ミルク貯蔵タンクの温度監視システム
【課題】酪農家のミルク貯蔵タンクの温度監視を適正に行えるミルク貯蔵タンクの温度監視システムを提供する。
【解決手段】酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおいて、ミルク貯蔵タンク内に貯蔵されているミルクの温度の監視を、貯蔵ミルクの表面温度を測定して計測し、これを記録することによって行うものである。貯蔵ミルクの表面温度の測定は、貯蔵ミルクの最大液面位より上方に位置させた放射温度検出センサを使用して、貯蔵ミルクの表面から放出される赤外線エネルギ量を非接触で計測する、或いは貯蔵タンクの中に差し込んだ棒状、又は板状の温度計により行うことができる。
【解決手段】酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおいて、ミルク貯蔵タンク内に貯蔵されているミルクの温度の監視を、貯蔵ミルクの表面温度を測定して計測し、これを記録することによって行うものである。貯蔵ミルクの表面温度の測定は、貯蔵ミルクの最大液面位より上方に位置させた放射温度検出センサを使用して、貯蔵ミルクの表面から放出される赤外線エネルギ量を非接触で計測する、或いは貯蔵タンクの中に差し込んだ棒状、又は板状の温度計により行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミルク貯蔵タンクの温度監視システムに関し、特に、酪農家において乳牛から搾乳したミルクを貯蔵する貯蔵タンクにおける、ミルク取扱会社の集荷までの温度の監視、及び、洗浄時の温度監視を行う温度監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ミルク貯蔵タンク内のミルクの温度管理は、高品質の乳製品を作る上で重要である。その理由は、搾乳直後のミルクの温度は乳牛の体温程度あるが、そのまま室温で保存すればミルク内に細菌が繁殖し、ミルクが食用に適さなくなるからである。一方、どの程度の温度でミルクを貯蔵すべきかが基準化されてはいるが、現在ではミルクがその基準温度で正しく貯蔵されているか否かをチェックすることはなされていない。そこで、貯蔵タンク内のミルクの温度計測を規則的に行い、計測された温度記録を記憶し、ミルクの貯蔵状態が基準通りであったか否かを判断して表示する監視システムが望まれている。
【0003】
ミルク貯蔵タンクは、乳牛等から搾乳したミルクを、ミルク取扱会社による集荷まで保存しておく冷蔵タンクである。搾乳された直後のミルクの温度は、乳牛の体温と同じ程度の37℃前後であるため、ミルクを貯蔵する際には腐敗防止のために所定の温度まで下げて保存しておく必要がある。
【0004】
一方、貯蔵タンクに貯蔵されたミルクの集荷は搾乳毎に行われるのではなく、通常、2回または4回の搾乳毎に行われる。この結果、貯蔵タンク内のミルクの保管温度は、搾乳後にミルクが貯蔵タンク内に投入される毎に上昇する。このために、ミルクを貯蔵タンクに投入する都度、冷却機を作動させて貯蔵タンク内のミルクの温度を所定温度まで下げる必要がある。
【0005】
ところで、従来のミルク貯蔵タンクにおけるミルクの温度管理は、ミルク貯蔵タンクの底部に設置された温度センサの検出温度に応じて行われるようになっている。すなわち、温度センサの検出値が所定温度以上に上昇した場合に冷却機を作動させてミルク貯蔵タンク内のミルクの温度を下げるようになっている。
【0006】
貯蔵タンク内のミルクの冷却は、貯蔵タンクの底面、又は貯蔵タンクの下方に設けられた冷却パネルによって行われる。一方、貯蔵タンク内のミルクをこの冷却パネルで冷却するだけであると、貯蔵タンクの底部近傍のミルクは低温になるが、貯蔵タンクの上層部のミルクはなかなか冷却されず、上層部に温度の高いミルクが滞留することになる。このため、貯蔵タンクには一般に、タンク内のミルクを対流させてタンク内のミルクの温度の均一化を図る攪拌機(アジテータ)が設けられている。
【0007】
そして、冷却パネルによる冷却開始は、集荷して貯蔵タンクを洗浄した後、1回目の搾乳でミルクが投入されてから約10分後から行われる。この理由は、ミルクの投入前、もしくはミルクの投入前から冷却機を作動させたり、投入直後に冷却機を作動させると、貯蔵タンクの内壁に部分的に霜または氷が付着し、ミルクの冷却が妨げられたり、部分的にミルクが凍結したりすることによってミルクが変質してしまう恐れがあるからである。冷却機の作動開始は一般に手動によって行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、搾乳でミルクが投入されてから冷却機を作動するまでにタイムラグがあると、作業者が冷却機の作動スイッチを入れ忘れることがある。投入後に冷却機によって冷却が行われなかった貯蔵タンク内のミルクは、一見すると、他のミルクと変わりはないが、細菌数が増大していたり、腐敗していたり、内容的に変質しており、原料としては利用できない状態になっていることがある。そして、このような状態のミルクが集荷されてミルク工場に送られ、更に大きなミルクタンクに移されると、他の正常なミルクまでが汚染される可能性があり、ミルクの品位問題が深刻になる。このように、ミルク貯蔵タンクにおける貯蔵保管中のミルクの温度の監視は非常に重要である。
【0009】
一方、ミルクの出荷後のミルク貯蔵タンクの洗浄では、タンク内を高温の温水で洗浄することが義務付けられている。これは、タンクの洗浄が十分でないと、多くの栄養分を有するミルクが腐敗の温床となるためである。このことから、ミルク貯蔵タンクの洗浄時には、ミルクの保管時とは異なる別の温度監視が必要である。
【0010】
以上のように、ミルク貯蔵タンクの中のミルクの温度監視は重要であるが、温度記録は基本的に行われていないのが現状である。この第1の理由は、そのような義務が酪農家に課せられていないためであるが、大きなミルク貯蔵タンクでは貯蔵された上層部のミルクと下層部のミルクとでは温度差があり、タンク内のどの部分でミルクの温度を測定するかが決まっていないためである。
【0011】
ところで、ミルク貯蔵タンク内のミルクの温度を均一にするのは極めて困難である。これは、アジテータによる貯蔵タンク内の攪拌作業が乳質を維持するために限られるからである。この理由は、ミルク貯蔵タンク内のミルクの温度を均一にするために攪拌をやりすぎると、アジテータに乳脂肪が付着して乳成分が変化することになると共に、貯蔵タンク内に貯蔵されたミルクの液位に応じて攪拌によるミルクの乳成分も変化するからである。このため、ミルク貯蔵タンク内の全ての状態において最適の攪拌を得ることは非常に困難である。また、アジテータの羽根が破損した場合には攪拌が適切に行われず、ミルク貯蔵タンク内の上層部と下層部とではミルクの温度が異なってしまい、これがミルクの腐敗の原因となる恐れがある。
【0012】
そして、ミルク貯蔵タンクもしくは冷却機に温度の記録計が付いていたとしても、温度を測定する温度センサは貯蔵タンクの底部の近傍に設けられているので、得られた温度データはアジテータ等の状態によって正確ではなく、本当のミルクの貯蔵温度の監視はできなかった。
【0013】
しかしながら、今後、消費者からは一層品質の良いミルクが要求され、また、ミルクの製造過程を公開する必要性が社会的に要求されつつある。
【0014】
そこで、本発明は、酪農家のミルク貯蔵タンクの温度の監視を、ミルク貯蔵時とタンク洗浄時に区分することにより、正しく適切に行うことができるミルク貯蔵タンクの温度監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成する本発明は、酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、ミルク貯蔵タンク内に貯蔵されているミルクの温度の監視を、貯蔵ミルクの表面温度を測定して計測し、これを記録することによって行うことを特徴としている。
【0016】
この場合、貯蔵ミルクの表面温度の測定を、貯蔵ミルクの最大液面位より上方に位置させた放射温度検出センサを使用して、貯蔵ミルクの表面から放出される赤外線エネルギ量を非接触で計測することによって行う、貯蔵タンクの中に設置したフロートに内蔵した温度センサによって行う、又は、貯蔵タンクの中に差し込んだ棒状、又は板状の温度計により行うようにすることができる。
【0017】
なお、本発明において、貯蔵タンクにミルクを貯蔵するために備えられた真空ポンプの作動が確認されている状態で、搾乳によるミルクの貯蔵タンクへの貯蔵開始後、所定時間内に貯蔵タンク内のミルクを冷却する冷却機のスイッチがオンされたか否かを確認する手段を設けることができる。そして、この確認する手段は、冷却機のスイッチがオフの場合に、警告表示用の信号を出力する、或いは、強制的に冷却機のスイッチをオンする信号を出力するようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ミルク貯蔵タンク内のミルクの温度を、ミルク温度が最も高くなるミルクの表面温度の計測によって監視するようにしたので、貯蔵タンク内のミルク温度の上昇を防ぐことができ、ミルクの品質劣化を防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下添付図面を用いて本発明の実施形態を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1はミルキングシステムにおける本発明の一実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムの構成を示すものである。ミルキングシステムは、乳牛8を複数頭収容できる牛舎内に設備されており、牛舎内には真空ポンプ1によって作られた負圧を供給する真空ライン2と、乳牛8から搾乳されたミルクを集めるミルクライン4が設けられている。牛舎内の搾乳場所にはそれぞれ搾乳器3があり、この搾乳器3はフレキシブルな真空ライン枝管2Aで真空ライン2に接続されていると共に、ミルクライン枝管4Aでミルクライン4に接続されている。
【0021】
搾乳器3は、搾乳場所に集められた乳牛8の乳房8Aに複数個ある各乳頭に取り付けられ、真空ライン枝管2Aから供給される負圧によって乳房8Aからミルクを吸引する搾乳動作を行う。各搾乳機3によって搾り出されたミルクは、ミルクライン枝管4Aからミルクライン4を通って一旦受乳ジャー5に貯められる。この受乳ジャー5の容量は30リットル程度である。受乳ジャー5に貯められたミルクは、断続動作するミルクポンプ6によって吸い出されて容量の大きなミルク貯蔵タンク(以後バルクタンクと言う)7に貯蔵される。
【0022】
真空ポンプ1とミルクポンプ6は、制御装置9からの信号ライン9Aおよび信号ライン9Bを流れる信号によって動作制御される。ミルクポンプ6は一般に制御装置9からのパルス信号によって断続的に動作する。また、制御装置9には、図示はしないが、搾乳器3の搾乳動作を制御するパルセータ制御装置が含まれている。パルセータは、搾乳器3の搾乳動作を人間が乳牛から乳を搾る断続的な動作に近づけるためのものであり、搾乳器3に吸入と休止の搾乳動作を行わせるものである。
【0023】
更に、バルクタンク7の内部の底部近傍には、バルクタンク7内に蓄えられたミルクを冷却するための冷却プレート11があり、この冷却プレート11は、バルクタンク7の外部に設置された冷却機10から冷媒管10Aを通じて循環される冷媒によって冷却されるようになっている。また、バルクタンク7の内部には貯蔵されたミルクを攪拌して温度の均一化を図るアジテータ12が設けられている。このアジテータ12はバルクタンク7の上部に設けられたアジテータモータ13によって回転駆動される。アジテータモータ13の回転は制御装置9によって制御される。
【0024】
バルクタンク7内に貯蔵されたミルクの温度は、バルクタンク7の底部の近傍に設置された温度センサ14によって検出され、制御装置9に入力されるようになっている。制御装置9はこの温度センサ14の検出温度に応じて、冷却機10の駆動、及び、アジテータモータ13の駆動を行うようになっている。
【0025】
制御装置9の電源は通常、電圧200V〜240Vの三相交流であり、制御装置9から真空ポンプ1とミルクポンプ6への信号ライン9A,9B、及び、冷却機10とアジテータモータ13への信号ライン9C,9Dを流れる電圧は、24Vまでの直流、または100V〜120の交流である。真空ポンプ1とミルクポンプ6の駆動は、例えば、制御装置9から真空ポンプ1とミルクポンプ6への信号ライン9A,9Bの電圧を変化させることにより行われる。
