説明

メタルハライドランプ外囲器からのヘリウム漏れを防止または低減する方法

【課題】ガス損失が低減された高温ランプおよび高温ランプのガス損失を低減する方法を提供する。
【解決手段】光源とその周囲のシュラウド150を提供することを含む。窒素よりも大きな熱伝導率を有する充填ガスを光源の外側かつシュラウドの内側に用い、シュラウドが少なくともランプ動作の定格寿命にわたって最初の充填ガス量の少なくとも20%を含有するよう改良する。シュラウド150は、シュラウド材料を選択すること、シュラウド厚さを制御すること、シュラウドにコーティングを施すこと、および充填ガスを選択することのうちの1つ以上によって好適に改良される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の光源、または光源を囲む高温の外囲器によって制限される光学または測光性能、寿命、信頼性を有することを特徴とする高温ランプに関する。本発明は、電極の有無にかかわらない高温放電ランプ、白熱およびハロゲンランプ、LEDランプ、およびその他の高温ランプに関して適用される。本発明は、特に、セラミックまたは石英発光管外囲器を備え、その中で発光管と周囲のランプシュラウドまたは外側ジャケットの間の窒素または真空の代わりに充填ガスとしてヘリウム、水素、ネオン、またはその他の低質量ガスを用いたメタルハライドランプに関して適用される。本発明は、特に、自動車ヘッドランプ、狭角ランプ、または小型ランプに利用されるメタルハライドランプに関して適用される。しかしながら、本発明が照明産業全体で広く応用できることを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
現在の市販のヘッドランプ設計は、石英メタルハライド発光管に密封装着されてそれを囲む石英シュラウドの利用に基づいている。次世代のヘッドランプ設計はセラミックメタルハライド発光管を利用し、さらにヘッドランプの発光管とシュラウドの間にNまたは真空を充填した石英シュラウドを組み込むことができる。石英のセラミックとの置換が可能にした通常の利益はセラミック放電ヘッドランプで得られると予想されており、とりわけ、LPW(ルーメン/ワット)が高くなり、色合いが良くなり、水銀量が自由になり、ランプの寿命にわたってルーメンおよび色合いの維持が向上するであろう。しかしながら、典型的なセラミック発光管外囲器による光の散乱のため、セラミック発光管の寸法は、高性能ビームを生成するのに必要な散乱光レベルが低い高輝度の小型光源を提供するために、同じ用途の石英発光管の寸法よりも大幅に小さくする必要がある。一般的に、同等の光学性能を達成するためには、セラミック発光管の外径を石英発光管の内径と同等にしなくてはならない。そのような設計の小型セラミック発光管の動作で得られるセラミック発光管温度は、一般的にセラミック材料の最大許容温度またはそれ以上の温度である。一般的に、真空環境で動作する発光管は、ガス充填(一般的にN)環境で動作する同じ発光管よりも高温で動作することになるが、N雰囲気であっても、そのような小型セラミック発光管の温度は通常極端に高い。言い換えると、セラミック発光管の寸法は、セラミック発光管を放電ヘッドランプに利用した際の高温による悪影響を受けずには小さくすることができない。同様の状況がその他のランプ用途でも見られ、セラミックメタルハライド発光管の有利な性能属性がその用途で一般的に用いられる石英メタルハライド発光管の性能属性よりも好ましいが、セラミック発光管による散乱があるにもかかわらず高輝度ビームを生成するためには、セラミックの寸法はセラミックが熱すぎても動作するように小さくする必要がある。同様の状況は、一般的に、ランプをより小さなリフレクターまたはより小さなエンクロージャに取り付けることができるように、高輝度光源を既存製品よりも小さな外側ジャケットまたは小さなランプリフレクターの内部に取り付けることが望まれるあらゆる用途でも見られるが、形状がより小型になるとセラミック発光管外囲器の動作温度が容認できないほど高くなる。発光管外囲器が熱くなりすぎると、逆効果になる可能性があり、とりわけ、ランプ寿命が短くなり、信頼性が低下し、寿命にわたってルーメンまたは色合いの維持が悪化し、発光管が破裂する危険がある。
【0003】
石英またはセラミック発光管外囲器の温度を下げる一つの方法は、通常は窒素、または窒素とその他のガスの混合気である現在の一般的な充填ガス、あるいは真空よりも熱を伝導するガスを用いて、発光管と外側ジャケットまたはシュラウドの間の空間に充填することである。窒素よりも実質的に高い熱伝導率を有する充填ガスを用いると、発光管温度が下がることになる。この冷却性能により、発光管、そしてそれによってランプアセンブリ全体の寸法を小さくすることができるので、より光学的に有利な光源が得られる。さらに、セラミック発光管の場合、寸法を小さくすると、より等温の外囲器温度を提供することができ、応力が大幅に低減することによって、亀裂による破損の可能性が低下する。
【0004】
ヘリウムおよび水素を含むいくつかのガスは、発光管温度を下げることによって、より小さな発光管設計を可能にするための充填ガスとして利用することが提案されている(例えば、発光管を冷却するためのガス充填シュラウドを開示する米国公開特許第2007/0057610A1号公報(特許文献1)を参照のこと)。発光管をより小さく設計することで、ヘッドランプまたはビーム形成ランプまたは小型ランプの光学性能が向上するとともに、さらに応力が低減する働きもあり、結果的にランプ寿命がより長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国公開特許第2007/0057610A1号
