マルチ包帯
本発明は、パッド部と、端部を前記パッド部の端縁に取り付けた細長巻き付け部と、を備える異種用途包帯を提供し、前記パッド部は、外側層、少なくとも1つの吸収層、ほぼ不浸透性の材料から形成され、前記パッド部の残部に容易に取り外し可能に取り付けた内側層を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に包帯およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの包帯が文献および市場で知られている。例えば、当業界の最新技術と考えられる、特許文献1〜15(米国特許第34,112号、同第721,162号、同第2,113,534号、同第2,480,430号、同第2,646,034号、同第3,005,454号、同第3,050,064号、同第3,536,068号、同第4,048,991号、同第4,149,540号、同第4,243,028号、同第4,345,591号、同第4,802,667号、同第5,234,459号、同第5,628,723号)がある。
【0003】
特に、包帯の用途は、露出した創傷を保護し血液または他の分泌物を吸収することである。包帯は、例えば軍事関係者、警察、救急隊、ハイカー、キャンパー等が携行使用できるように包装され、また、例えばクリニック、病院、工場、会社、家庭で使用される応急処置キットの一部を構成することもある。
【0004】
包帯、とりわけ大型の包帯は、占有体積に基因して、特に衛生兵、医師、または他の応急処置看護者がこれらを携行するときは、多量に利用できないことがよくある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第 34,112号明細書
【特許文献2】米国特許第 721,162号明細書
【特許文献3】米国特許第2,113,534号明細書
【特許文献4】米国特許第2,480,430号明細書
【特許文献5】米国特許第2,646,034号明細書
【特許文献6】米国特許第3,005,454号明細書
【特許文献7】米国特許第3,050,064号明細書
【特許文献8】米国特許第3,536,068号明細書
【特許文献9】米国特許第4,048,991号明細書
【特許文献10】米国特許第4,149,540号明細書
【特許文献11】米国特許第4,243,028号明細書
【特許文献12】米国特許第4,345,591号明細書
【特許文献13】米国特許第4,802,667号明細書
【特許文献14】米国特許第5,234,459号明細書
【特許文献15】米国特許第5,628,723号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、包帯、とりわけ大型の包帯に関連する問題の1つは、症状または傷害毎に異なる治療手順(プロトコル)を必要とすることである。傷害、例えばやけど、及び内臓露出を伴う腹部外傷では、創傷部内の湿気を包帯によって保つことが必要となるが、切断のような他の傷害でも同じタイプの包帯によって血液および分泌物を吸収することが必要となる。大型の包帯に関連する別の問題としては、同じタイプの包帯を、例えば患者に包帯を巻き付ける必要がある腹部の処置にも、腹部より相当細い手足の処置にも使用していることがある。
【0007】
したがって、当業界では改良された包帯、特に改良された大型の包帯が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の「課題を解決するための手段」の欄は、本明細書に開示する主題の概要を「要約書」よりも詳しく説明するための欄であって、本発明がこの欄に記載した特徴に限定されるものと解釈すべきではない。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、一般に複数の異種用途を有する改良された包帯に関するものである。
【0010】
そこで、本発明のいくつかの実施形態では、パッド部と、端部を前記パッド部の端縁に取り付けた細長巻き付け部と、を備えた異種用途包帯(disparate use bandage)を提供する。前記パッド部は、外側層、少なくとも1つの吸収層、ほぼ不浸透性の材料から形成され、前記パッド部の残部に容易に取り外し可能に取り付けた内側層を有する構成とする。
【0011】
前記内側層は、複数(2つ以上)のポイント(例えば、縫着、接着、溶着、ステープル留め、ピン留めのポイント)において前記パッド部の残部に取り付けるのが好ましい。いくつかの実施形態によれば、前記縫着ポイントは、前記パッド部の縫い目の近傍内側に延在させることができる。
【0012】
好ましい一実施形態では、前記少なくとも1つの吸収層は不織材料で形成する。
【0013】
前記内側層は、プラスチックを有する構成とすると好ましい。付加的または代替的に、前記内側層は、シリコンを有する構成とする。前記内側層は、前記パッド部より小さくすることも、前記パッド部とほぼ同一サイズとすることも、前記パッド部より大きくすることもできる。いくつかの実施形態によれば、前記内側層は、前記包帯(例えば前記パッド部)が体内組織(やけど、腸、他の任意の生体組織等)に付着するのを防止するようにする。
【0014】
好ましい一実施形態では、前記パッド部は、さらに前記外側層と前記少なくとも1つの吸収層との間に血液分散バリア層を有する構成とすることができる。
【0015】
前記パッド部は、さらに前記少なくとも1つの吸収層と前記内側層との間に無菌の(sterile)非粘着性層を有する構成とすると好ましい。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、前記異種用途包帯は、さらに、前記細長巻き付け部の巻き付け方向の変更を容易にするようにした1つまたは複数の巻き付け素子を備えることができる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、前記異種用途包帯は、さらに、創傷部への医療物質の塗布を容易にするようにした開口を備えることができる。前記医療物質は、生理食塩水、水、薬剤、またはその任意の組み合わせを含むことができる。前記薬剤は、鎮痛剤、抗炎症剤、抗生物質、防腐剤、またはその任意の組み合わせを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、前記異種用途包帯は、さらに、前記細長巻き付け部を巻いた状態または折り畳んだ状態で保持するようにした保持デバイスを備えることができ、前記保持デバイスは、使用者が前記細長巻き付け部の残りの部分を全体的に巻回ロールから繰り出すまたは折り畳み状態から展開することなく、前記細長巻き付け部を徐々にロール繰り出しまたは折り畳み展開することを可能にすることができる。
【0019】
以下では添付図面を参照して、本発明の実施形態を例示する各実施例について説明する。各図において、2つ以上の図面に示す同一の構造、要素または部分には、それらを図示したすべての図面で同じ参照符号を付している。各図に示す構成要素および特徴部の寸法は、図面全体を見やすくするために便宜上選択したものであり、必ずしも縮尺どおりに描いているわけではない。以下、各図を一覧表記で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】本発明の一実施形態により構成しまた運用可能な、異種用途包帯の第1用途向けの状態における、簡略化して示す説明図である。
