説明

ミラーキャビネット

【課題】キャビネット本体の収納部を使用する際にはその収納部を簡便に照らすことができ、収納部を使用しない時には使用者を照らすことができるミラーキャビネットを提供する。
【解決手段】前面側に収納部9を有したキャビネット本体8に、収納部9を塞ぐ位置と塞がない位置との間で開閉自在に横並びに並設された複数の鏡10と、各鏡10の間に上下方向に亘って取着された照明装置20と、を備える。照明装置20は、鏡10を閉じた状態では前方を照らし、鏡10を開いた状態では該開いた鏡10に対応する収納部9を照らすように上下方向の軸廻りに回転自在に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前面側に収納部を有したキャビネット本体に、収納部を塞ぐ位置と塞がない位置との間で開閉自在に横並びに並設された複数の鏡と、各鏡の間に上下方向に亘って取着された照明装置とを備えたミラーキャビネットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1のミラーキャビネットは、照明装置の光源が鏡の裏側に設けられており、鏡を開くことで光源の光を鏡に反射させることができる。ミラーキャビネットが設置される洗面所等は一般的には薄暗いことが多いが、このミラーキャビネットによれば、鏡を開いて光源の光を鏡で反射させることによって使用者を十分な光量で照明することができる。しかしながら、特許文献1のミラーキャビネットは、キャビネット本体の収納部を照明装置で照明する構成を有しておらず、収納部を使用する際には収納部が見づらいという問題がある。
【0004】
一方、特許文献2のミラーキャビネットは、前面側に収納部を有したキャビネット本体に、収納部を塞ぐ位置と塞がない位置との間で開閉自在に回転可能な横並びに並設された複数の鏡と、鏡の裏面に配設される照明装置とを備えている。このミラーキャビネットによれば、隣合う鏡を回転させてそれぞれの鏡を開くことで、隣合う一方の鏡の後方の収納部を隣合う他方の鏡の裏面の照明装置によって照らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−41759号公報
【特許文献2】実開平4−123130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のミラーキャビネットは、収納部を使用する際、その収納部を照明するためには隣側の鏡を回転させてその裏面の照明装置の照射方向を収納部に向ける必要があり、煩わしいという問題がある。
【0007】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、キャビネット本体の収納部を使用する際にはその収納部を簡便に照らすことができ、収納部を使用しない時には使用者を照らすことができるミラーキャビネットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のミラーキャビネットは、前面側に収納部を有したキャビネット本体に、前記収納部を塞ぐ位置と塞がない位置との間で開閉自在に横並びに並設された複数の鏡と、各鏡の間に上下方向に亘って取着された照明装置と、を備えたミラーキャビネットにおいて、前記照明装置は、前記鏡を閉じた状態では前方を照らし、前記鏡を開いた状態では該開いた鏡に対応する収納部を照らすように上下方向の軸廻りに回転自在に保持されていることを特徴とする。
【0009】
このミラーキャビネットにおいては、前記照明装置は、前記鏡を開いた状態では弾性付勢された状態で保持されており、前記鏡を閉じた状態では弾性付勢に抗した状態で保持されていることが好ましい。
【0010】
このミラーキャビネットにおいては、上下方向の軸廻りに回転自在であって前記鏡の開閉動作と連動して前記照明装置を回転させる駆動部材を備えており、前記駆動部材は、前記照明装置の軸廻りに形成された第1歯車と係合して前記照明装置を回転させる第2歯車が軸廻りに形成されていることが好ましい。
【0011】
このミラーキャビネットにおいては、前記鏡は側方向一方側で上下方向の軸廻りに回転自在に保持され、前記鏡の回転軸と前記照明器具の回転軸とが各々軸中心点から偏心させた位置で連結棒にて連結され、前記鏡の回転に連動して前記照明装置が回転することが好ましい。
【0012】
