説明

メサラミン坐剤

本発明は、使いやすさが改善されるように設計されたメサラミン直腸坐剤に関する。本発明の一実施形態は、メサラミン、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、坐剤の薬剤添加量は35%〜50%の範囲である。本発明のなお別の実施形態は、約600〜約800g/Lの範囲のタップ密度(USP<616>で測定)を有するメサラミン、および32〜35.5℃の上昇融点を有するハードファットを含むメサラミン直腸坐剤である。なお別の実施形態は、メサラミン粒子、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、メサラミン粒子は約0.1m/g〜約2.8m/g(たとえば、約0.1m/g〜約1.3m/g)の表面積を有するメサラミン直腸坐剤である。また、メサラミン坐剤を調製する方法、およびメサラミン坐剤で処置する方法も提供する。本発明はさらに、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃およびパドル回転数125rpmでUSP Apparatus #2によりその溶解を測定することにより、1gのメサラミン坐剤などメサラミン直腸坐剤の溶解パラメーター(溶出速度など)を判定する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使いやすさが改善されるように設計されたメサラミン坐剤、それを製造する方法、およびそれにより活動期潰瘍性直腸炎などの潰瘍性大腸炎を処置する方法、さらにメサラミン坐剤の溶解パラメーターの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クローン病および潰瘍性大腸炎(UC:ulcerative colitis)などの炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)は、慢性再発性腸炎を特徴とする。クローン病およびUCは、消化(GI)管抗原に対する免疫応答の調整異常、粘膜バリアの破壊、および/または腸管の持続感染に対する有害な炎症反応に関係していると考えられる。正常な人の場合、GI管管腔内容物および細菌が絶えず粘膜の免疫系を刺激し、プロ炎症性および抗炎症性の細胞および分子の微妙なバランスによりGI管の完全性が維持されており、重度の損傷を与える炎症が引き起こされることはない[MacDermott,R.P.,J Gastroenterology,31:907:−916(1996)]。IBD炎症カスケードがどのように開始されるかについては不明であるものの、粘膜免疫系および全身免疫系のGI抗原依存性の定常刺激が炎症カスケードを持続させ、病変の形成を誘導する。
【0003】
UCは、結腸の原因不明の非特異的な炎症性疾患であり、粘血便を伴う下痢、痙攣性腹痛、ならびに潰瘍斑を伴う粘膜の炎症および浮腫を特徴とする。直腸に限局したUCは、潰瘍性直腸炎と呼ばれる。結腸全体が侵される慢性UCに罹患している人は、結腸癌のリスクが高い。さらに、内科的治療に失敗した場合、罹患した腸の外科的切除が必要になる場合もある。
【0004】
より広範囲に及ぶ疾患の患者では、炎症を起こした腸からの失血により貧血が起こることがあり、鉄サプリメント、あるいはさらに輸血による処置が必要になる場合がある。炎症が非常に重度になると、稀ではあるが、結腸が突然大きなサイズに拡張することがある。この状態は、中毒性巨大結腸症と呼ばれる。中毒性巨大結腸症の患者は、発熱、腹部の痛みおよび膨満、脱水、ならびに栄養不良を伴い、病状が極めて重い。投薬により患者が速やかに改善しない場合、結腸破裂と死亡の高い危険性とを防ぐため、手術が必要となるのが通常である。
【0005】
メサラミン、5−アミノサリチル酸(5−ASA)は、UCの処置に使用されることが多く、UCの疾患症状および再発の発生を抑制するのに効果的である。メサラミンは経口形態で利用可能であるが、メサラミンの直腸内投与にはいくつかの利点がある。たとえば、薬剤を直腸投与すれば、胃腸障害など経口投与による一部の副作用が回避される。メサラミンは局所GI作用剤であるため、この作用剤を低用量で直腸内投与しても、より高用量の経口製剤で達成される治療効果より優れたまたは同等の治療効果が得られる。また、経口投与される薬剤の吸収は、薬剤が食事の前もしくは後に投与されるか、あるいは食間に投与されるかどうかにより影響される可能性がある。薬剤を直腸内投与する場合、そうした食物による影響がない。直腸内投与は、悪心、嘔吐もしくは意識喪失の間でも、または外科手術後に投与することができる。
【0006】
米国では現在、活動期潰瘍性直腸炎の処置用にAxcan Scandipharm Inc.からCANASA(登録商標)としてかなりの大きさ(3g)の1gのメサラミン坐剤が市販されている。
【0007】
使いやすさが向上したメサラミン坐剤が求められている。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、メサラミン坐剤についてその溶解プロファイルまたはその全体的な薬効に実質的に悪影響を与えずに、大きさを劇的に(たとえば、20重量%超)小さくし、融点を低下させることができることを発見した。より小さな坐剤とより低い溶融温度との組み合わせにより、使いやすさが向上する。本発明者らは、この効果がメサラミンのタップ密度の増加、さらに好ましくは、坐剤基剤の融点の低下により得られることを発見した。
【0009】
一般に、メサラミン坐剤の薬剤添加量が増加すると、坐剤を形成するために流し込まれる溶融した懸濁液の粘度も増加する。メサラミン懸濁液の粘度が高すぎる場合、懸濁液を、許容可能な含量均一性および優れた治療特性を持つ坐剤に成型することができない。本発明者らは驚くべきことに、メアスラミン(measlamine)懸濁液の粘度がメサラミンのタップ密度の増加により低下し得ることを明らかにした。
【0010】
さらに、本発明者らは驚くべきことに、メサラミン粒子の表面積が減少するにつれ、坐剤からのメサラミン(難溶性薬剤)の溶出速度が増加することも発見した。これは、薬剤の溶出速度は、薬剤粒子の表面積が増加するにつれ増加するという科学的な通説に反するものである。
【0011】
本発明の一実施形態は、メサラミン、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、坐剤の薬剤添加量が、約35%〜約50%、好ましくは約37%〜約46%の範囲であるメサラミン直腸坐剤である。坐剤は約850〜約1150mgのメサラミンを含んでもよく、好ましくは約950mg〜約1050mgのメサラミン(より一層好ましくは約1000mgのメサラミン)を含む。別の実施形態によれば、坐剤は約400〜約600mgのメサラミンを含み、好ましくは約450〜約550mgのメサラミン(より一層好ましくは約500mgのメサラミン)を含む。なお別の実施形態によれば、坐剤は約1400〜約1600mgのメサラミンを含み、好ましくは約1450〜約1550mgのメサラミン(より一層好ましくは約1500mgのメサラミン)を含む。メサラミン坐剤は、ハードファット(たとえば、ハードファットNF)などの坐剤基剤をさらに含んでもよい。
【0012】
本発明の別の実施形態は、約850〜約1150mgのメサラミン、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、坐剤の総重量が約2250〜約2700mgの範囲であるメサラミン直腸坐剤である。好ましくは、坐剤の総重量は、約2250〜約2500mgの範囲である。坐剤中のメサラミンの量は、好ましくは約950mg〜約1050mgの範囲であり、一層好ましくは約1000mgである。メサラミン坐剤は、ハードファット(たとえば、ハードファットNF)などの坐剤基剤をさらに含んでもよい。
【0013】
