説明

ムライト体及びムライト体の形成方法

【課題】改良された性質を有する、場合によってはフッ素含有ガスの存在下に形成される、針状ムライト粒子の多孔質ムライト組成物を形成する方法を提供する。
【解決手段】改良された性質は水の蒸気、酸素、不活性ガス又はこれらの混合物からなる群から選ばれる雰囲気においてムライトを高温に加熱すること又はAl/Si比が多くとも2.95の前駆体からムライト組成物を形成することから得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はムライト体(Mullite body)(又はムライト組成物、以下同じ)及びムライト体の形成方法に関する。更に詳しくは融合インターロック状針状粒子(grain)を有するムライト体及びそれらの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディーゼルエンジンによって放出される微粒子物質の一層厳しい規制が欧州及び米国において通過した。これらの規制に合致させるために、微粒子フィルターが必要となると思われる。
【0003】
これらの微粒子フィルターは多くの矛盾する厳格な要求に合致しなければならない。例えば、フィルターは放出されたミクロンサイズのディーゼル微粒子のほとんどを保持しつつ(一般には放出された微粒子の90%超の捕獲)、十分な気孔率(一般には55%気孔率を超える)を有しなければならない。フィルターは、また、再生前に多量のすすを保持しながら、過背圧が、早急には、かからないように十分通気性でなければならない。フィルターは腐蝕性排気雰囲気に長期間耐えなければならない。フィルターは排気系に取付けられたコンテナー中に配置するための初期強度を有さなければならない。フィルターは、局部温度が1600℃のような高温まで到達する数千回にもわたるフィルターに捕集されたすすの焼却からの熱サイクルに耐えることができなければならない(適度な強度を保持できなければならない)。かかる厳格な基準から、セラミックフィルターがディーゼル微粒子フィルターの開発の選択材料となってきている。
【0004】
早い段階で、焼結コージェライト調製(キン青石)のセラミックフィルターが可能性の高いディーゼル微粒子フィルターとして調査された。コージェライトはその低コストと自動車排気系の三元触媒担体として使用の故に調査されてきた。残念なことに、コージェライトは、前述の数千回もの再生サイクルの後の厳格な要件を満足しながら、保持強度(retained strength)と共に、高気孔率、高通気性及び高すす保持能を示すには至らなかった。
【0005】
更に近年では、炭化ケイ素(シリコンカーバイド)が、その高強度及び熱サイクル後の強度保持能の故に、フィルターとして着目されるようになった。しかし、炭化ケイ素は、例えば高価な炭化ケイ素微粉を用いて高温で焼結しなければならないという不利な点がある。炭化ケイ素は焼結されるので、展開する孔構造は過背圧がかかる前にすすの保持能に限界が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、前述のいくつかの一つのような従来技術の1又はそれ以上の問題を解決する形成方法及びセラミック材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の面は、
a)ムライトに存在する元素(Al,Si及びO)を有する、1種の前駆体化合物(プレカーサー)又は前駆体化合物の混合物であって、前記1種の前駆体化合物又は前駆体化合物の1種がクレイであり、前記前駆体化合物又はその混合物のAl/Siバルク化学量論比が2〜4である前駆体化合物又はその混合物を形成し、
b)その混合物を多孔質グリーン付形物に成形し、
c)工程(b)の多孔質グリーン付形物を、フッ素含有ガスを有する雰囲気下に、500〜950℃の温度に加熱して、フルオロトパズ(fluorotopaz)を形成せしめ、
d)次いで、水の蒸気、酸素、空気、不活性ガス又はこれらの混合物から選ばれた熱処理雰囲気下に、前記フルオロトパズを、少なくとも0.5時間、少なくとも950℃の熱処理温度に加熱して、ムライト組成物を形成せしめる
ことを含んでなる針状ムライト組成物の製造方法である。
【0008】
驚くべきことに、本発明の方法は、十分な強度を有しかつ、乗物の寿命にわたって経験する熱サイクルに生きながらえるのに十分な強度を保持する針状ムライト(mullite)を生成する。これに反し、クレイ(粘土)から、本発明の熱処理工程なしで、製造した針状ムライトは空気中で800℃で2時間加熱した後に、その未処理強度の実質量を失う(即ち、前記工程(c)の後の強度)。
【0009】
本発明の別の面は
a)ムライトに存在する元素(Al,Si及びO)を有する、その1種がクレイである、1種の前駆体化合物又はそれ以上の前駆体化合物の混合物であって、Al/Si比が多くとも2.95である混合物を形成し、
b)前駆体化合物又はその混合物を多孔質グリーン付形物に成形し、そして
c)工程(b)の多孔質グリーン付形物を、フッ素含有ガスを有する雰囲気下に、本質的に化学的に結合した針状ムライト粒子から実質的になる、ムライト組成物が多くとも2.95〜少なくとも2のバルクAl/Si化学量論量比を有し、針状ムライト粒子が少なくとも2.95のAl/Si化学量論量比を有し、そしてムライト組成物が多くとも2容積%の結晶性シリカ相を有する、多孔質ムライト組成物を形成するのに十分な温度に加熱する
ことを含んでなる強度の改良された多孔質針状ムライト組成物の形成方法である。
【0010】
