説明

ムピロシン精製法

抗生物質ムピロシン(シュードモン酸A)の精製法であって、(a)ムピロシン水溶液からのムピロシンの沈殿を生起または可能にするステップと、(b)沈殿物を回収するステップと、(c)回収した沈殿物を有機溶媒に溶解させるステップとを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗生物質ムピロシン(シュードモン酸A)の精製法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)が、シュードモン酸Aの他に、文字B〜Dで表記
される少量の他の関連抗生物質を生合成し得ることは周知である(例えば、非特許文献1、2、3参照)。シュードモン酸抗生物質のなかで、治療という観点から見て最も重要なのは、主としてグラム陽性菌に対する増殖阻害作用を有するシュードモン酸Aである。
【0003】
抗生物質複合体を含有する培養ブロスからシュードモン酸Aを分離する1つの方法は液液抽出法である。例えば特許文献1および2によれば、発酵ブロスに可溶性バリウム塩を加え、次いで遠心して、不溶性不活性物質を含む微生物細胞を分離し、最後に、メチルイソブチルケトン(MIBK)で抗生物質を抽出する。次いで、アルカリ水を用いてメチルイソブチルケトン抽出物から抗生物質を取り出し、得られたアルカリ性水抽出物をメチルイソブチルケトンで再抽出して清澄化する。得られた粗生成物をクロマトグラフィーにかけ、シュードモン酸抗生物質複合体からエステル誘導体を調製し、分取薄層クロマトグラフィーで精製する。加水分解して酸性型の純粋抗生物質を得る。
【0004】
例えば特許文献3は、培養ブロスをメチルイソブチルケトンで抽出し、抽出物から、炭酸水素ナトリウム溶液で活性物質を抽出する方法に関する。アルカリ水に不溶の物質を濾過して分離し、次いで、濾液のpHを酸性化し、メチルイソブチルケトンで抽出する。最後に、抽出物を濃縮し、メチルイソブチルケトン−n−ヘプタン混合物から結晶化してシュードモン酸Aを得る。
【0005】
例えば特許文献4はムピロシン分離法に関し、この方法は、水不混和性有機溶媒中の粗ムピロシン調製物の溶液を水性媒体で抽出するステップ、前記水溶液のpHを低下させるステップ、溶液を水不混和性の極性有機溶媒で抽出するステップ、その後でムピロシンを結晶化させるために、前記極性有機溶媒の極性を低下させるほど非極性だが該極性有機溶媒と混和性である希釈剤を加えるステップを含む。この反応スキームのステップは多種多様であり、結果として、このスキームは大量の溶媒を必要とする。
【0006】
例えば特許文献5はムピロシン分離法を開示しており、この方法は、塩素化脂肪族炭化水素または酢酸イソブチルを用いて酸性化培養ブロスを抽出して、ムピロシン含有抽出物を得るステップと、水性相と少なくとも1種の有機溶媒を含む有機相との間に抽出物を分配し、有機溶媒を蒸発させて、抽出物からムピロシンを精製するステップとを含む。
【特許文献1】独国特許第2227739号明細書
【特許文献2】米国特許第4289703号明細書
【特許文献3】ベルギー国特許第870,855号明細書
【特許文献4】米国特許第4222942号明細書
【特許文献5】米国特許第6254921号明細書
【非特許文献1】イー ビー チェイン(E.B.Chain)、ジー メロウズ(G.Mellows)、J.Chem.Soc.Perkin Trans I.p.318、1977年
【非特許文献2】ジェイ ピー クレイトンら(J.P.Clayton et al)、Tetrahedron Lett.、第21巻、p.881、1980年
【非特許文献3】ピー ジェイ オー ハンロン(P.J.O.Hanlon)、エヌ エイチ ロジャース(N.H.Rogers)、J.Chem.Soc.Perkin Trans I.p.2665、1983年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記方法はいずれも商業的および環境上の見地から見て満足できるものではない。したがって、既知方法の不利点を少なくともいくつか含まず、かつ生産規模において上述の抗生物質の高回収率をもたらし得る新規なムピロシン精製法が引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はムピロシン精製法を提供し、この方法は、経済的に健全であり、好ましくは環境上の悪影響が少なく、かつ高純度を有するムピロシンを高収率でもたらすという上記目的の少なくともいくつかを満たすものである。この方法は、ムピロシン水溶液からムピロシンを沈殿させるステップと、沈殿物を有機溶媒に溶解させるステップとを含む。
【0009】
