説明

ミキシング装置

【課題】原料液に供給した気体又は液体を効率良く混合させることができるミキシング装置を提供する。
【解決手段】ミキシング装置Mは、原料液を受け入れる槽1と、この槽1内に気体又は液体を供給して前記気体又は前記液体を攪拌して、前記原料液と混合させるミキシング装置Mであって、前記気体又は前記液体を槽1内に供給する供給管4と、槽1内に配置され、供給管4からの前記気体又は前記液体を取り込んで攪拌して前記気体又は前記液体を攪拌させる攪拌部材5と、この攪拌部材5は、回転軸が水平方向に保持されると共に、略円筒形状で、外周に水平方向に離間して設けられた複数の部材を有するとともに、対向壁7を備え、供給管4の吐出口は、対向壁7と攪拌部材5との間に位置するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキシング装置に係り、特に、原料液に供給した気体又は液体を効率良く混合させることができるミキシング装置に関する。
【0002】
従来、原料液、例えば、「古紙の原料液」中に含まれる印刷インクを除去するために、原料液に気体(例えば、エアー)を供給して混合させ、該エアーに原料液中の印刷インキを吸着させて浮上させ分離させる装置がある(例えば、特許文献1参照)。
この種の装置にあっては、エアーを微細化して、エアーの表面積の拡大により、原料液中の印刷インキ等をより多く吸着させようとするものである。
上記装置にあっては、エアーを噴出するエア噴出ノズルの噴出口が横流型攪拌機の上方に位置すると共に、該エア噴出ノズルに一端部が接続され、他端部が前記横流型攪拌機の吸込側上部を覆うカバー部材とを備えたもので、エア噴出ノズルの噴出口より下向きに噴出したエアーは、カバー部材によりある程度捕捉され、捕捉されたエアーは横流型攪拌機により微細化される。
【特許文献1】実用新案登録第2520191号公報 図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、カバー部材により捕捉されたエアーの一部は、浮力により横流型攪拌機に導かれず、カバー部材に沿って、微細化されずに移動して浮上してしまうという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を除去するようにしたミキシング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のミキシング装置は、原料液を受け入れる槽と、この槽内に気体又は液体を供給して前記気体又は前記液体を攪拌して、前記原料液と混合させるミキシング装置であって、前記気体又は前記液体を前記槽内に供給する供給管と、前記槽内に配置され、前記供給管からの前記気体又は前記液体を取り込んで攪拌して前記気体又は前記液体を攪拌させる攪拌部材と、この攪拌部材は、回転軸が水平方向に保持されると共に、略円筒形状で、外周に水平方向に離間して設けられた複数の部材を有し、前記攪拌部材の長手方向を横断する断面の内、前記攪拌部材の回転方向が反時計回りとなる側から見た場合において、前記攪拌部材の回転中心を原点とする直交座標にあって、反時計回りに第1象限、第2象限、第3象限、第4象限に区分けしたとき、前記攪拌部材に対向すると共に、前記第3象限の領域内にあるか、又は、前記第4象限の領域内にあるか、又は、前記第3象限の領域と前記第4象限の領域に跨るように設けられた対向壁を備え、前記供給管の吐出口は、前記対向壁と前記攪拌部材との間に位置するものである。
【0006】
また、請求項2記載のミキシング装置は、請求項1記載のミキシング装置において、 供給管の吐出口は、攪拌部材の外側であって、第3象限の位置にあり、対向壁は、前記攪拌部材に対向するように設けられると共に、一端が前記供給管に接続され、他端が前記第3象限の領域内にあるか、又は、第4象限の領域まで延びているものである。
【0007】
また、請求項3記載のミキシング装置は、請求項1又は請求項2記載のミキシング装置において、対向壁に原料液の流入を許容する開口部を備えたものである。
【0008】
また、請求項4記載のミキシング装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のミキシング装置において、攪拌部材は、円筒形状の回転ドラムと、この回転ドラムの外側に水平方向に離間して設けられた複数の部材とを備えているものである。