本発明の別の実施形態は、約400〜約600mgのメサラミン、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、坐剤の総重量は、約870〜約1715mgの範囲であるメサラミン直腸坐剤である。好ましくは、坐剤の総重量は、約980〜約1570mgの範囲である。好ましくは、薬剤添加量は約35%〜約50%である。坐剤中のメサラミンの量は、好ましくは約450mg〜約550mgの範囲であり、一層好ましくは約500mgである。メサラミン坐剤は、ハードファット(たとえば、ハードファットNF)などの坐剤基剤をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明のなお別の実施形態は、約1400〜約1600mgのメサラミン、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、坐剤の総重量が約2800〜約4570mgの範囲であるメサラミン直腸坐剤である。好ましくは、坐剤の総重量は約3000〜約4200mgの範囲である。好ましくは、薬剤添加量は約35%〜約50%である。坐剤中のメサラミンの量は、好ましくは約1450mg〜約1550mgの範囲であり、一層好ましくは約1500mgである。メサラミン坐剤は、ハードファット(たとえば、ハードファットNF)などの坐剤基剤をさらに含んでもよい。前述の各坐剤中のメサラミンは、好ましくは約600〜約800g/Lのタップ密度(USP<616>で測定)、および/または約0.1〜約2.8m/g(あるいは好ましくは約0.2〜約2.8m/g、好ましくは約0.1〜約1.3m/g、または好ましくは約0.2〜約1.3m/g)の表面積を有する。好ましい実施形態によれば、前述の坐剤中のメサラミンは、低融点の坐剤基剤(すなわち、35.5℃以下の上昇融点を有する坐剤基剤)に分散させる。好ましい低融点の坐剤基剤は、32〜33.5℃の上昇融点を有するハードファットである(たとえば、Sasol Germany GmbH of Witten,Germanyから入手できるWitepsol(登録商標)H12)。別の好適な低融点の坐剤基剤は、33.5〜35.5℃の上昇融点を有するハードファットである(たとえば、Sasol Germany GmbHから入手できるWitepsol(登録商標)H−15)。分散液(dispension)は、好ましくは実質的に均質である。
【0015】
本発明のなお別の実施形態は、(i)(a)約600〜約800g/L(USP<616>で測定)の範囲のタップ密度、および/または(b)約0.1〜約2.8m/g(あるいは好ましくは約0.2〜約2.8m/g、好ましくは約0.1〜約1.3m/g、または好ましくは約0.2〜約1.3m/g)の表面積を有するメサラミンと、(ii)32〜35.5℃の上昇融点を有するハードファットとを含むメサラミン直腸坐剤である。典型的には、メサラミンはハードファットに分散させる。好ましい一実施形態によれば、ハードファットは、32〜33.5℃の上昇融点を有する。好ましくは、こうした分散液は、実質的に均質である。メサラミンとハードファットとの重量比は、好ましくは約1:2〜約1:1.25の範囲である。
【0016】
好ましくは、前述の坐剤はそれぞれ、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内に坐剤中に含まれるメサラミンの少なくとも約75重量%が放出される。一実施形態では、メサラミンの少なくとも約80重量%、90重量%または95重量%は2時間以内に溶解する。別の実施形態によれば、メサラミンの少なくとも約80重量%、85重量%または90重量%は1時間以内に溶解する。なお別の実施形態によれば、メサラミンの少なくとも90重量%は30分以内に溶解する。
【0017】
約400〜約600mgのメサラミンを含む坐剤の溶解プロファイルを判定するのに好ましい一方法は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および7巻きのシンカーでのUSP Apparatus #2によるものである。一実施形態では、約400〜約600mg(または最大約800mg)のメサラミンを含む本発明の坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および7巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内に坐剤中に含まれるメサラミンの少なくとも約75重量%を放出する。別の実施形態では、メサラミンの少なくとも約80重量%、85重量%、90重量%または95重量%は2時間以内に溶解する。別の実施形態によれば、メサラミンの少なくとも約80重量%、85重量%または90%重量%は1時間以内に溶解する。
【0018】
メサラミン坐剤の溶解プロファイルを判定するなお別の方法は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および2〜8巻き(たとえば、螺旋状のワイヤーを用いる)のシンカーでのUSP Apparatus #2によるものである。たとえば、前述の坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および2〜8巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内に坐剤中に含まれるメサラミンの少なくとも約75重量%を放出することができる。
【0019】
なお別の実施形態は、本発明のメサラミン直腸坐剤を患者に投与することにより、活動期潰瘍性直腸炎などの潰瘍性大腸炎の処置を必要とする患者の活動期潰瘍性直腸炎などの潰瘍性大腸炎を処置する方法である。好ましくは、メサラミン坐剤は、1日1回、一層好ましくは1日1回就寝前に投与する。また、坐剤は、好ましくは1時間から3時間、または可能な場合にはそれ以上保持される。処置は、短期間、たとえば、1日1回3日間から21日間でもよいし、またはより長期間、たとえば、1日1回3週間から6週間でもよい。
【0020】
なお別の実施形態は、500mg、1gまたは1.5gのメサラミン坐剤などメサラミン直腸坐剤の溶解パラメーター(所定の期間後に溶解した薬剤の溶出速度または量)を、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃およびパドル回転数125rpmでUSP Apparatus #2によりその溶解を測定することにより判定する方法である。たとえば、2〜8巻のワイヤー(たとえば、螺旋状のワイヤー)で坐剤にシンカーを螺旋状に巻いてもよい。好ましい実施形態によれば、シンカーは、たとえば、3巻のみの螺旋状のワイヤーで坐剤に螺旋状に軽く巻いてある(たとえば、800mg以上のメサラミンを含む坐剤に対して)。別の実施形態によれば、シンカーは、7巻の螺旋状のワイヤーで坐剤に螺旋状に巻いてある(たとえば、800mg以下のメサラミンを含む坐剤に対して)。この溶解方法により、実施例1および2で検討される方法1および3など他の溶解方法により得られる結果より極めて信頼性が高くばらつきのより小さい結果が得られる。
【0021】
なお別の実施形態は、(A)メサラミン直腸坐剤を用意すること、および(B)0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃およびパドル回転数125rpmでUSP Apparatus #2により坐剤の溶出速度を測定することによってメサラミン直腸坐剤を調製する方法である。たとえば、2〜8巻のワイヤー(たとえば、螺旋状のワイヤー)で坐剤にシンカーを螺旋状に巻いてもよい。好ましい実施形態によれば、シンカーは、たとえば、3巻のみの螺旋状のワイヤーで坐剤に螺旋状に軽く巻いてある(たとえば、800mg以上のメサラミンを含む坐剤に対して)。別の実施形態によれば、シンカーは、7巻の螺旋状のワイヤーで坐剤に螺旋状に巻いてある(たとえば、800mg以下のメサラミンを含む坐剤に対して)。ステップ(B)は、坐剤が溶解から2時間以内にメサラミンの少なくとも約75重量%を放出するかどうかを判定することを含んでもよい。ステップ(B)は、それに加えてまたはその代わりには、坐剤が溶解から1時間以内にメサラミンの少なくとも約85重量%を放出するかどうかを判定することを含んでもよい。
【0022】
なお別の実施形態は、(A)メサラミン直腸坐剤のバッチを用意すること;および(B)0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃およびパドル回転数125rpmでUSP Apparatus #2によりバッチの少なくとも1種の坐剤の溶出速度を測定することによってメサラミン直腸坐剤のバッチ(すなわち、2種以上の坐剤)を調製する方法である。たとえば、2〜8巻のワイヤー(たとえば、螺旋状のワイヤー)で坐剤にシンカーを螺旋状に巻いてもよい。好ましい実施形態によれば、シンカーは、たとえば、3巻のみの螺旋状のワイヤーで坐剤に螺旋状に軽く巻いてある(たとえば、800mg以上のメサラミンを含む坐剤に対して)。別の実施形態によれば、シンカーは、7巻の螺旋状のワイヤーで坐剤に螺旋状に巻いてある(たとえば、800mg以下のメサラミンを含む坐剤に対して)。好ましくは、ステップ(B)は、坐剤が溶解から2時間以内にメサラミンの少なくとも約75または80重量%を放出するかどうかを判定することを含む(USP 711(30Ed.)、セクション名「immediate−release dosage forms」に記載されるQ=75%)。ステップ(B)は、それに加えて、またはその代わりに、坐剤が溶解から1時間以内にメサラミンの少なくとも約85重量%を放出するかどうかを判定することを含んでもよい。坐剤が溶解基準を満たさない場合、坐剤のバッチを廃棄してもよい。