また、本発明のミラーキャビネットは、前面側に収納部を有したキャビネット本体に、前記収納部を塞ぐ位置と塞がない位置との間で開閉自在に横並びに並設された複数の鏡と、各鏡の間に上下方向に亘って取着された照明装置と、を備えたミラーキャビネットにおいて、前記照明装置は、隣合う鏡のうち閉じた状態の一方側の鏡の側端面に向けて照射する方向に配設され、前記一方側の鏡の側端面には、前記鏡を閉じた状態において前記照明装置から照射された光を前方に向けて反射する反射部を有していることを特徴とする。
【0013】
このミラーキャビネットにおいては、前記反射部の前方に透明カバーが取着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のミラーキャビネットによれば、キャビネット本体の収納部を使用する際にはその収納部を簡便に照らすことができ、収納部を使用しない時には使用者を照らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係るミラーキャビネットを備えた洗面化粧台であり、(b)は(a)の洗面化粧台のX−X線断面図であり、(c)は(b)の洗面化粧台においてミラーキャビネットの中央ミラーを開いた状態を示す断面図である。
【図2】図1の洗面化粧台のミラーキャビネットに設けられた照明装置の斜視図及びA部の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態であるミラーキャビネットを備えた洗面化粧台の要部を示した斜視図及びB部拡大図であり、ミラーキャビネットの鏡を閉じた状態を示している。
【図4】図3の洗面化粧台の要部を示した斜視図であり、ミラーキャビネットの中央ミラーを開いた状態を示している。
【図5】中央ミラーの開閉動作と連動する駆動部材の動作を説明するための模式図である。
【図6】本発明の別の一実施形態であるミラーキャビネットを備えた洗面化粧台の要部を示した斜視図であり、(a)は鏡を閉じた状態、(b)は鏡を開いた状態を示す。
【図7】本発明のさらに別の一実施形態であるミラーキャビネットを備えた洗面化粧台の要部を示した斜視図及びC部拡大図であり、ミラーキャビネットの中央ミラーを閉じた状態を示している。
【図8】図7の洗面化粧台の要部を示した斜視図であり、ミラーキャビネットの中央ミラーを開いた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係るミラーキャビネットの実施形態を説明する。なお、以下の実施形態において、上下左右は、図1に示す向きである。また、洗面化粧台に対面した使用者から見て洗面化粧台の手前側を前、奥側を後、左右方向を側方向として説明する。
【0017】
図1(a)は、本発明の実施形態に係るミラーキャビネットを備えた洗面化粧台であり、(b)は(a)の洗面化粧台のX−X線断面図であり、(c)は(b)の洗面化粧台においてミラーキャビネットの中央ミラーを開いた状態を示す断面図である。
【0018】
図1の洗面化粧台1は、洗面台2とミラーキャビネット70とを備えている。
洗面台2の上部には、洗面ボウル3を有したカウンター4が設置固定されており、カウンター4は、洗面ボウル3とともに合成樹脂等で一体に成形されている。洗面台2は箱状に形成されており、内部が収納空間や配管設置空間とされ、扉や引き出し等を備える。カウンター4の後端上にはバックガード部5が一体に立設されており、このバックガード部5の前面の側方向中央部分には、吐水カラン6が突設されている。また、バックガード部5の前面において、吐水カラン6よりもやや側方向外側寄りの位置に、吐水カラン6から吐出される湯水の量や温度を調節する操作レバー7が突設されている。吐水カラン6から吐出される湯水によって洗面ボウル3内で洗面、手洗い、衣類の洗い物作業等の作業が行われる。
【0019】
バックガード部5上には、前面開口の箱状のキャビネット本体8が立設されている。このキャビネット本体8は、その内部が縦板13によって区画されており、キャビネット本体8の前面側には、正面視矩形形状の開口を前面に有する複数の収納部9が形成されている。
【0020】
