説明

ミンチのトレーへの盛付方法とミンチの切断搬送装置

【課題】コンベヤ上に連続して供給される帯状のミンチを切断して得られるミンチブロックを崩さないで見映えよくトレーに盛付けることができるミンチのトレーへの盛付方法とその方法に供される装置を提供する。
【解決手段】コンベヤ5上に連続して供給される帯状のミンチMをカッター6によって所定の長さL毎に切断しミンチブロックmとしてトレー9内に収容する盛付方法であって、ミンチブロックmの表面に成形型面を押圧する成形手段によって前記ミンチブロックMの少なくとも平面視における隅角部を曲面又は傾斜面に成形してからトレー9内に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョッパーなどから連続して供給される帯状のミンチを所定寸法毎に切断して販売用のトレーへ盛付ける盛付方法と、その方法に供されるミンチの切断搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のミンチのトレーへの盛付方法とその方法に供される装置には、例えば特許文献1がある。
特許文献1には、連続して供給されるミンチを所定の長さに切断してから分割したミンチを、一旦、受取板上に受けてから受取板を没入させて下方に供給されたトレー内に落下させて盛付ける装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、チョッパーなどから連続して供給されるミンチをコンベヤ上に受け止めて所定量に切断、分割するミンチの分割搬送装置において、切断されたミンチの間隔を空けるために切断時にミンチの表面を一時的に加圧して流れを停滞させる加圧装置が開示されている。
【0004】
上述のいずれの特許文献に開示された技術であっても、帯状のミンチを切断して得られたミンチブロックmは図6の(ア)にイメージ的に表示されているように略直方体であって平面視における隅角は直角である。食肉をミンチ加工する際の品温の適温は−3℃程度であり、この温度帯でひも状に挽かれたミンチは比較的剛性が高く付着し難い性状を有しており、所定の長さに切断されたミンチブロックは側壁の上方から崩落しやすい。従ってミンチブロックをトレーに盛付けるため移乗させる際に、特に平面視の隅角部の切り口側から崩れて側方へミンチが落下してロスとなったり、外観が乱れて商品価値を落とすことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献1】特開平2−291315号公報
【特許文献2】特開2001−169717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述のような問題点を解消するために成されたものであって、帯状のミンチを切断して得られたミンチブロックを崩れることなく見映えよくトレーに盛付けることができるミンチのトレーへの盛付方法とその方法に供される装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンベヤ上に連続して供給される帯状のミンチをカッターによって所定の長さ毎に切断しミンチブロックとしてトレー内に収容する盛付方法であって、ミンチブロックの表面に成形型面を押圧する成形手段によって前記ミンチブロックの少なくとも平面視における隅角部を曲面又は傾斜面に成形してからトレー内に収容することを特徴とするミンチのトレー盛付方法としている。
【0007】
また、前記成形手段が、コンベヤ上に連続して供給される帯状のミンチを、所定の長さ毎に切断するカッターと、切断されたミンチブロックを搬送する搬送手段とを具備するミンチの切断搬送装置において前記ミンチブロックの少なくとも平面視における隅角部を押圧して曲面又は傾斜面に成形する成形型面を有する押圧具を出退自在に設けたものであることを特徴とする請求項1に記載のミンチのトレー盛付方法に供するミンチの切断搬送装置としている。
【0008】
さらに、前記押圧具がミンチブロックの後方と後続するミンチブロックの前方との両隅角部を同時に成形する成形型面を有しており、該押圧具がミンチの切断位置付近の左右両側に設けられていて、該押圧具とカッターを関連させて作動させるように構成されていてもよく、前記請求項3における押圧具が前記切断位置より前記ミンチブロックの切断長さ寸法だけ上流位置に設けられていて、該押圧具とカッターを関連させて作動させるように構成されることが好ましく、また、前記ミンチブロックを両側方から押圧して平面視における少なくとも全ての隅角部を曲面又は傾斜面に同時成形する成形型面を有する押圧具を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連続して供給される帯状のミンチをカッターで所定の寸法毎に切断して得られたミンチブロックの表面に成形型面を押圧する成形手段によってミンチブロックの少なくとも平面視における隅角部を押圧して曲面又は傾斜面に成形してからトレー内に収容するようにしたので、ミンチブロックをトレーに収容するときにミンチが乱れることなく見映えよく盛り付けできる。また、盛付けられたミンチブロックの四隅部が曲面または傾斜面となるので柔らかな手作り感が付与され商品価値が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るミンチの切断搬送装置を模式的に示した側面図。
