説明

マーカーペプチドのレベルを決定することによる脳卒中患者における予後判定及びリスク評価

本発明は、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹った患者の転帰の予測又はリスクを評価するための方法であって、サンプル中の少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルを決定し、ここで、上記マーカーペプチドは、ANP、AVP、ADM、ET-1、トロポニン、CRP、カルシトニン及びhGH若しくはその断片又はその前駆体若しくはその断片を含む群から選ばれ、そして、上記患者についての転帰の予測又はリスクの評価が、上記少なくとも1つのマーカーペプチド、その前駆体又はそれらの断片のレベルに起因する、上記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床診断の分野にある。特に、本発明は、マーカーペプチドのレベルを決定することによる脳卒中患者における転帰予測及びリスク評価に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中は、脳血管疾患により引き起こされる急性の局所神経障害として定義される。脳卒中の2つの主なタイプは、それぞれ約85%及び15%を占める、虚血性及び出血性のものである(Hickey 2003. The clinical practice of neurological and neurosurgical nursing (5th ed.) Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins)。虚血性脳卒中が起こると、脳への血液供給が中断され、そして脳細胞からグルコースと酸素が奪われる。虚血性脳卒中の約45%が小さな又は大きな動脈血栓に起因し、20%は塞栓起源であり、そしてその他は未知の原因による(Hickey 2003. The clinical practice of neurological and neurosurgical nursing (5th ed.) Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins)。
【0003】
(「軽度の脳卒中」としても知られる)一過性脳虚血発作(TIA)は、24時間以内に完全に消散する別個の神経学的症状の突然の発症を特徴とする症候群である。TIAは、高齢世代の0.5〜8%により報告されうる(Bots et al., 1997. Stroke 28(4): 768-73)。TIAを示す患者は、その後の有害事象のリスクが高い。脳卒中の90日リスクは、10%超であり、最も高いリスクは最初の2日以内に発生すると報告されている(Jonston et al, 2003. Neurology 60: 1429-34)。
【0004】
脳卒中は最も重要な血管疾患の一つである。脳卒中は、世界的な死因の第二位にとどまっており、ヨーロッパにおける成人の身体障害及び早期の障害の主な原因の一つである(Murray and Lopez, 1997. Lancet 349: 1269-76; Murray and Lopez 1997. Lancet 349:1498-504)。米国においては、毎年700,000人を超える人が脳卒中を経験し、そのうちの550,000人は最初の脳卒中である(Thom et al. 2006. Heart disease and stroke statistics - 2006 update: A report from the American Heart Association Statistics Committee and Stroke Statistics Subcommittee. Circulation 113: 85-151)。したがって、ヘルスケアの企画立案及び提供に投資されなければならない努力量のゆえに、これは重要な公衆衛生の問題であり、かつヘルスケア提供者及びコミュニティへの大きな負担である。
【0005】
脳卒中の発生率は、われわれの社会における高齢化にともなって著しく増加している(Modan and Wagener, 1992. Stroke 23: 1230-36)。ほとんどの出血性脳卒中が60歳及び70歳の間で現れる一方、ほとんどの虚血性脳卒中は71歳及び80歳の間の年齢で発生している(Colombo et al., 1989. Rivista de Neurologia 59: 1-7)。
【0006】
コンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴断層撮影(MRT)などの神経放射線画像法が脳卒中の診断に使用される。脳出血に起因する急性脳卒中に罹った患者にはCTスキャンが推奨される。しかしながら、この方法は、急性の虚血性発作に罹った患者においては有効性が低い(33%未満の感度)。急性の循環障害の原因を決定するためには、ドップラー超音波検査及びデジタルサブトラクション血管撮影法(DSA)が追加で使用可能である。
【0007】
虚血性脳卒中の治療は、通常、生体機能の支持及びリハビリテーション手段に焦点をあてる。治療法は、血栓を分解すること又はそれを機械的に除去することによる閉塞除去、血栓拡大の最小化及び新たな血栓形成の予防を目的とする。血栓溶解(血栓の分解)は、プラスミノーゲンアクチベーター(tPA又はPLAT)を脳卒中後の最初の3時間以内に投与することによって誘導可能である。低血糖症、片頭痛、脳出血及び一定の脳腫瘍などのいくつかの病態が急性の虚血性脳卒中に類似した症状を有するため、迅速な鑑別診断が必要とされている。
【0008】
治療法は、個別の予後及び/又は更なる脳卒中の個別のリスクなどの患者の個々の状況によって調整される必要もある。
【0009】
所定の間隔後の脳卒中患者についての転帰の予測は、機能的なもの又は個々の生存に関するもののいずれであることもできる。機能転帰の予測のためには、改変ランキングスケール(Ranking Scale)(mRS; Bonita and Beaglehole, 1988. Modification of Ranking Scale: Recovery of motor function after stroke. Stroke 19: 1497-1500)又は国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS; Adams et al., 1999. Baseline NIH Stroke Scale score strongly predicts outcome after stroke: A report of the Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment (TOAST). Neurology 53: 126-31)などの評価システムを用いて所定の時間後の患者の死亡率が判定され、NIHSSは現在の究極の判断基準である。機能転帰は、看護ケアの必要性により又はバーセルインデックス及びランキングスケール(Barthel Index and Ranking Scale)(Collin et al., 1988. The Barthel ADL Index: a reliability study. International Disability Study 10: 61-3; Bonita and Beaglehole, 1988. Modification of Ranking Scale: Recovery of motor function after stroke. Stroke 19: 1497-1500)などによる日常生活動作(ADL)に関しても表されることができる。いくつかのバイオマーカーが、将来の脳卒中などの将来の心血管系事象の指標として報告されている。報告されている有力な脳卒中バイオマーカーは、S-100B(血清タンパク100β;Stranjalis et al., 2007 Acta Neurochir (Wien) 149: 231-7; Foerch et al., 2005. Arch Neurol 62: 1130-4)、NSE(neuronenspezifische Enolase; Anand and Staed 2005. Cerebrovasc Dis 20: 213-9)、GFAP(グリア細胞繊維性酸性タンパク質;Nylen et al., 2007. Stroke 38:1489-94)、CRP(C反応性タンパク質;Di Napoli et al., 2001. Stroke 32: 133-8; Di Napoli et al. 2001. Stroke 32: 917-24)、IL-6(インターロイキン−6;Orion et al. 2008. Eur J Neurol 15: 323-8;Shenhar-Tsarfaty et al., 2007. Thromb Res 122: 167-73)及び血漿フィブリノーゲン(Turaj et al. 2006. J Neurol Sci 246: 13-9)である。
【0010】
N-末端プロBNP(NT-プロBNP)は、虚血性脳卒中後(Jensen et al. 2006. Cerebrovasc Dis 22: 439-44; Sharma et al. 2006. J Stroke Cerebrovasc Dis 15: 121-7; Makikallio et al. 2005. Stroke 36: 1016-20; Yip et al. 2006. Circ J 70: 447-52)及び出血性脳卒中後(Sharma et al., 2006. J Stroke Cerebrovasc Dis 15: 121-7)の個々の生命予後のための独立変数であることが示された。
【0011】
成熟ANP(Estrada et al. 1994. Am J Hypertens 7: 1085-9)及びADM(Hosomi et al. 2004. J Hypertens 22: 1945-51)のレベルが虚血性脳卒中患者のサンプルにおいて決定された。しかしながら、神経学的状態(マシュー改変スケール(Mathew's modified scale))又は転帰とANP濃度の間には相関が示されなかった。
【0012】
脳卒中患者の血液中でET-1濃度の上昇が見られたが、これらのデータの予後的価値を調べてはいない(Ziv et al. 1992 Stroke 23: 1014-6; Alioglu et al. 2002. Angiology 53: 77-82; Giannopoulos et al. 2008. Neurol. Res. 30(7): 727-30)。虚血性脳卒中後の患者においてET-1レベルの上昇が見られたが(Estrada et al. 1994. Am J Hypertens 7: 1085-9)、生存率との間に相関は見出されなかった。
【0013】
急性脳卒中に罹った患者の血清プロカルシトニン(PCT)レベルの調査は、入院の日と第7日におけるレベルの顕著な差を示さなかった(Miyakis et al. 2004. Clin Chim Acta 350: 437-9)。この試験においては、PCTレベルと死亡率又は神経学的転帰との間に相関は見出されなかった。
【0014】
ヒト成長ホルモン(hGH)は、下垂体中のソマトトロピン産生細胞により産生されるポリペプチドである。それは、パルス状に分泌され(24時間サイクルで10〜20拍)、そしてその分泌は、hGH分泌を刺激する成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)及びグレリン、並びに逆調節によってhGH分泌を阻害するソマトスタチンの3つの視床下部ペプチドによって調節されている(Kato et al. 2002. Regulation of human growth hormone secretion and its disorders. Internal Med 41: 7-13)。
【0015】
HGHは、数個の分子アイソフォーム及び断片からなる不均一なものである(Baumann G. 1991. Growth hormone heterogeneity: genes, isohormones, variants and binding proteins. Endocr Rev 12: 424-449)。hGHの4つの主要なアイソフォームがヒト下垂体中で同定されており、アミノ酸数が幅広く、191アミノ酸(87.5%の頻度)、176アミノ酸(8.1%)、153アミノ酸(3.3%)及び145アミノ酸(11%)を含む(Zhan X. et al. 2005. Proteomics and analysis of growth hormone isoforms in the human pituitary. Proteomics 5: 1228-41)。191アミノ酸の形態は、22kDaの分子量を有し、脳下垂体前葉から、アミノ酸残基36〜46を欠く176アミノ酸の形態(20kDaアイソフォーム)とともに分泌される(De Palo E. et al. 2006. Growth hormone isoforms and segments/fragments: molecular structure and laboratory measurements. Clin Chim Acta 365: 65-76)。
【0016】
hGHの分泌は、男性よりも女性においてわずかに高く、最高のレベルは思春期に観察される。分泌は10年ごとに約14%、年齢とともに減少する。さらに、分泌は正常な生理学的及び病態生理学的状態により変動する。hGH分泌の主要な生理学的調節メカニズムは、神経内因性リズム、睡眠、ストレス、運動及び栄養学的及び代謝シグナルであり:hGHレベルは徐波睡眠(典型的には、眠りに落ちた1〜2時間後)の間は高く、そして運動、ストレス、熱、絶食及びいくつかのアミノ酸(ロイシン及びアルギニン)によって増加する。HGHの分泌はインスリン誘導性の低血糖症、L-ドーパ、クロニジン(α2−アドレナリンアゴニスト)、γ−ヒドロキシブチル酸及びβ−アドレナリンブロッキング剤によっても刺激されるが、グルコースの経口投与及び血清の遊離脂肪酸レベルの増加はむしろ、hGH分泌を抑制する。hGH分泌はまた、肥満において及び老化によっても鈍らせられる(Kato et al. 2002. Regulation of human growth hormone secretion and its disorders. Internal Med 41: 7-13における総説)。
【0017】
C反応性タンパク質(CRP)は本来、肺炎球菌のC多糖と反応した、急性の炎症を有する患者血清中の物質として1930年にTillett及びFrancisによって発見された。CRPのベースレベルが上昇している患者が、糖尿病、高血圧及び心臓血管系疾患のリスクが増加していることが示されている(Pradhan et al. 2001. JAMA 286: 327-334; Dehghan. 2007, Diabetes 56: 872)。