【図1B】本発明の一実施形態により構成しまた運用可能な、異種用途包帯の第1用途向けの状態における、簡略して示す断面図である。
【図2A】図1Aおよび図1Bに示した包帯の第2用途向けの状態における、簡略化して示す説明図である。
【図2B】図1Aおよび図1Bに示した包帯の第2用途向けの状態における、簡略化して示す断面図である。
【図3】図1Aおよび図1Bに示した包帯の使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図4】図2Aおよび図2Bの包帯の使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図5A】本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図5B】本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図5C】本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図5D】本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図6A】本発明の実施形態により構成しまた運用可能な包帯を示す説明図である。
【図6B】本発明の実施形態により構成しまた運用可能な包帯を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態により構成しまた運用可能な包帯を示す説明図である。
【図8A】本発明の実施形態による、ロール状に巻回した状態に保持した細長巻き付け部(ウェブ部)の断面図である。
【図8B】本発明の実施形態による、折り畳んだ状態に保持した細長巻き付け部(ウェブ部)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図1Aおよび図1Bにつき説明する。図1Aおよび図1Bは、本発明の好ましい一実施形態により構成しまた運用可能な、異種用途包帯の第1用途向けの状態における簡略化して示す説明図および断面図(IB−IB線に沿う)である。図1Aおよび図1Bに示すように、包帯は、ほぼ正方形(矩形または他の任意の形状とすることもできる)のパッド部100と、それ自体の一方の端部104をパッド部100の端縁106に取り付けた細長巻き付け部102(ウェブ部と称する場合もある)と、を備える。
【0022】
パッド部100は好適には30cm×30cmの寸法とする。パッド部100は、好ましくは細長巻き付け部と同様の層である外側レイヤ110と、典型的には不織綿による1つまたはそれ以上(すなわち複数)の層である吸収レイヤ112と、プラスチックもしくはシリコン、または他の任意の適切な材料による、ほぼ不浸透性の非粘着性材料で構成した内側レイヤ113と、を備えると好適である。パッド部100は、さらに、好ましくはプラスチック製の血液分散バリア層(blood dispersing barrier layer)114を外側レイヤ110と吸収レイヤ112との間に有することもできる。パッド部100は、さらに無菌の非粘着性レイヤ115を有し、この非粘着性レイヤ115は、好ましくはパッド部100に対して付着させた不織布の層で形成し、吸収レイヤ112と内側レイヤ113との間に配置することができる。
【0023】
細長巻き付け部102は、外側レイヤ110と一体に形成できることを理解されたい。
【0024】
本発明の特別な特徴は、内側レイヤ113をパッド部100の残部に容易に取り外し可能に、例えばパッド部100の端縁118および120に隣接する限定数の縫着ポイント116で、取り付けることである。内側レイヤ113は、パッド部100に対して容易に取り外し可能な他の手法により、例えば接着、溶着(例えば熱溶着)、ステープル留め、または他の任意の手法によってパッド部100に取り付けることもできる。
【0025】
好適には、縫着ポイント116のような取り付けポイントは、図示のように、端縁118,120に沿う継ぎ目122,124近傍内側に延在させる。
【0026】
次に、図2Aおよび図2Bにつき説明する。図2Aおよび図2Bは、図1Aおよび図1Bに示した包帯の第2用途向けの状態における、簡略化して示す説明図および断面図(IIB-IIB線に沿う)である。図2Aおよび図2Bから分かるように、この場合、不浸透性の内側レイヤ113は、パッド部100の残部の縫着ポイント116から事前に引き剥がされているので存在しない。
【0027】
図3は、腹部外傷の応急処置を対象とする、図1Aおよび図1Bに示した用途向けの状態における本発明の包帯の好ましい使用例を示し、この場合、不浸透性レイヤが適切な創傷治療に必須である。なお、不浸透性の内側レイヤ113を有する包帯は、内部の湿気保持を必要とする場合の創傷治療、例えば内臓(腸等)の露出及びやけどに利用されることが好ましい。内側レイヤ113は、非粘着性によっても特徴付けられる。不浸透性の内側レイヤ113は、この特性を有する包帯が、例えばやけど内臓露出の場合の適切な創傷治療を促進するのに必要とされる状況では、使用前に包帯から取り外さないでおくことが好ましい。
【0028】
図4は、重傷の応急処置を対象とする、図2Aおよび図2Bに示した第2用途向け状態における本発明の包帯の好ましい使用例を示し、例えば爆発等による手足切断および広い表面積に及ぶ外傷性創傷に適用する。この場合は、不浸透性レイヤが存在しないことが重要である。
【0029】
なお、不浸透性の内側レイヤ113を取り外した後の包帯は、包帯による吸湿が必要となる場合の創傷治療に利用されることが好ましい。不浸透性の内側レイヤ113は、この特性を有する包帯が適切な創傷治療を促進することが必要な状況では、使用前に包帯から取り外すことが好ましい。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態による包帯は、広い表面積を覆うことが創傷領域および周辺領域に適用するのに必要である状況で、いずれの用途にも使用できることを理解されたい。
【0031】
図3および図4から分かるように、本発明の包帯は、付き添いの医療専門家が適切な用途向けに施すことができる異種用途包帯を提供する。
【0032】
