説明

ミスト機能付浴室暖房装置、並びに、開閉弁の故障判定方法

【課題】本発明は、暖房用熱交換器及びミスト用熱交換器の一次側流路に導入される熱媒を規制する開閉弁の故障を早期に検出することを可能としたミスト機能付浴室暖房装置を提供することを目的とした。
【解決手段】ミスト機能付浴室暖房装置1は、主循環回路12の分岐点15より熱媒体の流れ方向上流側には、共通サーミスタ17が設けられ、さらに分岐点15より下流側には各熱交換器5,6への熱媒体の導入を規制する熱動弁16や比例弁18が設けられている。これにより、共通サーミスタ17が検知する温度変化、他のサーミスタ19との温度差、検知温度が一定領域内にあるか否かの条件うち少なくともいずれか1つの条件基づいて各開閉弁の故障の判定を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内を暖房する暖房装置であって、湯水を霧状にして噴霧する機能を備えたミスト機能付浴室暖房装置、並びに、開閉弁の故障判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、入浴者の心をリラックスさせる効果や、肌の潤いを高める効果がある保湿浴と称される入浴法を家庭の浴室で実施できる保湿浴装置が開発されている。保湿浴とは、高温又は常温の湯水が噴霧された噴霧状雰囲気の浴室に入浴者が入る行為である。
【0003】
ところで、家庭用の保湿浴装置には、単に浴室にノズルだけを取り付けたものや、浴室暖房装置と一体となったミスト機能付浴室暖房装置がある。
【0004】
特許文献1には、屋外側に熱媒体を加熱する熱源と、その熱源で加熱された熱媒体を利用して間接加熱するミスト用液液熱交換器(ミスト用熱交換器)とが備えられ、ミスト用熱交換器で作られた噴霧用の温水を浴室まで送水して噴霧するミスト機能付浴室暖房装置が開示されている。
【0005】
この種のミスト機能付浴室暖房装置は、湯水や熱媒体の流れを制御する開閉弁(電磁弁、比例弁、熱動弁等)等が備えられおり、開閉弁を制御してミスト機能や暖房機能を作動させている。具体的には、ミスト機能を作動させるためには、熱源で加熱された熱媒体をミスト用熱交換器の一次側流路に導入し、暖房機能を作動させるためには、熱源で加熱された熱媒体を暖房用熱交換器の一次側流路に導入する。ミスト機能付浴室暖房装置のミスト機能や暖房機能は、熱源で加熱された熱媒体の流路を規制する開閉弁の正常な作動に依存すると言える。
【0006】
しかしながら、開閉弁は、コイルの焼き付き等によって、弁が閉じた状態で制御不能となる閉故障や、シール材の破れやゴミの咬み込みによって、弁が開いた状態で制御不能となる開故障を起こす場合があることが知られている。そのため、ミスト機能付暖房装置において、いずれかの開閉弁が故障を生じると、ミスト機能や暖房機能が正常に作動されないという問題があった。
【0007】
特許文献1では、ミスト用電磁弁の故障を検出可能なミスト発生装置が開示されている。これにより、早期にミスト用電磁弁の故障を検出可能となった。なお、ミスト用電磁弁は、ミスト用熱交換器の二次側流路を流れる湯水の流れを規制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−271586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、ミスト機能付浴室暖房装置は、前記したように、ミスト用熱交換器の一次側流路への熱媒体の導入を規制する比例弁(開閉弁)や、暖房用熱交換器の一次側流路への湯水の導入を規制する熱動弁(開閉弁)が備えられているため、前記比例弁や熱動弁も、ミスト用電磁弁と同様に故障する場合があり、その場合、結果的にミスト機能や暖房機能が正常に作動されないという問題があった。
【0010】
ここで、暖房機能やミスト機能における、暖房用熱交換器にのみ熱媒体が流れる動作の時には、通常、比例弁は閉止状態が維持されており、ミスト用熱交換器の一次側流路には熱媒体は導入されない。なお、暖房用熱交換器にのみ熱媒体が流れる作動時とは、暖房機能の作動時や、ミスト機能を作動する際に暖房のみが動作している時である。
しかしながら、比例弁が開故障の場合、暖房機能の作動時や、ミスト機能の作動における暖房動作時であってもミスト用熱交換器に無駄に熱媒体が導入されるため、暖房用熱交換器における熱効率が低下する。さらに、この状態においては、噴霧用の温水が流れるミスト用流路は流れがないため、ミスト用熱交換器で二次側流路が過剰に加熱されてミスト用流路内の圧力が上昇して、ミスト用電磁弁の故障を招く懸念がある。
【0011】
また、比例弁が閉故障の場合、ミスト機能作動の際に、ミスト用熱交換器の一次側流路に熱媒体が導入されないため、比例弁の故障が認識されずにミスト機能作動が継続されると、二次側流路を通過する水が加熱されず、冷水の状態で浴室内に噴霧される問題がある。
【0012】
さらに、熱動弁が閉故障の場合は、暖房用熱交換器の一次側流路に熱媒体が導入されないため、熱動弁の故障が認識されずにミスト機能や暖房機能が継続されると、浴室内が暖房されない問題がある。これに伴い、ミスト機能を作動する際に、ミストサウナの効果が低減する問題が生じる。
【0013】
そこで、本発明では、上記した技術的問題に鑑み、暖房用熱交換器及びミスト用熱交換器の一次側流路に導入される熱媒を規制する開閉弁の故障を早期に検出することを可能としたミスト機能付浴室暖房装置、並びに、故障判定方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、加熱された熱媒体と空気との間で熱交換して浴室を暖房する暖房機能を有する暖房用熱交換器と、加熱された熱媒体と水との間で熱交換して浴室に温水を噴霧するミスト機能を有するミスト用液液熱交換器と、暖房用熱交換器と接続された主循環回路と、主循環回路から分岐して暖房用熱交換器に対してミスト用液液熱交換器を並列に接続する副循環流路と、前記暖房用熱交換器とミスト用液液熱交換器を収容する筐体とを備えたミスト機能付暖房装置であって、前記筐体内には、熱媒体の温度を検知する共通温度検知手段と、開閉弁とが設けられ、前記共通温度検知手段は副循環流路が分岐する分岐点より熱媒体の流れ方向上流側に配され、前記開閉弁は共通温度検知手段より下流側でそれぞれの熱交換器への熱媒体の導入を規制可能な位置に配されており、前記ミスト機能を作動する際に、前記共通温度検知手段が検知する温度変化、前記共通温度検知手段が検知する温度と他の温度検知手段が検知する温度との温度差、又は、検知温度が一定領域内にあるか否かの条件のうち、少なくともいずれかに1つの条件に基づいて前記開閉弁の故障の判定を行うことを特徴とするミスト機能付浴室暖房装置である。
