説明

マルチメディア製品を受け渡しするための提供装置、提供方法及び提供システム

【課題】セルフサービス装置を利用してマルチメディア製品を受け渡す。
【解決手段】セルフサービス装置において、第1の高速無線通信装置に接続して第1の棚に近接している第1の高周波アンテナアレイを備えるインタフェースと、第1のユーザインタフェースの特徴及び機能を制御する命令を格納する短期メモリと、前記マルチメディア製品のうちの1つを格納する長期メモリと、を備えるコンピュータにより、前記第1の高速無線通信装置に、前記長期メモリに格納している前記マルチメディア製品のうちの1つを、前記第1の棚に近接している携帯装置に転送させ、サービス品質が、前記マルチメディア製品の転送中に定期的に判定され、前記サービス品質がサービスの最低レベル以下になった場合に、前記第1の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射の出力電力が、前記サービス品質を改善するために調整され、マルチメディア製品を受け渡す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフサービス装置に関し、特に、セルフサービス装置によりマルチメディア製品を受け渡すための提供装置、提供方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
個々の顧客にマルチメディア製品を受け渡すために、種々の異なるルートが、使用されている。このような1つのルートは、DVDへのマルチメディア製品の格納を含む。DVDに格納されているマルチメディア製品は、顧客に販売またはレンタルされ、郵送されるか、または顧客が近くの実店舗またはDVDセルフサービス装置に行って入手する。ビデオゲームは、他のタイプのマルチメディア製品であり、同様に、DVDの場合と同様の方法により受け渡される。
【0003】
顧客に対してマルチメディア製品を受け渡すために、セルフサービス装置がますます盛んに利用されている。セルフサービス装置は、食料品店、ドラッグストア、事務所用ビル、モールまたは他の類似のタイプの場所のような、人々が定期的に訪れる場所に設置されている。セルフサービス装置は、貸し出しを行い、レンタルのために返却されたDVD及びビデオゲームを受領する。セルフサービス装置により、マルチメディア製品を購入するかまたはレンタルする方が、実店舗に行くより便利である。何故なら、セルフサービス装置が設置されている場所の数の方が実店舗の数より多いからである。また、セルフサービス装置を使用したほうが、メールで注文した製品が届くのを待つよりも早いからである。しかし、セルフサービス装置を使用する場合でも、顧客は、依然として各マルチメディア製品を入手するために、現物のDVDを持ち運び、保護しなければならないし、レンタルするには、顧客は、依然として各DVDを返却するか、または製品への支払いをしなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、上記のような手順を必要としないマルチメディア製品を受け渡すための装置及び方法があれば便利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、マルチメディア製品を格納し、貸し出すためのものである。その一つの実施態様においては、セルフサービス装置は、セルフサービス装置の特徴及び機能を制御または実施する命令を実行するコンピュータを含む。セルフサービス装置は、さらに、4つの側面を備えるハウジングを含む。各側面または面は、ユーザが、セルフサービス装置から入手可能なマルチメディア製品を閲覧し、選択することができるようにする個々のユーザインタフェースをサポートすることができる。ユーザは、この製品を購入またはレンタルするために選択することができ、次に、購入した製品に対する支払いをすることができる。セルフサービス装置は、ユーザインタフェースを装備している1つから4つの側面を有する。当初ユーザインタフェースを装備していない側面には、後でユーザインタフェースを追加装備することができる。
【0006】
ユーザは、DVD上に購入したマルチメディア製品を受領することもできるし、または製品をPDAのような携帯装置にダウンロードすることもできる。セルフサービス装置は、1分以内に大部分の製品をダウンロードすることができる各ユーザインタフェースのための高速通信構成要素をサポートする。製品をダウンロードするには、携帯装置は、セルフサービス装置の高速通信と互換性を有する高速通信をサポートできるものでなければならない。
【0007】