【図2】本発明に係る成形手段の第一実施例における要部の平面図。
【図3】同上の第二実施例における要部の平面図。
【図4】同上の第三実施例における要部の平面図。
【図5】同上の第四実施例における要部の平面図
【図6】本発明に係るミンチブロックの形状をイメージ的に示す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に本発明に係るミンチの切断搬送装置を模式的に示す。このミンチの切断搬送装置の基本的な構成については公知であり詳細な説明は省略するが、チョッパーや分配機などの吐出口1から連続してコンベヤ5上に供給される帯状のミンチMは、ミンチMの左右両側に接してミンチMの幅を規制するガイド板2,2と、コンベヤ5の上方からミンチMの上面をエアーシリンダー3で間欠的に押圧する押圧板4とによって案内されながら成形され切断部に向けて搬送される。
【0012】
切断部におけるコンベヤ5の上方位置には、ミンチMの移送方向に直交して往復動する板状のカッター6が設けられている。カッター6はエアーシリンダー7に取り付けられ図示しない制御手段によって上下に往復動してミンチMを所定の長さ毎に切断するように構成されている。
8は、切断されたミンチブロックmの搬送手段の一例である搬送コンベヤであって、搬送コンベヤ8の終端部の下方位置に待機するトレー9への収納位置までミンチブロックMを搬送する。この搬送コンベヤ8は、コンベヤ5に対して別体に構成して早送りすることによりミンチブロック間の間隔を広くすることができるが、必ずしもコンベヤ5と別体構成とする必要はなくミンチブロックm間の間隔を特別に大きくする必要がなければ、コンベヤ5をトレー9への収納位置まで延設してもよい。本例においては、搬送コンベヤ8の終端部において、搬送コンベヤ8の下方から出退自在に設けた受取板81上にミンチブロックmを受取つてから退去させてトレー9内に落下させて収納させるように構成している。10はトレー9の搬送帯であって、本例においては、図1に示すようにトレー9を、仮想線表示の進出した受取板81の下方で待機させておき、ミンチブロックmを収納してから次工程に搬送する。
また、受取板81を設けないで搬送コンベヤ8によって連続的に搬送されるミンチブロックmに同調させてトレー9を搬送させながらトレー9内に移乗させて収容するように構成してもよい。
【0013】
次に図2に示す本発明に係る成形手段の第一実施例について説明する。帯状のミンチMの切断部付近における左右両側位置にミンチブロックmの後方と後続するミンチブロックmの前方との平面視における両方の隅角部を曲面又は傾斜面を成形できる成形型面を有する押圧具11,11がエアーシリンダー12,12に支持されて出退自在に設けられる。
この押圧具11,11は、図2に示すように帯状ミンチMの両側に対向して立設された角材の長手方向における対向面の両角を面取りして断面形状を山形に形成するが、この山形の斜面がミンチブロックmの平面視における隅角部を曲面又は傾斜面に成形する成形型面となる。即ち、この山形の斜面を直線状のままの成形型面とすると図6における(ウ)の状態のように直角の隅角部が45度面取りされた傾斜面に成形される。又は、斜面を適宜凹ませて曲面に形成して成形型面とすると図6の(エ)に示すような隅角部は曲面に成形される。
この図6の(ア)に示すミンチブロックmの形状はイメージ的なものであり、実際には、断面形状が矩形でなく梯形であったりまた、上面が曲面のかまぼこ型であったりするが、平面視においては帯状のミンチMの側面に対しては直交して切断されるので平面視における隅角部はほぼ直角となる。
ミンチブロックmは図6の(ア)に示されるように多数の略直線のひも状になったミンチが流れ方向に積み重ねられた状態なので、特に両側の上縁に積み上げられたひも状ミンチから崩れ落ち易い。そこで切り口の隅角部に押圧具11,11で押し付け、ミンチブロックmに付着させて崩落を防止しようとするものである。従って押圧具11,11、の成形面の形状は少なくとも平面視における隅角部を押圧できればよいが同時に切り口側や側面側に適宜延長して成形して所望する形状を得ることも可能である。
【0014】
