ミスト洗浄装置付き便器
【課題】人手による清掃作業を頻繁に行わなくても、便器の隅々まで十分に洗浄することができて、便器の清掃作業の手間を大幅に削減することができるミスト洗浄装置付き便器を提供する。
【解決手段】径が０．１〜５０μｍ程度のミストを発生させるミスト洗浄装置３を備え、このミスト洗浄装置３で発生されたミストが便器２内の密閉空間２１内に吐出するように、当該ミスト洗浄装置３が便器２に連結されて備えられたものであり、同ミスト洗浄装置３は、超音波振動子、スチーム発生器、圧力噴霧器のいずれか一つのミスト生成用のミスト発生器５を備えている。
【解決手段】径が０．１〜５０μｍ程度のミストを発生させるミスト洗浄装置３を備え、このミスト洗浄装置３で発生されたミストが便器２内の密閉空間２１内に吐出するように、当該ミスト洗浄装置３が便器２に連結されて備えられたものであり、同ミスト洗浄装置３は、超音波振動子、スチーム発生器、圧力噴霧器のいずれか一つのミスト生成用のミスト発生器５を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、洗浄液を微粒子状にしたミストによって便器の汚れを洗浄するミスト洗浄装置付き便器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、便器に付着した汚れを除去するのには手間がかかり、特に、便器本体のボウル内壁やボウル部の溜水との境界などに付着した汚れを除去する作業は不愉快で面倒な作業であった。その対策として、便器本体のボウル部内壁を流れる水の流れ方や水量を工夫することにより、洗浄性を高めるようにしたものが広く提供されている。
【０００３】
しかし、便器本体のボウル部内壁は洗浄することができても、便座や便蓋、さらに便器本体の便座が載置されるかつら面などは依然として基本的にはふき取り清掃に頼らざるを得ないのが現状である。このため、便蓋が簡単に着脱できるような構造にしたり、できるだけシンプルな構造にすることで、清掃し易いようにしている。
【０００４】
また、他の従来技術では、浴槽上部に設置したスプレイノズルから洗剤混じりの洗浄液を吹き付けて浴槽の内壁の汚れを除き、その後、スプレイノズルから水を吹き付けて浴槽内壁をすすぐようにしたものも提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００２−２５３４４０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、従来のように、便蓋が簡単に着脱できるような構造にしたり、できるだけシンプルな構造にしたところで、清掃作業が頻繁に必要となることには変わりなく、清掃に依然として手間がかかる。
【０００６】
また、上記特許文献１に示された従来技術をそのまま便器に適用して、便器本体の上部にスプレイノズルを設置した場合を考えると、スプレイノズルから吹き付けられる洗剤混じりの洗浄液が直接に当たる部分は確実に洗浄できるものの、洗浄液の行き渡らない陰になる部分は汚れが除去され難く、ましてや、便座や便蓋、さらに便器本体のかつら面などは洗浄液を吹き付けて洗浄することが難しいため、依然として十分な洗浄ができないという問題がある。
【０００７】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、便器の隅々まで十分に洗浄することができて、人手による清掃作業の手間を大幅に削減することができるミスト洗浄装置付き便器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記の目的を達成するために、本発明のミスト洗浄装置付き便器にあっては、次の構成を採用している。
【０００９】
すなわち、請求項１記載の発明は、径が０．１〜５０μｍ程度のミストを生成して便器を洗浄するミスト洗浄装置を備えることを特徴としている。
【００１０】
請求項２記載の発明は、請求項１または請求項２に記載の発明の構成において、ミスト洗浄装置は、超音波振動子、スチーム発生器、圧力噴霧器のいずれか一つのミスト生成用のミスト発生器を備えることを特徴としている。
【００１１】
請求項３記載の発明は、請求項２に記載の発明の構成において、前記ミスト発生器は超音波振動子を備えてなり、この超音波振動子の振動周波数を増減することで発生させるミストの径を調節可能としてなることを特徴としている。
【００１２】
請求項４記載の発明は、請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置には、ミストの温度を調整する温度調整手段が設けられていることを特徴としている。
【００１３】
請求項５記載の発明は、請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置には、ミスト生成用の洗浄水に洗浄有効成分を添加する有効成分添加手段が設けられていることを特徴としている。
請求項６記載の発明は、請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置には、ミスト生成用の洗浄水に含まれるミネラル成分を除去するミネラル成分除去手段が設けられていることを特徴としている。
【００１４】
請求項７記載の発明は、請求項１ないし請求項６のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置と便器内の空間とを連通する連通路の途中には、ミスト吐出風量を調整するミスト風量調整手段が設けられていることを特徴としている。
【００１５】
請求項８記載の発明は、請求項１ないし請求項７のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記便器には、ミスト洗浄後の便座乾燥用の温風乾燥機が設けられていることを特徴としている。
【００１６】
