マンホールの浮上防止構造及びマンホール浮上防止工法
【課題】 地震の発生時にも、マンホールとドレーンパイプとが、一体的な関係を維持し、確実に該マンホールの浮上を防止することができるとともに、既設マンホールに対しても極めて簡単に実行可能な新規なマンホールの浮上防止構造及び工法を提供する。
【解決手段】 マンホール1の周囲に埋設されて通水性を有する複数のドレーンパイプ2・・・6と、これらのドレーンパイプ2・・・6の上端又は中途部において該ドレーンパイプ2・・・6に接続固定されて該ドレーンパイプ2・・・6と連通してなる連結パイプ7・・・11が地盤に埋設されて、上記連結パイプ7・・・11と上記マンホール1とは、該マンホール1の側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプ18を介して接続されてなり、上記ドレーンパイプ2・・・6内に侵入した水が上記連結パイプ7・・・11,12・・・17及び接続パイプ18を介して上記マンホール1内に流入するよう構成される。
【解決手段】 マンホール1の周囲に埋設されて通水性を有する複数のドレーンパイプ2・・・6と、これらのドレーンパイプ2・・・6の上端又は中途部において該ドレーンパイプ2・・・6に接続固定されて該ドレーンパイプ2・・・6と連通してなる連結パイプ7・・・11が地盤に埋設されて、上記連結パイプ7・・・11と上記マンホール1とは、該マンホール1の側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプ18を介して接続されてなり、上記ドレーンパイプ2・・・6内に侵入した水が上記連結パイプ7・・・11,12・・・17及び接続パイプ18を介して上記マンホール1内に流入するよう構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震により地盤が液状化することによりマンホールが浮上することを防止するために採用されるマンホールの浮上防止構造及びマンホール浮上防止工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、我が国には下水道用又は雨水用或いは上水道用のマンホールが地盤に埋設され、その数は膨大であるが、こうした各種のマンホールの埋設地盤が、いわゆる液状化危険地盤である場合も多い。ところで、液状化危険地盤の土中では、地震動が発生すると、それまで土粒子と土粒子とが互いに接合していた状態が外れ、先ず地下水の中で土粒子が浮いた状態となり、その後該土粒子は重力によって沈み込む。このため、地盤の見かけ体積が減少し地表面では沈下現象が発生する。また、こうした現象により、上記土粒子間では間隙水圧が上昇し、圧力の高い水が上昇水流となり、さらに地盤の土粒子の液状化を引き起こし、やがてそれまで地下水が存在しなかった地表面まで液状化が広がり、地表面では地下水が噴出する現象も発生する。そして、こうした地下水の噴出により更なる地盤の沈下が発生する。こうした地盤の沈下により、それまで埋設されていたマンホールは地表面よりも浮上する。
【0003】
ところで、こうした地盤の液状化の発生による上記マンホールの浮上を防止するための構造として、従来、マンホール周壁に、過剰間隙水流入口を開設し、マンホールの外周に沿って形成された過剰間隙水誘導路(排水管)を介して過剰間隙水を上記過剰間隙水流入口からマンホール内へ排水する構造が提案されている(特許文献1参照)。このように提案された構造は、地震により地盤内で水圧が高まった地下水を、上記排水管から上記過剰間隙水流入口に流入させ更にマンホール内に流入させることにより、地盤の液状化に伴うマンホールの浮上を解消することを目的としている。
【特許文献1】特開平8−92984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の構造では、マンホールの外周に沿って形成された過剰間隙水誘導路(排水管)は、上記マンホールに形成された過剰間隙水流入口と機械的に接続,連結或いは接合されている訳ではないことから、地震動の発生に伴う上記地盤の沈下,側方流動に対応することができず、上記過剰間隙水誘導路(排水管)と過剰間隙水流入口との間にズレが生じ、過剰間隙水誘導路(排水管)内の水を、過剰間隙水流入口を介してマンホール内に流入させることができず、地盤内の過剰間隙水圧の消散機能が発揮させない可能性が極めて高い。すなわち、上述したように、地盤の液状化現象が発生する過程において、地盤の見かけ体積が減少し地表面に沈下現象が発生すると、上記過剰間隙水誘導路(排水管)は、地盤と共に沈下してしまうこととなり、マンホールに形成された過剰間隙水流入口と該過剰間隙水誘導路(排水管)との対応関係は無くなり、過剰間隙水誘導路(排水管)内に流入した水は行き場を失うこととなるから、以後過剰間隙水の水圧は上昇し、地表面から噴出してしまうこととなる。特に、度重なる余震が発生した場合には、地盤の沈下,側方流動後の過剰間隙水消散効果を期待することはできず、地表面に地下水が噴出する事態を避けることができない。しかも、上記特許文献1に開示された構造では、新規にマンホールを施工する場合において、当該構造とすることは可能であるが、既設のマンホールに当該構造となるよう施工する場合において、上記過剰間隙水誘導路(排水管)をマンホールの周囲に沿って埋設することは極めて困難である。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の構造が有する課題を解決するために提案されたものであって、地震の発生により、マンホールとドレーンパイプとに対し、互いに位置ズレを生ずる力が発生した場合であっても、常にマンホールとドレーンパイプとが一体的な関係を維持し、確実に該マンホールの浮上を防止することができるとともに、既設マンホールに対して適用する場合であっても極めて簡単に実行可能な新規なマンホールの浮上防止構造及びマンホール浮上防止工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、マンホールの周囲に埋設されてなるとともに通水性を有する複数のドレーンパイプと、これらのドレーンパイプの上端又は中途部において該ドレーンパイプに接続固定されてなるとともに該ドレーンパイプと連通してなる連結パイプと、が地盤に埋設されてなるとともに、上記連結パイプと上記マンホールとは、該マンホールの側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプを介して接続されてなり、上記ドレーンパイプ内に侵入した水が上記連結パイプ及び接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記連結パイプ及び接続パイプを介して連結されてなることを特徴とするものである。
【0007】
そして、上記第1の発明を構成するドレーンパイプは、中空管状をなし、外周側から内周側に地下水が通過(流入)可能な通水性を有していれば、その材料,形状,構造及び寸法等は特に限定されるものではないとともに、これまで使用されてきた公知のドレーンパイプを使用することができる。なお、このドレーンパイプの材料としては、塩化ビニル,ポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂や、鉄,銅,アルミニウム等の金属、さらには、コンクリート,セメント,ガラス,セラミック等であっても良いし、複数の材料からなるFRP管,積層管をこのドレーンパイプとして使用しても良い。また、このドレーンパイプの形状は、断面円形状であることが好ましいが、使用目的や要求性能によっては、例えば、断面角形のものや、楕円形,長円形などのように、円形以外の断面形状を有するものであっても良い。また、ドレーンパイプの貫入抵抗に問題がなければ、ドレーンパイプの外周に突起や凹溝などの凹凸形状を有していても良い。また、ドレーンパイプに通水性を付与するには、材料自体に通水性を有するものを使用するほか、ドレーンパイプの製造時あるいは製造後に通水用又は透水用の孔等を形成したものであっても良い。例えば、合成樹脂の連続発泡体や発泡セラミックのような多孔質材料は、材料そのものが通水性を有しており、こうした材料(素材)を用いてドレーンパイプを成形しても良い。また、粒子材料や繊維材料或いは線材料を、ある程度の隙間を空けた状態で集積させて一体結合すれば、得られた成形体は通水性を有することから、こうした工程により成形されたドレーンパイプを使用することもできる。或いは、線材料を網状に組み合わせたものを筒状に成形し、ドレーンパイプとすることもできる。さらに、このドレーンパイプは、棒材で組み立てられた枠に、網布状の材料を貼り付けて、管強度と通水性を確保したものとすることもできるし、他には、管状の成形体に、ドリルなどで多数の小孔をあけて通水性を付与することもできる。或いは、パンチングメタルを筒状に成形したドレーンパイプを使用することもできる。なお、本発明を構成するドレーンパイプに有する通水空間は、通水性は有していても、土砂などが流入し難いことが望ましい。
【0008】
また、本発明では、比較的に耐力に劣る材料からなる管材や、通水空間の割合が多く比較的機械的強度に劣る管構造など、通常の直接的な打撃による打ち込みなどが適用し難いドレーンパイプも使用できる。通水性に優れ、実用的に十分な耐久性を有するドレーンパイプとして、合成樹脂の線条が集積され一体的に結合されてなり、線条間の隙間に生じる通水空間が全面に存在する線条集積管を用いることができる。線条集積管の具体例として、前記特許文献1に記載された麺状樹脂管が挙げられる。麺状樹脂管の市販製品としては、例えば、ポーラスドレーン(ポーラスジャパン社製)、ヘチマロン(登録商標:新光ナイロン社製)を挙げることができる。また、ドレーンパイプの寸法は、施工条件や要求性能によっても変わるが、通常は、外径100〜200mm、肉厚20〜70mm、長さ2〜20mの範囲に設定される。また、地盤に埋設するドレーンパイプの施工全長を、1本のドレーンパイプのみで施工することもできるが、短いドレーンパイプを複数本継ぎ足して使用することもできる。定尺のドレーンパイプを必要な本数だけ継ぎ足せば、広い範囲の施工条件に対応させることができる。なお、ドレーンパイプを継ぎ足すには、接着や熱融着、嵌合などの連結手段が採用できる。ドレーンパイプの両端に、互いに嵌合自在な凹凸構造を設けておくこともできるし、或いは、捻じ込み構造を設けておいても良い。また、ドレーンパイプの連結個所で、該ドレーンパイプの外周にスリーブを被せて連結すれば、強固に連結することができる。上記スリーブには、ドレーンパイプの材料と同様の樹脂、金属などからなる管材を使用することができる。スリーブは通水性のない管材であっても構わない。言うまでもなく、埋設されたドレーンパイプの後端(上端)に新たなドレーンパイプの先端を配置するだけで、特別な連結手段を講じなくても、ドレーンパイプの自重によって一体的に埋設して行ける場合もある。継ぎ足したドレーンパイプ列の後端すなわち上端に錘を載せるなどして、ドレーンパイプの継ぎ目が空かないように、押さえておくこともできる。
【0009】
そして、上記第1の発明では、上述したドレーンパイプには、連結パイプが接続固定されている必要があり、さらに、この連結パイプは、マンホールの側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプに接続されている必要がある。上記連結パイプは、特に素材や形状が限定されるものではなく、ドレーンパイプ内に流入した地下水が該ドレーンパイプから流入するものであれば良い。また、上記接続パイプは、上記連結パイプとマンホールとを接続し、該連結パイプ内に流入した地下水が流入し、該地下水をマンホール内に流入させるものであれば、その素材や形状が限定されるものではない。但し、この接続パイプの一端は、上記マンホールに形成された貫通穴内に挿入されており、地震の発生により、マンホールとドレーンパイプとに異なる力が作用した場合であっても、この接続パイプを介して互いに連結されている必要がある。