ユーザインタフェースは、1つまたは複数の選択したマルチメディア製品を携帯装置にダウンロードすることができるように、携帯装置が置かれる棚を有する。アンテナアレイは、棚の下に位置している。アンテナアレイは、高速通信に関連する信号を送受信するように設計されている。アンテナアレイは、棚の上及び棚に近接している領域に信号を集中的に向けるように設計されている。セルフサービス装置の各ユーザインタフェースは、アンテナアレイを備えている棚を有し、他のユーザインタフェースにおいて行われているダウンロードと干渉を起こさないで、同時に製品をダウンロードすることができる。セルフサービス装置は、また、携帯装置にダウンロードされている各製品に対するデータとしてサービス品質を判定する。サービス品質が最低レベル以下になった場合には、サービス品質を改善するために、アンテナアレイから伝送された信号の出力電力が調整される。
【0008】
セルフサービス装置は、セルフサービス装置の動作及び取引を監視し追跡するサーバと通信する(高速通信とは無関係ないくつかの通信構成要素により)。サーバは、また、セルフサービス装置にソフトウェアの更新を提供し、ユーザが購入することができるデジタル形態でマルチメディア製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】セルフサービス装置の例示的実施形態を示す高レベルの図面である。
【図2】セルフサービス装置の例示としてのコンピュータ及び周辺機器を示すセルフサービス装置の高レベルブロック図である。
【図3】高周波電磁波信号を送受信するために使用する例示としてのアンテナアレイを示す高レベルの図面である。
【図4】アンテナアレイを示す例示としてのセルフサービス装置の棚の断面図の一部を示す図面である。
【図5】顧客にマルチメディア製品を受け渡すための例示としての方法で使用する処理ステップを示す高レベルフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、この図は、例示としてのセルフサービス装置100の高レベルの図面である。この実施形態の場合、図面に示すように、セルフサービス装置100は、4つの側面または面105、110、115、120を有するハウジング170を備える。この場合、各側面105、110、115、120は、ユーザインタフェース、及び他のユーザインタフェースのいずれからも独立して動作する機能をサポートすることができる。以下に、セルフサービス装置100の第1の側面105に示すユーザインタフェース、特徴及び機能について説明する。この実施形態においては、他の3つの側面110、115、120は、同一のまたは類似の特徴及び機能を有するユーザインタフェースを有する。LCD広告ディスプレイ125は、側面105の頂部のところに位置する。このディスプレイ125は、セルフサービス装置100において入手可能な製品を広告するために使用されるか、または取引中、セルフサービス装置100のこのユーザインタフェース(側面105)により顧客に追加情報を提供することができる。LCDディスプレイ130は、広告ディスプレイ125の下に位置していて、セルフサービス装置100を使用している顧客とのインタフェースとして使用される。ディスプレイ130は、取引中、選択を行ったり、またはセルフサービス装置100と対話を行ったりするために、顧客がディスプレイ130上のあちこちに触れることができるようにするタッチスクリーンを有する。磁気ストライプリーダ(MSR)140は、クレジットカード、ポイントカード(loyalty card)及び識別カードを読み取るためのものである。キーパッド135は、MSR140が読み取ったカードに関連するPIN番号を入力するためのものである。開口部165は、レシートまたは他の印刷情報を提供するためのものである。セルフサービス装置100のキーパッド135の隣には棚145が位置する。図では、携帯情報端末(PDA)150が、棚145の中心に位置する。セルフサービス装置100は、返却されたDVDを収容するための開口部155と、DVDを貸し出すための開口部160とを有する。他の実施形態においては、DVDの貸し出し及び返却のために1つの開口部を使用している。
【0011】
上記実施形態においては、セルフサービス装置100の4つすべての側面105、110、115、120は、ユーザインタフェースを有し、4つすべてのユーザインタフェースは、同一の特徴及び機能を提供する。ある実施形態においては、セルフサービス装置100の1つの側面だけがユーザインタフェースを有する。他の側面は、ユーザインタフェースを含んでいない中実パネルを有しているか、またはこれらの側面は、広告LCDだけを有することができる。さらに他の実施形態においては、セルフサービス装置100は、ユーザインタフェースを有する2つまたは3つの側面を有する。ユーザインタフェースを含む側面の数は、セルフサービス装置を使用する顧客の数により異なる。最終目的は、セルフサービス装置上のユーザインタフェースにアクセスできるまでの顧客の待ち時間を短縮することである。セルフサービス装置上のユーザインタフェースの数が多ければ多いほど、ユーザインタフェースのうちの1つにアクセスするまでの待ち時間が短くなる。複数のユーザインタフェースを有するある実施形態においては、あるユーザインタフェースの特徴及び機能は、1つまたは複数の他のユーザインタフェースの特徴及び機能と異なる場合がある。例えば、あるユーザインタフェースは購入だけをサポートすることができ、この場合、製品がダウンロードされ、一方、他のユーザインタフェースは、DVD上に購入した製品だけをサポートすることができる。さらに他のユーザインタフェースは、ダウンロード及びDVDの両方をサポートすることができる。