請求項９記載の発明は、請求項１ないし請求項８のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置によるミスト洗浄に連動して前記便器内の溜水水位を制御する制御手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【００１７】
請求項１記載の発明によれば、ミスト洗浄装置にて洗浄液のミストを発生させて便器内空間に吐出することで、この洗浄液のミストが便器本体の内壁のみならず、スプレイノズルで洗浄液を吹き付けるだけでは洗浄が難しい便座や便蓋などを含めて隅々まで十分に行き渡って洗浄することができる。このため、人手による清掃作業の手間を大幅に削減することが可能となる。特に、ミストの径が０．１〜５０μｍ程度の微粒子にすると、便器の壁の表面に付着している汚れに対する浸透力や吸着力が高まり、汚れを浮き立たせることができて洗浄性を飛躍的に高めることができる。
【００１８】
また、請求項２記載の発明のように、ミスト発生器として超音波振動子、スチーム発生器、圧力噴霧器の内のいずれかを用いることにより、高効率でミストを発生させることが可能となる。
【００１９】
請求項３記載の発明のように、ミスト発生器を超音波振動子で構成する場合には、その振動周波数を増減することで、発生するミストの径を任意に調節することができるため、洗浄能力や拡散能力を使用目的に応じて変更することができる。すなわち、高周波の超音波振動により径の小さなミストを発生させると拡散効率および浸透性が高くなって洗浄効果が高くなる。また、低周波の超音波振動により径の大きなミストを発生させると、すすぎ洗浄を効果的に行うことができる。
【００２０】
請求項４記載の発明ように、ミスト洗浄装置に温度調整手段を設けて発生するミストの温度を調整するようにすれば、汚れの度合いに応じてミストの洗浄力を加減することができる。
【００２１】
請求項５記載の発明ように、ミスト洗浄装置に有効成分添加手段を設けてミスト生成用の洗浄水に洗浄有効成分を添加することで、ミストの洗浄効果を高めたり、殺菌効果を高めたり、また、洗浄後のすすぎ効果を高めたりすることができる。
【００２２】
請求項６記載の発明のように、ミスト洗浄装置にミネラル成分除去手段を設けてミスト生成用の洗浄水に含まれるミネラル成分を除去することで、温風乾燥時に水滴が水垢(スケール)として残存するのを防ぐことができる。
【００２３】
請求項７記載の発明のように、ミスト洗浄装置と便器内の空間とを連通する連通路の途中にミスト風量調整手段を設けてミストの吐出風量を調整できるようにすると、ミストの作用を集中させたり、ミストの便器への接触効率を調整することができる。
【００２４】
請求項８記載の発明のように、便器に温風乾燥機を設けておけば、ミスト洗浄後の便座を迅速に乾燥することができ、カビの発生等を抑制できて使い勝手が良くなる。
【００２５】
請求項９記載の発明のように、制御手段によってミスト洗浄装置によるミスト洗浄に連動して便器本体内の溜水水位を制御して、フラッシュ排水後の水位を一時的に低下させるようにすれば、便器本体のボウル内面の喫水面およびその近傍の汚れを効率良く洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明を添付図面に示す実施の形態に基づいて説明する。図１は本発明の実施の形態におけるミスト洗浄装置付き便器の断面図、図２は同便器の便器本体と便蓋のみを取り出して模式的に示す側面図、図３は同便器の便器本体から便蓋を開いた状態を示す平面図、図４は同便器の便器本体と便蓋との接合状態を示す断面図である。
【００２７】
この実施の形態のミスト洗浄装置付き便器１は、ミストで便器２を洗浄するミスト洗浄装置３が設けられている。このミスト洗浄装置３は、便器２の外部に設置されていて、有効成分添加手段としての洗剤液貯留タンク４と、ミスト発生用のミスト発生器５とを備えている。
【００２８】
洗剤液貯留タンク４は、ミスト発生器５において洗浄液を生成するための洗剤液を貯留するもので、この洗剤液貯留タンク４の底部とミスト発生器５の上部との間は洗剤液供給管７を介して互いに連通されており、この洗剤液供給管７の途中には、当該供給管７を開閉する液供給バルブ８が設けられている。
【００２９】
また、ミスト発生器５は、洗浄水を溜める液槽９を有し、この液槽９の上端部は便器連通管１０の一端が接続され、便器連通管１０の他端は後述する便器本体１７のダクト部１７ｄに連通されている。また、液槽９の外壁底部には、超音波振動子１２が取り付けられ、また、液槽９の内部には洗浄水を加熱することでミストの温度を調整するための温度調整手段としてのヒータ１３が配置されている。また、液槽９の上部の洗剤液供給管７の接続箇所よりも下方位置には水道等の給水源からの給水管１４が接続され、この給水管１４の途中には同管１４を開閉する給水弁１５が設けられている。
【００３０】
したがって、液供給バルブ８を開いて洗剤液貯留タンク４内に貯留してある洗剤液を洗剤液供給管７を介してミスト発生器５の液槽９に供給するとともに、給水弁１５を開いて給水源より給水管１４を介して水を同じく液槽９に供給し、洗剤液を水で所定の濃度に希釈することで洗浄液として生成する。なお、便器２のすすぎ洗浄を行う場合には、ミスト発生器５に水のみを溜めるようにする。
【００３１】
超音波振動子１２は、図示しない発信器から加えられる駆動信号により洗浄液を超音波振動させることにより、例えばミスト径が０．１〜５０μｍ程度の微粒子状のミストを生成する。その際、ヒータ１３で洗浄液を所定温度に加熱することでより一層ミストの生成が容易になり、ミスト発生器５において効率良くミストを発生させることができる。
【００３２】
一方、便器２は、便器本体１７と便蓋１８とを有し、両者１７，１８がヒンジ１９等により互いに連結されて便蓋１８が便器本体１７に対して開閉可能に設けられている。そして、便器本体１７は、従来のように、便器本体と便座が個別に設けられた構造ではなく、便器本体１７の上部に便座部１７ａが一体的に形成されている。なお、１７ｂは水溜まり用のボウル部、１７ｃはトラップ部である。
【００３３】