【0010】
なお、上記連結パイプは、必ずしも単一である必要はなく、複数の連結パイプとしても良い。例えば、マンホールの周囲に、例えば、第1〜第4(全部で4本)のドレーンパイプを埋設するとともに、上記第1〜第4のドレーンパイプを単一の連結パイプで連結させ、こうした単一の連結パイプと上記マンホールとを単一の接続パイプにて接続するものであっても良いし、上記第1のドレーンパイプと第2のドレーンパイプとを特定の連結パイプにて連結するとともに、上記第3のドレーンパイプと第4のドレーンパイプとを他の連結パイプにより連結し、上記特定の連結パイプとマンホールとを特定の接続パイプにより接続し、上記他の連結パイプとマンホールとを他の接続パイプにより接続する構造であっても良い。なお、前者の構造を採用することにより、マンホールの側部には、単一の貫通穴を設ければ良いことから、作業性が向上する一方、マンホールと第1〜第4のドレーンパイプとは単一の連結パイプと単一の接続パイプにより接続されることから、ドレーンパイプとマンホールとの一体性はやや後者の構造に劣る。一方、後者の構造によれば、第1のドレーンパイプと第2のドレーンパイプとは、上記特定の連結パイプと接続パイプとを介して連結され、第3のドレーンパイプと第4のドレーンパイプとは他の連結パイプと接続パイプを介して連結されることから、マンホールの側部にそれぞれの接続パイプに対応した貫通穴を形成する作業が必要となる一方、マンホールとドレーンパイプとの一体性が向上する。
【0011】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記接続パイプは、マンホールに接続される第1の接続管部と、第2及び第3の接続管部とを有し略T字状に成形されてなり、前記連結パイプは、前記ドレーンパイプに接続される第1の接続部と第2及び第3の接続部とが形成され略T字状に成形された複数のジョイントパイプと、一端は上記ジョイントパイプを構成する第2又は第3の接続部若しくは上記接続パイプを構成する第2又は第3の接続管部に接続され、他端は上記ジョイントパイプを構成する第3又は第2の接続部若しくは上記接続パイプを構成する第3又は第2の接続管部に接続される複数のメインパイプと、からなり、上記ドレーンパイプ内に侵入した水が上記ジョイントパイプ及びメインパイプ並びに上記接続パイプを介してマンホール内に流入するよう構成されてなることを特徴とするものである。
【0012】
なお、上記連結パイプを構成するジョイントパイプやメインパイプは、それぞれ金属や樹脂等の素材を使用することができるが、(特にメインパイプは)やや可撓性を有する樹脂製のパイプ或いは蛇腹部を備えたパイプ(例えば、伸縮性や屈曲性を備えたいわゆるフレキシブルパイプ)を使用することが望ましい(請求項4記載の発明)。こうしたパイプを使用することにより、ドレーンパイプの埋設位置が正確でない場合であっても、ドレーンパイプ同士を確実に連結させることができるとともに、地震の発生により、ドレーンパイプ同士が位置ズレを生じた場合であっても吸収することができる。
【0013】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、前記第1の発明と同じように、マンホールの浮上防止構造に係るものであって、マンホールの周囲に埋設されてなるとともに通水性を有する複数のドレーンパイプと、一端はこれらのドレーンパイプの上端又は中途部と接続され、他端はマンホールの側部に形成された貫通穴内に挿通されてなる接続パイプと、を備え、上記各ドレーンパイプ内に侵入した水が上記接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記接続パイプを介して連結されてなることを特徴とするものである。
【0014】
この第3の発明では、前記第1の発明を構成する連結パイプは構成要素とされておらず、各ドレーンパイプと接続パイプとは一対一の関係で構成されるものであり、各接続パイプの一端は、ドレーンパイプの何れかに接続固定されてなるとともに、他端はマンホールの側部に形成された貫通穴に挿通された状態となされ、マンホールと各ドレーンパイプとは上記接続パイプを介して連結されてなるものであり、より一層ドレーンパイプとマンホールとが一体性を有する構造とされている。
【0015】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第3の発明(請求項3記載の発明)に係るマンホールの浮上防止構造を施工するためのマンホール浮上防止工法であって、地盤内に埋設されているマンホールの周囲に、複数のドレーンパイプを埋設する工程(a)と、上記マンホールの内側から該マンホールの側部に貫通穴を形成するとともに、該マンホールとドレーンパイプとの間の地盤に上記貫通穴に連通した地盤側開口を形成し、さらに該ドレーンパイプの上端側中途部に上記地盤側開口に連通したパイプ側開口を形成する工程(b)と、上記貫通穴,地盤側開口及びパイプ側開口内に接続パイプを挿通させドレーンパイプとマンホール内とを連通させる工程(c)と、上記接続パイプの外側に充填材を充填する工程(d)と、を含むことを特徴とするものである。
【0016】
この第5の発明において、先ず、上記ドレーンパイプの配置位置に関して説明すると、ドレーンパイプは、地盤の液状化に伴う浮上の防止を図るマンホールの周囲に、所定の間隔を空けて埋設されるものであるが、ドレーンパイプの寸法や構造によって、液状化防止の効果は異なる。したがって、ドレーンパイプの配置間隔や埋設本数は、地盤調査ないしは地質調査に基づく結果や、ドレーンパイプの性能等に合わせて適切に設定される。通常のマンホールでは、ドレーンパイプの設置間隔は0.2〜1.5m、ドレーンパイプの施工深さは2.0〜20.0m範囲に設定される。
【0017】
また、この第5の発明に係るマンホール浮上防止工法では、先ず、地盤内に埋設されているマンホールの周囲に、上記複数のドレーンパイプを埋設する(工程(a))。このドレーンパイプの埋設工法は、これまで採用されている従来の埋設工法を採用することができるとともに、本願発明者が先に出願したドレーンパイプ工法(特願2004−21958)を採用することもできる。そして、上記工程(a)が終了すると、次いで、上記マンホールの内側から該マンホールの側部に貫通穴を形成するとともに、該マンホールとドレーンパイプとの間の地盤に上記貫通穴に連通した地盤側開口を形成し、さらに該ドレーンパイプの上端側中途部に上記地盤側開口に連通したパイプ側開口を形成する(工程(b))。この工程(b)は、例えば、マンホールの内側から、円筒状の切削刃が着脱自在に固定された切削装置を用い、該切削刃により前記マンホールの側部と地盤を切削する工程(b−1)と、上記切削刃を切削装置から取り外して残置させる工程(b−2)と、この切削刃内に残されたマンホールの切れ端及び土砂をマンホールの内側に取り出す工程(b−3)と、上記切削刃内に円筒状の切削刃を挿通して上記ドレーンパイプに前記接続パイプの外径寸法に略対応したパイプ側開口を形成する工程(b−4)と、を含む工程(請求項6記載の発明)を採用することができる。こうした工程(b−1〜b−4)を採用することにより、接続パイプとドレーンパイプとを極めて少ないクリアランスにて接続することができ、該クリアランスから各ドレーンパイプ内に異物が入り込むことを有効に防止することができる。
【0018】
また、上記工程(b)が終了すると、次いで、上記貫通穴,地盤側開口及びパイプ側開口内に接続パイプを挿通させドレーンパイプとマンホール内とを連通させる(工程(c))。こうした工程により、各ドレーンパイプ内で地下水の水位が上昇すると、該地下水は接続パイプを介してマンホール内に流入する構造とすることができる。そして、この第4の発明に係る工法においては、さらに、上記接続パイプの外側に充填材を充填する(工程(d))。この充填材は、例えば、上記工程(b)において取り除いた土砂でも良いし、モルタルであっても良い。こうした工程(d)を採用することにより、地震の発生に伴う接続パイプの位置ズレを有効に防止することができるばかりではなく、各ドレーンパイプとマンホールとの一体性を有効に確保することができ、ドレーンパイプとマンホールとに異なる力が作用した場合であっても、常に一体的な状態を保持することができ、ドレーンパイプ内の地下水がマンホール内に流入されない事態を有効に解消することができる。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明(請求項1記載の発明)では、連結パイプとマンホールとは、該マンホールの側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプを介して接続されてなり、地中に埋設されたドレーンパイプ内に侵入した水が上記連結パイプ及び接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記連結パイプ及び接続パイプを介して連結されてなることから、地震の発生により、マンホールが埋設されている地盤が液状化することを防止することができるばかりではなく、マンホールとドレーンパイプとに対して互いに位置ずれを生ずる力が発生した場合であっても、常にマンホールとドレーンパイプとが一体的な関係を維持することができる。したがって、地盤内における過剰間隙水は、依然としてドレーンパイプ内に流入するとともに上記連結パイプ及び接続パイプを介してマンホール内に流入することとなり、地盤内における過剰間隙水の消散効果を有効に発揮し、ひいては、地盤の液状化に伴うマンホールの浮上を効果的に防止することができる。また、この第1の発明に係るマンホールの浮上防止構造は、上述したように、連結パイプと接続パイプとを介してマンホールとドレーンパイプとを連結させるものであることから、ドレーンパイプを地盤に埋設されたマンホールに沿って埋設する必要性はなく、マンホールとドレーンパイプとは間隔を空けることができるので、既設マンホールに対して適用する場合であっても極めて簡単に適用することができる。
【0020】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、連結パイプがジョイントパイプとメインパイプとから構成されていることから、施工現場への搬入も容易であるばかりか、ドレーンパイプ同士の接続作業も容易なものとなる。特に、この連結パイプや接続パイプが、例えばフレキシブルパイプ等のような可撓性,伸縮性又は屈曲性を有する素材又は形状とされてなるものを使用した場合(請求項4記載の発明)は、ドレーンパイプの埋設位置が正確でない場合であっても、ドレーンパイプ同士を確実に連結させることができるとともに、地震の発生により、ドレーンパイプ同士が位置ズレを生じた場合であってもそれを吸収することができる。
【0021】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、前記第1の発明のように、連結パイプは構成要素とされておらず、各ドレーンパイプと接続パイプとは一対一の関係で構成され、各接続パイプの一端は、ドレーンパイプの何れかに接続固定されてなるとともに、他端はマンホールの側部に形成された貫通穴に挿通された状態とされていることから、マンホールと各ドレーンパイプとは上記接続パイプを介して連結されてなるものであり、より一層ドレーンパイプとマンホールとが一体性を有し、マンホールとドレーンパイプとが上下方向又は該マンホールの周方向にドレーンパイプが離間し、ドレーンパイプ内に流入した地下水がマンホール内に流入しないことをより一層有効に防止することができる。