【0018】
トロポニンは、骨格筋及び心筋における筋肉収縮に不可欠であるが、平滑筋ではそうでない、3つの調節タンパク質の複合体である。トロポニンは、以下の3つのサブユニット:TnC、TnI及びTnTを有する。個々のサブユニットは異なる機能を果たし、トロポニンC(TnC)はカルシウムイオンに結合してTnIに構造変化をもたらす。トロポニンTは、トロポミオシンに結合し、それらを連結してトロポニン−トロポミオシン複合体を形成させる。トロポニンIは、細いミオフィランメント中のアクチンに結合して、トロポニン−トロポミオシン複合体を正しい位置に保持する。トロポニンの一定のサブタイプ(心臓トロポニンI及びT)は、非常に感受性であり、そして心臓の筋肉(心筋)へのダメージの特異的指標である。血液サンプル中のそれらのレベルは、胸痛を有する患者における不安定狭心症及び心筋梗塞(心臓発作)を鑑別するために使用可能である(Antman et al. 1996. N Engl J Med; 335: 1342-9)。
【発明の概要】
【0019】
発明の要約
本発明の主題は、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹患した患者の転帰の予測のため又はリスクを評価するための改善された方法であって、上記患者のサンプル中の少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルを決定することを含む方法を提供することである。
【0020】
本発明は、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹患した患者の転帰の予測のため又はリスクを評価するための方法であって、以下のステップ:
a) 上記患者からのサンプルを提供し;
b) 上記サンプル中の少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルを決定し、該マーカーペプチドは、ANP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン、トロポニン、CRP及びhGH又はその断片或いはその前駆体又はその断片を含む群から選ばれ:
c) 上記少なくとも1つのマーカーペプチド又はその断片或いはその前駆体又はその断片のレベルと上記患者についての転帰の予測又はリスクの評価を相関させる、
を含む上記方法に関する。
【0021】
本発明はまた、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹患した患者の転帰の予測のため又はリスクを評価するための、本発明の方法の使用にも関する。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹患した患者の転帰の予測のため又はリスクを評価するための方法であって、以下のステップ:
a) 上記患者からのサンプルを提供し;
b) 上記サンプル中の少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルを決定し、該マーカーペプチドは、ANP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン、トロポニン、CRP及びhGH又はその断片或いはその前駆体又はその断片を含む群から選ばれ:
c) 上記少なくとも1つのマーカーペプチド又はその断片或いはその前駆体又はその断片のレベルと上記患者についての転帰の予測又はリスクの評価を相関させる、
を含む上記方法に関する。
【0023】
本発明による好ましいマーカーペプチドは、ANP、BNP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン、トロポニン、CRP(C反応性タンパク質)及びhGHである。特別に好ましいマーカーペプチドは、ANP、BNP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン及びhGHである。これらのペプチドは、それらの起源及び/又は体内の合成場所によって、或いは主要な作用部位によって、或いは機能的な性質によって小集団に分類されることもでき:ANP、BNP及びトロポニン(cT)は心臓血管系ペプチドであり、ET-1及びADMは内皮細胞ペプチドであり、(コペプチンなどを含む)AVP及びhGHは下垂体ペプチドであるが、PCT及びCRPは炎症性ペプチドである。
【0024】
トロポニン及びCRP(C反応性タンパク質)は、タンパク質又はタンパク質複合体、すなわち、ポリペプチド、である。本発明に照らして、それらは示された他のペプチドと同様にマーカーペプチドとも呼ばれる。
【0025】
したがって、本発明に照らして「マーカーペプチド」という用語は、本発明の心臓血管系、炎症性及び/又は下垂体ペプチドに関する。
【0026】
本発明の好ましい実施態様において、上記サンプルは、治療介入前に上記患者から採取されている。本発明の他の好ましい実施態様において、上記サンプルは、治療介入後に上記患者から取得されている。
【0027】
本明細書中の「治療介入前に」、「治療介入前の」及び「治療介入の前に」という用語は、脳卒中又はTIAの治療のための治療介入が開始される前の時間に関する。
【0028】
「治療介入」によって、健康転帰を改変するために使用される任意の医療介入が意味される。この定義は、薬物投与、手術手順、装置の適用、行動療法、ケア方法の変更などを含む。病院に対する患者の許可の上で又は脳卒中又はTIAの診断が確認される前に上記サンプルが採取されることが好ましい。「治療介入後に」、「治療介入後の」及び「治療介入の後に」という用語は、治療介入又は治療が開始された後の時間に関する。
【0029】
本発明の方法又はアッセイの使用によって得られたマーカーのレベルは、当業者に周知の多くの方法によって分析されることができる。例えば、得られた各アッセイ結果は、「正常」値又は特別な病気又は転帰を示す値と比較されることができる。特別な診断/予後は、各アッセイ結果の診断又は予後の「閾値」と呼ばれることのできる値への比較に依存することができる。一定の実施態様においては、1つ以上の診断又は予後のための指標についてのアッセイは、アッセイ中の該指標の存在又は不存在のみによって状態又は疾患に関連付けられる。例えば、着目の特別な閾値濃度より上でのみ陽性のシグナルが発生するように、そして該濃度未満ではアッセイはバックグラウンドより高いシグナルを提供しないように、アッセイが設計可能である。
【0030】
診断用の及び/又は予後用の試験の感度及び特異性は、試験の分析的な「質」に依存するだけでなく、異常な結果を何が構成するのかについての定義にも依存する。実際、受信者動作特性曲線(ROC曲線)は、典型的には、変数値を「正常」(すなわち、明らかに健康な)集団及び「病気」集団におけるその相対頻度に対してプロットすることによって計算される。任意の特別なマーカーに関しては、病気を持つか又は持たない対象についてのマーカーレベルの分布は重複するであろう。かかる条件下では、試験は正常を病気から100%の正確性をもって確実に識別せず、重複領域は、試験が正常を病気から識別できない部分を示す。閾値が選択され、それより上(又は、病気とともにどのようにマーカーが変化するかによって、それより下)で試験は異常であると考えられ、そして、それより下では試験は正常であると考えられる。ROC曲線より下の面積は、認識された測定結果が状態を正確に同定できる可能性の尺度である。ROC曲線は、試験結果が必ずしも正確な数字を与えない場合にも使用可能である。結果をランク付けできる限り、ROC曲線を作成することはできる。例えば、「病気」サンプルに対する試験結果は程度にしたがってランク付けされうる(たとえば、1=低度、2=正常、3=高度)。このランク付けは、「正常」集団における結果及び作成されたROC曲線に相関させられることができる。これらの方法は、本分野において周知である。例えば、Hanley et al., 1982. Radiology 143: 29-36を参照のこと。好ましくは、閾値は、約0.5より大きい、より好ましくは約0.7より大きい、さらに好ましくは約0.8より大きい、さらにより好ましくは約0.85より大きい、そして最も好ましくは約0.9より大きいROC曲線下面積を提供するように選ばれる。これに関連して、「約」という用語は、所与の測定値の±5%を意味する。
【0031】
ROC曲線の横軸は、(1−特異度)を表し、これは、偽陽性の比率とともに増加する。曲線の縦軸は、感度を表し、これは、真陽性の比率とともに増加する。したがって、選択された特別なカットオフ値について、(1−特異度)の値が決定されることができ、そして、対応する感度が得られうる。ROC曲線下面積は、測定されたマーカーレベルが病気又は状態を正確に同定できる可能性の尺度である。したがって、ROC曲線下面積は、試験の有効性を判定するために使用可能である。
【0032】
一定の実施態様においては、対象から得られたマーカーレベルのプロフィールが特別な診断/予後の指標であるかを決定するためには、パネル中の1つ以上のマーカーのための特別な閾値に依存しない。むしろ、本発明は、全体が単一のものとしてのマーカーパネル「プロフィール」の評価を利用することができる。かかるマーカーのパネルにおける変化の特別な「フィンガープリント」パターンは、実際には、特異的な診断又は予後のための指標としての役割を果たす。本明細書において検討されるとおり、変化のそのパターンは、単一サンプルから、又はパネル(又はパネル応答値)の1つ以上のメンバーにおける一時的変化から得られることができる。本明細書におけるパネルは、マーカーの組をさす。
【0033】
本明細書において後に記載されるとおり、パネル応答値は、特別なマーカーのパネルに関してさまざまなカットオフ値での1−(特異度)(すなわち、偽陽性)に対する該マーカーのパネルの感度(すなわち、真陽性)のROC曲線をプロットすることによって決定されることが好ましい。これらの方法においては、対象からのマーカー測定値のプロフィールは、診断又は予後の(数値スコア又はパーセンテージリスクのいずれかで表される)全体的な可能性を提供するために、一緒に考慮される。かかる実施態様においては、一定のマーカー小集団における増加は、1人の患者における特別な診断/予後を示すのに十分であることができるが、一方、異なるマーカー小集団における増加は、他の患者における同じ又は異なる診断/予後を示すのに十分であることができる。パネル中の1つ以上のマーカーに対して重み付け係数が適用されることもでき、例えば、あるマーカーが特別な診断/予後を同定するのに特別に有用性が高い場合、それは、所定のレベルにおいてそれ単独で陽性の結果を示唆するのに十分であるように、重み付けされることができる。同様に、重み付け係数は、特別なマーカーのいかなる所与のレベルも陽性の結果を示唆するのに十分でないが、他のマーカーも分析に寄与する場合にのみ結果を示唆すると定めることができる。
【0034】
一定の実施態様においては、少なくとも約70%の特異度、より好ましくは少なくとも約80%の特異度、さらに好ましくは少なくとも約85%の特異度、さらにより好ましくは少なくとも約90%の特異度、そして最も好ましくは少なくとも約95%の特異度と組み合わせた、少なくとも約70%の感度、より好ましくは少なくとも約80%の感度、さらに好ましくは少なくとも約85%の感度、さらにより好ましくは少なくとも約90%の感度、そして最も好ましくは少なくとも約95%の感度を示すために、マーカー及び/又はマーカーパネルが選択される。特に好ましい実施態様においては、感度及び特異度の両方が、少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%である。これに関連して、「約」という用語は、所与の測定値の±5%を意味する。
【0035】
他の実施態様においては、陽性尤度比、陰性尤度比、オッズ比又はハザード比がリスクを予測するため又は病気を診断するための試験の能力の尺度として使用される。陽性尤度比の場合、1という値は、陽性の結果が「病気」及び「対照」群の両方における対象の間で等しく確からしいということを示し;1を超える値は、陽性の結果が病気の群においてより確からしいということを示し;そして1未満の値は、陽性の結果が対照群においてより確からしいことを示している。陰性尤度比の場合、1という値は、陰性の結果が「病気」及び「対照」群の両方における対象の間で等しく確からしいということを示し;1を超える値は、病気の群において陰性の結果がより確からしいということを示し;そして1未満の値は、陰性の結果が対照群においてより確からしいことを示している。一定の好ましい実施態様においては、マーカー及び/又はマーカーパネルは、好ましくは少なくとも約1.5以上或いは約0.67以下、より好ましくは少なくとも約2以上或いは約0.5以下、さらに好ましくは少なくとも約5以上或いは約0.2以下、さらにより好ましくは少なくとも約10以上或いは約0.1以下、そして最も好ましくは少なくとも約20以上或いは約0.05以下の陽性或いは陰性尤度比を示すように選択される。これに関連して、「約」という用語は、所与の測定値の±5%を意味する。
【0036】
オッズ比の場合、1という値は、陽性の結果が「病気」及び「対照」群の両方における対象の間で等しく確からしいということ;1を超える値は、陽性の結果が病気の群においてより確からしいということ;そして、1未満の値は、陽性の結果が対照群においてより確からしいということを示す。一定の好ましい実施態様においては、マーカー及び/又はマーカーパネルは、好ましくは少なくとも約2以上或いは約0.5以下、より好ましくは少なくとも約3以上或いは約0.33以下、さらに好ましくは少なくとも約4以上或いは約0.25以下、さらにより好ましくは少なくとも約5以上或いは約0.2以下、そして最も好ましくは少なくとも約10以上或いは約0.1以下のオッズ比を示すように選択される。これに関連して、「約」という用語は、所与の測定値の±5%を意味する。
【0037】
ハザード比の場合、1という値は、(死亡などの)エンドポイントの相対的リスクが「病気」及び「対照」群の両方における対象の間で等しく確からしいということ;1を超える値は、上記リスクが病気の群においてより確からしいということ;そして、1未満の値は、上記リスクが対照群においてより確からしいということを示す。一定の好ましい実施態様においては、マーカー及び/又はマーカーパネルは、好ましくは少なくとも約1.1以上或いは約0.91以下、より好ましは少なくとも約1.25以上或いは約0.8以下、さらに好ましくは少なくとも約1.5以上或いは約0.67以下、さらにより好ましくは少なくとも約2以上或いは約0.5以下、そして最も好ましくは少なくとも約2.5以上或いは約0.4以下のハザード比を示すように選択される。これに関連して、「約」という用語は、所与の測定値の±5%を意味する。
