示制御回路部22と、OSD回路部23とを含んでいる。表示制御回路部22は、額縁補正部221、拡大処理部222、およびOSD重畳部223を含み、OSD回路部23は、OSD生成部231およびOSD拡大処理部232を含む。
【0040】
表示制御回路部22は、画像信号入力部16、LAN接続部17、またはRS−232C入力接続部18を介して入力された入力画像データに基づいて、ディスプレイ10のいずれかに入力画像を表示させる。本実施形態では、マスタディスプレイは、自装置または他のディスプレイ10のうちのいずれか1つのディスプレイ10の表示器14の画面内に、入力画像データに基づく入力画像を表示させることができる。具体的には、マスタディスプレイは、スレーブディスプレイに対して、ディスプレイIDと、入力画像データとを送信することで、スレーブディスプレイに入力画像を表示させる。たとえば、図7に示すように、マスタディスプレイは、ディスプレイ10cの画面内に入力画像100を表示させることができる。
【0041】
拡大処理部222は、入力画像に拡大処理を行い、拡大処理後の画像に対して分割処理を行うことで、入力画像を、複数のディスプレイ10の画面内に亘って、拡大して表示させる。本実施形態では、マスタディスプレイは、自装置または他のディスプレイ10のうちのいずれか複数のディスプレイ10の表示器14の画面内に亘って、入力画像を拡大した拡大入力画像を表示させることができる。具体的には、マスタディスプレイは、入力画像に拡大処理を行い、拡大処理後の画像に対して分割処理を行うことで、複数の分割画像を表す分割画像データを作成する。そして、マルチディスプレイ内座標に基づいて、いずれの分割画像をいずれのディスプレイ10の画面内に表示すべきかを判断し、分割画像を表示すべきと判断したディスプレイ10のディスプレイIDと、その分割画像を表す分割画像データとを下流側に送信することで、複数のディスプレイ10の画面内に亘って拡大入力画像を表示させる。
【0042】
たとえば、図8に示すように、マスタディスプレイは、図7に示す入力画像100を縦に3倍に拡大し、横に3倍に拡大した後、9つに分割して得られる分割画像101a〜101iを、ディスプレイ10a〜10iにそれぞれ表示させることができる。その結果、すべてのディスプレイ10の画面内に亘って、分割画像101a〜101iからなる拡大入力画像を表示させることができる。
【0043】
額縁補正部221は、拡大処理部222によって入力画像を拡大するときに、拡大処理後の画像がディスプレイ10の額縁に隠れているかのように、画像を補正する。このような補正を、額縁補正処理と称する。本実施形態では、マスタディスプレイは、拡大処理部222によって入力画像に拡大処理を行い、額縁補正部221によって額縁補正処理を行うことで、拡大処理後の画像において額縁に相当する部分を除去する。その後、拡大処理部222によって、額縁補正処理後の画像を分割して分割画像データを作成し、複数の分割画像データそれぞれについて、ディスプレイIDとともにスレーブディスプレイに送信することで、複数のディスプレイ10の画面内に、額縁補正処理後の画像を表示させる。
【0044】
たとえば、図9に示すように、マスタディスプレイは、図7に示す入力画像100に、拡大処理、額縁補正処理、および分割処理を行って得られた分割画像102a〜102iを、ディスプレイ10a〜10iにそれぞれ表示させることができる。額縁補正処理を行ってマルチディスプレイシステム1に表示される拡大画像は、ディスプレイ10a〜10iのすべての画面を1つの大きな画面として入力画像100を拡大して表示し、拡大された画像の一部が額縁によって隠されているかのように見える画像である。これに対して、図8に示すように、額縁補正処理を行わずにマルチディスプレイシステム1に表示される拡大画像は、各ディスプレイ10間で不連続になって見える画像である。なお、ユーザは、マスタディスプレイに対して、額縁補正処理を行うか否かを設定することができる。
【0045】
OSD生成部231は、ディスプレイ10の設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示する。マスタディスプレイの第1メモリ12には、1つの選択ID情報が記憶されており、マスタディスプレイは、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10の画面内に設定メニュー画像を表示させる。選択ID情報が示すディスプレイ10の画面内に表示される設定メニュー画像は、そのディスプレイ10の設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像である。なお、初期設定では、選択ID情報は「1」であり、選択ID情報が「1」である場合、図10に示すように、マスタディスプレイの画面内に、設定メニュー画像103が表示される。
【0046】
図11は、図10に示す設定メニュー画像103を拡大して示す図である。設定メニュー画像103内には、ID選択画像104と、設定項目画像であるコントラスト設定画像105a、ブラックレベル設定画像105b、カラー設定画像105c、およびホワイトバランス設定画像105dとが含まれている。ID選択画像104は、「DISPLAY ID」という文字と、選択ID情報が示すディスプレイIDを表した数字「1」とを含んでいる。コントラスト設定画像105aは、設定項目名である「CONTRAST」という文字と、設定値である「127」という数字と、設定値の大きさを視覚的に表すバーとを含んでいる。ブラックレベル設定画像105bは、設定項目名である「BLACK LEVEL」という文字と、設定値である「127」という数字と、設定値の大きさを視覚的に表すバーとを含んでいる。カラー設定画像105cは、設定項目名である「COLOR」という文字と、設定値である「127」という数字と、設定値の大きさを視覚的に表すバーとを含んでいる。ホワイトバランス設定画像105dは、設定項目名である「WHITE BALANCE」という文字と、設定値である「127」という数字と、設定値の大きさを視覚的に表すバーとを含んでいる。
【0047】
本実施形態では、選択ID情報が「k(kは、1〜9のいずれか1つの値)」であるとき、ディスプレイIDが「k」のディスプレイ10に、そのディスプレイ10の設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像が表示される。そのために、マスタディスプレイは、自装置および各スレーブディスプレイの設定値を一括して第1メモリ12内に管理している。なお、リモコン30から、各ディスプレイ10の設定値の変更の指示を送信することができ、マスタディスプレイは、設定値の変更の指示を受信すると、自装置または各スレーブディスプレイの設定値を変更する。そして、マスタディスプレイのOSD生成部231は、変更後の設定値に基づいて、設定メニュー画像を作成し、作成した設定メニュー画像を表示させる。
【0048】
また、リモコン30からは、選択ID情報変更の指示を送信することができ、マスタディスプレイは、設定メニュー画像の表示中に選択ID情報変更の指示を受信すると、設定メニュー画像の消去と、選択ID情報の変更とを行い、その後、変更後の選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10の画面内に、そのディスプレイ10の設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示させる。たとえば、図10に示すように、選択ID情報が「1」の状態で、ディスプレイ10aの設定項目を表した設定メニュー画像がディスプレイ10aに表示されているときに、選択ID情報を「2」に変更する指示がリモコン30からマスタディスプレイへ送信されると、図12に示すように、選択ID情報が「2」の状態で、ディスプレイ10bの設定項目を表した設定メニュー画像がディスプレイ10bに表示される。
【0049】
また、マスタディスプレイのOSD生成部231は、設定メニュー画像内のいずれか1つの設定項目画像またはID選択画像104を選択し、選択した画像の背景色を、設定メニュー画像の他の部分の背景色とは異ならせて、設定メニュー画像を表示する。たとえば、OSD生成部231は、選択した画像の背景色を黄色とし、それ以外の部分の背景色を青色とする。なお、図10〜図12では、ID選択画像104が選択されており、ID選択画像104の背景色が他の部分の背景色とは異なることを示すために、ID選択画像104に斜線を引いている。
【0050】
OSD生成部231がいずれの画像を選択しているかは、選択項目情報として、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される。たとえば、ID選択画像104が選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「0」が記憶され、コントラスト設定画像105aが選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「1」が記憶され、ブラックレベル設定画像105bが選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「2」が記憶され、カラー設定画像105cが選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「3」が記憶され、ホワイトバランス設定画像105dが選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「4」が記憶される。初期設定では、選択項目情報は「0」であり、選択項目情報は、リモコン30からの指示によって変更することができる。
【0051】
また、マスタディスプレイの第1メモリ12は、設定メニュー画像が表示されているか否かを示すメニュー表示情報が記憶される。設定メニュー画像が表示中のとき、メニュー表示情報は「1」であり、設定メニュー画像が表示中ではないとき、メニュー表示情報は「0」である。
【0052】
OSD重畳部223は、入力画像または拡大入力画像と、設定メニュー画像または後述する拡大設定項目画像とを重畳した上で、表示器14の画面内に表示させる。重畳して表示するとは、入力画像または拡大入力画像を構成する分割画像上に、設定メニュー画像または後述する拡大設定項目画像を構成する設定項目分割画像をOSD表示することである。本実施形態では、マスタディスプレイは、自装置または他のディスプレイ10の画面内において、入力画像または拡大入力画像と、設定メニュー画像または後述する拡大設定項目画像とを重畳させて表示させることができる。たとえば、図13に示すように、マスタディスプレイは、図7に示す入力画像100に、拡大処理、額縁補正処理、および分割処理を行って得られた分割画像102a〜102iを、ディスプレイ10a〜10iにそれぞれ表示させ、かつ、分割画像102a上に設定メニュー画像103をOSD表示させることができる。
【0053】
OSD拡大処理部232は、本発明の特徴となる構成であり、設定メニュー画像内の1つの設定項目画像を拡大した画像である拡大設定項目画像を、1つのディスプレイ10の表示器14の画面内に、または、複数のディスプレイ10の表示器14の画面内に亘って表示させる。本実施形態では、マスタディスプレイのOSD拡大処理部232は、設定項目画像に拡大処理を行うことで拡大設定項目画像を作成し、設定メニュー画像を表示中のディスプレイ10の画面内に拡大設定項目画像を表示させる。または、マスタディスプレイのOSD拡大処理部232は、拡大設定項目画像に対して分割処理を行うことで、複数の設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを作成し、マルチディスプレイ内座標に基づいて、いずれの設定項目分割画像をいずれのディスプレイ10の画面内に表示すべきかを判断し、設定項目分割画像を表示すべきと判断したディスプレイ10のディスプレイIDと、その設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データとを下流側に送信することで、複数のディスプレイ10の画面内に亘って拡大設定項目画像を表示させる。
【0054】
本実施形態では、マスタディスプレイのOSD拡大処理部232は、設定メニュー画像の表示中、設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に、拡大設定項目画像を表示する。OSD拡大処理部232によって表示される拡大設定項目画像は、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10についての設定メニュー画像内の画像のうち、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される選択項目情報が示す画像を、拡大したものである。なお、リモコン30からの指示によって、いずれかのディスプレイ10に表示中の設定メニュー画像が変更された場合、OSD拡大処理部232は、拡大設定項目画像を、この設定メニュー画像内の画像に連動させて変更する。
【0055】
OSD拡大処理部232は、拡大設定項目画像を、予め定める大きさで、予め定める位置に表示させる。図14〜図20は、マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。本実施形態では、マスタディスプレイのOSD拡大処理部232は、図14に示すように、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10aの画面内において、設定メニュー画像103よりも下の位置に、拡大設定項目画像106を表示させる。この拡大設定項目画像106は、設定メニュー画像103内のブラックレベル設定画像105bを、1つのディスプレイ10の画面の横幅程度の大きさに拡大したものである。このような拡大率の拡大設定項目画像106を表示するとき、マスタディスプレイの第1メモリ12には、拡大率を示す拡大率情報として「1」が記憶される。
【0056】
拡大設定項目画像の拡大率は、リモコン30から指示を送信することによって、変更することができる。図15〜図17に示す拡大設定項目画像107は、設定メニュー画像103内のブラックレベル設定画像105bを、横並びに隣接する2つのディスプレイ10の画面の横幅の合計値程度の大きさに拡大したものである。このような拡大率の拡大設定項目画像107を表示するとき、マスタディスプレイの第1メモリ12には、拡大率を示す拡大率情報として「2」が記憶される。
【0057】