【0009】
また、請求項5記載のミキシング装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のミキシング装置において、対向壁と攪拌部材との間隔は、攪拌部材の回転方向の下流側が前記攪拌部材の回転方向の上流側に比べて狭く形成されているものである。
【0010】
また、請求項6記載のミキシング装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のミキシング装置において、対向壁の攪拌部材に対向する面に凸部を形成するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のミキシング装置によれば、対向壁は、攪拌部材に対向すると共に、前記攪拌部材の回転中心を原点とする直交座標の第3象限の領域内にあるか、又は、前記直交座標の第4象限の領域内にあるか、又は、前記第3象限の領域と前記第4象限の領域に跨るように設けられ、供給管の吐出口は、前記対向壁と前記攪拌部材との間に位置するため、対向壁と攪拌部材の間で気体又は液体は捕捉され、捕捉された気体又は液体の一部は、浮上して攪拌部材による攪拌を受けて気体又は液体を攪拌するため、攪拌した分、原料液と効率良く混合させることができる。
また、請求項2記載のミキシング装置によれば、供給管の吐出口は、攪拌部材の外側であって、第3象限の位置にあり、対向壁は、前記攪拌部材に対向するように設けられると共に、一端が前記供給管に接続され、他端が前記第3象限の領域内にあるか又は第4象限の領域まで延びているため、対向壁と攪拌部材の間で気体又は液体は捕捉され、捕捉された気体又は液体の一部は、浮上して攪拌部材による攪拌を受けて気体又は液体を攪拌するため、攪拌した分、原料液と効率良く混合させることができる。
【0012】
また、請求項3記載のミキシング装置によれば、対向壁の中途に原料液の流入を許容する開口部を備えているため、対向壁と攪拌部材の間で捕捉した気体又は液体を前記開口部から流入する原料液に効率良く供給して、原料液と効率良く混合させることができる。
【0013】
また、請求項4記載のミキシング装置によれば、攪拌部材は、円筒形状の回転ドラムと、この回転ドラムの外側に水平方向に離間して設けられた複数の部材とを備えているため、攪拌部材に流入した気体又は液体は、円筒形状の回転ドラムにより、攪拌部材内を横断できず、回転ドラムと複数の部材との間で捕捉されるため、攪拌部材による攪拌を受け、原料液と効率良く混合させることができる。
【0014】
また、請求項5記載のミキシング装置によれば、対向壁と攪拌部材との間隔は、攪拌部材の回転方向の下流側が前記攪拌部材の回転方向の上流側に比べて狭く形成されているため、攪拌部材と対向壁との間から流出する原料液に気体又は液体を効率良く接触させて、原料液と効率良く混合させることができる。
【0015】
また、請求項6記載のミキシング装置によれば、対向壁の攪拌部材に対向する面に凸部を形成したため、前記凸部に気体又は液体が衝突し、原料液と効率良く混合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のミキシング装置の一実施例を図面を参照して説明する。
図1乃至図5において、Mはミキシング装置で、ミキシング装置Mは、槽1内に気体、例えば、エアーを導入して、該エアーを微細化し、該微細化した気泡と原料液(原料液は、例えば、古紙を溶かしてどろどろになった紙原料である古紙の原料液)とを混合させる装置である。
このミキシング装置Mは、エアーを微細化した気泡に原料液中の印刷インキ、微細粘着異物等を吸着させて浮上させ分離させる機能を備えている。槽1は導入管2により原料液を受け入れ、槽1内で印刷インキ等を除去し、導出管3により槽1の外へと導かれる。
【0017】
4は、エアーを槽1内に供給する供給管で、図5に示す41は、供給管4の吹出口で、吹出口41は下向きに形成されている。吹出口41を下向きとしたのは、供給管4のエアーを停止した場合、供給管4の内部へ原料液が侵入するのを防ぐためである。
また、5は、槽1内に配置され、供給管4からのエアーを取り込んで攪拌して気体(例えば、エアー)を微細化させる攪拌部材で、攪拌部材5は、モーター6による高速回転する回転軸51が水平方向に保持されると共に、攪拌部材5の全体形状は、略円筒形状で、外周に水平方向に離間して設けられた複数の部材52(部材52は、例えば、長手形状部材)を有している。53は、円筒形状の回転ドラムで、回転ドラム53の外側に前記した複数の部材52が位置している。