【0023】
なお別の実施形態は、(i)(a)約600〜約800g/Lの範囲のタップ密度、および/または(b)約0.1〜約2.8m/g(あるいは好ましくは約0.2〜約2.8m/g、好ましくは約0.1〜約1.3m/g、または好ましくは約0.2〜約1.3m/g)の表面積を有するメサラミンから、(ii)32〜35.5℃(たとえば、32〜33.5℃)の上昇融点を有するハードファットなどの坐剤基剤を用いて坐剤を調製することによりメサラミン直腸坐剤を調製する方法である。本発明者らは、メサラミンを含む溶融混合物の粘度が、溶融混合物の形成に使用されるメサラミンのタップ密度によって著しく異なることを明らかにした。高粘度(たとえば、5000cpsを超える)を有する溶融混合物は、坐剤の充填時に流れの問題があることが明らかになり、坐剤の表面に封入された小さな気泡を形成させ、含量均一性の問題と共に美的に望ましいとは言い難い生成物を生じさせた。坐剤は、たとえば、(A)前述のタップ密度を有するメサラミンを前述の融点を有する坐剤基剤と混合すること、および(B)混合物を成形することにより調製することができる。
【0024】
一実施形態によれば、メサラミン坐剤は、(A)坐剤基剤を溶融して、たとえば、溶融溶液を形成すること、(B)溶融した坐剤基剤にメサラミンを加えること、および(C)混合物を成形することにより調製してもよい。
【0025】
なお別の実施形態は、メサラミン粒子、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、メサラミン粒子は約0.1m/g〜約2.8m/g(または好ましくは約0.2〜約2.8m/g)の表面積を有するメサラミン直腸坐剤である。一実施形態によれば、坐剤の薬剤添加量は、好ましくは35%〜50%(または約37%〜約46%)の範囲である。好ましくは、メサラミン粒子のタップ密度は、約600〜約800g/Lの範囲である(USP<616>で測定)。坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内にメサラミンの少なくとも約75重量%を放出することができる。別の実施形態では、坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および2〜8巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内にメサラミンの少なくとも約75重量%を放出することができる。なお別の実施形態では、坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および7巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内にメサラミンの少なくとも約75重量%を放出することができる。一実施形態では、約0.1または0.2m/g〜約1.3m/gの表面積。別の実施形態では、約1.3m/g〜約2.8m/gの表面積。
【0026】
一実施形態では、約0.1m/g(または0.2m/g)〜約2.8m/gの表面積を有するメサラミン粒子を含むメサラミン坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、
(a)溶解から10分後にメサラミンの15.0%〜95.1%(w/w)、
(b)溶解から20分後にメサラミンの少なくとも27.9%(w/w)、および/または
(c)溶解から30分後にメサラミンの少なくとも32.5%(w/w)
を放出する。たとえば、メサラミン坐剤は、1gまたは1.5gのメサラミンを含む。
【0027】
別の実施形態では、メサラミン坐剤は、約0.1m/g(または0.2m/g)〜約1.3m/gの表面積を有するメサラミン粒子を含み、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、
(a)溶解から20分後にメサラミンの少なくとも41.4%(w/w)、および/または
(b)溶解から30分後にメサラミンの少なくとも62.3%(w/w)
を放出する。たとえば、メサラミン坐剤は、1gまたは1.5gのメサラミンを含む。
【0028】
なお別の実施形態では、メサラミン坐剤は、約1.3m/g〜約2.8m/gの表面積を有するメサラミン粒子を含み、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、
(a)溶解から10分後にメサラミンの19.1%〜40.3%(w/w)、
(b)溶解から20分後にメサラミンの27.9%〜70.7%(w/w)、および/または
(c)溶解から30分後に32.5%〜94.8%(w/w)のメサラミン
を放出する。たとえば、メサラミン坐剤は、1gまたは1.5gのメサラミンを含む。
【0029】
なお別の実施形態は、1.1〜2.5gのメサラミン粒子、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、メサラミン粒子は、(i)約0.1m/g〜約2.8m/gの表面積、(ii)約600〜約800g/Lの範囲のタップ密度(USP<616>で測定)、または(iii)これらの両方を有するメサラミン直腸坐剤である。好ましくは、坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から1時間以内にメサラミンの少なくとも約85重量%を放出する。坐剤中の薬剤添加量は、たとえば、25%〜50%(たとえば、35%〜50%)であってよい。坐剤は、前述のメサラミン量のいずれを、たとえば、約400mg〜3000gのメサラミンを含んでよい。一実施形態では、坐剤は、約400〜約800mgのメサラミンを含む。別の実施形態では、坐剤は、約1.1〜約2.5gのメサラミンを含む。
【0030】
本発明の坐剤(上述の実施形態をすべてを含む)は、たとえば、約400または500mg〜約3gのメサラミンを含んでよい。たとえば、本発明の坐剤は、500mg、600mg、750mg、800mg、または1g、1.1g、1.2g、1.3g、1.4g、1.5g、1.6g、1.7g、1.8g、1.9g、2.0g、2.1g、2.2g、2.3g、2.4gまたは2.5gのメサラミンを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、実施例3で調製された溶融混合物の粘度と、溶融混合物の調製に使用したメサラミンのタップ密度とを示すグラフである。
【図2】図2は、実施例4で調製された溶融混合物の粘度と、溶融混合物の調製に使用したメサラミンのタップ密度とを示すグラフである。
【図3】図3は、実施例3および4で調製された溶融混合物の粘度と、溶融混合物の調製に使用したメサラミンのタップ密度とを示すグラフである。
【図4】図4は、680または730g/Lのタップ密度を有するメサラミン、および32〜33.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−12)または33.5〜35.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−15)から調製された、薬剤添加量が33%、37%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【図5】図5は、680または730g/Lのタップ密度を有するメサラミン、および32〜33.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−12)または33.5〜35.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−15)から調製された、薬剤添加量が33%、37%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【図6】図6は、680または730g/Lのタップ密度を有するメサラミン、および32〜33.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−12)または33.5〜35.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−15)から調製された、薬剤添加量が33%、37%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【図7】図7は、680または730g/Lのタップ密度を有するメサラミン、および32〜33.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−12)または33.5〜35.