【0038】
当業者は、診断又は予後のための指標を、診断又は将来の臨床転帰の予後リスクと関連づけることが統計分析であることを理解するであろう。例えば、Xを超えるマーカーレベルは、統計的有意性のレベルによって判定して、その患者が、X以下のレベルを有する患者よりも有害転帰をわずらう可能性が高いということを示唆することができる。さらに、マーカー濃度のベースラインレベルからの変化は、患者の予後を反映することができ、そしてマーカーレベルの変化の程度は有害事象の重篤度に関連することができる。統計的有意性はしばしば、2つ以上の集団を比較し、そして信頼区間及び/又はp値を決定することによって決定される。例えば、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York, 1983を参照のこと。本発明の好ましい信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%及び99.99%であり、好ましいp値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001及び0.0001である。
【0039】
さらなる他の実施態様においては、診断又は予後のためのマーカーの多重決定が行われることが可能で、マーカーにおける一時的な変化が診断又は予後を決定するために使用可能である。例えば、対象サンプル中のマーカー濃度は、最初の時点で、そして再び第二の対象サンプルから第二の時点で測定されることができる。かかる実施態様においては、最初の時点から第二の時点へのマーカーの増加は、特別な診断又は特別な予後の指標であることができる。同様に、最初の時点から第二の時点へのマーカーの減少は、特別な診断又は特別な予後の指標であることができる。
【0040】
本明細書中で使用される「サンプル」という用語は、患者などの着目の対象の診断、予後又は評価の目的のために得られた体液のサンプルをさす。好ましい試験サンプルは、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰及び胸水を含む。さらに、当業者は、いくつかの試験サンプルが、全血の血清又は血漿成分への分離などの分画又は精製手順後により容易に分析されることを認識するであろう。
【0041】
したがって、本発明の好ましい実施態様においては、サンプルは、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、脳脊髄液サンプル、唾液サンプル及び尿サンプル、又は上記サンプルのいずれかの抽出物を含む群から選ばれる。好ましくは、サンプルは、血液サンプルであり、最も好ましくは、血清サンプル又は血漿サンプルである。
【0042】
本明細書中で使用される「患者」という用語は、病気のために医療ケアを受けているか又は医療ケアを受けるべき生きたヒト又は非ヒト生物をさす。これは、病気の兆候について調査されている、確定した病気を有さないヒトを含む。したがって、本明細書に記載の方法及びアッセイは、ヒト及び獣医学の疾患の両方に適用可能である。
【0043】
診断及び予後マーカーの使用に関連して本明細書中で使用される「相関させる」という用語は、患者におけるマーカーの存在又は量を、所与の状態に罹患していることが知られた又はそのリスクがあることが知られたヒト;または所与の状態に罹患していないことが知られているヒトにおけるその存在又は量に比較することをさす。上記のように、患者サンプル中のマーカーレベルは、特定の診断に関連することが知られているレベルに比較されることができる。サンプルのマーカーレベルは、診断と相関させられてきたと言われており;すなわち、当業者は患者が特定のタイプの診断にかかっているかを判定し、そしてしかるべく応答するためにマーカーレベルを使用することができる。或いは、サンプルのマーカーレベルは、(病気のないことなどの)良好な転帰に結びつくことが知られているマーカーレベルに比較されることができる。好ましい実施態様においては、マーカーパネルのレベルは全体的な可能性又は特別な転帰と相関する。
【0044】
好ましくは、上記転帰又はリスクは、生存及び/又は機能転帰及び/又は脳卒中の再発若しくは一過性脳虚血発作の再発に関する。
【0045】
本発明はまた、患者をリスク群に層化する方法にも関し、該患者は脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹患しており、そして該方法は上記のステップを含む。
【0046】
本発明に照らして、ANPは心房性ナトリウム利尿ペプチド若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片に関する。ANP前駆体の好ましい断片は、中央領域プロANP(MR-プロANP)である。中央領域プロANP(MR-プロANP)は、プロANP又はプロANPのアミノ酸残基53−90を少なくとも含む、その任意の断片と定義される。MR-プロANP53-90は、本発明に照らして特別に好ましいマーカーペプチドである。
【0047】
本発明に照らして、AVPは、アルギニンバソプレッシン(=バソプレッシン)若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片に関する。AVPの前駆体の好ましい断片は、C-末端プロAVP(CT-プロAVP又はコペプチン)である。CT-プロAVP107-145(又はCT-プレ-プロAVP126-164)は、本発明に照らして特別に好ましいマーカーペプチドである。
【0048】
本発明に照らして、ADMは、アドレノメデュリン若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片に関する。ADM前駆体の好ましい断片は、中央領域プロADM(MR-プロADM)である。MR-プロADM24-71(又はMR-プレ-プロADM45-92)は、本発明に照らして特別に好ましいマーカーペプチドである。
【0049】
本発明に照らして、ET-1は、エンドセリン1若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片に関する。ET-1の前駆体の好ましい断片は、C-末端プロET1(CT-プロET1)である。CT-プロET-1151-195(又はCT-プレ-プロET-1168-212)は、本発明に照らして特別に好ましいマーカーペプチドである。
【0050】
本発明に照らして、カルシトニンはその断片又は前駆体若しくはその断片にも関する。カルシトニンの好ましい前駆体は、プロカルシトニン(PCT)である。本発明に照らして、PCTは、アミノ酸1〜116、2〜116、又は3〜116を含むプロカルシトニン或いはその断片に関する。プロカルシトニンは、グリコシル化、リポシド化(liposidation)又は誘導体化などの翻訳後修飾を含むことができる。
【0051】
本発明に照らして、hGHは、ヒト成長ホルモン若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片に関する。hGHは、本発明に照らして、特別に好ましい下垂体ペプチドである。
【0052】
マーカーペプチドの「断片」は、長さが少なくとも12アミノ酸、好ましくは少なくとも6アミノ酸残基の断片に関する。
【0053】
さらに、本発明は、脳卒中又は一過性脳虚血発作を有することが疑われる患者或いは脳卒中又は一過性脳虚血発作に少なくとも類似する症状を示す患者を診断する方法に関し、該方法は、以下のステップ:
a.上記患者からのサンプルを提供し、
b.上記サンプル中の少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルを決定し、該マーカーペプチドは、ANP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン及びhGH若しくはその断片又はその前駆体若しくはその断片を含む群から選ばれ、
c.上記少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルに基づいて、上記患者が脳卒中又は一過性脳虚血発作にかかっているかを判定する、
を含む。
【0054】
脳卒中又は脳卒中に類似した症状は、例えば、顔の片麻痺、筋力低下、無感覚及び知覚又は振動感覚の減退を含む。ほとんどの場合、症状は、体の片側のみに影響を及ぼす(片側性)。脳卒中の原因によって、症状は、以下の症状:嗅覚、味覚、聴覚又は視覚の(全体又は部分的)変化、まぶたの下垂(眼瞼下垂)、及び眼筋の筋力低下、(息を吐くこと、飲み込むこと、光に対する瞳の反応性などの)反射の低下、顔面の感覚低下及び筋肉の筋力低下、平衡感覚障害及び眼振、呼吸数及び心拍数の変化、片側に頭を回転することができなくなる胸鎖乳突筋の筋力低下、舌筋の筋力低下(突き出し及び/又は一つの側から他の側への動きのできないこと)、失語症(ブローカ野またはウェルニッケ野の障害による言語を話すこと又は理解することができないこと)、失行症(随意運動の変化)、視野欠損、記憶障害(側頭葉の障害)、半側無視(頭頂葉の障害)、支離滅裂な思考、混乱、性欲過剰のジェスチャー(前頭葉の障害を伴う)、疾病失認(通常は脳卒中に関連した障害の存在を持続的に否認すること)、歩行困難、運動協調の変化、めまい及び平衡機能障害のうちの1つ以上を含むこともできる。
【0055】
好ましくは、上記少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルは、虚血性脳卒中又は出血性脳卒中又は一過性脳虚血発作のいずれかを原因とする。本発明に照らして、「レベル」という用語は、患者から採取されたサンプル中のマーカーペプチドの(好ましくは、重量/体積;w/vとして表される)濃度に関する。
【0056】
上記で概説されたとおり、本発明のマーカーペプチドは、その断片又はその前駆体ペプチド若しくはその断片にも関する。マーカーペプチドは、プロホルモン又はプレプロホルモン又はその断片、特に、プロホルモン及びその断片も含む。好ましくは、本発明に照らして、ANPはプロANPであり、最も好ましくは、MR-プロANPである。好ましくは、AVPはプロAVPであり、より好ましくは、CT-プロAVPであり、最も好ましくは、CT-プロAVP107-145及びその断片である。好ましくは、ADMは、プロADMであり、より好ましくはMR-プロADMであり、最も好ましくは、MR-プロADM24-71及びその断片である。好ましくは、ET-1は、プロET-1であり、より好ましくはCT-プロET-1であり、最も好ましくは、CT-プロET-1151-195及びその断片である。好ましくは、カルシトニンは、PCT1-116及びその断片である。
【0057】
本発明の1つの好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、ANP、AVP、ADM、ET-1及びカルシトニンを含む群から選ばれる。
【0058】
本発明の他の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、ANP、AVP、ADM、ET-1及びhGHを含む群から選ばれる。
【0059】
本発明の他の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、ANP、AVP、ADM及びET-1を含む群から選ばれる。
【0060】
本発明の他の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、ANP、AVP及びADMを含む群から選ばれる。
【0061】
本発明のさらに他の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、ANP及びADMを含む群から選ばれる。
【0062】
本発明のさらに他の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、ANP、ADM、ET-1、カルシトニン及びhGHを含む群から選ばれる。
【0063】
本発明のさらに他の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、ANP、ADM及びET-1を含む群から選ばれる。
【0064】
本発明の特に好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、MR-プロANP、C-末端プロAVP(コペプチン)、MR-プロADM、CT-プロET-1、PCT及びhGHを含む群から選ばれる。
【0065】
本発明の他の特に好ましい実施態様においては、マーカーぺプチドは、MR-プロANP、MR-プロADM及びCT-プロET-1を含む群から選ばれる。
【0066】
本発明の他の好ましい実施態様においては、マーカーぺプチドは、MR-プロANP、C-末端プロAVP(コペプチン)、MR-プロADM及びCT-プロET-1を含む群から選ばれる。
【0067】
本発明のさらに他の好ましい実施態様においては、マーカーぺプチドは、MR-プロANP、MR-プロADM、PCT及びhGHを含む群から選ばれる。
【0068】
本発明のさらに他の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、MR-プロANP、C-末端プロAVP(コペプチン)、MR-プロADM、CT-プロET-1及びhGHを含む群から選ばれる。
【0069】
本発明のさらに他の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドは、MR-プロANP、MR-プロADM、CT-プロET-1、PCT及びhGHを含む群から選ばれる。
【0070】
本発明の方法の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドはプロANPである。好ましくは、マーカーペプチドのレベルは、中央領域プロANPを検出することによって決定される。
【0071】
本発明の方法の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドはプロAVPである。好ましくは、マーカーペプチドのレベルはC-末端プロAVPを検出することによって決定される。
【0072】
本発明の方法の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドはプロADMである。好ましくは、マーカーペプチドのレベルは中央領域プロADMを検出することによって決定される。
【0073】
本発明の方法の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドはプロET-1である。好ましくは、マーカーペプチドのレベルはC-末端プロET-1を検出することによって決定される。
【0074】
本発明の方法の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドはPCTである。好ましくは、マーカーペプチドのレベルはPCTを検出することによって決定される。