本発明の更なる面は、本質的に化学的に結合された針状ムライト粒子(grain)から実質的になるムライト組成物であって、そのムライト組成物が多くとも2.95〜少なくとも2のバルクAl/Si化学量論比を有し、前記針状ムライト粒子が少なくとも2.95のAl/Si比を有し、ムライト組成物が多くとも2容積%の結晶性シリカ相及びムライト粒子の少なくとも一部の上に分布する、シリカマグネシウム及び鉄を含んでなるガラス相を有する多孔質ムライト組成物である。
【0011】
驚くべきことに、前記本発明の更なる面の組成物は、空気中において800℃に2時間加熱された後に、組成物が少なくとも55%〜多くとも85%の気孔率を有しながら、少なくとも15MPaの保持強度を有することができる。この保持強度は針状ムライトを空気中において800℃で2時間加熱した後の曲げ強さ(bend stength)である。所望であれば、これらの針状ムライト組成物は本発明の第一の面の最終工程を用いて処理して更に改良すらされた保持強度を与えることができる。
【0012】
本発明のまた更なる面は、本質的に化学的に結合された針状ムライト粒子から実質的になるムライト組成物であって、そのムライト組成物が針状ムライト粒子の少なくとも一部の上に分布したガラス相を有し、そのガラス相がガラス相中に本質的に組み入れられた鉄及びマグネシウムを有するムライト組成物である。
【発明の効果】
【0013】
鉄やマグネシウム不純物を含む、クレイのような前駆体化合物で作られたムライト組成物はムライト組成物中に存在するガラス相にこれらの沈澱を生じ、これらは熱サイクルによって強度を低下させるように思われることを見出した。本発明の第一の面の方法を用いると、これらの沈澱はマグネシウム及び鉄をガラス相中に組み入れることによって本質的に除かれ、そして空気中800℃で2時間の加熱などのような熱サイクルによって再形成されない。
【0014】
本発明のムライト組成物はムライトに適当な任意の用途に使用することができる。具体例はフィルター、耐火物、熱及び空気絶縁体、金属又はプラスチックの複合体の強化、触媒及び触媒の担体である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ムライト組成物
本発明のムライト組成物は本質的に化学的に結合された針状ムライト粒子を含む。ムライト粒子は少なくとも90%のムライト組成物を含むのが好ましい。好ましくは、このムライト粒子は、組成物の、少なくとも95容積%、更に好ましくは少なくとも98容積%の、もっと好ましくは少なくとも99容積%を構成する。ムライト粒子に加えて、前記ムライト組成物は、酸化物の形のシリカ、アルミナ及び金属不純物からなるガラス相を、殆んど変わることなく、含む。一般に、ガラス相はムライト粒子表面及び交差する(intersecting)粒子表面に位置する。
【0016】
針状ムライト粒子はアスペクト比が2より大きい粒子である(例えば、長さが幅より2倍以上大きい)。望ましくは、本発明のムライト組成物中に存在する針状ムライト粒子は少なくとも5の平均アスペクト比を有する。好ましくは平均アスペクト比は少なくとも10、より好ましくは少なくとも15、更にもっと好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも40である。
【0017】
前記ムライト組成物粒子の本質的に全てはムライト組成物の他のムライト粒子に化学的に結合している。このことはムライト粒子の多くても1容積%しか他のムライト粒子に化学的に結合していないということである。好ましくは本質的にすべてのムライト粒子が化学的に結合する。一般的に化学的に結合されたとは粒子が焼結又は一緒に融合される時である。融合及び焼結は、一般に、Si、Al又はそれらの混合物の無定形酸化物(ガラス)相(即ち無秩序又は不規則相)からなる粒子表面で起る。
【0018】
ミクロ構造は研磨断面(polished section)の鏡検法(microscopy)のような適当な技術によって決定される。例えば平均ムライト粒子サイズはムライト体の研磨断面の走査電子顕微鏡法(SEOC)で求めることができる。平均粒子サイズはUnderwoodのQuantitative Stereology(Addison Wesley, Reading, MA, 1970)に記載のインターセプト法によって求めることができる。
【0019】
本発明の一つの好ましい態様において、ムライト組成物は、空気中800℃で2時間加熱された後に、少なくとも15MPaの強度を有し、そして少なくとも55%〜多くとも85%の気孔率を有する。繰返しのために、空気中で800℃に2時間加熱した後の4点曲げ強度を本明細書においては保持強度(retained strength)という。この保持強度は組成物が、ディーゼル微粒子フィルター用途において存する、熱サイクル及び振動に耐え得る組成物の能力の良好な指標であることを見出した。
【0020】
前記保持強度を達成するために、一般にはムライト化強度(即ちムライト化された状態での強度)(as mullitized strength)の少なくとも50%保持されることが必要である。このムライト化強度は如何なる次工程の熱処理前の針状ムライトの強度である。これは、十分に高いムライト化強度を有する能力がディーゼル微粒子フィルターに必要な高気孔率(porosity)によって厳しく制限されるからである。高い気孔率(即ち55%又はそれ以上の気孔率、好ましくは少なくとも57%気孔率)は、例えば過度な背圧を生ずることなく、使用するフィルターとして必要である。好ましくは保持強度は、ムライト化強度の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%である。驚くべきことに、本発明の方法はムライト化強度と同等又はそれを超える保持強度を生ずることができる。