【0026】
以上のように構成されたミルキングシステムにおける搾乳は、通常、朝晩の2回行われる。一般に、ミルキングシステムにおいて乳牛の搾乳を行う場合には、搾乳の前後にミルクライン4の洗浄が行われる。搾乳を行う前に行われる前洗浄ではミルクライン4が5〜10分の間だけ洗浄される。前洗浄では、搾乳器3から洗浄水が吸入され、ミルクライン4を経て授乳ジャー5に集められる。そして、授乳ジャー5に集められた洗浄水は、ミルクポンプ6を動作させてバルクタンク7以外の場所に排出される。
【0027】
この前洗浄が終了すると、搾乳器3が乳牛8の乳房8Aに取り付けられ、搾乳が開始される。1頭の乳牛から搾乳を行う時間は5〜6分であるが、乳牛は交代させて引続き搾乳が行われるので、搾乳期間は一般に1時間から2時間である。この搾乳期間においては、前述のように搾乳器3によって吸い出されたミルクはミルクライン4を経て授乳ジャー5に一旦集められ、断続的に動作するミルクポンプ6によって、ミルクがバルクタンク7に送られる。
【0028】
搾乳期間が終了すると、ミルクライン4を洗浄する後洗浄が行われる。この後洗浄期間においても搾乳器3から洗浄水が吸入され、ミルクライン4を経て授乳ジャー5に集められる。そして、授乳ジャー5に集められた洗浄水は、ミルクポンプ6を動作させてバルクタンク7以外の場所に排出される。この後洗浄期間はおよそ30分〜40分である。
【0029】
一方、バルクタンク7に集められたミルクは、通常、2回から4回の搾乳の後に、排出口15からミルク専用のタンクローリー車がその全量を回収、集荷し、工場に搬送されるようになっている。バルクタンク7からのミルクの排出完了は、排出口15に設けられたセンサ28によって検出される。そして、バルクタンク7の中のミルクの集荷後は、バルクタンク7の内部が温水洗浄される。この時、バルクタンク7内の洗浄に使用される温水の温度は60℃前後である。バルクタンク7内の洗浄が終了すると、再び搾乳によってミルクがバルクタンク7の中に貯蔵される。ミルキングシステムでは、このような2〜4回の搾乳とバルクタンク7内の洗浄のサイクルが繰り返される。
【0030】
そこで、本発明では、酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたミルク貯蔵タンクの温度監視システムを構築するに際して、第1の実施例として、ミルク貯蔵タンク、即ち、バルクタンク7内の温度の監視サイクルを第1の期間と第2の期間に区分した。これを図2を用いて説明する。
【0031】
第1の実施例では、図2に示すように、第1の期間は、ミルクを取り扱う会社がバルクタンク7からミルクを集荷する集荷時刻から、集荷後に最初に搾乳が開始されてミルクの貯蔵が開始される時刻までである。この第1の期間では、バルクタンク7を温水器で作った70℃以上の温水で洗浄する(実際にこの温水がバルクタンク7内に噴霧される時の温度は前述の通り60°C前後である)ので、この期間は高温監視期間である。第2の期間は、集荷後に最初にミルクが貯蔵開始される時刻から、ミルクを取り扱う会社がバルクタンク7からミルクを集荷する時刻までである。第2の期間では、ここに示した例では4回の搾乳が行われており、バルクタンク7の温度は搾乳毎に一旦高くなるが、搾乳後にバルクタンク7内のミルクの温度を低温に保持するので、低温監視期間である。
【0032】
第1の期間の終了時刻、即ち、第2の期間の開始時刻である集荷後に最初にミルクが貯蔵開始される時刻は、例えば、以下のような方法で設定することができる。
(1)ミルク集荷後に、図1に示した真空ポンプ1が最初に作動を開始する時刻を、集荷後の最初のミルク貯蔵開始時刻とする。
(2)ミルク集荷後に、図1に示したバルクタンク7の底部に設けられた温度センサの検出値が所定値になった時刻を、集荷後の最初のミルク貯蔵開始時刻とする。
(3)ミルク集荷後に、図1に示した搾乳施設から延長されてバルクタンク7に接続されているミルクライン4、若しくはこれらの近傍に設置されたセンサがミルクの流れを検出した時刻を、集荷後の最初のミルク貯蔵開始時刻とする。
【0033】
(3)の場合、センサは図3(a) から(e) に示すような位置に設置することができる。図3(a) に示す例では、センサ16がミルクライン4のバルクタンク7内への吐出口に設けられてミルクの流れを検出する。この場合のセンサ16としては、光センサ、振動センサ、温度センサ等が使用できる。図3(b) に示す例では、センサ16がバルクタンク7内への吐出口に設けられた弁体の開閉を検出する機械式のものであり、ミルクがバルクタンク7内へ流入したことをこの弁体が開いたことによって検出する。図3(c) に示す例では、センサ16がミルクライン4のバルクタンク7内への吐出口の近傍に設けられてミルクの流れを検出する。このセンサには、発光部と受光部とを備えた光学式のセンサや、振動センサ、温度センサ等を使用することができる。図3(d) に示す例では、センサ16がミルクライン4のバルクタンク7内への吐出口の外部に、吐出口に近接して設けられてミルクの流れを検出する。このセンサにも、光センサ、振動センサ、温度センサ等を使用することができる。図3(e) に示す例では、センサ16がミルクライン4の途中に設けられてミルクの流れを検出する。このセンサにも、光センサ、振動センサ、温度センサ等を使用することができる。
【0034】
一方、第2の期間の終了時刻、即ち、ミルクを取り扱う会社がバルクタンク7からミルクを集荷した時刻は、バルクタンク7のミルク排出口15に図3(a) 〜(e) で説明したようなセンサ16と同様のセンサ28を図1に示すように設けておき、バルクタンク7のミルクの排出が完了したことをこのセンサ28が感知した時刻とすれば良い。
【0035】
図4は図1の制御装置9における本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムに使用する制御部20の構成を示すものである。制御部20には、センサ部21、データ入力部22、データ記憶部23、データ判断部24、外部出力部25、及び、停電時等にこれらの電源を確保するための補助電源26がある。この補助電源26は必須ではなく、必要に応じて設ければ良い。
【0036】
センサ部21には温度センサやその他のセンサからの検出値が入力され、センサ部21はこの検出値をデータ入力部22に送る。データ入力部22は入力されたデータをデジタルデータに変換してデータ記憶部23に送る。データ記憶部23は入力されたデータを記憶すると共に、このデータをデータ判断部24に送る。データ判断部24による判断及びデータ記憶部23における記憶データは、外部出力部25を通じて制御部20の外部に出力できる。出力できる信号は、記憶データ、各種警報、及びバルク自動入力であり、これらの出力は選択することができる。
【0037】
図5は図1の制御装置9が行う貯蔵タンク(バルクタンク)7の温度監視の手順を説明するルーチンを示すものである。このルーチンは所定時間毎に実行される。本発明では、前述のように、第1の期間(高温監視期間)では、バルクタンク7の中を洗浄する液体の温度が所定温度以上であるか否かを監視し、第2の期間(低温監視期間)では、搾乳されたミルク投入後の所定時間内に所定温度以下でミルクが保存されているか否かを監視する。なお、図5のフローチャートの説明に使用する符号は図1で説明した部材の符号である。
【0038】
ステップ501ではまず、第1の期間か否かを判定する。第1の期間である場合にはステップ502に進み、バルクタンク7が洗浄処理されたか否かを判定する。バルクタンク7が洗浄された場合はステップ505に進み、センサ温度が40℃を越えたか否かを判定する。この判定温度40°Cは判定規格であり、一般に、洗浄用の温水を作る温水器からの温水温度が70°Cであり、この温水をバルクタンク7内に噴霧した時の温度が60°C前後であるので、設定されたものである。このセンサ温度は、図1に示した温度センサ14によって検出することができる。そして、センサ温度が40℃を越えた場合は洗浄処理が正常であるのでこのルーチンを終了するが、センサ温度が40℃以下の場合はステップ506に進み、貯蔵タンク(バルクタンク)7の洗浄が不十分である警報を出力する。この警報により、作業従事者がバルクタンク7の洗浄が不十分であることを知ることができる。
【0039】
一方、ステップ502でバルクタンク7が洗浄処理されていないと判定した場合にはステップ503に進んで第1の期間が終了したか否かを判定する。第1の期間が終了していない場合には、この後にバルクタンク7の洗浄処理が行われるかもしれないのでこのままこのルーチンを終了する。ところが、ステップ503で第1の期間が終了したと判定した場合は、バルクタンク7の洗浄処理が実行されずに第1の期間が終了したことになるのでステップ504に進み、貯蔵タンク(バルクタンク)7の洗浄が未処理である旨の警報を出力してこのルーチンを終了する。この警報により、作業従事者がバルクタンク7の洗浄が行われなかったことを知ることができる。
【0040】
次に、ステップ501で第1の期間でないと判定された場合は第2の期間であるのでステップ507に進む。第2の期間では、搾乳後15分が経過したか否かを先ず判定する。搾乳後15分が経過していない場合にはこのままこのルーチンを終了するが、搾乳後15分が経過した場合はステップ508に進む。ステップ508では冷却機10が可動したか否かを判定する。搾乳後15分が経過しても冷却機10が可動していない時はステップ515に進み、冷却機10が未作動である旨の警告を出力する。この警報により、作業従事者が搾乳後にバルクタンク7の冷却が行われなかったことを知ることができ、何らかの対策を講じることができる。なお、この時、ステップ504において、強制的に冷却機10のスイッチをオンして冷却機10を作動させるようにすることもできる。
【0041】
ステップ508で冷却機10の可動を判定した場合はステップ509に進み、搾乳後60分が経過したか否かを判定する。搾乳後60分が経過していない場合はこのままこのルーチンを終了するが、搾乳後60分が経過した場合はステップ510に進んでセンサ温度が10℃未満であるか否かを判定する。搾乳後60分が経過した状態では、冷却機10とアジテータ12によってミルクの温度が10℃未満に保持されなければならない。よって、ステップ510の判定でセンサ温度が10℃以上の場合はステップ511に進み、ミルク温度の異常警報を出力してこのルーチンを終了する。この警報により、作業従事者がバルクタンク7のミルク温度が異常であることを知ることができる。
【0042】
ここで、バルクタンク7のミルク温度が異常となった原因としては、冷却機10の故障、或いは、アジテータ12の不良、またはアジテータモータ13の動作不良が考えられるので、作業従事者は、これらの装置を点検して何らかの対策を講じることができる。
【0043】
一方、ステップ510の判定でセンサ温度が10℃未満の場合は正常であるのでステップ512に進み、搾乳後2時間が経過したか否かを判定する。搾乳後2時間が経過していない場合はこのままこのルーチンを終了するが、搾乳後2時間が経過した場合にはステップ513に進む。ステップ513ではセンサ温度が5℃未満であるか否かを判定する。搾乳後2時間が経過した状態では、冷却機10とアジテータ10によってミルクの温度が5℃未満に保持されなければならない。よって、ステップ513の判定でセンサ温度が5℃未満の場合は正常であるのでこのままこのルーチンを終了するが、5℃以上の場合はステップ514に進み、ミルク温度の異常警報を出力してこのルーチンを終了する。この警報により、作業従事者がバルクタンク7のミルク温度が異常であることを知ることができ、何らかの対策を講じることができる。
【0044】
図6は図1に示した冷却機10及びアジテータ12が正常に作動している時のバルクタンク7内の搾乳後のミルクの温度の推移を示すものである。図6に実線で示す温度は、バルクタンク7の底面付近に設けられた温度センサ14によって計測した値の推移である。一方、図6に破線で示す温度は、バルクタンク7内のミルクの液面温度(表面温度)の推移を示すものである。冷却機10及びアジテータ12が正常に作動している時は、バルクタンク7内のミルクの底面付近の温度と表面温度との間には殆ど差がないことがわかる。
