説明

ミストサウナ機能付き浴室暖房装置

【課題】浴室内がミストサウナの入り頃になったことを、確実に判定して報知することができるミストサウナ機能付き浴室暖房装置を提供する。
【解決手段】浴室内を暖房する暖房ユニット2と、ミスト熱交換器51により加熱生成された湯を、ミストノズル43,44から浴室内に噴霧するミスト噴霧ユニット5とを有して、暖房ユニット2により浴室内を暖房しつつ、ミスト噴霧ユニット5により浴室内に湯を噴霧するミストサウナ運転を実行するミストサウナ機能付き浴室暖房装置1において、暖房コントローラ47は、ミストサウナ運転を開始した後、浴室湿度センサ31により検出した浴室内の絶対湿度が所定湿度以上になったときに、リモコン7による報知を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内を暖房しつつ浴室内に湯を噴霧して、サウナ効果を生じさせるミストサウナ機能を有する浴室暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱源機と、熱源機から循環供給される温水を用いて浴室を暖房する浴室暖房装置と、熱源機を遠隔操作するリモコンとを備えた温水暖房システムにおいて、台所等に設けられたリモコンと浴室に設けられた浴室暖房装置とを、熱源機を介して双方向に通信可能に構成し、リモコンによる浴室の暖房の開始を指示を可能にすると共に、暖房により浴室の温度が設定温度に達したときに、リモコンによる報知(浴室の温度が適温になったことの報知)を行うようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、浴室暖房装置にミストノズルから湯を噴霧するミスト噴霧ユニットを組み込み、浴室を暖房しながらミストノズルから湯を噴霧することでサウナ効果を生じさせるミストサウナ機能を備えた構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−195578号公報
【特許文献2】特開2011−52923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された浴室暖房装置においては、浴室リモコンのミストスイッチがオン操作されたときに、暖房ユニットによる浴室内の暖房とミスト噴霧ユニットによる浴室内への湯の噴霧によるミストサウナ運転が開始される。そして、この場合に、特許文献1に記載された温水暖房システムのように、浴室内の温度が設定温度に達した時に報知を行って、浴室内がミストサウナの入り頃になったことを使用者に知らせることが考えられる。
【0006】
しかしながら、浴室暖房装置の暖房能力と湯の噴霧による加湿能力、浴室の広さ、外気温等によっては、ミストサウナ運転を開始して浴室内の温度がミストサウナの設定温度(例えば40℃等)まで上昇したときに、浴室内の湿度がミストサウナの入り頃の状態(90〜100%)に達しない場合がある。
【0007】
そのため、ミストサウナの入り頃を、浴室内の温度が設定温度に達したことのみによって判断したときには、浴室内の加湿が不十分な状態で、ミストサウナの入り頃になったと報知されるおそれがある。そして、この報知により、浴室内がミストサウナの入り頃になったと思って入浴した使用者に、不快感を与えてしまうという不都合がある。
【0008】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、浴室内がミストサウナの入り頃になったことを、確実に判定して報知することができるミストサウナ機能付き浴室暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、浴室内を暖房する暖房ユニットと、ミスト加熱部により加熱生成された湯を浴室内に噴霧するミスト噴霧ユニットと、前記暖房ユニットにより浴室内を暖房しつつ、前記ミスト噴霧ユニットにより浴室内に湯を噴霧するミストサウナ運転を実行する運転制御部とを備えたミストサウナ機能付き浴室暖房装置において、浴室内の絶対湿度を検出する絶対湿度検出部と、前記運転制御部によりミストサウナ運転が開始された後、前記絶対湿度検出部により検出される浴室内の絶対湿度が所定湿度以上になったときに、報知を行なうミストサウナ報知部とを備えたことを特徴とする(第1発明)。
【0010】
第1発明において、浴室内の絶対湿度の上限は浴室内の温度が高くなるに従って増大する。そのため、前記絶対湿度検出部により検出される浴室内の絶対湿度が前記所定湿度以上になるためには、浴室内の温度が前記所定湿度に見合った温度まで上昇する必要がある。すなわち、浴室内の絶対湿度は、浴室内の温度に依存して変化する。
【0011】