【0075】
本発明の方法の好ましい実施態様においては、マーカーペプチドはhGHである。好ましくは、マーカーペプチドのレベルはhGHを検出することによって決定される。
【0076】
本発明の好ましい実施態様においては、2つ以上の心臓血管マーカーの組み合わせが使用される。本明細書においては、好ましくは、第2の又はさらなる心臓血管マーカーは、ANP、BNP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン及びhGHを含む群から選ばれる。
【0077】
場合により、BMP若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片のレベルがさらに決定される。
【0078】
本発明に照らして、BNPは、脳性ナトリウム利尿ペプチド若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片に関する。BNP前駆体の好ましい断片は、N-末端プロBNP(NT-プロBNP)である。NT-プロBNPは、本発明に照らして特に好ましいマーカーペプチドである。
【0079】
本発明の好ましい実施態様においては、1つ以上の心臓血管マーカーのレベルが決定され、そして、各マーカーについての結果が、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹患した患者の転帰の予測又はリスクの評価のために異なる重み付けをされる。2つ以上のマーカーペプチドの組のレベルが決定されることが特に好ましく、2つのマーカーペプチドの組のレベルが決定されることが最も好ましい。
【0080】
患者の転帰の予測又はリスク評価のためのサンプル中の1つ以上のマーカーペプチドのレベルの決定は、単一のマーカーに比べてより高い蓋然性に導く。
【0081】
本発明の特別な実施態様は、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹っている患者の転帰の予測又はリスク評価のための本発明の方法に関し、ここで、少なくとも2つのマーカーペプチドのレベルが決定され、そして各マーカーペプチドは、心臓ペプチド、内皮細胞ペプチド、下垂体ペプチド及び炎症性ペプチドを含む群から選ばれる、ペプチドの異なる小集団から選ばれ、ここで、心臓ペプチドは、ANP、BNP及びトロポニン(cT)を含む群から選ばれ、内皮細胞ペプチドは、ET-1及びADMを含む群から選ばれ、下垂体ペプチドは、AVP及びhGHを含む群から選ばれ、炎症性ぺプチドは、PCT及びCRPを含む群から選ばれる。
【0082】
他の好ましい実施態様においては、サンプル中の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのマーカーペプチドのレベルが決定される。
【0083】
最も好ましくは、少なくとも2つのマーカーペプチドの組のレベルが決定され、そして、該少なくとも2つのマーカーペプチドの組は、以下の:心臓血管ペプチド:ANP及びAVP、ANP及びADM、ANP及びET-1、ANP及びカルシトニン、ANP及びhGH、ADM及びET-1、ADM及びカルシトニン、ADM及びhGH、ET-1及びカルシトニン、ET-1及びhGH、並びにカルシトニン及びhGHを含む群から選ばれる。しかしながら、本発明のいくつかの実施態様においては、2つの心臓血管ペプチドの組に加えて、第3の又はさらなるマーカーペプチドのレベルが決定される。
【0084】
1つの好ましい実施態様においては、ANP及びADMのレベルが決定される。好ましくは、MR-プロANP及びMR-プロADMのレベルが決定される。
【0085】
他の好ましい実施態様においては、ANP及びET-1のレベルが決定される。好ましくは、MR-プロANP及びCT-プロET-1のレベルが決定される。
【0086】
他の好ましい実施態様においては、ANP及びカルシトニンのレベルが決定される。好ましくは、MR-プロANP及びPCTのレベルが決定される。
【0087】
他の好ましい実施態様においては、ANP及びhGHのレベルが決定される。好ましくは、MR-プロANP及びhGHのレベルが決定される。
【0088】
他の好ましい実施態様においては、ANP及びBNPのレベルが決定される。好ましくは、MR-プロANP及びNT-プロBNPのレベルが決定される。
【0089】
他の好ましい実施態様においては、ADM及びET-1のレベルが決定される。好ましくは、MR-プロADM及びCT-プロET-1のレベルが決定される。
【0090】
他の好ましい実施態様においては、ADM及びカルシトニンのレベルが決定される。好ましくは、MR-プロADM及びPCTのレベルが決定される。
【0091】
他の好ましい実施態様においては、ADM及びhGHのレベルが決定される。好ましくは、MR-プロADM及びhGHのレベルが決定される。
【0092】
他の好ましい実施態様においては、ADM及びBNPのレベルが決定される。好ましくは、MR-プロADM及びNT-プロBNPのレベルが決定される。
【0093】
他の好ましい実施態様においては、ET-1及びカルシトニンのレベルが決定される。好ましくは、CT-プロET-1及びPCTのレベルが決定される。
【0094】
他の好ましい実施態様においては、ET-1及びhGHのレベルが決定される。好ましくは、CT-プロET-1及びhGHのレベルが決定される。
【0095】
他の好ましい実施態様においては、ET-1及びBNPのレベルが決定される。好ましくは、CT-プロET-1及びNT-プロBNPのレベルが決定される。
【0096】
他の好ましい実施態様においては、PCT及びhGHのレベルが決定される。好ましくは、PCT及びhGHのレベルが決定される。
【0097】
他の好ましい実施態様においては、PCT及びBNPのレベルが決定される。好ましくは、PCT及びNT-プロBNPのレベルが決定される。
【0098】
他の好ましい実施態様においては、hGH及びBNPのレベルが決定される。好ましくは、hGH及びNT-プロBNPのレベルが決定される。
【0099】
1つの特別な実施態様においては、入院の最初の日(第0日)、そして入院後の第1日、第2日、第3日、第4日、第5日、第6日、第7日、第8日、第9日又は第10日に少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルが決定される。好ましくは、少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルが、入院後の第0日、第1日、第3日、そして第5日に決定される。より好ましくは、少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルが、入院後の第0日及び第5日に決定される。他の好ましい実施態様においては、少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルが、治療介入前及び治療介入後に決定される。より好ましくは、少なくとも1つのマーカーペプチドのレベルが、治療介入前及び第5日に決定される。1つ以上のマーカーペプチドのレベルが決定されるときは常にサンプルが患者から採取される。
【0100】
本発明の特別な実施態様においては、上記患者からのサンプルが、第0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び/又は10日に採取され、そして、上記サンプル中の1つ以上のマーカーペプチドのレベルが測定され、そして、上記患者の転帰の予測又はリスク評価のために使用されるか、或いは上記患者が脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹患しているか否かを判定するために使用される。
【0101】
本発明に照らして、NOGO受容体、RNA結合タンパク質調節サブユニット、ユビキチン融合分解タンパク1ホモログ、β−キメリン、ヌクレオシド二リン酸キナーゼA、及びニトロチロシンからなる群から選ばれるマーカー、或いはそれに関連する1つ以上のマーカーの存在又は量がサンプル中で決定されないことが特別に好ましい。本明細書に照らして、「関連マーカー」という用語は、マーカー自身の代わりとして検出されうる特別なマーカーの1つ以上の断片をさす。これらの関連マーカーは、例えば、マーカーの「プレ」、「プロ」、又は「プレプロ」形態、或いは、成熟マーカーを形成するために除去される「プレ」、「プロ」、又は「プレプロ」断片であることができる。
【0102】
好ましい実施態様によれば、NIHSS、バーセルインデックス及びmRSを含む群から選ばれる1つ以上の共変量をさらに考慮する多変量解析を用いて判定が実施される。
【0103】
本明細書中の「転帰」という用語は、例えば、5日後、4週間後、3ヶ月後、1年後などの定義された時間の後又は脳卒中再発後の患者の生存、或いは機能転帰に関する。最も好ましくは、脳卒中又はTIAの3ヶ月後の転帰が予測される。
【0104】
本明細書に照らして、「機能転帰」という用語は、病気の重さの程度、すなわち、5日、4週間、3ヶ月又は1年後などの定義された時間後の患者の健康状態、好ましくは脳卒中又は脳卒中様の症状に関する健康状態に関する。最も好ましくは、脳卒中又はTIAの3ヶ月後の機能転帰が予測される。
【0105】
本発明に照らして、機能転帰が、転帰の重篤度の等級付け又は程度として決定されることが好ましい。機能転帰は、看護ケアの必要性の観点から、又はバーセルインデックス、NIHSS及び改変ランキングスケールなどによる日常生活動作(ADL)に関して表現されることもできる。
【0106】
さらに、本発明はまた、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹っている患者の転帰の予測のため又はリスク評価のためのキットにも関し、該キットは、ANP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン、トロポニン、CRP及びhGHを含む群から選ばれるマーカーペプチド若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片に対する1つ以上の捕捉プローブ(好ましくは、抗体又はその機能的断片)を含む。該キットは、場合により、BNPに対する捕捉プローブ(好ましくは、抗体又はその機能的断片)を含むことができる。該キットは、さらに、緩衝液などの検出に必要な試薬を含むことができる。さらに、キットは、1つ以上の標準サンプル、すなわち、定義された濃度の1つ以上のマーカーペプチドの1つ以上のサンプル、も含むことができる。
【0107】
好ましくは、該キットは、捕捉プローブがそれに対する少なくとも2つのマーカーペプチド若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片の組み合わせを含み、該組み合わせは、以下の:MR-プロANP及びMR-プロADM、MR-プロANP及びCT-プロET-1、MR-プロADM及びCT-プロET-1、MR-プロANP及びhGH、hGH及びMR-プロADM、hGH及びCT-プロET-1、MR-プロANP及びPCT、MR-プロADM及びPCT、CT-プロAVP及びPCT、CT-プロET-1及びPCT、hGH及びPCTを含む群から選ばれる。
【0108】
本発明はまた、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹っている患者の転帰の予測のため又はリスク評価のための本発明の方法又は本発明のキットの使用にも関する。
【0109】
本発明はまた、脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹っている患者における治療のモニタリングのための本発明の方法の使用にも関する。
【0110】
本発明はまた、上記対象において、好ましくは脳卒中又はTIAの最初の症状後の24時間以内に、虚血性脳卒中、出血性脳卒中及び/又は一過性脳虚血発作を鑑別診断するための本発明の方法の使用にも関する。該方法又はキットは、虚血性脳卒中を出血性脳卒中から識別するため、又は虚血性及び/又は出血性脳卒中を一過性脳虚血発作から識別するために使用されることが特別に好ましい。これに照らして好ましい単一のマーカーは、ANP、特にMR-プロANP、AVP、特にコペプチン、ADM、特にMR‐プロADM、ET-1、特にCT-プロET-1、PCT及びhGHである。2つ以上の本発明のマーカーペプチドの組み合わせもこれに照らして使用されることができる。特別に好ましい組み合わせは、MR-プロANP及びMR-プロADM、MR-プロANP及びCT-プロET-1、MR-プロADM及びCT-プロET-1、MR-プロANP及びhGH、hGH及びMR-プロADM、hGH及びCT-プロET-1、MR-プロANP及びPCT、MR-プロADM及びPCT、CT-プロAVP及びPCT、CT-プロET-1及びPCT、hGH及びPCTを含む。
【0111】
本明細書のマーカーペプチドのレベルの決定(又は測定又は検出)は、以下に説明する検出方法及び/又は診断アッセイを用いて実施される。
【0112】
本明細書中で言及するとおり、「アッセイ」又は「診断アッセイ」は、診断分野で適用される任意の種類のものであることができる。かかるアッセイは、検出される分析物の1つ以上の捕捉プローブへの一定の親和性による結合に基づくことができる。捕捉分子と標的分子又は着目の分子の間の相互作用を考慮すると、親和定数は好ましくは108M-1超である。
【0113】
本発明に照らして、「捕捉分子」は、サンプルからの標的分子又は着目の分子、すなわち、分析物(すなわち、本発明に照らして心臓血管ペプチド)、を結合するために使用されうる分子である。したがって、捕捉分子は、標的分子又は着目の分子に特異的に結合するために、空間的に及び、表面電荷、疎水性、親水性、ルイス供与体及び/又は受容体の存在又は不存在などの表面の特徴の両方に関して適切に形作られなければならない。これによって、結合は、捕捉分子と標的分子又は着目の分子間の、例えば、イオン性、ファンデルワールス、π−π、σ−π、疎水性又は水素結合相互作用、或いは上記の相互作用の2つ以上の組み合わせであることができる。本発明に照らして、捕捉分子は例えば、核酸分子、炭化水素分子、RNA分子、タンパク質、抗体、ペプチド又は糖タンパク質を含む群から選ばれることができる。好ましくは、捕捉分子は、標的又は着目の分子に対する十分な親和性を有するその断片、及び組換え抗体又は組換え抗体断片を含む抗体、並びに少なくとも12アミノ酸の長さを有するその変異鎖に由来する、上記抗体又は断片の化学的及び/又は生化学的に修飾された誘導体である。
【0114】