【0021】
前記組成物はディーゼル微粒子トラップとして使用する時には、ディーゼル微粒子トラップの使用環境に耐えるのに適当な保持強度を有さなければならない。一般には、その保持強度は少なくとも15MPaである。好ましくは保持強度は少なくとも17MPa、より好ましくは少なくとも19MPa、更により好ましくは少なくとも20MPa、そして最も好ましくは少なくとも25MPaである。保持強度は一般的には次のムライト化を伴なった押出ハニカムから切断されたバーの4点曲げ(4point bending)によって求める。強度の測定はASTM C1161に記載のような公知の技術を用いて行なうことができる。
【0022】
前記組成物は、前述の如く、ディーゼル微粒子フィルターとして有用であるように十分多孔質(又は多孔性)(例えば少なくとも55%気孔率)である必要がある。しかし、気孔率は、ムライト化強度、従って保持強度が低くてフィルターが破壊されたり、十分な微粒子の捕集ができなくならないように、大き過ぎてはならない(多くて85%の気孔率)。好ましくは気孔率は少なくとも56%、より好ましくは少なくとも57%、更により好ましくは少なくとも60%、そして最も好ましくは少なくとも62%から好ましくは多くとも80%、より好ましくは多くとも75%、そして最も好ましくは多くとも70%多孔質である。
【0023】
更に、ムライト組成物は、望ましくは、十分な粒子を保持したままで、背圧の蓄積を減少させるために、可能な限り高い通気度係数を有する。通気度係数は、例えば孔の気孔率及びサイズに比例し、そして連続した孔のくねり(tortuousity)に逆比例する。一般には、通気度係数はDarceyの式を用いて求めたときに少なくとも1×10-132とすべきである。好ましくは通気度係数は少なくとも2×10-132である。
【0024】
理論Al/Siムライト化学量論比は3(3Al23・2SiO2)であるが、ムライト組成物のバルクAl/Si化学量論比は例えば4Al/Si〜2Al/Siのような任意の適当な化学量論比とすることができる。バルク化学量論比はムライト体中(即ち個々の粒子ではなく)のSiに対するAlの比をいう。ムライト体のバルク化学量論比は3未満である(これはシリカ(SiO2)に対するアルミナ(Al23)の化学量論比が1.5未満に対応する)のが好ましい。好ましいAl/Siバルク化学量論比は好ましくは多くとも2.95、より好ましくは多くとも2.9、更により好ましくは多くとも2.85、そして最も好ましくは多くとも2.8から好ましくは少なくとも2である。このバルク化学量論比は、例えばX線蛍光法のような当業界で知られたような任意の適当な技術によって測定することができる。
【0025】
Al/Si化学量論比が3.3を超えるムライト組成物は、ディーゼル微粒子トラップ用途において、例えば通気度の低下、初期背圧の上昇及び背圧蓄積の加速を生じるので、あまり好ましくない。バルクAl/Siが3(即ちムライトの理論化学量論比)に近いムライト組成物は、典型的には閉塞するアルミナ粒子には欠けるが、もっと低いバルク化学量論比ほど好ましくはない。これは、3に非常に近い又はそれ以上のバルクAl/Siを有するムライト組成物の強度がより低いバルクAl/Si化学量論比を有するムライト組成物より低いからである。この強度の相違は一層多孔性(即ち気孔率55%超)の組成物について一層顕著である。このバルク化学量論比は当業界で公知の(例えばX線蛍光法)のような任意の適当な技術によって求めることができる。
【0026】
ムライト粒子は多くとも2.95から少なくとも2のバルクAl/Si化学量論比を有するのが好ましく、そしてムライト粒子は少なくとも2.95のAl/Si化学量論比を有するのが好ましい。更に好ましくは、ムライト粒子は3〜3.4のAl/Si化学量論比を有する。驚くべきことに、例えば本明細書に記載の方法を用いた前記好ましいムライト組成物は初期により強いムライト組成物を形成し、そしてより大きいバルク化学量論比を有する組成物がより高い強度を有することを見出した。より低いAl/Siバルク化学量論比を有する組成物がより高い強度を有することは理解し難いが、結晶シリカ相が本質的に存在しない、より多量のシリカを含む粒子境界ガラス相の形成によるものと思われる。即ち、この組成物が、クリストバライトのようなシリカ結晶相を多くとも2容積%含むのみである。これらの結晶シリカ相の量又は存在はX線回折又は電子回折によって検出することができる。好ましくは、本発明の組成物は多くとも1容積%の、より好ましくは多くとも0.5容積%の、そして最も好ましくは本質的に存在しないシリカ結晶相を含む。
【0027】
一般的にはAl/Si化学量論比が多くとも2.95の針状ムライトのムライト化強度は少なくとも20MPaである。好ましくはムライト化強度は少なくとも25MPa、より好ましくは少なくとも28MPa、更に一層好ましくは少なくとも30MPa、最も好ましくは少なくとも32MPaで、一方気孔率は少なくとも55%で多くとも85%である。
【0028】