さらに、便器本体１７のミスト洗浄装置３寄りの上部には、中空のダクト部１７ｄが形成されており、このダクト部１７ｄ内に上記の便器連通管１０の一端部が開口している。さらに、このダクト部１７ｄ内には温風乾燥機２３が配置されている。この温風乾燥機２３は、ファン２４とヒータ２５とからなる。そして、この温風乾燥機２３は、ミスト洗浄後の便器２乾燥用としての役目を兼用している。また、ファン２４は、用便後の温風乾燥を行うだけでなく、ミストの吐出風量を調整するミスト風量調整手段としての役目を兼用している。
【００３４】
一方、便蓋１８は、便器本体１７の便座部１７ａの上部全体を覆うようにその外周縁部には下方に突出したリム部１８ａが形成されており、このリム部１８ａの便座部１７ａの外周縁との接触部分には封水パッキン２０が設けられている。これにより、便器２の内部に余計な隙間が生じるのが少なくなるとともに、便蓋１８を閉じたときには、便器本体１７の内部が密閉空間２１として形成されて、効率良くミスト洗浄が行えるようになっている。
【００３５】
なお、便器２の素材としては、ミスト洗浄効果を高めるために、便器２表面が親水性、あるいは長期水膜維持が可能な特性をもつＡＢＳ、ＰＣ、ＰＢ等の樹脂性を適用することが好ましい。
【００３６】
また、図１において符号２６はミスト洗浄装置３を構成する各部８，１２，１３，１５や温風乾燥機２３の動作を制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御部である。そして、便器２外部の適宜箇所には、図示しないが、制御部２６に各種動作指令を与えるためのボタン等を有する操作部が設けられている。
【００３７】
次に、上記構成を備えたミスト洗浄装置付き便器１の動作について説明する。まず、便器２の便蓋１８が閉じられて便器２内に密閉空間２１が形成された状態で、図示しない操作部に配置されているミスト洗浄ボタンを押すと、これに応じて制御部２６がミスト洗浄装置３を起動する。
【００３８】
すなわち、液供給バルブ８を開いて洗剤液貯留タンク４内に貯留してある洗剤液を洗剤液供給管７を介してミスト発生器５の液槽９に供給するとともに、給水弁１５を開いて給水源より給水管１４を介して水を同じく液槽９に供給し、洗剤液を水で所定の濃度に希釈することで洗浄液として生成する。この場合、洗剤液貯留タンク４内に貯留する洗剤液としては、市販の洗剤液（例えば「トイレマジックリン」）を使用することができる。また、希釈濃度は通常例えば１０倍（この場合例えば洗剤液３０ｃｃに対して水２７０ｃｃ）程度とし、洗剤液の余分な使用量を減らすととともに、すすぎ効率を高め、洗剤処理や節水等の環境への配慮を行うことが好ましい。
【００３９】
次に、ミスト発生器５の超音波振動子１２を振動させて、ミスト発生器５の液槽９に溜まっている洗浄液を霧状化してミストを発生させる。その際、ヒータ１３で洗浄液を所定温度に加熱することでより一層ミストの生成が容易になり、ミスト発生器５において効率良くミストを発生させることができ、拡散性および洗浄力を向上させることができる。
【００４０】
そして、発生したミストは、便器連通管１０を経由して便器本体１７のダクト部１７ｄに吐出され、さらに、ダクト部１７ｄから便器２内の密閉空間２１内に噴霧される。これにより、便器本体１７のボウル部１７ｂの内面だけなく、便座部１７ａや便蓋１８の内壁部分などを含めた隅々まで十分に行き渡って洗浄される。なお、このミスト洗浄時には、温風乾燥機２３のファン２４を積極的に回転させてミストの吐出風量を調整することで、ミストの作用を集中させたり、ミストの便器２内部への接触効率を調整してもよい。
【００４１】
このように、ミスト発生器５によりミストを発生させてミスト洗浄を行うことで、ミストは、便器２の各部の表面に付着している汚れに浸透してこの汚れを浮かせて除去することができ、便器２形状に関係なく隅々まで洗浄を行うことができる。このため、人手による清掃作業の手間を大幅に削減することが可能となる。
【００４２】
また、この実施の形態のように、ミストの径が０．１〜５０μｍ程度の微粒子にすると、洗浄対象物への浸透力や吸着力が増大し、オゾン水や電解殺菌水、高温水などを使用しなくても、洗浄性を飛躍的に高めることができ、装置を簡素化できて安価に実現できるだけでなく、ランニングコストも下げることができる。
【００４３】
なお、便器２の汚れがひどい場合には、操作部に強力洗浄モードボタンを設け、このボタン操作による制御部２６の制御により、例えば、ミスト発生器５の液槽９内の洗浄液の洗剤濃度を通常の２倍とし、また、ミストの吐出時間を通常の１．５〜３倍としてミスト洗浄を行うことで強力なミスト洗浄を行う。
【００４４】
所定時間(例えば１０分)が経過してミスト洗浄が行われた後は、すすぎ洗浄に移行する。その際、液供給バルブ８は閉じたままにしてミスト発生器５の液槽９には洗剤液を供給せず、給水弁１５を開いてミスト発生器５の液槽９に水のみを溜める。そして、ミスト発生器５の超音波振動子１２を振動させて、ミスト発生器５に溜まっている水を霧状化して水ミストを発生させて便器２空間内に吐出し、水ミストを便器２内壁に付着させてすすぎ洗浄を行う。
【００４５】
以上のように、ミスト発生器５として超音波振動子１２を用いる場合、振動周波数を高くすると、比較的径の小さな（０．１〜２０μｍ程度）なミストが生成されるので、少量であっても拡散効率および浸透性が高くなって洗浄効果が高くなる。また、振動周波数を低くすると、比較的径の大きな（１〜５０μｍ程度）のミストが生成されるので、多量のミストが生成されるので、すすぎ洗浄を効果的に行うことができる。
【００４６】
そして、すすぎ洗浄後はミスト洗浄装置３を停止させるが、これに連動させて制御部２６により温風乾燥機２３を起動して、図５に示すように、ヒータ２５で加熱された空気をファン２４で密閉空間２１内に送風して便器２内部を短時間の内に乾燥させる。これにより、カビや雑菌の繁殖を有効に抑えることができる。
【００４７】