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−15)から調製された、薬剤添加量が33%、37%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【図8】図8は、680または730g/Lのタップ密度を有するメサラミン、および32〜33.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−12)または33.5〜35.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−15)から調製された、薬剤添加量が33%、37%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【図9】図9は、680または730g/Lのタップ密度を有するメサラミン、および32〜33.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−12)または33.5〜35.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−15)から調製された、薬剤添加量が33%、37%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【図10】図10は、730g/Lのタップ密度を有するメサラミン、および32〜33.5℃の上昇融点を有するハードファット(Witepsol(登録商標)H−12)から調製された、薬剤添加量が42%および44%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【図11】図11Aは、メサラミンの表面積と、23%の薬剤添加量で実施例7Aにおいて調製されたメサラミン坐剤から30分後に溶解したメサラミンの割合とを示すグラフである。溶解については、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、37.3℃、パドル回転数100rpm、および7巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定した。図11Bは、23%の薬剤添加量で実施例7Bにおいて調製されたメサラミン坐剤から経時的に溶解したメサラミンの割合を示すグラフである。メサラミンは、様々な表面積を有する。
【図12】図12は、メサラミンの表面積と、33%の薬剤添加量で実施例8において調製されたメサラミン坐剤から溶解したメサラミンの割合とを示すグラフである。
【図13】図13は、33%の薬剤添加量で実施例8において調製されたメサラミン坐剤から経時的に溶解したメサラミンの割合を示すグラフである。坐剤中のメサラミン粒子は、様々な表面積を有する。
【図14】図14は、42%の薬剤添加量で実施例8において調製されたメサラミン坐剤から経時的に溶解したメサラミンの割合を示すグラフである。坐剤中のメサラミン粒子は、様々な表面積を有する。
【図15】図15は、39〜42%の薬剤添加量で実施例9において調製されたメサラミン坐剤から経時的に溶解したメサラミンの割合を示すグラフである。坐剤中のメサラミン粒子は、様々な表面積を有する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
「メサラミン」という用語は、5−アミノサリチル酸(5−ASA)をいう。一実施形態によれば、メサラミンは、以下の粒度分布を有する:約5〜約11μmのX10、約25〜約45μmのX5、および約85〜約100μmのX90。
【0033】
「薬剤添加量」という用語は、坐剤の総重量に対するメサラミンの重量百分率をいう。
【0034】
本明細書で使用する場合、「患者」という用語は、任意の哺乳動物、好ましくはヒトをいう。実際にメサラミンで処置される患者は、子供、成人または高齢者に分類できるヒト集団の男女を問わず、どのような患者であってもよい。これらの患者群のいずれか1つが本発明の実施形態に関わる。
【0035】
本明細書で使用する場合、「処置する」という用語は、疾患または状態に罹患している、または罹患しやすい可能性があるが、まだ疾患または状態の臨床症状または潜在性症状を経験してないかまたは示してない患者の疾患または状態の臨床症状の出現を予防または遅延させることをいう。また、「処置する」とは、疾患または状態を抑制すること、すなわち、その発生またはその少なくとも1つ臨床症状または潜在性症状を阻止または軽減することをいう。「処置する」はさらに、疾患または状態を緩和すること、すなわち、疾患または状態またはその臨床症状または潜在性症状の少なくとも1つを回復させることもいう。処置される患者の利益は、統計学的に有意なものであるか、または少なくとも患者および/または医師に認識可能であるものである。
【0036】
活動期潰瘍性直腸炎の症状として、腹痛、下痢、直腸出血、残便感、しぶり、体重減少、発熱、食欲不振、疲労、ならびに脱水症、貧血および栄養不良などの他のより重篤な合併症があるが、これに限定されるものではない。いくつかのこうした症状は、定量解析の対象となる(たとえば体重減少、発熱、貧血等)。一部の症状は、血液検査から容易に判定される(たとえば貧血)。
【0037】
他に記載がない限り、タップ密度は、USPタップ密度試験<616>により測定される。
【0038】
製剤
メサラミン(たとえば、粉末状)は典型的には、ハードファットなどの坐剤基剤に分散させる。坐剤基剤は、油性または脂肪性基剤であってよい。利用してもよい従来の坐剤基剤として、カカオ脂、ハードファット、脂肪酸のグリセリド、グリセロール−ゼラチン基剤、およびこれらの混合物が挙げられる。好適なハードファット基剤は、以下に限定されるものではないが、エステル化したモノ、ジおよびトリグリセリドの混合物があり、脂肪酸のエステル化により得られる(European Pharmacopoeia,3rd edition 1997,Deutscher Apotheker Verlag Stuttgart,p.1022;The United States Pharmacopoeia,USP 23,NF18)。こうしたハードファットは、たとえば、Witepsol(登録商標)という名称(たとえばWitepsol(登録商標)H12およびH15)で市販されている。好ましい坐剤基剤は、ハードファット(たとえば、ハードファットNF)である。
【0039】
好ましいハードファット基剤として、飽和C9〜18脂肪酸のモノ、ジおよびトリグリセリド混合物を含むハードファットがあるが、これに限定されるものではない。ハードファット基剤は、植物性脂肪酸をグリセロールでエステル化して得られるハードファット、ポリオキシエチレン鎖に20〜24個のオキシエチレン基を含むマクロゴールエーテル、たとえば、ポリオキシル−20−セトステアリルエーテル、およびグリセリド、たとえば、グリセリルリシノレートを含んでよい。
【0040】
他の好適な坐剤基剤として、カカオバター、ラウリン油、牛脂、ハードファット、および前述のいずれかの任意の組み合わせがあるが、これに限定されるものではない。
【0041】
坐剤の薬剤添加量は、好ましくは35または37%〜50%である。一実施形態によれば、薬剤添加量は、約37〜約46%の範囲である。別の実施形態によれば、薬剤添加量は、約39〜約45%の範囲である。なお別の実施形態によれば、薬剤添加量は、約41〜約43%の範囲である。たとえば、坐剤は、約1300〜約1500mgの坐剤基剤(好ましくはハードファット)に分散された約1000mgのメサラミンを含んでもよい。
【0042】
坐剤の総重量は、好ましくは約2250〜約2700mgの範囲であり、一層好ましくは約2250〜約2500mgの範囲である。一実施形態によれば、坐剤の総重量は、約2300mg〜約2500mgの範囲である。
【0043】
坐剤は、好ましくはなだらかな魚雷型である。
【0044】
坐剤の融点は一般に患者の体内で溶融するのに十分なものであり、典型的には約37℃以下である。
【0045】
調製方法
本発明のメサラミン坐剤は、以下の通り調製することができる。メサラミンを溶融状の坐剤基剤に分散させ、次いでこれを好適な鋳型、たとえばPVC、ポリエチレンまたはアルミニウムの鋳型に流し込む。たとえば、メサラミンは、約35℃〜約50℃、好ましくは約40℃〜約44℃の温度で坐剤基剤に分散させてもよい。メサラミンは、坐剤基剤に加える前に微粉砕しても、または篩にかけてもよい。
【0046】
さらに必要に応じて、薬学的に許容される助剤、たとえば、安定剤、坐剤基剤中のメサラミンの均一に分布させるコンシステンシーを改善する添加剤または助剤を加えてもよい。任意選択により、たとえば、セチルアルコール、マクロゴール、またはポリビニルアルコール、およびポリソルベートで包装する前に坐剤をコーティングして崩壊時間を延長させるかまたは潤滑を高めても、あるいは保存中の付着を抑制してもよい。