本発明はムピロシン精製法に関し、この方法は、
(a) ムピロシン水溶液からムピロシンを沈殿させるステップ、
(b) 沈殿物を回収するステップ、
(c) 沈殿物を有機溶媒に溶解させるステップ、および、任意選択で、
(d) 有機溶媒からムピロシンを回収するステップ
を含む。
【0010】
用語「ムピロシン(mupirocin)」は、上記参考文献のいずれかに定義されているようなムピロシンだけでなく、その天然誘導体および合成誘導体をも包含するものとする。この用語は、その酸性形態および塩、例えば、カルシウム塩などだけでなく、これらの溶媒和物や結晶多形をも包含する。
【0011】
本発明のある実施形態において、ムピロシン溶液は、発酵ブロス、例えば遠心または濾過により清澄化されたような清澄ブロスである。発酵ブロス源は重要ではなく、発酵ブロスは、従来技術、例えば、上述の参考文献や、米国特許第3977943号、同第4071536号および同第4289703号明細書、国際公開公報第00/46389号または同第03/000910号パンフレットに開示されているような技術で得ることができる。任意選択で、発酵ブロスは、ムピロシンを沈殿させる前に濃縮し得る。発酵ブロス以外の溶液、例えば、ムピロシンまたはその誘導体の化学合成由来の溶液を用いてもよい。
【0012】
ムピロシンは、酸、例えば、酢酸、クエン酸、硫酸および塩酸からなる群から選択される酸などを加えて水溶液から沈殿させ得る。酸を用いる場合、その沈殿時のpHは、2.0〜6.0、好ましくは3.5〜5.0、最も好ましくは4.2〜4.6の範囲内が便利である。1つの実施形態において、溶液は、ムピロシンが沈殿するまで、例えば10〜40分間、攪拌放置する。
【0013】
ムピロシン含有沈殿物は、遠心または濾過して回収し得るが、遠心が好ましい。遠心は、例えば、5000〜15000gで5〜30分間遠心するか、5000〜15000gでの連続遠心でゲルが形成されるような条件下で実施する。
【0014】
本発明のある実施形態において、回収した沈殿物を、極性の、実質的に水不混和性の有機溶媒に溶解させる。溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトンなどの式アルキル−C(=O)−アルキルを有するケトン、例えば、酢酸エチルなどの式アルキル−C(=O)−O−アルキルを有するエステル、例えば、n−ブタノールなどの式アルキル−OHを有するアルカノール、またはこれらのいずれかを含む混合物を用い得る。ここで、用語「アルキル」は、アルコールに関する場合、5個以上の炭素を有する脂肪族炭化水素基を
指し、それらの炭化水素基には、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基が含まれ、他の溶媒において、用語「アルキル」は、飽和または不飽和であり、1、2、3、4、5、6個以上の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素基を指す。
【0015】
溶媒は純粋なメチルイソブチルケトン(MIBK)であるのが好ましい。すなわち、溶媒は、90%超(例えば、92%超、94%超、96%超、さらには98%または99%超)のMIBKを含むのが好ましい。必要に応じ、ムピロシンは、任意選択で溶媒を脱水した後で、例えば結晶化により溶媒から回収し得る。
【0016】
別の実施形態において、本発明の方法は、より純粋な抗生物質を得るために、1つ以上の追加ステップを含む。そのようなステップは、ステップ(a)の前、および/またはステップ(d)の後、および/またはステップ(a)と(b)の間、および/またはステップ(b)と(c)の間、および/またはステップ(c)の後に加えてよく、そのようなステップは、脱色ステップ、親水性成分除去ステップ、濃縮ステップ、蒸発ステップ、清澄化ステップ、脱水ステップ、乾燥ステップ、濾過ステップ、抽出ステップ、および結晶化ステップからなる群から選択されるステップを含む。追加ステップは、上記ステップ(d)の後に加えるのが好ましい。
【0017】
本発明の方法は、好ましくは、溶液の凝固点と室温の間の温度、例えば、0〜25℃の範囲、より好ましくは5〜20℃の範囲の温度で実施する。任意選択で、乾燥ステップと蒸発ステップは、高温下、例えば20〜50℃の範囲の温度下に実施し得る。
【0018】
本発明はさらに、本発明の方法で得られるムピロシンに関する。本発明のムピロシンは、従来技術の方法で得られるムピロシンより純度が高い。本発明の方法を用いると、少なくとも93%、例えば、少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、最も好ましくは少なくとも98%もの純度を有するムピロシンを得ることができる。通常、本発明のムピロシンは、少なくとも950μg/mg、好ましくは少なくとも960μg/mgの比活性を有する。