上記の実施の形態について、次のような変形例や応用例を考えることができる。上記の実施の形態では、ミスト発生する手段として、超音波振動子１２とヒータ１３を使用しているが、図６に示すように、さらに液槽９の側壁にアーク放電用の一対の電極２７を設け、超音波振動子１２の超音波振動で発生したミストを、電極２７間に高電圧を印加することにより生じるアーク放電によってさらに微粒子化することも可能である。また、ミスト発生器としては、超音波振動子１２に限らず、例えばスチーム発生器や圧力噴霧器を使用することも可能である。
【００４８】
上記の実施の形態では、便蓋１８を手動で予め閉じてから操作部のミスト洗浄ボタンを押すと便器２のミスト洗浄が開始されるようにしているが、便蓋１８を閉じる手間を省くため、操作部のミスト洗浄スイッチを押すと、自動的に便蓋１８が閉じて便器２のミスト洗浄が開始されるようにすることも可能である。
【００４９】
また、上記の実施の形態では、便器本体１７には便座部１７ａが一体的に形成され、便蓋１８を閉じたときに便器本体１７の内部が密閉空間２１となるようにしたが、便器本体１７と便座とが別体に形成されたものであっても、便蓋１８を閉じたときに便器本体１７と便座とが便蓋１８で覆われて密閉空間をある程度まで確保できる構造であれば、ミスト洗浄を行うことが可能である。
【００５０】
また、上記の実施の形態では、ミスト発生器５の液槽９には水道等の給水源から給水管１４および給水弁１５を介して水が直接に給水される構成となっているが、液槽９の途中に水道水に含まれるミネラル成分を除くイオン交換器を設け、その処理水を液槽９に供給する構成とすることもできる。このようにすると、すすぎ洗浄後の温風乾燥時に水滴が水アカとして残存するのを効果的に防ぐことができる。
【００５１】
また、上記の実施の形態では、ミスト発生器５の液槽９内には洗剤液と水のみを混合して洗浄液を生成するようにしているが、洗浄液中に添加する有効成分を調整することで、ミストの洗浄効果を高めたり、殺菌効果を高めたりすることができる。例えば、洗浄液に銀イオン等を添加し、これをミストとして噴霧することで便器２の殺菌効果を高める。また、洗浄液に香り成分を添加することで、市販の芳香剤を使用する手間を省くことができる。さらに、洗浄液を強酸性にすることで尿石分解を促進したり、尿素分解菌の繁殖を抑え、また、洗浄液をアルカリ性にして消臭効果を得ることもできる。
【００５２】
さらにまた、制御部２６によってミスト洗浄装置３によるミスト洗浄に連動して便器本体１７のボウル部１７ｂの溜水水位を制御してフラッシュ排水後の水位を一時的に低下させるようにすれば、ボウル部１７ｂの喫水面およびその近傍の汚れを効率良く洗浄することができるので都合がよい。温風乾燥後は、通常の溜水水位まで注水される。
【図面の簡単な説明】
【００５３】
【図１】本発明の実施の形態におけるミスト洗浄装置付き便器の断面図である。
【図２】同便器の便器本体と便蓋のみを取り出して模式的に示す側面図である。
【図３】同便器の便器本体から便蓋を開いた状態を示す平面図である。
【図４】同便器の便器本体と便蓋との接合状態を示す断面図である。
【図５】温風乾燥機を用いてすすぎ洗浄後の水滴を乾燥するときの説明図である。
【図６】ミスト洗浄装置のミスト発生器の構成の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【００５４】
１ ミスト洗浄装置付き便器
２ 便器
３ ミスト洗浄装置
５ ミスト発生器
１２ 超音波振動子
１３ ヒータ（温度制御手段）
１７ 便器本体
１８ 便蓋
２１ 密閉空間
２３ 温風乾燥機
２４ ファン（ミスト風量調整手段）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、洗浄液を微粒子状にしたミストによって便器の汚れを洗浄するミスト洗浄装置付き便器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、便器に付着した汚れを除去するのには手間がかかり、特に、便器本体のボウル内壁やボウル部の溜水との境界などに付着した汚れを除去する作業は不愉快で面倒な作業であった。その対策として、便器本体のボウル部内壁を流れる水の流れ方や水量を工夫することにより、洗浄性を高めるようにしたものが広く提供されている。
【０００３】
しかし、便器本体のボウル部内壁は洗浄することができても、便座や便蓋、さらに便器本体の便座が載置されるかつら面などは依然として基本的にはふき取り清掃に頼らざるを得ないのが現状である。このため、便蓋が簡単に着脱できるような構造にしたり、できるだけシンプルな構造にすることで、清掃し易いようにしている。
【０００４】
また、他の従来技術では、浴槽上部に設置したスプレイノズルから洗剤混じりの洗浄液を吹き付けて浴槽の内壁の汚れを除き、その後、スプレイノズルから水を吹き付けて浴槽内壁をすすぐようにしたものも提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００２−２５３４４０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、従来のように、便蓋が簡単に着脱できるような構造にしたり、できるだけシンプルな構造にしたところで、清掃作業が頻繁に必要となることには変わりなく、清掃に依然として手間がかかる。
【０００６】
また、上記特許文献１に示された従来技術をそのまま便器に適用して、便器本体の上部にスプレイノズルを設置した場合を考えると、スプレイノズルから吹き付けられる洗剤混じりの洗浄液が直接に当たる部分は確実に洗浄できるものの、洗浄液の行き渡らない陰になる部分は汚れが除去され難く、ましてや、便座や便蓋、さらに便器本体のかつら面などは洗浄液を吹き付けて洗浄することが難しいため、依然として十分な洗浄ができないという問題がある。