また、図2において、Gは、上昇する原料液と下降する原料液がショートサーキットしないように原料液の流れを案内する整流板(案内板)である。
【0018】
また、図4に示すように、攪拌部材5の長手方向を横断する断面の内、攪拌部材5の回転方向が反時計回りとなる側から見た場合において、攪拌部材5の回転中心を原点Oとする直交座標(原点Oを通る水平方向はX軸、原点Oを通りX軸に直交する軸はY軸)にあって、反時計回りに第1象限 、第2象限、第3象限、第4象限に区分けしたとき、上記した供給管4の吐出口41は、攪拌部材5の外側であって、直交座標の第3象限の位置にある。7は対向壁で、対向壁7は、攪拌部材5に対向するように設けられると共に、対向壁7の一端7aが供給管4に接続され、対向壁7の他端7bが直交座標の第3象限の領域内にある。また、対向壁7は、原料液の流入を許容する開口部71(図示では、開口部71は、複数形成されているが、単数でも良く、又、場合により、図9に示すように、開口部71を設けなくても良い。)を備えている。
【0019】
従って、古紙を溶かしてどろどろになった紙原料である原料液が導入管2を介して槽1内に、受け入れられ、供給管4の吐出口41からエアーが供給される。
特に、供給管4の吐出口41は、対向壁7と攪拌部材5との間に位置するため、対向壁7と攪拌部材5の間でエアーは捕捉されることとなる。捕捉されたエアーの一部は、浮上して攪拌部材5の複数の部材52による攪拌を受けてエアーが微細化され、エアーが微細化した分、エアーの表面積が拡大して原料液中の再生紙にとって不要な「印刷インキ」、「微細粘着異物」等が微細化した気泡と混合し、該気泡に吸着させることができる。
気泡に吸着した原料液中の印刷インキ等は、原料液の流れと共に、槽1の上部へと上昇し、槽1の上部にフロス層(図示せず)が形成される。このフロス層(図示せず)は、フロスパドル8により、フロス受け(図示せず)へと掻き寄せられ、槽1から排出される。
なお、対向壁7の中途に原料液の流入を許容する開口部71を備えているため、対向壁7と攪拌部材5の間で捕捉したエアーを開口部71から流入する原料液に効率良く供給して、原料液中の印刷インキ等を効率良く吸着させることができる。
また、攪拌部材5は、円筒形状の回転ドラム53と、この回転ドラム53の外側に水平方向に離間して設けられた複数の部材52とを備えているため、攪拌部材5に流入したエアーは、円筒形状の回転ドラム53により、攪拌部材5内を横断できず、回転ドラム53と複数の部材52との間で捕捉されるため、攪拌部材5による攪拌を受けて微細化することができ、原料液中の印刷インキ等を効率良く吸着させることができる。
また、対向壁7と攪拌部材5との間隔は、攪拌部材5の回転方向の下流側が攪拌部材5の回転方向の上流側に比べて狭く形成されているため、攪拌部材5と対向壁7との間から流出する原料液に気泡を効率良く接触させて原料液中の印刷インキ等を効率良く吸着させることができる。
更に、対向壁7の攪拌部材5に対向する面に凸部72を形成したため、凸部72にエアーが衝突し微細化され、微細化したエアーにより原料液中の印刷インキ等をより吸着させることができる。
このようにして、槽1内で印刷インキ等を除去された原料液は、導出管3により槽1の外へと導かれる。
【0020】
なお、上述した実施例においては、対向壁7の他端7bが直交座標の第3象限の領域内にあるが(図4参照)、本発明にあっては、これに限らず、対向壁7の他端7bは、図6に示すように直交座標の第4象限の領域まで延びるようになっていても良い。
即ち、本発明の対向壁7は、図4に示すように直交座標の第3象限の領域内に設けられていても良く、又、本発明の対向壁7は、図6に示すように、直交座標の第3象限の領域と直交座標の第4象限の領域に跨るように設けられていても良く、又、本発明の対向壁7は、図7に示すように、直交座標の第4象限の領域内に設けられていても良い。
また、対向壁7の攪拌部材5に対向する面に形成した凸部72は、図8及び図9に示すように、省略しても良い。