【0015】
本発明のミスト機能付浴室暖房装置は、主循環流路上であって、副循環流路が分岐する分岐点より熱媒体の流れ方向上流側に、共通温度検知手段が設けられると共に、共通温度検知手段より下流側でそれぞれの熱交換器への熱媒体の導入を規制可能な位置に開閉弁が設けらており、当該共通温度検知手段により暖房用熱交換器又はミスト用液液熱交換器に導入される熱媒体の温度が検知され、その検知温度の温度変化に基づいて開閉弁の故障の判定を行う構成とされている。
【0016】
具体的には、例えば、所望の機能を作動させるにあたり、いずれか一方又は両方の開閉弁を開状態とする指令が発信されるため、加熱された熱媒体が流れて共通温度検知手段により温度変化が検知される筈である。ところが、開閉弁の開状態を制御する指令が発信されたにも関わらず、共通温度検知手段が温度変化を検知しない場合は、熱媒体の流れがないと認識する。即ち、開状態に制御されるべき開閉弁が閉止状態であると認識して、当該開閉弁の故障を早期に判定することができる。
また、開閉弁を開状態として熱媒体の流れを発生させると、検知温度は一定領域内になる筈である。即ち、例えば、熱源装置における熱媒体の加熱温度を摂氏80度程度とすると、その80度付近の一定領域内の温度を検知することを条件に開閉弁の故障を判定することもできる。換言すると、検知温度に基準を設けることで、故障の判定を行い易くなる。
【0017】
また、別の温度検知手段を加えて、共通温度検知手段の検知温度との温度差を故障の判定を行う条件としても構わない。即ち、例えば、開閉弁を開状態とする指令を発信した回路の検知温度と、開閉弁を閉状態とした回路の検知温度との温度差をみることで、容易に開閉弁の故障を検知することができる。
即ち、この状態においては、所望の動作を正常に実行し得ない場合が発生するため、早期に故障が発見されることは、安全性等からも好ましい。即ち、例えば、安全性の面においては、早期に所望の動作を強制停止することや、使用者に報知する等の措置を講じることが挙げられる。
従って、本発明のミスト機能付浴室暖房装置によれば、分岐点より熱媒体の流れ方向上流側に配した共通温度検知手段を用いて、暖房用熱交換器及びミスト用液液熱交換器に導入される熱媒体を規制する開閉弁の故障が早期に判定できるため、開閉弁の故障が判定された直後に、前記したように、各動作を強制停止したり、使用者に報知すること等の措置を講じることが可能である。
【0018】
また、本発明のミスト機能付浴室暖房装置は、ミスト機能を作動する際に開閉弁の判定を行うため、定期的に実施するメンテナンス等に依存することがなく、従来より開閉弁の故障を早期に発見することができる。さらに、筐体内にミスト用液液熱交換器が収容されているため、水がミスト用液液熱交換器で加熱されてから浴室内に噴霧されるまでの流路が短い。即ち、ミスト用液液熱交換器で加熱された噴霧用温水は、噴霧されるまでの間に熱を殆ど損失しないため、熱効率が高いミスト機能付浴室暖房装置を提供できる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、前記副循環流路上で、ミスト用液液熱交換器の下流側にはさらに液液熱交側温度検知手段が設けられており、前記2つの温度検知手段がそれぞれ検知する熱媒体の温度の温度差に基づいて、開閉弁の開故障及び/又は閉故障の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のミスト機能付浴室暖房装置である。
【0020】
かかる構成によれば、副循環流路上でミスト用液液熱交換器の下流側にさらに液液熱交側温度検知手段が設けられており、共通温度検知手段との検知温度との温度差に基づいて開閉弁の開故障や閉故障の判定を行う構成とされている。即ち、2つの温度検知手段により、開閉弁の故障の判定を行う構成である。
具体的には、例えば、所望の機能を作動させるにあたり、まず、いずれか一方の開閉弁を開状態とする指令が発信されるため、加熱された熱媒体が流れて、共通温度検知手段により温度変化が検知される筈である。ところが、開閉弁の開状態を制御する指令が発信されたにも関わらず、共通温度検知手段が温度変化を検知しない場合は、当該開閉弁が閉故障又は熱媒体の供給がないと認識する。そのため、開閉弁が閉故障であるかをさらに確認するため、次に残りの開閉弁を開状態とする指令が発信され、当該残りの開閉弁側に熱媒体を流して、液液熱交側温度検知手段が検知する温度との温度差をみる。そして、2つの温度検知手段に温度差が検知されると、熱媒体の流れがあると認識して、初めに開状態に制御された開閉弁が閉故障であると判定される。
【0021】
また、一方の開閉弁を開状態とする指令が発信されて、共通温度検知手段により温度変化が検知された場合は、その状態で液液熱交側温度検知手段が検知する温度との温度差をみる。そして、2つの温度検知手段に温度差が検知されなければ、残りの開閉弁側にも熱媒体の流れがあると言えるため、残りの開閉弁が開故障であると判定できる。