【0022】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)では、マンホールの内側から該マンホールの側部に貫通穴を形成するとともに、該マンホールとドレーンパイプとの間の地盤に上記貫通穴に連通した地盤側開口を形成し、さらに該ドレーンパイプの上端側中途部に上記地盤側開口に連通したパイプ側開口を形成する工程(b)を採用しており、予めドレーンパイプに開口を形成しておくものではないことから、ドレーンパイプの埋設途中において該ドレーンパイプ内に土砂が入り込む危険性を有効に防止することができるとともに、各ドレーンパイプの埋設位置や深さを高精度に施工する必要性がない。また、この第4の発明では、上記貫通穴,地盤側開口及びパイプ側開口内に接続パイプを挿通させドレーンパイプとマンホール内とを連通させる工程(c)の後に、上記接続パイプの外側に充填材を充填する工程(d)を採用していることから、地震の発生に伴う接続パイプの位置ズレを有効に防止することができるばかりではなく、各ドレーンパイプとマンホールとの一体性を有効に確保することができ、ドレーンパイプとマンホールとに異なる力が作用した場合であっても、常に一体的な状態を保持することができ、ドレーンパイプ内の地下水がマンホール内に流入されない事態を有効に解消することができる。
【0023】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)では、マンホールの内側から、円筒状の切削刃が着脱自在に固定された切削装置を用い、該切削刃により前記マンホールの側部と地盤を切削する工程(b−1)と、上記切削刃を切削装置から取り外して残置させる工程(b−2)と、この切削刃内に残されたマンホールの切れ端及び土砂をマンホールの内側に取り出す工程(b−3)と、上記切削刃内に円筒状の切削刃を挿通して上記ドレーンパイプに前記接続パイプの外径寸法に略対応したパイプ側開口を形成する工程(b−4)と、を含むことから、接続パイプとドレーンパイプとを極めて少ないクリアランスにて接続することができ、該クリアランスから各ドレーンパイプ内に異物が入り込むことを有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造及びマンホール浮上防止工法について、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、第1の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造に付いて詳細に説明する。
【0025】
この第1の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造は、図1に示すように、地盤Eに埋設された既設(又は新設の)マンホール1の周囲に埋設された第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6と、上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6の上端に接続固定された第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11と、第1ないし第6のメインパイプ12・・・17と、1つの接続パイプ18とから構成されている。
【0026】
上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6は、それぞれ後述する工法にて地盤E内に埋設されたものであるとともに、ポリエチレンテレフタレート樹脂の細い線条を中空管の形態に集積させて一体結合してなる線条集積管である「ポーラスドレーン」(ポーラスジャパン社製、外径15cm、内径7cm、長さ2m)であり、先端(下端)には、図2に示すように、それぞれ穿孔ビット19が固定されている。また、上記第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11と、第1ないし第6のメインパイプ12・・・17は、本発明を構成する連結パイプである。そして、上記第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11は、それぞれ同一素材により同一形状に成形されてなるとともに、上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6の上端の何れかに接続(挿入)固定される第1の接続部7a・・・11aと、一端が上記第1ないし第6のメインパイプ12・・・17の何れかの一端又は他端に接続(挿入)固定され第2の接続部(符号は省略する。)と、他端は上記第1ないし第6のメインパイプ12・・・17の何れかの他端又は一端に接続(挿入)固定され第3の接続部(符号は省略する。)とから構成されており、全体形状は略T字状とされている。また、上記第1ないし第6のメインパイプ12・・・17は、それぞれ可撓性を有するフレキシブルパイプである。また、上記接続パイプ18は、マンホール1に形成された後述する貫通穴に接続される第1の接続管部18aと、第2の接続管部18bと、この第2の接続管部18bの反対側に形成された第3の接続管部18cとから構成され、全体形状は略T字状に成形されている。そして、上記第1のジョイントパイプ7の一端は、上記第6のメインパイプ17の他端内に挿入固定され、他端は、上記第1のメインパイプ12の一端内に挿入固定されている。また、この第1のメインパイプ12の他端内には、上記接続パイプ18を構成する第2の接続管部18bが挿入固定されている。また、この接続パイプ18を構成する第3の接続管部18cは、上記第2のメインパイプ13の一端内に挿入固定され、該第2のメインパイプ13の他端は、上記第2のジョイントパイプ8の一端が挿入固定されている。また、この第2のジョイントパイプ8の他端は、上記第3のメインパイプ14の一端内に挿入固定され、該第3のメインパイプ14の他端内には、上記第3のジョイントパイプ9の一端が挿入固定されている。また、この第3のジョイントパイプ9の他端は、上記第4のメインパイプ15の一端内に挿入固定され、該第4のメインパイプ15の他端内には、上記第4のジョイントパイプ10の一端が挿入固定されている。また、この第4のジョイントパイプ10の他端は、上記第5のメインパイプ16の一端内に挿入固定され、該第5のメインパイプ16の他端内には、上記第5のジョイントパイプ11の一端が挿入固定されている。また、この第5のジョイントパイプ11の他端は、上記第6のメインパイプ17の一端内に挿入固定されている。また、上記マンホール1の側部1aには、図1に示すように、貫通穴1bが形成され、該貫通穴1bには、上記接続パイプ18を構成する第1の接続管部18aが挿通されている。
【0027】
したがって、上述したマンホールの浮上防止構造によれば、地震の発生により、上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6内に地盤E内の地下水が流入し、或いはさらに該第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6内に流入している地下水の水位が上昇すると、それぞれのドレーンパイプ2・・・6内の地下水は、上記第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11の何れか及び第1ないし第6のメインパイプ12・・・17の何れかを通過するとともに、上記接続パイプ18内を通過してマンホール1内に流入する。したがって、こうした構造により、地盤Eの液状化を防止し、マンホール1が浮上してしまう事態を有効に防止することができる。しかも、上記接続パイプ18は、該接続パイプ18を構成する第1の接続管部18aがマンホール1に形成された貫通穴1b内に挿通されていることから、該マンホール1と上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6との比重の相違により、相対的に上下方向に位置ズレしたり、或いはマンホール1の周方向に位置ズレしたりする力が作用した場合であっても、少なくとも接続パイプ18を構成する第1の接続管部18aと貫通穴1bとの位置関係は維持され、各ドレーンパイプ2・・・6内の地下水がマンホール1内に流入しないこととなる危険性を有効に防止することができる。特に、上記第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11、第1ないし第6のメインパイプ12・・・17及び接続パイプ18をそれぞれ硬質の素材で成形した場合には、よりこれらの部材とマンホール1とが連結され、相互の位置ズレの発生を防止することができる。一方、上述したように、第1ないし第6のメインパイプ12・・・17をフレキシブルパイプとした場合には、マンホール1との一体性はやや劣るが、地震による位置ズレを有効に吸収することができるばかりではなく、第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6の施工位置に多少のズレが生じた場合であっても、上記メインパイプ12・・・17による接続作業が不能となる事態を避けることができる。換言すれば、正確にドレーンパイプ2・・・6を地盤E内に施工する必要性がなくなると同時に各メインパイプ12・・・17の接続作業も極めて容易なものとなり、ひいては工期を短縮することができる。
【0028】
次に、第2の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造に付いて詳細に説明する。この第2の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造は、新設のマンホール21を施工する際にも有効な構造であり、図4に示すように、マンホール21と、このマンホール21の周囲であって該マンホール1に近接した位置に埋設された第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26と、これら第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26の上端側中途部とマンホール21の側部21aに形成された第1ないし第5の貫通穴21bと、一端はこれらの貫通穴21b内に挿通され他端は上記第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26(の何れか)に接続固定されてなる第1ないし第5の接続パイプ27・・・31とから構成されている。なお、上記第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26は、前記第1の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造で説明したものと同じである。言うまでも無く、図5に示すように、上記第1ないし第5の接続パイプ27・・・31は、第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26と連通してなるものであり、該第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26内に流入した地下水の水位が、上記接続パイプ27・・・31の接続位置にまで達すると、該第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26を介してマンホール21内に流入する。
【0029】