【0012】
ここで図2を参照すると、この図は、サーバ280と通信しているセルフサービス装置100を示すセルフサービス装置100の高レベルブロック図である。セルフサービス装置100は、セルフサービス装置100内のすべての周辺機器及びデバイスを制御するコンピュータ210を含む。コンピュータ210は、また、4つの各側面105、110、115、120上のユーザインタフェースのためのソフトウェアの特徴及び機能を生成し、LCD広告ディスプレイ125上に表示される広告を制御する。
【0013】
コンピュータ210は、命令及びデータを格納するメモリ225と、命令を実行し、メモリ225に格納しているデータを操作するプロセッサ215とを備える。コンピュータ210は、さらに、データ記憶装置230と、通信コントローラ235と、ハードウェアコントローラ220とを備える。
【0014】
データ記憶装置230は、コンピュータ210が使用する命令及びデータ、及びマルチメディア製品データを格納する永続または長期ストレージである。データ記憶装置230は、固体デバイス(すなわち、フラッシュメモリ、または回転メモリ)または不揮発性記憶装置を提供する任意の他の適切なデバイスから構成することができる。データ記憶装置230に格納している命令は、ハードウェアを制御し、セルフサービス装置100の特徴及び機能を実施するソフトウェアプログラム(アプリケーションとも呼ばれる)に編成される。これらのプログラムは、セルフサービス装置100に電力が供給された場合、メモリ225内にロードされ、プロセッサ215により実行される。
【0015】
通信コントローラ235は、セルフサービス装置100の一部である周辺機器と通信するために必要なハードウェア及びソフトウェアを提供し、サーバ280のような他のコンピュータと通信するために使用される1つまたは複数の通信ネットワークを提供する。通信コントローラ235は、イーサネット、WIFI及びセルラベースのネットワークのような複数のネットワークをサポートすることができる。
【0016】
ハードウェアコントローラ220は、コンピュータ210に取り付けられていて、コンピュータ210により制御される周辺機器に対してインタフェースとして機能する適切なハードウェアを提供する。
【0017】
セルフサービス装置100は、また、いくつかの周辺デバイスを備える。これらの周辺デバイスとしては、イメージャ/スキャナ240、磁気ストライプリーダ(MSR)140、タッチスクリーンを備えるLCDディスプレイ130、ロボットシステム265、レシートプリンタ255及びDVD搬送機構270などがある。コンピュータ210上で稼働している1つまたは複数のプログラムは、セルフサービス装置100を備えるすべての周辺機器を制御する。
【0018】
イメージャ/スキャナ240は、DVDの画像を捕捉するか、またはDVDを識別するために貸し出されるかまたは返却されるDVD上のバーコードを走査し、それ故、それが要求された動作に対する正しいDVDであるか否かを判定する。イメージャ/スキャナは、また、「R」指定または年齢制限のあるコンテンツのレンタルの際にある状況においては必要とされる年齢を確認するために運転免許証上のバーコードを走査することができる。イメージャ/スキャナは、さらに、販売促進クーポン上のバーコードを走査することができる。ある実施形態においては、DVD、または例えば、運転免許証のような他のアイテムに取り付けられているRFIDタグを読み取るために、イメージャ/スキャナの代わりに、またはイメージャ/スキャナと一緒にRFIDリーダが使用される。
【0019】
LCDディスプレイ及びタッチスクリーンデバイス130は、顧客に情報を伝えるためのLCDディスプレイ、及び顧客から入力を受信するためのタッチスクリーンから構成される(本明細書の場合には、セルフサービス装置を使用している顧客は、セルフサービス装置を使用しているユーザと同じ人物である)。
【0020】
MSR140は、顧客を識別するために、または例えば、マルチメディア製品を購入またはレンタルするための支払いの実行のような取引を行うために、顧客のポイントカードまたはクレジットカードを読み取る。ピンパッド135は、MSR140と一緒に内蔵されている。ある実施形態においては、ピンパッドは、LCD及びタッチスクリーンディスプレイ130上で仮想的に生成され、現物のピンパッドは存在しない。