【0047】
好ましくは、溶融メサラミン分散液のサンプルの粘度については工程内で判定して品質管理を行う。たとえば、粘度のカットオフ値は約5000〜約10000cpsであってもよい。一実施形態によれば、溶融メサラミン分散液のバッチの粘度が約10000cps以下であれば、許容可能であると見なされ、粘度が10000cpsを超えるものは許容可能であるとは見なされないと考えられる(したがって、廃棄してもよい)。別の実施形態によれば、溶融メサラミン分散液のバッチの粘度が約5000cps以下であれば、許容可能であると見なされると考えられる。
【0048】
また、溶融メサラミン分散液の調製に使用されるメサラミンのタップ密度も、好ましくは生産前にモニターして、メサラミンのタップ密度が少なくとも約600g/L、好ましくは約600〜約800g/Lであることを確認する。同様に、溶融メサラミン分散液の調製に使用されるメサラミンの表面積も、好ましくは生産前にモニターして、表面積が所望の範囲内、たとえば、約0.1(または0.2)〜2.8m/g(または約0.1(または0.2)〜1.3m/g、または約0.1(または0.2)〜約0.8m/g、または約0.1(または0.2)〜約0.5m/g、または約0.6〜約1.0m/g)にあることを確認する。好ましくは、メサラミンは、錠剤に圧縮するのに好適な顆粒状ではない。むしろ、メサラミンは、好ましくは凝集していない針状結晶の粉末状であるである。
【0049】
製造された各バッチの1つまたは複数のサンプル坐剤について、好ましくは本発明の溶解方法により試験して品質管理を行う。好ましい実施形態によれば、各バッチのサンプルを試験して、メサラミンの少なくとも約75または80重量%が2時間以内に溶解するかどうかを判定する。
【0050】
処置の方法
メサラミン坐剤は、活動期潰瘍性直腸炎などの潰瘍性大腸炎の処置を必要とする患者の活動期潰瘍性直腸炎などの潰瘍性大腸炎を処置するために投与してもよい。好ましくは、潰瘍性大腸炎の症状を緩和するのに十分な量および頻度でメサラミン坐剤を投与する。
【0051】
また、メサラミン坐剤は、潰瘍性大腸炎(活動期潰瘍性直腸炎など)のリスクがある患者に予防的に投与してもよい。好ましくは、潰瘍性大腸炎の症状の発現を遅延させるまたは予防する(たとえば、腹痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱、食欲不振、脱水症、貧血もしくは栄養不良、またはこれらの任意の組み合わせの発現を遅延させるまたは予防する)のに十分な量および頻度でメサラミン坐剤を投与する。
【0052】
上記の方法では、メサラミン坐剤は、好ましくは1日1回、一層好ましくは1日1回就寝前に投与する。また、坐剤は、好ましくは1時間から3時間、または可能な場合にはそれ以上保持される。処置は、短期間、たとえば、1日1回3日間から21日間でもよいし、またはより長期間、たとえば、1日1回3週間から6週間でもよい。
【0053】
以下の例は、限定することなく本発明を説明するものである。百分率はすべて、他に記載がない限り重量%である。
【実施例】
【0054】
実施例1
1000mgのメサラミン坐剤(下記の手順に従い調製されたものなど)の溶解特性を3種類の方法により判定した(下記の表1に示す、USP Apparatus #2を使用)。以下で考察するように、一貫した結果が得られたのは、本発明の溶解方法(方法2)のみであった。

【0055】
1000mgのメサラミン坐剤の調製
以下の手順により1000mgのメサラミン坐剤を調製した。200.0kgのハードファットNF(Witepsol(登録商標)15)を混合タンクに加える。タンクジャケットを介して蒸気を循環させることによりバッチを58〜62℃に加熱し始める。標的温度は60℃である。生成物が溶融し始めたら、12Hzのスイープ(sweep)で混合を開始する。58〜62℃(目標60℃)まで加熱し続ける。生成物が溶融するにつれ、スイープ(sweep)を60Hzまで上げながら、生成物が完全に溶融するまで混合する。ホットボックス(目標60℃)を使用して温度を58〜62℃に維持しながら、最低でも30分間混合する。ジャケットを介して約34〜40℃の水道水を循環させることによりバッチの温度を40〜44℃に調整する。ホットボックス(目標42℃)を使用してバッチをこの温度に維持する。温度を調整しながら、スイープ(sweep)を止め、7インチ×7インチのブレードを1つ備えたプロップミキサー(prop mixer)を取り付け、60Hzまでスイープ(sweep)を再開する。12Hzのプロップで混合を開始し、スイープ(sweep)を30Hzに調整する。
【0056】
混合タンクに100.0kgのメサラミン粉末USPをゆっくりと加える。粉末の添加中にタンク内の生成レベルが上昇するのに従い、スイープ(sweep)を35Hz、およびプロップを35Hzにゆっくりと上げて、空気の混入(aeration)を最小限に抑える。粉末の添加は、35〜60分の間隔で行う。
【0057】
最低でも60分間混合する。混合期間に、大型ポットを使用し底弁を介して生成物を流す。生成物が目視で均一に見えるようになるまで混合時間を通じて流し続ける。生成物を混合タンクに戻す。
【0058】
タンクジャケットを介して、または必要に応じてホットボックスを使用して約50〜55℃の水道水を循環させることにより、バッチの温度を43〜45℃に調整する。タンクの底弁から工程内サンプリングし、約600gをプラスチックビーカーに取る。ホットボックスを取り付け、バッチの温度を43〜45℃に維持するようにセットする。スイープ(sweep)を30〜36Hz、およびプロップを20〜30Hzに調整して生成物の空気の混入(aeration)を防ぐ。
【0059】
各鋳型に充填する。運転の25〜35分ごとに1充填ヘッド(14個の連続した坐剤)につき坐剤1つを取り出す。各坐剤の充填重量は、2.85〜3.15gにすべきである。
【0060】
結果
方法1および方法2により1000mgのメサラミン坐剤の溶解プロファイルを判定した。結果をそれぞれ表2および表3に示す。


【0061】
方法2で測定した場合、方法1で測定した場合より120分後の溶解値のばらつきが、有意に低下した。
【0062】
このばらつきの低下はさらに、方法2および方法3を用いて通常保存条件下(25℃および相対湿度60%)で保存された1000mgの坐剤、および加速保存条件下(30℃および60% 相対湿度)で保存された1000mgの坐剤について行った溶解試験によっても示された。結果をそれぞれ表4および表5に示す。これらの結果から、方法2は、ロット内およびバッチ間のばらつきがわずかな、再現性のある溶解値を与えることが明らかにされる。



【0063】
比較のため、方法3により測定した際に最も大きなばらつきを示した3つのバッチ、すなわち、バッチ21、24および25のサンプルを方法2により試験した。結果を表6に示す。

【0064】
これらの結果は、方法2が、方法3と比較して信頼性がより高く、ばらつきのより少ない溶解結果を与えることを示す。
【0065】
実施例2
実施例1に記載した方法1により、実施例1で調製した1000mgのメサラミン坐剤の溶解特性を判定した。
【0066】
結果を下記表7に示す。

【0067】
実施例3
以下の実験を行い、メサラミン粉末出発材料のタップ密度が、坐剤の形成に使
用した溶融混合物の粘度に顕著な影響を与えるかどうかを判定した。一般に、約5000〜約10000cpsを超える粘度を有する溶融混合物は、坐剤の充填時に流れの問題があることが明らかになり、坐剤の表面に封入された小さな気泡を形成させ、含量均一性の問題と共に美的に望ましいとは言い難い生成物を生じさせた。
【0068】
USPタップ密度試験<616>によりメサラミンの複数のロットのタップ密度を判定した。これを下記表8に示す。

【0069】
実施例1に記載した手順によりメサラミンロットA、BおよびEを用いて溶融混合物を調製した。溶融混合物は、下記表9に報告した粘度を有した。

【0070】
メサラミンロットC〜Gの組み合わせから調製した溶融混合物を調製したところ、下記表10に報告した粘度を有した。各メサラミンロットの個々のタップ密度を用いて、各ロットの量に基づき複合タップ密度(CTD:composite tapped density)を算出した。算出されるCTDは、以下の式で表すことができる。
(CDF)+(CDF)+(CDF)=CTD
式中、CTD=複合タップ密度、CDF=密度因子の寄与度=使用した全薬剤/100×TDの%、TD=測定されたタップ(tapped)密度、およびn=使用した薬剤ロットの数である。

【0071】