上記のように構成されたミンチの成形手段の作動について述べると、帯状のミンチMがコンベヤ5と搬送コンベヤ8とが同期して走行することによって所定の切断位置まで搬送されると、まず、退避位置にあった押圧具11,11を図2の(ア)に示すように出動させる。即ち、エアーシリンダー12,12を作動させて押圧具11,11を帯状ミンチMの側方から突き出させ成形型面によって帯状ミンチMの側部にミンチブロックmの後方の隅角部と後続するミンチブロックmの前方との両方の隅角部の形状に相当する山形の凹みを形成させてから退去させる(図2おける(イ)に示す状態)。この際にミンチMの上面を間欠的に押圧する押圧板4をミンチブロックm側にも設けてミンチM側に設けた押圧板4とともに押圧具11,11の作動に関連させて作動させると押圧具11,11によってミンチの膨れ上がりを均すことができるので仕上がりがきれいになる。
続いて図2の(イ)示すエアーシリンダー7を作動させることによってカッター6を下動させて帯状ミンチMを切断してから搬送コンベヤ8を適宜走行させてミンチブロックmをトレー9内に移乗し収容させる。
【0015】
尚、カッター6を下動させるときに、コンベヤ5と搬送コンベヤ8とを停止させることなく同期して走行させていても、ミンチM側(切断位置上手側)の押圧板4をカッター6の作動に関連させて作動させると帯状ミンチMの流れが一時的に停滞するので、カッター6による切断面のずれが起こらないできれいな切断面が得られるとともに一時的に停滞した分だけミンチブロックm間の間隔が開く。
また、成形時には帯状ミンチMの幅を規制するガイド板2,2を切断部近くまで延設しておけば成形時に幅寸法が変動しない。
【0016】
このようにしてトレー9内に盛付けられたミンチブロックmは、図6の(ウ)(エ)に示すように隅角部に押圧具11、11の成形型面が押圧されて曲面又は傾斜面に成形されているので、隅角部においてひも状のミンチの切断端末からバラけることなく、しかも切断したままの直角状の隅角でなく丸みのある手つくり感が付与されて商品価値が向上する。
【0017】
ミンチブロックmが盛付けられたトレー9はトレー搬送帯10で機外に送出される。
このような動作を連続して行わせてミンチMを次々にトレー9に盛付けるが、生産量が少ないときには、トレー搬送帯10を省略して隅角部が成形されたミンチブロックmをヘラなど用いて搬送コンベヤ8上から人手で掬い取りトレー9に移し変えて盛付けても上述したと同様のトレーに盛付けられた商品価値の高いミンチブロックmが得られる。
【0018】
次に図3により成形手段の第二実施例について説明する。この第二実施例は、前述した第一実施例における押圧具11,11が、中空状となり、山形の成形型面の先端部はカッタ6を挟持できるように開口され、かつ、少なくとも底面が開放されている。
このように構成されることにより、図3に示されるようにカッター6と押圧具11,11とが重合された状態となり両者が自由に作動可能となる。即ち、切断位置において押具圧11,11が出動したままの状態であってもカッター6が下動してミンチMを切断することができるし、両者を同時に作動させることもできるので、作業時間が短縮され能率アップに繋がる上にカッター6が下動時において押圧具11,11によってミンチMが一時停止されるので切断面がきれいになる。また、作動順序もカッター6が下動した状態で後から押圧具11,11を出動させることも可能となる。なお、押圧具11,11の材質は合成樹脂が望ましく、摩擦に纏わる問題点を減らすためにカッター6との接触面積は極力小さくする。また、少なくとも底面を開放することにより肉汁などが中空内に堆積しないし、作業後の洗浄も容易となる。
【0019】
ついで図4に示す成形手段の第三実施例について説明する。前述した第一実施例における押圧具11,11をカッター6で帯状ミンチMを切断する切断位置(カッター6の位置)から所望のミンチブロックmにおける所定長さ寸法Lだけ隔てられた上流位置に設ける。この長さ寸法Lはトレーへの盛付量の変更に伴い適宜変更されるので図示は省略するがカッター6と押圧具11との相対位置を適宜変更可能に構成する必要がある。
【0020】
この第三実施例においては、押圧具11,11を保持するエアーシリンダー12,12を作動させて帯状ミンチMの両側から押圧し押圧具11,11に形成された成形型面によってミンチブロックmの後方の隅角部と後続のミンチブロックmの前方との両方の隅角部を曲面又は傾斜面に成形する。図3においては省略しているが同時にミンチブロックmの上面を押圧板4,4で押圧して成形するようにすれば押圧具11の成形型面により押されて上方へ膨れ上がったところが均せる。
この場合、押圧具11、11を支持するエアーシリンダー12,12の作動に関連して略同時にカッター6を保持するエアーシリンダー7が作動するように制御する。この第二実施例においても前述した実施例1と同様、帯状ミンチMは押圧具11,11により挟持された状態となるので切断時においてコンベヤ5、8を停止させなくとも、帯状ミンチMが一時停止状態となるのでカッター6による切断面にずれが発生することなくコンベヤ面に対して直角に切断されるので見映えがよい。また、帯状ミンチMが停止した時間だけ搬送コンベヤ8の走行によるミンチブロックm間の間隙を開けることができる。