そこで、前記ミストサウナ報知部は、前記絶対湿度検出部により検出される浴室内の絶対湿度という1つの要素による簡易な判定処理により、浴室内の温度と湿度が所定レベル以上となったミストサウナの入り頃の状態であることを、確実に判定して報知することができる。
【0012】
また、第1発明において、浴室内の温度を検出する浴室温度センサと、浴室内の相対湿度を検出する相対湿度センサとを備え、前記絶対湿度検出部は、前記相対湿度センサにより検出された浴室内の相対湿度を、前記浴室温度センサにより検出された浴室内の温度に基づいて絶対湿度に変換して、浴室内の絶対湿度を検出することを特徴とする(第2発明)。
【0013】
第2発明によれば、前記絶対湿度検出部は、前記暖房ユニットによる暖房運転のために備えられる前記浴室温度センサを利用して、湿度センサとして一般に使用される前記相対湿度センサの検出湿度を絶対湿度に変換することにより、浴室内の絶対湿度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ミストサウナ機能付き浴室暖房装置の構成図。
【図2】ミストサウナ運転のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図1〜図2を参照して説明する。図1に示すミストサウナ機能付き浴室暖房装置1(以下、浴室暖房装置1という)は、浴室の天井部等に配置された暖房ユニット2とミスト噴霧ユニット5を備えている。
【0016】
暖房ユニット2とミスト噴霧ユニット5は、温水往き管61a及び温水戻り管61bから成る温水循環路61により熱源機6と接続され、温水循環路61を介して、熱源機6から暖房ユニット2とミスト噴霧ユニット5に温水が循環供給される。
【0017】
熱源機6は、リモコンケーブル80によりリモコン7と通信可能に接続されている。また、熱源機6は通信ケーブル81により暖房ユニット2と通信可能に接続されている。さらに、暖房ユニット2は通信ケーブル82によりミスト噴霧ユニット5と通信可能に接続されている。
【0018】
リモコン7には、表示器71とスイッチ部72とスピーカ73とが備えられており、熱源機6は、リモコン7との通信によってスイッチ部72の操作状況を認識する。そして、熱源機6は、スイッチ部72の操作状況に応じて熱源機6と浴室暖房装置1の作動を制御する。また、リモコン7は、熱源機6との通信によって認識した熱源機6と浴室暖房装置1の作動状況を、表示器71に表示する。
【0019】
熱源機6は、温水循環路61内の湯水を加熱しながら循環させる。温水循環路61は、暖房ユニット2側とミスト噴霧ユニット5側の2系統に分岐している。
【0020】
暖房ユニット2は、温水循環路61と接続された暖房熱交換器21、温水往き管61aに設けられて暖房熱交換器21への温水の供給と遮断を切換える熱動弁28、温水往き管61aに設けられて暖房熱交換器21に供給される温水の温度を検出する温水温度センサ29、浴室内の空気を暖房熱交換器21により加熱しながら循環させる循環用ファン22、循環用ファン22を回転駆動する循環用モータ23、循環用ファン22による浴室内への送風方向を変更する風向変更フラップ24、風向変更フラップ24を駆動する風向変更用モータ25、暖房ユニット2の作動状況を表示する暖房表示器26、浴室内の温度を検出する浴室温度センサ30、浴室内の絶対湿度を検出する浴室湿度センサ31、浴室内の空気を排気口45に接続されるダクト(図示しない)から屋外に排出する換気ファン46、及び、暖房ユニット2の全体的な作動を制御する暖房コントローラ47を備えている。
【0021】
暖房コントローラ47は、図示しないCPU、メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された暖房ユニット2用の制御プログラムを実行することによって、暖房ユニット2の作動を制御する。
【0022】
暖房コントローラ47は、リモコン7のスイッチ部72に設けられた暖房スイッチがオン操作されたことを、熱源機6から受信したデータにより認識したときに暖房運転を実行する。暖房コントローラ47は、熱動弁28を開弁して温水循環路61を介した熱源機6からの温水の循環供給を開始し、さらに、循環用モータ23により循環用ファン22を作動させることによって、温風を浴室内に送風する暖房運転を実行する。
【0023】
また、暖房コントローラ47は、リモコン7のスイッチ部72に設けられたスプラッシュミストスイッチがオン操作されたことを、熱源機6から受信したデータにより認識したときにミストサウナ運転を実行する。暖房コントローラ47は、上記暖房運転を実行すると共に、ミストコントローラ57に対して、ミスト噴霧の開始を指示するデータを送信することによって、ミストサウナ運転を実行する。なお、暖房コントローラ47は、ミストサウナ運転を実行する本発明の運転制御部の機能を含んでいる。