本実施形態では、拡大率情報が「2」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第1列目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図15に示すように、拡大設定項目画像107を、2つの設定項目分割画像107a,107bに分割して表示させる。拡大設定項目画像106の左側部分である設定項目分割画像107aは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10aの画面内において、設定メニュー画像103よりも下の位置に表示される。拡大設定項目画像107の右側部分である設定項目分割画像107bは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10aの右隣りのディスプレイ10bの画面内において、設定項目分割画像107aと同じ高さの位置に表示される。
【0058】
また、拡大率情報が「2」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第2列目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図16に示すように、拡大設定項目画像107を、3つの設定項目分割画像107a,107b,107cに分割して表示させる。拡大設定項目画像107の中央部分である設定項目分割画像107bは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10eの画面内において、設定メニュー画像103よりも下の位置に表示される。拡大設定項目画像107の左側部分である設定項目分割画像107aは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10eの左隣りのディスプレイ10dの画面内において、設定項目分割画像107bと同じ高さの位置に表示される。拡大設定項目画像107の右側部分である設定項目分割画像107cは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10eの右隣りのディスプレイ10fの画面内において、設定項目分割画像107bと同じ高さの位置に表示される。
【0059】
また、拡大率情報が「2」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第3列目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図17に示すように、拡大設定項目画像107を、2つの設定項目分割画像107a,107bに分割して表示させる。拡大設定項目画像107の右側部分である設定項目分割画像107bは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10iの画面内において、設定メニュー画像103よりも下の位置に表示される。拡大設定項目画像107の左側部分である設定項目分割画像107aは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10iの左隣りのディスプレイ10hの画面内において、設定項目分割画像107bと同じ高さの位置に表示される。
【0060】
マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される拡大率情報は、リモコン30から指示を送信することによって、「3」に変更することもできる。図18〜図20に示す拡大設定項目画像108は、拡大率情報が「3」のときの拡大設定項目画像であり、設定メニュー画像103内のブラックレベル設定画像105bを、横並びに隣接する3つのディスプレイ10の画面の横幅の合計値程度の大きさに拡大したものである。
【0061】
本実施形態では、拡大率情報が「3」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第1行目または第3行目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図18または図20に示すように、拡大設定項目画像108を、3つの設定項目分割画像108a,108b,108cに分割して表示させる。拡大設定項目画像108の中央部分である設定項目分割画像108bは、マルチディスプレイシステム1全体の中央に位置するディスプレイ10、すなわち、第2行目かつ第2列目に位置するディスプレイ10eの画面内において、中央の高さの位置に表示される。拡大設定項目画像108の左側部分である設定項目分割画像108aは、設定項目分割画像108bを表示中のディスプレイ10eの左隣りのディスプレイ10dの画面内において、設定項目分割画像108bと同じ高さの位置に表示される。拡大設定項目画像108の右側部分である設定項目分割画像108cは、設定項目分割画像108bを表示中のディスプレイ10eの右隣りのディスプレイ10fの画面内において、設定項目分割画像108bと同じ高さの位置に表示される。
【0062】
また、本実施形態では、拡大率情報が「3」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第2行目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図19に示すように、拡大設定項目画像108を、3つの設定項目分割画像108a,108b,108cに分割して表示させる。拡大設定項目画像108の中央部分である設定項目分割画像108bは、第3行目かつ第2列目に位置するディスプレイ10hの画面内において、中央の高さの位置に表示される。拡大設定項目画像108の左側部分である設定項目分割画像108aは、設定項目分割画像108bを表示中のディスプレイ10hの左隣りのディスプレイ10gの画面内において、設定項目分割画像108bと同じ高さの位置に表示される。拡大設定項目画像108の右側部分である設定項目分割画像108cは、設定項目分割画像108bを表示中のディスプレイ10hの右隣りのディスプレイ10iの画面内において、設定項目分割画像108bと同じ高さの位置に表示される。
【0063】
このように、拡大設定項目画像は、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される拡大率情報に従って、予め定める大きさで、予め定める位置に表示される。なお、拡大設定項目画像が表示中でないとき、拡大率情報は「0」である。
【0064】
図15〜図20に示すように、拡大設定項目画像を複数のディスプレイ10の画面に亘って表示するとき、額縁補正は行われない。額縁補正が行われると、設定項目名や設定値などが除去されてディスプレイ10の額縁に隠れているかのような画像が表示されることとなり、設定作業の妨げとなるからである。
【0065】
次に、リモコン30について説明する。図21は、リモコン30の外観図である。リモコン30は、パワーボタン31、メニューボタン32、サイズボタン33、およびカーソルボタン34などの操作ボタンを含む。パワーボタン31は、ディスプレイ10の電源を投入または切断するための操作ボタンである。メニューボタン32は、設定メニュー画像の表示または消去を行うための操作ボタンである。サイズボタン33は、画像の拡大表示を行うための操作ボタンである。カーソルボタン34は、カーソル上ボタン34a、カーソル下ボタン34b、カーソル左ボタン34c、およびカーソル右ボタン34dの総称であり、設定項目画像の選択を行ったり、設定値の増減を行ったりするための操作ボタンである。
【0066】
はじめに述べたように、リモコン30からの指示は、マスタディスプレイにのみ受信される。マスタディスプレイにのみリモコン30からの指示が有効になる仕組みを、図3を用いて説明する。
【0067】
図3に示すように、ディスプレイ10は、スケーラー部11、受光部15、第2抵抗素子R2、論理和回路25、およびドライバ26,27を含んでいる。受光部15の出力は、論理和回路25の1つの入力端子に接続され、スケーラー部11からの出力であるIR_EN信号は論理和回路25の他の入力端子に接続され、論理和回路25の出力端子は、スケーラー部11に接続される。そして、論理和回路25の他の入力端子は、一端がアースに接続される第2抵抗素子R2の他端に接続される。
【0068】
マスタディスプレイであるディスプレイ10aは、IR_EN信号をローレベルとする。IR_EN信号がローレベルであると、受光部15は、リモコン30から受信した光信号が表す情報をスケーラー部11に送ることができる。スレーブディスプレイであるディスプレイ10b〜10iは、IR_EN信号をハイレベルとする。IR_EN信号がハイレベルであると、論理和回路25の出力は常にハイレベルとなり、受光部15は、リモコン30から受信した光信号が表す情報をスケーラー部11に送ることができない。
【0069】
すなわち、スケーラー部11は、IR_EN信号をローレベルにすることによって、リモコン30からの操作情報を受け取ることを有効とし、IR_EN信号をハイレベルにすることによって、リモコン30からの操作情報を受け取ることを無効とすることができる。したがって、マスタディスプレイのみが、リモコン30の操作による操作情報を受信することができるので、リモコン30の操作時にスレーブディスプレイが同時に操作されることを防止することができる。
【0070】
なお、このような、マスタディスプレイのみリモコン30からの指示を有効とする設定処理は、図5を用いて説明したディスプレイIDの設定処理におけるステップA3とA7とにおいて、マスタディスプレイおよびスレーブディスプレイによってそれぞれ行われる。
【0071】
以下に、リモコン30の、メニューボタン32、サイズボタン33、カーソル上ボタン34a、カーソル下ボタン34b、カーソル左ボタン34c、およびカーソル右ボタン34dが押下されたときの、マルチディスプレイシステム1による処理を、それぞれ説明する。
【0072】
図22は、メニューボタン32が押下されたときの処理を示すフローチャートである。メニューボタン32が押下されると、メニューボタン32が押下されたことを示す操作情報がリモコン30から送信され、この操作情報がマスタディスプレイの受光部15によって受信される。受信されると、ステップB1の処理が行われる。
【0073】
ステップB1では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶されるメニュー表示情報を参照して、いずれかのディスプレイ10に設定メニュー画像が表示されているか否かを判断する。設定メニュー画像が表示されている場合、すなわち、メニュー表示情報が「1」の場合、ステップB2の処理へ進み、設定メニュー画像が表示されていない場合、すなわち、メニュー表示情報が「0」の場合、ステップB3の処理へ進む。
【0074】
ステップB2では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「0」か否かを判断する。拡大率情報が「0」の場合、ステップB4の処理へ進み、拡大率情報が「0」ではない場合、すなわち、「1」〜「3」のいずれかである場合、ステップB5の処理へ進む。
【0075】
ステップB4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ10に対して、設定メニュー画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、このディスプレイ10は、設定メニュー画像を画面から消去し、マスタディスプレイは、第1メモリ12のメニュー表示情報を、「0」に更新する。
【0076】
ステップB5では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ10に対して、設定メニュー画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、このディスプレイ10は、設定メニュー画像を画面から消去し、マスタディスプレイは、第1メモリ12のメニュー表示情報を、「0」に更新する。また、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を参照して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10に対して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、このディスプレイ10は、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を画面から消去する。
【0077】
ステップB3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「0」か否かを判断する。拡大率情報が「0」の場合、ステップB6の処理へ進み、拡大率情報が「0」ではない場合、すなわち、「1」〜「3」のいずれかである場合、ステップB7の処理へ進む。
【0078】
ステップB6では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。そして、マスタディスプレイは、第1メモリ12のメニュー表示情報を、「1」に更新する。なお、設定メニュー画像は、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択項目情報、選択ID情報、および選択ID情報が示すディスプレイ10の各設定値に基づいて、マスタディスプレイによって作成される。
【0079】
ステップB7では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。そして、マスタディスプレイは、第1メモリ12のメニュー表示情報を、「1」に更新する。なお、設定メニュー画像データは、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択項目情報、選択ID情報、および選択ID情報が示すディスプレイ10の各設定値に基づいて、マスタディスプレイによって作成される。
【0080】
また、ステップB7において、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報に基づいて、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示すべきディスプレイ10を判断し、このディスプレイ10に、拡大設定項目画像を表す拡大設定項目画像データまたは設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを送信し、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示させる。なお、拡大設定項目画像データまたは設定項目分割画像データは、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、拡大率情報、選択項目情報、選択ID情報、および選択ID情報が示すディスプレイ10の各設定値に基づいて、マスタディスプレイによって作成される。