【0019】
従来技術(例えば、米国特許第5569672号および同第5594026号、これらの開示内容はそのまま本明細書に文献援用される)の教示に従って、シュードモン酸のカルシウム塩や種々の結晶多形を生成することも可能である。
【0020】
本発明の説明に関連する用語「1つの、ある(a,an)」および「その、前記(the)」ならびに類似する指示語の使用は、本明細書に特に明記するか、文脈と明らかに矛盾しない限り、単数と複数をともに対象とすると解釈されるものとする。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」および「含有する(containing)」は、特に断りのない限り、制限のない(open−ended)語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)と解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書で特に明記しない限り、単にその範囲内に含まれるそれぞれの別個の値を個々に示すのを省略した方法としての役割を果たすに過ぎず、それぞれの別個の値は、あたかも本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に言及されているすべての値は、その前に「約(about)」が付いたもの、すなわち、「7」は「約7」と解釈すべきである。本明細書に記載するすべての方法は、本明細書で特に明記するか、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行し得る。本明細書に提供されているあらゆる例または例示語〔例えば、「などの、ような(such as)」〕の使用は、単に本発明をより明確にすることを目的とするに過ぎず、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいずれの文言も、特許請求の範囲に記載されていない要素が本発明の実施に不可欠であることを示すものと解釈してはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明者らが本発明を実施するための最良の態様であると知っているものを含めた本発明の好ましい実施形態を本明細書で説明する。それらの好ましい実施形態の変形形態は、上記説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、熟練した技術者が必要に応じてそのような変形形態を用いることを予期しており、本発明が本明細書に具体的に説明したのと違うように実施されることも意図している。したがって、本発明は、適用法が認める範囲内の、本明細書に添付されている特許請求の範囲に記載されている主題のすべての変更形態および均等形態を包含する。さらに、すべての可能な変形形態における上述要素の任意の組み合せも、本明細書で特に明記するか、文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。従来技術参考文献の内容は本明細書にそのまま文献援用される。
【実施例1】
【0022】
無細胞ムピロシン水溶液の調製
実施例1A
蛍光菌シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)のムピロシン産
生培養細胞を、それ自体公知の方法、すなわち、米国特許第3,977,943号の実施例1の手順に従って発酵させて、ムピロシン含有発酵ブロスを得た。
【0023】
研究室用発酵装置由来のムピロシン含有全培養細胞発酵ブロス2Lを(1MのNaOHを加えて)pH=7.1に調整し、室温下に30分攪拌した。研究室用遠心機にて10,000g(5℃)で10分間遠心して無細胞溶液を得た。最終清澄溶液で、発酵ブロス中に存在するムピロシンの約90%を回収した。
【0024】
実施例1B
実施例1Aと同じようにして得た5Lのムピロシン発酵ブロスを(3MのNaOHを加えて)pH=8.3に調整し、室温下に144μm金属スクリーンで濾過、次いで限外濾過した(ミリポア社(Millipore) Pellicon(登録商標)−2 Biomax(登録商標)−5)。最終清澄溶液で、発酵ブロス中に存在するムピロシンの約70%を回収した。
【0025】
実施例1C