【特許文献2】国際公開第2004/023517A1号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A.G.Guyら、Introduction to Material Science,McGraw−Hill、1972年、第251頁
【非特許文献2】Nelson W.Taylorら、“The Diffusion of Helium and of Hydrogen Through Pyrex Chrmically Resistant Glass”、Journal of Chemical Physics、第6巻、第612〜619頁、1938年10月
【非特許文献3】V.O.Altemose, “Helium Diffusion through Glass”、Journal of Applied Physics、第32巻第7号、第1309〜1316頁、1961年
【非特許文献4】A.F.SchuchおよびR.L.Mills、“New Allotropic Form of He3”、Physical Review Letters、第6巻、第596〜597頁、1961年6月1日
【特許文献5】W.N. Petersら、 “Helium permeation compensation techniques for long life gas lasers”、Journal of Physics E ; Scienctific Instruments、第3巻、第719頁〜721頁、1970年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決すべき課題は、ヘリウムまたは水素等の高い熱伝導率を有する代替充填ガスを、代替充填ガスの冷却効果によって従来の発光管よりも小さな寸法を有する発光管がうまく動作することができるように、発光管を囲む石英シュラウドまたは外側ジャケットに含有することで直面する問題である。提案されたガスはすべてNガスを上回る熱伝導率を有しており、そのようなガスの原子または分子は、一般的にN分子よりも小さく、一般的に石英またはガラスへの透過率がNガスよりも高い。特に、ヘリウムおよび水素は非常に急速に石英に透過し、透過率は石英の温度の上昇と共に増加する。ヘリウムまたは水素冷却ガスの熱および応力効果は、大半のガスが外側へ透過して、シュラウドから外部に失われるとなくなってしまう。冷却ガスがなくなると、その小さな寸法のおかげで発光管はなおも極めて高輝度で動作することになるが、予定よりも高温で作動して、過熱による逆効果を招くことになる。石英外囲器内に含有されるヘリウムでは、このことが、メタルハライドランプで利用される典型的な石英シュラウドを有する高温ランプの典型的な動作温度で、約100時間の動作後に生じるのに対して、水素では、約250〜500時間の動作の間に生じる。これは、約2000〜5000時間という典型的な放電ヘッドランプの設計寿命や、一般的に10000時間以上程度である全般照明放電ランプの設計寿命と比較すべきである。明らかに、ランプが数千時間動作する間、シュラウド内部のヘリウムまたは水素を維持するための含有設計が望まれている。
【0008】
前述のことを考えると、窒素よりも高い熱伝導率を有するヘリウム、水素、または別の充填ガスの利用によって窒素の利用をめぐる特定の問題が解決されるが、それにもかかわらず、石英への透過を排除または十分に低減するためには、それらの利用にシュラウドの改良が必要とされる。
【0009】
ヘッドランプ性能のさらに別の欠点は、発光管の外部リード線全体のガスによる絶縁破壊を阻害することがヘッドランプシュラウド内部の窒素ガスの機能の1つであることである。これは、例えば25kV程度の高電圧点火パルスがランプ安定器または電源から印加される時に生じる。ヘリウムのイオン化電位が非常に高いため、ヘリウムガスは絶縁破壊を阻害し得るが、さらに破壊を阻害するためには少量のNまたはその他のガスの添加が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、発光管とランプシュラウドの間に窒素よりも大きな熱伝導率を有するヘリウム、水素、または同様の充填ガスが配置されたランプであって、ランプの定格寿命にわたって最初の水素、ヘリウム、または同様の充填ガス含有量の少なくとも20%がシュラウドによって保持されるランプに関する。
【0011】
本発明は、さらに、シュラウドまたは外側ジャケットからのヘリウムまたは水素(または同様の充填ガス)の透過を排除または低減する方法に関する。
【0012】
好適な方法およびランプは、ランプ発光管と周囲のシュラウドを設けるステップと、該発光管の外部および該シュラウドの内部に窒素よりも大きな熱伝導率を有する充填ガスを使用するステップと、少なくともランプの定格寿命にわたって最初の充填ガスの少なくとも20%を含有するように該シュラウドを改良するステップとを含む。
【0013】
シュラウド改良ステップおよび得られたランプは、シュラウド基材、シュラウドのコーティング、シュラウド壁厚、および閉じ込め用のガスの選択の少なくとも1つを含む。
【0014】
該方法およびランプは、窒素よりも大きな熱伝導率を有する充填ガス、例えばヘリウム、水素、またはネオンの1つを充填ガス(またはそれに対して一定量の窒素ガスを添加してもよい)として使用するステップを含んでおり、該コーティングが、アルミナ、シリカ、タンタラ、チタニア、ニオビア、ハフニア、およびNiO、あるいはその他の透光性の高温材料の酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの組み合わせの1つを含む。