【0045】
一方、図7は図1に示した冷却機10は正常に作動しているが、アジテータ12に異常が生じた時のバルクタンク7内の搾乳後のミルクの温度の推移を示すものである。図7に実線で示す温度は、バルクタンク7の底面付近に設けられた温度センサ14によって計測した値の推移である。一方、図7に破線で示す温度は、バルクタンク7内のミルクの液面温度(表面温度)の推移を示すものである。アジテータ12に異常が発生している時は、バルクタンク7内のミルクの底面付近の温度は正常であるが、表面温度が搾乳後に所定時間が経過しても低下していないことが分かる。この場合は、バルクタンク7内の上層部のミルクが変質する恐れがある。
【0046】
以上のことから、本発明では、酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたバルクタンクの温度監視システムにおいて、バルクタンク7内に貯蔵されているミルクの温度測定を、これまでのバルクタンク7の底面付近の温度の測定に加えて、貯蔵ミルクの表面温度を測定して計測し、これを記録することによって異常事態を避けるようにした。
【0047】
貯蔵ミルクの表面温度を測定には、以下のような方法が考えられる。
(1)図8(a) に示すように、バルクタンク7の最大液面7Lより上方に放射温度測定センサ17を位置させて設け、貯蔵ミルクの表面から放出される赤外線エネルギ量を非接触で計測する。
(2)図8(b) ,(c) に示すように、バルクタンク7の液面7Lに球状、或いは円板状のフロート18を浮かべ、フロート18の下部、或いはフロート18に貫通させた軸の下部に内蔵させた温度センサ19によって貯蔵ミルクの表面近傍の温度を測定する。
(3)図9(a) ,(b) に示すように、バルクタンク7の中に差し込んだ棒状、又は板状の差込式温度センサ27によって貯蔵ミルクの表面近傍の温度を測定する。ここで、図9(a) の破線が液面位置測定センサ27Aを示しており、図9(b) の破線が温度センサ素子27Bを示している。
【0048】
図10(a)は図8で説明した放射温度測定センサ17のバルクタンク7への設置状態の一実施例を示すものであり、バルクタンク7の上部の部分断面を示している。この実施例の放射温度測定センサ17は、バルクタンク7に開けられた取付孔7Hに取付治具30を介して取り付けられている。この取付治具30は、バルクタンク7の内側から外側に貫通させるグロメット31と、バルクタンク7の外側でこのグロメット31をシールするゴム製のパッキング32、及びグロメット31の胴部外周に形成された螺子部に螺着させてグロメット31をバルクタンク7に固着するナット33から構成される。放射温度測定センサ17は、このグロメット31の胴部外周に開けられた貫通孔34に差し込まれて取り付けられる。
【0049】
ところで、放射温度測定センサ17は、グロメット31の貫通孔34の中に挿入されて取り付けられただけでは、バルクタンク7内のミルクの飛沫や、タンク内の洗浄時の洗浄水が、センサ17の測定面(受光部)17Aに付着する。また、低温保管されたミルクに搾乳開始後に温かいミルクが投入されると、温度差によって蒸気が発生し、このことによってもセンサ17の測定面17Aに水滴等が付着する。そして、このように水滴がセンサ17の測定面17Aに付着すると、測定面17Aへの受光量が減り、放射温度測定センサ17の測定感度が悪化することになる。受光量の不足は、測定面17Aに付着したミルクが乾燥した状態でも発生する。そこで、本発明では、放射温度測定センサ17の温度測定面17Aの前方に保護部材40を取り付け、バルクタンク7内の液体がセンサ17の温度測定面17Aの前方に滞留しないようにしている。
【0050】
この保護部材40としては、図10(b)から(f)に示すような実施例が考えられるが、保護部材40の形状はこれらの実施例の形状に限定されるものではない。図10(b)に示す実施例の保護部材40は、透明なブラスチックで作られた所定長さの円柱41(直径は貫通孔34の内径に等しい)の先端部を斜めにカットしたものである。図10(c)に示す実施例の保護部材40は、所定長さの円筒42の先端部を斜めにカットし、このカット面に透明な楕円形の蓋43を接合したものである。図10(d)に示す実施例の保護部材40は、透明なブラスチックで作られた所定長さの角柱44の先端部を斜めにカットしたものである。図10(e)に示す実施例の保護部材40は、所定長さの角筒45の先端部を斜めにカットし、このカット面に透明な矩形の蓋46を接合したものである。これら2つの実施例の場合は、グロメット31に設けられた貫通孔34のバルクタンク側が矩形孔となっている。図10(f)に示す実施例の保護部材40は、透明なブラスチックで作られた所定長さの円筒47の先端面に、放射温度測定センサ17側に凸な円錐孔48を設けたものである。これらの透明な保護部材40の材料としては、シリコン系の樹脂を使用することができる。
【0051】
保護部材40を以上説明したような形状に構成すると、保護部材40のバルクタンク7の内部側の面が液面に対して斜めになっているために、たとえ液体が保護部材40のこの面に付着しても、付着した液体が保護部材の周囲に流れることになり、放射温度測定センサ17の測定面17Aの中央部に対向する保護部材40の部位には液体が滞留しない。よって、放射温度測定センサ17の測定面17Aの中央部に液面から入射される赤外線量は保護部材40に付着した液体の影響を殆ど受けなくなる。
【0052】
なお、以上説明した実施例における保護部材40は、グロメット31の貫通孔34から突出して設けられているが、保護部材40の長さはこれらの実施例に限定されるものではなく、グロメット31の貫通孔34の内部に傾斜面が位置するように構成しても良いものである。
【0053】
図11(a)は図8で説明した放射温度測定センサ17のバルクタンク7への設置状態の別の実施例を示すものであり、バルクタンク7の上部の部分断面を示している。この実施例の放射温度測定センサ17は、図10で説明した実施例と同様に、バルクタンク7に開けられた取付孔7Hに取付治具30を介して取り付けられている。この取付治具30の構成は図10の実施例と同様であり、バルクタンク7の内側から外側に貫通させるグロメット31と、バルクタンク7の外側でこのグロメット31をシールするゴム製のパッキング32、及びグロメット31の胴部に形成された螺子部に螺着させてグロメット31をバルクタンク7に固着するナット33から構成される。放射温度測定センサ17が、このグロメット31の胴部に開けられた貫通孔34に差し込まれて取り付けられることも同様である。
【0054】
一方、この実施例の放射温度測定センサ17では、バルクタンク7内のミルクの飛沫やタンク内の洗浄時の洗浄水がセンサ17の測定面17Aに付着するのを防止する保護部材40が、透明な保護板としてグロメット31のフランジ部35に取り付けられている。従って、取付治具30が図10のような状態でバルクタンク7に取り付けられていると、保護部材40がバルクタンク7内の液面と平行になってしまい、液体が保護部材40の中央部に付着する可能性あり、この場合には放射温度測定センサ17の測定感度が悪化することになる。
【0055】
そこで、この実施例では、放射温度測定センサ17を取り付けるバルクタンク7の上部の一部に斜めに傾斜する傾斜部7S設け、この傾斜部7Sに取付孔7Hを設けている。この結果、取付治具30がバルクタンク7内の液面に対して傾斜して取り付けられることになり、保護部材40も液面に対して傾斜することになる。このようにすることにより、放射温度測定センサ17の温度測定面17Aの前方に位置する保護部材40の中央部に、バルクタンク7内の液体が滞留しないようなる。よって、放射温度測定センサ17の測定面17Aの中央部に液面から入射される赤外線量は保護部材40に付着した液体の影響を殆ど受けなくなる。
【0056】
図11(b)は図8で説明した放射温度測定センサ17のバルクタンク7への設置状態の更に別の実施例を示すものであり、バルクタンク7の上部の部分断面を示している。この実施例の放射温度測定センサ17は、バルクタンク7に開けられた取付孔7Hに取付治具50を介して取り付けられている。この取付治具50は、バルクタンク7の外側から内側に貫通させるグロメット51と、バルクタンク7の外側でこのグロメット51をシールするゴム製のパッキング52、及びグロメット51の胴部外周に形成された螺子部に螺着させてグロメット51をバルクタンク7に固着するナット53から構成される。また、この実施例の放射温度測定センサ17は、グロメット51のフランジ部55とパッキング52との間に挟み込まれて固定されるクランク形状のブラケット29に、ナット39によって取り付けられ、その温度測定面17Aが、グロメット51の胴部に開けられた貫通孔54を通じて、バルクタンク7内の液面に対向するようになっている。
【0057】
一方、この実施例の放射温度測定センサ17には、バルクタンク7内のミルクの飛沫やタンク内の洗浄時の洗浄水がセンサ17の測定面17Aに付着するのを防止する保護部材40が、透明な保護板としてグロメット51のフランジ部55に取り付けられている。この場合、フランジ部55の板厚が均一であると、保護部材40がバルクタンク7内の液面と平行になってしまい、液体が保護部材40の中央部に付着する可能性あり、この場合には放射温度測定センサ17の測定感度が悪化することになる。
【0058】
そこで、この実施例では、グロメット51のフランジ部55の板厚を変え、バルクタンク7の外側の面をバルクタンク7の外側の面に対して斜めに傾斜させている。保護部材40はこの傾斜するフランジ部55に、中央部にブラケット51の貫通孔54に重なる開口38を備えたキャップ37で取り付けられている。この結果、保護部材40がバルクタンク7内の液面に対して傾斜して取り付けられることになり、放射温度測定センサ17の温度測定面17Aの前方に位置する保護部材40の中央部に、バルクタンク7内の液体が滞留しないようなる。よって、放射温度測定センサ17の測定面17Aの中央部に液面から入射される赤外線量は保護部材40に付着した液体の影響を殆ど受けなくなる。
【0059】
図11(a),(b)で説明した保護部材40を構成する保護板は、ポリエチレンシートを用いて構成することができる。そして、図11(b)で説明した実施例に使用するこのポリエチレンシートの厚さは、0.1mm程度で良い。
【0060】
図12(a) は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムで使用する搾乳プログラムの一例を示す図である。搾乳時には、前述のように、搾乳器3による搾乳の前後に、前洗浄と後洗浄が行われる。図12(b) は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムで使用するバルクタンクの冷却温度プログラムを示す図である。
【0061】
このプログラムでは、最初の搾乳直後はバルクタンク内のミルクの温度を牛の体温から段階的に低下させて行き、搾乳から2時間を経た後はミルクの温度を5℃未満に保持し、2度目の搾乳直後には、バルクタンクに流入する体温に近い温度のミルクによってバルクタンク内のミルクの温度が上昇しないように冷却し、集荷後のバルクタンクの洗浄時にはバルクタンク内の温度を一旦高温にするようになっており、バルクタンク内の温度がこの温度プログラムから大きく外れた場合には、警報を発するようになっている。
【0062】
図13は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムを適用するミルキングシステムにおける各部の正常時の動作を示すものであり、(a) はバルクタンク7内のミルクが増減する様子、(b) はバルクタンク7内の温度の推移、(c) は真空ポンプ1の稼動時間、(d) はバルクタンク7へのミルク流入を検出するセンサ出力、(e) は冷却機10の作動時間、(f) はアジテータ12の稼動状態をそれぞれ示している。
【0063】
この例では、第2の期間に4回の搾乳が行われており、第1の期間では高温の温水によってバルクタンク内の温度が上昇していることが分かる。本発明ではミルキングシステムがこのような正常動作から外れていないかどうかを監視することができる。
【0064】