実施例1Aと同じようにして得たムピロシン発酵ブロス2600Lを(20%のNaOHを加えて)pH=7.5に調整し、0.1μmセラミックフィルター(SCT/Exekia社 Membralox(登録商標)P19−40,0.1α−alu モジュール)で濾過した。バイオマスを3×500Lの水でバッチ式に膜分離して、残留ムピロシンを回収した。次いで、ムピロシン含有透過液をRO(オスモニクス(Osmonics) Desal(登録商標) DK膜)で濃縮した。最終清澄溶液で、発酵ブロス中に存在するムピロシンの80%が回収されたことが分った。
【実施例2】
【0026】
低pH下の水沈殿
実施例2A
実施例1Cのようにして得た濾液2Lを遠心機ボトルに移し、攪拌下に40mlの濃酢酸をゆっくり加えた。pHは4.5になった。試料を室温下に30分間攪拌放置した後、冷蔵遠心機にて13,000gで20分遠心した。上澄みを捨て、1g当たり0.6gのムピロシンを含有するゲルを得た。沈殿における総回収率は90%であった。
【0027】
実施例2B
実施例1Cのようにして得た清澄ムピロシン水溶液1000LをpH4.5に低下させて沈殿させた。濾液に合わせて約50Lの60%酢酸を混合した。工業用分離機(ウエストファリア(Westfalia) CSA−19)で沈殿物を回収し、1g当たり0.333gのムピロシンを含有するムピロシンゲルを得た。
【0028】
実施例2C
実施例1Aのようにして得た濾液600mlを遠心機ボトルに移し、攪拌下に濃塩酸2mlをゆっくり加えてpHを4.4に調整した。試料を室温下に30分間攪拌放置してから、冷蔵遠心機中13,000gで20分遠心した。上澄みを捨て、ゲルを得た。
【実施例3】
【0029】
低pH下の反復水沈殿
実施例2Aのようにして得た含水沈殿物3mlを16mlの8%水酸化アンモニウムに溶解させた。得られた清澄溶液のpH(pH=8.5)を、3mlの濃酢酸を加えて4.4に調整した。試料を4℃で一晩放置してから、冷蔵遠心機中13,000gで20分遠心した。上澄みを捨て、ゲルを得た。二次沈殿における総回収率は99%であった。
【実施例4】
【0030】
ムピロシンの有機溶媒への溶解
実施例4A
実施例2Aにようにして得た25gのムピロシンを含有する含水沈殿物を250mlのMIBKに溶解させた。混合物を濾過した。
【0031】
実施例4B
実施例2Aにようにして得た25gのムピロシンを含有する含水沈殿物を250mlの酢酸エチルに溶解させた。混合物を濾過した。
【実施例5】
【0032】
追加精製
実施例5A: 親水性成分の除去
実施例4Aのようにして得たMIBK中のムピロシン180mlを分液漏斗に移し、20mlのMilliQ水で抽出した。2相を分離させ、水性相を除去して廃棄した。有機相の抽出を4回繰り返した後、有機相からムピロシンを回収した。
【0033】
実施例5B: 炭素処理による脱色
実施例4Aのようにして得たMIBK中のムピロシン180mlに4.5gの活性炭(ノリット(Norit) C extra)を加え、30分間攪拌放置してから、炭素を濾去し、フィルターケーキを30mlのMIBKで洗浄した。
【実施例6】
【0034】
結晶化
実施例6A: シュードモン酸結晶多形Iの調製
実施例5Aで得た、17gのムピロシンを含有する有機溶液200mlを、実験室用ロータリーエバポレータ(60ミリバール、40℃)で真空蒸発させた。生成物フラスコに102mlの溶液が残った時点で蒸発を停止した。5mlのヘプタンを加え、溶液を室温下に攪拌放置した。22時間攪拌放置した後、結晶質を濾過した。フィルターケーキを40mlのMIBKで3回洗浄した後、乾燥させた(<50ミリバール、40℃)。(HPLCで測定して)960μg/mgの比活性を有する乾燥生成物13.2gを回収した。
【0035】
実施例6B: シュードモン酸結晶多形IIの調製
実施例5Bに記載のようにして得た17gのムピロシンを含有する有機溶液100mlに、150mlのヘプタンを攪拌下に約2時間かけて加える。約24時間攪拌放置した後、結晶質を濾過し、MIBK/ヘプタン(50/50)で洗浄、真空乾燥機(<50ミリバール、40℃)で乾燥させる。
【0036】
実施例6C: 結晶多形IIIの調製
実施例4Bに記載のようにして得た17gのムピロシンを含有する有機溶液100mlに、90mlのヘプタンを攪拌しながら加える。溶液を40℃に加熱し、この温度をこの手順の残りの時間維持する。溶液に、実施例6Aから得られる結晶性生成物を接種する。3日間攪拌放置した後、結晶質を濾過し、MIBK/ヘプタン(50/50)で洗浄、真空乾燥機(<50ミリバール、40℃)で乾燥させる。
【0037】
実施例6D: シュードモン酸カルシウムの調製