【0015】
該方法および得られたランプは、アルミノケイ酸ガラス(Corningタイプ1720またはGEタイプ180アルミノケイ酸)またはガラス内に少なくとも5%モル分率のアルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物を有するその他の高温ガラスのシュラウドを形成するステップを含む。
【0016】
該方法および得られたランプは、該シュラウドの内面および外面の一方または両方に高温コーティングを施すステップを含む。
【発明の効果】
【0017】
主な効果は、発光管温度がより低くなり、それに応じて発光管およびランプアセンブリをより小さく設計することができることである。
【0018】
別の効果は、応力の低減が可能で、それに応じて亀裂による破損の可能性が低下することである。
【0019】
さらに別の効果は、ランプアセンブリの発光管温度を低温に維持して、数千時間動作させることである。
【0020】
さらに他の効果および利点は、以下の詳細な説明を読解することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による両口ランプ設計を示す。
【図2】本発明による片口ランプ設計を示す。
【図3】本発明による発光管の外部リード線の間のさまざまな間隔でのヘリウムおよび窒素の使用を示すグラフである。
【図4】いくつかの候補ガラスを一覧にした表であり、軟化点と、アルカリおよびアルカリ土類酸化物のモル含有率を含む。
【図5】550℃での、さまざまな基材からなる容器へのヘリウム閉じ込めを示すグラフである。
【図6】550℃での、さまざまなコーティングを施した石英容器へのヘリウム閉じ込めを示すグラフである。
【図7】550℃での、石英、GE180アルミノケイ酸ガラス、およびソーダ石灰ガラス容器へのヘリウム閉じ込めを示すグラフである。
【図8】ヘリウム閉じ込めに関する容器の壁厚の予測効果および実験効果を示すグラフである。
【図9】ドープ石英容器への水素の閉じ込めを示すグラフである。
【図10】アルミノケイ酸ガラス容器への水素の閉じ込めを示すグラフである。
【図11】約550℃の炉内で200時間後にさまざまな試験容器内で保持される冷却ガスの測定割合を示す表である。
【図12】約550℃の炉内で200時間後に試験容器内で保持される冷却ガスの予想割合を示す表である。
【図13】約550℃の炉内で10000時間後に試験容器内で保持される冷却ガスの推定割合を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
小さな高温の透光性シュラウド内にヘリウム、水素、またはその他の冷却ガスを含有する、セラミックメタルハライド(CMH)ランプ、特にヘッドランプとして利用されるCMHランプ等の高温放電発光管が提供され、冷却ガスによってホットスポット温度が低下し、より小さく、より光学的に有利な発光管を設計することが可能になる。参照のため、上述のように、高温ランプは、高温の光源、または光源を囲む高温の外囲器によって制限される光学または測光性能、寿命、信頼性を有することを特徴とする。高温ランプとしては、例えば、電極の有無にかかわらない放電ランプ、白熱およびハロゲンランプ、LEDランプ、およびその他の高温ランプがある。
【0023】
ヘリウムまたは水素等の冷却ガスをシュラウド内に含有するために、3つの構成の1つ以上を用いることができる。1つ目は、シュラウドの壁厚を最小にすることである。2つ目は、従来の石英シュラウドを高温ガラスシュラウド、例えばアルミノケイ酸ガラスに置き換えることである。3つ目は、シュラウドの表面に高温コーティングを施すことである。例えば、3つすべての特徴を組み合わせると、高温薄膜でコートされたアルミノケイ酸ガラス製の1〜2mm厚のシュラウドが特徴となる。アルミノケイ酸ガラスは、1015℃の高い軟化温度と785℃の高いアニール温度を有するので、大部分の高温ランプ用途、特にCMHヘッドランプ用途に適したガラスと見なされる。アルミノケイ酸シュラウドは、外囲器からのヘリウムまたは水素の拡散損失をさらに低下させる材料、例えば、アルミナ、シリカ、タンタラ、チタニア、ニオビア、ハフニア、ジルコニア、NiO、または500℃を上回る分解点を有するその他の透光性の高温材料の酸化物、窒化物、酸窒化物またはそれらの組み合わせの50nm〜10μmの厚さの層、より好ましくは約1〜3μmの厚さの層、あるいは反射防止のために、タンタラ−シリカ、チタニア−シリカ、またはその他の高温の高屈折率および低屈折率材料の組み合わせの多層干渉コーティングで、その内面および/または外面をコーティングすることができる。
【0024】
ランプ100は、軸方向外側に延在する第1および第2脚部106,108を備えた空洞すなわち放電室104を有する、外囲器すなわち発光管102とも呼ばれる本体すなわち容器を含む。脚部は、外部電源(図示せず)に接続される電極/リード線アセンブリ120,122をそれぞれ収容する。さらに、脚部に対して電極アセンブリを密封シールするために、脚部の各外端部にシール124,126が設けられる。例えば、好ましいシールは、一般的にリード線アセンブリの一部に沿って設けられるフリットシールである。各電極/リード線アセンブリの内端部は放電室内に延在し、アーク室の反対側の対応する内端部から所定距離だけ離間配置されており、この所定距離はアーク間隔またはアーク長として規定され、参照番号128で示される。アーク室の内径すなわち口径130もまた、図1に示される。