次に、図5A〜図5Dにつき説明する。図5A〜図5Dは、それぞれ本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化した説明図である。図5Aは、腹部外傷によって腸が露出した患者の処置を要する部分を示す簡略図である。図5Bは、創傷部を覆い、患者の周囲に第1方向(破線矢印)に巻き付ける包帯500の簡略化した説明図である。包帯500は、創傷部を覆うとともに創傷部内の湿気を保つようにした内側レイヤ(図示せず)を含むパッド部505を有し、この内側レイヤ(図1Bの内側レイヤ113と同様のものとすることができる)は、創傷部内の湿気を保つようにする。パッド部505は、細長巻き付け部502に連続する(取り付けることもできる)外側レイヤ510も有する。細長巻き付け部502(ウェブ部と称する場合もある)は、患者の体周りに巻き付けるのを容易にする弾性材料で作成することができる。包帯500はさらに、図中ではパッド部505の上隅に位置する巻き付け素子550を有する。巻き付け素子550は、パッド部505の下隅や他の場所に配置することもできる。また、包帯500のような包帯は、例えばパッド部505の隣り合う二隅またはパッド部505の対向する二隅に、巻き付け素子550のような巻き付け素子を2つ以上設けることもできる。巻き付け素子550は、細長巻き付け部502を患者の体周りまたは創傷器官の周りに第1方向に巻き付けるときに(図5C参照)、細長巻き付け部502が巻き付け素子550の空間534に入ることを可能にするようにした間隙552を有する。ここで、細長巻き付け部502は、患者の体周りまたは創傷器官の周りに第2方向に巻き付ける(図5D参照)。第1方向の巻き付けに続いて、巻き付け素子550を使用して第2方向の巻き付けを行うことにより「巻き付け回数」が「節約」され、したがって、特に腹部等の大きな器官傷害ではウェブ部材料だけでなく時間も節約され、負傷した患者の不都合も軽減される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、巻き付け素子は、包帯の巻き付けを容易にするのに適した任意の形状または形態とすることができる。次に、図6Aおよび図6Bにつき説明する。図6Aおよび図6Bは、それぞれ本発明の他の実施形態により構成しまた運用可能な包帯600および包帯1600を示す。図6Aの包帯600は、パッド部605と、細長巻き付け部(ウェブ部)604と、巻き付け素子650と、を有する。巻き付け素子650は、構造用プラスチックのような可撓性、弾性のある材料で形成することが好ましく、基部622に対してほぼ垂直に固定的に取り付けた弓形部分620を有することが好ましい。2つのアーチ形上翼部624は、各丸みを付けた接合部626において弓形部分620に接合する。弓形部分620および上翼部624は、巻き付け素子を形成する。巻き付け素子650は、上翼部624および弓形部分620がパッド部605から離れる方向に湾曲するように、パッド部605に取り付ける。随意に、各丸みを付けた接合部626の近傍にアーチ形補強リブ628を設けることもできる。上翼部624は、間隙652によって互いに分離された先端629を面取りすることが好ましい。上翼部624と弓形部分620の間に空間634を画定する。
【0034】
図5A〜図5Dに示した場合と同様に、細長巻き付け部(ウェブ部)604を、上翼部624に押し付け、その結果間隙652を通って空間634内に押し込まれる。上翼部624の弾性は、細長巻き付け部(ウェブ部)604を間隙652に通すことを容易にする。また、面取りした先端629も、細長巻き付け部(ウェブ部)604を間隙652に通すことを容易にする。巻き付け素子の他の随意的な形状は、国際特許出願公開第WO97/29689号(Grau Bernard)で確認することができる。この国際特許出願公開の開示内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0035】
図6Bの包帯1600は、パッド部1605と、細長巻き付け部(ウェブ部)1604と、2個の巻き付け素子1650,1660と、を有する。2つの巻き付け素子1650,1660は、この実施形態では同一であるが、互いに異なるものとすることができる。巻き付け素子1650,1660は、パッド部1605の2個の両側に配設し、細長巻き付け部(ウェブ部)1604の巻き付けを容易にするようにしてある。巻き付け素子1650は、弓形部分1620と、基部1622と、弓形部分1620と丸みを付けた接合部1626において接合される2つのアーチ形上翼部1624と、アーチ形補強用リブ1628と、間隙1652と、空間1634と、面取りした先端1629と、を有する。これらは、それぞれ構造および機能性が、図6Aの巻き付け素子650の弓形部分620、基部622、弓形部分620と丸みを付けた接合部626において接合される2つのアーチ形上翼部624、アーチ形補強用リブ628、間隙652、空間634、および面取りした先端629と同様である。
【0036】
次に、図7につき説明する。図7は、本発明の他の実施形態により構成し、また運用可能な包帯700を示す。包帯700はパッド部705を有し、このパッド部705は、1つ(または複数)の吸収層と、随意的な内側層と、血液分散バリア層(ここでは図示を省略するが、図1Bまたは図2Bに記載した各層と同様であってよい)を有する。パッド部705は、細長巻き付け部702に連続する(取り付けることもできる)外側層710も有する。パッド部705は、さらに、液体(生理食塩水または水等)および/または薬剤(鎮痛剤、抗炎症剤、抗生物質、防腐剤、他の任意の薬剤等)を創傷組織に直接塗布することを容易にするようにしたアーチ形開口760を有する。例えば、腹部外傷によって腸が露出した場合は、条件および情況が許す限り、露出した腸を生理食塩水または水で濡らし、随意に創傷に薬剤を局所的に塗布することが推奨され得る。
【0037】
本発明の他の実施形態によれば、本明細書に開示する包帯の細長巻き付け部(ウェブ部)は、1つまたは複数の「保持デバイス」によって、ロール状に巻回した状態または折り畳んだ状態に保持するとともに、使用者(包帯を施す人、介護者、および/または創傷した患者)は、必要に応じて、例えばウェブの残りの部分自体が巻回ロールから繰り出されるまたは折り畳み状態が展開されて地面に落ちることがないよう、容易かつ徐々にウェブを順次に、例えばステップ・バイ・ステップでロール繰り出しまたは展開することができるようにする。
【0038】
次に、図8Aおよび図8Bにつき説明する。図8Aおよび図8Bは、それぞれ本発明の実施形態による包帯をロール状に巻回した状態の細長巻き付け部(ウェブ部)800、および折り畳んだ状態の細長巻き付け部(ウェブ部)820の断面図である。ロールとして巻回した状態の細長巻き付け部800は、保持デバイス802によって保持し、折り畳んだ状態の細長巻き付け部820は、保持デバイス822によって保持する。
【0039】
保持デバイス802は、細長素子804と、(V字状の)頂端部素子806と、頂端部素子806とは反対側の(同じくV字状の)底端部素子808と、を有する。保持デバイス802は、ロール状に巻回した状態の細長巻き付け部800の2枚以上の条片を貫通し、また巻いた状態の細長巻き付け部800を釈放可能に保持するよう構成する。この保持デバイスは、さらに、包帯の使用者がこの保持デバイスを取り外すことなく、細長巻き付け部800を徐々に巻回ロールから繰り出すことを可能にし、この繰り出しは、他のパネルを保持したまま、細長巻き付け部800の1つまたは複数の条片を頂端部素子806の上方に引き上げることによって行う。
【0040】