【0021】
DVD搬送機構270は、顧客からDVDを受領し、識別のためにイメージャ/スキャナ240を通してDVDを搬送し、次に、DVDをロボットシステム265に受け渡し、ロボットシステム265は、DVDを格納するために既知の位置に収容する。DVD搬送機構270は、また、ロボットシステム265からDVDを受領し、識別のためにイメージャ/スキャナ240を通してDVDを搬送し、次に、DVDをユーザインタフェースのところの顧客に受け渡す。DVD搬送機構270は、また、例えば、DVDが識別できない場合の顧客へのDVDの返却のようなこれらの機能の多数の他の修正機能を実行する。DVD搬送機構270は、セルフサービス装置100のすべての4つの側面105、110、115、120上のすべてのユーザインタフェースに対してこれらの機能を実行する。
【0022】
ロボットシステム265は、セルフサービス装置100の内部に位置する複数の安全なDVD格納位置のうちの1つからDVDを取り出し、またはこの位置にDVDを収容する。ロボットシステム265は、また、DVD搬送機構270に接続していて、DVD搬送機構270からDVDを受領するか、またはDVD搬送機構270にDVDを受け渡す。コンピュータ210により実行されるプログラムは、セルフサービス装置100に格納している各DVDの記録及びその格納位置を維持する。プログラムにより制御されているコンピュータ210は、また、ロボットシステム265に、適切な格納位置からDVDを取り出させるか、またはこの位置にDVDを格納させる。
【0023】
レシートプリンタ255は、取引の詳細または他の情報と一緒にレシートを印刷し、それをユーザインタフェースの開口部165を通して顧客に貸し出す。
【0024】
高帯域幅の無線トランシーバ275は、また、ユーザが提供したPDAデバイス150と通信するためのものでもある。PDAデバイス150は、同じ高帯域幅の無線通信をサポートできなければならない。トランシーバ275は、中心周波数が約60GHz(ギガヘルツ)である周波数帯で電子データを運ぶ電磁波信号を送受信する。トランシーバ275は、1Gb/s(ギガビット/秒)から26Gb/sの間で変化するデータレートで伝送を行う。そのため、約100メガバイト/秒から約3ギガバイト/秒の間の速度で製品データが、PDAデバイス150に転送される。
【0025】
さらに、トランシーバ275は、伝送した電磁波信号の出力電力を変化させる。これにより、トランシーバ275は、セルフサービス装置100の他の側面上に位置する類似のトランシーバと干渉を起こさないように、可能な最低の電力レベルにより最適なデータレートを達成することができる。
【0026】
サーバ280は、1つまたは複数のセルフサービス装置100と通信する中央コンピュータである。サーバ280は、セルフサービス装置100における各取引を追跡し、各セルフサービス装置100に格納されていて入手可能なすべてのマルチメディア製品のリストを維持する。さらに、サーバ280は、マルチメディア製品の販売またはレンタルに対する各セルフサービス装置100からの支払取引を処理する。ある実施形態においては、支払取引は、セルフサービス装置100が使用可能な他のネットワーク及びサーバにより処理される(例えば、支払取引を処理するサーバに、クレジットカードの取引データを通信する携帯電話ベースのネットワークにより)。
【0027】
サーバ280の他の機能としては、セルフサービス装置100へのマルチメディア製品のデジタルバージョンのダウンロード及びソフトウェアの更新などがある。マルチメディア製品のデジタルバージョンは、コンピュータ210に格納され、販売またはレンタルのために使用することができる。
【0028】
マルチメディア製品のデジタルバージョンは、高帯域幅の無線トランシーバ275による顧客のPDAデバイス150への直接ダウンロードにより顧客に転送される。トランシーバ275の最高転送速度で、25GB(ギガバイト)のデータ(単層のブルーレイディスクの容量)を含むマルチメディア製品を顧客のPDA150に転送するには、約8.4秒かかる。この速度は、顧客に不便を感じさせず、または顧客に購入に時間がかかるなと感じさせない十分速い速度である。製品のダウンロード時間が、顧客が製品を選択し、購入するのにかかる全時間のうちの僅かな時間しかかからないということは重要なことである。
【0029】