【0081】
図23は、サイズボタン33が押下されたときの処理を示すフローチャートである。サイズボタン33が押下されると、サイズボタン33が押下されたことを示す操作情報がリモコン30から送信され、この操作情報がマスタディスプレイの受光部15によって受信される。受信されると、ステップC1の処理が行われる。
【0082】
ステップC1では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶されるメニュー表示情報を参照して、いずれかのディスプレイ10に設定メニュー画像が表示されているか否かを判断する。設定メニュー画像が表示されている場合、すなわち、メニュー表示情報が「1」の場合、ステップC2の処理へ進み、設定メニュー画像が表示されていない場合、すなわち、メニュー表示情報が「0」の場合、ステップC3の処理へ進む。
【0083】
ステップC2では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「3」か否かを判断する。拡大率情報が「3」の場合、ステップC4の処理へ進み、拡大率情報が「3」ではない場合、すなわち、「0」〜「2」のいずれかである場合、ステップC5の処理へ進む。
【0084】
ステップC4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を参照して、設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10に対して、設定項目分割画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、このディスプレイ10は、設定項目分割画像を画面から消去し、これによって、拡大設定項目画像は消去され、マスタディスプレイは、第1メモリ12の拡大率情報を、「0」に更新する。
【0085】
ステップC5では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を、1つ値を増加させて更新する。そして、マスタディスプレイは、更新後の拡大率情報に基づいて、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示すべきディスプレイ10を判断し、このディスプレイ10に、拡大設定項目画像を表す拡大設定項目画像データまたは設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを送信し、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示させる。なお、拡大率情報の更新前に拡大設定項目画像または設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10がある場合、ステップC5では、マスタディスプレイによって、そのディスプレイ10に対して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像の表示を中止するコマンドが送信される。
【0086】
ステップC3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に表示されている入力画像を拡大し、複数のディスプレイ10の画面に亘って表示させる。
【0087】
図24は、カーソル上ボタン34aまたはカーソル下ボタン34bが押下されたときの処理を示すフローチャートである。カーソル上ボタン34aまたはカーソル下ボタン34bが押下されると、カーソル上ボタン34aまたはカーソル下ボタン34bが押下されたことを示す操作情報がリモコン30から送信され、この操作情報がマスタディスプレイの受光部15によって受信される。受信されると、ステップD1の処理が行われる。
【0088】
ステップD1では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶されるメニュー表示情報を参照して、いずれかのディスプレイ10に設定メニュー画像が表示されているか否かを判断する。設定メニュー画像が表示されている場合、すなわち、メニュー表示情報が「1」の場合、ステップD2の処理へ進み、設定メニュー画像が表示されていない場合、すなわち、メニュー表示情報が「0」の場合、処理を終了する。
【0089】
ステップD2では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「0」か否かを判断する。拡大率情報が「0」の場合、ステップD3の処理へ進み、拡大率情報が「0」ではない場合、すなわち、「1」〜「3」のいずれかである場合、ステップD4の処理へ進む。
【0090】
ステップD3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択項目情報を変更する。より詳細には、カーソル上ボタン34aが押下された場合であれば、選択項目情報を、1つ値を減少させて更新する。ただし、更新前の選択項目情報が「0」であるときは、「4」に更新する。また、カーソル下ボタン34bが押下された場合であれば、選択項目情報を、1つ値を増加させて更新する。ただし、更新前の選択項目情報が「4」であるときは、「0」に更新する。
【0091】
さらに、ステップD3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、選択項目情報の更新後の新たな設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。この新たな設定メニュー画像では、更新後の選択項目情報が示す画像部分の背景色が、その他の部分の背景色とは異なる色になる。
【0092】
ステップD4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択項目情報を変更する。より詳細には、カーソル上ボタン34aが押下された場合であれば、選択項目情報を、1つ値を減少させて更新する。ただし、更新前の選択項目情報が「0」であるときは、「4」に更新する。また、カーソル下ボタン34bが押下された場合であれば、選択項目情報を、1つ値を増加させて更新する。ただし、更新前の選択項目情報が「4」であるときは、「0」に更新する。
【0093】
さらに、ステップD4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、選択項目情報の更新後の新たな設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。この新たな設定メニュー画像では、更新後の選択項目情報が示す画像部分の背景色が、その他の部分の背景色とは異なる色になる。
【0094】
また、ステップD4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を参照して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10に対して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像の表示を中止するコマンドを送信するとともに、選択項目情報の更新後の新たな拡大設定項目画像を表す拡大設定項目画像データまたは新たな設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを送信し、新たな拡大設定項目画像または新たな設定項目分割画像を表示させる。
【0095】
図25は、カーソル左ボタン34cまたはカーソル右ボタン34dが押下されたときの処理を示すフローチャートである。カーソル左ボタン34cまたはカーソル右ボタン34dが押下されると、カーソル左ボタン34cまたはカーソル右ボタン34dが押下されたことを示す操作情報がリモコン30から送信され、この操作情報がマスタディスプレイの受光部15によって受信される。受信されると、ステップE1の処理が行われる。
【0096】
ステップE1では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶されるメニュー表示情報を参照して、いずれかのディスプレイ10に設定メニュー画像が表示されているか否かを判断する。設定メニュー画像が表示されている場合、すなわち、メニュー表示情報が「1」の場合、ステップE2の処理へ進み、設定メニュー画像が表示されていない場合、すなわち、メニュー表示情報が「0」の場合、処理を終了する。
【0097】
ステップE2では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「0」か否かを判断する。拡大率情報が「0」の場合、ステップE3の処理へ進み、拡大率情報が「0」ではない場合、すなわち、「1」〜「3」のいずれかである場合、ステップE4の処理へ進む。
【0098】
ステップE3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択項目情報を参照して、選択項目情報が示す項目における設定値を変更する。より詳細には、カーソル左ボタン34cが押下された場合であれば、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10における設定値を、1つ値を減少させて更新する。ただし、更新前の設定値が最小値であるときは、設定値は変更しない。また、選択項目情報が示す項目が、図11に示すID選択画像104であるときにおいて、更新前の選択ID情報が「1」以外であれば、選択ID情報を、1つ値を減少させて更新し、更新前の選択ID情報が「1」であれば、選択ID情報を、「9」に更新する。
【0099】
また、カーソル右ボタン34dが押下された場合であれば、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10における設定値を、1つ値を増加させて更新する。ただし、更新前の設定値が最大値であるときは、設定値は変更しない。また、選択項目情報が示す項目が、ID選択画像104であるときにおいて、更新前の選択ID情報が「9」以外であれば、選択ID情報を、1つ値を増加させて更新し、更新前の選択ID情報が「9」であれば、選択ID情報を、「1」に更新する。
【0100】
そして、ステップE3では、マスタディスプレイは、更新した項目における設定値を、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に送信して、そのディスプレイ10の設定値を変更させる。ただし、更新した項目がID選択画像104であるときは、このような処理は行わない。
【0101】
さらに、ステップE3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、設定値の変更後の新たな設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。
【0102】
ステップE4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択項目情報を参照して、選択項目情報が示す項目における設定値を変更する。より詳細には、カーソル左ボタン34cが押下された場合であれば、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10における設定値を、1つ値を減少させて更新する。ただし、更新前の設定値が最小値であるときは、設定値は変更しない。また、選択項目情報が示す項目が、図11に示すID選択画像104であるときにおいて、更新前の選択ID情報が「1」以外であれば、選択ID情報を、1つ値を減少させて更新し、更新前の選択ID情報が「1」であれば、選択ID情報を、「9」に更新する。
【0103】
また、カーソル右ボタン34dが押下された場合であれば、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10における設定値を、1つ値を増加させて更新する。ただし、更新前の設定値が最大値であるときは、設定値は変更しない。また、選択項目情報が示す項目が、ID選択画像104であるときにおいて、更新前の選択ID情報が「9」以外であれば、選択ID情報を、1つ値を増加させて更新し、更新前の選択ID情報が「9」であれば、選択ID情報を、「1」に更新する。
【0104】
そして、ステップE4では、マスタディスプレイは、更新した項目における設定値を、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に送信して、そのディスプレイ10の設定値を変更させる。ただし、更新した項目がID選択画像104であるときは、このような処理は行わない。
【0105】
さらに、ステップE4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、設定値の変更後の新たな設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。
【0106】
また、ステップE4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を参照して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10に対して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、マスタディスプレイは、拡大率情報を参照して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示すべきディスプレイ10を判断し、このディスプレイ10に、設定値の変更後の新たな拡大設定項目画像を表す拡大設定項目画像データまたは新たな設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを送信し、新たな拡大設定項目画像または新たな設定項目分割画像を表示させる。
【0107】
以上のように構成されるマルチディスプレイシステム1によれば、設定メニュー画像の一部である設定項目画像を、1つのディスプレイ10の画面内または複数のディスプレイ10の画面に亘って、拡大表示することができるので、ディスプレイ10から遠く離れた位置でも設定項目画像を判読することができ、設定値の変更が容易となる。
【0108】
また本実施形態では、図15〜図20に示すように、マルチディスプレイシステム1内の複数のディスプレイ10に亘って設定項目画像を拡大表示することができるので、ディスプレイ10からより遠く離れた位置でも設定項目画像を判読することができる。