従って、本発明のミスト機能付浴室暖房装置によれば、共通温度検知手段に加えて、液液熱交側温度検知手段を設けることで、より確実に開閉弁の閉故障を検知できることに加えて、開故障を早期に判定することが可能となる。これにより、安全性の面からも、経済性の面からもより好ましい措置を、早期に講じることが可能なミスト機能付浴室暖房装置を提供することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、ミスト機能を作動する際には、暖房用熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をして浴室を暖房する暖房動作が実行されるものであって、前記暖房動作の際に、共通温度検知手段により熱媒体の温度上昇が検知されると共に、液液熱交側温度検知手段との温度差が殆どないことを条件に、ミスト用液液熱交換器側の開閉弁が開故障であると判定することを特徴とする請求項2に記載のミスト機能付浴室暖房装置である。
【0023】
かかる構成によれば、ミスト機能作動時の暖房動作の際に、共通温度検知手段が温度の上昇を検知しつつも、液液熱交側温度検知手段との温度差が殆ど検知されなかった場合に、ミスト用液液熱交換器側の開閉弁が開故障であると判定する構成とされているため、開閉弁が開故障した状態でミスト機能が作動することを直ちに防止できる。これにより、ミスト用液液熱交換器側に無駄に熱媒体が流れることが阻止されるため、熱効率が低減することがなく、経済的である。
さらに、この構成によれば、ミスト用液液熱交換器における熱媒体に加熱される側(二次側)においては、流れがない状態でミスト用の水が加熱されることが防止できるため、二次側流路内の圧力が上昇して、ミスト用の開閉弁の故障を招く恐れがなく、安全性が高い。
【0024】
請求項4に記載の発明は、ミスト機能を作動する際には、暖房用熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をして浴室を暖房する暖房動作が実行されるものであって、共通温度検知手段により熱媒体の温度上昇が検知されると共に、2つの温度検知手段に温度差がある場合には、さらにミスト用液液熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をし、その状態における2つの温度検知手段がそれぞれ検知する熱媒体の温度に温度差があることを条件に、ミスト用液液熱交換器側の開閉弁の閉故障を判定することを特徴とする請求項2に記載のミスト機能付浴室暖房装置である。
【0025】
かかる構成によれば、ミスト機能作動時の暖房動作の際に、共通温度検知手段が熱媒体の温度上昇を検知すると共に、液液熱交側温度検知手段との温度差が検知された場合には、さらにミスト用液液熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をし、その状態における2つの温度検知手段の温度差が検知された場合に、ミスト用液液熱交換器側の開閉弁が閉故障であることを判定する構成とされているため、開閉弁が閉故障した状態でミスト機能が作動することを防止できる。これにより、ミスト用の水が加熱されることなく浴室に噴霧されることを阻止できるため、使用者が不快を感じることがない。
【0026】
請求項5に記載の発明は、ミスト機能を作動する際には、暖房用熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をして浴室を暖房する暖房動作が実行されるものであって、前記暖房動作の際に、共通温度検知手段により熱媒体の温度上昇が検知されなかった場合、さらにミスト用液液熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をし、その状態における共通温度検知手段が検知する熱媒体の温度変化に基づいて、暖房用熱交換器側の開閉弁の閉故障を判定することを特徴とする請求項1に記載のミスト機能付浴室暖房装置である。
【0027】
かかる構成によれば、ミスト機能作動時の暖房動作の際に、共通温度検知手段が温度上昇を検知しなかった場合には、さらにミスト用液液熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をし、その状態における共通温度検知手段が検知する熱媒体の温度変化に基づいて、暖房用熱交換器側の開閉弁が閉故障であることを判定する構成とされているため、当該開閉弁が閉故障した状態でミスト機能が作動することを防止できる。これにより、浴室が暖房されずにミストが噴霧されることが回避できるため、冷えた浴室内にミストが噴霧されて、ミストサウナの効果が低減して、使用者に不快を招くことを防止できる。
【0028】
請求項6に記載の発明は、開故障又は閉故障が判定された場合に、当該故障を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト機能付浴室暖房装置である。
【0029】
かかる構成によれば、故障の報知がされるため、使用者に故障を早期に認識させることができる。これにより、早期に修理業者に依頼して、故障の解決を図ることができる。
【0030】
請求項7に記載の発明は、開閉弁の故障判定中に、他の機能を作動させる動作変更が行われた場合、当該故障判定が強制的に中断されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のミスト機能付浴室暖房装置である。
【0031】
かかる構成によれば、開閉弁の故障判定中に、他の機能を作動させる動作変更が行われた場合、当該故障判定が強制的に中断されるため、他の機能を作動を妨げない。即ち、動作変更が行われても、従来通りスムーズな機能の切り替えが可能である。
【0032】