したがって、こうしたマンホールの浮上防止構造による場合であっても、地震の発生による地盤の液状化、そしてこの液状化に伴うマンホール21の浮上を有効に防止することができる。特に、この第2の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造においては、上述したように、マンホール21と、第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26が第1ないし第5の貫通穴21bに挿通された第1ないし第5の接続パイプ27・・・31を介して一対一の関係で接続されており、前述した第1の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造のように、連結パイプ(ジョイントパイプ及びメインパイプ)を介して接続されているものではないことから、マンホール21と各(第1ないし第5の)ドレーンパイプ22・・・26との一体性は十分確保されている。したがって、地震が発生し、ドレーンパイプとマンホールとに、上下方向或いはマンホール21の周方向に異なる力が作用した場合であっても、マンホール21とドレーンパイプ22・・・26は常に一体的に移動することが確保されていることから、該ドレーンパイプ22・・・26内の地下水がマンホール21内に流入しない事態を招く危険性を有効に防止することができる。
【0030】
なお、上述した第2の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造は、図6に示すように、マンホール21の周囲に埋設された各ドレーンパイプ22・・・26の上端側がガイドパイプ35内に位置するとともに、接続パイプ27・・・31の外周面とマンホールに形成された貫通穴の内周との間には、モルタル等の充填材32が充填させており、且つ、該接続パイプ27・・・31は、上記ガイドパイプ35とドレーンパイプ22・・・26との双方に形成された開口に挿通されているものであっても良い。そこで、以下、こうした構造となされたマンホール浮上防止構造を実現するために使用されるマンホール浮上防止工法について、各工程順に説明する。
【0031】
先ず、図7に示すように、マンホール21の周囲に図示しないコアーカッターを用いて、該マンホール21の周囲に形成されたアスファルト等の舗装材Aを円形状に切断し、次いで、この切断された円形状の舗装材Aや砕石Sを取り除くとともに、図示しない穴堀機を用いて、約1m位の深さとなるよう掘削し、図示しない円柱状の穴をそれぞれ形成する。なお、これらの穴の形成位置は、上記各ドレーンパイプ22・・・26を埋設する位置に対応した位置である。そして、こうした穴を形成する工程が終了すると、次いで、図8に示すように、上記各穴内に上記ガイドパイプ35を挿入する。これらのガイドパイプ35は、本例では、塩化ビニルを素材とする円筒体である。また、こうした各ガイドパイプ35の嵌入作業(工程)が終了すると、図9に示すように、上記各ガイドパイプ35内に、それぞれ上記ドレーンパイプ22,23を貫入(埋設)させる(工程(a))。なお、こうしたドレーンパイプ22,24の貫入作業(埋設工法)は、これまで採用されている従来の埋設工法を採用することができるとともに、本願発明者が先に出願したドレーンパイプ工法(特願2004−21958)を採用することもできる。そして、上記工程(a)が終了すると、次いで、上記マンホール21の内側から、円筒状の切削刃(コアーカッター鋼管33)が着脱自在に固定された図示しない切削装置を用い、該コアーカッター鋼管33により上記マンホール21の側部21aと、地盤E―1を切削する(工程(b−1))し、このコアーカッター鋼管33と上記図示しない切削装置とを切り離して、図10に示すように、該コアーカッター鋼管33を残置させる(工程(b−2))。なお、この状態では未だ上記ガイドパイプ35は切断されていない。そして、こうした工程が終了すると、次いで、上記コアーカッター鋼管33内に存在する上記マンホール21の(切断された円形状の)側部21aと上記(切断された)地盤E―1とを、マンホール21の内側に取り出す(工程(b−3))。
【0032】
そして、さらに、上記マンホール21の内側から、上記コアーカッター鋼管33の内径よりも小径とされてなるとともに上記接続パイプ29の径と略同じ径に成形された図示しない円筒状のコアーカッターを上記残置されたコアーカッター鋼管33に挿通し、上記各ガイドパイプ35を切断するとともに、上記各ドレーンパイプ24を切断する(工程(b−4))。こうした工程により、上記各ガイドパイプ35と各ドレーンパイプ24には、図11に示すように、それぞれ同径の開口35a,24aが形成される。そして、こうした工程が終了すると、次いで、上記残置されたコアーカッター鋼管33内に、接続パイプ29を挿入するとともに、上記ガイドパイプ35に形成された開口35aとドレーンパイプ24に形成された開口(パイプ側開口)24a内に該接続パイプ29を圧入し、図12に示すように、上記ドレーンパイプ24とマンホール21内とを連通させる(工程(c))。そして、こうした工程が終了すると、次いで、それまで残置されていた上記コアーカッター鋼管33を、図13に示すように、取り外し、該接続パイプ29の外周面と、上記マンホール21の側部21aに形成された開口21b及び地盤に形成された開口E―2内に、図14に示すように、上記モルタル(又は土砂)等の充填材31を充填する(工程(d))。こうした工程(d)により、ドレーンパイプ24は、図15に示すように、上記接続パイプ29を介して互いに連通するとともに、互いに連結される。
【0033】
なお、上述した工程を経て、図15に示す状態とした後には、図6に示すように、上記各ガイドパイプ35の外周面と上記各ドレーンパイプ22,24の外周面との間に形成された空間内に目詰め材(符号は省略する。)を充填し、さらに、上記ドレーンパイプ22,24の上端と対応する位置にて、上記各ガイドパイプ35の上端側中途部を切断する。そして、図6中破線で示す部位(切断する以前にはガイドパイプ35が存在していた部位)に砕石S及び舗装材Aを施工し、元の状態に復元する。なお、上記各ドレーンパイプ22,24の上端には、図示しないキャップ等により開口を閉塞しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造を示す平面図である。
【図2】図1に示すマンホール浮上防止構造を示す側断面図である。
【図3】各ドレーンパイプと、連結パイプを構成するジョイントパイプ及びメインパイプを分解して示す斜視図である。
【図4】第2の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造を示す平面図である。
【図5】図4に示すマンホール浮上防止装置を示す側断面図である。
【図6】他の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造を示す側断面図である。
【図7】舗装材をコアーカッターにより切断した状態を示す平面図である。
【図8】各ガイドパイプを貫入させた状態を示す側断面図である。
【図9】各ガイドパイプ内にドレーンパイプを埋設した状態を示す側断面図である。
【図10】マンホールの内側からマンホールの側部と地盤を切断したコアーカッターを残置させた状態を示す側断面図である。
【図11】ガイドパイプとドレーンパイプとに開口を形成した状態を示す側断面図である。
【図12】接続パイプによりドレーンパイプとマンホールとを連通させた状態を示す側断面図である。
【図13】コアーカッターを取り除いた後の状態を示す側断面図である。
【図14】ガイドパイプの周囲に充填材を充填した状態を示す側断面図である。
【図15】図14に示すガイドパイプを切断した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 マンホール
2・・・6 第1ないし5のドレーンパイプ
7・・・11 第1ないし第5のジョイントパイプ
7a・・・11a 第1の接続部
12・・・17 第1ないし第6のメインパイプ
18 接続パイプ
18a 第1の接続管部
18b 第2の接続管部
18c 第3の接続管部
21 マンホール
22・・・26 第1ないし第5のドレーンパイプ
27・・・31 第1ないし第5の接続パイプ
32 充填材
E 地盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震により地盤が液状化することによりマンホールが浮上することを防止するために採用されるマンホールの浮上防止構造及びマンホール浮上防止工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、我が国には下水道用又は雨水用或いは上水道用のマンホールが地盤に埋設され、その数は膨大であるが、こうした各種のマンホールの埋設地盤が、いわゆる液状化危険地盤である場合も多い。ところで、液状化危険地盤の土中では、地震動が発生すると、それまで土粒子と土粒子とが互いに接合していた状態が外れ、先ず地下水の中で土粒子が浮いた状態となり、その後該土粒子は重力によって沈み込む。このため、地盤の見かけ体積が減少し地表面では沈下現象が発生する。また、こうした現象により、上記土粒子間では間隙水圧が上昇し、圧力の高い水が上昇水流となり、さらに地盤の土粒子の液状化を引き起こし、やがてそれまで地下水が存在しなかった地表面まで液状化が広がり、地表面では地下水が噴出する現象も発生する。そして、こうした地下水の噴出により更なる地盤の沈下が発生する。こうした地盤の沈下により、それまで埋設されていたマンホールは地表面よりも浮上する。
【0003】
ところで、こうした地盤の液状化の発生による上記マンホールの浮上を防止するための構造として、従来、マンホール周壁に、過剰間隙水流入口を開設し、マンホールの外周に沿って形成された過剰間隙水誘導路(排水管)を介して過剰間隙水を上記過剰間隙水流入口からマンホール内へ排水する構造が提案されている(特許文献1参照)。このように提案された構造は、地震により地盤内で水圧が高まった地下水を、上記排水管から上記過剰間隙水流入口に流入させ更にマンホール内に流入させることにより、地盤の液状化に伴うマンホールの浮上を解消することを目的としている。