表9および表10の密度−粘度データを組み合わせてプロットし(図1)、これら2つのパラメーターの相関関係を評価した。これらのデータは、明確な順位逆相関(rank−order inverse relationship)を示し、相関係数は0.9743であった。特に、CTDが0.60g/mlから0.44g/mlに低下すると、粘度は、1730cpsから13300cpsに7倍増加した(表10のロットNO.5および6の溶融混合物を参照されたい)。
【0072】
実施例4
下記表11に示すメサラミンロットNO.1〜8を用いて実施例3に記載した手順を繰り返した。結果を表11および図2に示す。図2の相関曲線から、5000cpsの粘度が約0.50g/mlのタップ密度に対応する。

【0073】
密度と粘度との相関関係は本質的に順位関係であり、2つのパラメーターの逆の関係を示す(相関係数=0.8803)。
【0074】
実施例3および4のタップ密度および粘度のデータ(表9〜11)を組み合わせて、図3にグラフで示す。この組み合わせデータは、メサラミン粉末のタップ密度と薬剤−ハードファット分散液の工程内粘度に対するその作用との強い相関関係(相関係数=0.9343)を明確に示す。
【0075】
実施例5
Witepsol(登録商標)H−15またはWitepsol(登録商標)H−12(ハードファットNF)を坐剤基剤として使用した1gのメサラミン坐剤を実施例1に記載した手順により33%、37%、42%および44%の薬剤添加量で調製した。坐剤はどれも、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると(表#1の方法#2)、溶解から2時間以内に坐剤中に含まれるメサラミンの少なくとも75重量%を放出した。
【0076】
図4および図5は、680g/Lのタップ密度を有するメサラミン、およびWitepsol(登録商標)H−15から調製した、薬剤添加量が33%、37%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【0077】
図6は、730g/Lのタップ密度を有する供給業者2、グレードBのメサラミン、およびWitepsol(登録商標)H−15から調製した、薬剤添加量が33%、37%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【0078】
図4〜図6に関連して上述した坐剤の調製に使用したメサラミンとハードファットとの工程内溶融混合物は、下記表12に報告する粘度を有していた。供給業者2のグレードCおよびDからは坐剤を製造できなかった。グレードCおよびDは、メサラミンを錠剤に圧縮するように設計されたものであり、坐剤の調製に必要なハードファットを用いた懸濁液の調製には適していないことが明らかになった。

【0079】
図7は、680g/Lのタップ密度を有するメサラミン(供給業者1および2から提供)または730g/Lを有するメサラミン(供給業者2、グレードB)、およびWitepsol(登録商標)H−15から調製した、薬剤添加量が42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【0080】
図8は、供給業者1の680g/Lのタップ密度を有するメサラミン、およびWitepsol(登録商標)H−12(上昇融点32〜33.5℃)またはWitepsol(登録商標)H−15(上昇融点33.5〜35.5℃)から調製した、薬剤添加量が33%および42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。図8ではさらに、Witepsol(登録商標)H−12(上昇融点32〜33.5℃)を使用して製造された730g/mlのタップ密度を有する、供給業者2のメサラミンから調製した、薬剤添加量が42%の坐剤も対比してある。
【0081】
図9は、680g/Lのタップ密度を有するメサラミン(供給業者1)または730g/Lを有するメサラミン(供給業者2、グレードB)、およびWitepsol(登録商標)H−12またはWitepsol(登録商標)H−15から調製した、薬剤添加量が42%のメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【0082】
図10は、730g/Lのタップ密度を有するメサラミン(供給業者2、グレードB)、およびWitepsol(登録商標)H−12から調製した、薬剤添加量が42%および44%のより大型のバッチのメサラミン坐剤の溶解特性を示す。
【0083】
実施例6
1000mgの高密度メサラミン坐剤
以下の手順に従い、各々1000mgのメサラミン(USP)および1381mgのWitepsol(登録商標)H−12(ハードファットNF)を含む1gのメサラミン坐剤を調製した。
【0084】
ハードファット(Witepsol(登録商標)H−12、65.25kg)を反応釜に仕込んで溶融し、タンク温度75℃、溶融温度60℃、冷却水温度48℃、冷却空気温度44℃として反応釜を自動モードで作動させ、45分のT溶融(T melting)を維持し、15分のT溶融(T melting)で混合し、256rpmで60分間維持する。温度が40〜44℃に達したら、混合速度を60〜80rpmとし、温水タンク温度を71〜79℃として供給業者2、グレードBのメサラミンを50〜70分の時間にわたりゆっくりと加え、230〜270rpmで一定に混合する。次いでこの懸濁液を230〜270rpmで55〜65分間(設定値60分)混合する。混合時間後、混合速度を168〜180rpm(設定値175rpm)に調整する。
【0085】
次いで鋳型に充填し、各鋳型に2.33〜244gの懸濁液を入れる。次いで鋳型を20℃で5〜10分間冷却する。
【0086】
PVC/PE容器(中空部1つ当たり2.3mLの容積)にヒートシールした1gの坐剤を25±2℃および相対湿度60±5%で3ヶ月間保存した。坐剤は、安定であり、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内に坐剤中に含まれるメサラミンの少なくとも80重量%を放出することが明らかになった。
【0087】
実施例7A
適切な混合速度を用いて実施例1に記載した手順により、薬剤添加量が23%で様々な表面積を有するメサラミン500mgを含む坐剤を調製した。メサラミンの表面積は、0.395〜2.799m/gの範囲であった。0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、37.3℃、パドル回転数100rpm、および7巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により、30分で溶解するメサラミンの割合を測定した。結果を図11Aに示す。
【0088】
実施例7B
また、各坐剤ごとに経時的に放出するメサラミンの割合も測定した。溶解については、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および7巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定した。結果を図11Bに示す。
【0089】
実施例8
様々な表面積を有する1000mgのメサラミン、およびWitepsol(登録商標)H−15(ハードファットNF)を含む、薬剤添加量が33%の坐剤を実施例1に記載した手順により調製した。メサラミンの表面積は、0.268〜2.799m/gの範囲であった。30分で溶解したメサラミンの割合については、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定した。結果を図12に示す。
【0090】
また、10分、20分および30分後に放出されたメサラミンの割合も坐剤ごとに測定した。結果を図13に示す。
【0091】
様々な表面積を有するメサラミン、およびWitepsol H−12(ハードファットNF)を含む、薬剤添加量が42%の坐剤を実施例1に記載した手順により調製した。使用したメサラミンの表面積は、0.365m/g、0.731m/gまたは1.393m/gであった。経時的に放出されたメサラミンの割合を坐剤ごとに測定した。結果を図14に示す。
【0092】
下記表は、表面積に対するメサラミンの最大溶解率と最小溶解率を示す。表に示したデータは、33%および42%の坐剤から得られた。

【0093】
以下の表は、表記の表面積範囲で溶解したメサラミンの平均値に基づく最小値の詳細、および表記の表面積範囲で溶解したメサラミンの平均値に基づく最大値の詳細を示す。表に示したデータは、33%および42%の坐剤から得られた。

【0094】
上記の表、および図12〜図14から、薬剤添加量が33%および42%の坐剤中のメサラミンの溶出速度は、表面積が縮小するにつれ増加することが示される。これらの結果は、表面積が大きくなると、湿潤性、および表面と溶解媒体との接触が高まることにより溶解が速まるという一般的な科学的認識に反するものである。