ハニカムを押出すプラスチック塊を作り易くするためにはクレイを使用するのが好ましいので、本発明の針状ムライトは、通常、少なくとも一部は使用したクレイ又は複数のクレイに存在する不純物から生ずる或る量の不純物を有する。典型的には組成物中に存在する不純物(即ち上に示したムライトの式に存在する元素以外の元素)の量は一般にはムライト組成物の多くとも5重量%である。好ましくは不純物の合計量は多くとも4%、より好ましくは多くとも3%、更に一層好ましくは多くとも2.5%、そして最も好ましくは多くとも2%である。この不純物の量は当業界で知られている技術(例えばX線蛍光法)のような任意の適当なバルク分析技術によって求めることができる。
【0029】
ムライト前駆体化合物がマグネシウム及び/又は鉄の不純物を含む場合には、本発明の針状ムライト組成物は好ましくは本質的に化学的に結合した針状ムライト粒子から実質的になり、ムライト組成物は、ガラス相中に本質的に組み入れられた鉄及びマグネシウムを有するガラス相をムライト粒子の表面に有する。このマグネシウム及び鉄は、Mg及び/又はFeの、多くとも、トレース量の結晶性沈澱がX線回折又は電子回折によって検出された場合には、ガラス相中に本質的に組み入れられている。結晶性のMg及び/又はFeの結晶性沈澱は電子回折によって認めることができないのが好ましい。
【0030】
また、本発明のムライト組成物はフッ素を実質的に含まないものが好ましい。本発明の熱処理は、また、Mg及びFeのガラス中への組み入れを達成しながら、フッ素を減少させる。典型的には、ムライト化ムライトは2〜3重量%のフッ素を含む。一般的にはMg及びFeがガラス相に組み入れられたムライト組成物は組成物重量の多くとも0.75重量%のフッ素を有する。好ましくはフッ素の量は、ムライト組成物の多くとも0.5%、より好ましくは多くとも0.25%、より一層好ましくは多くとも0.1%で最も好ましくはトレース量である。
【0031】
針状ムライト中の鉄及びマグネシウム不純物は、例えばディーゼル微粒子トラップ用途において経験する熱サイクルによって、針状ムライト組成物のガラス相内に、結晶性沈澱を形成することができることを見出した。
【0032】
ムライトの形成
本発明のムライト組成物を製造するに際しては、Al,Si及び酸素を含む前駆体化合物を混合してムライトを生成することができる混合物を形成する。使用することができる前駆体化合物は米国特許第5194154号、同第5198007号、同第5173349号、同第4911902号、同第5252272号、同第4948766号及び同第4910172号に記載されている。混合物はフィラー(反応によりムライトを形成することはないが、ムライト形成後その中に残留する粒子)のような他の化合物を含むことができる。混合物は、また、混合物の付形を容易にする有機化合物(例えばIntroduction to the Principles of Ceramic Processing, J. Reed, Wiley Interscience, 1988に記載のような、バインダー及び分散剤)を含むことができる。
【0033】
一般に、前記混合物はクレイ(即ち水和アルミナシリケート)並びにアルミナ、シリカ、三フッ化アルミニウム、フルオロトパス(fluorotopaz)及びゼオライトなどの化合物を含む。好ましくは前駆体化合物はクレイ、シリカ、アルミナ及びこれらの混合物からなる群から選ばれれる。最も好ましくは、混合物はクレイ及びアルミナを含む。
【0034】
本発明の一つの方法において、前記前駆体化合物は、前述の如く任意のAl/Siバルク化学量論比が2〜4になることができるように選定される。好ましくは、前駆体化合物は、前述の如く、ムライト組成物が多くとも2.95〜2のAl/Siバルク化学量論比を有するように選定される。第二の方法においては、前駆体化合物は混合物が多くとも2.95のAl/Si比を有するように選定される。好ましくはAl/Si比は、多くとも2.9、より好ましくは多くとも2.85、そして最も好ましくは多くとも2.8である。本明細書において、Al/Siバルク化学量論比は実際にムライト組成物を形成する、前駆体化合物中のアルミニウム及びケイ素をいうものとする。即ち、フッ素源が例えばAlFe3であれば、化学量論比の目的に対しては前駆体化合物中に存在するSiO2の量はAlFe3からのフッ素とSiO2との反応によってSiF4を生成させる反応によって揮発されるSiF4の量だけ減じなければならない。
【0035】
前記混合物は当業界で知られているような適当な任意の方法で調製することができる。例えば、ボールミル混合、リボンブレンド混合、縦型(vertical)スクリュー混合、V−ブレンド混合及び摩擦(attrition)ミリング混合などがあげられられる。この混合物は乾燥型(即ち液体媒体の不存在)又は湿式型に調製することができる。
【0036】
前記混合物は次に当業界で知られているような適当な任意の方法によって多孔質形に付形する。例えば射出成形、押出成形、等圧(isostatic)プレス成形、スリップキャスティング成形、ロール圧縮(compaction)及びテープキャスティングなどがあげられる。これらのそれぞれについてはIntroduction to the Principles of Ceramic Processing, J. Reed, Chapters 20 and 21, Wiley Interscience, 1988に更に詳しく記載されている。
【0037】
本発明の第一の面の方法においては、プロセスの次工程でフッ素を含む雰囲気においてムライト組成物を生成するのに十分な温度に工程(b)の多孔質グリーン付形物の加熱である。フッ素はSiF4,AlF3,HFNa2SiF6,NaF及びNH4Fのような供給源からガス雰囲気に供給することができる。好ましくは、フッ素源はSiF4である。
【0038】