請求項8に記載の発明は、主循環回路上に設けられ、加熱された熱媒体と空気との間で熱交換して浴室を暖房する暖房用熱交換器と、副循環回路上に設けられ、加熱された熱媒体と水との間で熱交換して浴室に温水を噴霧するミスト用液液熱交換器と、各熱交換器に対して熱媒体の導入を規制する開閉弁と、各熱交換器に導入される熱媒体の温度を検知する共通温度検知手段とを備え、副循環回路は主循環回路から分岐してミスト用液液熱交換器を暖房用熱交換器に対して並列に接続しており、当該分岐点の熱媒体の流れ方向上流側に前記共通温度検知手段が配されたミスト機能付浴室暖房装置の開閉弁の故障判定方法であって、暖房用熱交換器側の開閉弁を開状態とする指令があると、前記共通温度検知手段により熱媒体の温度変化が検知され、当該温度変化の有無により、さらに前記共通温度検知手段の温度変化、前記共通温度検知手段の検知温度と他の温度検知手段の検知温度の温度差、あるいは前記共通温度検知手段が検知する温度が一定領域内にあるか否かの判断のうち、すくなくともいずれか1つの判断を実行し、いずれの開閉弁が故障しているか否かを判定できることを特徴とする開閉弁の故障判定方法である。
【0033】
本発明の開閉弁の故障判定方法によれば、分岐点より熱媒体の流れ方向上流側に配した共通温度検知手段を用いて、暖房用熱交換器及びミスト用液液熱交換器に導入される熱媒体を規制する開閉弁の故障が早期に判定できるため、開閉弁の故障が判定された直後に、前記したように、各動作を強制停止したり、使用者に報知すること等の措置を講じることが可能である。
【発明の効果】
【0034】
本発明のミスト機能付浴室暖房装置、並びに、開閉弁の故障判定方法は、ミスト機能の作動時における、温度検知手段が検知する温度変化に基づいて、暖房用熱交換器及びミスト用熱交換器の一次側流路に導入される熱媒を規制する開閉弁の故障を早期に検出することができる。これにより、安全性が高く、経済的なミスト機能付浴室暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態を示すミスト機能付浴室暖房装置の配管回路図である。
【図2】図1のミスト機能付浴室暖房装置の暖房モード時の熱媒体の流れを示す説明図である。
【図3】浴室室内機におけるミスト運転の一般的な動作を示すフローチャートである。
【図4】図1のミスト機能付浴室暖房装置のミストモード時の熱媒体及び湯水の流れを示す説明図である。
【図5】図1のミスト機能付浴室暖房装置の熱動弁又は比例弁の故障を判定する動作を示すフローチャートである。
【図6】図1のミスト機能付浴室暖房装置における熱動弁が閉故障である場合の熱媒体の流れを示す説明図である。
【図7】図1のミスト機能付浴室暖房装置における熱動弁及び比例弁の閉故障である場合の熱媒体の流れを示す説明図である。
【図8】図1のミスト機能付浴室暖房装置における比例弁の開故障である場合の熱媒体の流れを示す説明図である。
【図9】図1のミスト機能付浴室暖房装置における比例弁の閉故障である場合の熱媒体の流れを示す説明図である。
【図10】図1のミスト機能付浴室暖房装置のミストモード時のミスト用電磁弁が開状態となる直前の熱媒体の流れを示す説明図である。
【図11】図1のミスト機能付浴室暖房装置のミスト用電磁弁の故障を判定する動作を示すフローチャートである。
【図12】主循環回路の誤接続を示す配管回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0037】
本発明の実施形態のミスト機能付浴室暖房装置1は、浴室内に取り付けられる浴室室内機2により構成されており、その浴室室内機2と配管を介して接続された熱源装置3によって加熱された熱媒体が浴室室内機2に供給される。即ち、ミスト機能付浴室暖房装置1は、浴室内を暖房する暖房機能と、浴室内に霧状の湯水を噴霧するミスト機能を作動させることができる装置である。
【0038】
浴室室内機2は、浴室の上部側(天井に近い側面)に配置されるもので、暖房用熱交換器5と、ミスト用液液熱交換器6と、送風機7と、制御装置8とが筐体10内に収容され、4つのミストノズル11がその筐体10の下方(図1)から浴室側に露出するように設けられている。
【0039】
暖房用熱交換器5は、気液熱交換器であり、熱源装置3から熱媒体の供給を受けて浴室内を暖房するものである。そのため、暖房用熱交換器5は、熱媒体が流れる一次側流路に、熱媒体を導入する熱媒導入口25と、熱媒体を吐出する熱媒吐出口26が設けられている。また、暖房用熱交換器5の近傍には、送風機7が設けられている。即ち、送風機7によって浴室内の空気が筐体10内に一旦取り込まれ、その取り込まれた空気が暖房用熱交換器5と接触することで、浴室側に加熱した空気が浴室側に吹き出されて、浴室内を暖房する。
【0040】
より具体的に説明すると、暖房用熱交換器5は、後述する熱源装置3との間を循環する主循環回路12に接続されている。
ここで、主循環回路12は、浴室室内機2の内部に配置された室内機側流路35と、主に屋外に延びて熱源装置3に接続された屋外側流路36とが接続されて形成されている。即ち、熱媒体は、主循環回路12を介して暖房用熱交換器5と熱源装置3との間を循環することができる。
そして、主循環回路12には、暖房用熱交換器5の熱媒導入口25よりも熱媒体の流れ方向上流側に共通サーミスタ(共通温度検知手段)17と、公知の熱動弁(開閉弁)16が設けられている。
【0041】
熱動弁16は、暖房用熱交換器5に熱媒体が導入されるのを規制するもので、通電することで、流路の断面積をゆっくりと開方向に拡大することができる常時閉型の弁である。
共通サーミスタ17は、測温抵抗体であり、本実施形態では、熱媒体の温度を検知するものである。
【0042】
ミスト用液液熱交換器6は、外観形状が直方体のプレート式熱交換器であり、熱源装置から供給を受けて噴霧用の水を加熱するものである。ミスト用液液熱交換器6は、熱源装置3から供給される熱媒体が通過する一次側流路と、給水源から供給される水が通過する二次側流路とを有しており、一次側流路と二次側流路が交互に積層されて構成されている。そして、ミスト用液液熱交換器6は、一次側流路においては、熱媒体を導入する熱媒導入口27と、熱媒体を吐出する熱媒吐出口28とが設けられ、二次側流路には、低温の水を導入する水導入口30と、加熱された温水を吐出する温水吐出口31とが設けられている。
【0043】
より具体的に説明すると、ミスト用液液熱交換器6は、主循環回路12から分岐し(分岐点15)、主循環回路12と並列に接続された副循環回路13に接続されている。