【0109】
また本実施形態では、設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に設定項目画像が拡大表示されるので、設定メニュー画像と設定項目画像とを両方判読することができる。
【0110】
また本実施形態では、1つのディスプレイ10の画面内に、そのディスプレイ10の設定項目を表した設定メニュー画像が表示される。したがって、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ10を確認することで、マルチディスプレイシステム1を構成する複数のディスプレイ10のうちのいずれのディスプレイ10の設定項目画像が拡大表示されているのかを確認することができる。
【0111】
また本実施形態では、図18〜図20に示すように、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ10以外のディスプレイ10に設定項目画像を拡大表示することができるので、設定項目画像をより大きく拡大表示することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 マルチディスプレイシステム
10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i ディスプレイ
11 スケーラー部
12 第1メモリ
13 第2メモリ
14 表示器
15 受光部
16 画像信号入力部
17 LAN接続部
18 RS−232C入力接続部
19 RS−232C出力接続部
21 CPU
22 表示制御回路部
23 OSD回路部
30 リモコン
221 額縁補正部
222 拡大処理部
223 OSD重畳部
231 OSD生成部
232 OSD拡大処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のディスプレイから構成されるマルチディスプレイシステムでは、ディスプレイを操作するとき、通常、すべてのディスプレイの画面全体を見渡せる程度に、ディスプレイから離れて操作する。しかしながら、マルチディスプレイシステムから離れた位置でディスプレイの設定項目を変更しようとする場合、肉眼で設定項目を確認し難く、設定値の変更が容易ではないという問題がある。設定項目は、複数の設定項目を集めた設定メニューとして表示されるのが一般的であり、1つの設定項目の表示サイズは小さくなってしまうからである。
【0003】
特許文献1には、上記の問題を解決しようとするディスプレイが記載されている。特許文献1に記載のディスプレイは、1つのディスプレイの画面全体に設定メニューを拡大することができ、これによって、上記の問題を解決しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−352511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような、画面全体に設定メニューを拡大できるディスプレイであったとしても、拡大できる大きさはディスプレイのサイズが限界であるので、離れて操作するときには、やはり、肉眼で設定項目を確認し難いという課題が生じる。この課題は、マルチディスプレイシステムを構成するディスプレイの数が増えるほど顕著になる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、ディスプレイの設定項目を、離れた位置から判読可能なように拡大することができるマルチディスプレイシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のディスプレイがデータ通信可能に接続されて構成されるマルチディスプレイシステムにおいて、
ディスプレイの設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示する設定メニュー画像表示手段と、
表示された設定メニュー画像内のいずれかの設定項目画像を、拡大表示の対象として選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段によって選択された設定項目画像を拡大した拡大設定項目画像を表示する拡大設定項目画像表示手段とを備えることを特徴とするマルチディスプレイシステムである。
【0008】
また本発明は、前記拡大設定項目画像表示手段は、複数のディスプレイに亘って、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記拡大設定項目画像表示手段は、前記設定メニュー画像の表示中、前記設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記設定メニュー画像表示手段は、1つのディスプレイ内に、そのディスプレイの設定項目を表した前記設定メニュー画像を表示することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記拡大設定項目画像表示手段は、前記設定メニュー画像を表示中のディスプレイとは異なるディスプレイに、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、各ディスプレイは、デイジーチェイン接続によってデータ通信可能に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定メニュー画像の一部である設定項目画像を拡大表示することができるので、ディスプレイから遠く離れた位置でも設定項目画像を判読することができる。
【0014】
また本発明によれば、マルチディスプレイシステム内の複数のディスプレイに亘って設定項目画像が拡大表示されるので、ディスプレイからより遠く離れた位置でも設定項目画像を判読することができる。
【0015】
また本発明によれば、設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に設定項目画像が拡大表示されるので、設定メニュー画像と設定項目画像とを両方判読することができる。
【0016】
また本発明によれば、設定メニュー画像が表示されているディスプレイを確認することで、マルチディスプレイシステムを構成する複数のディスプレイのうちのいずれのディスプレイの設定項目画像が拡大表示されているのかを確認することができる。
【0017】
また本発明によれば、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ以外のディスプレイに設定項目画像を拡大表示するので、設定項目画像をより大きく拡大表示することができる。
【0018】
また本発明によれば、デイジーチェイン接続によって各ディスプレイをデータ通信可能に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マルチディスプレイシステム1の外観を模式的に示す図である。
【図2】複数のディスプレイ10間の接続の様子を模式的に示す図である。
【図3】ディスプレイ10の電気的な構成を模式的に示す図である。
【図4】RS−232C入力接続部18およびRS−232C出力接続部19の詳細を示す図である。
【図5】ディスプレイIDの設定処理を示すフローチャートである。
【図6】スケーラー部11の構成を示すブロック図である。
【図7】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図8】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図9】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図10】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図11】設定メニュー画像103を拡大して示す図である。
【図12】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図13】マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。
【図14】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図15】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図16】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図17】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図18】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図19】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図20】マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。
【図21】リモコン30の外観図である。
【図22】メニューボタン32が押下されたときの処理を示すフローチャートである。
【図23】サイズボタン33が押下されたときの処理を示すフローチャートである。
【図24】カーソル上ボタン34aまたはカーソル下ボタン34bが押下されたときの処理を示すフローチャートである。
【図25】カーソル左ボタン34cまたはカーソル右ボタン34dが押下されたときの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態であるマルチディスプレイシステム1の外観を模式的に示す図である。マルチディスプレイシステム1は、データ通信可能に接続される複数のディスプレイ10と、ディスプレイ10を操作するための操作情報を光信号としてディスプレイ10に送信するリモートコントローラ(以下では、「リモコン」と称する)30とによって構成される。なお、リモコン30からの指示は、後述するマスタディスプレイにのみ受信される。
【0021】
図2は、複数のディスプレイ10間の接続の様子を模式的に示し、図3は、ディスプレイ10の電気的な構成を模式的に示す。また、図4は、ディスプレイ10が備えるRS−232C(Recommended Standard 232 version C)入力接続部18およびRS−232C出力接続部19の詳細を示す図である。図3および図4に示すように、ディスプレイ10は、スケーラー部11、第1メモリ12、第2メモリ13、表示器14、受光部15、画像信号入力部16、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network,LAN)接続部17、RS−232C入力接続部18、RS−232C出力接続部19、ダイオードD、第1抵抗素子R1、第2抵抗素子R2、論理和回路25、およびドライバ26,27を含む。なお、RS−232Cは、シリアル通信規格の名称である。
【0022】
図1および図2に示すように、マルチディスプレイシステム1は、9台のディスプレイ10を3行3列に配置した構成(以下では、「3×3構成」と称する)である。以下、各ディスプレイ10を区別する必要がある場合は、ディスプレイ10の参照符号「10」に添え字「a」〜「i」を付して各ディスプレイ10を区別し、ディスプレイ10a〜10iに共通し、区別する必要がない場合は、ディスプレイ10を用いる。また、同様に、RS−232C入力接続部18およびRS−232C出力接続部19についても、添え字「a」〜「i」を付してそれぞれを区別する。
【0023】
RS−232C入力接続部18は、ディスプレイ10の外部から信号を受信するための受信手段であり、RS−232C出力接続部19は、ディスプレイ10の外部へ信号を送信するための送信手段である。図3に示すように、RS−232C入力接続部18およびRS−232C出力接続部19は、スケーラー部11に接続され、RS−232C入力接続部18は、外部から受信した信号をスケーラー部11に送り、RS−232C出力接続部19は、スケーラー部11から受け取った情報を外部へ送信する。
【0024】
スケーラー部11は、中央処理装置(以下、「CPU」と称する)21、表示制御回路部22、およびオンスクリーンディスプレイ(On-Screen Display,OSD)回路部23を含む集積回路によって構成される。第1メモリ12は、たとえば半導体メモリによって構成され、後述するケーブルチェック(以下、「Cable_ck」と称する)レジスタ情報、ディスプレイIDなどの情報を記憶する。ディスプレイIDは、各ディスプレイ10を識別するための識別情報である。第2メモリ13は、たとえば半導体メモリによって構成され、CPU21によって実行される制御プログラムデータ、マルチディスプレイシステム1に関する情報、RS−232Cに関する情報などを記憶する。第1メモリ12および第2メモリ13への情報の書き込み、ならびに第1メモリ12および第2メモリ13からの情報の読み出しは、CPU21によって行われる。
【0025】
表示器14は、たとえば液晶パネルによって構成され、スケーラー部11から受け取った画像データに基づく画像を液晶パネルに表示する。受光部15は、リモコン30から送信された光信号を受信し、光信号が表す情報をスケーラー部11に送る。画像信号入力部16は、外部から画像信号を入力するためのコネクタである。外部から入力される画像信号は、たとえばパーソナルコンピュータから出力されるアナログ信号、DVI(Digital Visual Interface)信号もしくはディスプレイポート(DisplayPort)信号、または、オーディオビデオ機器から出力されるコンポジット信号、コンポーネント信号もしくはHDMI(High-Definition Multimedia Interface)信号などである。LAN接続部17は、LANケーブルを接続するコネクタを含み、LANによる情報の送受信を制御する。LAN接続部17は、受信した情報をスケーラー部11に送り、スケーラー部11から受け取った情報を送信する。
【0026】
図2に示すように、ディスプレイ10aを除くディスプレイ10のRS−232C入力接続部18には、RS−232C用接続ケーブルK1〜K8(区別する必要がない場合は「RS−232C用接続ケーブルK」と称する)のうちのいずれか1つのケーブルの一端が接続され、このケーブルの他端は、他のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19に接続される。このとき、ケーブルの一端がRS−232C入力接続部18に接続されるディスプレイ10を、ケーブルの他端がRS−232C出力接続部19に接続されるディスプレイ10に対して、下流側のディスプレイ10であると称し、逆に、ケーブルの他端がRS−232C出力接続部19に接続されるディスプレイ10を、ケーブルの一端がRS−232C入力接続部18に接続されるディスプレイ10に対して、上流側のディスプレイ10であると称する。