収納部9の前面側には、複数の鏡10が横並びに設けられている。各鏡10は、各収納部9に対応して形成されており、正面視矩形形状を有して上下方向に延びている。各鏡10は、各収納部9の開口全面を塞ぐ位置と塞がない位置との間で開閉自在に設けられている。収納部9の開口前面を塞ぐ位置に鏡10が配置された状態が鏡10を閉じた状態であり、収納部9の開口前面を塞がない位置に鏡10が配置された状態が鏡10を開いた状態である。鏡10の開閉は、鏡10の一方側の側端部を軸支して片開き式に行うことができる。
【0021】
本実施形態では、3つの収納部9とこれに対応する3枚の鏡10を有しているが、その数はこれに限定されるものではない。3枚の鏡10は、一対のサイドミラー11,11とその間の中央ミラー12を構成し、三面鏡を形成する。三面鏡の中央ミラー12は、キャビネット本体8前面の側方向中央部分に配置されており、洗面化粧台1に対面した使用者は、中央ミラー12と相対する。
【0022】
各鏡10の間には、上下方向に亘って照明装置20が取着されている。図1の洗面化粧台1は、照明装置20が2つあり、サイドミラー11と中央ミラー12との間にそれぞれ配設されている。照明装置20は、長尺形状を有しており、鏡10の上端側から下端側にかけて延出する形で配設され、中央ミラー12の両側に縦型に設置されている。
【0023】
このようにミラーキャビネット70は、前面側に収納部9を有したキャビネット本体8の収納部9の前面側に、収納部9を開閉自在に閉塞する複数の鏡10が横並びに並設されており、各鏡10の間には上下方向に亘って照明装置20が取着されている。
【0024】
照明装置20は、前方又は収納部9を照射可能とされており、鏡10の開閉状態と連動して照射方向を変えている。具体的には、鏡10を閉じた状態では、照明装置20は、図1(b)に示されるように前方を照射する。図1(c)は中央ミラー12を開いた状態であり、右側の照明装置20は、開いた鏡10(中央ミラー12)側の側方向の照射によって開いた鏡10に対応する収納部9を照らす。この照明装置20は縦型に設置されているため、照明装置20の前方の照射による照明は、鏡10の上側にのみ照明装置が配設された場合と比べて、使用者の鼻等の影が顔にできにくく、使用者の顔を明るく照らすことができる。また、右側の照明装置20の開いた鏡10側の側方向の照射による照明は、開いた鏡10に対応する収納部9を明るく照らすことができる。
【0025】
図2は、図1の洗面化粧台のミラーキャビネットに設けられた照明装置の斜視図及びA部の分解斜視図である。
【0026】
照明装置20は、光源21と、この光源21からの光を導出して外部に発光する導光部材25とを備える。光源21は、鏡10の上端側に配設されている。さらに鏡10の下端側にも光源21を設けることもできる。また、いずれか一方側のみ光源21を設けることもできる。導光部材25は、縦長の棒状に形成されており、上下方向を長手方向として鏡10の上端側から下端側にかけて延出する形で上下の光源21の間に配設される。
【0027】
光源21は、LED(発光ダイオード)22と、このLED22を搭載する基板23と、この基板23を収納する基板ケース24とを有して構成される。基板ケース24は、円筒形状を有しており、金属や合成樹脂等の剛性部材で形成することができる。
光源21は、導光部材25の端面に対向して配置され、LED22は、その光の出射方向が導光部材25の長手方向に沿った方向になるように配置される。
【0028】
導光部材25は、透光性を有し屈折率の高いアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の合成樹脂で形成される。ガラス等の部材で形成することもできる。合成樹脂で形成する場合には、押出工法等によって形成することができる。この導光部材25は、断面が多角形状又は円形状に形成されている。
導光部材25の側面の一部には長手方向全長に亘って発光部26が形成されており、導光部材25に導入された光源21の光がこの発光部26から一方向に外部に向けて出射され、一方向を照らすようになっている。
【0029】
導光部材25の側面には、発光部26とは反対側の位置に、光拡散部を設けることもできる。光拡散部は、反射性の物質を側面に印刷ないし蒸着したりすることによって構成することができる。また、断面視V字状の溝条を側面に複数列形成することによって構成することもできる。この光拡散部によって、導光部材25の内部に導入された光源21からの光を発光部26からより効果的に一方向に出射させることができる。また、発光部26の上下方向の輝度分布をより均一化することができる。