好ましい検出方法は、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光及び蛍光イムノアッセイ、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ルミネックスベースのビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、及びストリップイムノクロマトグラフィーテストなどの迅速試験フォーマットなどの多様なフォーマットのイムノアッセイを含む。
【0115】
アッセイは、ホモジニアス又はヘテロジニアスアッセイ、競合及び非競合サンドイッチアッセイであることができる。特別に好ましい実施態様においては、アッセイはサンドイッチアッセイの形態であり、これは、非競合イムノアッセイであって、検出及び/又は定量される分子が第一抗体に結合し、そして第二抗体に結合する。第一抗体は、ビーズ、ウエル又は他の容器の表面、チップ又はストリップなどの固相に結合することができ、そして、第二抗体は、色素、放射性同位体、又は反応性若しくは触媒性の活性部位で標識された抗体である。そして、分析物に結合した標識抗体の量が適切な方法で測定される。「サンドイッチアッセイ」に関する一般的構成及び手順は、確立されており、当業者に知られている(参考文献として本明細書に組み込まれている、The Immunoassay Handbook, Ed. David Wild, Elsevier LTD, Oxford; 3rd ed. (May 2005), ISBN-13: 978-0080445267; Hultschig C et al., Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb; 10(1):4-10. PMID: 16376134)。
【0116】
特別に好ましい実施態様においては、アッセイは2つの捕捉分子を含み、好ましくはどちらも液体反応混合物中の分散系として存在し、ここで、第一の標識成分が第一捕捉分子に結合し、ここで、該第一の標識成分が蛍光又は化学発光−消光又は増幅に基づく標識システムの一部であり、そして、両捕捉分子が分析物に結合すると、サンプルを含む溶液中で形成されたサンドイッチ複合体の検出を可能とする測定可能なシグナルが生成されるように、上記マーキングシステムの第二の標識成分が第二捕捉分子に結合される。
【0117】
さらに好ましくは、上記標識システムが、蛍光色素又は化学発光色素、特別にはシアニンタイプの色素とともに希土類クリプテート又は希土類キレートを含む。
【0118】
本発明に照らして、蛍光ベースのアッセイは、色素の使用を含み、それは、例えば、FAM(5−又は6−カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、IRD-700/800、CY3、CY5、CY3.5、CY5.5、Cy7などのシアニン色素、キサンテン、6−カルボキシ−2‘,4’,7‘,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6−カルボキシ−4’,5‘−ジクロロ−2’,7‘−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N‘−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5)、6−カルボキシローダミン−6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIPY TMRなどのBODIPY色素、オレゴングリーン、ウンベリフェロンなどのクマリン、Hoechst 33258などのベンズイミド;テキサスレッドなどのフェナンスリジン、ヤキマイエロー、アレクサフルオル、PET、エチジウムブロミド、アクリジニウム色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメシン色素などを含む群から選ばれることができる。
【0119】
本発明に照らして、化学発光ベースのアッセイは、本明細書中に参考文献として組み込まれている、Kirk-Othmer, Encyclopedia of chemical technology, 4th ed. executive editor, J.I. Kroschwitz; editor, M. Howe-Grant, John Wiley & Sons, 1993, vol.15, p.518-562(551-562頁の引用を含む)中の化学発光材料について記載された物理学的原理に基づく、色素の使用を含む。好ましい化学発光色素はアクリジニウムエステルである。
【0120】
患者のサンプル中の1つ以上のマーカーペプチド(若しくはその断片又は前駆体若しくはその断片)のレベル、すなわち濃度は、患者についての転帰の予測又はリスク評価によるものである。例えば、ある閾値を越えるマーカーペプチドの濃度は、患者についての有害転帰又はリスク上昇の指標である。かかる閾値は、MR-プロANPに関しては、約100〜300pmol/lであることが好ましく、より好ましくは、250pmol/l、最も好ましくは188pmol/lであり;コペプチンに関しては、約10〜40pmol/lであることが好ましく、より好ましくは15pmol/l、最も好ましくは20.3pmol/lであり;MR-プロADMに関しては、約0.4〜1.0nmol/lであることが好ましく、より好ましくは0.5nmol/l、最も好ましくは0.67nmol/lであり;CT-プロ-ET-1に関しては、約50〜120pmol/lであることが好ましく、より好ましくは75pmol/lであり、最も好ましくは98.3pmol/lであり;PCTに関しては、約0.01〜0.06ng/mlであることが好ましく、より好ましくは0.015ng/ml、最も好ましくは0.026ng/mlであり;hGHに関しては、約0.25〜1.0ng/mlであることが好ましく、より好ましくは0.5ng/ml、最も好ましくは0.34ng/mlであり;NT-プロBNPに関しては、約250〜500pg/mlであることが好ましく、より好ましくは450pg/ml、最も好ましくは370pg/mlである。
【0121】
好ましくは、本発明においてはPCTアッセイ(例えば、PCT感受性アッセイ、B.R.A.H.M.S. AG、Hennigsdorf、Germany)が使用される。好ましくは、本発明においては、PCTアッセイは0.05ng/ml以下の実効感度を有する。
【0122】
これは、本発明の方法の1つの実施態様においては、患者のサンプル中のPCTレベルが高感度で測定されることを意味する(すなわち、0.05ng/ml、好ましくは0.02ng/mlの感度)。これに関連して、好ましくは、PCTのレベルは患者の生命予後と相関する。
【0123】
本発明の他の実施態様においては、患者の個々のマーカーペプチドレベルを健康な集団の一定のパーセンタイル(例えば、97.5パーセンタイル)に関連付けることによって、患者についてのリスク及び/又は転帰が判定される。
【0124】
(出血性及び/又は虚血性)脳卒中のTIAからの鑑別診断のための好ましい閾値は、MR-プロANPについては約90〜約140pmol/lの範囲内、コペプチンについては約9.5〜約11.5pmol/lの範囲内、MR-プロADMについては約0.5〜約0.8nmol/lの範囲内、CT-プロ-ET-1については約65〜約90pmol/lの範囲内、PCTについては約0.0230〜約0.0260ng/mlの範囲内、そしてhGHについては約0.10〜約0.3ng/mlの範囲内にあり、ここで、閾値未満の値はTIAの指標であり、閾値超の値は脳卒中の指標である。鑑別診断のための例示的な閾値は、実施例11の表25にも示される。
【0125】
生存率分析(Cox回帰及びハザード比)及びカプラン−マイヤー推定法は、カットオフ超又は未満などのペプチドレベルを有する患者の転帰の予測又はリスク(例えば、死亡率)の評価のために使用されることができる。脳卒中又はTIAの3、4又は12ヵ月後などの死亡率が、あるカットオフ値を超えるペプチドレベルを有する患者についてのリスクの増加を表す、ハザード比によって評価されることができる。脳卒中の再発又はTIAの再発が脳卒中又はTIA後の観察期間内にそれぞれ発生するリスクの増加は、オッズ比及びクロス集計などによって判定されることができる。
【0126】
1つ以上のマーカーペプチドの入院日と入院後の一定時(例えば、入院5日後)におけるそれぞれのレベルの比較から、3、4、12ヶ月後の生存可能性などの転帰/リスクが、カットオフ超又は未満などのペプチドレベルを有する患者についてのカプラン−マイヤー推定法及びハザード比を用いて予測されることができる。
【0127】
一般に、各カットオフ超の値を有するペプチドレベルの数を数えることによって、1つ以上のマーカーペプチドのレベルの決定された値が、患者についての転帰及びリスクの評価のために使用されることができる。カットオフを超えるペプチドレベルが多いほど、患者のリスクは高くなる。カプラン−マイヤー推定法は、死亡率を予測するために使用可能であり、オッズ比は脳卒中の再発又はTIAの再発の予測についてのリスク増加を表すために適用可能である。
【0128】
上記のとおり、マーカーペプチドの決定されたレベルは、本発明にしたがって、バーセルインデックス、NIHSS又は改変ランキングスケールとして表されるなどの機能転帰に関して表現されることができる。ボックスプロット(転帰によるペプチドレベル)、受信者動作特性(ROC)分析及びオッズ比などを用いて、ペプチドレベルは将来の機能転帰を予測するために使用可能である。
【0129】
本発明の方法及びキットは、患者が脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹患しているかを、上記少なくとも1つの心臓血管ペプチドのレベルに基づいて判定するためにも使用されることができる。これに関して、サンプルは好ましくは治療介入前に採取される。
【0130】
配列
アドレノメデュリンの前駆体ペプチド(プレ−プロ−アドレノメデュリン)のアミノ酸配列が配列番号:1に示される。プロ−アドレノメデュリンは、プレ−プロ−アドレノメデュリンの配列のアミノ酸残基22〜185に関連する。プロ−アドレノメデュリン(プロ-ADM)のアミノ酸配列は、配列番号:2に示される。プロ-ADM N-末端20ペプチド(PAMP)は、プレ−プロADMのアミノ酸残基22〜41に関連する。PAMPのアミノ酸配列は配列番号:3に示される。MR-プロ-アドレノメデュリン(MR-プロ-ADM)は、プレ−プロ−ADMのアミノ酸残基45〜92に関連する。MR-プロ-ADMのアミノ酸配列は、配列番号:4に示される。成熟アドレノメデュリン(ADM)のアミノ酸配列は、配列番号:5に示される。
【0131】
ANPのアミノ酸配列が配列番号:8に示される。153アミノ酸のプレ−プロ−ANPの配列が配列番号:6に示される。N-末端シグナルペプチド(25アミノ酸)及び2つのC-末端アミノ酸(127/128)の切断により、プロANP(配列番号:7)が放出される。ANPは、前駆体プロホルモンであるプロ−ANPのC-末端からの残基99〜126を含む。このプロホルモンは、ANP(1−28)又はα‐ANPとしても知られる成熟28アミノ酸ペプチドANP及びアミノ末端断片ANP(1−98)(NT-プロANP、配列番号:9)に切断される。中央領域プロANP(MR-プロANP)は、NT-プロANP又はプロANPのアミノ酸残基53−90(配列番号:10)を少なくとも含む任意のその断片として定義される。C-末端の2つのアルギニン残基(プレ‐プロ‐ANP、配列番号:6、中の152及び153位)は、プレ‐プロ‐ANPをコードする遺伝子の他の対立遺伝子中には存在せず、したがって、プレ‐プロ‐ANPは、残基1〜151のみを含むことができる。もちろん、これはプレ‐プロ‐ANPの各断片にも当てはまり、特に、プロ‐ANP及びコペプチンは、これらの2つのC-末端アルギニンを含んでも含まなくても良い。
【0132】
164アミノ酸のバソプレッシンの前駆体ペプチド(プレ‐プロ‐バソプレッシン)の配列が配列番号:11に示される。プロ‐バソプレッシンは、プレ‐プロ‐バソプレッシンの配列のアミノ酸残基29〜164に関する。プロ‐バソプレッシンのアミノ酸配列が配列番号:12に示される。プロ‐バソプレッシンは、成熟バソプレッシン、ニューロフィシンII及びC-末端プロバソプレッシン(CT-プロAVP又はコペプチン)に切断される。バソプレッシンは、プレ‐プロ‐バソプレッシンのアミノ酸残基20〜28に関する。バソプレッシンのアミノ酸配列が配列番号:13に示される。コペプチンは、プレ‐プロ‐バソプレッシンのアミノ酸残基126〜164に関する。コペプチンのアミノ酸配列が配列番号:14に提供される。ニューロフィシンIIは、プレ‐プロ‐バソプレッシンのアミノ酸残基32〜124を含み、その配列が配列番号:15に示される。
【0133】
エンドセリン‐1の212アミノ酸前駆体ペプチド(プレ‐プロ‐エンドセリン‐1)の配列が配列番号:16に示される。プロ‐ET-1は、プレ‐プロ‐ET-1の配列のアミノ酸残基18〜212に関する。プロ‐ET-1のアミノ酸配列が配列番号:17に示される。プロ‐ET-1は、成熟ET-1、ビッグエンドセリン-1及びC末端プロET-1(CT-プロET-1)に切断される。ET-1は、プレ‐プロ‐ET-1のアミノ酸残基53〜73に関する。ET-1のアミノ酸配列が配列番号:18に示される。CT-プロET-1は、プレ‐プロ‐ET-1のアミノ酸残基168〜212に関する。CT-プロET-1のアミノ酸配列が配列番号:19に提供される。ビッグエンドセリン‐1は、プレ‐プロ‐ET-1のアミノ酸残基53〜90を含み、そしてその配列が配列番号:20に示される。
【0134】
カルシトニンの141アミノ酸前駆体ペプチド(プレ‐プロ‐カルシトニン)の配列が配列番号:21に示される。プロカルシトニン(PCT)は、プレ‐プロ‐カルシトニン配列のアミノ酸残基26〜141に関する。PCTのアミノ酸配列が配列番号:22に示される。プロカルシトニンは、N-末端PCT、カルシトニン及びカタカルシンに切断される。N-末端PCTは、アミノ酸26〜82を含み、その配列が配列番号:23に示される。カルシトニンは、アミノ酸残基85〜116に関し、その配列が配列番号:24に示される。アミノ酸残基121〜141を含むカタカルシンの配列が、配列番号:25に提供される。
【0135】
脳性ナトリウム利尿ペプチドの134アミノ酸前駆体ペプチド(プレ‐プロ‐BNP)の配列が配列番号:26に示される。プロ‐BNPは、プレ‐プロ‐BNPのアミノ酸残基27〜134に関する。プロ‐BNPの配列が配列番号:27に示される。プロ‐BNPは、N-末端プロ‐BNP(NT-プロ-BNP)及び成熟BNPに切断される。NT-プロ-BNPは、アミノ酸残基27〜102を含み、その配列が配列番号:28に示される。配列番号:29は、プレ‐プロ‐BNPペプチドのアミノ酸残基103〜134を含むBNPの配列を示す。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
【表3】