【０００７】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、便器の隅々まで十分に洗浄することができて、人手による清掃作業の手間を大幅に削減することができるミスト洗浄装置付き便器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記の目的を達成するために、本発明のミスト洗浄装置付き便器にあっては、次の構成を採用している。
【０００９】
すなわち、請求項１記載の発明は、径が０．１〜５０μｍ程度のミストを生成して便器を洗浄するミスト洗浄装置を備えることを特徴としている。
【００１０】
請求項２記載の発明は、請求項１または請求項２に記載の発明の構成において、ミスト洗浄装置は、超音波振動子、スチーム発生器、圧力噴霧器のいずれか一つのミスト生成用のミスト発生器を備えることを特徴としている。
【００１１】
請求項３記載の発明は、請求項２に記載の発明の構成において、前記ミスト発生器は超音波振動子を備えてなり、この超音波振動子の振動周波数を増減することで発生させるミストの径を調節可能としてなることを特徴としている。
【００１２】
請求項４記載の発明は、請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置には、ミストの温度を調整する温度調整手段が設けられていることを特徴としている。
【００１３】
請求項５記載の発明は、請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置には、ミスト生成用の洗浄水に洗浄有効成分を添加する有効成分添加手段が設けられていることを特徴としている。
請求項６記載の発明は、請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置には、ミスト生成用の洗浄水に含まれるミネラル成分を除去するミネラル成分除去手段が設けられていることを特徴としている。
【００１４】
請求項７記載の発明は、請求項１ないし請求項６のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置と便器内の空間とを連通する連通路の途中には、ミスト吐出風量を調整するミスト風量調整手段が設けられていることを特徴としている。
【００１５】
請求項８記載の発明は、請求項１ないし請求項７のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記便器には、ミスト洗浄後の便座乾燥用の温風乾燥機が設けられていることを特徴としている。
【００１６】
請求項９記載の発明は、請求項１ないし請求項８のいずれか１項に記載の発明の構成において、前記ミスト洗浄装置によるミスト洗浄に連動して前記便器内の溜水水位を制御する制御手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【００１７】
請求項１記載の発明によれば、ミスト洗浄装置にて洗浄液のミストを発生させて便器内空間に吐出することで、この洗浄液のミストが便器本体の内壁のみならず、スプレイノズルで洗浄液を吹き付けるだけでは洗浄が難しい便座や便蓋などを含めて隅々まで十分に行き渡って洗浄することができる。このため、人手による清掃作業の手間を大幅に削減することが可能となる。特に、ミストの径が０．１〜５０μｍ程度の微粒子にすると、便器の壁の表面に付着している汚れに対する浸透力や吸着力が高まり、汚れを浮き立たせることができて洗浄性を飛躍的に高めることができる。
【００１８】
また、請求項２記載の発明のように、ミスト発生器として超音波振動子、スチーム発生器、圧力噴霧器の内のいずれかを用いることにより、高効率でミストを発生させることが可能となる。
【００１９】
請求項３記載の発明のように、ミスト発生器を超音波振動子で構成する場合には、その振動周波数を増減することで、発生するミストの径を任意に調節することができるため、洗浄能力や拡散能力を使用目的に応じて変更することができる。すなわち、高周波の超音波振動により径の小さなミストを発生させると拡散効率および浸透性が高くなって洗浄効果が高くなる。また、低周波の超音波振動により径の大きなミストを発生させると、すすぎ洗浄を効果的に行うことができる。
【００２０】
請求項４記載の発明ように、ミスト洗浄装置に温度調整手段を設けて発生するミストの温度を調整するようにすれば、汚れの度合いに応じてミストの洗浄力を加減することができる。
【００２１】
請求項５記載の発明ように、ミスト洗浄装置に有効成分添加手段を設けてミスト生成用の洗浄水に洗浄有効成分を添加することで、ミストの洗浄効果を高めたり、殺菌効果を高めたり、また、洗浄後のすすぎ効果を高めたりすることができる。
【００２２】
請求項６記載の発明のように、ミスト洗浄装置にミネラル成分除去手段を設けてミスト生成用の洗浄水に含まれるミネラル成分を除去することで、温風乾燥時に水滴が水垢(スケール)として残存するのを防ぐことができる。
【００２３】
請求項７記載の発明のように、ミスト洗浄装置と便器内の空間とを連通する連通路の途中にミスト風量調整手段を設けてミストの吐出風量を調整できるようにすると、ミストの作用を集中させたり、ミストの便器への接触効率を調整することができる。
【００２４】
請求項８記載の発明のように、便器に温風乾燥機を設けておけば、ミスト洗浄後の便座を迅速に乾燥することができ、カビの発生等を抑制できて使い勝手が良くなる。
【００２５】
請求項９記載の発明のように、制御手段によってミスト洗浄装置によるミスト洗浄に連動して便器本体内の溜水水位を制御して、フラッシュ排水後の水位を一時的に低下させるようにすれば、便器本体のボウル内面の喫水面およびその近傍の汚れを効率良く洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２６】
以下、本発明を添付図面に示す実施の形態に基づいて説明する。図１は本発明の実施の形態におけるミスト洗浄装置付き便器の断面図、図２は同便器の便器本体と便蓋のみを取り出して模式的に示す側面図、図３は同便器の便器本体から便蓋を開いた状態を示す平面図、図４は同便器の便器本体と便蓋との接合状態を示す断面図である。