【0030】
上述したように、照明装置は、前方又は収納部を照射可能とされており、鏡の開閉状態と連動して照射方向を変えている。照明装置の照射方向を変える方式としては、照明装置を上下方向の軸廻りに回転させて照射方向を変える方式(回転方式)や、照明装置の照射方向を反射によって変える方式(反射方式)等がある。回転方式は、ばね等の弾性体を利用した方式やリンク方式等がある。以下、それぞれの方式について説明する。
【0031】
<弾性体を利用した方式>
図3は、本発明の一実施形態であるミラーキャビネットを備えた洗面化粧台の要部を示した斜視図及びB部拡大図であり、ミラーキャビネットの鏡を閉じた状態を示している。図4は、図3の洗面化粧台の要部を示した斜視図であり、ミラーキャビネットの中央ミラーを開いた状態を示している。図3のB部拡大図及び図4はそれぞれ、駆動部カバーを外した状態を示している。なお、図1−図2に示した実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
図3及び図4の照明装置30は、光源21と導光部材25とが連結されており、上下方向を軸心にして光源21と導光部材25とが一体に回転可能な状態で前面開口の照明ケース36内に収納されている。この照明装置30は、ねじ等の固着具によって照明ケース36がキャビネット本体8の縦板前面に取り付けられることで、サイドミラー11と中央ミラー12との間に取着され、上下方向の軸廻りに回転自在に保持されている。
【0033】
照明ケース36内には、光源21の上側に、上下方向を軸心とした回転軸31が設けられ、さらにその上側には弾性体33が設けられている。回転軸31は、光源21の基板ケース24と一体に形成されている。また、その軸廻りには歯車が形成されており第1歯車32を構成している。弾性体33は、中央ミラー12を開いた状態において照明装置30に対してその回転方向に弾性付勢する部材である。照明ケース36の前面には、照明装置30の光源21、回転軸31、弾性体33、及び後述する駆動部材40を覆う駆動部カバー37が設けられている。
【0034】
本実施形態では、弾性体33をねじりコイルばね34で構成しており、その回転方向にエネルギーを蓄積した状態でねじりコイルばね34の一端を回転軸31に連結し、他端を照明ケース36に連結して、照明装置30を照明ケース36内に保持している。図4に示されるように、中央ミラー12を開いた状態では、ねじりコイルばね34の回転方向の復元力によってこのねじりコイルばね34に連結する回転軸31が所定の位置に回転配置する。そして、この回転軸31と一体とされた光源21に連結する導光部材25の発光部から中央ミラー12側の側方向に向けて照射するようになっている。この導光部材25の発光部の中央ミラー12側の側方向の照射によって、照明装置30は中央ミラー12に対応する収納部9を照らすようになっている。
【0035】
ねじりコイルばね34の回転方向の復元力による回転軸31の回転を規制するために、光源21の基板ケース24の周縁部の一部に、径方向に突出するストッパー35が設けられている。図4に示されるように、中央ミラー12を開いた状態においては、ねじりコイルばね34の回転方向の復元力によって回転軸31と一体とされた光源21の基板ケース24が回転する。このときストッパー35の照明ケース36への接触により回転軸31の回転が規制される。この回転軸31の回転が規制された状態において、照明装置30は弾性付勢された状態で保持され、導光部材25の発光部から中央ミラー12側の側方向に向けて照射するようになっている。
【0036】
図3に示されるように、中央ミラー12を閉じた状態においては、ねじりコイルばね34はその回転方向にさらにエネルギーが蓄積され、照明装置30は弾性付勢に抗した状態で保持される。この状態において、照明装置30は前方を照らすようになっている。
【0037】
本実施形態では、中央ミラー12の開閉動作と連動して照明装置30を回転させる駆動部材40が設けられている。この駆動部材40は、上下方向を軸心としてその軸廻りに回転自在とされている。また、駆動部材40の軸廻りには歯車が形成されており第2歯車41を構成している。この駆動部材40は、第2歯車41と回転軸31の第1歯車32とが係合可能に照明ケース36の軸受け38によって軸支されており、駆動部材40の回転と連動して回転軸31が回転し、この回転軸31の回転に伴って照明装置30が回転するようになっている。