以上説明した第1の実施例では、酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたバルクタンク7の温度監視システムを構築するに際して、バルクタンク7内の温度の監視サイクルを、図14に示すように、ミルクバルクタンク7からミルクを集荷する集荷時刻から、集荷後に最初に搾乳が開始されてミルクの貯蔵が開始される時刻までの高温監視期間である第1の期間と、集荷後に最初にミルクが貯蔵開始される時刻からバルクタンク7からミルクを集荷する時刻までの低温監視期間である第2の期間に区分した。この第1の実施例では、第1の期間と第2の期間が時間的に連続したものであった。
【0065】
一方、第2の実施例では、バルクタンク7内の温度監視サイクルを、図15(a)に示すような、ミルクを取り扱う会社のバルクタンク7からの集荷後の、バルクタンク7の高温洗浄の開始時刻から次回の高温洗浄の開始時刻までの高温期間、即ち、高温期のインターバルと、図15(b)に示すような、搾乳開始後のミルクのバルクタンク7への貯蔵開始時刻から次回の貯蔵開始時刻までの間の低温期間、即ち、低温期のインターバルとに区分した。そして、高温期のインターバルと低温期のインターバルのそれぞれを、独立して管理するようにした。
【0066】
第2の実施例でも、第1の実施例と同様に、前述のセンサを使用してバルクタンク7内の温度を定期的に測定するが、第2の実施例では、測定したバルクタンク7の中の温度値を、高温判定用のメモリと、低温判定用のメモリを、それぞれ独立したメモリに記憶させる。そして、各メモリに記憶されたバルクタンク7の温度の推移を見て、例えば、高温判定用の温度管理では、高温期のインターバルが始まって1時間以内にバルクタンク7内の温度が判定基準温度である40°C以上にならないと警報を発生させ、低温判定用の温度管理では、低温期のインターバルが始まって2時間以内にバルクタンク7内の温度が判定基準温度である5°C以下になっていないと警報を発生させることができる。
【0067】
なお、第2の実施例の別の形態として、測定したバルクタンク7の中の温度値を、1つのメモリを高温判定用の領域と、低温判定用の領域に分けてそれぞれ独立して記憶させることもできる。この場合は、メモリの独立した各記憶領域に記憶されたバルクタンク7の温度の推移を見て、前述の実施形態と同様に、例えば、高温判定用の温度管理では、高温期のインターバルが始まって1時間以内にバルクタンク7内の温度が判定基準温度である40°C以上にならないと警報を発生させ、低温判定用の温度管理では、低温期のインターバルが始まって2時間以内にバルクタンク7内の温度が判定基準温度である5°C以下になっていないと警報を発生させることができる。
【0068】
この動作に加えて、第2の実施例のバルクタンク7の温度監視システムでは、低温期のインターバル、及び高温期のインターバルにおけるバルクタンク7内の温度の監視を、これらの期間の途中における状態安定期で打ち切ってリセットすることができる。
【0069】
例えば、図16に示すように、ある低温期のインターバルにおける温度監視期間を、図中の符号Rで示す時点で打ち切ってリセットすることができる。このリセットの時点は、低温期のインターバルが開始されてから、次の低温期のインターバルが開始される前の時点である。このリセットの時点を決定する具体的な方法としては、バルクタンク7の中の温度の推移の過去の実績から、バルクタンク7の中の温度の推移がある状態になった以降は、同じ状態が次の低温期のインターバルの開始時点まで継続すると判定できる時点とする方法がある。また、低温期のインターバルにおいて、このインターバルの開示時点から、バルクタンク7内の温度が安定する所定時間が経過した時点をリセットの時点と決め、これを自動的に行うこともできる。
【0070】
なお、低温期のインターバルの中に、高温期のインターバルにおける温度変化が入ってくる4回毎の低温期のインターバル(一般に、1つの低温期のインターバルは12時間であり、集乳は2日に1回行われるので、高温期のインターバルは48時間であるため)では、バルクタンク7の内部の温度が高温になる前に、低温期のインターバルにおける温度監視を打ち切る必要がある。この場合の低温期のインターバルにおける温度監視のリセットの時点は、集乳業者が手動によってリセットする時点、バルクタンク7の集乳用のバルブが開弁された時点、バルクタンク7内の洗浄スイッチがオンされた時点、或いは、バルクタンク7内のミルクが空になったことを示すセンサからの信号を検出した時点、のいずれかとすることができる。
【0071】
また、高温期のインターバルにおけるバルクタンク7内の温度の監視を打ち切ってリセットする時点は、バルクタンク7内の温度が所定温度以下の低温になった時点、等とすることができる。
【0072】
更に、以上説明した第1の実施例と第2の実施例におけるバルクタンク7の温度管理システムにおいて、公衆回線、又は携帯電話回線により、遠隔地の外部団体、例えば、農業協働組合等の管理機関に、バルクタンク7内の検出温度データを送信し、このような外部団体で農場のバルクタンク7の記録データの収集、管理を行うことも可能である。また、外部団体における管理において、所定のバルクタンク7に異常が発見された時には、その警報を、逆に外部団体側から、公衆回線、又は携帯電話回線を使用してバルクタンク7を備えた農家や、バルクタンク7の補修団体等の予め指定された関係部門に送り返すことにより、バルクタンク7に異常が発生した際でも、その異常状態の回復等を一層効率的に短時間で行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】ミルキングシステムにおける本発明の一実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおける、高温監視期間(第1の期間)と低温監視期間(第2の期間)を示すサイクル図である。
【図3】(a) 〜(e) は搾乳施設から延長されてバルクタンクに接続されているミルクライン、又はこれらの近傍に設置されたセンサの設置位置を示す図である。
【図4】図1の制御装置の本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムに使用する部分の構成を示すブロック構成図である。
【図5】図1の制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】冷却機及びアジテータが正常に作動している時の、バルクタンク内のミルクの底面付近の温度と表面温度の搾乳後の推移を示す線図である。
【図7】冷却機は正常であるがアジテータに異常が生じた時の、バルクタンク内のミルクの底面付近の温度と表面温度の搾乳後の推移を示す線図である。
【図8】(a) は放射温度測定センサのバルクタンク内の設置位置を示す図、(b) ,(c) はバルクタンク内のミルクの表面近傍の温度を測定するフロートの構成を示す図である。
【図9】(a) ,(b) はバルクタンク内のミルクの表面近傍の温度を測定する差込式温度センサの構成を示す図である。
【図10】(a) は図8で説明した放射温度測定センサのミルク貯蔵タンクへの設置状態の一実施例を示すミルク貯蔵タンクの要部断面図、(b) は(a)の放射温度測定センサのミルクの液面側に取り付ける保護部材の一例を示す斜視図、(c)は(b)の保護部材の変形例を示す組立斜視図、(d)は(a)の保護部材の別の実施例を示す斜視図、(e)は(d)の保護部材の変形例を示す組立斜視図、(f)は(a)の保護部材の更に別の実施例を示す斜視図である。
【図11】(a) は図8で説明した放射温度測定センサのミルク貯蔵タンクへの設置状態の別の実施例を示すミルク貯蔵タンクの要部断面図、(b) は図8で説明した放射温度測定センサのミルク貯蔵タンクへの設置状態の更に別の実施例を示すミルク貯蔵タンクの要部断面図である。
【図12】(a) は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムで使用する搾乳プログラムの一例を示す図、(b) は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムで使用するバルクタンクの冷却温度プログラムを示す図である。
【図13】(a) はバルクタンク内のミルクの増減を時間と共に示す図、(b) はバルクタンク内の温度の推移を示す図、(c) は真空ポンプの稼動時間を示す図、(d) はバルクタンクへのミルク流入を検出するセンサ出力を示す図、(e) は冷却機の作動時間を示す図、(f) はアジテータの稼動状態を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおける第1の期間と第2の期間のタンク内温度の変化を時間と共に示す図である。
【図15】(a)は本発明の第2の実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおける高温期のインターバルを説明する図、(b)は本発明の第2の実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおける低温期のインターバルを説明する図である。
【図16】図15(b)に示した低温期のインターバルにおける温度監視期間を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 真空ポンプ
2 真空ライン
3 搾乳器
4 ミルクライン
6 ミルクポンプ
7 ミルク貯蔵タンク(バルクタンク)
9 制御装置
10 冷却機
11 冷却プレート
12 アジテータ
14,19,27 温度センサ
15 排出口
16 センサ
17 放射温度測定センサ
18 フロート
20 制御部
30 取付治具
40 保護部材
50 取付治具
【技術分野】
【0001】
本発明はミルク貯蔵タンクの温度監視システムに関し、特に、酪農家において乳牛から搾乳したミルクを貯蔵する貯蔵タンクにおける、ミルク取扱会社の集荷までの温度の監視、及び、洗浄時の温度監視を行う温度監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ミルク貯蔵タンク内のミルクの温度管理は、高品質の乳製品を作る上で重要である。その理由は、搾乳直後のミルクの温度は乳牛の体温程度あるが、そのまま室温で保存すればミルク内に細菌が繁殖し、ミルクが食用に適さなくなるからである。一方、どの程度の温度でミルクを貯蔵すべきかが基準化されてはいるが、現在ではミルクがその基準温度で正しく貯蔵されているか否かをチェックすることはなされていない。そこで、貯蔵タンク内のミルクの温度計測を規則的に行い、計測された温度記録を記憶し、ミルクの貯蔵状態が基準通りであったか否かを判断して表示する監視システムが望まれている。
【0003】
ミルク貯蔵タンクは、乳牛等から搾乳したミルクを、ミルク取扱会社による集荷まで保存しておく冷蔵タンクである。搾乳された直後のミルクの温度は、乳牛の体温と同じ程度の37℃前後であるため、ミルクを貯蔵する際には腐敗防止のために所定の温度まで下げて保存しておく必要がある。
【0004】
一方、貯蔵タンクに貯蔵されたミルクの集荷は搾乳毎に行われるのではなく、通常、2回または4回の搾乳毎に行われる。この結果、貯蔵タンク内のミルクの保管温度は、搾乳後にミルクが貯蔵タンク内に投入される毎に上昇する。このために、ミルクを貯蔵タンクに投入する都度、冷却機を作動させて貯蔵タンク内のミルクの温度を所定温度まで下げる必要がある。
【0005】
ところで、従来のミルク貯蔵タンクにおけるミルクの温度管理は、ミルク貯蔵タンクの底部に設置された温度センサの検出温度に応じて行われるようになっている。すなわち、温度センサの検出値が所定温度以上に上昇した場合に冷却機を作動させてミルク貯蔵タンク内のミルクの温度を下げるようになっている。
【0006】
貯蔵タンク内のミルクの冷却は、貯蔵タンクの底面、又は貯蔵タンクの下方に設けられた冷却パネルによって行われる。一方、貯蔵タンク内のミルクをこの冷却パネルで冷却するだけであると、貯蔵タンクの底部近傍のミルクは低温になるが、貯蔵タンクの上層部のミルクはなかなか冷却されず、上層部に温度の高いミルクが滞留することになる。このため、貯蔵タンクには一般に、タンク内のミルクを対流させてタンク内のミルクの温度の均一化を図る攪拌機(アジテータ)が設けられている。