本発明の第二の面の方法においては、プロセスの次工程は別に供給されるフッ素含有ガスを含む雰囲気下に、ムライト組成物を形成するのに十分な温度に加熱することである。ここで「別に供給」とはフッ素含有ガス混合物中の前駆体(例えばAlF3)からではなく、混合物を加熱する炉に外部ガス供給源から移送されることをいう。このガスとしてはSiF4含有ガスが好ましい。
【0039】
いずれの方法においても、多孔質体(porous body)はその中の前駆体化合物をフルオロトパズに転化させるのに十分な時間第一の温度に加熱し、次にムライト組成物を形成するのに十分な第二の温度に上げるのが好ましい。第一の温度は500℃〜950℃とすることができる。好ましくは、第一の温度は少なくとも550℃、より好ましくは少なくとも650℃、そして最も好ましくは少なくとも725℃であり、好ましくは多くとも850℃、より好ましくは多くとも800℃、そして最も好ましくは多くとも775℃である。
【0040】
前記第二の温度はSiF4の分圧のような変数に依存して適当な任意の温度とすることができる。一般には、第二の温度は少なくとも1000℃で多くとも1700℃である。好ましくは、第二の温度は、少なくとも1050℃、より好ましくは少なくとも1075℃、そして最も好ましくは少なくとも1100℃であり、好ましくは多くとも1600℃、より好ましくは多くとも1400℃、そして最も好ましくは多くとも1200℃である。
【0041】
一般には、第一の温度への加熱の間、雰囲気は別に供給するフッ素含有ガスを望ましくは供給する、少なくとも500℃までは、不活性雰囲気(例えば窒素)又は真空である。第一の温度への加熱の間、有機化合物及び水を除去してもよい。これらは、また、Introduction to the Principles of Ceramic Processing, J. Reed, Wiley Interscience, 1988に記載のように当業界で一般的な別の加熱工程で除去してもよい。この別の加熱工程はバインダー焼却(burnout)とも一般に呼ばれている。
【0042】
本発明の第一の面の方法について、工程(c)のフルオロトパズは空気、水の蒸気(water vapor)、酸素、不活性ガス及びこれらの混合物からなる群から選ばれた加熱処理雰囲気でムライト組成物を形成するのに十分な時間少なくとも950℃の熱処理温度に加熱される。不活性ガスの例は窒素及び貴ガス(即ちHe,Ar,Ne,Kr,Xe及びRn)である。好ましくは、熱処理雰囲気は不活性ガス、空気、水の蒸気又はこれらの混合物である。更に好ましくは熱処理雰囲気は、窒素、空気又は空気を含む水の蒸気である。
【0043】
熱処理温度における時間は、選定した熱意処理雰囲気及び温度の関数である。例えば湿気水(40℃で水の蒸気で飽和された空気)中での熱処理は一般には1000℃で数時間以上〜48時間必要である。これらに対し、周囲空気、乾燥空気又は窒素(室温で20〜80%の相対温度を有する空気)は1400℃に少なくとも2時間加熱するのが好ましい。
【0044】
一般的には前記熱処理温度での時間は少なくとも0.5時間で、使用する温度に依存する(即ち、一般には、温度が高ければ時間は短かくなるといえる)。好ましくは、前記熱処理温度での時間は少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、更に一層好ましくは少なくとも4時間、そして最も好ましくは少なくとも8時間であり、好ましくは多くとも4日、より好ましくは多くとも3日、更に一層好ましくは多くとも2.5日で、そして最も好ましくは多くとも2日である。
【0045】
任意のMg及び/又はFe不純物が針状ムライトのガラス相内に組み入れられて存在するためには、熱処理温度は好ましくは少なくとも1000℃、より好ましくは少なくとも1050℃、更に一層好ましくは少なくとも1100℃、そして最も好ましくは少なくとも1200℃で、好ましくは多くとも1700℃、より好ましくは多くとも1600℃、そして最も好ましくは多くとも1550℃である。
【0046】
本発明のムライト組成物は、例えばアルミナ粒子上の貴金属触媒、典型的には自動車用触媒コンバーターに使用される触媒ウォシュコート(wash coat)と呼ばれている、触媒用支持体として特に有用である。このウォシュコートはムライト粒子の少なくとも一部の上に薄いコ−ティングを作るのにも好ましい。一般に、一部とは一つの領域のムライト粒子の面積の少なくとも10%が触媒コーティングによって覆われていることである。好ましくは、組成物の実質的に全ての粒子が被覆されている。更に好ましくは、組成物の実質的にすべての粒子が被覆されている。
【0047】
薄い被覆とは、一般に、触媒ウォシュコートが被覆する粒子(grain)の平均最小寸法より薄い厚さを有することをいう。一般には、被覆の厚さは、被覆する粒子の平均最小寸法の厚さの、多くとも半分、好ましくは多くとも1/3、そして最も好ましくは多くとも1/4の厚さである。
【0048】
本発明の組成物は、また、移動パワー用途(例えばディーゼルエンジン)及び静止パワー用途(例えば電力プラント)用の微粒子(すす)トラップ及び酸化(即ち排出)触媒として特に有用である。本発明のムライト組成物は、ディーゼル微粒子トラップとして使用している場合には、前述のようにムライト粒子の少なくとも一部が触媒で被覆されているのがよい。勿論、この組成物は触媒なしでそれ自身すす用トラップとして有用である。
【実施例】
【0049】
実施例1