【0024】
ミスト噴霧ユニット5は、給水管63接続されて逆止弁59が設けられたミスト水路58、ミスト水路58及び温水循環路61の途中に接続されて、ミスト水路58を流通する水を加熱するミスト熱交換器51(例えば、プレート式の液−液熱交換器)、温水循環路61からミスト熱交換器51への温水の供給流量を調節する流量調節弁52、ミスト水路58を開閉する給水弁53、ミスト水路58から分岐した第1ミスト噴霧管41を開閉する第1ミスト開閉弁54、ミスト水路58から分岐した第2ミスト噴霧管42を開閉する第2ミスト開閉弁55、ミスト水路58の第1ミスト噴霧管41及び第2ミスト噴霧管42への分岐箇所付近の湯水の温度を検出するミスト温度センサ56、及び、ミスト噴霧ユニット5の全体的な作動を制御するミストコントローラ57を備えている。
【0025】
ミストコントローラ57は、図示しないCPU,メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたミスト噴霧ユニット5の制御用プログラムをCPUで実行することにより、ミスト噴霧ユニット5の作動を制御する。
【0026】
ミストコントローラ57は、暖房コントローラ47から受信したデータによりミスト噴霧の開始指示を認識したときに、流量調節弁52を開弁して温水循環路61を介した熱源機6からミスト熱交換器51への温水の循環供給し、さらに、給水弁53と第1ミスト開閉弁54及び第2ミスト開閉弁55を開弁する。これにより、ミスト熱交換器51で加熱生成された湯が、第1ミスト噴霧管41の先端に装着された第1ミストノズル44、及び第2ミスト噴霧管42の先端に装着された第2ミストノズル43から浴室内に噴霧される。
【0027】
次に、図2に示したフローチャートに従って、リモコン7のスイッチ部72に設けられたスプラッシュミストスイッチがオン操作されたときの浴室暖房装置1の一連の作動について説明する。
【0028】
STEP1〜STEP2は暖房コントローラ47による処理である。暖房コントローラ47は、STEP1で、熱源機6から受信したデータにより、ミストサウナ運転の開始指示があったことを認識すると、STEP2に進んで暖房運転を開始する。
【0029】
続くSTEP3〜STEP6はミストコントローラ57による処理である。ミストコントローラ57は、暖房コントローラ47から受信したデータによりミスト噴霧の開始指示を認識すると、STEP3で、流量調節弁52と給水弁53を開弁して、ミスト熱交換器51によるミスト水路58内の水の加熱を開始する。
【0030】
次のSTEP4で、ミストコントローラ57は、暖房コントローラ47との通信により浴室温度センサ30により検出される浴室内の温度(浴室温度)温度Th1を認識し、浴室温度Th1が35℃以上になるのを待ってSTEP5に進む。STEP5で、ミストコントローラ57は、ミスト温度センサ56により検出される、第1ミスト噴霧管41及び第2ミスト噴霧管42との分岐箇所付近のミスト水路58内の水の温度Th2が40℃以上になるのを待つ。
【0031】
そして、ミスト水路58内の水の温度(ミスト温度)Th2が40℃以上になったときにSTEP6に進み、ミストコントローラ57は、第1ミスト開閉弁54と第2ミスト開閉弁55を開弁する。これにより、第1ミストノズル44及び第2ミストノズル43から、浴室内に湯が噴霧される。
【0032】
続くSTEP7〜STEP11は、暖房コントローラ47による処理である。暖房コントローラ47は、STEP7で浴室湿度センサ31により、浴室内の絶対湿度Ahを検出する。なお、STEP7により絶対湿度Ahを検出する構成が、本発明の絶対湿度検出部に相当する。そして、次のSTEP8で、浴室内の絶対湿度Ahが40g/m3(本発明の所定湿度に相当する)以上になったときにSTEP9に進む。
【0033】
本実施形態では、浴室湿度センサ31として絶対湿度センサを用いているので、浴室の絶対湿度Ahを直接検出することができる。そのため、後述する相対湿度センサを用いる場合のように、相対湿度を絶対湿度に変換する際に使用する各温度での飽和水蒸気量のデータをメモリに保持しておく必要がない。また、相対湿度を絶対湿度に変換する処理も不要である。
【0034】
また、浴室内の絶対湿度Ahの最大値は、浴室内の温度に依存して変化するため、絶対湿度Ahを用いることにより、浴室内の温度と湿度の状況を絶対湿度Ahという一つの要素により認識して、浴室内がミストサウナの入り頃の状態となっているか否かを簡易に判定することができる。
【0035】