【0027】
本実施形態では、RS−232C用接続ケーブルK1〜K8による接続は、デイジーチェイン接続である。すなわち、各ディスプレイ10は、RS−232C用接続ケーブルK1〜K8によって直列的に接続される。より詳細には、RS−232C用接続ケーブルK1によって、RS−232C出力接続部19aとRS−232C入力接続部18bとが接続され、RS−232C用接続ケーブルK2によって、RS−232C出力接続部19bとRS−232C入力接続部18cとが接続され、以降同様に、RS−232C用接続ケーブルK8まで、上流側のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19と、下流側のディスプレイ10のRS−232C入力接続部18とが接続される。
【0028】
図4に示すように、RS−232C入力接続部18は、端子X1〜X9を含み、RS−232C出力接続部19は、端子Y1〜Y9を含む。RS−232C出力接続部19の端子Y9は、アノードが電源、たとえば+5Vの電源に接続されるダイオードDのカソードに接続される。RS−232C入力接続部18の端子X9は、一端がアースに接続される第1抵抗素子R1の他端、およびスケーラー部11に接続される。端子X9からスケーラー部11への信号を、Cable_ck信号と称する。
【0029】
RS−232C入力接続部18がRS−232C用接続ケーブルKによって上流側のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19に接続されるとき、RS−232C入力接続部18の端子X9は、上流側のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19の端子Y9と接続される。端子X9が端子Y9に接続されると、端子Y9がダイオードDを介して電源に接続されるので、Cable_ck信号は、電源の電圧からダイオードDの電圧降下を減算した電圧(以下では、「ハイレベル」と称する)になる。そして、RS−232C入力接続部18がRS−232C用接続ケーブルKによって上流側のディスプレイ10のRS−232C出力接続部19に接続されないとき、端子X9が第1抵抗素子R1によってアースに接続されるので、Cable_ck信号は、アースの電圧(以下では、「ローレベル」と称する)になる。
【0030】
スケーラー部11は、Cable_ck信号がハイレベルであるとき、自装置の上流側に他のディスプレイ10が接続されていると判断する。また、Cable_ck信号がローレベルであるとき、自装置の上流側には他のディスプレイ10が接続されておらず、自装置が最も上流側であると判断する。そして、スケーラー部11は、Cable_ck信号がハイレベルであるとき、Cable_ckレジスタ情報として、Cable_ck信号がハイレベルであることを示す「1」を、第1メモリ12に記憶し、Cable_ck信号がローレベルであるとき、Cable_ckレジスタ情報として、Cable_ck信号がローレベルであることを示す「0」を、第1メモリ12に記憶する。
【0031】
なお、RS−232C入力接続部18の端子X2,X3、およびRS−232C出力接続部19の端子Y2,Y3は、シリアル通信用の端子であり、スケーラー部11に接続される。端子X3からスケーラー部11への信号は、RS232C_in_TxD信号であり、端子X2からスケーラー部11への信号は、RS232C_in_RxD信号である。スケーラー部11から端子Y3への信号は、RS232C_out_RxD信号であり、スケーラー部11から端子Y2への信号は、RS232C_out_TxD信号である。
【0032】
図2に示すように、最も上流側のディスプレイ10は、ディスプレイ10aである。マルチディスプレイシステム1では、最も上流側のディスプレイ10aは、他のディスプレイ10にコマンドを送信するマスタディスプレイとなり、マスタディスプレイの下流側にある他のすべてのディスプレイ10は、マスタディスプレイから送られたコマンドを受信するスレーブディスプレイとなる。マスタディスプレイから送られるコマンドの1つに、各ディスプレイ10にディスプレイIDを設定するための自動ID振分コマンド(以下では、「振分コマンド」と称する)がある。
【0033】
図4および図5を用いて、ディスプレイIDの設定処理について説明する。図5は、ディスプレイIDの設定処理を示すフローチャートである。各ディスプレイ10が接続され、各ディスプレイ10の電源が投入され後、各ディスプレイ10において、ステップA1の処理が行われる。
【0034】
ステップA1では、CPU21は、Cable_ckロジックを第1メモリ12へ格納する。具体的には、CPU21は、Cable_ck信号がハイレベルであるとき、Cable_ckレジスタ情報として「1」を第1メモリ12に記憶し、Cable_ck信号がローレベルであるとき、Cable_ckレジスタ情報として「0」を第1メモリ12に記憶する。ステップA2では、CPU21は、第1メモリ12に記憶されるCable_ckロジックが「1」であるか否かを判定する。Cable_ckレジスタ情報が「1」であるとき、ステップA3に進み、Cable_ckレジスタ情報が「1」ではないとき、ステップA5に進む。
【0035】
ステップA3およびステップA3の後に行われるステップA4は、マスタディスプレイによって行われる処理である。ステップA3では、マスタディスプレイのCPU21は、自装置のディスプレイIDを「1」に設定する。すなわち、自装置の第1メモリ12に記憶されるディスプレイIDとして「1」を記憶する。そして、ステップA4では、マスタディスプレイのCPU21は、下流のディスプレイ10に、振分コマンドおよびディスプレイID「1」を送信する。
【0036】
ステップA5およびステップA5の後に行われるステップA6〜A8は、スレーブディスプレイによって行われる処理である。ステップA5では、スレーブディスプレイは、上流のディスプレイ10から、振分コマンドおよびディスプレイIDを受信する。そして、スレーブディスプレイのCPU21は、受信したディスプレイIDに「1」を加算し(ステップA6)、加算して得られた値を、自装置のディスプレイIDとして設定、すなわち、自装置の第1メモリ12に記憶する(ステップA7)。
【0037】
ステップA8では、スレーブディスプレイのCPU21は、下流のディスプレイ10に、振分コマンドを転送するとともに、自装置のディスプレイIDを送信する。なお、最も下流側のディスプレイ10iは、ディスプレイIDの設定が終了すると、すべてのディスプレイIDの設定が終了したことを示す通知を、上流側のスレーブディスプレイを介して、マスタディスプレイに送信する。
【0038】
以上のようなディスプレイIDの設定処理によって、ディスプレイ10aには、ディスプレイID「1」が設定され、ディスプレイ10bには、ディスプレイID「2」が設定され、以降同様にして、ディスプレイ10c〜10iに、ディスプレイID「3」〜「9」がそれぞれ設定される。ディスプレイIDの設定後、ユーザによって、マスタディスプレイの第1メモリ12に、マルチディスプレイシステム1が3×3構成であること、および、マルチディスプレイ内座標が入力される。マルチディスプレイ内座標は、各ディスプレイ10が、マルチディスプレイシステム1においてどの位置に配置されているかを示す座標であり、たとえば、図1において上から2行目左から3列目に配置されているディスプレイ10fのマルチディスプレイ内座標は、(2,3)である。
【0039】
次に、スケーラー部11による画像の表示処理について説明する。図6は、スケーラー部11の構成を示すブロック図である。図7〜図10、図12、および図13は、マルチディスプレイシステム1に表示される画像を示す図である。スケーラー部11は、上述したように、CPU21と、表示制御回路部22と、OSD回路部23とを含んでいる。表示制御回路部22は、額縁補正部221、拡大処理部222、およびOSD重畳部223を含み、OSD回路部23は、OSD生成部231およびOSD拡大処理部232を含む。
【0040】
表示制御回路部22は、画像信号入力部16、LAN接続部17、またはRS−232C入力接続部18を介して入力された入力画像データに基づいて、ディスプレイ10のいずれかに入力画像を表示させる。本実施形態では、マスタディスプレイは、自装置または他のディスプレイ10のうちのいずれか1つのディスプレイ10の表示器14の画面内に、入力画像データに基づく入力画像を表示させることができる。具体的には、マスタディスプレイは、スレーブディスプレイに対して、ディスプレイIDと、入力画像データとを送信することで、スレーブディスプレイに入力画像を表示させる。たとえば、図7に示すように、マスタディスプレイは、ディスプレイ10cの画面内に入力画像100を表示させることができる。
【0041】
拡大処理部222は、入力画像に拡大処理を行い、拡大処理後の画像に対して分割処理を行うことで、入力画像を、複数のディスプレイ10の画面内に亘って、拡大して表示させる。本実施形態では、マスタディスプレイは、自装置または他のディスプレイ10のうちのいずれか複数のディスプレイ10の表示器14の画面内に亘って、入力画像を拡大した拡大入力画像を表示させることができる。具体的には、マスタディスプレイは、入力画像に拡大処理を行い、拡大処理後の画像に対して分割処理を行うことで、複数の分割画像を表す分割画像データを作成する。そして、マルチディスプレイ内座標に基づいて、いずれの分割画像をいずれのディスプレイ10の画面内に表示すべきかを判断し、分割画像を表示すべきと判断したディスプレイ10のディスプレイIDと、その分割画像を表す分割画像データとを下流側に送信することで、複数のディスプレイ10の画面内に亘って拡大入力画像を表示させる。
【0042】
たとえば、図8に示すように、マスタディスプレイは、図7に示す入力画像100を縦に3倍に拡大し、横に3倍に拡大した後、9つに分割して得られる分割画像101a〜101iを、ディスプレイ10a〜10iにそれぞれ表示させることができる。その結果、すべてのディスプレイ10の画面内に亘って、分割画像101a〜101iからなる拡大入力画像を表示させることができる。
【0043】
額縁補正部221は、拡大処理部222によって入力画像を拡大するときに、拡大処理後の画像がディスプレイ10の額縁に隠れているかのように、画像を補正する。このような補正を、額縁補正処理と称する。本実施形態では、マスタディスプレイは、拡大処理部222によって入力画像に拡大処理を行い、額縁補正部221によって額縁補正処理を行うことで、拡大処理後の画像において額縁に相当する部分を除去する。その後、拡大処理部222によって、額縁補正処理後の画像を分割して分割画像データを作成し、複数の分割画像データそれぞれについて、ディスプレイIDとともにスレーブディスプレイに送信することで、複数のディスプレイ10の画面内に、額縁補正処理後の画像を表示させる。
【0044】
たとえば、図9に示すように、マスタディスプレイは、図7に示す入力画像100に、拡大処理、額縁補正処理、および分割処理を行って得られた分割画像102a〜102iを、ディスプレイ10a〜10iにそれぞれ表示させることができる。額縁補正処理を行ってマルチディスプレイシステム1に表示される拡大画像は、ディスプレイ10a〜10iのすべての画面を1つの大きな画面として入力画像100を拡大して表示し、拡大された画像の一部が額縁によって隠されているかのように見える画像である。これに対して、図8に示すように、額縁補正処理を行わずにマルチディスプレイシステム1に表示される拡大画像は、各ディスプレイ10間で不連続になって見える画像である。なお、ユーザは、マスタディスプレイに対して、額縁補正処理を行うか否かを設定することができる。
【0045】
OSD生成部231は、ディスプレイ10の設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示する。マスタディスプレイの第1メモリ12には、1つの選択ID情報が記憶されており、マスタディスプレイは、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10の画面内に設定メニュー画像を表示させる。選択ID情報が示すディスプレイ10の画面内に表示される設定メニュー画像は、そのディスプレイ10の設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像である。なお、初期設定では、選択ID情報は「1」であり、選択ID情報が「1」である場合、図10に示すように、マスタディスプレイの画面内に、設定メニュー画像103が表示される。
【0046】
図11は、図10に示す設定メニュー画像103を拡大して示す図である。設定メニュー画像103内には、ID選択画像104と、設定項目画像であるコントラスト設定画像105a、ブラックレベル設定画像105b、カラー設定画像105c、およびホワイトバランス設定画像105dとが含まれている。ID選択画像104は、「DISPLAY ID」という文字と、選択ID情報が示すディスプレイIDを表した数字「1」とを含んでいる。コントラスト設定画像105aは、設定項目名である「CONTRAST」という文字と、設定値である「127」という数字と、設定値の大きさを視覚的に表すバーとを含んでいる。ブラックレベル設定画像105bは、設定項目名である「BLACK LEVEL」という文字と、設定値である「127」という数字と、設定値の大きさを視覚的に表すバーとを含んでいる。カラー設定画像105cは、設定項目名である「COLOR」という文字と、設定値である「127」という数字と、設定値の大きさを視覚的に表すバーとを含んでいる。ホワイトバランス設定画像105dは、設定項目名である「WHITE BALANCE」という文字と、設定値である「127」という数字と、設定値の大きさを視覚的に表すバーとを含んでいる。
【0047】
本実施形態では、選択ID情報が「k(kは、1〜9のいずれか1つの値)」であるとき、ディスプレイIDが「k」のディスプレイ10に、そのディスプレイ10の設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像が表示される。そのために、マスタディスプレイは、自装置および各スレーブディスプレイの設定値を一括して第1メモリ12内に管理している。なお、リモコン30から、各ディスプレイ10の設定値の変更の指示を送信することができ、マスタディスプレイは、設定値の変更の指示を受信すると、自装置または各スレーブディスプレイの設定値を変更する。そして、マスタディスプレイのOSD生成部231は、変更後の設定値に基づいて、設定メニュー画像を作成し、作成した設定メニュー画像を表示させる。