保持デバイス822は、細長素子824と、(ボール状の)頂端部素子826と、頂端部素子826とは反対側の(同じくボール状の)底端部素子828と、を有する。保持デバイス822は、折り畳んだ状態の細長巻き付け部820の2つ以上の条片に貫通するとともに、折り畳んだ状態の細長巻き付け部820を釈放可能に保持するよう構成する。このデバイスは、さらに、包帯の使用者がこれを取り外すことなく、細長巻き付け部820を徐々に折り畳みを展開することを可能にし、この展開は、他のパネルを保持したまま細長巻き付け部820の1つまたは複数の条片を頂端部素子826の上方に引き上げることによって行う。
【0041】
この保持デバイスは、綿、合成繊維、天然繊維、プラスチック、ナイロン、シリコン、または他の任意の適切な材料で形成することができる。あり得る保持デバイスに関するより多くの詳細は、イスラエル特許出願第197854号で確認することができ(このイスラエル特許出願の開示内容全体を参照することにより本明細書に付記されたものとする)。
【0042】
本明細書および特許請求の範囲に記載する用語「備える/有する(comprise)」、「設ける/有する(include)」および「有する(have)」ならびにそれらの活用形は、各用語に関連するリスト内の構成要素に必ずしも限定されるわけではない。
【0043】
本発明は、具体的に図示し上述した内容に限定されるものではないことは当業者には理解されるだろう。そうではなく、本発明の範囲には、上述した様々な特徴のコンビネーションおよびサブコンビネーションと共に、当業者が上述の説明を読めば想到するはずの、従来技術に存在しなかった変更例および改変例も含まれる。
【0044】
以上、本発明の諸実施形態に関する詳細な説明を使用して本発明の説明を行ってきたが、上記の説明は例示のためであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載した実施形態は様々な特徴を備える可能性があるが、必ずしもそれらすべての特徴が本発明のすべての実施形態で必要とされるわけではない。本発明の実施形態の中には、それらの特徴またはそれらの可能な組み合わせの一部しか利用しないものもある。当業者なら、本明細書に記載した本発明の実施形態の変更例だけでなく、各実施形態において言及した特徴の組み合わせと異なる組み合わせを有する実施形態にも想到するはずである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって限定されるものであり、各請求項は、これらのすべての変更例および組み合わせを含むものと解釈すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に包帯およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの包帯が文献および市場で知られている。例えば、当業界の最新技術と考えられる、特許文献1〜15(米国特許第34,112号、同第721,162号、同第2,113,534号、同第2,480,430号、同第2,646,034号、同第3,005,454号、同第3,050,064号、同第3,536,068号、同第4,048,991号、同第4,149,540号、同第4,243,028号、同第4,345,591号、同第4,802,667号、同第5,234,459号、同第5,628,723号)がある。
【0003】
特に、包帯の用途は、露出した創傷を保護し血液または他の分泌物を吸収することである。包帯は、例えば軍事関係者、警察、救急隊、ハイカー、キャンパー等が携行使用できるように包装され、また、例えばクリニック、病院、工場、会社、家庭で使用される応急処置キットの一部を構成することもある。
【0004】
包帯、とりわけ大型の包帯は、占有体積に基因して、特に衛生兵、医師、または他の応急処置看護者がこれらを携行するときは、多量に利用できないことがよくある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第 34,112号明細書
【特許文献2】米国特許第 721,162号明細書
【特許文献3】米国特許第2,113,534号明細書
【特許文献4】米国特許第2,480,430号明細書
【特許文献5】米国特許第2,646,034号明細書
【特許文献6】米国特許第3,005,454号明細書
【特許文献7】米国特許第3,050,064号明細書
【特許文献8】米国特許第3,536,068号明細書
【特許文献9】米国特許第4,048,991号明細書
【特許文献10】米国特許第4,149,540号明細書
【特許文献11】米国特許第4,243,028号明細書
【特許文献12】米国特許第4,345,591号明細書
【特許文献13】米国特許第4,802,667号明細書
【特許文献14】米国特許第5,234,459号明細書
【特許文献15】米国特許第5,628,723号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、包帯、とりわけ大型の包帯に関連する問題の1つは、症状または傷害毎に異なる治療手順(プロトコル)を必要とすることである。傷害、例えばやけど、及び内臓露出を伴う腹部外傷では、創傷部内の湿気を包帯によって保つことが必要となるが、切断のような他の傷害でも同じタイプの包帯によって血液および分泌物を吸収することが必要となる。大型の包帯に関連する別の問題としては、同じタイプの包帯を、例えば患者に包帯を巻き付ける必要がある腹部の処置にも、腹部より相当細い手足の処置にも使用していることがある。
【0007】
したがって、当業界では改良された包帯、特に改良された大型の包帯が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の「課題を解決するための手段」の欄は、本明細書に開示する主題の概要を「要約書」よりも詳しく説明するための欄であって、本発明がこの欄に記載した特徴に限定されるものと解釈すべきではない。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、一般に複数の異種用途を有する改良された包帯に関するものである。
【0010】
そこで、本発明のいくつかの実施形態では、パッド部と、端部を前記パッド部の端縁に取り付けた細長巻き付け部と、を備えた異種用途包帯(disparate use bandage)を提供する。前記パッド部は、外側層、少なくとも1つの吸収層、ほぼ不浸透性の材料から形成され、前記パッド部の残部に容易に取り外し可能に取り付けた内側層を有する構成とする。
【0011】
前記内側層は、複数(2つ以上)のポイント(例えば、縫着、接着、溶着、ステープル留め、ピン留めのポイント)において前記パッド部の残部に取り付けるのが好ましい。いくつかの実施形態によれば、前記縫着ポイントは、前記パッド部の縫い目の近傍内側に延在させることができる。
【0012】
好ましい一実施形態では、前記少なくとも1つの吸収層は不織材料で形成する。
【0013】
前記内側層は、プラスチックを有する構成とすると好ましい。付加的または代替的に、前記内側層は、シリコンを有する構成とする。前記内側層は、前記パッド部より小さくすることも、前記パッド部とほぼ同一サイズとすることも、前記パッド部より大きくすることもできる。いくつかの実施形態によれば、前記内側層は、前記包帯(例えば前記パッド部)が体内組織(やけど、腸、他の任意の生体組織等)に付着するのを防止するようにする。