【特許文献1】特開平8−92984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の構造では、マンホールの外周に沿って形成された過剰間隙水誘導路(排水管)は、上記マンホールに形成された過剰間隙水流入口と機械的に接続,連結或いは接合されている訳ではないことから、地震動の発生に伴う上記地盤の沈下,側方流動に対応することができず、上記過剰間隙水誘導路(排水管)と過剰間隙水流入口との間にズレが生じ、過剰間隙水誘導路(排水管)内の水を、過剰間隙水流入口を介してマンホール内に流入させることができず、地盤内の過剰間隙水圧の消散機能が発揮させない可能性が極めて高い。すなわち、上述したように、地盤の液状化現象が発生する過程において、地盤の見かけ体積が減少し地表面に沈下現象が発生すると、上記過剰間隙水誘導路(排水管)は、地盤と共に沈下してしまうこととなり、マンホールに形成された過剰間隙水流入口と該過剰間隙水誘導路(排水管)との対応関係は無くなり、過剰間隙水誘導路(排水管)内に流入した水は行き場を失うこととなるから、以後過剰間隙水の水圧は上昇し、地表面から噴出してしまうこととなる。特に、度重なる余震が発生した場合には、地盤の沈下,側方流動後の過剰間隙水消散効果を期待することはできず、地表面に地下水が噴出する事態を避けることができない。しかも、上記特許文献1に開示された構造では、新規にマンホールを施工する場合において、当該構造とすることは可能であるが、既設のマンホールに当該構造となるよう施工する場合において、上記過剰間隙水誘導路(排水管)をマンホールの周囲に沿って埋設することは極めて困難である。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の構造が有する課題を解決するために提案されたものであって、地震の発生により、マンホールとドレーンパイプとに対し、互いに位置ズレを生ずる力が発生した場合であっても、常にマンホールとドレーンパイプとが一体的な関係を維持し、確実に該マンホールの浮上を防止することができるとともに、既設マンホールに対して適用する場合であっても極めて簡単に実行可能な新規なマンホールの浮上防止構造及びマンホール浮上防止工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、マンホールの周囲に埋設されてなるとともに通水性を有する複数のドレーンパイプと、これらのドレーンパイプの上端又は中途部において該ドレーンパイプに接続固定されてなるとともに該ドレーンパイプと連通してなる連結パイプと、が地盤に埋設されてなるとともに、上記連結パイプと上記マンホールとは、該マンホールの側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプを介して接続されてなり、上記ドレーンパイプ内に侵入した水が上記連結パイプ及び接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記連結パイプ及び接続パイプを介して連結されてなることを特徴とするものである。
【0007】
そして、上記第1の発明を構成するドレーンパイプは、中空管状をなし、外周側から内周側に地下水が通過(流入)可能な通水性を有していれば、その材料,形状,構造及び寸法等は特に限定されるものではないとともに、これまで使用されてきた公知のドレーンパイプを使用することができる。なお、このドレーンパイプの材料としては、塩化ビニル,ポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂や、鉄,銅,アルミニウム等の金属、さらには、コンクリート,セメント,ガラス,セラミック等であっても良いし、複数の材料からなるFRP管,積層管をこのドレーンパイプとして使用しても良い。また、このドレーンパイプの形状は、断面円形状であることが好ましいが、使用目的や要求性能によっては、例えば、断面角形のものや、楕円形,長円形などのように、円形以外の断面形状を有するものであっても良い。また、ドレーンパイプの貫入抵抗に問題がなければ、ドレーンパイプの外周に突起や凹溝などの凹凸形状を有していても良い。また、ドレーンパイプに通水性を付与するには、材料自体に通水性を有するものを使用するほか、ドレーンパイプの製造時あるいは製造後に通水用又は透水用の孔等を形成したものであっても良い。例えば、合成樹脂の連続発泡体や発泡セラミックのような多孔質材料は、材料そのものが通水性を有しており、こうした材料(素材)を用いてドレーンパイプを成形しても良い。また、粒子材料や繊維材料或いは線材料を、ある程度の隙間を空けた状態で集積させて一体結合すれば、得られた成形体は通水性を有することから、こうした工程により成形されたドレーンパイプを使用することもできる。或いは、線材料を網状に組み合わせたものを筒状に成形し、ドレーンパイプとすることもできる。さらに、このドレーンパイプは、棒材で組み立てられた枠に、網布状の材料を貼り付けて、管強度と通水性を確保したものとすることもできるし、他には、管状の成形体に、ドリルなどで多数の小孔をあけて通水性を付与することもできる。或いは、パンチングメタルを筒状に成形したドレーンパイプを使用することもできる。なお、本発明を構成するドレーンパイプに有する通水空間は、通水性は有していても、土砂などが流入し難いことが望ましい。
【0008】
また、本発明では、比較的に耐力に劣る材料からなる管材や、通水空間の割合が多く比較的機械的強度に劣る管構造など、通常の直接的な打撃による打ち込みなどが適用し難いドレーンパイプも使用できる。通水性に優れ、実用的に十分な耐久性を有するドレーンパイプとして、合成樹脂の線条が集積され一体的に結合されてなり、線条間の隙間に生じる通水空間が全面に存在する線条集積管を用いることができる。線条集積管の具体例として、前記特許文献1に記載された麺状樹脂管が挙げられる。麺状樹脂管の市販製品としては、例えば、ポーラスドレーン(ポーラスジャパン社製)、ヘチマロン(登録商標:新光ナイロン社製)を挙げることができる。また、ドレーンパイプの寸法は、施工条件や要求性能によっても変わるが、通常は、外径100〜200mm、肉厚20〜70mm、長さ2〜20mの範囲に設定される。また、地盤に埋設するドレーンパイプの施工全長を、1本のドレーンパイプのみで施工することもできるが、短いドレーンパイプを複数本継ぎ足して使用することもできる。定尺のドレーンパイプを必要な本数だけ継ぎ足せば、広い範囲の施工条件に対応させることができる。なお、ドレーンパイプを継ぎ足すには、接着や熱融着、嵌合などの連結手段が採用できる。ドレーンパイプの両端に、互いに嵌合自在な凹凸構造を設けておくこともできるし、或いは、捻じ込み構造を設けておいても良い。また、ドレーンパイプの連結個所で、該ドレーンパイプの外周にスリーブを被せて連結すれば、強固に連結することができる。上記スリーブには、ドレーンパイプの材料と同様の樹脂、金属などからなる管材を使用することができる。スリーブは通水性のない管材であっても構わない。言うまでもなく、埋設されたドレーンパイプの後端(上端)に新たなドレーンパイプの先端を配置するだけで、特別な連結手段を講じなくても、ドレーンパイプの自重によって一体的に埋設して行ける場合もある。継ぎ足したドレーンパイプ列の後端すなわち上端に錘を載せるなどして、ドレーンパイプの継ぎ目が空かないように、押さえておくこともできる。
【0009】
そして、上記第1の発明では、上述したドレーンパイプには、連結パイプが接続固定されている必要があり、さらに、この連結パイプは、マンホールの側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプに接続されている必要がある。上記連結パイプは、特に素材や形状が限定されるものではなく、ドレーンパイプ内に流入した地下水が該ドレーンパイプから流入するものであれば良い。また、上記接続パイプは、上記連結パイプとマンホールとを接続し、該連結パイプ内に流入した地下水が流入し、該地下水をマンホール内に流入させるものであれば、その素材や形状が限定されるものではない。但し、この接続パイプの一端は、上記マンホールに形成された貫通穴内に挿入されており、地震の発生により、マンホールとドレーンパイプとに異なる力が作用した場合であっても、この接続パイプを介して互いに連結されている必要がある。
【0010】
なお、上記連結パイプは、必ずしも単一である必要はなく、複数の連結パイプとしても良い。例えば、マンホールの周囲に、例えば、第1〜第4(全部で4本)のドレーンパイプを埋設するとともに、上記第1〜第4のドレーンパイプを単一の連結パイプで連結させ、こうした単一の連結パイプと上記マンホールとを単一の接続パイプにて接続するものであっても良いし、上記第1のドレーンパイプと第2のドレーンパイプとを特定の連結パイプにて連結するとともに、上記第3のドレーンパイプと第4のドレーンパイプとを他の連結パイプにより連結し、上記特定の連結パイプとマンホールとを特定の接続パイプにより接続し、上記他の連結パイプとマンホールとを他の接続パイプにより接続する構造であっても良い。なお、前者の構造を採用することにより、マンホールの側部には、単一の貫通穴を設ければ良いことから、作業性が向上する一方、マンホールと第1〜第4のドレーンパイプとは単一の連結パイプと単一の接続パイプにより接続されることから、ドレーンパイプとマンホールとの一体性はやや後者の構造に劣る。一方、後者の構造によれば、第1のドレーンパイプと第2のドレーンパイプとは、上記特定の連結パイプと接続パイプとを介して連結され、第3のドレーンパイプと第4のドレーンパイプとは他の連結パイプと接続パイプを介して連結されることから、マンホールの側部にそれぞれの接続パイプに対応した貫通穴を形成する作業が必要となる一方、マンホールとドレーンパイプとの一体性が向上する。
【0011】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記接続パイプは、マンホールに接続される第1の接続管部と、第2及び第3の接続管部とを有し略T字状に成形されてなり、前記連結パイプは、前記ドレーンパイプに接続される第1の接続部と第2及び第3の接続部とが形成され略T字状に成形された複数のジョイントパイプと、一端は上記ジョイントパイプを構成する第2又は第3の接続部若しくは上記接続パイプを構成する第2又は第3の接続管部に接続され、他端は上記ジョイントパイプを構成する第3又は第2の接続部若しくは上記接続パイプを構成する第3又は第2の接続管部に接続される複数のメインパイプと、からなり、上記ドレーンパイプ内に侵入した水が上記ジョイントパイプ及びメインパイプ並びに上記接続パイプを介してマンホール内に流入するよう構成されてなることを特徴とするものである。
【0012】
なお、上記連結パイプを構成するジョイントパイプやメインパイプは、それぞれ金属や樹脂等の素材を使用することができるが、(特にメインパイプは)やや可撓性を有する樹脂製のパイプ或いは蛇腹部を備えたパイプ(例えば、伸縮性や屈曲性を備えたいわゆるフレキシブルパイプ)を使用することが望ましい(請求項4記載の発明)。こうしたパイプを使用することにより、ドレーンパイプの埋設位置が正確でない場合であっても、ドレーンパイプ同士を確実に連結させることができるとともに、地震の発生により、ドレーンパイプ同士が位置ズレを生じた場合であっても吸収することができる。
【0013】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、前記第1の発明と同じように、マンホールの浮上防止構造に係るものであって、マンホールの周囲に埋設されてなるとともに通水性を有する複数のドレーンパイプと、一端はこれらのドレーンパイプの上端又は中途部と接続され、他端はマンホールの側部に形成された貫通穴内に挿通されてなる接続パイプと、を備え、上記各ドレーンパイプ内に侵入した水が上記接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記接続パイプを介して連結されてなることを特徴とするものである。
【0014】
この第3の発明では、前記第1の発明を構成する連結パイプは構成要素とされておらず、各ドレーンパイプと接続パイプとは一対一の関係で構成されるものであり、各接続パイプの一端は、ドレーンパイプの何れかに接続固定されてなるとともに、他端はマンホールの側部に形成された貫通穴に挿通された状態となされ、マンホールと各ドレーンパイプとは上記接続パイプを介して連結されてなるものであり、より一層ドレーンパイプとマンホールとが一体性を有する構造とされている。
【0015】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第3の発明(請求項3記載の発明)に係るマンホールの浮上防止構造を施工するためのマンホール浮上防止工法であって、地盤内に埋設されているマンホールの周囲に、複数のドレーンパイプを埋設する工程(a)と、上記マンホールの内側から該マンホールの側部に貫通穴を形成するとともに、該マンホールとドレーンパイプとの間の地盤に上記貫通穴に連通した地盤側開口を形成し、さらに該ドレーンパイプの上端側中途部に上記地盤側開口に連通したパイプ側開口を形成する工程(b)と、上記貫通穴,地盤側開口及びパイプ側開口内に接続パイプを挿通させドレーンパイプとマンホール内とを連通させる工程(c)と、上記接続パイプの外側に充填材を充填する工程(d)と、を含むことを特徴とするものである。