【0139】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】治療介入前に測定した高レベル(破線)及び低レベル(実線)のMR-プロANPを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット(4ヶ月以内の生存患者の比率)。
【図2】治療介入前に測定した高レベル(破線)及び低レベル(実線)のMR-プロADMを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図3】治療介入前に測定した高レベル(破線)及び低レベル(実線)のCT-プロET-1を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図4】治療介入前に測定した高レベル(破線)及び低レベル(実線)のCT-プロAVPを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図5】治療介入前に測定した高レベル(破線)及び低レベル(実線)のPCTを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図6】治療介入前に測定した高レベル(破線)及び低レベル(実線)のhGHを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図7】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロANP及びCT-プロAVP(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図8】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロANP及びMR-プロADM(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図9】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロANP及びCT-プロET-1(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図10】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロANP及びPCT(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図11】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのCT-プロAVP及びMR-プロADM(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図12】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのCT-プロAVP及びCT-プロET-1(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図13】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのCT-プロAVP及びPCT(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図14】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロADM及びCT-プロET-1(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図15】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロADM及びPCT(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図16】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのCT-プロET-1及びPCT(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図17】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのhGH及びMR-プロANP(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図18】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのhGH及びMR-プロADM(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図19】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのhGH及びCT-プロET-1(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図20】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのhGH及びPCT(両マーカーの対の組み合わせ)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:両マーカーが低い(定義された閾値未満);破線/点線:両マーカーが高い(定義された閾値より高い);破線:第一のマーカーが低く、第二のマーカーが高い;点線:第一のマーカーが高く、第二のマーカーが低い。
【図21】高レベルのMR-プロANP、MR-プロADM、CT-プロAVP、CT-プロET-1及び/又はPCTを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。上の曲線から下の曲線の順に:上記マーカーのうち0、1、2、3、及び4以上が定義された閾値より高い。
【図22】治療介入前に測定した高レベルのMR-プロANP、MR-プロADM、CT-プロAVP、CT-プロET-1及び/又はPCTを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。MR-プロANP及びCT-プロAVPは二回計測した。上の曲線から下の曲線の順に:上記マーカーのうち0、1、2、3、4、5及び6以上が定義された閾値より高い。
【図23】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロANP並びに第5日に改変ランキングスケール5を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図24】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロANP並びに第5日に85%未満のバーセルインデックスを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図25】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのPCT並びに第1日に10未満のNIHSSインデックスを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図26】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロANP並びに第5日に10未満のNIHSSインデックスを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図27】治療介入前に測定した高レベル及び低レベルのPCT並びに第1日に10未満のNIHSSインデックスを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図28】治療介入前(第0日)及び/又は第5日に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロANPを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:第0日及び第5日に閾値未満のレベル;破線:第0日に閾値未満のレベルであり、かつ、第5日に閾値より高いレベル;点線:第0日に閾値より高いレベルであり、かつ、第5日に閾値未満のレベル;破線/点線:第0日及び第5日に閾値より高いレベル。
【図29】治療介入前(第0日)及び/又は第5日に測定した高レベル及び低レベルのCT-プロAVPを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:第0日及び第5日に閾値未満のレベル;破線:第0日に閾値未満のレベルであり、かつ、第5日に閾値より高いレベル;点線:第0日に閾値より高いレベルであり、かつ、第5日に閾値未満のレベル;破線/点線:第0日及び第5日に閾値より高いレベル。
【図30】治療介入前(第0日)及び/又は第5日に測定した高レベル及び低レベルのMR-プロADMを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:第0日及び第5日に閾値未満のレベル;破線:第0日に閾値未満のレベルであり、かつ、第5日に閾値より高いレベル;点線:第0日に閾値より高いレベルであり、かつ、第5日に閾値未満のレベル;破線/点線:第0日及び第5日に閾値より高いレベル。
【図31】治療介入前(第0日)及び/又は第5日に測定した高レベル及び低レベルのCT-プロET-1を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:第0日及び第5日に閾値未満のレベル;破線:第0日に閾値未満のレベルであり、かつ、第5日に閾値より高いレベル;点線:第0日に閾値より高いレベルであり、かつ、第5日に閾値未満のレベル;破線/点線:第0日及び第5日に閾値より高いレベル。
【図32】治療介入前(第0日)及び/又は第5日に測定した高レベル及び低レベルのPCTを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:第0日及び第5日に閾値未満のレベル;破線:第0日に閾値未満のレベルであり、かつ、第5日に閾値より高いレベル;点線:第0日に閾値より高いレベルであり、かつ、第5日に閾値未満のレベル;破線/点線:第0日及び第5日に閾値より高いレベル。
【図33】第5日に高いNIHSS(>10)及び低いNIHSS(<10)を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図34】第5日に測定した高い/低いレベルのMR-プロANPを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図35】第5日に高い/低いレベルのMR-プロANP及び高い/低いNIHSSを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、NIHSSが低い;破線:マーカーレベルが低く、NIHSSが高い;点線:マーカーレベルが高く、NIHSSが低い;破線/点線:マーカーレベルが高く、NIHSSが高い。
【図36】第5日に高い/低いレベルのCT-プロAVPを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図37】第5日に高い/低いレベルのCT-プロAVP及び高い/低いNIHSSを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、NIHSSが低い;破線:マーカーレベルが低く、NIHSSが高い;点線:マーカーレベルが高く、NIHSSが低い;破線/点線:マーカーレベルが高く、NIHSSが高い。
【図38】第5日に高い/低いレベルのCT-プロET-1を有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図39】第5日に高い/低いレベルのCT-プロET-1及び高い/低いNIHSSを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、NIHSSが低い;破線:マーカーレベルが低く、NIHSSが高い;点線:マーカーレベルが高く、NIHSSが低い;破線/点線:マーカーレベルが高く、NIHSSが高い。
【図40】第5日にバーセルインデックスが85%未満(破線)及び85%超(実線)の患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図41】第5日に高い/低いレベルのMR-プロANP及び85%未満/超のバーセルインデックスを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、バーセルインデックスが85%より高い;破線:マーカーレベルが低く、バーセルインデックスが85%未満;点線:マーカーレベルが高く、バーセルインデックスが85%より高い;破線/点線:マーカーレベルが高く、バーセルインデックスが85%未満。
【図42】第5日に高い/低いレベルのCT-プロAVP及び85%未満/超のバーセルインデックスを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、バーセルインデックスが85%より高い;破線:マーカーレベルが低く、バーセルインデックスが85%未満;点線:マーカーレベルが高く、バーセルインデックスが85%より高い;破線/点線:マーカーレベルが高く、バーセルインデックスが85%未満。
【図43】第5日に高い/低いレベルのCT-プロET-1及び85%未満/超のバーセルインデックスを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、バーセルインデックスが85%より高い;破線:マーカーレベルが低く、バーセルインデックスが85%未満;点線:マーカーレベルが高く、バーセルインデックスが85%より高い;破線/点線:マーカーレベルが高く、バーセルインデックスが85%未満。
【図44】第5日に0〜2(実線)及び3〜6(破線)の改変ランキングスケールスコアを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。
【図45】第5日に高い/低いレベルのMR-プロANP及び0〜2又は3〜6の改変ランキングスケールスコアを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、ランキングが0〜2;破線:マーカーレベルが低く、ランキングが3〜6;点線:マーカーレベルが高く、ランキングが0〜2;破線/点線:マーカーレベルが高く、ランキングが3〜6。
【図46】第5日に高い/低いレベルのMR-プロADM及び0〜2又は3〜6の改変ランキングスケールスコアを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、ランキングが0〜2;破線:マーカーレベルが低く、ランキングが3〜6;点線:マーカーレベルが高く、ランキングが0〜2;破線/点線:マーカーレベルが高く、ランキングが3〜6。
【図47】第5日に高い/低いレベルのCT-プロAVP及び0〜2又は3〜6の改変ランキングスケールスコアを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、ランキングが0〜2;破線:マーカーレベルが低く、ランキングが3〜6;点線:マーカーレベルが高く、ランキングが0〜2;破線/点線:マーカーレベルが高く、ランキングが3〜6。
【図48】第5日に高い/低いレベルのCT-プロET-1及び0〜2又は3〜6の改変ランキングスケールスコアを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、ランキングが0〜2;破線:マーカーレベルが低く、ランキングが3〜6;点線:マーカーレベルが高く、ランキングが0〜2;破線/点線:マーカーレベルが高く、ランキングが3〜6。
【図49】第5日に高い/低いレベルのPCT及び0〜2又は3〜6の改変ランキングスケールスコアを有する患者についてのカプラン−マイヤープロット。実線:マーカーレベルが低く、ランキングが0〜2;破線:マーカーレベルが低く、ランキングが3〜6;点線:マーカーレベルが高く、ランキングが0〜2;破線/点線:マーカーレベルが高く、ランキングが3〜6。
【図50】3ヶ月後に決定した改変ランキングスケールと治療介入前に測定したCT-プロAVP(A)及びMR-プロANP(B)との相関のボックスプロットである。x軸の左から右に、ランキング0〜6となっている。
【図51】治療介入前に測定したCT-プロAVP及び3ヶ月後の二分改変ランキングスケールについての受信者動作特性(ROC)プロット(良好な転帰=mRS 0〜2; 悪い転帰=mRS 3〜6)。曲線下面積(AUC)=0.723。
【図52】治療介入前に測定したMR-プロANP及び3ヶ月後の二分改変ランキングスケールについての受信者動作特性(ROC)プロット(良好な転帰=mRS 0〜2; 悪い転帰=mRS 3〜6)。曲線下面積(AUC)=0.703。
【図53】治療介入前に測定したMR-プロADM及び3ヶ月後の二分改変ランキングスケールについての受信者動作特性(ROC)プロット(良好な転帰=mRS 0〜2; 悪い転帰=mRS 3〜6)。曲線下面積(AUC)=0.658。
【図54】治療介入前に測定したCT-プロET-1及び3ヶ月後の二分改変ランキングスケールについての受信者動作特性(ROC)プロット(良好な転帰=mRS 0〜2; 悪い転帰=mRS 3〜6)。曲線下面積(AUC)=0.608。
【図55】治療介入前に測定したPCT及び3ヶ月後の二分改変ランキングスケールについての受信者動作特性(ROC)プロット(良好な転帰=mRS 0〜2; 悪い転帰=mRS 3〜6)。曲線下面積(AUC)=0.580。
【図56】治療介入前に測定したhGH及び3ヶ月後の二分改変ランキングスケールについての受信者動作特性(ROC)プロット(良好な転帰=mRS 0〜2; 悪い転帰=mRS 3〜6)。曲線下面積(AUC)=0.581。
【図57】虚血性脳卒中、出血性脳卒中及びTIAを有する患者におけるMR-プロANPレベルの分布。中央値は、それぞれ、137.0pmol/L、124.0pmol/L及び90.6pmol/Lである。