ここで、分岐点15は、筐体10内における、暖房用熱交換器5の熱媒導入口25に接続されるまでの主循環回路12上に配置されている。
即ち、副循環回路13は、熱媒体の流れ方向上流側端部が分岐点15に接続されると共に、副循環回路13の下流側端部が、主循環回路上12における、暖房用熱交換器5の熱媒吐出口26から吐出する熱媒体とミスト用液液熱交換器6の熱媒吐出口28から吐出する熱媒体とが合流する位置に接続されている。従って、ミスト用液液熱交換器6は、暖房用熱交換器5に対して並列した位置関係に配されている。
なお、前記した共通サーミスタ17は、分岐点15より熱媒体の流れ方向上流側で、分岐点15の近傍に配置されているため、暖房用熱交換器5とミスト用液液熱交換器6のいずれの熱交換器に導入される熱媒体の温度も検知することができる。また、熱動弁16は分岐点15より下流側に配置されている。
【0044】
そして、副循環回路13には、ミスト液液熱交換器6を基準に、熱媒体の流れ方向上流側(熱媒導入口27より上流側)に比例弁(開閉弁)18が設けられ、熱媒体の流れ方向下流側(熱媒吐出口28より下流側)に液液熱交側サーミスタ(液液熱交側温度検知手段)19が設けられている。即ち、比例弁18により、ミスト液液熱交換器6への熱媒体の導入が規制され、液液熱交側サーミスタ19により、ミスト液液熱交換器6を通過した熱媒体の温度が検知される。
比例弁18は、流量調整が可能な公知の比例弁で、常時閉型の弁である。
液液熱交側サーミスタ19は、上記した共通サーミスタ17と同様で、公知の温度センサである。
【0045】
従って、熱源装置3から供給される熱媒体は、熱動弁16が開状態であれば、主循環回路12を流れて、共通サーミスタ17で温度が検知され、暖房用熱交換器5を通過して熱源装置3に戻る。一方、比例弁18が開状態であれば、熱源装置3から供給される熱媒体は、主循環回路12の前半部分を流れ、共通サーミスタ17で温度が検知されてから分岐点15を介して副循環回路13に流れて、ミスト用液液熱交換器6を通過して、さらに液液熱交側サーミスタ19で温度が検知されて、再び主循環回路12の後半部分を流れて熱源装置3に戻る。
【0046】
一方、ミスト用液液熱交換器6の二次側流路は、水導入口30が図示しない給水源と接続された給水管32により接続されており、温水吐出口31がミストノズル11に至るミスト噴霧用配管22と接続されている。
給水管32は、屋外側給水管32aと室内機側給水管32bとにより構成されており、屋外側給水管32aの中途には、減圧弁33が設けられ、室内機側給水管32bの中途には逆止弁34が設けられている。
ミスト噴霧用配管22には、中途にミスト用サーミスタ23と、ミスト用電磁弁24が設けられている。
即ち、図示しない給水源から水が供給されると、ミスト用液液熱交換器6の一次側流路を流れる熱媒体と熱交換して加熱され、ミスト噴霧用配管22を介して、ミストノズル11から温水が霧状に噴霧される。
【0047】
送風機7は、ファン7aとファンモータ7bとにより構成されており、暖房用熱交換器5を流れる熱媒体と熱交換する空気の流れを形成可能な位置に配されている。具体的には、送風機7は、筐体10のほぼ中心に位置し、その周囲を覆うように暖房用熱交換器5が配置されている。即ち、送風機7を運転することで、筐体10の上側(図1)から空気が吸い込まれ、その空気は暖房用熱交換器5を通過するように送風機7側(筺体10の中心側)に流れ、そして暖房用熱交換器5で加熱された空気が筐体10の下側から吹き出される。
【0048】
制御装置8は、リモコン(操作手段)14や浴室室内機2に設けられた操作部2aにより所望の操作が行われると、その操作機能を実行するように各機器に指令を発信可能なものである。
【0049】
熱源装置3は、屋外に配置されるもので、燃焼装置20と、熱交換器21と、図示しない循環ポンプを備えており、燃焼装置20で発生した燃焼ガスと熱交換器21を通過する水を主体とする熱媒体との間で熱交換させて、加熱された熱媒体を浴室室内機2側に供給するものである。なお、熱源装置3で加熱される熱媒体の温度は、摂氏80度程度に設定されている。
【0050】
次に、本実施形態のミスト機能付給湯装置1の機能について説明する。
なお、以下の説明に用いる図2,4,6〜10における回路内の黒塗りは、流れがある熱媒体を表しており、ドット模様が描かれた開閉弁は、開閉弁の故障を表している。
【0051】
本実施形態のミスト機能付給湯装置1は、熱源装置3で熱媒体を加熱して、図示しない循環ポンプを運転して循環回路内に加熱された熱媒体を循環させて、暖房やミストに供するものであり、運転モードとして暖房モードやミストモードを備えている。なお、いずれのモードも、浴室室内機2に備えられた操作部2aやリモコン14を操作することで、制御装置8に入力されて実行される。
また、ミストモードが実行される際には、最初に、浴室室内機2に備えられた開閉弁(熱動弁16、比例弁18、ミスト用電磁弁24)の故障の判定動作が実行される。
以下に順番に説明する。
【0052】
暖房モードでは、熱源装置3の燃焼装置21を稼働させ、図示しない循環ポンプを運転し、浴室室内機2内の熱動弁16を開いて、熱源装置3で加熱された熱媒体を主循環回路12内に循環させる。これにより、図2に示すように、暖房用熱交換器5の一次側流路に加熱された熱媒体が流れる。
また、これらの動作と並行して、送風機7が運転されるため、暖房用熱交換器5で熱交換された空気が浴室内に吹き出されて浴室が暖房される。
【0053】
また、一般的なミストモードにおいては、図3のフローチャートに示すように、まず、浴室内を暖房する暖房動作が実行される。即ち、暖房動作は前記した暖房モードと同様に、熱源装置3で加熱された熱媒体を、図示しない循環ポンプを運転して主循環回路12に循環させて、暖房用熱交換器5に流し、送風機7により吸い込まれた空気と熱交換させて、浴室内を暖房する(STEP1、図2)。
【0054】