【0025】
図1の両口ランプの軸方向外側部分すなわち外部リード線部分140,142は、それぞれ第1および第2電極/リード線アセンブリ120,122に電気的かつ機械的に結合される。図2の片口ランプでは、支柱144が発光管に対してオフセットして略平行に延在し、外部リード線部分140を支持する。ランプ100は、好ましくは外側ジャケット、カプセル、またはシュラウド150内に収容される。本開示において単語「シュラウド」で参照するのはすべて、ランプの発光体を囲むあらゆるエンクロージャを意味しており、発光体を囲む空間に制御されたガス環境を提供するものである。本書におけるランプの説明の一部では、単語「シュラウド」を「外側ジャケット」、「外側バルブ」、「ランプ外囲器」、「ハウジング」または同様の記述で置き換えてもよい。
【0026】
図1および2で表される発光管形状は両口発光管設計と呼ぶことができるが、ランプ、外側ジャケット、またはシュラウドの形状は、図1では両口、図2では片口と呼ばれる。しかしながら、本発明は、電極/リード線アセンブリ120,122が互いに隣接して配置される片口発光管設計にも同様に良好に当てはまる。そのような片口発光管形状は、一般的に図2と同様の片口ランプ形状の内部に取り付けられる。さらにまた、本発明は無電極放電ランプにも同様に良好に当てはまる。
【0027】
本開示によれば、発光管は多結晶アルミナすなわちPCAから作られる。PCAを使用することによって、発光管外囲器材料の失透またはその他の有害反応を起こすことなく、ランプが石英ランプよりも高温で動作することが可能になる。シュラウドは一般的に石英から作られており、本開示の特定の実施形態では、シュラウドは高温ガラス、例えばアルミノケイ酸ガラス(Corningタイプ1720またはGEタイプ180アルミノケイ酸)、またはガラス内に少なくとも5%モル分率のアルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物を有するその他の高温ガラスから形成される。
【0028】
前述のものに加えて、ニオブ線、モリブデン線、およびタングステン線等の標準電極材料が使用される。これらの電極材料の代替物はサーメット(セラミック金属)材料であり、電極として利用されることで知られている。
【0029】
CMHランプの発光管は、さらに、作成時に発光管内に密封されるアルゴン、クリプトン、またはキセノン等の標準の充填ガス成分と、Ca、Ce、Tl、Na、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Sc、Li、Cs、Mg、Sr、Ba、Al、Sn、In、Ga、またはその他の既知の添加材料、さらに放電アークに高い電気的インピーダンスを提供するためのHg、Zn、ZnIまたはその他の添加材料のヨウ化物、臭化物、または塩化物等の金属および金属ハロゲン化物成分とを含む。発光管の外囲器材料は、多結晶アルミナ(PCA)、微結晶アルミナ(MCA)、単結晶アルミナ(サファイア)、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、アルミニウム酸窒化物(AlON)、イットラロックス、マグネシウム−アルミニウム酸窒化物(スピネル)またはその他の高温の透光性セラミックであってもよい。
【0030】
シュラウドは、発光管の周囲で密封、すなわち、両密封端部(図1)または密封端部(図2)内に収容されるモリブデン箔152によって各端部で密封される。発光管とシュラウド150の間の空間すなわち空洞154は、ヘッドランプシュラウドとヘッドランプのセラミック放電発光管の間の空隙内の約1気圧の圧力、さもなければ真空下で、一般的に窒素ガス、さらに本発明の教示によればヘリウム(本開示はヘリウムを参照しているが、水素、ネオン、または窒素よりも実質的に高い熱伝導率を有するさらに他の冷却ガスを使用できることはわかっている)で充填される。約1気圧の最初のヘリウム充填圧力の少なくとも約20%が、好ましくは、約500℃に達するシュラウドまたは外側ジャケットの動作温度下で、約3000時間維持される。高い動作温度であっても前述のヘリウム損失の最小化を達成するいくつかの方法が、本明細書で開示される。
【0031】
ヘッドランプ発光管とシュラウドの間の空隙に存在する従来の窒素充填ガスと置き換えるためにヘリウムガスを使用することによって、ヘッドランプ動作のいくつかのパラメータに関する利点がもたらされる。一実施形態では、窒素のヘリウムとの置換によって、発光管外囲器がより低温で動作することが可能になる。別の実施形態では、ヘリウムの使用により、発光管外囲器がより低温で動作するようになって、より小さな形態のヘッドランプアセンブリを設計することができ、より光学的に有利な光源が得られる。しかしながら、ヘリウムの使用にはそれ自身に付随する問題がある。例えば、ヘリウムは、高温では特に、石英シュラウドを急速に透過する傾向がある。このヘリウムガスの透過は、ヘリウム充填量がシュラウドを通って拡散するので、ヘリウムの使用によって最初に得られる熱および応力効果の減少を最終的に招くのだが、それは約100時間の動作後に起こる。
【0032】