【0007】
そして、冷却パネルによる冷却開始は、集荷して貯蔵タンクを洗浄した後、1回目の搾乳でミルクが投入されてから約10分後から行われる。この理由は、ミルクの投入前、もしくはミルクの投入前から冷却機を作動させたり、投入直後に冷却機を作動させると、貯蔵タンクの内壁に部分的に霜または氷が付着し、ミルクの冷却が妨げられたり、部分的にミルクが凍結したりすることによってミルクが変質してしまう恐れがあるからである。冷却機の作動開始は一般に手動によって行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、搾乳でミルクが投入されてから冷却機を作動するまでにタイムラグがあると、作業者が冷却機の作動スイッチを入れ忘れることがある。投入後に冷却機によって冷却が行われなかった貯蔵タンク内のミルクは、一見すると、他のミルクと変わりはないが、細菌数が増大していたり、腐敗していたり、内容的に変質しており、原料としては利用できない状態になっていることがある。そして、このような状態のミルクが集荷されてミルク工場に送られ、更に大きなミルクタンクに移されると、他の正常なミルクまでが汚染される可能性があり、ミルクの品位問題が深刻になる。このように、ミルク貯蔵タンクにおける貯蔵保管中のミルクの温度の監視は非常に重要である。
【0009】
一方、ミルクの出荷後のミルク貯蔵タンクの洗浄では、タンク内を高温の温水で洗浄することが義務付けられている。これは、タンクの洗浄が十分でないと、多くの栄養分を有するミルクが腐敗の温床となるためである。このことから、ミルク貯蔵タンクの洗浄時には、ミルクの保管時とは異なる別の温度監視が必要である。
【0010】
以上のように、ミルク貯蔵タンクの中のミルクの温度監視は重要であるが、温度記録は基本的に行われていないのが現状である。この第1の理由は、そのような義務が酪農家に課せられていないためであるが、大きなミルク貯蔵タンクでは貯蔵された上層部のミルクと下層部のミルクとでは温度差があり、タンク内のどの部分でミルクの温度を測定するかが決まっていないためである。
【0011】
ところで、ミルク貯蔵タンク内のミルクの温度を均一にするのは極めて困難である。これは、アジテータによる貯蔵タンク内の攪拌作業が乳質を維持するために限られるからである。この理由は、ミルク貯蔵タンク内のミルクの温度を均一にするために攪拌をやりすぎると、アジテータに乳脂肪が付着して乳成分が変化することになると共に、貯蔵タンク内に貯蔵されたミルクの液位に応じて攪拌によるミルクの乳成分も変化するからである。このため、ミルク貯蔵タンク内の全ての状態において最適の攪拌を得ることは非常に困難である。また、アジテータの羽根が破損した場合には攪拌が適切に行われず、ミルク貯蔵タンク内の上層部と下層部とではミルクの温度が異なってしまい、これがミルクの腐敗の原因となる恐れがある。
【0012】
そして、ミルク貯蔵タンクもしくは冷却機に温度の記録計が付いていたとしても、温度を測定する温度センサは貯蔵タンクの底部の近傍に設けられているので、得られた温度データはアジテータ等の状態によって正確ではなく、本当のミルクの貯蔵温度の監視はできなかった。
【0013】
しかしながら、今後、消費者からは一層品質の良いミルクが要求され、また、ミルクの製造過程を公開する必要性が社会的に要求されつつある。
【0014】
そこで、本発明は、酪農家のミルク貯蔵タンクの温度の監視を、ミルク貯蔵時とタンク洗浄時に区分することにより、正しく適切に行うことができるミルク貯蔵タンクの温度監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成する本発明は、酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、ミルク貯蔵タンク内に貯蔵されているミルクの温度の監視を、貯蔵ミルクの表面温度を測定して計測し、これを記録することによって行うことを特徴としている。
【0016】
この場合、貯蔵ミルクの表面温度の測定を、貯蔵ミルクの最大液面位より上方に位置させた放射温度検出センサを使用して、貯蔵ミルクの表面から放出される赤外線エネルギ量を非接触で計測することによって行う、貯蔵タンクの中に設置したフロートに内蔵した温度センサによって行う、又は、貯蔵タンクの中に差し込んだ棒状、又は板状の温度計により行うようにすることができる。
【0017】
なお、本発明において、貯蔵タンクにミルクを貯蔵するために備えられた真空ポンプの作動が確認されている状態で、搾乳によるミルクの貯蔵タンクへの貯蔵開始後、所定時間内に貯蔵タンク内のミルクを冷却する冷却機のスイッチがオンされたか否かを確認する手段を設けることができる。そして、この確認する手段は、冷却機のスイッチがオフの場合に、警告表示用の信号を出力する、或いは、強制的に冷却機のスイッチをオンする信号を出力するようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ミルク貯蔵タンク内のミルクの温度を、ミルク温度が最も高くなるミルクの表面温度の計測によって監視するようにしたので、貯蔵タンク内のミルク温度の上昇を防ぐことができ、ミルクの品質劣化を防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下添付図面を用いて本発明の実施形態を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1はミルキングシステムにおける本発明の一実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムの構成を示すものである。ミルキングシステムは、乳牛8を複数頭収容できる牛舎内に設備されており、牛舎内には真空ポンプ1によって作られた負圧を供給する真空ライン2と、乳牛8から搾乳されたミルクを集めるミルクライン4が設けられている。牛舎内の搾乳場所にはそれぞれ搾乳器3があり、この搾乳器3はフレキシブルな真空ライン枝管2Aで真空ライン2に接続されていると共に、ミルクライン枝管4Aでミルクライン4に接続されている。
【0021】
搾乳器3は、搾乳場所に集められた乳牛8の乳房8Aに複数個ある各乳頭に取り付けられ、真空ライン枝管2Aから供給される負圧によって乳房8Aからミルクを吸引する搾乳動作を行う。各搾乳機3によって搾り出されたミルクは、ミルクライン枝管4Aからミルクライン4を通って一旦受乳ジャー5に貯められる。この受乳ジャー5の容量は30リットル程度である。受乳ジャー5に貯められたミルクは、断続動作するミルクポンプ6によって吸い出されて容量の大きなミルク貯蔵タンク(以後バルクタンクと言う)7に貯蔵される。
【0022】
真空ポンプ1とミルクポンプ6は、制御装置9からの信号ライン9Aおよび信号ライン9Bを流れる信号によって動作制御される。ミルクポンプ6は一般に制御装置9からのパルス信号によって断続的に動作する。また、制御装置9には、図示はしないが、搾乳器3の搾乳動作を制御するパルセータ制御装置が含まれている。パルセータは、搾乳器3の搾乳動作を人間が乳牛から乳を搾る断続的な動作に近づけるためのものであり、搾乳器3に吸入と休止の搾乳動作を行わせるものである。
【0023】
更に、バルクタンク7の内部の底部近傍には、バルクタンク7内に蓄えられたミルクを冷却するための冷却プレート11があり、この冷却プレート11は、バルクタンク7の外部に設置された冷却機10から冷媒管10Aを通じて循環される冷媒によって冷却されるようになっている。また、バルクタンク7の内部には貯蔵されたミルクを攪拌して温度の均一化を図るアジテータ12が設けられている。このアジテータ12はバルクタンク7の上部に設けられたアジテータモータ13によって回転駆動される。アジテータモータ13の回転は制御装置9によって制御される。
【0024】
バルクタンク7内に貯蔵されたミルクの温度は、バルクタンク7の底部の近傍に設置された温度センサ14によって検出され、制御装置9に入力されるようになっている。制御装置9はこの温度センサ14の検出温度に応じて、冷却機10の駆動、及び、アジテータモータ13の駆動を行うようになっている。
【0025】
制御装置9の電源は通常、電圧200V〜240Vの三相交流であり、制御装置9から真空ポンプ1とミルクポンプ6への信号ライン9A,9B、及び、冷却機10とアジテータモータ13への信号ライン9C,9Dを流れる電圧は、24Vまでの直流、または100V〜120の交流である。真空ポンプ1とミルクポンプ6の駆動は、例えば、制御装置9から真空ポンプ1とミルクポンプ6への信号ライン9A,9Bの電圧を変化させることにより行われる。
【0026】
以上のように構成されたミルキングシステムにおける搾乳は、通常、朝晩の2回行われる。一般に、ミルキングシステムにおいて乳牛の搾乳を行う場合には、搾乳の前後にミルクライン4の洗浄が行われる。搾乳を行う前に行われる前洗浄ではミルクライン4が5〜10分の間だけ洗浄される。前洗浄では、搾乳器3から洗浄水が吸入され、ミルクライン4を経て授乳ジャー5に集められる。そして、授乳ジャー5に集められた洗浄水は、ミルクポンプ6を動作させてバルクタンク7以外の場所に排出される。
【0027】
この前洗浄が終了すると、搾乳器3が乳牛8の乳房8Aに取り付けられ、搾乳が開始される。1頭の乳牛から搾乳を行う時間は5〜6分であるが、乳牛は交代させて引続き搾乳が行われるので、搾乳期間は一般に1時間から2時間である。この搾乳期間においては、前述のように搾乳器3によって吸い出されたミルクはミルクライン4を経て授乳ジャー5に一旦集められ、断続的に動作するミルクポンプ6によって、ミルクがバルクタンク7に送られる。
【0028】
搾乳期間が終了すると、ミルクライン4を洗浄する後洗浄が行われる。この後洗浄期間においても搾乳器3から洗浄水が吸入され、ミルクライン4を経て授乳ジャー5に集められる。そして、授乳ジャー5に集められた洗浄水は、ミルクポンプ6を動作させてバルクタンク7以外の場所に排出される。この後洗浄期間はおよそ30分〜40分である。
【0029】
一方、バルクタンク7に集められたミルクは、通常、2回から4回の搾乳の後に、排出口15からミルク専用のタンクローリー車がその全量を回収、集荷し、工場に搬送されるようになっている。バルクタンク7からのミルクの排出完了は、排出口15に設けられたセンサ28によって検出される。そして、バルクタンク7の中のミルクの集荷後は、バルクタンク7の内部が温水洗浄される。この時、バルクタンク7内の洗浄に使用される温水の温度は60℃前後である。バルクタンク7内の洗浄が終了すると、再び搾乳によってミルクがバルクタンク7の中に貯蔵される。ミルキングシステムでは、このような2〜4回の搾乳とバルクタンク7内の洗浄のサイクルが繰り返される。
【0030】
そこで、本発明では、酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたミルク貯蔵タンクの温度監視システムを構築するに際して、第1の実施例として、ミルク貯蔵タンク、即ち、バルクタンク7内の温度の監視サイクルを第1の期間と第2の期間に区分した。これを図2を用いて説明する。
【0031】
第1の実施例では、図2に示すように、第1の期間は、ミルクを取り扱う会社がバルクタンク7からミルクを集荷する集荷時刻から、集荷後に最初に搾乳が開始されてミルクの貯蔵が開始される時刻までである。この第1の期間では、バルクタンク7を温水器で作った70℃以上の温水で洗浄する(実際にこの温水がバルクタンク7内に噴霧される時の温度は前述の通り60°C前後である)ので、この期間は高温監視期間である。第2の期間は、集荷後に最初にミルクが貯蔵開始される時刻から、ミルクを取り扱う会社がバルクタンク7からミルクを集荷する時刻までである。第2の期間では、ここに示した例では4回の搾乳が行われており、バルクタンク7の温度は搾乳毎に一旦高くなるが、搾乳後にバルクタンク7内のミルクの温度を低温に保持するので、低温監視期間である。
【0032】
第1の期間の終了時刻、即ち、第2の期間の開始時刻である集荷後に最初にミルクが貯蔵開始される時刻は、例えば、以下のような方法で設定することができる。
(1)ミルク集荷後に、図1に示した真空ポンプ1が最初に作動を開始する時刻を、集荷後の最初のミルク貯蔵開始時刻とする。