【0048】
また、リモコン30からは、選択ID情報変更の指示を送信することができ、マスタディスプレイは、設定メニュー画像の表示中に選択ID情報変更の指示を受信すると、設定メニュー画像の消去と、選択ID情報の変更とを行い、その後、変更後の選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10の画面内に、そのディスプレイ10の設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示させる。たとえば、図10に示すように、選択ID情報が「1」の状態で、ディスプレイ10aの設定項目を表した設定メニュー画像がディスプレイ10aに表示されているときに、選択ID情報を「2」に変更する指示がリモコン30からマスタディスプレイへ送信されると、図12に示すように、選択ID情報が「2」の状態で、ディスプレイ10bの設定項目を表した設定メニュー画像がディスプレイ10bに表示される。
【0049】
また、マスタディスプレイのOSD生成部231は、設定メニュー画像内のいずれか1つの設定項目画像またはID選択画像104を選択し、選択した画像の背景色を、設定メニュー画像の他の部分の背景色とは異ならせて、設定メニュー画像を表示する。たとえば、OSD生成部231は、選択した画像の背景色を黄色とし、それ以外の部分の背景色を青色とする。なお、図10〜図12では、ID選択画像104が選択されており、ID選択画像104の背景色が他の部分の背景色とは異なることを示すために、ID選択画像104に斜線を引いている。
【0050】
OSD生成部231がいずれの画像を選択しているかは、選択項目情報として、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される。たとえば、ID選択画像104が選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「0」が記憶され、コントラスト設定画像105aが選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「1」が記憶され、ブラックレベル設定画像105bが選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「2」が記憶され、カラー設定画像105cが選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「3」が記憶され、ホワイトバランス設定画像105dが選択されているときは第1メモリ12に選択項目情報「4」が記憶される。初期設定では、選択項目情報は「0」であり、選択項目情報は、リモコン30からの指示によって変更することができる。
【0051】
また、マスタディスプレイの第1メモリ12は、設定メニュー画像が表示されているか否かを示すメニュー表示情報が記憶される。設定メニュー画像が表示中のとき、メニュー表示情報は「1」であり、設定メニュー画像が表示中ではないとき、メニュー表示情報は「0」である。
【0052】
OSD重畳部223は、入力画像または拡大入力画像と、設定メニュー画像または後述する拡大設定項目画像とを重畳した上で、表示器14の画面内に表示させる。重畳して表示するとは、入力画像または拡大入力画像を構成する分割画像上に、設定メニュー画像または後述する拡大設定項目画像を構成する設定項目分割画像をOSD表示することである。本実施形態では、マスタディスプレイは、自装置または他のディスプレイ10の画面内において、入力画像または拡大入力画像と、設定メニュー画像または後述する拡大設定項目画像とを重畳させて表示させることができる。たとえば、図13に示すように、マスタディスプレイは、図7に示す入力画像100に、拡大処理、額縁補正処理、および分割処理を行って得られた分割画像102a〜102iを、ディスプレイ10a〜10iにそれぞれ表示させ、かつ、分割画像102a上に設定メニュー画像103をOSD表示させることができる。
【0053】
OSD拡大処理部232は、本発明の特徴となる構成であり、設定メニュー画像内の1つの設定項目画像を拡大した画像である拡大設定項目画像を、1つのディスプレイ10の表示器14の画面内に、または、複数のディスプレイ10の表示器14の画面内に亘って表示させる。本実施形態では、マスタディスプレイのOSD拡大処理部232は、設定項目画像に拡大処理を行うことで拡大設定項目画像を作成し、設定メニュー画像を表示中のディスプレイ10の画面内に拡大設定項目画像を表示させる。または、マスタディスプレイのOSD拡大処理部232は、拡大設定項目画像に対して分割処理を行うことで、複数の設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを作成し、マルチディスプレイ内座標に基づいて、いずれの設定項目分割画像をいずれのディスプレイ10の画面内に表示すべきかを判断し、設定項目分割画像を表示すべきと判断したディスプレイ10のディスプレイIDと、その設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データとを下流側に送信することで、複数のディスプレイ10の画面内に亘って拡大設定項目画像を表示させる。
【0054】
本実施形態では、マスタディスプレイのOSD拡大処理部232は、設定メニュー画像の表示中、設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に、拡大設定項目画像を表示する。OSD拡大処理部232によって表示される拡大設定項目画像は、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10についての設定メニュー画像内の画像のうち、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される選択項目情報が示す画像を、拡大したものである。なお、リモコン30からの指示によって、いずれかのディスプレイ10に表示中の設定メニュー画像が変更された場合、OSD拡大処理部232は、拡大設定項目画像を、この設定メニュー画像内の画像に連動させて変更する。
【0055】
OSD拡大処理部232は、拡大設定項目画像を、予め定める大きさで、予め定める位置に表示させる。図14〜図20は、マルチディスプレイシステム1に表示される拡大設定項目画像を示す図である。本実施形態では、マスタディスプレイのOSD拡大処理部232は、図14に示すように、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10aの画面内において、設定メニュー画像103よりも下の位置に、拡大設定項目画像106を表示させる。この拡大設定項目画像106は、設定メニュー画像103内のブラックレベル設定画像105bを、1つのディスプレイ10の画面の横幅程度の大きさに拡大したものである。このような拡大率の拡大設定項目画像106を表示するとき、マスタディスプレイの第1メモリ12には、拡大率を示す拡大率情報として「1」が記憶される。
【0056】
拡大設定項目画像の拡大率は、リモコン30から指示を送信することによって、変更することができる。図15〜図17に示す拡大設定項目画像107は、設定メニュー画像103内のブラックレベル設定画像105bを、横並びに隣接する2つのディスプレイ10の画面の横幅の合計値程度の大きさに拡大したものである。このような拡大率の拡大設定項目画像107を表示するとき、マスタディスプレイの第1メモリ12には、拡大率を示す拡大率情報として「2」が記憶される。
【0057】
本実施形態では、拡大率情報が「2」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第1列目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図15に示すように、拡大設定項目画像107を、2つの設定項目分割画像107a,107bに分割して表示させる。拡大設定項目画像106の左側部分である設定項目分割画像107aは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10aの画面内において、設定メニュー画像103よりも下の位置に表示される。拡大設定項目画像107の右側部分である設定項目分割画像107bは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10aの右隣りのディスプレイ10bの画面内において、設定項目分割画像107aと同じ高さの位置に表示される。
【0058】
また、拡大率情報が「2」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第2列目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図16に示すように、拡大設定項目画像107を、3つの設定項目分割画像107a,107b,107cに分割して表示させる。拡大設定項目画像107の中央部分である設定項目分割画像107bは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10eの画面内において、設定メニュー画像103よりも下の位置に表示される。拡大設定項目画像107の左側部分である設定項目分割画像107aは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10eの左隣りのディスプレイ10dの画面内において、設定項目分割画像107bと同じ高さの位置に表示される。拡大設定項目画像107の右側部分である設定項目分割画像107cは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10eの右隣りのディスプレイ10fの画面内において、設定項目分割画像107bと同じ高さの位置に表示される。
【0059】
また、拡大率情報が「2」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第3列目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図17に示すように、拡大設定項目画像107を、2つの設定項目分割画像107a,107bに分割して表示させる。拡大設定項目画像107の右側部分である設定項目分割画像107bは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10iの画面内において、設定メニュー画像103よりも下の位置に表示される。拡大設定項目画像107の左側部分である設定項目分割画像107aは、設定メニュー画像103を表示中のディスプレイ10iの左隣りのディスプレイ10hの画面内において、設定項目分割画像107bと同じ高さの位置に表示される。
【0060】
マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される拡大率情報は、リモコン30から指示を送信することによって、「3」に変更することもできる。図18〜図20に示す拡大設定項目画像108は、拡大率情報が「3」のときの拡大設定項目画像であり、設定メニュー画像103内のブラックレベル設定画像105bを、横並びに隣接する3つのディスプレイ10の画面の横幅の合計値程度の大きさに拡大したものである。
【0061】
本実施形態では、拡大率情報が「3」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第1行目または第3行目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図18または図20に示すように、拡大設定項目画像108を、3つの設定項目分割画像108a,108b,108cに分割して表示させる。拡大設定項目画像108の中央部分である設定項目分割画像108bは、マルチディスプレイシステム1全体の中央に位置するディスプレイ10、すなわち、第2行目かつ第2列目に位置するディスプレイ10eの画面内において、中央の高さの位置に表示される。拡大設定項目画像108の左側部分である設定項目分割画像108aは、設定項目分割画像108bを表示中のディスプレイ10eの左隣りのディスプレイ10dの画面内において、設定項目分割画像108bと同じ高さの位置に表示される。拡大設定項目画像108の右側部分である設定項目分割画像108cは、設定項目分割画像108bを表示中のディスプレイ10eの右隣りのディスプレイ10fの画面内において、設定項目分割画像108bと同じ高さの位置に表示される。
【0062】
また、本実施形態では、拡大率情報が「3」であり、設定メニュー画像103がマルチディスプレイシステム1における第2行目のディスプレイ10に表示されるとき、マスタディスプレイは、図19に示すように、拡大設定項目画像108を、3つの設定項目分割画像108a,108b,108cに分割して表示させる。拡大設定項目画像108の中央部分である設定項目分割画像108bは、第3行目かつ第2列目に位置するディスプレイ10hの画面内において、中央の高さの位置に表示される。拡大設定項目画像108の左側部分である設定項目分割画像108aは、設定項目分割画像108bを表示中のディスプレイ10hの左隣りのディスプレイ10gの画面内において、設定項目分割画像108bと同じ高さの位置に表示される。拡大設定項目画像108の右側部分である設定項目分割画像108cは、設定項目分割画像108bを表示中のディスプレイ10hの右隣りのディスプレイ10iの画面内において、設定項目分割画像108bと同じ高さの位置に表示される。
【0063】
このように、拡大設定項目画像は、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される拡大率情報に従って、予め定める大きさで、予め定める位置に表示される。なお、拡大設定項目画像が表示中でないとき、拡大率情報は「0」である。
【0064】
図15〜図20に示すように、拡大設定項目画像を複数のディスプレイ10の画面に亘って表示するとき、額縁補正は行われない。額縁補正が行われると、設定項目名や設定値などが除去されてディスプレイ10の額縁に隠れているかのような画像が表示されることとなり、設定作業の妨げとなるからである。
【0065】