本明細書では、シュラウド150を改良することで、ヘリウムの透過を防止または十分に低減することによって、熱および応力効果の減少を伴わずにヘリウムの充填ガスとしての使用が達成される。一実施形態では、石英シュラウドとアルミノケイ酸ガラスのシュラウドとの置換によって、ヘッドランプ設計の修正が行なわれる。ガラスをシュラウド材料として使用する際に考慮する事柄の1つは、その温度限界のことが中心である。アルミノケイ酸ガラスは、約1015℃の軟化点と約785℃のアニール点を有する。これらの温度は、約500〜700℃の予想されるシュラウドのホットスポット温度を上回っている。このため、アルミノケイ酸ガラスは、最大約3000時間の長時間にわたってヘリウム透過を低減するための実行可能な選択肢である。
【0033】
ランプ寿命の末期に含有していなくてはならない冷却ガスの量を、以下のように推定することができる。冷却ガスは、発光管が低圧分子領域ではなく流体領域で動作している時に熱伝導または対流を介して、発光管から熱を除去するのに最も効果的である。ガス状媒質の熱伝導率は、ガス媒質が分子領域ではなく、連続体領域、すなわち流体領域にある限り、ガスの圧力に左右されない。自由分子領域から連続体領域への移行は、クヌーセン数が約0.1未満に減少すると起こる。クヌーセン数(Kn)は、ガス外囲器の典型的な空間次元、この場合は発光管の外側とシュラウドの内側の間のギャップによって分けられるガスの衝突の平均自由行程に等しい無次元流体パラメータである。発光管の外側とシュラウドの内側の間に1.0mmのギャップ間隔を有するシュラウド内のヘリウムまたは水素冷却ガスの0.01未満のKnに対して、冷却ガス圧力は200トルより大きくなくてはならない。そのため、ランプの製造中にシュラウドに約1気圧(1バール,760トル)を最初に注入すると、ランプの寿命を通して最初の冷却ガス量の30%程度が十分に保持される。ランプの寿命全体にわたって必要とされる冷却ガスの保持率は、ガスの冷却効果の緩やかな低下はあるものとして、かつ/またはシュラウドと発光管の間のギャップが1.0mmより大きければ、30%より非常に少なくすることができる。ランプの寿命全体にわたって冷却ガスの多量の損失がある場合、および高電圧絶縁破壊のために一定割合のNが添加されている場合、ランプの寿命にわたって保持すべき冷却ガスの量は、冷却ガスによる発光管の冷却効果への大きな貢献を保持するために、Nの最初の頃の割合(通常は約5〜20%)よりも多くなるはずである。ランプの定格寿命末期に必要とされる冷却ガスの閉じ込めの推定値は、多くのランプ用途のための冷却ガスの最初の充填圧力の20%未満、すなわち最初の充填量の約600トルから残った約120トルとされる。
【0034】
既に述べたように、高電圧(〜25kV)点火パルスが安定器から印加される時に発光管の外部リード線全体のガスによる絶縁破壊を阻害することが、シュラウド内の窒素ガスの機能の1つである。このことは、ランプ設計が両口(図1)よりも片口(図2)であって、両方のリード線がランプの同じ側から出る場合の懸案事項である。ヘリウムのイオン化電位が非常に高いため、ヘリウムガスが絶縁破壊を十分に阻害するかどうかわからないと考えられていた。ヘリウムガスが十分な電気絶縁を行なわなかった場合、一定量の窒素ガスを、ヘリウムの熱効果を低下させるほど低い(ヘリウム圧力の約1/4未満)が、窒素ガスの電気陰性効果を実現するのには十分な高さである窒素の分圧でヘリウムガスに添加してもよい。
【0035】
この考えを研究した結果を図3に示す。純ヘリウムと純窒素の両方をさまざまなギャップ幅で調査し、2つのガスの組み合わせも同様に調査した。チェックマークは絶縁破壊が起こらなかった点を表しているのに対して、「x」マークは絶縁破壊が起こった点を表している。線は2つの間の閾値を表す。要約すると、窒素は実際にヘリウム以上に機能したが、実際のギャップ幅での絶縁破壊を阻害するために2つのガスの組み合わせを用いてもよい。純粋状態のヘリウムで観察された絶縁破壊ギャップは、窒素の8mmに比べて17mmと大きく異なっていた。しかしながら、ごく少量の窒素(約500トルの全充填圧力の約10%)の添加によってギャップが12mmに減少し、プラトーに達した。言い換えると、窒素をさらに添加しても、絶縁破壊ギャップ幅に大きく影響を及ぼすことはなかった。
【0036】
別の実施形態では、ヘリウム透過を軽減するために、薄膜酸化物コーティングを使用することによってヘッドランプ設計の改良が行なわれる。例えば、ヘリウム透過を最小化するために、約1μ〜3μの厚さを有するチタニア、タンタラ、ニオビア、アルミナ、またはその他の適当なコーティングを、シュラウド150の内側および/外側にコートしてもよい。コーティングは多層コーティングまたは単層コーティングとして塗布してもよく、化学蒸着またはスパッタリングなど任意の既知のコーティング技術によって塗布してもよい。もちろん、単層コーティングは、浸漬または噴霧などのより単純な方法で塗布してもよい。
【0037】
上記したように、約1〜3μ厚のアルミナ、チタニア、タンタラ、またはその他の適当なコーティングの単層コーティング、あるいは例えば、チタニア、タンタラ、またはその他の適当な材料とシリカとの交互層を組み込んだ多層コーティングのどちらを使用してもよい。後者では、交互層が、冷却ヘリウムガスの透過に対する拡散障壁と、ランプの光学ビーム形成性能を向上させるための反射防止コーティングの両方の役割を果たす。上記のコーティングを有するアルミノケイ酸シュラウド150は、好ましくは少なくとも約1mm厚にすべきであり、より厚いとさらにヘリウム透過を阻害するので、2mm厚程度がより好ましい。コーティングは、上記したように、シュラウドの内側、外側、またはその両面に蒸着させてもよい。
【0038】