そして、暖房動作が実行されてから所定時間の間、浴室内が暖房されるのを待つ(STEP2)。これにより、噴霧されるミストが、浴室内の空気に熱が必要以上に奪われることがない。そして、暖房動作が実行されてから所定時間経過後、副循環回路13に熱媒体を流すため、比例弁18を開ける(STEP3)。これにより、主循環回路12を循環する熱媒体の一部が分岐して、ミスト用液液熱交換器6の一次側流路に導入される。
【0055】
そして、比例弁18を開けてから所定時間が経過すると(STEP4)、ミスト用液液熱交換器6の二次側流路を流れる水が図示しない給水源から送水される。具体的には、給水源からの送水とほぼ同時に、減圧弁33が適正開度に調整されると共に、ミスト用電磁弁24が開けられる(STEP5)。そして、給水源から送水される水は、給水管32とミスト用液液熱交換器6とミスト噴霧用配管22を介して浴室内に噴霧される。従って、図4に示すように、ミスト用液液熱交換器6で高温の熱媒体と熱交換した水が、温水の状態でミストノズル11から噴霧される。
【0056】
次に、ミストモードを運転する際に実行される開閉弁(熱動弁16、比例弁18、ミスト用電磁弁24)の故障の判定動作について説明する。
【0057】
本実施形態では、日常的に、運転モードにおけるミストモードを実行する際には、開閉弁の故障の判定動作が行われる。以下、図5のフローチャートに従って説明する。
【0058】
浴室室内機2の操作部2aやリモコン14により、ミストモードが選択されると、前記したように、熱動弁16を開状態とする指令が発信され、熱源装置3において図示しない循環ポンプを運転して、加熱された熱媒体が浴室室内機2側に供給される(STEP1)。このとき、熱動弁16が指令通りに開いていれば、主循環回路12に熱媒体の流れが発生すると共に、主循環回路12のいずれの位置に置いても温度変化が発生する筈である。そこで、STEP2では、主循環回路12の分岐点15より上流側に配された共通サーミスタ17で温度変化を検知する。即ち、共通サーミスタ17により、温度の昇温(熱源装置3において設定された加熱温度で摂氏80度程度)が検知されると、熱動弁16が正常に作動していることが判定される。この時の熱媒体の流れは、図2で示した暖房モードと同様である。
【0059】
一方、STEP2で共通サーミスタ17が温度の昇温を検知しなかった場合は、STEP7に進み、所定時間の経過を待ち、比例弁18を開状態とする指令が発信される(STEP8)。この指令により、比例弁18が開状態となり、共通サーミスタ17の温度上昇があることが確認されると(STEP9)、図6に示す状態となり、熱媒体の流れがあると認識されるため、熱媒体の供給はあるが熱動弁18は正常に作動していないと認識されるため、熱動弁16は閉故障であることが判定される。なお、故障の判定結果は、浴室暖房装置2の操作部2aやリモコン14に報知される。
また、STEP9において、共通サーミスタ19の温度上昇がない場合は、熱媒体の流れがないため(図7に示す状態)、熱動弁16及び比例弁18が閉故障、あるいは熱媒体の供給がないと判定される。
【0060】
STEP2で共通サーミスタ17が温度の昇温を検知した場合の説明に戻ると、共通サーミスタ17が温度の昇温を検知した場合、熱動弁16が正常に作動していることが判定される。そして、STEP3に進み、共通サーミスタ17と液液熱交側サーミスタ19との温度差が確認される。即ち、このとき、共通サーミスタ17と液液熱交側サーミスタ19との温度差(摂氏30度〜50度程度)があることが確認されると、副循環回路13に流れがあると認識される。即ち、開状態とする指令が発信されていない比例弁18が開状態であるということとなり(図8に示す状態)、比例弁18が開故障であると判定される。
【0061】
STEP3で、共通サーミスタ17と液液熱交側サーミスタ19との温度差がない場合は、いずれの開閉弁(16,18)も故障していないであろうという仮定の下、ミストモードの運転を継続する。即ち、STEP4では、所定時間の間、浴室が暖房される。そして、所定時間経過後、比例弁18を開状態とする指令が発信される(STEP5)。その後、再び共通サーミスタ17と液液熱交側サーミスタ19との温度差が確認される(STEP6)。STEP6で温度差があると確認されると、副循環回路13には熱媒体の流れがないと認識されるため(図9に示す状態)、比例弁18が閉故障であると判定される。
【0062】
一方、STEP6で共通サーミスタ17と液液熱交側サーミスタ19との温度差がない場合は、熱動弁16と比例弁18は共に指令通り作動し、主循環回路12及び副循環回路13には熱媒体の流れがあると認識されるため(図10に示す状態)、熱動弁16及び比例弁18が正常に作動していると判定される。
即ち、本実施形態のミスト機能付浴室暖房装置1は、共通サーミスタ17のみ、又は、共通サーミスタ17と液液熱交側サーミスタ19を用いることで、熱動弁16又は比例弁18の閉故障あるいは開故障を判定することができる。また、開閉弁の故障判定は、日常的に作動させるミストモードの中で自動的に実行されるため、使用者が煩わしさを感じることがない。
【0063】
そして、熱動弁16と比例弁18が正常であると判定されると、さらにミストモードの運転が進行し、図11のフローチャートに従う。即ち、図11のSTEP1に進み、図示しない給水源からミスト用の水が送水され、ミスト用電磁弁24を開状態とする指令が発信される。そして、この指令後、ミスト用サーミスタ23によりミスト噴霧用配管22の温度が検知される(STEP2)。このとき、ミスト用サーミスタ23により温度の昇温が検知されなかった場合、ミスト噴霧用配管22内に温水の流れがないと認識され(図10の状態が維持された状態)、ミスト用電磁弁24が閉故障であると判定される。
【0064】
一方、図11のSTEP2で、ミスト用サーミスタ23の温度の昇温が確認されると、ミスト噴霧用配管22に温水の流れがあることが認識されるため、ミスト用電磁弁24は正常に作動していると判定される。そして、開閉弁の故障がいずれの箇所にもないことが確認されると、図4に示す状態となり、通常運転として浴室内に霧状の温水が噴霧される。