【図58】MR-プロANPを単一のマーカーとして用いる、虚血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.65(P<0.0001)。
【図59】MR-プロANPを単一のマーカーとして用いる、出血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.65(P<0.001)。
【図60】虚血性脳卒中、出血性脳卒中及びTIAを有する患者におけるCT-プロAVP(コペプチン)レベルの分布。中央値は、それぞれ、11.0pmol/L、16.6pmol/L及び4.8pmol/Lである。
【図61】コペプチンを単一のマーカーとして用いる、虚血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.71(P<0.0001)。
【図62】コペプチンを単一のマーカーとして用いる、出血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.74(P<0.0001)。
【図63】虚血性脳卒中、出血性脳卒中及びTIAを有する患者におけるMR-プロADMレベルの分布。中央値は、それぞれ、0.74nmol/L、0.71nmol/L及び0.61nmol/L。
【図64】MR-プロADMを単一のマーカーとして用いる、虚血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.61(P<0.0001)。
【図65】MR-プロADMを単一のマーカーとして用いる、出血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.59(P=0.033)。
【図66】虚血性脳卒中、出血性脳卒中及びTIAを有する患者におけるCT-プロET-1レベルの分布。中央値は、それぞれ、72.0pmol/L、75.7pmol/L及び63.3pmol/Lである。
【図67】CT-プロET-1を単一のマーカーとして用いる、虚血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.59(P<0.001)。
【図68】CT-プロET-1を単一のマーカーとして用いる、出血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.68(P<0.0001)。
【図69】虚血性脳卒中、出血性脳卒中及びTIAを有する患者におけるPCTレベルの分布。中央値は、それぞれ、0.018ng/mL、0.018ng/mL及び0.016ng/mLである。
【図70】PCTを単一のマーカーとして用いる、虚血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.58(P<0.001)。
【図71】PCTを単一のマーカーとして用いる、出血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.56(P=0.17)。
【図72】虚血性脳卒中、出血性脳卒中及びTIAを有する患者におけるhGHレベルの分布。中央値は、それぞれ、0.42ng/mL、0.41ng/mL及び0.24ng/mLである。
【図73】hGHを単一のマーカーとして用いる、虚血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.60(P<0.001)。
【図74】hGHを単一のマーカーとして用いる、出血性脳卒中及びTIAの鑑別診断のためのROCプロット。AUC=0.61(P=0.013)。
【図75】配列番号:1(プレ‐プロ‐ADMのアミノ酸配列)
【図76】配列番号:2(プロ‐ADMのアミノ酸配列)
【図77】配列番号:3(プロ‐ADM N20のアミノ酸配列)
【図78】配列番号:4(MR-プロ-ADMのアミノ酸配列)
【図79】配列番号:5(ADMのアミノ酸配列)
【図80】配列番号:6(プレ‐プロ‐ANPのアミノ酸配列)
【図81】配列番号:7(プロ‐ANPのアミノ酸配列)
【図82】配列番号:8(ANPのアミノ酸配列)
【図83】配列番号:9(NT-プロANPのアミノ酸配列)
【図84】配列番号:10(プロANPのアミノ酸53−90のアミノ酸配列)
【図85】配列番号:11(プレ‐プロ‐AVPのアミノ酸配列)
【図86】配列番号:12(プロ‐AVPのアミノ酸配列)
【図87】配列番号:13(AVPのアミノ酸配列)
【図88】配列番号:14(CT-プレ‐プロAVPまたはコペプチンのアミノ酸配列)
【図89】配列番号:15(ニューロフィシンIIのアミノ酸配列)
【図90】配列番号:16(プレ‐プロET-1のアミノ酸配列)
【図91】配列番号:17(プロ‐ET-1のアミノ酸配列)
【図92】配列番号:18(ET-1のアミノ酸配列)
【図93】配列番号:19(CT-プロ‐ET-1のアミノ酸配列)
【図94】配列番号:20(ビッグエンドセリン‐1のアミノ酸配列)
【図95】配列番号:21(プレ‐プロ‐カルシトニンのアミノ酸配列)
【図96】配列番号:22(PCTのアミノ酸配列)
【図97】配列番号:23(N-末端PCTのアミノ酸配列)
【図98】配列番号:24(カルシトニンのアミノ酸配列)
【図99】配列番号:25(カタカルシンのアミノ酸配列)
【図100】配列番号26(プレ‐プロ‐BNPのアミノ酸配列)
【図101】配列番号27(プロ‐BNPのアミノ酸配列)
【図102】配列番号28(NT-プロ‐BNPのアミノ酸配列)
【図103】配列番号29(BNPのアミノ酸配列)
【実施例】
【0141】
実施例1:臨床試験
試験設定、組み入れ/除外基準
バーゼル大学病院の救急及び神経学及び神経外科クリニックにおいて試験を設定した。世界保健機関の基準による虚血性又は出血性脳卒中或いは一過性脳虚血発作(TIA)を有し、過去3日間以内に症状を発症した救急科に入院しているすべての継続患者を試験に含めた。インフォームドコンセントのない患者は除外した。
【0142】
ベースラインデータの収集
この試験に含まれないすべての適格患者のデータへのアクセスは、選択の偏りを防ぐために重要である。したがって、すべての適格患者におけるベースラインデータ並びに組み入れ及び除外基準についての情報を、彼らが試験に含まれるか否かに関わらず、収集した。これは、参加することを承諾した適格患者と承諾しなかった適格患者のベースラインデータを比較することを可能とする。患者におけるベースラインデータのコレクションは、治験責任医師が収集し、そして、以下の:
a)年齢
b)性別
c)BMI
d)病歴:入院前の実際の病歴;一過性脳虚血発作を有する患者におけるABCDスコア(Rothwell et al., 2005. A simple score (ABCD)to identify individuals at high early risk of stroke after transient ischaemic attack. Lancet 366: 29-36);家族歴;カールソン指数によっても評価された関連する合併症(Goldstein et al., 2004. Charlson Index comorbidity adjustment for ischemic stroke outcome studies. Stroke 35:1941-5)(すなわち、高血圧、過去の脳卒中、過去のTIA、虚血性心疾患、心房細動、糖尿病、腎臓及び肝臓の不全症、うっ血性心不全、脂質異常症、低ナトリウム血症のリスクを伴う合併症(重度の甲状腺機能低下症、グルココルチコイド欠乏症、新生物、HIV感染));喫煙履歴(パックイヤー)及び状態(一日あたりの箱数);併用薬物治療;アルコール消費(一日あたりのグラス数及びグラム数);症状発症から入院までの時間
e)居住地:すなわち、家又は老人ホームにおけるファミリーサークル(ファミリーサークルは、患者とともに住む配偶者及び/又は他の重要な人物から成る)のサポート及び/又はプロフェッショナルのケアがあるか又はない生活として定義される、自立した生活;養護施設での長期滞在部門、他の病院として定義される依存した生活。
f)臨床項目:神経学的状態、(脳卒中の重篤度を評価するための)NIHSS及びグラスゴー・コーマ・スケール(GCS;Adams et al., 1999. Baseline NIH Stroke Scale score strongly predicts outcome after stroke: A report of the Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment (TOAST). Neurology 53:126-31)、血圧、心拍数、体重、(皮膚弾力、頚静脈怒張、聴診、可能ならば液体取り込み及び損失のフローシートを含む)水分バランス、体温;神経外科患者においては、日常の臨床管理の中で実施されるなら、脳内圧力、を含む、身体診察。
g)低ナトリウム血症の臨床症状を、入院時及び神経疾患患者におけるナトリウム平衡異常の場合に評価した。頭蓋内手術を受けた患者においては、臨床症状は毎日評価した。特に、頭痛、食欲不振、吐き気、嘔吐、筋けいれん及び筋肉痛、発作、混乱、無感情又は無気力的変化の存在をモニターした。
h)日常的/標準的な検査室検査:日常的血液サンプリングは、以下の:ヘマトクリット、血中尿素窒素、重炭酸塩、総タンパク質、アルブミン、血清尿酸及び尿電解質、尿及び血清の浸透圧、クレアチニン、脂質、TSH、fT4、T3、及び基礎コルチゾールを含む。すべての血液サンプリングは、いかなる食物摂取、又は可能であれば、喫煙の前に行った。或いは、影響する因子をモニターした。
i)画像撮影:もし、核磁気共鳴血管造影又は慣用の脳血管造影が示唆されたら、脳頭蓋のコンピュータ断層撮影法又はMRI(T1、T2、拡散強調画像シーケンス、コントラストあり又はなし)。造影剤投与の時間点を記録した。
脳卒中患者を、虚血病変の血管領域に基づいて以下のようにも分類した:総前方循環症候群(total anterior circulation syndrome)(TACS)、部分前方循環症候群(partial anterior circulation syndrome)(PACS)、ラクナ循環症候群(LACS)、後方循環症候群(POCS)。
j)さらなる調査:脳卒中患者は、神経超音波検査、心エコー検査、標準的な12葉心電図検査及び24時間の心電図検査を受け、そして、急性期脳卒中治療におけるOrg 10172の使用試験(Trial of Org 10172 in acute Treatment)(TOAST)による脳卒中の病因論によって、脳卒中サブタイプに分類され、これは、大血管アテローム硬化、心原性脳塞栓、小血管病変、他の病因、及び不確定の病因の間で異なる。
【0143】
インフォームドコンセントの陳述
試験は、バーゼルの倫理委員会(Ethikkommission beider Basel)によって許可された。これが探索的かつ観察に基づいた試験であるということを特記するのは重要であり;試験に関連した唯一の介入は、日常的に実施される血液サンプリングの間に得られた7.5mlの血漿であると明言する。したがって、患者は、彼らが彼らのデータを科学目的に使用することに同意するという書面のインフォームドコンセントを与えることが必要である。急性のCNS病変の続発症によって「インフォームドコンセント」が実行可能でない患者においては(後者は組み入れのための必要条件である)、最近親者が、同意書にサインして、患者の推定意思を陳述することができた。最近親者がすぐに対処できない場合には、治療医師−試験に関与してはいけない−が、彼の見地から試験への参加に異論のないことを保証しなくてはならなかった。これらのインフォームドコンセント手順の後にのみ、患者は試験に組み入れられることができた。
【0144】
試験の間の参加者の管理
ステップ1.救急科又は神経疾患病棟内の適格を有するすべての患者を試験に組み入れた。
ステップ2.すべてのベースラインデータを収集した。
ステップ3.入院中、体重、血圧、心拍数、水分バランス及び体温を含む臨床項目を、退院までカルテ検査によって評価した。
−輸液療法及び薬
−低ナトリウム血症の潜在的症状、すなわち、頭痛、吐き気、嘔吐、筋けいれん及び筋肉痛、食欲不振、意識障害、発作
−日常的に実施される検査室検査(ケモグラム、血漿グルコース、血清浸透圧、尿浸透圧、尿中ナトリウム、ヘマトクリット)を、日常的血液サンプリングの時点でサンプリングした。
ステップ4.すべての患者において、入院第5日に、NIHSS、バーセルインデックス及びランキングスケールによる臨床検査を実施した(Collin et al, 1988. The Barthel ADL Index: a reliability study. International Disability Study 10: 61-3; Bonita and Beaglehole, 1988. Modification of Ranking Scale: Recovery of motor function after stroke. Stroke 19: 1497-1500)。
将来の居所(すなわち、自立生活 対 依存生活)を評価した。
ステップ6.虚血性脳卒中患者において、(バーセルインデックス及びランキングスケールにより評価した)生存率及び死亡率に関する電話追跡調査を3ヶ月後に得た。
好ましくない転帰を、85未満のバーセルインデックス又は3〜6の改変ランキングスケールとして定義した。
【0145】
マーカーペプチド濃度の測定
MR-プロANPレベルを、6pmol/Lの検出下限の化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した。325人の健康な個人において、MR-プロANP濃度の範囲は、9.6〜313pmol/Lで中央値は45pmol/Lであった。男性および女性の間で濃度は有意に相違しなかったが、対象の年齢と有意に相関した。
【0146】
MR-プロADMレベルを、0.08nmol/Lの検出下限の化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した。264人の健康な個人(117人の男性及び147人の女性)において、MR-プロADM値は、平均値(SD)が0.33(0.07)nmol/L及び0.10〜0.64nmol/Lの範囲のガウス分布に従った。性別間に有意な相違はなかったが、MR-プロADM濃度は年齢と有意に相関した。
【0147】
CT-プロET-1レベルを、0.4pmol/Lの検出下限の化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した。326人の健康な個人(150人の男性及び176人の女性)において、CT-プロET-1値は、平均(SD)が44.3(10.6)pmol/L及び10.5〜77.4pmol/Lの範囲のガウス分布に従った。男性及び女性における平均CT-プロET-1濃度は有意に相違しなかったが、年齢と有意に相関した。
【0148】
CT-プロAVP(コペプチン)レベルを、1.7pmol/Lの検出下限の化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した。359人の健康な個人(153人の男性及び206人の女性)において、CT-プロAVPレベルの中央値は4.2pmol/Lであり、1.0〜13.8pmol/Lの範囲にあった。CT-プロAVP濃度の中央値は、男性及び女性の間で有意に相違しなかった。CT-プロAVPレベルと年齢の間に相関はなかった。
【0149】
PCTレベルを、7pg/mlの検出下限の「PCT感受性」化学発光サンドイッチイムノアッセイ(B.R.A.H.M.S、Hennigsdorf, Germany)で測定した。500人の健康な個人において、中央値は13.5pg/ml(範囲<7〜63pg/ml)であった。男性および女性の間又は年齢群の間でもPCT値の範囲及び中央値の有意な相違はなかった。
【0150】
ヒト成長ホルモンを、新たに開発された、最も豊富な22kDa hGHアイソフォームの特異的検出のための化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した。50人の献血者のコホートにおける、22kDa hGHアイソフォーム濃度の中央値は、0.19ng/ml(範囲は0.05〜8.82ng/ml)であった。
【0151】
マーカーペプチドMR-プロANP、MR-プロADM、CT-プロET-1、CT-プロAVP(コペプチン)、PCT及びhGHの血漿レベルを、352人の虚血性脳卒中患者、32人の脳出血患者及び102人のTIA患者において測定した。入院の日(第0日)及び入院の1、3及び5日後に血液サンプルを採取した。
【0152】
実施例2〜11
実施例2〜11は、同じ患者群に関し、実施例1の試験を基礎とする。表1及び2は、試験の患者及びそれらの転帰を要約する。501人の脳卒中又はTIA患者の群から血液サンプル(EDTA処理した血漿サンプル)を採取した。患者群は実施例1と同じであるが、数はわずかに異なるかもしれない。なぜなら、すべての日にすべての患者が参加可能ではなく、すべての日においてすべてのマーカーを測定するのに十分なサンプル量が各患者について利用可能であったわけではないからである。
【0153】
実施例2:第0日に測定したマーカーによる、生命予後(3ヶ月以内の死亡)
脳卒中又はTIAを有する患者の脳卒中又はTIA後3(4)ヶ月以内の転帰を調査し、該患者のサンプル中のマーカーMR-プロANP、MR-プロADM、CT-プロAVP、CT-プロET-1及びPCTのレベルに相関させた。サンプルを第0日(入院の日)に採取した。これから、所与のカットオフ値(閾値)についての相関ハザード比(HR)を計算した。カットオフ値は、時間依存性ROC分析から決定した感度及び特異度の合計を最大化することによって決定した。
【0154】
表3a〜4は、異なるマーカー及びそれらの組み合わせについてのHR値を要約する。図1〜27は、異なるマーカー/マーカーの組み合わせ及びランキング/バーセルインデックス/NIHSSとの組み合わせについてのカプラン−マイヤープロット(4ヶ月以内の生存患者の比率)を示す。
【0155】
【表5】