【0038】
駆動部材40の第2歯車41の周縁部の一部に、径方向に突出する凸部42が設けられている。この凸部42は、中央ミラー12を閉じる際に中央ミラー12の裏面側と接触可能に形成されている。図5に示されるように、中央ミラー12を閉じる方向に中央ミラー12を押し込むと、凸部42が後方に押し込まれて駆動部材40がL方向に回転するようになっている。この駆動部材40のL方向の回転に連動して回転軸31がR方向に回転し、照明装置30もR方向に回転する。中央ミラー12を完全に閉じた状態においては、上記のとおり、照明装置30は前方を照らすようになっている。中央ミラー12を開くと、図4に示されるように、ねじりコイルばね34の回転方向の復元力によって回転軸31がL方向に回転し、照明装置30もL方向に回転する。また、回転軸31の回転に連動して駆動部材40がR方向に回転する。中央ミラー12を完全に開いた状態においては、上記のとおり、照明装置30は中央ミラー12に対応する収納部9を照らすようになっている。
【0039】
このように本実施形態では、中央ミラー12の開閉動作と連動して照明装置30を回転させて照射方向を変えており、キャビネット本体8の収納部9を使用する際には収納部9を簡便に照らすことができる。また、収納部9を使用しない時には前方の照明によって使用者を照らすことができる。
【0040】
この弾性体33を利用した方式の別の実施形態として、上記した回転軸31、弾性体33、及び駆動部材40の構成をさらに照明装置30の下側に設けることができる。これら構成を照明装置30の下側のみ設けることもできる。また、サイドミラー11の開閉動作と連動して照明装置30を回転させて照明装置30の照射方向を変えることもできる。さらにまた、上記した実施形態では、弾性体33を回転軸31に連結して回転軸31を弾性付勢することによって照明装置20を弾性付勢しているが、弾性体33を駆動部材40に連結して駆動部材40を弾性付勢することもできる。駆動部材40が弾性付勢されると、照明装置30は、回転軸31を介して弾性付勢される。
【0041】
<リンク方式>
図6は、本発明の別の一実施形態であるミラーキャビネットを備えた洗面化粧台の要部を示した斜視図であり、(a)は鏡を閉じた状態、(b)は鏡を開いた状態を示す。なお、図1−図2に示した実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図6の中央ミラー12は、左右両側端部のうち一方側の側端部がミラー回転軸43で上下方向に軸支されており、片開き式に開閉自在に保持されている。このミラー回転軸43は中央ミラー12の側端部の上下に一体に設けられている。この中央ミラー12の他方側の側端部側に配設されている照明装置50は、下端部に、回転軸51が設けられている。この回転軸51は上下方向を軸心として照明装置50と一体に形成されており、照明装置50は上下方向の軸廻りに回転自在に保持されている。
【0043】
本実施形態においても、中央ミラー12の開閉動作と連動して照明装置50を回転させる駆動部材52が設けられている。この駆動部材52は、中央ミラー12のミラー回転軸43と照明装置50の回転軸51とを連結する連結棒53として構成されており、力を伝達するため金属等の剛性部材で形成されている。連結棒53は、中央ミラー12のミラー回転軸43及び照明装置50の回転軸51の各々の軸中心点から偏心させた位置で回転可能に連結されている。
本実施形態では、この連結棒53によって、中央ミラー12の開閉に伴うミラー回転軸43の回転に連動して照明装置50の回転軸51が回転し、照明装置50が回転するようになっている。
【0044】
図6において、Pはミラー回転軸43の軸中心点、Qは回転軸51の軸中心点、Pはミラー回転軸43と連結棒53との連結点、Qは回転軸51と連結棒53との連結点である。図6(a)に示されるように、中央ミラー12を閉じた状態では、照明装置50は前方を照らすようになっている。この状態において、連結点P及びQはそれぞれ、軸中心点P及びQの前方側に各軸中心点から偏心して配置されている。図6(b)に示されるように、中央ミラー12を略直角に開くと、ミラー回転軸43も略90°L方向に回転し、連結点Pは軸中心点Pの左側側方の位置に配置される。照明装置50の回転軸51もミラー回転軸43に連結された連結棒53によって連結点Qが軸中心点Qの左側側方の位置に配置されるように略90°L方向に回転する。この回転軸51の回転に伴って、照明装置50は中央ミラー12側の側方向に向けて照射する。この照明装置50の側方向の照射によって、中央ミラー12に対応する収納部9を照らすことができる。