なお、熱動弁16や比例弁18の故障の判定動作中に、他の機能(例えば、暖房モード)の動作指令が発信されると、継続中の判定動作は強制的に中断されて、選択されたモードにスムーズに移行することができる。
【0065】
次に、上記した共通サーミスタ17及び液液熱交側サーミスタ19を用いた浴室室内機2と熱源装置3を接続する際の配管の誤接続を検出する方法について説明する。
【0066】
一般的に、ミスト機能付浴室暖房装置は、工場で製作された浴室室内機と熱源装置を施工現場(例えば一般家屋)に取り付けて、それらを配管で接続するものである。
具体的には、先にも説明したが、浴室室内機2に配された室内機側流路35と、熱源装置3と接続され主に屋外に配される屋外側流路36とを接続することで主循環回路12が形成され、浴室室内機2と熱源装置3とが接続された関係となる。これにより、熱源装置3で加熱された熱媒体が、主循環回路12を介して熱源装置3と浴室室内機2との間を循環することが可能となる。このとき、図1に示すように、室内機側流路35の往き側の端部と屋外側流路36の往き側の端部とを一致させ、室内機側流路35の戻り側の端部と屋外側流路36の戻り側の端部とを一致させて接続する必要がある。
【0067】
ところが、しばしば、室内機側流路35と屋外側流路36とを接続する際に、図12に示すように、室内機側流路35の往き側の端部と屋外側流路36の戻り側の端部を一致させ、室内機側流路35の戻り側の端部と屋外側流路36の往き側の端部とを一致させて接続する所謂誤接続をしてしまう場合があった。これにより、ミストモードにおける噴霧温度が適正温度より高温となる問題があった。
【0068】
しかしながら、ミスト機能付浴室室内機では、誤接続による接続であっても、暖房モード及びミストモードを作動させることができるため、浴室室内機2と熱源装置3との接続を行う作業者はこの誤接続を検出することができず、その状態で使用者に引き渡される不満があった。なお、従来のミスト機能付浴室室内機であっても、ミストモードの試運転時に、ミスト用サーミスタが高温を検知して異常であると判定する場合があるが、積極的に誤接続を検出する構成ではないため、この判定により誤接続が解消されることはなかった。
【0069】
そこで、本実施形態のミスト機能付浴室暖房装置1では、先に説明した開閉弁の故障を判定する共通サーミスタ17や液液熱交側サーミスタ19を用いて、主循環回路12の誤接続を積極的に検出できる構成とされている。
【0070】
まず、共通サーミスタ17のみを用いて、配管の誤接続を検出する方法について説明する。
ここで、正常に主循環回路12が接続された場合(図1)について説明すると、試運転として、暖房モード又はミストモード(暖房動作)を作動させると、共通サーミスタ17は、熱源装置3で設定された熱媒体の加熱温度(摂氏80度程度に設定)とほぼ同等の温度を検知する。即ち、この場合、熱源装置3から共通サーミスタ17に至るまでに熱を奪われる要素がないため、熱媒体は殆ど熱損失することなく共通サーミスタ17を通過する。
【0071】
ところが、主循環回路12が誤接続された場合は(図12)、試運転として、暖房モード又はミストモードの暖房作動を作動させると、共通サーミスタ17は、熱源装置3で設定された熱媒体の加熱温度より低い温度を検知する。即ち、この場合、熱源装置3から共通サーミスタ17に至るまでに、暖房用熱交換器5を通過するため、熱媒体は暖房用熱交換器5で空気と熱交換され、共通サーミスタ17で低い温度が検知される。
従って、暖房モード又はミストモードを試運転とした際に、共通サーミスタ17が検知する熱媒体の温度が、熱源装置3で設定された加熱温度と同程度又はそれより低いかが判定されることで、主循環回路12が誤接続か否かかを検出することができる。
【0072】
次に、共通サーミスタ17及び液液熱交側サーミスタ19を用いて、配管の誤接続を検出する方法について説明する。
2つのサーミスタ17,19を用いて誤接続の判定を行う場合は、ミストモードの動作を試運転として採用する。即ち、熱動弁16及び比例弁18が開状態となった時点(図3のSTEP3)での共通サーミスタ17と液液熱交側サーミスタ19の検知温度を比較する。
【0073】
正常に主循環回路12が接続されていれば、共通サーミスタ17で検知される温度Aは、前記したように、熱源装置3で設定された加熱温度(摂氏80度程度に設定)を示す。また、液液熱交側サーミスタ19で検知される温度Bは、熱媒体が液液熱交側サーミスタ19に至るまでにミスト用液液熱交換器6を通過して、ミスト用液液熱交換器6でミスト用の水と熱交換されるため、熱源装置3で設定された加熱温度より低い温度を示す。即ち、共通サーミスタ17で検知される温度Aは、液液熱交側サーミスタ19で検知される温度Bより高くなる。
【0074】
ところが、主循環回路12が誤接続されていれば、共通サーミスタAで検知される温度Aは、液液熱交側サーミスタ19で検知される温度Bより低くなる。即ち、この場合、共通サーミスタ17に至る熱媒体は、暖房用熱交換器5を通過して空気と熱交換するため、熱源装置3で設定された加熱温度より低くなり、液液熱交側サーミスタ19に至る熱媒体は、ミスト用液液熱交換器6を通過することがないため、熱源装置3で設定される加熱温度とほぼ同程度の温度となる。即ち、共通サーミスタ17で検知される温度Aは、液液熱交側サーミスタ19で検知される温度Bより低くなる。
従って、ミストモードの試運転の際に、共通サーミスタで検知される温度Aと液液熱交側サーミスタで検知される温度Bとを比較して、共通サーミスタ17で検知される温度Aが液液熱交側サーミスタ19で検知される温度Bより高いか否かを判定することで、主循環回路12が誤接続か否かかを検出することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ミスト機能付浴室暖房装置
2 浴室室内機
3 熱源装置
5 暖房用熱交換器
6 ミスト用液液熱交換器
12 主循環回路
13 副循環回路