【0095】
実施例9
様々な表面積(0.395〜2.799m/gの範囲)を持つ746〜1460mgのメサラミン、およびWitepsol(登録商標)H−12(ハードファットNF)を含む坐剤(薬剤添加量39〜42%)を、使用するバッチサイズおよび装置に応じて実施例1に記載した手順を適切に調整して調製した。鋳型に充填し、各鋳型に約3.5gの調製懸濁液を入れた。
【0096】
10分、20分および30分後に放出されたメサラミンの割合を坐剤ごとに測定した。結果を図15に示す。
【0097】
本明細書に引用し考察した非特許参考文献、特許および特許出願はすべて、各々が個々に参照によって援用してあるのと同じ程度に参照によってその全体を本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約400〜約1600mgのメサラミン、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、前記メサラミンは約600〜約800g/Lのタップ密度を有し(USP<616>で測定)、前記坐剤の薬剤添加量は35%〜50%の範囲であり、かつ前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内に前記メサラミンの少なくとも約75重量%を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項2】
請求項1に記載のメサラミン坐剤において、メサラミンの量は約1450〜約1550mgの範囲であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項3】
請求項1に記載のメサラミン坐剤において、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は32〜33.5℃の範囲の上昇融点を有することを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項4】
請求項3に記載のメサラミン坐剤において、前記32〜33.5℃の範囲の上昇融点を有する前記薬学的に許容される賦形剤は油性または脂肪性基剤であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項5】
請求項1に記載のメサラミン坐剤において、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は33〜35.5℃の上昇融点を有する油性または脂肪性基剤であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項6】
請求項4に記載のメサラミン坐剤において、前記油性または脂肪性基剤はハードファットであることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項7】
請求項5に記載のメサラミン坐剤において、前記油性または脂肪性基剤はハードファットであることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項8】
請求項1に記載のメサラミン坐剤において、前記薬剤添加量は約39〜約45%の範囲であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項9】
請求項8に記載のメサラミン坐剤において、前記薬剤添加量は約41〜約43%の範囲であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項10】
請求項1に記載のメサラミン坐剤において、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内に前記メサラミンの少なくとも約80重量%を放出することを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項11】
請求項1に記載のメサラミン坐剤において、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から1時間以内に前記メサラミンの少なくとも約80重量%を放出することを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項12】
請求項1に記載のメサラミン坐剤において、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から30分以内に前記メサラミンの少なくとも90重量%を放出することを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項13】
活動期潰瘍性直腸炎の処置を必要とする患者の活動期潰瘍性直腸炎を処置する方法であって、請求項1に記載のメサラミン直腸坐剤を前記患者に投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記メサラミン直腸坐剤は1日1回投与されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記メサラミン直腸坐剤は1日1回就寝前に投与されることを特徴とする方法。
【請求項16】
約950〜約1600mgのメサラミン、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、前記メサラミンは約600〜約800g/Lの範囲のタップ密度を有し(USP<616>で測定)、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内に前記メサラミンの少なくとも約75重量%を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項17】
請求項16に記載のメサラミン直腸坐剤において、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は脂肪性基剤であることを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項18】
請求項16に記載のメサラミン直腸坐剤において、メサラミンの量は約1450〜約1550mgの範囲であることを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項19】
請求項16に記載のメサラミン直腸坐剤において、メサラミンの量は約1500mgであることを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項20】
約950〜約1600mgのメサラミン、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、前記坐剤の薬剤添加量は35%〜46%の範囲であり、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から2時間以内に前記メサラミンの少なくとも約75重量%を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項21】
メサラミン粒子、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、前記メサラミン粒子は約0.1m/g〜約2.8m/gの表面積を有し、前記坐剤の薬剤添加量は35%〜50%の範囲であり、かつ前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から1時間以内に前記メサラミンの少なくとも約85重量%を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項22】
請求項21に記載のメサラミン直腸坐剤において、前記メサラミン粒子は約0.1m/g〜約1.3m/gの表面積を有することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項23】
請求項21に記載のメサラミン直腸坐剤において、約500mgのメサラミンを含むことを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項24】
請求項21に記載のメサラミン直腸坐剤において、約1gのメサラミンを含むことを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項25】
請求項21に記載のメサラミン直腸坐剤において、約1.5gのメサラミンを含むことを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項26】