Al/Si化学量論比が2.65の前駆体化合物からバー(bar)をプレスした。この前駆体化合物は、44重量部(pbw)のボールクレイ(Todd Dark グレード、Kentucky-Tennessee Clay Company, Mayfield, KY)を、κ−アルミナ56pbw、7重量%ヒドロキシプロピル メチルセルロース水溶液(METHOCEL J75MS-N,The Dow Chemical Co., Midland, MI)287重量部、グリセロール3pbw及び脱イオン水190pbwと混合することによって調製した。このスラリーのpHを、次に、水酸化テトラメチルアンモニウムを用いて10.4に調製した。使用前にボールクレイを110℃で48時間乾燥した。κ−アルミナは水酸化アルミニウム(P3ギブサイト(gibbsite)、Alcoa、Prittsburgh, PA)を1000℃に1時間加熱することによって調製した。前記バーは素焼き(brisque−fired)焼成して有機バインダー(即ちMETHOCEL)を除去し、当該クレイを1100℃に10時間加熱して脱水し、1100℃で1時間保持し、次いで5時間冷却した。
【0050】
素焼き焼成したバーは、次に、炉中の、ニッケルフォイルでライニングされた石英チューブ反応器に置いた。バーを真空下に720℃に加熱した。この点で、反応器中にSiF4ガスを、チューブ内圧が600トル(80KPa)になるまで、サンプルg当り0.44sccmの速度で導入した。次に反応器を3℃/分で995℃まで加熱した。反応器が850℃に到達した時に、SiF4圧を300トル(40KPa)に下げ、そしてこの圧力を保持した。反応器が995℃に到達した時に、加熱速度を1℃/分に下げた。反応圧を300トル(80KPa)に保持したら、反応温度が1120℃に到達する迄、加熱を継続した。SiFe4のガス発生が実質的に止んだ時に、反応器を排気し、そして周囲温度に冷却した。次いでバーを空気中で1400℃に2時間加熱した。
【0051】
4点ベント(4point bend)(ASTM C-1161)で求めたバーの平均強度は28MPaであった。バーの重量及び寸法を測定して求めたバーの平均気孔率は68%であった。これらのデータは、バーを作成するプレス圧と共に、表Iに示す。
【0052】
実施例2及び3
実施例2及び3は、使用したAl/Si比及び/又はプレス圧を表Iに示した通り変化させた以外、実施例1と同じようにして作成した。強度並びに気孔率は表Iに示す。
【0053】
比較例1及び2
Al/Si比及びプレス圧を表Iに示すように、変化させた以外は、実施例1と同様にして作成した。これらの比較例の気孔率及びムライト化強度は表Iに示す。加熱処理した(即ちムライト化後の1400℃への加熱)強度データは、2.95に等しいか又はそれ未満の化学量論比を有する針状ムライト組成物が与えられた気孔率で2.95より大きいAl/Si化学量論比を有するムライト組成物に比較して実質的に改良された強度を有することを示す。
【0054】
実施例4
Al/Si化学量論比2.95の前駆体からハニカムを形成した。このハニカムは径5.6インチ(14.224cm)及び長さ6インチ(15.24cm)でセル密度は175セル/平方インチ(cpi)(27セル/cm2)であった。前記前駆体は51重量部のボールクレイ(Todd Dark グレート)を49重量部のκ−アルミナと混合することにより作成した。このボールクレイは使用前に110℃で48時間加熱した。このκ−アルミナは水酸化アルミニウムを1000℃に1時間加熱することによって調製した。水及び有機バインダーをボールクレイ及びアルミナの混合物に添加して押出可能な材料を形成した。押出したハニカムは1100℃で1時間脱バインダー及び焼成した。
【0055】
脱バインダー及び焼成したハニカムは石英チューブ反応器に置き、そして実施例1に述べた条件を同様にして処理した。
【0056】
前記ハニカムから2インチ(5.08cm)長×2セル×5セルバーを切出し、実施例1に述べたバーのようにして、強度を同様な方法で試験した。6本のバーの平均強度は42.9MPaの(ムライト化強度)であった。6本のバーを空気中で800℃で2時間加熱処理した。得られたバーの平均強度は28.7MPa(保持強度)であった。バーの平均気孔率は重量及び寸法の測定により求めた。平均気孔率は57%であった。これらのデータ及び弾性モジュラス(elastic modulus)は表IIに示す。
【0057】
実施例5及び6
実施例4の同じハニカムからバーを切出し、そして空気中において800℃に2時間加熱する前に、表Iに示したように、加熱処理した。これらのバーの保持強度は表IIに示す。
【0058】
表IIのデータは1000℃を超える温度への熱処理(実施例4に比較して実施例5及び6)が針状ムライトの保持強度を更に改良することを示しいている。表IIは2.95のAl/Si比を有する針状ムライトのハニカムは高い気孔率及び高い強度を有することができることを示している。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

以下に本発明の態様を列挙する。
態様1.a)ムライト中に存在する元素を有する、その1種がクレイである、1種又はそれ以上の前駆体化合物の混合物を形成し、
b)その混合物を多孔質グリーン付形物に成形し、
c)工程(b)の多孔質グリーン付形物を、フッ素含有ガスを有する雰囲気下に、本質的に化学的に結合した針状ムライト粒子から実質的になる未処理ムライト組成物を形成するのに十分な温度に加熱し、そして