また、供給管4により槽1内に供給するものを気体(例えば、エアー)として説明したが、本願発明にあっては、これに限らず、気体に代えて、例えば、脱墨剤、剥離剤、着色剤等の液体を槽1内の原料液に供給して、該液体に攪拌部材5による攪拌作用を与えて、前記液体と原料液とを効率良く混合させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施例のミキシング装置の概略的断面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線による概略的断面図である。
【図3】図3は、図2の概略的平面図である。
【図4】図4は、図2の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図5】図5は、図4の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図6】図6は、図4の他の実施例の概略的一部拡大断面図である。
【図7】図7は、図6の他の実施例の概略的一部拡大断面図である。
【図8】図8は、図4の対向壁の他の実施例の概略的一部拡大断面図である。
【図9】図9は、図8の対向壁の他の実施例の概略的一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0022】
M ミキシング装置
1 槽
4 供給管
5 攪拌部材
7 対向壁
41 吐出口
51 回転軸
52 部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料液を受け入れる槽と、
この槽内に気体又は液体を供給して前記気体又は前記液体を攪拌して、前記原料液と混合させるミキシング装置であって、
前記気体又は前記液体を前記槽内に供給する供給管と、
前記槽内に配置され、前記供給管からの前記気体又は前記液体を取り込んで攪拌して前記気体又は前記液体を攪拌させる攪拌部材と、
この攪拌部材は、回転軸が水平方向に保持されると共に、略円筒形状で、外周に水平方向に離間して設けられた複数の部材を有し、
前記攪拌部材の長手方向を横断する断面の内、前記攪拌部材の回転方向が反時計回りとなる側から見た場合において、
前記攪拌部材の回転中心を原点とする直交座標にあって、反時計回りに第1象限、第2象限、第3象限、第4象限に区分けしたとき、前記攪拌部材に対向すると共に、前記第3象限の領域内にあるか、又は、前記第4象限の領域内にあるか、又は、前記第3象限の領域と前記第4象限の領域に跨るように設けられた対向壁を備え、
前記供給管の吐出口は、前記対向壁と前記攪拌部材との間に位置する
ことを特徴とするミキシング装置。
【請求項2】
供給管の吐出口は、攪拌部材の外側であって、第3象限の位置にあり、
対向壁は、前記攪拌部材に対向するように設けられると共に、一端が前記供給管に接続され、他端が前記第3象限の領域内にあるか、又は、第4象限の領域まで延びている
ことを特徴とする請求項1記載のミキシング装置。
【請求項3】
対向壁に原料液の流入を許容する開口部を備えた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のミキシング装置。
【請求項4】
攪拌部材は、円筒形状の回転ドラムと、この回転ドラムの外側に水平方向に離間して設けられた複数の部材とを備えている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のミキシング装置。
【請求項5】
対向壁と攪拌部材との間隔は、攪拌部材の回転方向の下流側が前記攪拌部材の回転方向の上流側に比べて狭く形成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のミキシング装置。
【請求項6】
対向壁の攪拌部材に対向する面に凸部を形成する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のミキシング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−61350(P2009−61350A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228643(P2007−228643)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【出願人】(000202235)相川鉄工株式会社 (18)
【Fターム(参考)】