ここで図3を参照すると、この図は、電磁波信号を送受信するためにトランシーバ275が使用する例示としてのアンテナアレイ300を示す高レベルの図面である。アレイ300は、プリント基板320(PCB)上で実施される。アレイ300は、アレイ300の左上隅のパッド310が示すように、16個の金属パッドを含む。各パッドは、PCB320の上層にエッチングされ、これらのパッドは電磁波信号を放射し、受信する。各パッドは、参照番号315で示すトレースで表す等しい長さのトレースによりPCB320内のバイア305に接続している。このような設計になっているので、各パッド310から放射される電磁波信号は同じ位相を有する。バイア305は、PCB320のパッド層上の等しい長さのトレース315を、PCB320の異なる層(図示せず)上の他のトレースに接続する。ある点において、パッドとトランシーバ275の間で電気的接続が行われる。アンテナアレイ300は、電磁波信号を、アレイ300の直接上に位置していて棚145に近接しているスペースの狭い領域内に向ける。パッドを有する層の下に位置するグランドプレーン(図示せず)は、電磁波信号がパッドから下方に伝搬するのを抑制する。図のアレイ300は、全アンテナアレイの一部にしか過ぎない。アレイ300は、大きなアンテナアレイを生成するためにPCB320上で二重になっている。
【0030】
ここで図4を参照すると、この図は、ユーザインタフェースの棚145の部分断面図を示す。棚145は、プラスチックでできていて、PDA150が置かれる平坦面を提供する。PCB320は、棚145の下面に取り付けられているので、PCB320のパッド層は、棚145の一番近くに位置する。PCB320上のアンテナアレイ300が放射した電磁波信号は、棚145を通して上方に伝搬し、PDA150により受信される。PDA150が放射した電磁波信号は、棚145を通して伝搬し、PCB320上のアンテナアレイ300により受信される。放射し受信された信号は、それぞれ、トランシーバ275から受信され、トランシーバ275に送られる。電磁波信号の伝送または出力電力は、効果的な範囲が棚145上の短い距離のところだけになるように調整される。
【0031】
他の実施形態においては、アンテナアレイ300を含むPCB320は、棚145の隣の垂直パネルの背後に位置する。アンテナアレイ300が放射した電磁波信号は、棚145上の同じ位置に向けられるが、すでに説明したように、下部からではなく側部から向けられる。
【0032】
ここで図5を参照すると、この図は、顧客にマルチメディア製品を受け渡すための方法の処理ステップの高レベルフローチャートである。ステップ500において、マルチメディア製品を購入するために、セルフサービス装置100上のユーザインタフェースにより、顧客によりセッションが開始する。購入は、製品のレンタルまたは製品の販売を含むことができる。ステップ505において、顧客は、セルフサービス装置100から入手可能なマルチメディア製品を閲覧し、購入するための1つまたは複数の製品を選択する。購入に対する支払いは、ステップ510において処理される。ユーザは、MSR140にクレジットカードを挿入し、セルフサービス装置100は、カード情報により支払いを処理する。ステップ515において、セルフサービス装置100は、PDA150、または選択した製品を受領することができる任意の他のデバイスが存在するか否かについて、棚145をチェックする。デバイスの存在をチェックするために、セルフサービス装置100は、トランシーバ275にアンテナアレイ300を通して信号を伝送させる。PDA150のようなトランシーバ275が使用する高速通信をサポートしているデバイスが棚145上に存在する場合には、デバイスは、信号を受信し、デバイス及びその利用可能なストレージを識別するために情報で応答する。この間、セルフサービス装置100は、また、最速のデータ伝送速度を達成するために、最適な出力電力レベルを決定する。
【0033】
ステップ520において、セルフサービス装置100は、LCD130上に、購入した製品の受取方法を選択するようにユーザに要求する要求を表示する。ユーザは、DVDを受領するのか、またはPDA150に製品をダウンロードするのかを選択する。ユーザがDVDを選択した場合には(ステップ525)、セルフサービス装置100は、ロボットシステム265にDVDを取り出させ、DVD搬送機構270がDVDを顧客に受け渡す(ステップ255)。セッションを終了し、処理が終了する(ステップ555)。
【0034】
ユーザがDVDを選択しなかった場合には(ステップ525)、セルフサービス装置100は、選択した製品のダウンロード処理を開始する。ステップ535において、セルフサービス装置100は、高速通信トランシーバ275によりPDA150との通信を開始する。
【0035】