d)前記未処理ムライト組成物を、次いで、水の蒸気、酸素、空気、不活性ガス又はこれらの混合物から選ばれた熱処理雰囲気下に、ムライト組成物を形成するのに十分な時間、少なくとも950℃の熱処理温度に加熱する
ことを含んでなる針状ムライト組成物の製造方法。
態様2.前記前駆体化合物がクレイ並びにアルミナ、シリカ、フルオロトパズ、ゼオライト、AlF3及びこれらの混合物から選ばれる他の化合物である態様1に記載の方法。
態様3.前記他の前駆体化合物がアルミナ、シリカ、フルオロトパズ、ゼオライト及びこれらの混合物からなる群から選ばれる態様2に記載の方法。
態様4.前記前駆体化合物がアルミナ、シリカ及びクレイである態様1に記載の方法。
態様5.前記フッ素含有ガスが別に提供されたSiF4である態様1に記載の方法。
態様6.前記熱処理温度が少なくとも1000℃である態様1に記載の方法。
態様7.前記熱処理温度が少なくとも1050℃である態様1に記載の方法。
態様8.前記熱処理温度が少なくとも1100℃である態様1に記載の方法。
態様9.前記熱処理温度が少なくとも1200℃である態様1に記載の方法。
態様10.前記熱処理雰囲気が空気、不活性ガス、水の蒸気及びこれらの混合物のいずれかである態様1に記載の方法。
態様11.前記熱処理雰囲気が空気又は窒素である態様10に記載の方法。
態様12.前記工程(c)の加熱が第一の温度及び次の第二のより高い温度への加熱であり、前記第一の温度でフルオロトパズが生成し、そして第二のより高温でムライトが生成する態様1に記載の方法。
態様13.前記第一の温度で生成するフルオロトパズが別に提供されるSiF4からなる雰囲気で生成する態様8に記載の方法。
態様14.前記第一の温度が500〜950℃である態様13に記載の方法。
態様15.前記第一の温度が少なくとも725℃から750℃までの温度である態様14に記載の方法。
態様16.前記第二の温度が少なくとも1000℃〜多くとも1300℃である態様13に記載の方法。
態様17.前記熱処理時間が少なくとも0.5時間である態様1に記載の方法。
態様18.前記熱処理時間が少なくとも2時間である態様1に記載の方法。
態様19.前記熱処理時間が少なくとも4時間である態様1に記載の方法。
態様20.前記熱処理時間が少なくとも8時間である態様1に記載の方法。
態様21.前記前駆体が多くとも2.95のAl/Siバルク化学量論比を有する態様1に記載の方法。
態様22.前記Al/Siバルク化学量論比が多くとも2.9である態様21に記載の方法。
態様23.前記Al/Siバルク化学量論比が少なくとも2である態様22に記載の方法。
態様24.a)ムライト中に存在する元素を有する、その1種がクレイである、1種又はそれ以上の前駆体化合物の混合物であって、Al/Si比が多くとも2.95である混合物を形成し、
b)その混合物を多孔質グリーン付形物に成形し、そして
c)工程(b)の多孔質グリーン付形物を、フッ素含有ガスを有する雰囲気下に、本質的に化学的に結合した針状ムライト粒子から実質的になる、ムライト組成物が多くとも2.95〜少なくとも2のバルクAl/Si化学量論量値を有し、針状ムライト粒子が少なくとも2.95のAl/Si化学量論量値を有し、そしてムライト組成物が多くとも2容積%の結晶性シリカ相を有する、多孔質ムライト組成物を形成するのに十分な温度に加熱する
ことを含んでなる強度の改良された多孔質針状ムライト組成物の製造方法。
態様25.前記混合物のAl/Si比が多くとも2.9である態様24に記載の方法。
態様26.前記混合物のAl/Si比が多くとも2.85である態様25に記載の方法。
態様27.前記混合物のAl/Si比が多くとも2.8である態様24に記載の方法。
態様28.前記前駆体化合物がクレイ並びにアルミナ、シリカ、フルオロトパズ、ゼオライト及びこれらの混合物である態様24に記載の方法。
態様29.前記前駆体化合物がアルミナ、シリカ及びクレイである態様24に記載の方法。
態様30.本質的に化学的に結合された針状ムライト粒子から実質的になるムライト組成物であって、そのムライト組成物が多くとも2.95〜少なくとも2のバルクAl/Si化学量論比を有し、前記針状ムライト粒子が少なくとも2.95のAl/Si比を有し、ムライト組成物が多くとも2容積%の結晶性シリカ相及びムライト粒子の少なくとも一部の上に分布する、シリカマグネシウム及び鉄を含んでなるガラス相を有する多孔質ムライト組成物。
態様31.前記ムライト組成物が空気中800℃で2時間加熱した後の保持強度が少なくとも15MPaで、気孔率が少なくとも55%〜多くとも85%である態様30に記載のムライト組成物。
態様32.前記気孔率が多くとも75%である態様31に記載のムライト組成物。
態様33.前記保持強度が少なくとも17MPaである態様32に記載のムライト組成物。
態様34.前記保持強度が少なくとも19MPaである態様33に記載のムライト組成物。
態様35.前記保持強度が少なくとも25MPaである態様34に記載のムライト組成物。
態様36.前記ムライト組成物が本質的にゼロ結晶質シリカ相を有する態様31に記載のムライト組成物。
態様37.本質的に化学的に結合された針状ムライト粒子から実質的になるムライト組成物であって、そのムライト組成物が針状ムライト粒子の少なくとも一部の上に分布したガラス相を有し、そのガラス相がガラス相中に本質的に組み入れられた鉄及びマグネシウムを有するムライト組成物。
態様38.前記ムライト組成物が気孔率55〜85%である態様37に記載のムライト組成物。
態様39.前記気孔率が少なくも57%〜多くとも75%である態様38に記載のムライト組成物。