【００２７】
この実施の形態のミスト洗浄装置付き便器１は、ミストで便器２を洗浄するミスト洗浄装置３が設けられている。このミスト洗浄装置３は、便器２の外部に設置されていて、有効成分添加手段としての洗剤液貯留タンク４と、ミスト発生用のミスト発生器５とを備えている。
【００２８】
洗剤液貯留タンク４は、ミスト発生器５において洗浄液を生成するための洗剤液を貯留するもので、この洗剤液貯留タンク４の底部とミスト発生器５の上部との間は洗剤液供給管７を介して互いに連通されており、この洗剤液供給管７の途中には、当該供給管７を開閉する液供給バルブ８が設けられている。
【００２９】
また、ミスト発生器５は、洗浄水を溜める液槽９を有し、この液槽９の上端部は便器連通管１０の一端が接続され、便器連通管１０の他端は後述する便器本体１７のダクト部１７ｄに連通されている。また、液槽９の外壁底部には、超音波振動子１２が取り付けられ、また、液槽９の内部には洗浄水を加熱することでミストの温度を調整するための温度調整手段としてのヒータ１３が配置されている。また、液槽９の上部の洗剤液供給管７の接続箇所よりも下方位置には水道等の給水源からの給水管１４が接続され、この給水管１４の途中には同管１４を開閉する給水弁１５が設けられている。
【００３０】
したがって、液供給バルブ８を開いて洗剤液貯留タンク４内に貯留してある洗剤液を洗剤液供給管７を介してミスト発生器５の液槽９に供給するとともに、給水弁１５を開いて給水源より給水管１４を介して水を同じく液槽９に供給し、洗剤液を水で所定の濃度に希釈することで洗浄液として生成する。なお、便器２のすすぎ洗浄を行う場合には、ミスト発生器５に水のみを溜めるようにする。
【００３１】
超音波振動子１２は、図示しない発信器から加えられる駆動信号により洗浄液を超音波振動させることにより、例えばミスト径が０．１〜５０μｍ程度の微粒子状のミストを生成する。その際、ヒータ１３で洗浄液を所定温度に加熱することでより一層ミストの生成が容易になり、ミスト発生器５において効率良くミストを発生させることができる。
【００３２】
一方、便器２は、便器本体１７と便蓋１８とを有し、両者１７，１８がヒンジ１９等により互いに連結されて便蓋１８が便器本体１７に対して開閉可能に設けられている。そして、便器本体１７は、従来のように、便器本体と便座が個別に設けられた構造ではなく、便器本体１７の上部に便座部１７ａが一体的に形成されている。なお、１７ｂは水溜まり用のボウル部、１７ｃはトラップ部である。
【００３３】
さらに、便器本体１７のミスト洗浄装置３寄りの上部には、中空のダクト部１７ｄが形成されており、このダクト部１７ｄ内に上記の便器連通管１０の一端部が開口している。さらに、このダクト部１７ｄ内には温風乾燥機２３が配置されている。この温風乾燥機２３は、ファン２４とヒータ２５とからなる。そして、この温風乾燥機２３は、ミスト洗浄後の便器２乾燥用としての役目を兼用している。また、ファン２４は、用便後の温風乾燥を行うだけでなく、ミストの吐出風量を調整するミスト風量調整手段としての役目を兼用している。
【００３４】
一方、便蓋１８は、便器本体１７の便座部１７ａの上部全体を覆うようにその外周縁部には下方に突出したリム部１８ａが形成されており、このリム部１８ａの便座部１７ａの外周縁との接触部分には封水パッキン２０が設けられている。これにより、便器２の内部に余計な隙間が生じるのが少なくなるとともに、便蓋１８を閉じたときには、便器本体１７の内部が密閉空間２１として形成されて、効率良くミスト洗浄が行えるようになっている。
【００３５】
なお、便器２の素材としては、ミスト洗浄効果を高めるために、便器２表面が親水性、あるいは長期水膜維持が可能な特性をもつＡＢＳ、ＰＣ、ＰＢ等の樹脂性を適用することが好ましい。
【００３６】
また、図１において符号２６はミスト洗浄装置３を構成する各部８，１２，１３，１５や温風乾燥機２３の動作を制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御部である。そして、便器２外部の適宜箇所には、図示しないが、制御部２６に各種動作指令を与えるためのボタン等を有する操作部が設けられている。
【００３７】
次に、上記構成を備えたミスト洗浄装置付き便器１の動作について説明する。まず、便器２の便蓋１８が閉じられて便器２内に密閉空間２１が形成された状態で、図示しない操作部に配置されているミスト洗浄ボタンを押すと、これに応じて制御部２６がミスト洗浄装置３を起動する。
【００３８】
すなわち、液供給バルブ８を開いて洗剤液貯留タンク４内に貯留してある洗剤液を洗剤液供給管７を介してミスト発生器５の液槽９に供給するとともに、給水弁１５を開いて給水源より給水管１４を介して水を同じく液槽９に供給し、洗剤液を水で所定の濃度に希釈することで洗浄液として生成する。この場合、洗剤液貯留タンク４内に貯留する洗剤液としては、市販の洗剤液（例えば「トイレマジックリン」）を使用することができる。また、希釈濃度は通常例えば１０倍（この場合例えば洗剤液３０ｃｃに対して水２７０ｃｃ）程度とし、洗剤液の余分な使用量を減らすととともに、すすぎ効率を高め、洗剤処理や節水等の環境への配慮を行うことが好ましい。
【００３９】
次に、ミスト発生器５の超音波振動子１２を振動させて、ミスト発生器５の液槽９に溜まっている洗浄液を霧状化してミストを発生させる。その際、ヒータ１３で洗浄液を所定温度に加熱することでより一層ミストの生成が容易になり、ミスト発生器５において効率良くミストを発生させることができ、拡散性および洗浄力を向上させることができる。
【００４０】
そして、発生したミストは、便器連通管１０を経由して便器本体１７のダクト部１７ｄに吐出され、さらに、ダクト部１７ｄから便器２内の密閉空間２１内に噴霧される。これにより、便器本体１７のボウル部１７ｂの内面だけなく、便座部１７ａや便蓋１８の内壁部分などを含めた隅々まで十分に行き渡って洗浄される。なお、このミスト洗浄時には、温風乾燥機２３のファン２４を積極的に回転させてミストの吐出風量を調整することで、ミストの作用を集中させたり、ミストの便器２内部への接触効率を調整してもよい。
