説明

メタルハライドランプ

【課題】長寿命のメタルハライドランプを提供する。
【解決手段】気密な発光管520内に放電媒体として希ガス、水銀及びハロゲン化金属を封入し、ランプ容器の管軸方向の両端に放電用電極521,522を設置したメタルハライドランプ52であって、ハロゲン化金属における金属は、鉄元素を除き、電気陰性度Nが1.5<N<2.0のいずれかの遷移金属としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルハライドランプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、350〜380nm近辺に高い発光強度を持つ紫外線発光のメタルハライドランプは、紫外線硬化塗料の硬化や、近年市場用途の高い機能性高分子フィルムへの光反応に効果的である。
【0003】
しかしながら、340nm以下の発光波長領域の光は、機能性材料に劣化を与えることが知られており、これらの短波長を抑制して使用されている。
【0004】
このような要求を満たすものとして、従来、特開平03-250549号公報(特許文献1)に記載されているように、金属タリウムあるいはハロゲン化タリウムを鉄と水銀と共に気密性容器に封入することにより340nm以下の短波長の紫外線を抑制して365nm近辺に高い発光強度を持つ紫外線照射ランプが知られている。
【0005】
しかしながら、このような従来の水銀紫外線ランプの場合、放電媒体に含有される鉄元素が発光管の素材である石英と反応したり、放電電極の素材であるタングステンとアマルガムを形成したりして長いランプ寿命が期待できない問題点があった。
【特許文献1】特開平03-250549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の技術的課題に鑑みてなされたものであり、長寿命化が図れるメタルハライドランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気密な発光管内に放電媒体として希ガス、水銀及びハロゲン化金属を封入し、前記ランプ容器の管軸方向の両端に放電用電極を設置したメタルハライドランプであって、前記ハロゲン化金属における金属は、鉄元素を除き、電気陰性度Nが1.5<N<2.0のいずれかの遷移金属としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のメタルハライドランプによれば、放電媒体中のハロゲン化金属における金属は、鉄元素を除き、電気陰性度Nが1.5<N<2.0のいずれかの遷移金属としたので、ランプ点灯中に発光管の素材である石英とハロゲン化金属とが反応することがなく、また電極の素材であるタングステンとハロゲン化金属とがアマルガムを形成することもなく、結果として、ランプの長寿命化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1を用いて、本発明の1つの実施の形態のメタルハライドランプ52は、紫外線透過性を有する石英製の発光管520の内部にタングステン(W)製等の電極521,522が配置され、外部にソケット523,524がそれぞれ設けられている。この実施の形態の紫外線放電ランプ52の一仕様を示すと、例えば、外管径27.5mm、肉厚1.5mm、発光長Lが1000mm、ランプ電圧1100V、ランプ電流値11.0Aである。
【0010】
発光管520の内部には、アルゴン(Ar)ガス等の希ガス、水銀、そしてハロゲン化金属としてヨウ化タリウム(TlI)が封入されている。ハロゲン化金属としてヨウ化タリウムを採用した場合、図2に示すように、波長352nm、365nm、378nm付近に、特に波長352nm、378nm付近に大きな発光ピークを有する。この発光特性により、水銀の発光強度を減少させる効果を持ち、そのため、313nmの水銀発光を抑制し、340〜400nmの波長領域の発光を相対的に多くした紫外線を発光させることできる。よって、本実施の形態のメタルハライドランプ52を液晶パネル製造において紫外線を照射して紫外線反応材料を重合させ配向膜をガラス板上に形成する工程に利用すると、液晶パネルの特性に大きく影響を及ぼす波長領域340nm以下の紫外線の照射を低減できる。
【0011】
尚、ハロゲン化金属としてヨウ化タリウムに代えて、臭化タリウムを採用することもできる。さらに、ハロゲン化金属に採用できる、鉄元素を除き、電気陰性度Nが1.5<N<2.0の遷移金属として、上述したタリウムの他に、例えばCo,Ni,Inが採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の1つの実施の形態のメタルハライドランプの正面図。
【図2】上記メタルハライドランプの分光特性のグラフ。
【符号の説明】
【0013】
52…メタルハライドランプ
520…発光管
521,522…電極
523,524…ソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密な発光管内に放電媒体として希ガス、水銀及びハロゲン化金属を封入し、前記ランプ容器の管軸方向の両端に放電用電極を設置したメタルハライドランプであって、
前記ハロゲン化金属における金属は、鉄元素を除き、電気陰性度Nが1.5<N<2.0のいずれかの遷移金属であることを特徴とするメタルハライドランプ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−282748(P2008−282748A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127515(P2007−127515)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】