態様40.前記ムライト組成物が、空気中で800℃に2時間加熱した後の保持強度が少なくとも15MPaである態様39に記載のムライト組成物。
態様41.前記ムライト組成物がムライト組成物の多くとも1重量%のフッ素含量である態様37に記載のムライト組成物。
態様42.前記フッ素含量が多くとも0.5%である態様41に記載のムライト組成物。
態様43.前記フッ素含量が多くとも0.1%である態様42に記載のムライト組成物。
態様44.多くともトレース量のフッ素が存在する態様43に記載のムライト組成物。
態様45.態様30のムライト組成物を含んでなるディーゼル微粒子トラップ。
態様46.態様31のムライト組成物を含んでなるディーゼル微粒子トラップ。
態様47.態様37のムライト組成物を含んでなるディーゼル微粒子トラップ。
態様48.態様38のムライト組成物を含んでなるディーゼル微粒子トラップ。
態様49.前記ムライト組成物がその上に触媒を有する態様45に記載のディーゼル微粒子トラップ。
態様50.前記ムライト組成物がその上に触媒を有する態様47に記載のディーゼル微粒子トラップ。
態様51.態様30のムライト組成物を含んでなる自動車用触媒コンバーター。
態様52.態様31のムライト組成物を含んでなる自動車用触媒コンバーター。
態様53.態様37のムライト組成物を含んでなる自動車用触媒コンバーター。
態様54.態様38のムライト組成物を含んでなる自動車用触媒コンバーター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ムライトに存在する元素、Al,Si及びOを有する、1種の前駆体化合物又は前駆体化合物の混合物であって、前記1種の前駆体化合物又は前駆体混合物の1種がクレイであり、前記前駆体化合物又はその混合物のAl/Siバルク化学量論比が2〜4である前駆体化合物又はその混合物を形成し、
b)その混合物を多孔質グリーン付形物に成形し、
c)工程(b)の多孔質グリーン付形物を、フッ素含有ガスを有する雰囲気下に、500〜950℃の温度に加熱して、フルオロトパズを形成せしめ、
d)次いで、水の蒸気、酸素、空気、不活性ガス又はこれらの混合物から選ばれた熱処理雰囲気下に、前記フルオロトパズを、少なくとも0.5時間、少なくとも950℃の熱処理温度に加熱して、ムライト組成物を形成せしめる
ことを含んでなる針状ムライト組成物の製造方法。
【請求項2】
前記前駆体化合物の混合物がクレイ並びにアルミナ、シリカ、フルオロトパズ、ゼオライト、AlF3及びこれらの混合物から選ばれる他の前駆体化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記他の前駆体化合物がアルミナ、シリカ、フルオロトパズ、ゼオライト及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体化合物がアルミナ、シリカ及びクレイである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フッ素含有ガスが外部ガス供給源から供給されたSiF4である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理温度が少なくとも1000℃である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱処理温度が少なくとも1050℃である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理温度が少なくとも1100℃である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱処理温度が少なくとも1200℃である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理雰囲気が空気、不活性ガス、水の蒸気及びこれらの混合物のいずれかである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記熱処理雰囲気が空気又は窒素である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱処理時間が少なくとも2時間である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記前駆体化合物が多くとも2.95のAl/Siバルク化学量論比を有する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記Al/Siバルク化学量論比が多くとも2.9である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記Al/Siバルク化学量論比が少なくとも2である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法で製造された針状ムライト組成物。

【公開番号】特開2010−150140(P2010−150140A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87937(P2010−87937)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【分割の表示】特願2003−580245(P2003−580245)の分割
【原出願日】平成15年3月24日(2003.3.24)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】