【0014】
好ましい一実施形態では、前記パッド部は、さらに前記外側層と前記少なくとも1つの吸収層との間に血液分散バリア層を有する構成とすることができる。
【0015】
前記パッド部は、さらに前記少なくとも1つの吸収層と前記内側層との間に無菌の(sterile)非粘着性層を有する構成とすると好ましい。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、前記異種用途包帯は、さらに、前記細長巻き付け部の巻き付け方向の変更を容易にするようにした1つまたは複数の巻き付け素子を備えることができる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、前記異種用途包帯は、さらに、創傷部への医療物質の塗布を容易にするようにした開口を備えることができる。前記医療物質は、生理食塩水、水、薬剤、またはその任意の組み合わせを含むことができる。前記薬剤は、鎮痛剤、抗炎症剤、抗生物質、防腐剤、またはその任意の組み合わせを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、前記異種用途包帯は、さらに、前記細長巻き付け部を巻いた状態または折り畳んだ状態で保持するようにした保持デバイスを備えることができ、前記保持デバイスは、使用者が前記細長巻き付け部の残りの部分を全体的に巻回ロールから繰り出すまたは折り畳み状態から展開することなく、前記細長巻き付け部を徐々にロール繰り出しまたは折り畳み展開することを可能にすることができる。
【0019】
以下では添付図面を参照して、本発明の実施形態を例示する各実施例について説明する。各図において、2つ以上の図面に示す同一の構造、要素または部分には、それらを図示したすべての図面で同じ参照符号を付している。各図に示す構成要素および特徴部の寸法は、図面全体を見やすくするために便宜上選択したものであり、必ずしも縮尺どおりに描いているわけではない。以下、各図を一覧表記で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】本発明の一実施形態により構成しまた運用可能な、異種用途包帯の第1用途向けの状態における、簡略化して示す説明図である。
【図1B】本発明の一実施形態により構成しまた運用可能な、異種用途包帯の第1用途向けの状態における、簡略して示す断面図である。
【図2A】図1Aおよび図1Bに示した包帯の第2用途向けの状態における、簡略化して示す説明図である。
【図2B】図1Aおよび図1Bに示した包帯の第2用途向けの状態における、簡略化して示す断面図である。
【図3】図1Aおよび図1Bに示した包帯の使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図4】図2Aおよび図2Bの包帯の使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図5A】本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図5B】本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図5C】本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図5D】本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化して示す説明図である。
【図6A】本発明の実施形態により構成しまた運用可能な包帯を示す説明図である。
【図6B】本発明の実施形態により構成しまた運用可能な包帯を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態により構成しまた運用可能な包帯を示す説明図である。
【図8A】本発明の実施形態による、ロール状に巻回した状態に保持した細長巻き付け部(ウェブ部)の断面図である。
【図8B】本発明の実施形態による、折り畳んだ状態に保持した細長巻き付け部(ウェブ部)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図1Aおよび図1Bにつき説明する。図1Aおよび図1Bは、本発明の好ましい一実施形態により構成しまた運用可能な、異種用途包帯の第1用途向けの状態における簡略化して示す説明図および断面図(IB−IB線に沿う)である。図1Aおよび図1Bに示すように、包帯は、ほぼ正方形(矩形または他の任意の形状とすることもできる)のパッド部100と、それ自体の一方の端部104をパッド部100の端縁106に取り付けた細長巻き付け部102(ウェブ部と称する場合もある)と、を備える。
【0022】
パッド部100は好適には30cm×30cmの寸法とする。パッド部100は、好ましくは細長巻き付け部と同様の層である外側レイヤ110と、典型的には不織綿による1つまたはそれ以上(すなわち複数)の層である吸収レイヤ112と、プラスチックもしくはシリコン、または他の任意の適切な材料による、ほぼ不浸透性の非粘着性材料で構成した内側レイヤ113と、を備えると好適である。パッド部100は、さらに、好ましくはプラスチック製の血液分散バリア層(blood dispersing barrier layer)114を外側レイヤ110と吸収レイヤ112との間に有することもできる。パッド部100は、さらに無菌の非粘着性レイヤ115を有し、この非粘着性レイヤ115は、好ましくはパッド部100に対して付着させた不織布の層で形成し、吸収レイヤ112と内側レイヤ113との間に配置することができる。
【0023】
細長巻き付け部102は、外側レイヤ110と一体に形成できることを理解されたい。
【0024】
本発明の特別な特徴は、内側レイヤ113をパッド部100の残部に容易に取り外し可能に、例えばパッド部100の端縁118および120に隣接する限定数の縫着ポイント116で、取り付けることである。内側レイヤ113は、パッド部100に対して容易に取り外し可能な他の手法により、例えば接着、溶着(例えば熱溶着)、ステープル留め、または他の任意の手法によってパッド部100に取り付けることもできる。
【0025】
好適には、縫着ポイント116のような取り付けポイントは、図示のように、端縁118,120に沿う継ぎ目122,124近傍内側に延在させる。
【0026】
次に、図2Aおよび図2Bにつき説明する。図2Aおよび図2Bは、図1Aおよび図1Bに示した包帯の第2用途向けの状態における、簡略化して示す説明図および断面図(IIB-IIB線に沿う)である。図2Aおよび図2Bから分かるように、この場合、不浸透性の内側レイヤ113は、パッド部100の残部の縫着ポイント116から事前に引き剥がされているので存在しない。
【0027】