石英内のヘリウムおよび水素閉じ込めを定量化するために、試験を行なった。室温でのソーダ石灰、ホウケイ酸(BSC)、またはパイレックス(商標)ガラスへのHeの透過率は、それぞれ石英よりも約4、2、および1桁小さいことが知られている(「Introduction to Material Science,A.G.Guy,McGraw−Hill,1972年」の第251頁(非特許文献1)を参照のこと)。しかしながら、これらは多くの高温ランプ用途のシュラウド材料には低すぎる軟化点(それぞれ700、770、820℃)と最高使用温度(それぞれ450、500、550℃)を有する。そのため、試験用のソーダ石灰、BSC、またはパイレックス(商標)ガラスの代わりに、アルミノケイ酸ガラス(軟化点〜1000℃;最高使用温度650℃程度)、さらに石英のさまざまな高温の可視透過薄膜コーティングのヘリウムおよび水素閉じ込め機能を試験した。一般的に、HeおよびHに対するガラスの透過率は石英よりも桁数が小さいので、一部の低温ランプ用途にソーダ石灰、BSC、パイレックス(商標)、またはその他の同様の低温ガラスの使用が有効であり、高温ランプ用途にアルミノケイ酸またはその他の同様の高温ガラスが有効であることが、ランプ設計の当業者にはわかるであろう。本開示においてアルミノケイ酸ガラスを試験した理由は、市販の高温ランプでのアルミノケイ酸ガラスの使用が成功しているためであるが、本発明の効果はその他のガラスにも関係し、アルミノケイ酸ガラスのみに限定されるものではない。石英に対して、ガラスへのHeの透過率が低いことの物理的解釈は、早くも1938年に「Journal of Chemical Physics、第6巻、第612〜619頁」(非特許文献2)で見ることができ、詳しくはより最近になって「V.O.Altemose,Journal of Applied Physics,第32巻,第7号,例えば第1314頁」(非特許文献3)にガラスのより詳細な一覧がある。ガラス組成への約8%のアルカリおよびアルカリ土類酸化物の添加によって、300℃でのガラスへのHeの透過率は約10倍に減少する(出典:非特許文献3の図6)。透過率の減少度は、ガラスの軟化点に至るまでの高温であっても同様に大きい。高温ランプの外側ジャケット内のHeの良好な閉じ込めを示すであろうすべての候補ガラスを一覧に示すには市販のガラスが多すぎるので、図4は代表的なガラスの一覧を示す。高い軟化温度と併せて高いモル%のアルカリおよびアルカリ土類原子を含有するガラスが、最も適切である。軟化温度はガラスが自重で変形する温度なので、ランプ成分としての最大有効温度はかなり低くなる。図4に示すように、示したアルミノケイ酸ガラスはすべて925℃より高い軟化温度を有しており、さらにアルカリおよびアルカリ土類酸化物のモル%が17〜25%程度である。ソーダ石灰ガラスは28%程度の高いモル%のアルカリおよびアルカリ土類酸化物を有するが、その軟化点(約700℃)のためにより冷たい低温ランプ設計のHe含有ガラスとしては役に立つ。当然のことながら、高温性能と高いモル含有率のアルカリおよびアルカリ土類酸化物とを兼ね備えたその他のガラスも高温ランプ用途でHeおよびその他の冷却ガスの良好な閉じ込めを行なうことが明らかである。
【0039】
さまざまな薄膜コーティングのヘリウムおよび水素閉じ込め機能を定量化するために、さらなる試験を行なった。試験は、ランプ動作中のシュラウドの外面のほぼ典型的な温度である550℃で長時間行なった。まず、多くの管を既知量の既知の圧力(〜600トル)の被検ガスで充填することによって試験を行なった。次に、充填された管を550℃の密閉炉に時間間隔を置いて入れた。各々の間隔の後に、約3つの管を炉から取り出して、それらのガス圧力を質量分析法によって測定した。次に、これらの圧力値の平均値を求め、それを最初の圧力(0時間質量分析測定値)と比較して、その時の基材の閉じ込め機能率を表した。図5および6は、石英と比べたアルミノケイ酸ガラス内のヘリウム、さらに石英のさまざまな薄膜コーティングに関する結果を示す。いずれの場合も、3000時間で最初のガス圧力の少なくとも20%の閉じ込めを目標とする。
【0040】
図5は、アルミノケイ酸GEタイプ180のアルミノケイ酸ガラスの性能が石英よりも優れていることを示している。閉じ込めデータは、コーティングを施したアルミノケイ酸ガラスではなく、コーティングを施した石英内のヘリウムに有効であるため、アルミノケイ酸ガラスシュラウドにコーティングを施すことの効果の解析評価が生まれた。
【0041】
【数1】

【0042】
この作られた方程式は、GEタイプ180アルミノケイ酸ガラスと薄膜コーティングの複合効果の推定を提示する。複合効果は、コートされた石英管を裸の石英管と比較した結果を用いて、0.3ミクロンのチタニアコーティングそのものの効果を定量化することによって決定した。以下の方程式は、さまざまなパラメータ間の関係を示す。
【0043】
【数2】

【0044】
これらの方程式では、各々のxは所定の基材に含有されるヘリウムの割合を表しているため、1−xは所定の基材から漏れたヘリウムの割合を表すことになる。上付き文字tは時間を表しており、方程式を用いることで多数の個別対象時間の複合効果反応の値が求められる。下付き文字は対象の基材またはコーティングを表しており、以下の通りである。
G=ガラス
F=膜
Q=石英
したがって、薄膜でコートされた石英シュラウド内のヘリウムの閉じ込めに関して得られたデータと、コートされていない(裸の)石英シュラウドに関するデータを用いて、まずxFを決定した。xFを決定すると、GEタイプ180アルミノケイ酸ガラスと0.3ミクロンのチタニア膜の予想複合効果xG+Fを推定することができる。