【００４１】
このように、ミスト発生器５によりミストを発生させてミスト洗浄を行うことで、ミストは、便器２の各部の表面に付着している汚れに浸透してこの汚れを浮かせて除去することができ、便器２形状に関係なく隅々まで洗浄を行うことができる。このため、人手による清掃作業の手間を大幅に削減することが可能となる。
【００４２】
また、この実施の形態のように、ミストの径が０．１〜５０μｍ程度の微粒子にすると、洗浄対象物への浸透力や吸着力が増大し、オゾン水や電解殺菌水、高温水などを使用しなくても、洗浄性を飛躍的に高めることができ、装置を簡素化できて安価に実現できるだけでなく、ランニングコストも下げることができる。
【００４３】
なお、便器２の汚れがひどい場合には、操作部に強力洗浄モードボタンを設け、このボタン操作による制御部２６の制御により、例えば、ミスト発生器５の液槽９内の洗浄液の洗剤濃度を通常の２倍とし、また、ミストの吐出時間を通常の１．５〜３倍としてミスト洗浄を行うことで強力なミスト洗浄を行う。
【００４４】
所定時間(例えば１０分)が経過してミスト洗浄が行われた後は、すすぎ洗浄に移行する。その際、液供給バルブ８は閉じたままにしてミスト発生器５の液槽９には洗剤液を供給せず、給水弁１５を開いてミスト発生器５の液槽９に水のみを溜める。そして、ミスト発生器５の超音波振動子１２を振動させて、ミスト発生器５に溜まっている水を霧状化して水ミストを発生させて便器２空間内に吐出し、水ミストを便器２内壁に付着させてすすぎ洗浄を行う。
【００４５】
以上のように、ミスト発生器５として超音波振動子１２を用いる場合、振動周波数を高くすると、比較的径の小さな（０．１〜２０μｍ程度）なミストが生成されるので、少量であっても拡散効率および浸透性が高くなって洗浄効果が高くなる。また、振動周波数を低くすると、比較的径の大きな（１〜５０μｍ程度）のミストが生成されるので、多量のミストが生成されるので、すすぎ洗浄を効果的に行うことができる。
【００４６】
そして、すすぎ洗浄後はミスト洗浄装置３を停止させるが、これに連動させて制御部２６により温風乾燥機２３を起動して、図５に示すように、ヒータ２５で加熱された空気をファン２４で密閉空間２１内に送風して便器２内部を短時間の内に乾燥させる。これにより、カビや雑菌の繁殖を有効に抑えることができる。
【００４７】
上記の実施の形態について、次のような変形例や応用例を考えることができる。上記の実施の形態では、ミスト発生する手段として、超音波振動子１２とヒータ１３を使用しているが、図６に示すように、さらに液槽９の側壁にアーク放電用の一対の電極２７を設け、超音波振動子１２の超音波振動で発生したミストを、電極２７間に高電圧を印加することにより生じるアーク放電によってさらに微粒子化することも可能である。また、ミスト発生器としては、超音波振動子１２に限らず、例えばスチーム発生器や圧力噴霧器を使用することも可能である。
【００４８】
上記の実施の形態では、便蓋１８を手動で予め閉じてから操作部のミスト洗浄ボタンを押すと便器２のミスト洗浄が開始されるようにしているが、便蓋１８を閉じる手間を省くため、操作部のミスト洗浄スイッチを押すと、自動的に便蓋１８が閉じて便器２のミスト洗浄が開始されるようにすることも可能である。
【００４９】
また、上記の実施の形態では、便器本体１７には便座部１７ａが一体的に形成され、便蓋１８を閉じたときに便器本体１７の内部が密閉空間２１となるようにしたが、便器本体１７と便座とが別体に形成されたものであっても、便蓋１８を閉じたときに便器本体１７と便座とが便蓋１８で覆われて密閉空間をある程度まで確保できる構造であれば、ミスト洗浄を行うことが可能である。
【００５０】
また、上記の実施の形態では、ミスト発生器５の液槽９には水道等の給水源から給水管１４および給水弁１５を介して水が直接に給水される構成となっているが、液槽９の途中に水道水に含まれるミネラル成分を除くイオン交換器を設け、その処理水を液槽９に供給する構成とすることもできる。このようにすると、すすぎ洗浄後の温風乾燥時に水滴が水アカとして残存するのを効果的に防ぐことができる。
【００５１】
また、上記の実施の形態では、ミスト発生器５の液槽９内には洗剤液と水のみを混合して洗浄液を生成するようにしているが、洗浄液中に添加する有効成分を調整することで、ミストの洗浄効果を高めたり、殺菌効果を高めたりすることができる。例えば、洗浄液に銀イオン等を添加し、これをミストとして噴霧することで便器２の殺菌効果を高める。また、洗浄液に香り成分を添加することで、市販の芳香剤を使用する手間を省くことができる。さらに、洗浄液を強酸性にすることで尿石分解を促進したり、尿素分解菌の繁殖を抑え、また、洗浄液をアルカリ性にして消臭効果を得ることもできる。
【００５２】
さらにまた、制御部２６によってミスト洗浄装置３によるミスト洗浄に連動して便器本体１７のボウル部１７ｂの溜水水位を制御してフラッシュ排水後の水位を一時的に低下させるようにすれば、ボウル部１７ｂの喫水面およびその近傍の汚れを効率良く洗浄することができるので都合がよい。温風乾燥後は、通常の溜水水位まで注水される。
【図面の簡単な説明】
【００５３】
【図１】本発明の実施の形態におけるミスト洗浄装置付き便器の断面図である。
【図２】同便器の便器本体と便蓋のみを取り出して模式的に示す側面図である。
【図３】同便器の便器本体から便蓋を開いた状態を示す平面図である。
【図４】同便器の便器本体と便蓋との接合状態を示す断面図である。
【図５】温風乾燥機を用いてすすぎ洗浄後の水滴を乾燥するときの説明図である。
【図６】ミスト洗浄装置のミスト発生器の構成の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【００５４】
１ ミスト洗浄装置付き便器
２ 便器
３ ミスト洗浄装置
５ ミスト発生器
１２ 超音波振動子
１３ ヒータ（温度制御手段）
１７ 便器本体
１８ 便蓋