次に、選択したマルチメディア製品が、PDA150にダウンロードされるか、または転送される(ステップ540)。プロセッサ215は、選択した製品のデータをデータ記憶装置230からデータがPDA150に伝送されるトランシーバ275に移動させる。データ転送中、プロセッサ215は、サービス基準の品質を判定するために、PDAとの通信を監視する。データ伝送中に誤りを発生すると、サービス基準の品質が低下する。伝送誤りがあまり多くなった場合には、プロセッサ215は、転送のデータレートを遅くするか、またはアンテナアレイ300から放射される信号の出力電力を調整しなければならない。データレートを遅くすると、伝送誤りの数を低減することができるが、データの転送時間が長くなり、購入についての顧客の満足度が低下する。また、アンテナアレイ300が放射する電磁波信号の出力電力を調整して大きくしたり小さくしたりすると、伝送誤りの数が低減する。データ伝送時間をできるだけ短く維持し、顧客の満足度を高く維持するには、まず第一に、サービス品質を向上するために出力電力を調整することが望ましい。ある場合には、高出力電力が、PDA150の受信機を飽和させ、データ誤りが起こる。このような場合には、出力電力を低減すると、誤り率が低下する。他の場合には、出力電力が低すぎるかまたは弱すぎる場合には、出力電力を増大すると誤り率が低減する。
【0036】
ダウンロードが完了した場合には、PDA150との通信が終了する(ステップ545)。ステップ550において、ユーザは、ダウンロードが完了したという通知を受け、PDA150を取り外すことができる。次に、セッションが終了し、処理が終了する(ステップ555)。
【0037】
他の実施形態においては、セルフサービス装置100は、セッションが開始した直後にPDA150または他の互換性を有する携帯装置の存在をチェックする。セルフサービス装置100は、ダウンロードのためにPDA150で利用可能なスペースの広さを判定し、ユーザがマルチメディア製品を選択するステップ中に、PDA150内のスペースが不十分であるためにダウンロードできない製品にその状態をフラグで表示する。ユーザは、もっと大きな製品をダウンロードすることができるように、PDA150上のファイルを削除することができる。また、セルフサービス装置100は、ダウンロードのための互換性を有するデバイスを発見することができなかった場合には、ユーザの選択のために使用可能なマルチメディア製品は、セルフサービス装置100からDVD上で入手可能な製品に制限される。
【0038】
さらに他の実施形態においては、PDA150または高速通信用にサポートされている他の携帯装置の存在がセッションの初期に検出された場合には、セルフサービス装置100は、製品の購入に対する支払処理が完了する前に、選択したマルチメディア製品のダウンロード処理を開始する。製品を購入するために必要な全部の時間ができるだけ短くなるように、他の機能と並列にダウンロード機能を実行することが望ましい。そうすることにより、全体の処理についての顧客の満足度が向上する。ある実施形態においては、マルチメディア製品は暗号化され、使用するために製品を解読するには1つまたは複数の鍵が必要になる。このような場合には、暗号化された製品を、製品に対する支払いが完了する前に完全にダウンロードすることができる。支払いが確認されると、1つまたは複数の鍵をダウンロードすることができる。鍵データは非常に小さいものなので、通常1秒以下でPDA150に非常に迅速にダウンロードすることができる。このことは、マルチメディア製品の購入及びダウンロードの処理が、支払いが完了した瞬間に完了するように見えることを意味する。これにより顧客の満足度が向上する。支払いが拒否された場合には、セルフサービス装置100は、必要な1つまたは複数の鍵をダウンロードしないで、PDA150によりダウンロードしたデータを削除するようにとの要求を送信する。
【0039】
さらに他の実施形態においては、製品データは暗号化されないが、製品データのダウンロードは、依然として支払いの確認前に開始することができる。セルフサービス装置100は、支払いが完了するまで製品データの1つまたは複数の重要な要素をダウンロードしない。例えば、セルフサービス装置100は、支払いが完了するまでデータの最後のメガバイトを保持する。支払いが確認されると、セルフサービス装置100は、残りのデータをダウンロードする。
【0040】
特定の実施形態について特に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正を行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、セルフサービス装置に関し、特に、セルフサービス装置によりマルチメディア製品を受け渡すための提供装置、提供方法及びそのシステムに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチメディア製品を格納し、貸し出すためのセルフサービス装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングの第1の側面上に位置する第1のユーザインタフェースであって、
第1の棚と、
第1の高速無線通信装置と、