(2)ミルク集荷後に、図1に示したバルクタンク7の底部に設けられた温度センサの検出値が所定値になった時刻を、集荷後の最初のミルク貯蔵開始時刻とする。
(3)ミルク集荷後に、図1に示した搾乳施設から延長されてバルクタンク7に接続されているミルクライン4、若しくはこれらの近傍に設置されたセンサがミルクの流れを検出した時刻を、集荷後の最初のミルク貯蔵開始時刻とする。
【0033】
(3)の場合、センサは図3(a) から(e) に示すような位置に設置することができる。図3(a) に示す例では、センサ16がミルクライン4のバルクタンク7内への吐出口に設けられてミルクの流れを検出する。この場合のセンサ16としては、光センサ、振動センサ、温度センサ等が使用できる。図3(b) に示す例では、センサ16がバルクタンク7内への吐出口に設けられた弁体の開閉を検出する機械式のものであり、ミルクがバルクタンク7内へ流入したことをこの弁体が開いたことによって検出する。図3(c) に示す例では、センサ16がミルクライン4のバルクタンク7内への吐出口の近傍に設けられてミルクの流れを検出する。このセンサには、発光部と受光部とを備えた光学式のセンサや、振動センサ、温度センサ等を使用することができる。図3(d) に示す例では、センサ16がミルクライン4のバルクタンク7内への吐出口の外部に、吐出口に近接して設けられてミルクの流れを検出する。このセンサにも、光センサ、振動センサ、温度センサ等を使用することができる。図3(e) に示す例では、センサ16がミルクライン4の途中に設けられてミルクの流れを検出する。このセンサにも、光センサ、振動センサ、温度センサ等を使用することができる。
【0034】
一方、第2の期間の終了時刻、即ち、ミルクを取り扱う会社がバルクタンク7からミルクを集荷した時刻は、バルクタンク7のミルク排出口15に図3(a) 〜(e) で説明したようなセンサ16と同様のセンサ28を図1に示すように設けておき、バルクタンク7のミルクの排出が完了したことをこのセンサ28が感知した時刻とすれば良い。
【0035】
図4は図1の制御装置9における本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムに使用する制御部20の構成を示すものである。制御部20には、センサ部21、データ入力部22、データ記憶部23、データ判断部24、外部出力部25、及び、停電時等にこれらの電源を確保するための補助電源26がある。この補助電源26は必須ではなく、必要に応じて設ければ良い。
【0036】
センサ部21には温度センサやその他のセンサからの検出値が入力され、センサ部21はこの検出値をデータ入力部22に送る。データ入力部22は入力されたデータをデジタルデータに変換してデータ記憶部23に送る。データ記憶部23は入力されたデータを記憶すると共に、このデータをデータ判断部24に送る。データ判断部24による判断及びデータ記憶部23における記憶データは、外部出力部25を通じて制御部20の外部に出力できる。出力できる信号は、記憶データ、各種警報、及びバルク自動入力であり、これらの出力は選択することができる。
【0037】
図5は図1の制御装置9が行う貯蔵タンク(バルクタンク)7の温度監視の手順を説明するルーチンを示すものである。このルーチンは所定時間毎に実行される。本発明では、前述のように、第1の期間(高温監視期間)では、バルクタンク7の中を洗浄する液体の温度が所定温度以上であるか否かを監視し、第2の期間(低温監視期間)では、搾乳されたミルク投入後の所定時間内に所定温度以下でミルクが保存されているか否かを監視する。なお、図5のフローチャートの説明に使用する符号は図1で説明した部材の符号である。
【0038】
ステップ501ではまず、第1の期間か否かを判定する。第1の期間である場合にはステップ502に進み、バルクタンク7が洗浄処理されたか否かを判定する。バルクタンク7が洗浄された場合はステップ505に進み、センサ温度が40℃を越えたか否かを判定する。この判定温度40°Cは判定規格であり、一般に、洗浄用の温水を作る温水器からの温水温度が70°Cであり、この温水をバルクタンク7内に噴霧した時の温度が60°C前後であるので、設定されたものである。このセンサ温度は、図1に示した温度センサ14によって検出することができる。そして、センサ温度が40℃を越えた場合は洗浄処理が正常であるのでこのルーチンを終了するが、センサ温度が40℃以下の場合はステップ506に進み、貯蔵タンク(バルクタンク)7の洗浄が不十分である警報を出力する。この警報により、作業従事者がバルクタンク7の洗浄が不十分であることを知ることができる。
【0039】
一方、ステップ502でバルクタンク7が洗浄処理されていないと判定した場合にはステップ503に進んで第1の期間が終了したか否かを判定する。第1の期間が終了していない場合には、この後にバルクタンク7の洗浄処理が行われるかもしれないのでこのままこのルーチンを終了する。ところが、ステップ503で第1の期間が終了したと判定した場合は、バルクタンク7の洗浄処理が実行されずに第1の期間が終了したことになるのでステップ504に進み、貯蔵タンク(バルクタンク)7の洗浄が未処理である旨の警報を出力してこのルーチンを終了する。この警報により、作業従事者がバルクタンク7の洗浄が行われなかったことを知ることができる。
【0040】
次に、ステップ501で第1の期間でないと判定された場合は第2の期間であるのでステップ507に進む。第2の期間では、搾乳後15分が経過したか否かを先ず判定する。搾乳後15分が経過していない場合にはこのままこのルーチンを終了するが、搾乳後15分が経過した場合はステップ508に進む。ステップ508では冷却機10が可動したか否かを判定する。搾乳後15分が経過しても冷却機10が可動していない時はステップ515に進み、冷却機10が未作動である旨の警告を出力する。この警報により、作業従事者が搾乳後にバルクタンク7の冷却が行われなかったことを知ることができ、何らかの対策を講じることができる。なお、この時、ステップ504において、強制的に冷却機10のスイッチをオンして冷却機10を作動させるようにすることもできる。
【0041】
ステップ508で冷却機10の可動を判定した場合はステップ509に進み、搾乳後60分が経過したか否かを判定する。搾乳後60分が経過していない場合はこのままこのルーチンを終了するが、搾乳後60分が経過した場合はステップ510に進んでセンサ温度が10℃未満であるか否かを判定する。搾乳後60分が経過した状態では、冷却機10とアジテータ12によってミルクの温度が10℃未満に保持されなければならない。よって、ステップ510の判定でセンサ温度が10℃以上の場合はステップ511に進み、ミルク温度の異常警報を出力してこのルーチンを終了する。この警報により、作業従事者がバルクタンク7のミルク温度が異常であることを知ることができる。
【0042】
ここで、バルクタンク7のミルク温度が異常となった原因としては、冷却機10の故障、或いは、アジテータ12の不良、またはアジテータモータ13の動作不良が考えられるので、作業従事者は、これらの装置を点検して何らかの対策を講じることができる。
【0043】
一方、ステップ510の判定でセンサ温度が10℃未満の場合は正常であるのでステップ512に進み、搾乳後2時間が経過したか否かを判定する。搾乳後2時間が経過していない場合はこのままこのルーチンを終了するが、搾乳後2時間が経過した場合にはステップ513に進む。ステップ513ではセンサ温度が5℃未満であるか否かを判定する。搾乳後2時間が経過した状態では、冷却機10とアジテータ10によってミルクの温度が5℃未満に保持されなければならない。よって、ステップ513の判定でセンサ温度が5℃未満の場合は正常であるのでこのままこのルーチンを終了するが、5℃以上の場合はステップ514に進み、ミルク温度の異常警報を出力してこのルーチンを終了する。この警報により、作業従事者がバルクタンク7のミルク温度が異常であることを知ることができ、何らかの対策を講じることができる。
【0044】
図6は図1に示した冷却機10及びアジテータ12が正常に作動している時のバルクタンク7内の搾乳後のミルクの温度の推移を示すものである。図6に実線で示す温度は、バルクタンク7の底面付近に設けられた温度センサ14によって計測した値の推移である。一方、図6に破線で示す温度は、バルクタンク7内のミルクの液面温度(表面温度)の推移を示すものである。冷却機10及びアジテータ12が正常に作動している時は、バルクタンク7内のミルクの底面付近の温度と表面温度との間には殆ど差がないことがわかる。
【0045】
一方、図7は図1に示した冷却機10は正常に作動しているが、アジテータ12に異常が生じた時のバルクタンク7内の搾乳後のミルクの温度の推移を示すものである。図7に実線で示す温度は、バルクタンク7の底面付近に設けられた温度センサ14によって計測した値の推移である。一方、図7に破線で示す温度は、バルクタンク7内のミルクの液面温度(表面温度)の推移を示すものである。アジテータ12に異常が発生している時は、バルクタンク7内のミルクの底面付近の温度は正常であるが、表面温度が搾乳後に所定時間が経過しても低下していないことが分かる。この場合は、バルクタンク7内の上層部のミルクが変質する恐れがある。
【0046】
以上のことから、本発明では、酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたバルクタンクの温度監視システムにおいて、バルクタンク7内に貯蔵されているミルクの温度測定を、これまでのバルクタンク7の底面付近の温度の測定に加えて、貯蔵ミルクの表面温度を測定して計測し、これを記録することによって異常事態を避けるようにした。
【0047】
貯蔵ミルクの表面温度を測定には、以下のような方法が考えられる。
(1)図8(a) に示すように、バルクタンク7の最大液面7Lより上方に放射温度測定センサ17を位置させて設け、貯蔵ミルクの表面から放出される赤外線エネルギ量を非接触で計測する。
(2)図8(b) ,(c) に示すように、バルクタンク7の液面7Lに球状、或いは円板状のフロート18を浮かべ、フロート18の下部、或いはフロート18に貫通させた軸の下部に内蔵させた温度センサ19によって貯蔵ミルクの表面近傍の温度を測定する。
(3)図9(a) ,(b) に示すように、バルクタンク7の中に差し込んだ棒状、又は板状の差込式温度センサ27によって貯蔵ミルクの表面近傍の温度を測定する。ここで、図9(a) の破線が液面位置測定センサ27Aを示しており、図9(b) の破線が温度センサ素子27Bを示している。
【0048】
図10(a)は図8で説明した放射温度測定センサ17のバルクタンク7への設置状態の一実施例を示すものであり、バルクタンク7の上部の部分断面を示している。この実施例の放射温度測定センサ17は、バルクタンク7に開けられた取付孔7Hに取付治具30を介して取り付けられている。この取付治具30は、バルクタンク7の内側から外側に貫通させるグロメット31と、バルクタンク7の外側でこのグロメット31をシールするゴム製のパッキング32、及びグロメット31の胴部外周に形成された螺子部に螺着させてグロメット31をバルクタンク7に固着するナット33から構成される。放射温度測定センサ17は、このグロメット31の胴部外周に開けられた貫通孔34に差し込まれて取り付けられる。
【0049】
ところで、放射温度測定センサ17は、グロメット31の貫通孔34の中に挿入されて取り付けられただけでは、バルクタンク7内のミルクの飛沫や、タンク内の洗浄時の洗浄水が、センサ17の測定面(受光部)17Aに付着する。また、低温保管されたミルクに搾乳開始後に温かいミルクが投入されると、温度差によって蒸気が発生し、このことによってもセンサ17の測定面17Aに水滴等が付着する。そして、このように水滴がセンサ17の測定面17Aに付着すると、測定面17Aへの受光量が減り、放射温度測定センサ17の測定感度が悪化することになる。受光量の不足は、測定面17Aに付着したミルクが乾燥した状態でも発生する。そこで、本発明では、放射温度測定センサ17の温度測定面17Aの前方に保護部材40を取り付け、バルクタンク7内の液体がセンサ17の温度測定面17Aの前方に滞留しないようにしている。
【0050】