【0016】
この第5の発明において、先ず、上記ドレーンパイプの配置位置に関して説明すると、ドレーンパイプは、地盤の液状化に伴う浮上の防止を図るマンホールの周囲に、所定の間隔を空けて埋設されるものであるが、ドレーンパイプの寸法や構造によって、液状化防止の効果は異なる。したがって、ドレーンパイプの配置間隔や埋設本数は、地盤調査ないしは地質調査に基づく結果や、ドレーンパイプの性能等に合わせて適切に設定される。通常のマンホールでは、ドレーンパイプの設置間隔は0.2〜1.5m、ドレーンパイプの施工深さは2.0〜20.0m範囲に設定される。
【0017】
また、この第5の発明に係るマンホール浮上防止工法では、先ず、地盤内に埋設されているマンホールの周囲に、上記複数のドレーンパイプを埋設する(工程(a))。このドレーンパイプの埋設工法は、これまで採用されている従来の埋設工法を採用することができるとともに、本願発明者が先に出願したドレーンパイプ工法(特願2004−21958)を採用することもできる。そして、上記工程(a)が終了すると、次いで、上記マンホールの内側から該マンホールの側部に貫通穴を形成するとともに、該マンホールとドレーンパイプとの間の地盤に上記貫通穴に連通した地盤側開口を形成し、さらに該ドレーンパイプの上端側中途部に上記地盤側開口に連通したパイプ側開口を形成する(工程(b))。この工程(b)は、例えば、マンホールの内側から、円筒状の切削刃が着脱自在に固定された切削装置を用い、該切削刃により前記マンホールの側部と地盤を切削する工程(b−1)と、上記切削刃を切削装置から取り外して残置させる工程(b−2)と、この切削刃内に残されたマンホールの切れ端及び土砂をマンホールの内側に取り出す工程(b−3)と、上記切削刃内に円筒状の切削刃を挿通して上記ドレーンパイプに前記接続パイプの外径寸法に略対応したパイプ側開口を形成する工程(b−4)と、を含む工程(請求項6記載の発明)を採用することができる。こうした工程(b−1〜b−4)を採用することにより、接続パイプとドレーンパイプとを極めて少ないクリアランスにて接続することができ、該クリアランスから各ドレーンパイプ内に異物が入り込むことを有効に防止することができる。
【0018】
また、上記工程(b)が終了すると、次いで、上記貫通穴,地盤側開口及びパイプ側開口内に接続パイプを挿通させドレーンパイプとマンホール内とを連通させる(工程(c))。こうした工程により、各ドレーンパイプ内で地下水の水位が上昇すると、該地下水は接続パイプを介してマンホール内に流入する構造とすることができる。そして、この第4の発明に係る工法においては、さらに、上記接続パイプの外側に充填材を充填する(工程(d))。この充填材は、例えば、上記工程(b)において取り除いた土砂でも良いし、モルタルであっても良い。こうした工程(d)を採用することにより、地震の発生に伴う接続パイプの位置ズレを有効に防止することができるばかりではなく、各ドレーンパイプとマンホールとの一体性を有効に確保することができ、ドレーンパイプとマンホールとに異なる力が作用した場合であっても、常に一体的な状態を保持することができ、ドレーンパイプ内の地下水がマンホール内に流入されない事態を有効に解消することができる。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明(請求項1記載の発明)では、連結パイプとマンホールとは、該マンホールの側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプを介して接続されてなり、地中に埋設されたドレーンパイプ内に侵入した水が上記連結パイプ及び接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記連結パイプ及び接続パイプを介して連結されてなることから、地震の発生により、マンホールが埋設されている地盤が液状化することを防止することができるばかりではなく、マンホールとドレーンパイプとに対して互いに位置ずれを生ずる力が発生した場合であっても、常にマンホールとドレーンパイプとが一体的な関係を維持することができる。したがって、地盤内における過剰間隙水は、依然としてドレーンパイプ内に流入するとともに上記連結パイプ及び接続パイプを介してマンホール内に流入することとなり、地盤内における過剰間隙水の消散効果を有効に発揮し、ひいては、地盤の液状化に伴うマンホールの浮上を効果的に防止することができる。また、この第1の発明に係るマンホールの浮上防止構造は、上述したように、連結パイプと接続パイプとを介してマンホールとドレーンパイプとを連結させるものであることから、ドレーンパイプを地盤に埋設されたマンホールに沿って埋設する必要性はなく、マンホールとドレーンパイプとは間隔を空けることができるので、既設マンホールに対して適用する場合であっても極めて簡単に適用することができる。
【0020】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、連結パイプがジョイントパイプとメインパイプとから構成されていることから、施工現場への搬入も容易であるばかりか、ドレーンパイプ同士の接続作業も容易なものとなる。特に、この連結パイプや接続パイプが、例えばフレキシブルパイプ等のような可撓性,伸縮性又は屈曲性を有する素材又は形状とされてなるものを使用した場合(請求項4記載の発明)は、ドレーンパイプの埋設位置が正確でない場合であっても、ドレーンパイプ同士を確実に連結させることができるとともに、地震の発生により、ドレーンパイプ同士が位置ズレを生じた場合であってもそれを吸収することができる。
【0021】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、前記第1の発明のように、連結パイプは構成要素とされておらず、各ドレーンパイプと接続パイプとは一対一の関係で構成され、各接続パイプの一端は、ドレーンパイプの何れかに接続固定されてなるとともに、他端はマンホールの側部に形成された貫通穴に挿通された状態とされていることから、マンホールと各ドレーンパイプとは上記接続パイプを介して連結されてなるものであり、より一層ドレーンパイプとマンホールとが一体性を有し、マンホールとドレーンパイプとが上下方向又は該マンホールの周方向にドレーンパイプが離間し、ドレーンパイプ内に流入した地下水がマンホール内に流入しないことをより一層有効に防止することができる。
【0022】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)では、マンホールの内側から該マンホールの側部に貫通穴を形成するとともに、該マンホールとドレーンパイプとの間の地盤に上記貫通穴に連通した地盤側開口を形成し、さらに該ドレーンパイプの上端側中途部に上記地盤側開口に連通したパイプ側開口を形成する工程(b)を採用しており、予めドレーンパイプに開口を形成しておくものではないことから、ドレーンパイプの埋設途中において該ドレーンパイプ内に土砂が入り込む危険性を有効に防止することができるとともに、各ドレーンパイプの埋設位置や深さを高精度に施工する必要性がない。また、この第4の発明では、上記貫通穴,地盤側開口及びパイプ側開口内に接続パイプを挿通させドレーンパイプとマンホール内とを連通させる工程(c)の後に、上記接続パイプの外側に充填材を充填する工程(d)を採用していることから、地震の発生に伴う接続パイプの位置ズレを有効に防止することができるばかりではなく、各ドレーンパイプとマンホールとの一体性を有効に確保することができ、ドレーンパイプとマンホールとに異なる力が作用した場合であっても、常に一体的な状態を保持することができ、ドレーンパイプ内の地下水がマンホール内に流入されない事態を有効に解消することができる。
【0023】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)では、マンホールの内側から、円筒状の切削刃が着脱自在に固定された切削装置を用い、該切削刃により前記マンホールの側部と地盤を切削する工程(b−1)と、上記切削刃を切削装置から取り外して残置させる工程(b−2)と、この切削刃内に残されたマンホールの切れ端及び土砂をマンホールの内側に取り出す工程(b−3)と、上記切削刃内に円筒状の切削刃を挿通して上記ドレーンパイプに前記接続パイプの外径寸法に略対応したパイプ側開口を形成する工程(b−4)と、を含むことから、接続パイプとドレーンパイプとを極めて少ないクリアランスにて接続することができ、該クリアランスから各ドレーンパイプ内に異物が入り込むことを有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造及びマンホール浮上防止工法について、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、第1の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造に付いて詳細に説明する。
【0025】
この第1の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造は、図1に示すように、地盤Eに埋設された既設(又は新設の)マンホール1の周囲に埋設された第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6と、上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6の上端に接続固定された第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11と、第1ないし第6のメインパイプ12・・・17と、1つの接続パイプ18とから構成されている。
【0026】