２１ 密閉空間
２３ 温風乾燥機
２４ ファン（ミスト風量調整手段）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
径が０．１〜５０μｍ程度のミストを生成して便器を洗浄するミスト洗浄装置を備えることを特徴とするミスト洗浄装置付き便器。
【請求項２】
前記ミスト洗浄装置は、超音波振動子、スチーム発生器、圧力噴霧器のいずれか一つのミスト生成用のミスト発生器を備えることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項３】
前記ミスト発生器は、超音波振動子を備えてなり、この超音波振動子の振動周波数を増減することで発生させるミストの径を調節可能としてなることを特徴とする請求項２に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項４】
前記ミスト洗浄装置には、ミストの温度を調整する温度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項５】
前記ミスト洗浄装置には、ミスト生成用の洗浄水に洗浄有効成分を添加する有効成分添加手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項６】
前記ミスト洗浄装置には、ミスト生成用の洗浄水に含まれるミネラル成分を除去するミネラル成分除去手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項７】
前記ミスト洗浄装置と便器内の空間とを連通する連通路の途中には、ミストの吐出風量を調整するミスト風量調整手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項６のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項８】
前記便器には、ミスト洗浄後の便座乾燥用の温風乾燥機が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項７のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項９】
前記ミスト洗浄装置によるミスト洗浄に連動して前記便器本体内の溜水水位を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項１ないし請求項８のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項１】
径が０．１〜５０μｍ程度のミストを生成して便器を洗浄するミスト洗浄装置を備えることを特徴とするミスト洗浄装置付き便器。
【請求項２】
前記ミスト洗浄装置は、超音波振動子、スチーム発生器、圧力噴霧器のいずれか一つのミスト生成用のミスト発生器を備えることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項３】
前記ミスト発生器は、超音波振動子を備えてなり、この超音波振動子の振動周波数を増減することで発生させるミストの径を調節可能としてなることを特徴とする請求項２に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項４】
前記ミスト洗浄装置には、ミストの温度を調整する温度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項５】
前記ミスト洗浄装置には、ミスト生成用の洗浄水に洗浄有効成分を添加する有効成分添加手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項６】
前記ミスト洗浄装置には、ミスト生成用の洗浄水に含まれるミネラル成分を除去するミネラル成分除去手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項７】
前記ミスト洗浄装置と便器内の空間とを連通する連通路の途中には、ミストの吐出風量を調整するミスト風量調整手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項６のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項８】
前記便器には、ミスト洗浄後の便座乾燥用の温風乾燥機が設けられていることを特徴とする請求項１ないし請求項７のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【請求項９】
前記ミスト洗浄装置によるミスト洗浄に連動して前記便器本体内の溜水水位を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項１ないし請求項８のいずれか１項に記載のミスト洗浄装置付き便器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００７−１３８６０５（Ｐ２００７−１３８６０５Ａ）
【公開日】平成１９年６月７日（２００７．６．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−３３５２０６（Ｐ２００５−３３５２０６）
【出願日】平成１７年１１月２１日（２００５．１１．２１）
【出願人】（０００００５８３２）松下電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年６月７日（２００７．６．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１１月２１日（２００５．１１．２１）
【出願人】（０００００５８３２）松下電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
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