図3は、腹部外傷の応急処置を対象とする、図1Aおよび図1Bに示した用途向けの状態における本発明の包帯の好ましい使用例を示し、この場合、不浸透性レイヤが適切な創傷治療に必須である。なお、不浸透性の内側レイヤ113を有する包帯は、内部の湿気保持を必要とする場合の創傷治療、例えば内臓(腸等)の露出及びやけどに利用されることが好ましい。内側レイヤ113は、非粘着性によっても特徴付けられる。不浸透性の内側レイヤ113は、この特性を有する包帯が、例えばやけど内臓露出の場合の適切な創傷治療を促進するのに必要とされる状況では、使用前に包帯から取り外さないでおくことが好ましい。
【0028】
図4は、重傷の応急処置を対象とする、図2Aおよび図2Bに示した第2用途向け状態における本発明の包帯の好ましい使用例を示し、例えば爆発等による手足切断および広い表面積に及ぶ外傷性創傷に適用する。この場合は、不浸透性レイヤが存在しないことが重要である。
【0029】
なお、不浸透性の内側レイヤ113を取り外した後の包帯は、包帯による吸湿が必要となる場合の創傷治療に利用されることが好ましい。不浸透性の内側レイヤ113は、この特性を有する包帯が適切な創傷治療を促進することが必要な状況では、使用前に包帯から取り外すことが好ましい。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態による包帯は、広い表面積を覆うことが創傷領域および周辺領域に適用するのに必要である状況で、いずれの用途にも使用できることを理解されたい。
【0031】
図3および図4から分かるように、本発明の包帯は、付き添いの医療専門家が適切な用途向けに施すことができる異種用途包帯を提供する。
【0032】
次に、図5A〜図5Dにつき説明する。図5A〜図5Dは、それぞれ本発明の一実施形態による包帯およびその使用例を示す簡略化した説明図である。図5Aは、腹部外傷によって腸が露出した患者の処置を要する部分を示す簡略図である。図5Bは、創傷部を覆い、患者の周囲に第1方向(破線矢印)に巻き付ける包帯500の簡略化した説明図である。包帯500は、創傷部を覆うとともに創傷部内の湿気を保つようにした内側レイヤ(図示せず)を含むパッド部505を有し、この内側レイヤ(図1Bの内側レイヤ113と同様のものとすることができる)は、創傷部内の湿気を保つようにする。パッド部505は、細長巻き付け部502に連続する(取り付けることもできる)外側レイヤ510も有する。細長巻き付け部502(ウェブ部と称する場合もある)は、患者の体周りに巻き付けるのを容易にする弾性材料で作成することができる。包帯500はさらに、図中ではパッド部505の上隅に位置する巻き付け素子550を有する。巻き付け素子550は、パッド部505の下隅や他の場所に配置することもできる。また、包帯500のような包帯は、例えばパッド部505の隣り合う二隅またはパッド部505の対向する二隅に、巻き付け素子550のような巻き付け素子を2つ以上設けることもできる。巻き付け素子550は、細長巻き付け部502を患者の体周りまたは創傷器官の周りに第1方向に巻き付けるときに(図5C参照)、細長巻き付け部502が巻き付け素子550の空間534に入ることを可能にするようにした間隙552を有する。ここで、細長巻き付け部502は、患者の体周りまたは創傷器官の周りに第2方向に巻き付ける(図5D参照)。第1方向の巻き付けに続いて、巻き付け素子550を使用して第2方向の巻き付けを行うことにより「巻き付け回数」が「節約」され、したがって、特に腹部等の大きな器官傷害ではウェブ部材料だけでなく時間も節約され、負傷した患者の不都合も軽減される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、巻き付け素子は、包帯の巻き付けを容易にするのに適した任意の形状または形態とすることができる。次に、図6Aおよび図6Bにつき説明する。図6Aおよび図6Bは、それぞれ本発明の他の実施形態により構成しまた運用可能な包帯600および包帯1600を示す。図6Aの包帯600は、パッド部605と、細長巻き付け部(ウェブ部)604と、巻き付け素子650と、を有する。巻き付け素子650は、構造用プラスチックのような可撓性、弾性のある材料で形成することが好ましく、基部622に対してほぼ垂直に固定的に取り付けた弓形部分620を有することが好ましい。2つのアーチ形上翼部624は、各丸みを付けた接合部626において弓形部分620に接合する。弓形部分620および上翼部624は、巻き付け素子を形成する。巻き付け素子650は、上翼部624および弓形部分620がパッド部605から離れる方向に湾曲するように、パッド部605に取り付ける。随意に、各丸みを付けた接合部626の近傍にアーチ形補強リブ628を設けることもできる。上翼部624は、間隙652によって互いに分離された先端629を面取りすることが好ましい。上翼部624と弓形部分620の間に空間634を画定する。
【0034】
図5A〜図5Dに示した場合と同様に、細長巻き付け部(ウェブ部)604を、上翼部624に押し付け、その結果間隙652を通って空間634内に押し込まれる。上翼部624の弾性は、細長巻き付け部(ウェブ部)604を間隙652に通すことを容易にする。また、面取りした先端629も、細長巻き付け部(ウェブ部)604を間隙652に通すことを容易にする。巻き付け素子の他の随意的な形状は、国際特許出願公開第WO97/29689号(Grau Bernard)で確認することができる。この国際特許出願公開の開示内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0035】
図6Bの包帯1600は、パッド部1605と、細長巻き付け部(ウェブ部)1604と、2個の巻き付け素子1650,1660と、を有する。2つの巻き付け素子1650,1660は、この実施形態では同一であるが、互いに異なるものとすることができる。巻き付け素子1650,1660は、パッド部1605の2個の両側に配設し、細長巻き付け部(ウェブ部)1604の巻き付けを容易にするようにしてある。巻き付け素子1650は、弓形部分1620と、基部1622と、弓形部分1620と丸みを付けた接合部1626において接合される2つのアーチ形上翼部1624と、アーチ形補強用リブ1628と、間隙1652と、空間1634と、面取りした先端1629と、を有する。これらは、それぞれ構造および機能性が、図6Aの巻き付け素子650の弓形部分620、基部622、弓形部分620と丸みを付けた接合部626において接合される2つのアーチ形上翼部624、アーチ形補強用リブ628、間隙652、空間634、および面取りした先端629と同様である。
【0036】
次に、図7につき説明する。図7は、本発明の他の実施形態により構成し、また運用可能な包帯700を示す。包帯700はパッド部705を有し、このパッド部705は、1つ(または複数)の吸収層と、随意的な内側層と、血液分散バリア層(ここでは図示を省略するが、図1Bまたは図2Bに記載した各層と同様であってよい)を有する。パッド部705は、細長巻き付け部702に連続する(取り付けることもできる)外側層710も有する。パッド部705は、さらに、液体(生理食塩水または水等)および/または薬剤(鎮痛剤、抗炎症剤、抗生物質、防腐剤、他の任意の薬剤等)を創傷組織に直接塗布することを容易にするようにしたアーチ形開口760を有する。例えば、腹部外傷によって腸が露出した場合は、条件および情況が許す限り、露出した腸を生理食塩水または水で濡らし、随意に創傷に薬剤を局所的に塗布することが推奨され得る。