前記第1の高速無線通信装置に接続し、前記第1の棚に近接している第1の高周波アンテナアレイと
を備えるインタフェースと、
コンピュータであって、
プロセッサと、
前記プロセッサにより実行された場合に、前記第1のユーザインタフェースの特徴及び機能を制御する命令を格納する短期メモリと、
前記マルチメディア製品のうちの1つを格納する長期メモリと、
を備えるコンピュータと、を備え、
前記プロセッサが、前記第1の高速無線通信装置に、前記長期メモリに格納している前記マルチメディア製品のうちの1つを、前記第1の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射により、前記第1の棚に近接している携帯装置に転送させ、前記電磁放射が、前記第1の棚に近接している領域に集中的に向けられ、サービス品質が、前記マルチメディア製品の転送中に定期的に判定され、前記サービス品質がサービスの最低レベル以下になった場合に、前記第1の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射の出力電力が、前記サービス品質を改善するために調整される、ことを特徴とするマルチメディア製品を受け渡すためのセルフサービス装置。
【請求項2】
前記ハウジングの第2の側面上に位置する第2のユーザインタフェースをさらに備え、前記第2のインタフェースが、
第2の棚と、
第2の高速無線通信装置と、
前記第2の高速無線通信装置に接続し、前記第2の棚に近接している第2の高周波アンテナアレイと
を備え、
前記プロセッサが、前記第2の高速無線通信装置に、前記長期メモリに格納している前記マルチメディア製品のうちの前記1つを、前記第2の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射により、前記第2の棚に近接している携帯装置に転送させ、前記電磁放射が、前記第2の棚に近接している領域に集中的に向けられ、前記サービス品質が、前記マルチメディア製品の転送中に定期的に判定され、前記サービス品質がサービスの最低レベル以下になった場合に、前記第2の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射の出力電力が、前記サービス品質を改善するために調整される、請求項1に記載のセルフサービス装置。
【請求項3】
前記ハウジングの第3の側面上に位置する第3のユーザインタフェースをさらに備え、前記インタフェースが、
第3の棚と、
第3の高速無線通信装置と、
前記第3の高速無線通信装置に接続し、前記第3の棚に近接している第3の高周波アンテナアレイと
を備え、
前記プロセッサが、前記第3の高速無線通信装置に、前記長期メモリに格納している前記マルチメディア製品のうちの前記1つを、前記第3の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射により、前記第3の棚に近接している携帯装置に転送させ、前記電磁放射が、前記第3の棚に近接している領域に集中的に向けられ、サービス品質が、前記マルチメディア製品の転送中に定期的に判定され、前記サービス品質がサービスの最低レベル以下になった場合に、前記第3の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射の出力電力が、前記サービス品質を改善するために調整される、請求項2に記載のセルフサービス装置。
【請求項4】
前記ハウジングの第4の側面上に位置する第4のユーザインタフェースをさらに備え、前記インタフェースが、
第4の棚と、
第4の高速無線通信装置と、
前記第4の高速無線通信装置に接続し、前記第4の棚に近接している第4の高周波アンテナアレイと
を備え、
前記プロセッサが、前記第4の高速無線通信装置に、前記長期メモリに格納している前記マルチメディア製品のうちの前記1つを、前記第4の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射により、前記第4の棚に近接している携帯装置に転送させ、前記電磁放射が、前記第4の棚に近接している領域に集中的に向けられ、サービス品質が、前記マルチメディア製品の転送中に定期的に判定され、前記サービス品質がサービスの最低レベル以下になった場合に、前記第4の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射の出力電力が、前記サービス品質を改善するために調整される、請求項3に記載のセルフサービス装置。
【請求項5】
ロボットシステムを備え、前記ロボットシステムが、DVD格納ラック内のDVDを取り出し及び格納し、またユーザとロボットシステムとの間でDVDを搬送するためのDVD搬送機構をさらに備える、請求項1に記載のセルフサービス装置。
【請求項6】
前記第1の高速無線通信装置が、1ギガビット/秒と等しいかまたはそれ以上のデータレートで前記携帯装置にデータを転送する、請求項1に記載のセルフサービス装置。