次に、リモコン30について説明する。図21は、リモコン30の外観図である。リモコン30は、パワーボタン31、メニューボタン32、サイズボタン33、およびカーソルボタン34などの操作ボタンを含む。パワーボタン31は、ディスプレイ10の電源を投入または切断するための操作ボタンである。メニューボタン32は、設定メニュー画像の表示または消去を行うための操作ボタンである。サイズボタン33は、画像の拡大表示を行うための操作ボタンである。カーソルボタン34は、カーソル上ボタン34a、カーソル下ボタン34b、カーソル左ボタン34c、およびカーソル右ボタン34dの総称であり、設定項目画像の選択を行ったり、設定値の増減を行ったりするための操作ボタンである。
【0066】
はじめに述べたように、リモコン30からの指示は、マスタディスプレイにのみ受信される。マスタディスプレイにのみリモコン30からの指示が有効になる仕組みを、図3を用いて説明する。
【0067】
図3に示すように、ディスプレイ10は、スケーラー部11、受光部15、第2抵抗素子R2、論理和回路25、およびドライバ26,27を含んでいる。受光部15の出力は、論理和回路25の1つの入力端子に接続され、スケーラー部11からの出力であるIR_EN信号は論理和回路25の他の入力端子に接続され、論理和回路25の出力端子は、スケーラー部11に接続される。そして、論理和回路25の他の入力端子は、一端がアースに接続される第2抵抗素子R2の他端に接続される。
【0068】
マスタディスプレイであるディスプレイ10aは、IR_EN信号をローレベルとする。IR_EN信号がローレベルであると、受光部15は、リモコン30から受信した光信号が表す情報をスケーラー部11に送ることができる。スレーブディスプレイであるディスプレイ10b〜10iは、IR_EN信号をハイレベルとする。IR_EN信号がハイレベルであると、論理和回路25の出力は常にハイレベルとなり、受光部15は、リモコン30から受信した光信号が表す情報をスケーラー部11に送ることができない。
【0069】
すなわち、スケーラー部11は、IR_EN信号をローレベルにすることによって、リモコン30からの操作情報を受け取ることを有効とし、IR_EN信号をハイレベルにすることによって、リモコン30からの操作情報を受け取ることを無効とすることができる。したがって、マスタディスプレイのみが、リモコン30の操作による操作情報を受信することができるので、リモコン30の操作時にスレーブディスプレイが同時に操作されることを防止することができる。
【0070】
なお、このような、マスタディスプレイのみリモコン30からの指示を有効とする設定処理は、図5を用いて説明したディスプレイIDの設定処理におけるステップA3とA7とにおいて、マスタディスプレイおよびスレーブディスプレイによってそれぞれ行われる。
【0071】
以下に、リモコン30の、メニューボタン32、サイズボタン33、カーソル上ボタン34a、カーソル下ボタン34b、カーソル左ボタン34c、およびカーソル右ボタン34dが押下されたときの、マルチディスプレイシステム1による処理を、それぞれ説明する。
【0072】
図22は、メニューボタン32が押下されたときの処理を示すフローチャートである。メニューボタン32が押下されると、メニューボタン32が押下されたことを示す操作情報がリモコン30から送信され、この操作情報がマスタディスプレイの受光部15によって受信される。受信されると、ステップB1の処理が行われる。
【0073】
ステップB1では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶されるメニュー表示情報を参照して、いずれかのディスプレイ10に設定メニュー画像が表示されているか否かを判断する。設定メニュー画像が表示されている場合、すなわち、メニュー表示情報が「1」の場合、ステップB2の処理へ進み、設定メニュー画像が表示されていない場合、すなわち、メニュー表示情報が「0」の場合、ステップB3の処理へ進む。
【0074】
ステップB2では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「0」か否かを判断する。拡大率情報が「0」の場合、ステップB4の処理へ進み、拡大率情報が「0」ではない場合、すなわち、「1」〜「3」のいずれかである場合、ステップB5の処理へ進む。
【0075】
ステップB4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ10に対して、設定メニュー画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、このディスプレイ10は、設定メニュー画像を画面から消去し、マスタディスプレイは、第1メモリ12のメニュー表示情報を、「0」に更新する。
【0076】
ステップB5では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ10に対して、設定メニュー画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、このディスプレイ10は、設定メニュー画像を画面から消去し、マスタディスプレイは、第1メモリ12のメニュー表示情報を、「0」に更新する。また、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を参照して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10に対して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、このディスプレイ10は、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を画面から消去する。
【0077】
ステップB3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「0」か否かを判断する。拡大率情報が「0」の場合、ステップB6の処理へ進み、拡大率情報が「0」ではない場合、すなわち、「1」〜「3」のいずれかである場合、ステップB7の処理へ進む。
【0078】
ステップB6では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。そして、マスタディスプレイは、第1メモリ12のメニュー表示情報を、「1」に更新する。なお、設定メニュー画像は、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択項目情報、選択ID情報、および選択ID情報が示すディスプレイ10の各設定値に基づいて、マスタディスプレイによって作成される。
【0079】
ステップB7では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。そして、マスタディスプレイは、第1メモリ12のメニュー表示情報を、「1」に更新する。なお、設定メニュー画像データは、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択項目情報、選択ID情報、および選択ID情報が示すディスプレイ10の各設定値に基づいて、マスタディスプレイによって作成される。
【0080】
また、ステップB7において、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報に基づいて、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示すべきディスプレイ10を判断し、このディスプレイ10に、拡大設定項目画像を表す拡大設定項目画像データまたは設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを送信し、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示させる。なお、拡大設定項目画像データまたは設定項目分割画像データは、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、拡大率情報、選択項目情報、選択ID情報、および選択ID情報が示すディスプレイ10の各設定値に基づいて、マスタディスプレイによって作成される。
【0081】
図23は、サイズボタン33が押下されたときの処理を示すフローチャートである。サイズボタン33が押下されると、サイズボタン33が押下されたことを示す操作情報がリモコン30から送信され、この操作情報がマスタディスプレイの受光部15によって受信される。受信されると、ステップC1の処理が行われる。
【0082】
ステップC1では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶されるメニュー表示情報を参照して、いずれかのディスプレイ10に設定メニュー画像が表示されているか否かを判断する。設定メニュー画像が表示されている場合、すなわち、メニュー表示情報が「1」の場合、ステップC2の処理へ進み、設定メニュー画像が表示されていない場合、すなわち、メニュー表示情報が「0」の場合、ステップC3の処理へ進む。
【0083】
ステップC2では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「3」か否かを判断する。拡大率情報が「3」の場合、ステップC4の処理へ進み、拡大率情報が「3」ではない場合、すなわち、「0」〜「2」のいずれかである場合、ステップC5の処理へ進む。
【0084】
ステップC4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を参照して、設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10に対して、設定項目分割画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、このディスプレイ10は、設定項目分割画像を画面から消去し、これによって、拡大設定項目画像は消去され、マスタディスプレイは、第1メモリ12の拡大率情報を、「0」に更新する。
【0085】
ステップC5では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を、1つ値を増加させて更新する。そして、マスタディスプレイは、更新後の拡大率情報に基づいて、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示すべきディスプレイ10を判断し、このディスプレイ10に、拡大設定項目画像を表す拡大設定項目画像データまたは設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを送信し、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示させる。なお、拡大率情報の更新前に拡大設定項目画像または設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10がある場合、ステップC5では、マスタディスプレイによって、そのディスプレイ10に対して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像の表示を中止するコマンドが送信される。
【0086】
ステップC3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に表示されている入力画像を拡大し、複数のディスプレイ10の画面に亘って表示させる。
【0087】
図24は、カーソル上ボタン34aまたはカーソル下ボタン34bが押下されたときの処理を示すフローチャートである。カーソル上ボタン34aまたはカーソル下ボタン34bが押下されると、カーソル上ボタン34aまたはカーソル下ボタン34bが押下されたことを示す操作情報がリモコン30から送信され、この操作情報がマスタディスプレイの受光部15によって受信される。受信されると、ステップD1の処理が行われる。
【0088】
ステップD1では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶されるメニュー表示情報を参照して、いずれかのディスプレイ10に設定メニュー画像が表示されているか否かを判断する。設定メニュー画像が表示されている場合、すなわち、メニュー表示情報が「1」の場合、ステップD2の処理へ進み、設定メニュー画像が表示されていない場合、すなわち、メニュー表示情報が「0」の場合、処理を終了する。
【0089】
ステップD2では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「0」か否かを判断する。拡大率情報が「0」の場合、ステップD3の処理へ進み、拡大率情報が「0」ではない場合、すなわち、「1」〜「3」のいずれかである場合、ステップD4の処理へ進む。
【0090】
ステップD3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択項目情報を変更する。より詳細には、カーソル上ボタン34aが押下された場合であれば、選択項目情報を、1つ値を減少させて更新する。ただし、更新前の選択項目情報が「0」であるときは、「4」に更新する。また、カーソル下ボタン34bが押下された場合であれば、選択項目情報を、1つ値を増加させて更新する。ただし、更新前の選択項目情報が「4」であるときは、「0」に更新する。
【0091】
さらに、ステップD3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、選択項目情報の更新後の新たな設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。この新たな設定メニュー画像では、更新後の選択項目情報が示す画像部分の背景色が、その他の部分の背景色とは異なる色になる。
【0092】
ステップD4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択項目情報を変更する。より詳細には、カーソル上ボタン34aが押下された場合であれば、選択項目情報を、1つ値を減少させて更新する。ただし、更新前の選択項目情報が「0」であるときは、「4」に更新する。また、カーソル下ボタン34bが押下された場合であれば、選択項目情報を、1つ値を増加させて更新する。ただし、更新前の選択項目情報が「4」であるときは、「0」に更新する。
【0093】
さらに、ステップD4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、選択項目情報の更新後の新たな設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。この新たな設定メニュー画像では、更新後の選択項目情報が示す画像部分の背景色が、その他の部分の背景色とは異なる色になる。