【0045】
図7は、0.3ミクロンのチタニア薄膜でコートされたアルミノケイ酸GEタイプ180ガラスの推定ヘリウム閉じ込め機能に関する曲線を示している。
【0046】
シュラウド内部のヘリウムまたは水素の閉じ込めを強化する別の方法は、コーティングまたは基材の厚さを増加させることである。コーティングまたは基材の厚さが閉じ込め機能に及ぼす影響を理解するために、流速相関を用いた。この相関は、厚いアルミノケイ酸ガラスがどれほどよく充填ガスを含有することになるか、また同様に、厚い酸化物コーティングがどれほどよく充填ガスを含有することになるかを予測するために用いられた。次に、厚いアルミノケイ酸ガラスを調査して、予測の精度を決定した。図8は、理論的に予測された閉じ込めが厚いガラスの観察された閉じ込めとよく似ていることを示している。これらの理論的予測を用いて、基材厚さ、基材タイプ、コーティング、および冷却ガスのさまざまな組み合わせに関する閉じ込めを予測した。
【0047】
550℃でのさまざまな基材への閉じ込めに関して、水素の試験も行なった。図9は、3mmの内径と5mmの外径を有する石英管への水素の閉じ込めを示す。石英がヘリウム(図5に示す)よりもより効率的に水素を含有することは、この調査から明らかである。
【0048】
水素とヘリウムの2つのガスの閉じ込めの比較が、所定の基材に拡散する水素がヘリウムよりもどれだけ少ないかの定量化につながった。この関係を用いて、アルミノケイ酸ガラスがヘリウムよりも非常に高い割合の水素を含有するであろうことを予測した。実験結果は、この予測が正しいこと、さらには予測された閉じ込め率を超えもすることも証明した。図10は、アルミノケイ酸ガラスは水素と組み合わせると、この用途で用いるのに有力な候補であることを示している。水素は1000時間で86%(残り420トル)含有されており、これは3000時間で150トルという所望の閉じ込めにかなった目標通りである。
【0049】
基材、コーティング、厚さおよびガスの選択を組み合わせることによって、この有力解決手段の認識がその他の有力解決手段の決定につながる。一部の対象有力候補の識別を図11、12および13に示す。これらの図は、基材およびコーティングの選択の他に、基材およびコーティング厚さのすべてがシュラウドまたは外側ジャケットのガス閉じ込め機能に影響することを示している。さまざまな解決手段が、3000時間での十分なガスの閉じ込めに効果を発揮している。図11は200時間でのさまざまなシュラウド格子の予測閉じ込めを示しているのに対して、図12および13は2000および10000時間での予測閉じ込めを示している。これらの閉じ込め率推定値は、実験データ、厚さの相関計算、およびヘリウムと水素の保持率の相関に基づいている。
【0050】
図11,12および13は、2000、さらには10000時間で十分な水素またはヘリウムガスの閉じ込めができるいくつかの設計が存在することを示している。2000時間設計の好適な実施形態としては、水素と3ミクロンのチタニアコーティングを有する石英(1mmまたは2mm)、水素を有するがコーティングのないGEタイプ180アルミノケイ酸ガラス(0.78mmまたは2mm)、およびヘリウムまたは水素と3ミクロンのチタニアコーティングを有するGEタイプ180アルミノケイ酸ガラス(0.78mmまたは2mm)が挙げられる。10000時間設計の好適な実施形態は、石英またはアルミノケイ酸ガラス内のHeが厚い壁を必要とする可能性を除いて、2000時間のすべての好適な実施形態を含む。これらの解決手段はすべて、シュラウド内部に十分なガスを含有して、発光管または光源の十分な冷却雰囲気を形成することが予想されている。
【0051】
He閉じ込めに関しては、その格子定数がHeと同等である磁性化合物、例えばNiOからなる高温コーティングを使用することが特に有利である。
【0052】
ヘリウムは、以下の物理パラメータを有する希ガスである(A.F.SchuchおよびR.L.Mills,Phys.Rev.Lett.,1961年,第6巻,第596頁(非特許文献4))。
構造:ccp(立方最密)
格子パラメータ
a:424.2pm
b:424.2pm
c:424.2pm
α:90.000°
β:90.000°
γ:90.000°
基底状態:1s
NiOの基底状態は以下のように1960℃の分解点を有しており、高温用途に効果的である。
【0053】
Ni 78.58 2 [Ar].3d
O 21.42 −2 [He].2s.2p
その不活性な基底状態構造のため、ヘリウムはその他の元素または化合物を有する双極子モーメントのみを誘起する。NiOの電子配置によって、化合物はヘリウムに強い双極子モーメントを誘起するので、その他の酸化物よりもヘリウムをよりよく閉じ込めることができる。しかしながら、多くのその他の同様の磁性酸化物または窒化物によって双極子/四極子モーメントも誘起することができる。例えば、GaMnN、MnO、FeO、BiO、V、またはそれらの合金、あるいは上で示したようなヘリウムの格子定数424.2ピコメートルと同等の格子定数を有する任意の磁性化合物である。さらにまた、化合物は非磁性であってもよいが、非常に弱い双極子を誘起することによって磁性材料として作用することができる。例えば、Sr14Cu2441およびLaCuである。
【0054】
欠陥のない膜を得るために、一般的に200℃より高い基材温度での電子ビームスパッタ蒸着によって酸化物コーティングを施すことができる。
【0055】