STEP9で、暖房コントローラ47は、熱源機6に対して、浴室内がミストサウナの準備完了を示すデータを送信する。このデータを受信した熱源機6は、リモコン7に対してミストサウナの準備完了を示すデータを送信する。
【0036】
ミストサウナの準備完了を示すデータを受信したリモコン7は、表示器71にミストサウナの準備完了を報知する表示(例えば、「ミストサウナの入り頃です」の表示)を行うと共に、スピーカ73からミストサウナの準備完了を報知する音声(例えば、「ミストサウナの入り頃になりました」の音声)を出力する。なお、STEP9により、暖房コントローラ47がミストサウナの準備完了をリモコン7により報知する構成は、本発明のミストサウナ報知部に相当する。
【0037】
リモコン7の表示器71及びスピーカ73によるミストサウナの準備完了の報知により、使用者は、浴室がミストサウナの入り頃になっていることを確認して入浴することができる。次のSTEP10で、暖房コントローラ47は、熱源機6からミストサウナ運転の停止を指示するデータを受信したときにSTEP11に進み、暖房運転を停止する。
【0038】
続くSTEP12〜STEP13は、ミストコントローラ57による処理である。ミストコントローラ57は、STEP12で第1ミスト開閉弁54と第2ミスト開閉弁55を閉弁して、第1ミストノズル44及び第2ミストノズル43からの温水の噴霧を停止する。また、STEP13で、ミストコントローラ57は、流量調節弁52と給水弁53を閉弁して、ミスト熱交換器51での加熱を停止してSTEP14に進み、ミストサウナ運転を終了する。
【0039】
なお、本実施形態では、浴室湿度センサ31として絶対湿度センサを用いたが、相対湿度センサを用いてもよい。相対湿度センサを用いる場合には、図2のSTEP8の処理において、相対湿度センサにより検出される相対湿度を、以下の式(1)の関係により、浴室温度センサ30により検出される浴室内の温度Th1を用いて絶対湿度に変換すればよい。
【0040】
RH=m/mwmax(Th1)×100(%) ・・・・・ (1)
但し、RH:浴室内の相対湿度(%)、m:浴室内の絶対湿度(容積絶対湿度)(g/m3)、mwmax(Th1)(g/m3):Th1での飽和水蒸気量。
【0041】
なお、各温度での飽和水蒸気量のデータは、予め暖房コントローラ47のメモリ等に保持しておく必要がある。
【0042】
また、本実施形態では、本発明のミスト加熱部として液々熱交換器を用いた構成を示したが、電気ヒータ等の他の構成によるミスト加熱部を用いてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…ミストサウナ機能付き浴室暖房装置、2…暖房ユニット、5…ミスト噴霧ユニット、6…熱源機、7…リモコン、30…浴室温度センサ、31…浴室湿度センサ、43…第2ミストノズル、44…第1ミストノズル、47…暖房コントローラ、51…ミスト熱交換器(ミスト加熱部)、57…ミストコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内を暖房する暖房ユニットと、
ミスト加熱部により加熱生成された湯を浴室内に噴霧するミスト噴霧ユニットと、
前記暖房ユニットにより浴室内を暖房しつつ、前記ミスト噴霧ユニットにより浴室内に湯を噴霧するミストサウナ運転を実行する運転制御部と
を備えたミストサウナ機能付き浴室暖房装置において、
浴室内の絶対湿度を検出する絶対湿度検出部と、
前記運転制御部によりミストサウナ運転が開始された後、前記絶対湿度検出部により検出される浴室内の絶対湿度が所定湿度以上になったときに、報知を行なうミストサウナ報知部と
を備えたことを特徴とするミストサウナ機能付き浴室暖房装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミストサウナ機能付き浴室暖房装置において、
浴室内の温度を検出する浴室温度センサと、
浴室内の相対湿度を検出する相対湿度センサと
を備え、
前記絶対湿度検出部は、前記相対湿度センサにより検出された浴室内の相対湿度を、前記浴室温度センサにより検出された浴室内の温度に基づいて絶対湿度に変換して、浴室内の絶対湿度を検出することを特徴とするミストサウナ機能付き浴室暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−83380(P2013−83380A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222293(P2011−222293)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】