実施例2Aのようにして得た25gのムピロシンを含有する含水沈殿物に水酸化ナトリウム溶液(1M、45ml)を加えてゆっくり溶解させ、中性溶液(pH7)を得る。該溶液を濾過する。混合物に塩化カルシウム(6.3g)を加え、攪拌を続けて清澄溶液を得る。20時間静置した後、結晶性生成物を濾去し、水(50ml)で洗浄、乾燥(50ミリバール、40℃)して、シュードモン酸カルシウム二水和物を得る。
【0038】
実施例6E: シュードモン酸カルシウムの調製
実施例2Aのようにして得た25gのムピロシンを含有する含水沈殿物に50%水性メタノールを250ml容量まで加える。酸化カルシウム(1.8g)を加えて中性溶液(pH7)を得る。メタノールを除去するために溶液を蒸発させる。メタノールを含まない残渣(120ml)を水(50ml)で希釈し、室温下に攪拌しながら結晶化させる。24時間後、混合物を濾過し、回収した生成物を水(50ml)でスラリー化して洗浄する。結晶性生成物を真空オーブン(50ミリバール、40℃)で乾燥させる。
【0039】
比較
プロセスおよび最終生成物の品質:
【0040】
【表1】

上記表中、「ステップ」=清澄ブロス/濾液から濃縮溶媒抽出物を得るのに要するステップ数、である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムピロシン精製法であって、
(a) ムピロシン水溶液からのムピロシンの沈殿を生起または可能にするステップ、
(b) 沈殿物を回収するステップ、
(c) 回収した沈殿物を有機溶媒に溶解させるステップ、および、任意選択で、
(d) 有機溶媒からムピロシンを回収するステップ
を含んでなる方法。
【請求項2】
例えば、酢酸、クエン酸、硫酸および塩酸からなる群から選択される酸などを加えて、ムピロシンを沈殿させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
沈殿時の溶液のpHが、2.0〜6.0、好ましくは3.5〜5.0、最も好ましくは4.2〜4.6の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ムピロシン溶液が、例えば濾過されたブロスなどの清澄発酵ブロスであることを特徴とする、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)で遠心または濾過によりムピロシン含有沈殿物を回収する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)で、回収した有機沈殿物を、水不混和性または水にやや可溶性の極性有機溶媒に溶解させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
有機溶媒が、メチルイソブチルケトンなどのケトン、酢酸エチルなどのエステル、またはn−ブタノールなどのアルカノール、またはそれらのいずれかを含んでなる混合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
有機溶媒が純粋なメチルイソブチルケトンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
任意選択で、溶媒から脱水した後で、結晶化により溶媒からムピロシンを回収する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
脱色ステップ、親水性成分除去ステップ、濃縮ステップ、蒸発ステップ、清澄化ステップ、脱水ステップ、乾燥ステップ、濾過ステップ、抽出ステップ、および結晶化ステップからなる群から選択される1つ以上の追加ステップをさらに含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも93%、好ましくは少なくとも96%の純度を特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により得られるムピロシン。

【公表番号】特表2008−530168(P2008−530168A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555552(P2007−555552)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001672
【国際公開番号】WO2006/087237
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(505371232)アルファーマ エーピーエス (13)
【氏名又は名称原語表記】ALPHARMA APS
【住所又は居所原語表記】11 Dalslandsgade,DK−2300 Copenhagen S,DENMARK
【Fターム(参考)】