【0037】
本発明の他の実施形態によれば、本明細書に開示する包帯の細長巻き付け部(ウェブ部)は、1つまたは複数の「保持デバイス」によって、ロール状に巻回した状態または折り畳んだ状態に保持するとともに、使用者(包帯を施す人、介護者、および/または創傷した患者)は、必要に応じて、例えばウェブの残りの部分自体が巻回ロールから繰り出されるまたは折り畳み状態が展開されて地面に落ちることがないよう、容易かつ徐々にウェブを順次に、例えばステップ・バイ・ステップでロール繰り出しまたは展開することができるようにする。
【0038】
次に、図8Aおよび図8Bにつき説明する。図8Aおよび図8Bは、それぞれ本発明の実施形態による包帯をロール状に巻回した状態の細長巻き付け部(ウェブ部)800、および折り畳んだ状態の細長巻き付け部(ウェブ部)820の断面図である。ロールとして巻回した状態の細長巻き付け部800は、保持デバイス802によって保持し、折り畳んだ状態の細長巻き付け部820は、保持デバイス822によって保持する。
【0039】
保持デバイス802は、細長素子804と、(V字状の)頂端部素子806と、頂端部素子806とは反対側の(同じくV字状の)底端部素子808と、を有する。保持デバイス802は、ロール状に巻回した状態の細長巻き付け部800の2枚以上の条片を貫通し、また巻いた状態の細長巻き付け部800を釈放可能に保持するよう構成する。この保持デバイスは、さらに、包帯の使用者がこの保持デバイスを取り外すことなく、細長巻き付け部800を徐々に巻回ロールから繰り出すことを可能にし、この繰り出しは、他のパネルを保持したまま、細長巻き付け部800の1つまたは複数の条片を頂端部素子806の上方に引き上げることによって行う。
【0040】
保持デバイス822は、細長素子824と、(ボール状の)頂端部素子826と、頂端部素子826とは反対側の(同じくボール状の)底端部素子828と、を有する。保持デバイス822は、折り畳んだ状態の細長巻き付け部820の2つ以上の条片に貫通するとともに、折り畳んだ状態の細長巻き付け部820を釈放可能に保持するよう構成する。このデバイスは、さらに、包帯の使用者がこれを取り外すことなく、細長巻き付け部820を徐々に折り畳みを展開することを可能にし、この展開は、他のパネルを保持したまま細長巻き付け部820の1つまたは複数の条片を頂端部素子826の上方に引き上げることによって行う。
【0041】
この保持デバイスは、綿、合成繊維、天然繊維、プラスチック、ナイロン、シリコン、または他の任意の適切な材料で形成することができる。あり得る保持デバイスに関するより多くの詳細は、イスラエル特許出願第197854号で確認することができ(このイスラエル特許出願の開示内容全体を参照することにより本明細書に付記されたものとする)。
【0042】
本明細書および特許請求の範囲に記載する用語「備える/有する(comprise)」、「設ける/有する(include)」および「有する(have)」ならびにそれらの活用形は、各用語に関連するリスト内の構成要素に必ずしも限定されるわけではない。
【0043】
本発明は、具体的に図示し上述した内容に限定されるものではないことは当業者には理解されるだろう。そうではなく、本発明の範囲には、上述した様々な特徴のコンビネーションおよびサブコンビネーションと共に、当業者が上述の説明を読めば想到するはずの、従来技術に存在しなかった変更例および改変例も含まれる。
【0044】
以上、本発明の諸実施形態に関する詳細な説明を使用して本発明の説明を行ってきたが、上記の説明は例示のためであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載した実施形態は様々な特徴を備える可能性があるが、必ずしもそれらすべての特徴が本発明のすべての実施形態で必要とされるわけではない。本発明の実施形態の中には、それらの特徴またはそれらの可能な組み合わせの一部しか利用しないものもある。当業者なら、本明細書に記載した本発明の実施形態の変更例だけでなく、各実施形態において言及した特徴の組み合わせと異なる組み合わせを有する実施形態にも想到するはずである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって限定されるものであり、各請求項は、これらのすべての変更例および組み合わせを含むものと解釈すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種用途包帯において、
パッド部と、
端部を前記パッド部の端縁に取り付けた細長巻き付け部と、
を備え、
前記パッド部は、外側層、少なくとも1つの吸収層、ほぼ不浸透性の材料から形成し、前記パッド部の残部に容易に取り外し可能に取り付けた内側層を有する構成とした、
異種用途包帯。
【請求項2】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、前記細長巻き付け部の巻き付け方向の変更を容易にするようにした1つまたは複数の巻き付け素子を備える、異種用途包帯。
【請求項3】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、前記パッド部のコーナーに位置する1つの巻き付け素子を備え、前記巻き付け素子は、前記細長巻き付け部の巻き付け方向の変更を容易にするようにした、異種用途包帯。
【請求項4】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、前記パッド部の互いに対向する2つのコーナーに位置する2つの巻き付け素子を備え、前記巻き付け素子は、前記細長巻き付け部の巻き付け方向の変更を容易にするようにした、異種用途包帯。
【請求項5】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、創傷領域への医療物質の塗布を容易にするようにした開口を備える、異種用途包帯。
【請求項6】
請求項5に記載の異種用途包帯において、前記医療物質は、生理食塩水、水、薬剤、またはその任意の組み合わせを含む、異種用途包帯。
【請求項7】
請求項6に記載の異種用途包帯において、前記薬剤は、鎮痛剤、抗炎症剤、抗生物質、防腐剤、またはその任意の組み合わせを含む、異種用途包帯。
【請求項8】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記内側層は、複数の縫着ポイントによって前記パッド部の残部に取り付ける、異種用途包帯。
【請求項9】
請求項8に記載の異種用途包帯において、前記縫着ポイントは、前記パッド部の縫い目近傍内側に延在する、異種用途包帯。
【請求項10】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記内側層は、複数の接着ポイントによって前記パッド部の残部に取り付ける、異種用途包帯。