水素およびヘリウム、それに加えてネオンがほとんどの試験の対象であったが、いくつかのその他の冷却ガス、特に窒素を上回る熱伝導率を有するガスもランプ用途として考えられる。本発明を取り入れることによって、これらの比較的小さな分子のほとんどまたはすべてがランプ用途における閉じ込め時間の延長に有効である。
【0056】
さらに別の実施形態では、ヘリウム透過をさらに低減および制限するために、前述の内容を踏まえて、従来の石英シュラウドの代わりに、アルミノケイ酸ガラスシュラウドを上記の薄膜酸化物コーティングと組み合わせて利用する。この場合、アルミノケイ酸ガラスシュラウドと薄膜酸化物コーティングの組み合わせは、最適性能のためにシュラウド内の冷却ガスの所望動作圧力を維持するのに役立つ。例えば、薄膜酸化物コーティングを有するアルミノケイ酸ガラスシュラウドは、約150トルの所望ヘリウム圧力を含有することができる。
【0057】
あるいは、TiO添加溶融シリカおよび/またはホウ素変性石英等のその他の変性シリカコーティングも使用することができる。コーティングは、粉体塗装、溶融コーティング、プラズマ溶射、化学蒸着、MO−CVD(有機金属化学気相成長)、ゾルゲルコーティング等のあらゆる従来方法によって塗布してもよい。もちろん、さらにヘリウム損失を低減するために、前述の方法の組み合わせ、例えば選択領域赤外線反射コーティングも利用することができる。低透過率コーティングは、ソーダ石灰ガラス、TiO、B、P、AlPO、BPO修飾ガラスを含むがこれらに限定されない。
【0058】
シュラウドにコーティングが用いられたそれらの実施形態では、コーティングは、例えば約1〜5μmのチタニア、タンタラ、アルミナ、またはヘリウムの損失を遅らせるその他の適当な材料であってよい。
【0059】
本発明の好適な実施形態を説明した。明らかなように、以上の詳細な説明を読み理解すると、当業者にはこれらの修正および改変形態が想起可能であろう。本開示はかかる修正および改変形態の全てを包含するものとする。
【符号の説明】
【0060】
100 ランプ
102 外囲器/発光管
104 放電室/空洞
106 第1脚部
108 第2脚部
120 電極/リード線アセンブリ
122 電極/リード線アセンブリ
124 シール
126 シール
128 アーク間隔
140 外部リード線部分
142 外部リード線部分
144 支柱
150 シュラウド
152 モリブデン箔
154 空間/空洞
160 2つのチャンバーランプ
162 第1シュラウド
164 第2シュラウド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス損失を低減する方法であって、
高温の光源(162)および周囲のシュラウド(150)を有するランプ(100)を設けるステップと、
前記高温の光源と前記シュラウドの間に窒素よりも大きな熱伝導率を有する充填ガスを使用するステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記シュラウド(150)が少なくともランプ動作の定格寿命にわたって最初の充填ガスの少なくとも20%を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用ステップが充填ガスとしてヘリウムまたは水素またはネオンの1つを使用することである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アルミノケイ酸ガラス、あるいは石英よりも水素またはヘリウムまたはネオンの拡散率が低いその他の高温ガラスから前記シュラウド(150)を形成するステップをさらに有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記シュラウド(150)の表面に高温コーティングを施すステップをさらに有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記シュラウド(150)の内面に高温コーティングを施すステップをさらに有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記シュラウド(150)の外面に高温コーティングを施すステップをさらに有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
高温ランプ(100)であって、
高温の光源(102)と、
前記光源を囲み、前記光源との間に窒素よりも大きな熱伝導率を有する充填ガスを有するシュラウド(150)であって、少なくともランプ動作の定格寿命にわたって最初の充填ガス量の少なくとも20%を含有するシュラウド(150)とからなる、高温ランプ(100)。
【請求項9】
前記シュラウド(150)が、石英、アルミノケイ酸ガラス、あるいは石英よりも水素またはヘリウムまたはネオンの拡散率が低いその他の高温ガラスからなる、請求項8に記載のランプ。
【請求項10】
前記シュラウド(150)が、前記シュラウドの内面および外面の少なくとも一方に高温コーティングを有する、請求項8又は9に記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−259813(P2009−259813A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94667(P2009−94667)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】