請求項21に記載のメサラミン坐剤において、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は32〜33.5℃の範囲の上昇融点を有することを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項27】
請求項26に記載のメサラミン坐剤において、32〜33.5℃の範囲の上昇融点を有する前記薬学的に許容される賦形剤は油性または脂肪性基剤であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項28】
請求項21に記載のメサラミン坐剤において、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は33〜35.5℃の上昇融点を有する油性または脂肪性基剤であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項29】
請求項27に記載のメサラミン坐剤において、前記油性または脂肪性基剤はハードファットであることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項30】
請求項28に記載のメサラミン坐剤において、前記油性または脂肪性基剤はハードファットであることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項31】
請求項21に記載のメサラミン坐剤において、前記薬剤添加量は約39〜約45%の範囲であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項32】
請求項31に記載のメサラミン坐剤において、前記薬剤添加量は約41〜約43%の範囲であることを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項33】
請求項21に記載のメサラミン坐剤において、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から30分以内に前記メサラミンの少なくとも90重量%を放出することを特徴とするメサラミン坐剤。
【請求項34】
請求項22に記載のメサラミン直腸坐剤において、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、
(a)溶解から20分後に前記メサラミンの少なくとも41.4%(w/w)、および
(b)溶解から30分後に前記メサラミンの少なくとも62.3%(w/w)
を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項35】
活動期潰瘍性直腸炎の処置を必要とする患者の活動期潰瘍性直腸炎を処置する方法であって、請求項21に記載のメサラミン直腸坐剤を前記患者に投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
メサラミン粒子、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、前記メサラミン粒子は約0.1m/g〜約2.8m/gの表面積を有し、前記坐剤の薬剤添加量は35%〜50%の範囲であり、かつ前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、
(a)溶解から10分後に前記メサラミンの15.0%〜95.1%(w/w)、
(b)溶解から20分後に前記メサラミンの少なくとも27.9%(w/w)、および
(c)溶解から30分後に前記メサラミンの少なくとも32.5%(w/w)
を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項37】
請求項36に記載のメサラミン直腸坐剤において、前記メサラミン粒子の前記表面積は約1.3m/g〜約2.8m/gの範囲であることを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項38】
請求項37に記載のメサラミン直腸坐剤において、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、
(a)溶解から10分後に前記メサラミンの19.1%〜40.3%(w/w)、
(b)溶解から20分後に前記メサラミンの27.9%〜70.7%(w/w)、および
(c)溶解から30分後に前記メサラミンの32.5%〜94.8%(w/w)
を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項39】
メサラミン粒子、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、前記メサラミン粒子は約0.1m/g〜約2.8m/gの表面積、および約600〜約800g/Lの範囲のタップ密度(USP<616>で測定)を有し、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から1時間以内に前記メサラミンの少なくとも約85重量%を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項40】
請求項39に記載のメサラミン直腸坐剤において、前記メサラミン粒子の前記表面積は約0.1m/g〜約1.3m/gの範囲であることを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項41】
請求項39に記載のメサラミン直腸坐剤において、前記坐剤の前記薬剤添加量は35%〜50%の範囲であることを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項42】
請求項39に記載のメサラミン直腸坐剤において、約500mgのメサラミンを含むことを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項43】
請求項39に記載のメサラミン直腸坐剤において、約1gのメサラミンを含むことを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項44】
請求項39に記載のメサラミン直腸坐剤において、約1.5gのメサラミンを含むことを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項45】
1.1〜2.5gのメサラミン粒子、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、前記メサラミン粒子は(i)約0.1m/g〜約2.8m/gの表面積、(ii)約600〜約800g/Lの範囲のタップ密度(USP<616>で測定)、または(iii)これらの両方を有し、前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から1時間以内に前記メサラミンの少なくとも約85重量%を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項46】
メサラミン粒子、および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むメサラミン直腸坐剤であって、前記メサラミン粒子は(i)約0.1m/g〜約2.8m/gの表面積、(ii)約600〜約800g/Lのタップ密度(USP<616>で測定)、または(iii)これらの両方を有し、前記坐剤の前記薬剤添加量は25%〜50%の範囲であり、かつ前記坐剤は、0.2Mのリン酸塩緩衝液(pH7.5)を用い、40℃、パドル回転数125rpm、および3巻きのシンカーでUSP Apparatus #2により測定されると、溶解から1時間以内に前記メサラミンの少なくとも約85重量%を放出することを特徴とするメサラミン直腸坐剤。
【請求項47】
請求項46に記載のメサラミン直腸坐剤において、約400〜約800mgのメサラミンを含むことを特徴とするメサラミン直腸坐剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−514979(P2013−514979A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544851(P2012−544851)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060849
【国際公開番号】WO2011/084638
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(500287857)アプタリス・ファーマ・カナダ・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Aptalis Pharma Canada Inc.
【Fターム(参考)】