【0045】
このように本実施形態では、より簡単な構成で中央ミラー12の開閉動作と連動して照明装置50を回転させて照明装置50の照射方向を変えており、キャビネット本体8の収納部9を使用する際にはその収納部9を簡便に照らすことができる。また、収納部9を使用しない時には使用者を照らすことができる。
【0046】
このリンク方式の別の実施形態として、サイドミラー11を片開き式に開閉自在に軸支するミラー回転軸43を設けて、このミラー回転軸43と照明装置50の回転軸51とを各々の軸中心点から偏心させた位置で連結棒53で連結することもできる。これによって、サイドミラー11の開閉動作と連動して照明装置50を回転させて照明装置50の照射方向を変えることができる。また、サイドミラー11を閉じた状態では使用者を照らし、サイドミラー11を開いた状態ではこのサイドミラー11に対応する収納部9を照らすことができる。
【0047】
<反射方式>
図7は、本発明のさらに別の一実施形態であるミラーキャビネットを備えた洗面化粧台の要部を示した斜視図及びC部拡大図であり、ミラーキャビネットの中央ミラーを閉じた状態を示している。図8は、図7の洗面化粧台の要部を示した斜視図であり、ミラーキャビネットの中央ミラーを開いた状態を示している。なお、図1−図2に示した実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、照明装置60が、隣合う閉じた状態の鏡10のうち一方側の鏡10の側面に向けて照射する方向に配設されている。図7及び図8では、右側のサイドミラー11と中央ミラー12との間に取着されている照明装置60が、閉じた状態の中央ミラー12の側面に向けて照射する方向に配設されている。このように配設された照明装置60は、中央ミラー12を開いた状態では、図8に示されるように、開いた鏡10(中央ミラー12)側の側方向に向かって照射することができる。これによって中央ミラー12に対応する収納部9を照らすことができる。
【0049】
また、照明装置60の照射方向の鏡10(中央ミラー12)の側端面には、反射部61が設けられている。この反射部61は上下方向に亘って照明装置60に対応して配設されている。
【0050】
反射部61は、鏡10を閉じた状態において照明装置60から照射された光を前方に向けて反射させる部材である。したがって、中央ミラー12を閉じた状態では、図7のC部拡大図に示されるように、右側の照明装置60から中央ミラー12側の側方向に照射された光を前方方向に照射方向を変えて照射することができる。
【0051】
反射部61は、中央ミラー12の側端部から後方向に、隣接する照明装置60に向かって円弧状に湾曲する曲面を有する。このような曲面を有する反射部61に向けて側方から照射された光は前方方向に反射される。もちろん、反射部61の形状は、鏡10を閉じた状態において照明装置60から照射された光を前方に向けて反射させる形状であればこれに限定されない。所定の角度で傾斜した平面を段階的に角度を変えて連続させた形状とすることもできる。
【0052】
この反射部61は、中央ミラー12の側端面から後方向に延びその先端において隣接する照明装置60に向かって延びる断面視L字形状の反射部ケース62に取り付けられている。
【0053】
反射部61の前方には、透明カバー63が反射部ケース62に取着されている。この透明カバー63は透光性を有する合成樹脂等で構成され、照明装置60が照射する光及びその反射光が透過可能に形成されている。透明カバー63は前板部64と後板部65とを有して断面視L字状に形成されている。透明カバー63の前板部64はその前面が平面形状を有しており、透明カバー63の前板部64の前面が中央ミラー12及びサイドミラー11の前面と略同一面上になるように透明カバー63が配設されている。これによって外観性を向上させることができる。ここで、略同一面上とは、同一面上であることも含む。
【0054】