【0021】
図5に示す成形手段の第四実施例は、カッター6により切断されたミンチブロックmを搬送コンベヤ8上で平面視におけるすべての隅角部(4隅)を曲面又は傾斜面に同時に成形するもので、ミンチブロックmのそれぞれの隅角部を押圧して曲面又は傾斜面に成形することができる成形型面を有する押圧具11,11,11,11の内、左右の前部と後部とを一体化してエアーシリンダー12,12に連結する。このように構成された左右一対の押圧具11,11の組立品を搬送コンベヤ8上によって移送されるミンチブロックmの隅角部に合致するように搬送コンベヤ8の速度と押圧具組立品の位置を設定する。
そして搬送コンベヤ8で移送されるミンチブロックmの隅角部が押圧具11の成形型面と移送が合致した際に、エアーシンダー12,12を作動させてミンチブロックmの左右側部から押圧具11,11の組立品を出動させて、ミンチブロックmの隅角部を同時に押圧具11,11の成形型面で押圧し曲面又は傾斜面を形成する。この場合も押圧具11,11の出動に合わせてミンチブロックmの上面を同時に押圧できる押圧板(図示なし)を設けると盛り上がりが防止されて見映えよく成形できる。なお、左右片側の前後一組の押圧具11、11の相対距離は切断されるミンチブロックmの長さ寸法に合わせて適宜調節できるように構成することが必要である。
【0022】
また、上述したいずれの成形手段にあっても、押圧具11、11を作動させる際には、左右のガイド板2,2を押圧具11,11の作動位置近くまで延設することと、押圧具11,11の作動に関連して上方の押圧板4、4を作動させることによりミンチブロックmの隅角部が確実に押し付けられるので崩落が防止できるとともに、盛り上がりが防止されて見映えよく成形される。
また、図示は省略したがミンチMの幅寸法の違いに適応するために左右のガイド板2、2、の間隔、押圧具11,11の対向間隔は必要に応じて調節できるように構成する。
【符号の説明】
【0023】
4 押圧具
5 コンベヤ
6 カッター
8 搬送コンベヤ
9 トレー
10 トレー搬送帯
11 押圧具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤ上に連続して供給される帯状のミンチをカッターによって所定の長さ毎に切断しミンチブロックとしてトレー内に収容する盛付方法であって、ミンチブロックの表面に成形型面を押圧する成形手段によって前記ミンチブロックの少なくとも平面視における隅角部を曲面又は傾斜面に成形してからトレー内に収容することを特徴とするミンチのトレー盛付方法。
【請求項2】
前記成形手段が、コンベヤ上に連続して供給される帯状のミンチを、所定の長さ毎に切断するカッターと、切断されたミンチブロックを搬送する搬送手段とを具備するミンチの切断搬送装置において前記ミンチブロックの少なくとも平面視における隅角部を押圧して曲面又は傾斜面に成形する成形型面を有する押圧具を出退自在に設けたものであることを特徴とする請求項1に記載のミンチのトレー盛付方法に供するミンチの切断搬送装置。
【請求項3】
前記押圧具がミンチブロックの後方と後続するミンチブロックの前方との少なくとも両隅角部を同時に成形する成形型面を有しており、該押圧具がミンチの切断位置付近の左右両側に設けられていて、該押圧具とカッターを関連させて作動させるように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のミンチの切断搬送装置。
【請求項4】
前記請求項3における押圧具が前記切断位置より前記ミンチブロックの切断長さ寸法だけ上流位置に設けられていて、該押圧具とカッターを関連させて作動させるように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のミンチの切断搬送装置。
【請求項5】
前記ミンチブロックを両側方から押圧して平面視における少なくとも全ての隅角部を曲面又は傾斜面に同時成形する成形型面を有する押圧具を備えたことを特徴とする請求項2に記載のミンチの切断搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−165733(P2012−165733A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46953(P2011−46953)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000152815)株式会社日本キャリア工業 (61)
【Fターム(参考)】