【請求項11】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記少なくとも1つの吸収層は、不織材料で形成する、異種用途包帯。
【請求項12】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記内側層は、プラスチックを有する、異種用途包帯。
【請求項13】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記内側層は、シリコンを含む、異種用途包帯。
【請求項14】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記パッド部は、さらに前記外側層と前記少なくとも1つの吸収層との間に血液分散バリア層を有する、異種用途包帯。
【請求項15】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記パッド部は、さらに、前記少なくとも1つの吸収層と前記内側層との間に非粘着性層を有する、異種用途包帯。
【請求項16】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、前記細長巻き付け部をロール状に巻回した状態または折り畳んだ状態で保持するようにする保持デバイスであって、使用者が前記細長巻き付け部の残りの部分を全体的に巻回ロールから繰り出すまたは折り畳みを展開することなく、前記細長巻き付け部を徐々に巻回ロールから繰り出すまたは折り畳みを展開することを可能にするよう構成した、該保持デバイスを備える異種用途包帯。
【請求項1】
異種用途包帯において、
パッド部と、
端部を前記パッド部の端縁に取り付けた細長巻き付け部と、
を備え、
前記パッド部は、外側層、少なくとも1つの吸収層、ほぼ不浸透性の材料から形成し、前記パッド部の残部に容易に取り外し可能に取り付けた内側層を有する構成とした、
異種用途包帯。
【請求項2】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、前記細長巻き付け部の巻き付け方向の変更を容易にするようにした1つまたは複数の巻き付け素子を備える、異種用途包帯。
【請求項3】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、前記パッド部のコーナーに位置する1つの巻き付け素子を備え、前記巻き付け素子は、前記細長巻き付け部の巻き付け方向の変更を容易にするようにした、異種用途包帯。
【請求項4】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、前記パッド部の互いに対向する2つのコーナーに位置する2つの巻き付け素子を備え、前記巻き付け素子は、前記細長巻き付け部の巻き付け方向の変更を容易にするようにした、異種用途包帯。
【請求項5】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、創傷領域への医療物質の塗布を容易にするようにした開口を備える、異種用途包帯。
【請求項6】
請求項5に記載の異種用途包帯において、前記医療物質は、生理食塩水、水、薬剤、またはその任意の組み合わせを含む、異種用途包帯。
【請求項7】
請求項6に記載の異種用途包帯において、前記薬剤は、鎮痛剤、抗炎症剤、抗生物質、防腐剤、またはその任意の組み合わせを含む、異種用途包帯。
【請求項8】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記内側層は、複数の縫着ポイントによって前記パッド部の残部に取り付ける、異種用途包帯。
【請求項9】
請求項8に記載の異種用途包帯において、前記縫着ポイントは、前記パッド部の縫い目近傍内側に延在する、異種用途包帯。
【請求項10】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記内側層は、複数の接着ポイントによって前記パッド部の残部に取り付ける、異種用途包帯。
【請求項11】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記少なくとも1つの吸収層は、不織材料で形成する、異種用途包帯。
【請求項12】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記内側層は、プラスチックを有する、異種用途包帯。
【請求項13】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記内側層は、シリコンを含む、異種用途包帯。
【請求項14】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記パッド部は、さらに前記外側層と前記少なくとも1つの吸収層との間に血液分散バリア層を有する、異種用途包帯。
【請求項15】
請求項1に記載の異種用途包帯において、前記パッド部は、さらに、前記少なくとも1つの吸収層と前記内側層との間に非粘着性層を有する、異種用途包帯。
【請求項16】
請求項1に記載の異種用途包帯において、さらに、前記細長巻き付け部をロール状に巻回した状態または折り畳んだ状態で保持するようにする保持デバイスであって、使用者が前記細長巻き付け部の残りの部分を全体的に巻回ロールから繰り出すまたは折り畳みを展開することなく、前記細長巻き付け部を徐々に巻回ロールから繰り出すまたは折り畳みを展開することを可能にするよう構成した、該保持デバイスを備える異種用途包帯。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2011−526528(P2011−526528A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515732(P2011−515732)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000664
【国際公開番号】WO2010/001403
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511003419)ファースト ケア プロダクツ リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】FIRST CARE PRODUCTS LTD.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000664
【国際公開番号】WO2010/001403
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511003419)ファースト ケア プロダクツ リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】FIRST CARE PRODUCTS LTD.
【Fターム(参考)】
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