また、本実施形態では、照明装置の前方に照明カバー66が設けられている。この照明カバー66は、透光性を有する合成樹脂等で構成され、照明装置60が照射する光が透過可能に形成されている。この照明カバー66はその前面が平面形状を有しており、照明カバー66の前面が中央ミラー12及びサイドミラー11の前面と略同一面上になるように照明カバー66が配設されている。これによって外観性を向上させることができる。
【0055】
このように本実施形態では、より簡単な構成で中央ミラー12の開閉動作と連動して照明装置60の照射方向を変えており、キャビネット本体8の収納部9を使用する際にはその収納部9を簡便に照らすことができる。また、収納部9を使用しない時には使用者を照らすことができる。
【0056】
この反射方式の別の実施形態として、サイドミラー11の側端面に反射部61を設けることもできる。図7では、左側のサイドミラー11と中央ミラー12との間に取着されている照明装置60が、閉じた状態の左側のサイドミラー11の側面に向けて照射する方向に配設されている。この照明装置60の照射方向の鏡10(左側のサイドミラー11)の側端面には、反射部が設けられている。この実施形態では、左側のサイドミラー11を閉じた状態では、隣接する照明装置60からこのサイドミラー11側の側方向に照射された光の照射方向を前方方向に変えて、使用者を照らすことができる。サイドミラー11を開いた状態では、サイドミラー11に対応する収納部9を照らすことができる。
【0057】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
8 キャビネット本体
9 収納部
10 鏡
20,30,50,60 照明装置
31,51 回転軸
32 第1歯車
33 弾性体
40 駆動部材
41 第2歯車
43 ミラー回転軸
53 連結棒
61 反射部
63 透明カバー
70 ミラーキャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に収納部を有したキャビネット本体に、前記収納部を塞ぐ位置と塞がない位置との間で開閉自在に横並びに並設された複数の鏡と、各鏡の間に上下方向に亘って取着された照明装置と、を備えたミラーキャビネットにおいて、
前記照明装置は、前記鏡を閉じた状態では前方を照らし、前記鏡を開いた状態では該開いた鏡に対応する収納部を照らすように上下方向の軸廻りに回転自在に保持されていることを特徴とするミラーキャビネット。
【請求項2】
前記照明装置は、前記鏡を開いた状態では弾性付勢された状態で保持されており、前記鏡を閉じた状態では弾性付勢に抗した状態で保持されていることを特徴とする請求項1に記載のミラーキャビネット。
【請求項3】
上下方向の軸廻りに回転自在であって前記鏡の開閉動作と連動して前記照明装置を回転させる駆動部材を備えており、前記駆動部材は、前記照明装置の軸廻りに形成された第1歯車と係合して前記照明装置を回転させる第2歯車が軸廻りに形成されていることを特徴とする請求項2に記載のミラーキャビネット。
【請求項4】
前記鏡は側方向一方側で上下方向の軸廻りに回転自在に保持され、前記鏡の回転軸と前記照明器具の回転軸とが各々軸中心点から偏心させた位置で連結棒にて連結され、前記鏡の回転に連動して前記照明装置が回転することを特徴とする請求項1に記載のミラーキャビネット。
【請求項5】
前面側に収納部を有したキャビネット本体に、前記収納部を塞ぐ位置と塞がない位置との間で開閉自在に横並びに並設された複数の鏡と、各鏡の間に上下方向に亘って取着された照明装置と、を備えたミラーキャビネットにおいて、
前記照明装置は、隣合う閉じた状態の鏡のうち一方側の鏡の側面に向けて照射する方向に配設され、該照明装置の照射方向の鏡の側端面には、前記鏡を閉じた状態において前記照明装置から照射された光を前方に向けて反射する反射部を有していることを特徴とするミラーキャビネット。
【請求項6】
前記反射部の前方に透明カバーが取着されていることを特徴とする請求項5に記載のミラーキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106806(P2013−106806A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254429(P2011−254429)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)