【0094】
また、ステップD4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を参照して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10に対して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像の表示を中止するコマンドを送信するとともに、選択項目情報の更新後の新たな拡大設定項目画像を表す拡大設定項目画像データまたは新たな設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを送信し、新たな拡大設定項目画像または新たな設定項目分割画像を表示させる。
【0095】
図25は、カーソル左ボタン34cまたはカーソル右ボタン34dが押下されたときの処理を示すフローチャートである。カーソル左ボタン34cまたはカーソル右ボタン34dが押下されると、カーソル左ボタン34cまたはカーソル右ボタン34dが押下されたことを示す操作情報がリモコン30から送信され、この操作情報がマスタディスプレイの受光部15によって受信される。受信されると、ステップE1の処理が行われる。
【0096】
ステップE1では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶されるメニュー表示情報を参照して、いずれかのディスプレイ10に設定メニュー画像が表示されているか否かを判断する。設定メニュー画像が表示されている場合、すなわち、メニュー表示情報が「1」の場合、ステップE2の処理へ進み、設定メニュー画像が表示されていない場合、すなわち、メニュー表示情報が「0」の場合、処理を終了する。
【0097】
ステップE2では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報が「0」か否かを判断する。拡大率情報が「0」の場合、ステップE3の処理へ進み、拡大率情報が「0」ではない場合、すなわち、「1」〜「3」のいずれかである場合、ステップE4の処理へ進む。
【0098】
ステップE3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択項目情報を参照して、選択項目情報が示す項目における設定値を変更する。より詳細には、カーソル左ボタン34cが押下された場合であれば、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10における設定値を、1つ値を減少させて更新する。ただし、更新前の設定値が最小値であるときは、設定値は変更しない。また、選択項目情報が示す項目が、図11に示すID選択画像104であるときにおいて、更新前の選択ID情報が「1」以外であれば、選択ID情報を、1つ値を減少させて更新し、更新前の選択ID情報が「1」であれば、選択ID情報を、「9」に更新する。
【0099】
また、カーソル右ボタン34dが押下された場合であれば、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10における設定値を、1つ値を増加させて更新する。ただし、更新前の設定値が最大値であるときは、設定値は変更しない。また、選択項目情報が示す項目が、ID選択画像104であるときにおいて、更新前の選択ID情報が「9」以外であれば、選択ID情報を、1つ値を増加させて更新し、更新前の選択ID情報が「9」であれば、選択ID情報を、「1」に更新する。
【0100】
そして、ステップE3では、マスタディスプレイは、更新した項目における設定値を、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に送信して、そのディスプレイ10の設定値を変更させる。ただし、更新した項目がID選択画像104であるときは、このような処理は行わない。
【0101】
さらに、ステップE3では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、設定値の変更後の新たな設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。
【0102】
ステップE4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択項目情報を参照して、選択項目情報が示す項目における設定値を変更する。より詳細には、カーソル左ボタン34cが押下された場合であれば、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10における設定値を、1つ値を減少させて更新する。ただし、更新前の設定値が最小値であるときは、設定値は変更しない。また、選択項目情報が示す項目が、図11に示すID選択画像104であるときにおいて、更新前の選択ID情報が「1」以外であれば、選択ID情報を、1つ値を減少させて更新し、更新前の選択ID情報が「1」であれば、選択ID情報を、「9」に更新する。
【0103】
また、カーソル右ボタン34dが押下された場合であれば、マスタディスプレイの第1メモリ12に記憶される、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10における設定値を、1つ値を増加させて更新する。ただし、更新前の設定値が最大値であるときは、設定値は変更しない。また、選択項目情報が示す項目が、ID選択画像104であるときにおいて、更新前の選択ID情報が「9」以外であれば、選択ID情報を、1つ値を増加させて更新し、更新前の選択ID情報が「9」であれば、選択ID情報を、「1」に更新する。
【0104】
そして、ステップE4では、マスタディスプレイは、更新した項目における設定値を、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に送信して、そのディスプレイ10の設定値を変更させる。ただし、更新した項目がID選択画像104であるときは、このような処理は行わない。
【0105】
さらに、ステップE4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される選択ID情報を参照して、選択ID情報が示すディスプレイIDが割り振られたディスプレイ10に、設定値の変更後の新たな設定メニュー画像を表す設定メニュー画像データを送信し、設定メニュー画像を表示させる。
【0106】
また、ステップE4では、マスタディスプレイは、第1メモリ12に記憶される拡大率情報を参照して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像が表示されているディスプレイ10に対して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像の表示を中止するコマンドを送信する。そして、マスタディスプレイは、拡大率情報を参照して、拡大設定項目画像または設定項目分割画像を表示すべきディスプレイ10を判断し、このディスプレイ10に、設定値の変更後の新たな拡大設定項目画像を表す拡大設定項目画像データまたは新たな設定項目分割画像を表す設定項目分割画像データを送信し、新たな拡大設定項目画像または新たな設定項目分割画像を表示させる。
【0107】
以上のように構成されるマルチディスプレイシステム1によれば、設定メニュー画像の一部である設定項目画像を、1つのディスプレイ10の画面内または複数のディスプレイ10の画面に亘って、拡大表示することができるので、ディスプレイ10から遠く離れた位置でも設定項目画像を判読することができ、設定値の変更が容易となる。
【0108】
また本実施形態では、図15〜図20に示すように、マルチディスプレイシステム1内の複数のディスプレイ10に亘って設定項目画像を拡大表示することができるので、ディスプレイ10からより遠く離れた位置でも設定項目画像を判読することができる。
【0109】
また本実施形態では、設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に設定項目画像が拡大表示されるので、設定メニュー画像と設定項目画像とを両方判読することができる。
【0110】
また本実施形態では、1つのディスプレイ10の画面内に、そのディスプレイ10の設定項目を表した設定メニュー画像が表示される。したがって、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ10を確認することで、マルチディスプレイシステム1を構成する複数のディスプレイ10のうちのいずれのディスプレイ10の設定項目画像が拡大表示されているのかを確認することができる。
【0111】
また本実施形態では、図18〜図20に示すように、設定メニュー画像が表示されているディスプレイ10以外のディスプレイ10に設定項目画像を拡大表示することができるので、設定項目画像をより大きく拡大表示することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 マルチディスプレイシステム
10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i ディスプレイ
11 スケーラー部
12 第1メモリ
13 第2メモリ
14 表示器
15 受光部
16 画像信号入力部
17 LAN接続部
18 RS−232C入力接続部
19 RS−232C出力接続部
21 CPU
22 表示制御回路部
23 OSD回路部
30 リモコン
221 額縁補正部
222 拡大処理部
223 OSD重畳部
231 OSD生成部
232 OSD拡大処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイがデータ通信可能に接続されて構成されるマルチディスプレイシステムにおいて、
ディスプレイの設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示する設定メニュー画像表示手段と、
表示された設定メニュー画像内のいずれかの設定項目画像を、拡大表示の対象として選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段によって選択された設定項目画像を拡大した拡大設定項目画像を表示する拡大設定項目画像表示手段とを備えることを特徴とするマルチディスプレイシステム。
【請求項2】
前記拡大設定項目画像表示手段は、複数のディスプレイに亘って、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする請求項1に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項3】
前記拡大設定項目画像表示手段は、前記設定メニュー画像の表示中、前記設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする請求項1または2に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項4】
前記設定メニュー画像表示手段は、1つのディスプレイ内に、そのディスプレイの設定項目を表した前記設定メニュー画像を表示することを特徴とする請求項3に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項5】
前記拡大設定項目画像表示手段は、前記設定メニュー画像を表示中のディスプレイとは異なるディスプレイに、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする請求項4に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項6】
各ディスプレイは、デイジーチェイン接続によってデータ通信可能に接続されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項1】
複数のディスプレイがデータ通信可能に接続されて構成されるマルチディスプレイシステムにおいて、
ディスプレイの設定項目を表した設定項目画像を含む設定メニュー画像を表示する設定メニュー画像表示手段と、
表示された設定メニュー画像内のいずれかの設定項目画像を、拡大表示の対象として選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段によって選択された設定項目画像を拡大した拡大設定項目画像を表示する拡大設定項目画像表示手段とを備えることを特徴とするマルチディスプレイシステム。
【請求項2】
前記拡大設定項目画像表示手段は、複数のディスプレイに亘って、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする請求項1に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項3】
前記拡大設定項目画像表示手段は、前記設定メニュー画像の表示中、前記設定メニュー画像の表示位置とは異なる位置に、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする請求項1または2に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項4】
前記設定メニュー画像表示手段は、1つのディスプレイ内に、そのディスプレイの設定項目を表した前記設定メニュー画像を表示することを特徴とする請求項3に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項5】
前記拡大設定項目画像表示手段は、前記設定メニュー画像を表示中のディスプレイとは異なるディスプレイに、前記拡大設定項目画像を表示することを特徴とする請求項4に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項6】
各ディスプレイは、デイジーチェイン接続によってデータ通信可能に接続されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のマルチディスプレイシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−9057(P2013−9057A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138969(P2011−138969)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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