この保護部材40としては、図10(b)から(f)に示すような実施例が考えられるが、保護部材40の形状はこれらの実施例の形状に限定されるものではない。図10(b)に示す実施例の保護部材40は、透明なブラスチックで作られた所定長さの円柱41(直径は貫通孔34の内径に等しい)の先端部を斜めにカットしたものである。図10(c)に示す実施例の保護部材40は、所定長さの円筒42の先端部を斜めにカットし、このカット面に透明な楕円形の蓋43を接合したものである。図10(d)に示す実施例の保護部材40は、透明なブラスチックで作られた所定長さの角柱44の先端部を斜めにカットしたものである。図10(e)に示す実施例の保護部材40は、所定長さの角筒45の先端部を斜めにカットし、このカット面に透明な矩形の蓋46を接合したものである。これら2つの実施例の場合は、グロメット31に設けられた貫通孔34のバルクタンク側が矩形孔となっている。図10(f)に示す実施例の保護部材40は、透明なブラスチックで作られた所定長さの円筒47の先端面に、放射温度測定センサ17側に凸な円錐孔48を設けたものである。これらの透明な保護部材40の材料としては、シリコン系の樹脂を使用することができる。
【0051】
保護部材40を以上説明したような形状に構成すると、保護部材40のバルクタンク7の内部側の面が液面に対して斜めになっているために、たとえ液体が保護部材40のこの面に付着しても、付着した液体が保護部材の周囲に流れることになり、放射温度測定センサ17の測定面17Aの中央部に対向する保護部材40の部位には液体が滞留しない。よって、放射温度測定センサ17の測定面17Aの中央部に液面から入射される赤外線量は保護部材40に付着した液体の影響を殆ど受けなくなる。
【0052】
なお、以上説明した実施例における保護部材40は、グロメット31の貫通孔34から突出して設けられているが、保護部材40の長さはこれらの実施例に限定されるものではなく、グロメット31の貫通孔34の内部に傾斜面が位置するように構成しても良いものである。
【0053】
図11(a)は図8で説明した放射温度測定センサ17のバルクタンク7への設置状態の別の実施例を示すものであり、バルクタンク7の上部の部分断面を示している。この実施例の放射温度測定センサ17は、図10で説明した実施例と同様に、バルクタンク7に開けられた取付孔7Hに取付治具30を介して取り付けられている。この取付治具30の構成は図10の実施例と同様であり、バルクタンク7の内側から外側に貫通させるグロメット31と、バルクタンク7の外側でこのグロメット31をシールするゴム製のパッキング32、及びグロメット31の胴部に形成された螺子部に螺着させてグロメット31をバルクタンク7に固着するナット33から構成される。放射温度測定センサ17が、このグロメット31の胴部に開けられた貫通孔34に差し込まれて取り付けられることも同様である。
【0054】
一方、この実施例の放射温度測定センサ17では、バルクタンク7内のミルクの飛沫やタンク内の洗浄時の洗浄水がセンサ17の測定面17Aに付着するのを防止する保護部材40が、透明な保護板としてグロメット31のフランジ部35に取り付けられている。従って、取付治具30が図10のような状態でバルクタンク7に取り付けられていると、保護部材40がバルクタンク7内の液面と平行になってしまい、液体が保護部材40の中央部に付着する可能性あり、この場合には放射温度測定センサ17の測定感度が悪化することになる。
【0055】
そこで、この実施例では、放射温度測定センサ17を取り付けるバルクタンク7の上部の一部に斜めに傾斜する傾斜部7S設け、この傾斜部7Sに取付孔7Hを設けている。この結果、取付治具30がバルクタンク7内の液面に対して傾斜して取り付けられることになり、保護部材40も液面に対して傾斜することになる。このようにすることにより、放射温度測定センサ17の温度測定面17Aの前方に位置する保護部材40の中央部に、バルクタンク7内の液体が滞留しないようなる。よって、放射温度測定センサ17の測定面17Aの中央部に液面から入射される赤外線量は保護部材40に付着した液体の影響を殆ど受けなくなる。
【0056】
図11(b)は図8で説明した放射温度測定センサ17のバルクタンク7への設置状態の更に別の実施例を示すものであり、バルクタンク7の上部の部分断面を示している。この実施例の放射温度測定センサ17は、バルクタンク7に開けられた取付孔7Hに取付治具50を介して取り付けられている。この取付治具50は、バルクタンク7の外側から内側に貫通させるグロメット51と、バルクタンク7の外側でこのグロメット51をシールするゴム製のパッキング52、及びグロメット51の胴部外周に形成された螺子部に螺着させてグロメット51をバルクタンク7に固着するナット53から構成される。また、この実施例の放射温度測定センサ17は、グロメット51のフランジ部55とパッキング52との間に挟み込まれて固定されるクランク形状のブラケット29に、ナット39によって取り付けられ、その温度測定面17Aが、グロメット51の胴部に開けられた貫通孔54を通じて、バルクタンク7内の液面に対向するようになっている。
【0057】
一方、この実施例の放射温度測定センサ17には、バルクタンク7内のミルクの飛沫やタンク内の洗浄時の洗浄水がセンサ17の測定面17Aに付着するのを防止する保護部材40が、透明な保護板としてグロメット51のフランジ部55に取り付けられている。この場合、フランジ部55の板厚が均一であると、保護部材40がバルクタンク7内の液面と平行になってしまい、液体が保護部材40の中央部に付着する可能性あり、この場合には放射温度測定センサ17の測定感度が悪化することになる。
【0058】
そこで、この実施例では、グロメット51のフランジ部55の板厚を変え、バルクタンク7の外側の面をバルクタンク7の外側の面に対して斜めに傾斜させている。保護部材40はこの傾斜するフランジ部55に、中央部にブラケット51の貫通孔54に重なる開口38を備えたキャップ37で取り付けられている。この結果、保護部材40がバルクタンク7内の液面に対して傾斜して取り付けられることになり、放射温度測定センサ17の温度測定面17Aの前方に位置する保護部材40の中央部に、バルクタンク7内の液体が滞留しないようなる。よって、放射温度測定センサ17の測定面17Aの中央部に液面から入射される赤外線量は保護部材40に付着した液体の影響を殆ど受けなくなる。
【0059】
図11(a),(b)で説明した保護部材40を構成する保護板は、ポリエチレンシートを用いて構成することができる。そして、図11(b)で説明した実施例に使用するこのポリエチレンシートの厚さは、0.1mm程度で良い。
【0060】
図12(a) は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムで使用する搾乳プログラムの一例を示す図である。搾乳時には、前述のように、搾乳器3による搾乳の前後に、前洗浄と後洗浄が行われる。図12(b) は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムで使用するバルクタンクの冷却温度プログラムを示す図である。
【0061】
このプログラムでは、最初の搾乳直後はバルクタンク内のミルクの温度を牛の体温から段階的に低下させて行き、搾乳から2時間を経た後はミルクの温度を5℃未満に保持し、2度目の搾乳直後には、バルクタンクに流入する体温に近い温度のミルクによってバルクタンク内のミルクの温度が上昇しないように冷却し、集荷後のバルクタンクの洗浄時にはバルクタンク内の温度を一旦高温にするようになっており、バルクタンク内の温度がこの温度プログラムから大きく外れた場合には、警報を発するようになっている。
【0062】
図13は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムを適用するミルキングシステムにおける各部の正常時の動作を示すものであり、(a) はバルクタンク7内のミルクが増減する様子、(b) はバルクタンク7内の温度の推移、(c) は真空ポンプ1の稼動時間、(d) はバルクタンク7へのミルク流入を検出するセンサ出力、(e) は冷却機10の作動時間、(f) はアジテータ12の稼動状態をそれぞれ示している。
【0063】
この例では、第2の期間に4回の搾乳が行われており、第1の期間では高温の温水によってバルクタンク内の温度が上昇していることが分かる。本発明ではミルキングシステムがこのような正常動作から外れていないかどうかを監視することができる。
【0064】
以上説明した第1の実施例では、酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたバルクタンク7の温度監視システムを構築するに際して、バルクタンク7内の温度の監視サイクルを、図14に示すように、ミルクバルクタンク7からミルクを集荷する集荷時刻から、集荷後に最初に搾乳が開始されてミルクの貯蔵が開始される時刻までの高温監視期間である第1の期間と、集荷後に最初にミルクが貯蔵開始される時刻からバルクタンク7からミルクを集荷する時刻までの低温監視期間である第2の期間に区分した。この第1の実施例では、第1の期間と第2の期間が時間的に連続したものであった。
【0065】
一方、第2の実施例では、バルクタンク7内の温度監視サイクルを、図15(a)に示すような、ミルクを取り扱う会社のバルクタンク7からの集荷後の、バルクタンク7の高温洗浄の開始時刻から次回の高温洗浄の開始時刻までの高温期間、即ち、高温期のインターバルと、図15(b)に示すような、搾乳開始後のミルクのバルクタンク7への貯蔵開始時刻から次回の貯蔵開始時刻までの間の低温期間、即ち、低温期のインターバルとに区分した。そして、高温期のインターバルと低温期のインターバルのそれぞれを、独立して管理するようにした。
【0066】
第2の実施例でも、第1の実施例と同様に、前述のセンサを使用してバルクタンク7内の温度を定期的に測定するが、第2の実施例では、測定したバルクタンク7の中の温度値を、高温判定用のメモリと、低温判定用のメモリを、それぞれ独立したメモリに記憶させる。そして、各メモリに記憶されたバルクタンク7の温度の推移を見て、例えば、高温判定用の温度管理では、高温期のインターバルが始まって1時間以内にバルクタンク7内の温度が判定基準温度である40°C以上にならないと警報を発生させ、低温判定用の温度管理では、低温期のインターバルが始まって2時間以内にバルクタンク7内の温度が判定基準温度である5°C以下になっていないと警報を発生させることができる。
【0067】
なお、第2の実施例の別の形態として、測定したバルクタンク7の中の温度値を、1つのメモリを高温判定用の領域と、低温判定用の領域に分けてそれぞれ独立して記憶させることもできる。この場合は、メモリの独立した各記憶領域に記憶されたバルクタンク7の温度の推移を見て、前述の実施形態と同様に、例えば、高温判定用の温度管理では、高温期のインターバルが始まって1時間以内にバルクタンク7内の温度が判定基準温度である40°C以上にならないと警報を発生させ、低温判定用の温度管理では、低温期のインターバルが始まって2時間以内にバルクタンク7内の温度が判定基準温度である5°C以下になっていないと警報を発生させることができる。
【0068】
この動作に加えて、第2の実施例のバルクタンク7の温度監視システムでは、低温期のインターバル、及び高温期のインターバルにおけるバルクタンク7内の温度の監視を、これらの期間の途中における状態安定期で打ち切ってリセットすることができる。
【0069】
例えば、図16に示すように、ある低温期のインターバルにおける温度監視期間を、図中の符号Rで示す時点で打ち切ってリセットすることができる。このリセットの時点は、低温期のインターバルが開始されてから、次の低温期のインターバルが開始される前の時点である。このリセットの時点を決定する具体的な方法としては、バルクタンク7の中の温度の推移の過去の実績から、バルクタンク7の中の温度の推移がある状態になった以降は、同じ状態が次の低温期のインターバルの開始時点まで継続すると判定できる時点とする方法がある。また、低温期のインターバルにおいて、このインターバルの開示時点から、バルクタンク7内の温度が安定する所定時間が経過した時点をリセットの時点と決め、これを自動的に行うこともできる。
【0070】