【請求項7】
前記第2の高速無線通信装置が、1ギガビット/秒と等しいかまたはそれ以上のデータレートで前記携帯装置にデータを転送する、請求項2に記載のセルフサービス装置。
【請求項8】
前記第3の高速無線通信装置が、1ギガビット/秒と等しいかまたはそれ以上のデータレートで前記携帯装置にデータを転送する、請求項3に記載のセルフサービス装置。
【請求項9】
前記第4の高速無線通信装置が、1ギガビット/秒と等しいかまたはそれ以上のデータレートで前記携帯装置にデータを転送する、請求項4に記載のセルフサービス装置。
【請求項10】
前記マルチメディア製品が、ビデオ製品である、請求項1に記載のセルフサービス装置。
【請求項11】
前記マルチメディア製品が、ビデオゲームである、請求項1に記載のセルフサービス装置。
【請求項12】
セルフサービス装置においてマルチメディア製品を貸し出すための提供方法であって、
レンタルまたは購入のために入手可能な前記マルチメディア製品を表示するステップと、
選択したマルチメディア製品に対する支払いを処理するステップと、
互換性を有する高速通信構成要素を有するPDAの存在を検出するステップと、
前記高速通信構成要素により前記PDAに前記選択したマルチメディア製品を転送するステップと、
前記マルチメディア製品の転送中に、通信のサービス品質を定期的に判定し、前記サービス品質がサービスの最低レベル以下になった場合に、前記サービス品質を改善するために、通信パラメータを調整するステップと、
の各ステップを含むことを特徴とする提供方法。
【請求項13】
前記高速通信を、前記セルフサービス装置の棚に近接している領域に集中的に向けるステップをさらに含む、請求項12に記載の提供方法。
【請求項14】
前記PDAに前記選択したマルチメディア製品を転送するステップが、1ギガビット/秒と等しいかまたはそれ以上のデータレートで、前記PDAに前記製品を転送するステップを含む、請求項12に記載の提供方法。
【請求項15】
サービス品質の前記最低レベルが、1ギガビット/秒のデータレートになる、請求項12に記載の提供方法。
【請求項16】
前記選択したマルチメディア製品が、ビデオ製品である、請求項12に記載の提供方法。
【請求項17】
前記選択したマルチメディア製品が、ビデオゲームである、請求項12に記載の提供方法。
【請求項18】
マルチメディア製品を格納し、貸し出すためのセルフサービスシステムであって、
中央サーバと、
セルフサービスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの第1の側面上に位置する第1のユーザインタフェースであって、
第1の棚と、
第1の高速無線通信装置と、
前記第1の無線通信装置と接続し、前記第1の棚に近接している第1の高周波アンテナアレイと
を備えるインタフェースと、
コンピュータであって、
プロセッサと、
前記プロセッサが実行した場合に、前記第1のユーザインタフェースの特徴及び機能を制御する命令を格納する短期メモリと、
前記マルチメディア製品のうちの1つを格納する長期メモリと、
を備えるコンピュータと、を備え、
前記プロセッサが、前記第1の高速無線通信装置に、前記長期メモリに格納している前記マルチメディア製品のうちの前記1つを、前記第1の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射により、前記第1の棚に近接している携帯装置に転送させ、前記電磁放射が、前記第1の棚に近接している領域に集中的に向けられ、サービス品質が、前記マルチメディア製品の転送中に定期的に判定され、前記サービス品質がサービスの最低レベル以下になった場合に、前記第1の高周波アンテナアレイが放射する電磁放射の出力電力が、前記サービス品質を改善するために調整され、前記中央サーバが、前記セルフサービス装置の機能を監視する、ことを特徴とするセルフサービスシステム。
【請求項19】
前記第1の高速無線通信装置が、1ギガビット/秒と等しいかまたはそれ以上のデータレートで、前記携帯装置にデータを転送する請求項18に記載のセルフサービスシステム。
【請求項20】
前記マルチメディア製品が、ビデオ製品である、請求項18に記載のセルフサービスシステム。
【請求項21】
前記マルチメディア製品が、ビデオゲームである、請求項18に記載のセルフサービスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−134297(P2011−134297A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196358(P2010−196358)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】