上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6は、それぞれ後述する工法にて地盤E内に埋設されたものであるとともに、ポリエチレンテレフタレート樹脂の細い線条を中空管の形態に集積させて一体結合してなる線条集積管である「ポーラスドレーン」(ポーラスジャパン社製、外径15cm、内径7cm、長さ2m)であり、先端(下端)には、図2に示すように、それぞれ穿孔ビット19が固定されている。また、上記第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11と、第1ないし第6のメインパイプ12・・・17は、本発明を構成する連結パイプである。そして、上記第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11は、それぞれ同一素材により同一形状に成形されてなるとともに、上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6の上端の何れかに接続(挿入)固定される第1の接続部7a・・・11aと、一端が上記第1ないし第6のメインパイプ12・・・17の何れかの一端又は他端に接続(挿入)固定され第2の接続部(符号は省略する。)と、他端は上記第1ないし第6のメインパイプ12・・・17の何れかの他端又は一端に接続(挿入)固定され第3の接続部(符号は省略する。)とから構成されており、全体形状は略T字状とされている。また、上記第1ないし第6のメインパイプ12・・・17は、それぞれ可撓性を有するフレキシブルパイプである。また、上記接続パイプ18は、マンホール1に形成された後述する貫通穴に接続される第1の接続管部18aと、第2の接続管部18bと、この第2の接続管部18bの反対側に形成された第3の接続管部18cとから構成され、全体形状は略T字状に成形されている。そして、上記第1のジョイントパイプ7の一端は、上記第6のメインパイプ17の他端内に挿入固定され、他端は、上記第1のメインパイプ12の一端内に挿入固定されている。また、この第1のメインパイプ12の他端内には、上記接続パイプ18を構成する第2の接続管部18bが挿入固定されている。また、この接続パイプ18を構成する第3の接続管部18cは、上記第2のメインパイプ13の一端内に挿入固定され、該第2のメインパイプ13の他端は、上記第2のジョイントパイプ8の一端が挿入固定されている。また、この第2のジョイントパイプ8の他端は、上記第3のメインパイプ14の一端内に挿入固定され、該第3のメインパイプ14の他端内には、上記第3のジョイントパイプ9の一端が挿入固定されている。また、この第3のジョイントパイプ9の他端は、上記第4のメインパイプ15の一端内に挿入固定され、該第4のメインパイプ15の他端内には、上記第4のジョイントパイプ10の一端が挿入固定されている。また、この第4のジョイントパイプ10の他端は、上記第5のメインパイプ16の一端内に挿入固定され、該第5のメインパイプ16の他端内には、上記第5のジョイントパイプ11の一端が挿入固定されている。また、この第5のジョイントパイプ11の他端は、上記第6のメインパイプ17の一端内に挿入固定されている。また、上記マンホール1の側部1aには、図1に示すように、貫通穴1bが形成され、該貫通穴1bには、上記接続パイプ18を構成する第1の接続管部18aが挿通されている。
【0027】
したがって、上述したマンホールの浮上防止構造によれば、地震の発生により、上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6内に地盤E内の地下水が流入し、或いはさらに該第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6内に流入している地下水の水位が上昇すると、それぞれのドレーンパイプ2・・・6内の地下水は、上記第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11の何れか及び第1ないし第6のメインパイプ12・・・17の何れかを通過するとともに、上記接続パイプ18内を通過してマンホール1内に流入する。したがって、こうした構造により、地盤Eの液状化を防止し、マンホール1が浮上してしまう事態を有効に防止することができる。しかも、上記接続パイプ18は、該接続パイプ18を構成する第1の接続管部18aがマンホール1に形成された貫通穴1b内に挿通されていることから、該マンホール1と上記第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6との比重の相違により、相対的に上下方向に位置ズレしたり、或いはマンホール1の周方向に位置ズレしたりする力が作用した場合であっても、少なくとも接続パイプ18を構成する第1の接続管部18aと貫通穴1bとの位置関係は維持され、各ドレーンパイプ2・・・6内の地下水がマンホール1内に流入しないこととなる危険性を有効に防止することができる。特に、上記第1ないし第5のジョイントパイプ7・・・11、第1ないし第6のメインパイプ12・・・17及び接続パイプ18をそれぞれ硬質の素材で成形した場合には、よりこれらの部材とマンホール1とが連結され、相互の位置ズレの発生を防止することができる。一方、上述したように、第1ないし第6のメインパイプ12・・・17をフレキシブルパイプとした場合には、マンホール1との一体性はやや劣るが、地震による位置ズレを有効に吸収することができるばかりではなく、第1ないし第5のドレーンパイプ2・・・6の施工位置に多少のズレが生じた場合であっても、上記メインパイプ12・・・17による接続作業が不能となる事態を避けることができる。換言すれば、正確にドレーンパイプ2・・・6を地盤E内に施工する必要性がなくなると同時に各メインパイプ12・・・17の接続作業も極めて容易なものとなり、ひいては工期を短縮することができる。
【0028】
次に、第2の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造に付いて詳細に説明する。この第2の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造は、新設のマンホール21を施工する際にも有効な構造であり、図4に示すように、マンホール21と、このマンホール21の周囲であって該マンホール1に近接した位置に埋設された第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26と、これら第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26の上端側中途部とマンホール21の側部21aに形成された第1ないし第5の貫通穴21bと、一端はこれらの貫通穴21b内に挿通され他端は上記第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26(の何れか)に接続固定されてなる第1ないし第5の接続パイプ27・・・31とから構成されている。なお、上記第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26は、前記第1の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造で説明したものと同じである。言うまでも無く、図5に示すように、上記第1ないし第5の接続パイプ27・・・31は、第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26と連通してなるものであり、該第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26内に流入した地下水の水位が、上記接続パイプ27・・・31の接続位置にまで達すると、該第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26を介してマンホール21内に流入する。
【0029】
したがって、こうしたマンホールの浮上防止構造による場合であっても、地震の発生による地盤の液状化、そしてこの液状化に伴うマンホール21の浮上を有効に防止することができる。特に、この第2の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造においては、上述したように、マンホール21と、第1ないし第5のドレーンパイプ22・・・26が第1ないし第5の貫通穴21bに挿通された第1ないし第5の接続パイプ27・・・31を介して一対一の関係で接続されており、前述した第1の実施の形態に係るマンホールの浮上防止構造のように、連結パイプ(ジョイントパイプ及びメインパイプ)を介して接続されているものではないことから、マンホール21と各(第1ないし第5の)ドレーンパイプ22・・・26との一体性は十分確保されている。したがって、地震が発生し、ドレーンパイプとマンホールとに、上下方向或いはマンホール21の周方向に異なる力が作用した場合であっても、マンホール21とドレーンパイプ22・・・26は常に一体的に移動することが確保されていることから、該ドレーンパイプ22・・・26内の地下水がマンホール21内に流入しない事態を招く危険性を有効に防止することができる。
【0030】
なお、上述した第2の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造は、図6に示すように、マンホール21の周囲に埋設された各ドレーンパイプ22・・・26の上端側がガイドパイプ35内に位置するとともに、接続パイプ27・・・31の外周面とマンホールに形成された貫通穴の内周との間には、モルタル等の充填材32が充填させており、且つ、該接続パイプ27・・・31は、上記ガイドパイプ35とドレーンパイプ22・・・26との双方に形成された開口に挿通されているものであっても良い。そこで、以下、こうした構造となされたマンホール浮上防止構造を実現するために使用されるマンホール浮上防止工法について、各工程順に説明する。
【0031】
先ず、図7に示すように、マンホール21の周囲に図示しないコアーカッターを用いて、該マンホール21の周囲に形成されたアスファルト等の舗装材Aを円形状に切断し、次いで、この切断された円形状の舗装材Aや砕石Sを取り除くとともに、図示しない穴堀機を用いて、約1m位の深さとなるよう掘削し、図示しない円柱状の穴をそれぞれ形成する。なお、これらの穴の形成位置は、上記各ドレーンパイプ22・・・26を埋設する位置に対応した位置である。そして、こうした穴を形成する工程が終了すると、次いで、図8に示すように、上記各穴内に上記ガイドパイプ35を挿入する。これらのガイドパイプ35は、本例では、塩化ビニルを素材とする円筒体である。また、こうした各ガイドパイプ35の嵌入作業(工程)が終了すると、図9に示すように、上記各ガイドパイプ35内に、それぞれ上記ドレーンパイプ22,23を貫入(埋設)させる(工程(a))。なお、こうしたドレーンパイプ22,24の貫入作業(埋設工法)は、これまで採用されている従来の埋設工法を採用することができるとともに、本願発明者が先に出願したドレーンパイプ工法(特願2004−21958)を採用することもできる。そして、上記工程(a)が終了すると、次いで、上記マンホール21の内側から、円筒状の切削刃(コアーカッター鋼管33)が着脱自在に固定された図示しない切削装置を用い、該コアーカッター鋼管33により上記マンホール21の側部21aと、地盤E―1を切削する(工程(b−1))し、このコアーカッター鋼管33と上記図示しない切削装置とを切り離して、図10に示すように、該コアーカッター鋼管33を残置させる(工程(b−2))。なお、この状態では未だ上記ガイドパイプ35は切断されていない。そして、こうした工程が終了すると、次いで、上記コアーカッター鋼管33内に存在する上記マンホール21の(切断された円形状の)側部21aと上記(切断された)地盤E―1とを、マンホール21の内側に取り出す(工程(b−3))。
【0032】
そして、さらに、上記マンホール21の内側から、上記コアーカッター鋼管33の内径よりも小径とされてなるとともに上記接続パイプ29の径と略同じ径に成形された図示しない円筒状のコアーカッターを上記残置されたコアーカッター鋼管33に挿通し、上記各ガイドパイプ35を切断するとともに、上記各ドレーンパイプ24を切断する(工程(b−4))。こうした工程により、上記各ガイドパイプ35と各ドレーンパイプ24には、図11に示すように、それぞれ同径の開口35a,24aが形成される。そして、こうした工程が終了すると、次いで、上記残置されたコアーカッター鋼管33内に、接続パイプ29を挿入するとともに、上記ガイドパイプ35に形成された開口35aとドレーンパイプ24に形成された開口(パイプ側開口)24a内に該接続パイプ29を圧入し、図12に示すように、上記ドレーンパイプ24とマンホール21内とを連通させる(工程(c))。そして、こうした工程が終了すると、次いで、それまで残置されていた上記コアーカッター鋼管33を、図13に示すように、取り外し、該接続パイプ29の外周面と、上記マンホール21の側部21aに形成された開口21b及び地盤に形成された開口E―2内に、図14に示すように、上記モルタル(又は土砂)等の充填材31を充填する(工程(d))。こうした工程(d)により、ドレーンパイプ24は、図15に示すように、上記接続パイプ29を介して互いに連通するとともに、互いに連結される。