14 リモコン(操作手段)
15 分岐点
16 熱動弁(開閉弁)
17 共通サーミスタ(共通温度検知手段)
18 比例弁(開閉弁)
19 液液熱交側サーミスタ(液液熱交側温度検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された熱媒体と空気との間で熱交換して浴室を暖房する暖房機能を有する暖房用熱交換器と、加熱された熱媒体と水との間で熱交換して浴室に温水を噴霧するミスト機能を有するミスト用液液熱交換器と、暖房用熱交換器と接続された主循環回路と、主循環回路から分岐して暖房用熱交換器に対してミスト用液液熱交換器を並列に接続する副循環流路と、前記暖房用熱交換器とミスト用液液熱交換器を収容する筐体とを備えたミスト機能付暖房装置であって、
前記筐体内には、熱媒体の温度を検知する共通温度検知手段と、開閉弁とが設けられ、
前記共通温度検知手段は副循環流路が分岐する分岐点より熱媒体の流れ方向上流側に配され、前記開閉弁は共通温度検知手段より下流側でそれぞれの熱交換器への熱媒体の導入を規制可能な位置に配されており、
前記ミスト機能を作動する際に、前記共通温度検知手段が検知する温度変化、前記共通温度検知手段が検知する温度と他の温度検知手段が検知する温度との温度差、又は、検知温度が一定領域内にあるか否かの条件のうち、少なくともいずれかに1つの条件に基づいて前記開閉弁の故障の判定を行うことを特徴とするミスト機能付浴室暖房装置。
【請求項2】
前記副循環流路上で、ミスト用液液熱交換器の下流側にはさらに液液熱交側温度検知手段が設けられており、
前記2つの温度検知手段がそれぞれ検知する熱媒体の温度の温度差に基づいて、開閉弁の開故障及び/又は閉故障の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のミスト機能付浴室暖房装置。
【請求項3】
ミスト機能を作動する際には、暖房用熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をして浴室を暖房する暖房動作が実行されるものであって、
前記暖房動作の際に、共通温度検知手段により熱媒体の温度上昇が検知されると共に、液液熱交側温度検知手段との温度差が殆どないことを条件に、ミスト用液液熱交換器側の開閉弁が開故障であると判定することを特徴とする請求項2に記載のミスト機能付浴室暖房装置。
【請求項4】
ミスト機能を作動する際には、暖房用熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をして浴室を暖房する暖房動作が実行されるものであって、
共通温度検知手段により熱媒体の温度上昇が検知されると共に、2つの温度検知手段に温度差がある場合には、さらにミスト用液液熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をし、その状態における2つの温度検知手段がそれぞれ検知する熱媒体の温度の温度差があることを条件に、ミスト用液液熱交換器側の開閉弁の閉故障を判定することを特徴とする請求項2に記載のミスト機能付浴室暖房装置。
【請求項5】
ミスト機能を作動する際には、暖房用熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をして浴室を暖房する暖房動作が実行されるものであって、
前記暖房動作の際に、共通温度検知手段により熱媒体の温度上昇が検知されなかった場合、さらにミスト用液液熱交換器側の開閉弁を開状態とする制御をし、その状態における共通温度検知手段が検知する熱媒体の温度変化に基づいて、暖房用熱交換器側の開閉弁の閉故障を判定することを特徴とする請求項1に記載のミスト機能付浴室暖房装置。
【請求項6】
開故障又は閉故障が判定された場合に、当該故障を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト機能付浴室暖房装置。
【請求項7】
開閉弁の故障判定中に、他の機能を作動させる動作変更が行われた場合、当該故障判定が強制的に中断されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のミスト機能付浴室暖房装置。
【請求項8】
主循環回路上に設けられ、加熱された熱媒体と空気との間で熱交換して浴室を暖房する暖房用熱交換器と、副循環回路上に設けられ、加熱された熱媒体と水との間で熱交換して浴室に温水を噴霧するミスト用液液熱交換器と、各熱交換器に対して熱媒体の導入を規制する開閉弁と、各熱交換器に導入される熱媒体の温度を検知する共通温度検知手段とを備え、副循環回路は主循環回路から分岐してミスト用液液熱交換器を暖房用熱交換器に対して並列に接続しており、当該分岐点の熱媒体の流れ方向上流側に前記共通温度検知手段が配されたミスト機能付浴室暖房装置の開閉弁の故障判定方法であって、
暖房用熱交換器側の開閉弁を開状態とする指令があると、前記共通温度検知手段により熱媒体の温度変化が検知され、当該温度変化の有無により、さらに前記共通温度検知手段の温度変化、前記共通温度検知手段の検知温度と他の温度検知手段の検知温度の温度差、あるいは前記共通温度検知手段が検知する温度が一定領域内にあるか否かの判断のうち、すくなくともいずれか1つの判断を実行し、いずれの開閉弁が故障しているか否かを判定できることを特徴とする開閉弁の故障判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−94885(P2011−94885A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249536(P2009−249536)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(503116659)ノーリツエレクトロニクステクノロジー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】