なお、低温期のインターバルの中に、高温期のインターバルにおける温度変化が入ってくる4回毎の低温期のインターバル(一般に、1つの低温期のインターバルは12時間であり、集乳は2日に1回行われるので、高温期のインターバルは48時間であるため)では、バルクタンク7の内部の温度が高温になる前に、低温期のインターバルにおける温度監視を打ち切る必要がある。この場合の低温期のインターバルにおける温度監視のリセットの時点は、集乳業者が手動によってリセットする時点、バルクタンク7の集乳用のバルブが開弁された時点、バルクタンク7内の洗浄スイッチがオンされた時点、或いは、バルクタンク7内のミルクが空になったことを示すセンサからの信号を検出した時点、のいずれかとすることができる。
【0071】
また、高温期のインターバルにおけるバルクタンク7内の温度の監視を打ち切ってリセットする時点は、バルクタンク7内の温度が所定温度以下の低温になった時点、等とすることができる。
【0072】
更に、以上説明した第1の実施例と第2の実施例におけるバルクタンク7の温度管理システムにおいて、公衆回線、又は携帯電話回線により、遠隔地の外部団体、例えば、農業協働組合等の管理機関に、バルクタンク7内の検出温度データを送信し、このような外部団体で農場のバルクタンク7の記録データの収集、管理を行うことも可能である。また、外部団体における管理において、所定のバルクタンク7に異常が発見された時には、その警報を、逆に外部団体側から、公衆回線、又は携帯電話回線を使用してバルクタンク7を備えた農家や、バルクタンク7の補修団体等の予め指定された関係部門に送り返すことにより、バルクタンク7に異常が発生した際でも、その異常状態の回復等を一層効率的に短時間で行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】ミルキングシステムにおける本発明の一実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおける、高温監視期間(第1の期間)と低温監視期間(第2の期間)を示すサイクル図である。
【図3】(a) 〜(e) は搾乳施設から延長されてバルクタンクに接続されているミルクライン、又はこれらの近傍に設置されたセンサの設置位置を示す図である。
【図4】図1の制御装置の本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムに使用する部分の構成を示すブロック構成図である。
【図5】図1の制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】冷却機及びアジテータが正常に作動している時の、バルクタンク内のミルクの底面付近の温度と表面温度の搾乳後の推移を示す線図である。
【図7】冷却機は正常であるがアジテータに異常が生じた時の、バルクタンク内のミルクの底面付近の温度と表面温度の搾乳後の推移を示す線図である。
【図8】(a) は放射温度測定センサのバルクタンク内の設置位置を示す図、(b) ,(c) はバルクタンク内のミルクの表面近傍の温度を測定するフロートの構成を示す図である。
【図9】(a) ,(b) はバルクタンク内のミルクの表面近傍の温度を測定する差込式温度センサの構成を示す図である。
【図10】(a) は図8で説明した放射温度測定センサのミルク貯蔵タンクへの設置状態の一実施例を示すミルク貯蔵タンクの要部断面図、(b) は(a)の放射温度測定センサのミルクの液面側に取り付ける保護部材の一例を示す斜視図、(c)は(b)の保護部材の変形例を示す組立斜視図、(d)は(a)の保護部材の別の実施例を示す斜視図、(e)は(d)の保護部材の変形例を示す組立斜視図、(f)は(a)の保護部材の更に別の実施例を示す斜視図である。
【図11】(a) は図8で説明した放射温度測定センサのミルク貯蔵タンクへの設置状態の別の実施例を示すミルク貯蔵タンクの要部断面図、(b) は図8で説明した放射温度測定センサのミルク貯蔵タンクへの設置状態の更に別の実施例を示すミルク貯蔵タンクの要部断面図である。
【図12】(a) は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムで使用する搾乳プログラムの一例を示す図、(b) は本発明のミルク貯蔵タンクの温度監視システムで使用するバルクタンクの冷却温度プログラムを示す図である。
【図13】(a) はバルクタンク内のミルクの増減を時間と共に示す図、(b) はバルクタンク内の温度の推移を示す図、(c) は真空ポンプの稼動時間を示す図、(d) はバルクタンクへのミルク流入を検出するセンサ出力を示す図、(e) は冷却機の作動時間を示す図、(f) はアジテータの稼動状態を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおける第1の期間と第2の期間のタンク内温度の変化を時間と共に示す図である。
【図15】(a)は本発明の第2の実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおける高温期のインターバルを説明する図、(b)は本発明の第2の実施例のミルク貯蔵タンクの温度監視システムにおける低温期のインターバルを説明する図である。
【図16】図15(b)に示した低温期のインターバルにおける温度監視期間を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 真空ポンプ
2 真空ライン
3 搾乳器
4 ミルクライン
6 ミルクポンプ
7 ミルク貯蔵タンク(バルクタンク)
9 制御装置
10 冷却機
11 冷却プレート
12 アジテータ
14,19,27 温度センサ
15 排出口
16 センサ
17 放射温度測定センサ
18 フロート
20 制御部
30 取付治具
40 保護部材
50 取付治具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
ミルク貯蔵タンク内に貯蔵されているミルクの温度の監視を、貯蔵ミルクの表面温度を測定して計測し、これを記録することによって行うことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記貯蔵ミルクの表面温度の測定を、前記貯蔵ミルクの最大液面位より上方に位置させた放射温度検出センサを使用して、貯蔵ミルクの表面から放出される赤外線エネルギ量を非接触で計測することによって行うようにしたことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記放射温度検出センサの前記貯蔵ミルクの液面に対向する面に、透明な保護部材を取り付け、この保護部材は、表面に水滴が付着しにくい形状に形成する、或いは、前記貯蔵ミルクの液面に対して傾斜させて、その表面に水滴が付着しにくくしたことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記貯蔵ミルクの表面温度の測定を、前記貯蔵タンクの中に設置したフロートに内蔵した温度センサによって行うようにしたことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項5】
請求項1に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記貯蔵ミルクの表面温度の測定を、前記貯蔵タンクの中に差し込んだ棒状、又は板状の温度計により行うようにしたことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記貯蔵タンクにミルクを貯蔵するために備えられた真空ポンプの作動が確認されている状態で、搾乳によるミルクの前記貯蔵タンクへの貯蔵開始後、所定時間内に前記貯蔵タンク内のミルクを冷却する冷却機のスイッチがオンされたか否かを確認する冷却機の作動確認手段が設けられていることを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記作動確認手段が、前記冷却機のスイッチがオフの場合に、警告表示用の信号を出力することを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項8】
請求項6に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記作動確認手段が、前記冷却機のスイッチがオフの場合に、強制的に前記冷却機のスイッチをオンする信号を出力することを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項1】
酪農家において搾乳したミルクを貯蔵するための、冷却機を備えたミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
ミルク貯蔵タンク内に貯蔵されているミルクの温度の監視を、貯蔵ミルクの表面温度を測定して計測し、これを記録することによって行うことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記貯蔵ミルクの表面温度の測定を、前記貯蔵ミルクの最大液面位より上方に位置させた放射温度検出センサを使用して、貯蔵ミルクの表面から放出される赤外線エネルギ量を非接触で計測することによって行うようにしたことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記放射温度検出センサの前記貯蔵ミルクの液面に対向する面に、透明な保護部材を取り付け、この保護部材は、表面に水滴が付着しにくい形状に形成する、或いは、前記貯蔵ミルクの液面に対して傾斜させて、その表面に水滴が付着しにくくしたことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記貯蔵ミルクの表面温度の測定を、前記貯蔵タンクの中に設置したフロートに内蔵した温度センサによって行うようにしたことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項5】
請求項1に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記貯蔵ミルクの表面温度の測定を、前記貯蔵タンクの中に差し込んだ棒状、又は板状の温度計により行うようにしたことを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記貯蔵タンクにミルクを貯蔵するために備えられた真空ポンプの作動が確認されている状態で、搾乳によるミルクの前記貯蔵タンクへの貯蔵開始後、所定時間内に前記貯蔵タンク内のミルクを冷却する冷却機のスイッチがオンされたか否かを確認する冷却機の作動確認手段が設けられていることを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記作動確認手段が、前記冷却機のスイッチがオフの場合に、警告表示用の信号を出力することを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【請求項8】
請求項6に記載のミルク貯蔵タンクの温度監視システムであって、
前記作動確認手段が、前記冷却機のスイッチがオフの場合に、強制的に前記冷却機のスイッチをオンする信号を出力することを特徴とするミルク貯蔵タンクの温度監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−111058(P2007−111058A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12018(P2007−12018)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【分割の表示】特願2001−336842(P2001−336842)の分割
【原出願日】平成13年11月1日(2001.11.1)
【出願人】(000105844)サージミヤワキ株式会社 (7)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【分割の表示】特願2001−336842(P2001−336842)の分割
【原出願日】平成13年11月1日(2001.11.1)
【出願人】(000105844)サージミヤワキ株式会社 (7)
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