【0033】
なお、上述した工程を経て、図15に示す状態とした後には、図6に示すように、上記各ガイドパイプ35の外周面と上記各ドレーンパイプ22,24の外周面との間に形成された空間内に目詰め材(符号は省略する。)を充填し、さらに、上記ドレーンパイプ22,24の上端と対応する位置にて、上記各ガイドパイプ35の上端側中途部を切断する。そして、図6中破線で示す部位(切断する以前にはガイドパイプ35が存在していた部位)に砕石S及び舗装材Aを施工し、元の状態に復元する。なお、上記各ドレーンパイプ22,24の上端には、図示しないキャップ等により開口を閉塞しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造を示す平面図である。
【図2】図1に示すマンホール浮上防止構造を示す側断面図である。
【図3】各ドレーンパイプと、連結パイプを構成するジョイントパイプ及びメインパイプを分解して示す斜視図である。
【図4】第2の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造を示す平面図である。
【図5】図4に示すマンホール浮上防止装置を示す側断面図である。
【図6】他の実施の形態に係るマンホール浮上防止構造を示す側断面図である。
【図7】舗装材をコアーカッターにより切断した状態を示す平面図である。
【図8】各ガイドパイプを貫入させた状態を示す側断面図である。
【図9】各ガイドパイプ内にドレーンパイプを埋設した状態を示す側断面図である。
【図10】マンホールの内側からマンホールの側部と地盤を切断したコアーカッターを残置させた状態を示す側断面図である。
【図11】ガイドパイプとドレーンパイプとに開口を形成した状態を示す側断面図である。
【図12】接続パイプによりドレーンパイプとマンホールとを連通させた状態を示す側断面図である。
【図13】コアーカッターを取り除いた後の状態を示す側断面図である。
【図14】ガイドパイプの周囲に充填材を充填した状態を示す側断面図である。
【図15】図14に示すガイドパイプを切断した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 マンホール
2・・・6 第1ないし5のドレーンパイプ
7・・・11 第1ないし第5のジョイントパイプ
7a・・・11a 第1の接続部
12・・・17 第1ないし第6のメインパイプ
18 接続パイプ
18a 第1の接続管部
18b 第2の接続管部
18c 第3の接続管部
21 マンホール
22・・・26 第1ないし第5のドレーンパイプ
27・・・31 第1ないし第5の接続パイプ
32 充填材
E 地盤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの周囲に埋設されてなるとともに通水性を有する複数のドレーンパイプと、これらのドレーンパイプの上端又は中途部において該ドレーンパイプに接続固定されてなるとともに該ドレーンパイプと連通してなる連結パイプと、が地盤に埋設されてなるとともに、
上記連結パイプと上記マンホールとは、該マンホールの側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプを介して接続されてなり、
上記ドレーンパイプ内に侵入した水が上記連結パイプ及び接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記連結パイプ及び接続パイプを介して連結されてなることを特徴とするマンホールの浮上防止構造。
【請求項2】
前記接続パイプは、マンホールに接続される第1の接続管部と、第2及び第3の接続管部とを有し略T字状に成形されてなり、
前記連結パイプは、
前記ドレーンパイプに接続される第1の接続部と第2及び第3の接続部とが形成され略T字状に成形された複数のジョイントパイプと、
一端は上記ジョイントパイプを構成する第2又は第3の接続部若しくは上記接続パイプを構成する第2又は第3の接続管部に接続され、他端は上記ジョイントパイプを構成する第3又は第2の接続部若しくは上記接続パイプを構成する第3又は第2の接続管部に接続される複数のメインパイプと、からなり、
上記ドレーンパイプ内に侵入した水が上記ジョイントパイプ及びメインパイプ並びに上記接続パイプを介してマンホール内に流入するよう構成されてなることを特徴とする請求項1記載のマンホールの浮上防止構造。
【請求項3】
マンホールの周囲に埋設されてなるとともに通水性を有する複数のドレーンパイプと、
一端はこれらのドレーンパイプの上端又は中途部と接続され、他端はマンホールの側部に形成された貫通穴内に挿通されてなる接続パイプと、を備え、
上記各ドレーンパイプ内に侵入した水が上記接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記接続パイプを介して連結されてなることを特徴とするマンホールの浮上防止構造。
【請求項4】
前記請求項1又は2記載の連結パイプ及び接続パイプ、若しくは前記請求項3記載の接続パイプは、可撓性,伸縮性又は屈曲性を有する素材又は形状とされてなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の何れかのマンホールの浮上防止構造。
【請求項5】
請求項3記載のマンホールの浮上防止構造を施工するためのマンホール浮上防止工法であって、
地盤内に埋設されているマンホールの周囲に、複数のドレーンパイプを埋設する工程(a)と、
上記マンホールの内側から該マンホールの側部に貫通穴を形成するとともに、該マンホールとドレーンパイプとの間の地盤に上記貫通穴に連通した地盤側開口を形成し、さらに該ドレーンパイプの上端側中途部に上記地盤側開口に連通したパイプ側開口を形成する工程(b)と、
上記貫通穴,地盤側開口及びパイプ側開口内に接続パイプを挿通させドレーンパイプとマンホール内とを連通させる工程(c)と、
上記接続パイプの外側に充填材を充填する工程(d)と、
を含むことを特徴とするマンホール浮上防止工法。
【請求項6】
前記工程(b)は、マンホールの内側から、円筒状の切削刃が着脱自在に固定された切削装置を用い、該切削刃により前記マンホールの側部と地盤を切削する工程(b−1)と、上記切削刃を切削装置から取り外して残置させる工程(b−2)と、この切削刃内に残されたマンホールの切れ端及び土砂をマンホールの内側に取り出す工程(b−3)と、上記切削刃内に円筒状の切削刃を挿通して上記ドレーンパイプに前記接続パイプの外径寸法に略対応したパイプ側開口を形成する工程(b−4)と、
を含むことを特徴とする請求項5記載のマンホール浮上防止工法。
【請求項1】
マンホールの周囲に埋設されてなるとともに通水性を有する複数のドレーンパイプと、これらのドレーンパイプの上端又は中途部において該ドレーンパイプに接続固定されてなるとともに該ドレーンパイプと連通してなる連結パイプと、が地盤に埋設されてなるとともに、
上記連結パイプと上記マンホールとは、該マンホールの側部に形成された貫通穴に挿入された接続パイプを介して接続されてなり、
上記ドレーンパイプ内に侵入した水が上記連結パイプ及び接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記連結パイプ及び接続パイプを介して連結されてなることを特徴とするマンホールの浮上防止構造。
【請求項2】
前記接続パイプは、マンホールに接続される第1の接続管部と、第2及び第3の接続管部とを有し略T字状に成形されてなり、
前記連結パイプは、
前記ドレーンパイプに接続される第1の接続部と第2及び第3の接続部とが形成され略T字状に成形された複数のジョイントパイプと、
一端は上記ジョイントパイプを構成する第2又は第3の接続部若しくは上記接続パイプを構成する第2又は第3の接続管部に接続され、他端は上記ジョイントパイプを構成する第3又は第2の接続部若しくは上記接続パイプを構成する第3又は第2の接続管部に接続される複数のメインパイプと、からなり、
上記ドレーンパイプ内に侵入した水が上記ジョイントパイプ及びメインパイプ並びに上記接続パイプを介してマンホール内に流入するよう構成されてなることを特徴とする請求項1記載のマンホールの浮上防止構造。
【請求項3】
マンホールの周囲に埋設されてなるとともに通水性を有する複数のドレーンパイプと、
一端はこれらのドレーンパイプの上端又は中途部と接続され、他端はマンホールの側部に形成された貫通穴内に挿通されてなる接続パイプと、を備え、
上記各ドレーンパイプ内に侵入した水が上記接続パイプを介して上記マンホール内に流入するよう構成されてなるとともに、マンホールと各ドレーンパイプとは上記接続パイプを介して連結されてなることを特徴とするマンホールの浮上防止構造。
【請求項4】
前記請求項1又は2記載の連結パイプ及び接続パイプ、若しくは前記請求項3記載の接続パイプは、可撓性,伸縮性又は屈曲性を有する素材又は形状とされてなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の何れかのマンホールの浮上防止構造。
【請求項5】
請求項3記載のマンホールの浮上防止構造を施工するためのマンホール浮上防止工法であって、
地盤内に埋設されているマンホールの周囲に、複数のドレーンパイプを埋設する工程(a)と、
上記マンホールの内側から該マンホールの側部に貫通穴を形成するとともに、該マンホールとドレーンパイプとの間の地盤に上記貫通穴に連通した地盤側開口を形成し、さらに該ドレーンパイプの上端側中途部に上記地盤側開口に連通したパイプ側開口を形成する工程(b)と、
上記貫通穴,地盤側開口及びパイプ側開口内に接続パイプを挿通させドレーンパイプとマンホール内とを連通させる工程(c)と、
上記接続パイプの外側に充填材を充填する工程(d)と、
を含むことを特徴とするマンホール浮上防止工法。
【請求項6】
前記工程(b)は、マンホールの内側から、円筒状の切削刃が着脱自在に固定された切削装置を用い、該切削刃により前記マンホールの側部と地盤を切削する工程(b−1)と、上記切削刃を切削装置から取り外して残置させる工程(b−2)と、この切削刃内に残されたマンホールの切れ端及び土砂をマンホールの内側に取り出す工程(b−3)と、上記切削刃内に円筒状の切削刃を挿通して上記ドレーンパイプに前記接続パイプの外径寸法に略対応したパイプ側開口を形成する工程(b−4)と、
を含むことを特徴とする請求項5記載のマンホール浮上防止工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−214242(P2006−214242A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30936(P2005−30936)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(505012265)
【出願人】(505048194)
【出願人】(505048024)
【出願人】(505048149)
【出願人】(505048161)
【出願人】(505048057)有限会社テック (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(505012265)
【出願人】(505048194)
【出願人】(505048024)
【出願人】(505048149)
【出願人】(505048161)
【出願人】(505048057)有限会社テック (2)
【Fターム(参考)】
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