【0156】
【表6】

【0157】
【表7】

【0158】
【表8】

【0159】
【表9】

【0160】
【表10】

【0161】
実施例3:第0日及び第5日に測定した(第0日及び第5日の組み合わせ)マーカーによる生命予後(3ヶ月以内の死亡)
【0162】
【表11】

【0163】
表5は、第0日及び第5日に採取したサンプル中の異なるマーカーについてのHR値を要約する。図28〜32は、異なるマーカーについてのカプラン−マイヤープロット(4ヶ月以内の生存患者の比率)を示す。
【0164】
実施例4:第5日に測定したマーカー及びNIHSSとの組み合わせによる生命予後(3ヶ月以内の死亡)
【0165】
【表12】

【0166】
表6は、上記患者についての第5日に採取したサンプル中の異なるマーカー及びNIHSS値との組み合わせについてのHR値を要約する。図33〜39は、第5日に採取したサンプルに基づく、NIHSS単独及びNIHSSと組み合わせた異なるマーカーについてのカプラン−マイヤープロット(4ヶ月以内の生存患者の比率)を示す。
【0167】
実施例5:第5日に測定したマーカー及びバーセルインデックスとの組み合わせによる生命予後(3ヶ月以内の死亡)
【0168】
【表13】

【0169】
表7は、上記患者についての、第5日に採取したサンプル中の異なるマーカー及びバーセルインデックス値との組み合わせについてのHR値を要約する。図40〜43は、第5日に採取したサンプルに基づく、バーセルインデックス及びバーセルインデックスと組み合わせた異なるマーカーについてのカプラン−マイヤープロット(4ヶ月以内の生存患者の比率)を示す。
【0170】
実施例6:第5日に測定したマーカー及び改変ランキングスケールとの組み合わせによる、生命予後、転帰「3ヶ月以内の死亡」
【0171】
【表14】

【0172】
表8は、上記患者についての第5日に採取されたサンプル中の異なるマーカー及び改変ランキングスケール値との組み合わせについての、HR値を要約する。図44〜49は、第5日に採取されたサンプルに基づく、改変ランキングスケール単独、及び改変ランキングスケールと異なるマーカーとの組み合わせについてのカプラン−マイヤープロット(4ヶ月以内生存する患者の比率)を示す。
【0173】
実施例7:第0日に測定したマーカーによる「脳卒中の再発/TIAの再発(3ヶ月以内)」の予後
表9は、患者群における脳卒中の再発(脳卒中再発)及びTIAの再発(TIA再発)を要約する。表10〜14は、異なるマーカー及びマーカーの組み合わせについての計算したHR値を要約する。
【0174】
【表15】

【0175】
【表16】

【0176】
【表17】

【0177】
表13a〜13e:すべての患者(脳卒中再発及びTIA再発)についてのオッズ比の計算
【0178】
【表18】

【0179】
【表19】

【0180】
【表20】

【0181】
【表21】

【0182】
【表22】

【0183】
【表23】

【0184】
表14a〜14d:TIA患者についてのオッズ比の計算(脳卒中再発及びTIA再発)
【0185】
【表24】

【0186】
【表25】

【0187】
【表26】

【0188】
【表27】

【0189】
【表28】

【0190】
【表29】

【0191】
【表30】

【0192】
実施例8:第0日、及び第5日との組み合わせで測定したマーカーによる「脳卒中再発/TIA再発(3ヶ月以内)」の予後
表15〜16dは、異なるマーカー/マーカーの組み合わせについての、ROC分析(モニタリング)、特に、オッズ比、の結果を要約する。
【0193】
【表31】

【0194】
表16a〜d:単一マーカーについてのORの計算、第0日及び第5日:
【0195】
【表32】

【0196】
【表33】

【0197】
【表34】

【0198】
【表35】

【0199】
実施例9:第0日に測定したマーカーによる、機能転帰の予測(mRS、3ヵ月後)
表17は、改変ランキングスケール(0〜6)による患者群についての転帰を要約する。表18は、異なるマーカーと改変ランキングスケールの相関についてのクラスカル・ウォリスカイ二乗検定(Kruskal-Wallis Chi2検定)及びp値を列挙する。表19は、2つのクラス:良好な転帰(ランキング0〜2)を有する患者及び悪い転帰(ランキング3〜6)を有する患者、における転帰を要約する。表20a〜20dは、3ヶ月後に良好な又は悪い転帰を有する患者についての第0日におけるマーカー/マーカーの組み合わせのORを要約する。表21a〜21hは、異なるマーカー/マーカーの組み合わせについての計算したオッズ比(OR)を要約する。図50A及びBは、ランキングとCT-プロAVP(A)及びMR-プロANP(B)、それぞれのレベルとの相関をボックスプロット中に図示する。図51〜56は、異なるマーカーについてのROCプロットを図示する。
【0200】
【表36】

【0201】
【表37】

【0202】
【表38】

【0203】
【表39】

【0204】
【表40】

【0205】
【表41】

【0206】
【表42】

【0207】
【表43】

【0208】
【表44】

【0209】
【表45】

【0210】
【表46】

【0211】
【表47】

【0212】
【表48】

【0213】
【表49】

【0214】
実施例10:第0日、及び第5日との組み合わせで測定したマーカーによる、機能転帰(mRS、3ヵ月後)の予測
表22は、第0日、及び第5日との組み合わせでの単一のマーカーについてのORを要約する。表23及び24は、ランキングと相関関係にある2つの異なるマーカーについての計算したオッズ比(OR)を要約する。
【0215】
【表50】

【0216】
【表51】

【0217】
【表52】

【0218】
実施例11:TIA、虚血性脳卒中及び出血性脳卒中の鑑別診断
図57〜74は、TIA、虚血性脳卒中及び出血性脳卒中の鑑別診断のための単一のマーカーとしてのMR-プロANP、コペプチン、MR-プロADM、CT-プロET-1、PCT及びhGHの使用についての結果を要約する。マーカーレベルを第0日及び第1日について上記のように決定した。各マーカー及び患者群(出血性脳卒中、虚血性脳卒中、TIA)について中央値を決定し、TIAと出血性脳卒中、TIAと虚血性脳卒中の鑑別診断についてのROC曲線を作成した。
【0219】
【表53】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹った患者の転帰の予測のため又はリスクを評価するための方法であって、以下のステップ:
a.前記患者からのサンプルを提供し、
b.前記サンプル中の少なくとも1つの心臓血管ペプチドのレベルを決定し、ここで、前記心臓血管ペプチドは、ANP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン、トロポニン、CRP及びhGH若しくはその断片、又はその前駆体若しくはその断片を含む群から選ばれ、
c.前記少なくとも1つのマーカーペプチド若しくはその断片、又はその前駆体若しくはその断片のレベルと前記患者についての転帰の予測又はリスクの評価を相関させる、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記サンプルが治療介入前に採取される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記転帰又は前記リスクが、生存及び/又は機能転帰及び/又は脳卒中の再発若しくは一過性脳虚血発作の再発に関する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者をリスク群に層化するための方法であって、ここで、前記患者が脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹っており、かつ、前記方法が請求項1又は2に記載のステップを含む、前記方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの心臓血管ペプチドのレベルが、虚血性脳卒中又は出血性脳卒中又は一過性脳虚血発作のいずれかに起因する、請求項4に記載の患者を診断する方法。
【請求項6】
少なくとも2つのマーカーペプチドのレベルが決定される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つのマーカーペプチドの組のレベルが決定され、そして、該少なくとも2つのマーカーペプチドの組が以下の心臓血管ペプチドの組み合わせ:ANP及びAVP、ANP及びADM、ANP及びET−1、ANP及びカルシトニン、ANP及びhGH、ADM及びET−1、ADM及びカルシトニン、ADM及びhGH、ET−1及びカルシトニン、ET−1及びhGH、並びにカルシトニン及びhGHを含む群から選ばれる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各心臓血管ペプチドが、以下の:心臓血管ペプチド、内皮細胞ペプチド、下垂体ペプチド及び炎症性ペプチドを含む群から選ばれる異なるマーカーペプチドの小集団から選ばれ、ここで、前記心臓血管ペプチドは、ANP、BNP及びトロポニン(cT)を含む群から選ばれ、前記内皮細胞ペプチドは、ET−1及びADMを含む群から選ばれ、前記下垂体ペプチドは、AVP及びhGHを含む群から選ばれ、そして前記炎症性ペプチドは、カルシトニン及びCRPを含む群から選ばれる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
BNP若しくはその断片又はその前駆体若しくはその断片のレベルがさらに決定される、先の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記決定が、以下の:NIHSS、バーセルインデックス及び改変ランキングスケールを含む群から選ばれる共変量をさらに考慮する、多変量解析を用いて実施される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹った患者の転帰の予測のため又はリスクを評価するためのキットであって、ANP、AVP、ADM、ET-1、カルシトニン、トロポニン、CRP及びhGHを含む群から選ばれるマーカーペプチド若しくはその断片又はその前駆体若しくはその断片に対する1つ以上の捕捉プローブを含む、前記キット。
【請求項12】
脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹った患者の転帰の予測のため又はリスクを評価するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法又は請求項11に記載のキットの使用。
【請求項13】
脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹った患者における治療のモニタリングのための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法又は請求項11に記載のキットの使用。
【請求項14】
虚血性脳卒中と出血性脳卒中を鑑別するため、又は虚血性及び/又は出血性脳卒中と一過性脳虚血発作を鑑別するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法又は請求項11に記載のキットの使用。
【請求項15】
前記患者が脳卒中又は一過性脳虚血発作に罹っているかを、前記少なくとも1つの心臓血管ペプチドのレベルに基づいて判定するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法又は請求項11に記載のキットの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【公表番号】特表2012−506545(P2012−506545A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532545(P2011−532545)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007738
【国際公開番号】WO2010/046136
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(508093584)ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (27)
【Fターム(参考)】