説明

メタ珪酸アルミン酸マグネシウムを含有するたばこフィルタ

【課題】アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に効率よく除去できるたばこフィルタ、このたばこフィルタを備えたたばこを提供する。
【解決手段】メタ珪酸アルミン酸マグネシウム0.5〜95質量%を含有するたばこフィルタで、フィルタ材料は、公知のたばこフィルタで使用されているフィルタトウ、不織布等を用いることができる。メタ珪酸アルミン酸マグネシウムの粒径は特に制限されるものではないが、たばこフィルタ中に所定割合で含有させることと、アルデヒド類の吸着効果を高める観点から、粒径範囲が100μm〜1000μmであるものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に効率よく除去できるなたばこフィルタ、このたばこフィルタを備えたたばこに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ煙中の成分をろ過するための吸着体として、種々の構成成分が提案されている。特許第3895327号公報(特許文献1)には、たばこロッドと、前記たばこロッドに接続された、48.3〜146.7mgのハイドロタルサイト類化合物を含むフィルタとを具備したことを特徴とするシガレットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3895327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に効率よく除去できるなたばこフィルタ、このたばこフィルタを備えたたばこを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム0.5〜95質量%を含有するたばこフィルタと、それを用いたたばこを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のたばこフィルタは、アルデヒド類、特にホルムアルデヒドに対する選択吸着性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ホルムアルデヒドの吸着効果を確認するための試験方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のたばこフィルタは、フィルタ材料中にメタ珪酸アルミン酸マグネシウムを含有するものである。フィルタ材料は、公知のたばこフィルタで使用されているフィルタトウ、不織布等を用いることができる。
【0009】
本発明で用いるメタ珪酸アルミン酸マグネシウムは、制酸剤、賦形剤等として使用されている公知の成分である。
【0010】
メタ珪酸アルミン酸マグネシウムの粒径は特に制限されるものではないが、たばこフィルタ中に所定割合で含有させることと、アルデヒド類の吸着効果を高める観点から、粒径範囲が100μm〜1000μmであるものが好ましい。
【0011】
メタ珪酸アルミン酸マグネシウムの比表面積は特に制限されるものではないが、アルデヒド類の吸着効果を高める観点から、100〜300m2/gの範囲が好ましい。
【0012】
メタ珪酸アルミン酸マグネシウムは、4質量%スラリーのpHがアルカリ性領域(8.5〜10)であるものが好ましいが、中性領域(6〜8)のものでもよい。
【0013】
たばこフィルタは、その他、香料等のたばこフィルタに配合されている公知の各種成分を含有することもできる。
【0014】
たばこフィルタ中のメタ珪酸アルミン酸マグネシウムの割合は、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム0.5〜95質量%であり、好ましくは2〜85質量%、より好ましくは5〜70質量%である。
【0015】
本発明のたばこフィルタは、
(I)フィルタが2又は3以上のセグメントに分割されており、隣接するセグメント間の1箇所又は2箇所以上にメタ珪酸アルミン酸マグネシウムを含む層を有するもの、
(II)フィルタ中にメタ珪酸アルミン酸マグネシウムが分散された状態で含有されているもの、
のいずれかの実施形態にすることが好ましい。
【0016】
(I)の実施形態において、フィルタが3以上のセグメントからなるものの場合、1箇所がメタ珪酸アルミン酸マグネシウムを含む層であり、他が香料等を含む層にすることもできる。
【0017】
本発明のたばこは、上記したたばこフィルタを備えたものであり、たばこ主流煙中のアルデヒド類の低減に効果がある。
【実施例】
【0018】
実施例及び比較例
以下のようにして、図1(b)に示すたばこフィルタを製造し、アルデヒド類の吸着効果を試験した。
【0019】
商品名ピースライト(日本たばこ産業(株)製)のフィルタを端部から14mmの位置で切断してフィルタ2a、2bに分離した。
【0020】
フィルタ2aを取り除いた後、残存したフィルタ2bにガラスチューブ6を嵌め込み、所定量のメタ珪酸アルミン酸マグネシウム5(商品名 ノイリシン;富士化学工業(株)を充填した。各実施例で使用したメタ珪酸アルミン酸マグネシウムの種類と性状を表1に示した。
なお、これらのメタ珪酸アルミン酸マグネシウムは、目開き(JIS Z 8801−1 2006)1.0mmと0.1mmの篩を用いて、目開き1.0mmは通過するが目開き0.1mmは通過しない粒度に調整して充填した。
【0021】
その後、フィルタ2bとの間にメタ珪酸アルミン酸マグネシウム5が挟み込まれるようにして、フィルタ2aをガラスチューブ6に嵌め込んだ。
【0022】
その後、ガラスチューブ6とフィルタ2a、2bとの接触面が完全に覆われるようにして、シールテープ7で密封して、試験用のたばこを製造した。図1(a)は対照となるたばこで、図1(b)と同様にフィルタを切断し、フィルタ2a、2bにした後、切断面が完全に覆われるようにして、シールテープ4で密封したものである。
【0023】
図1(a)、(b)に示す試験用のたばこを用い、特許第3895327号の図2に示す測定装置を用いて、下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0024】
(ホルムアルデヒド保持率)
試験用たばこ(図1b)及び対照となるたばこ(図1a)を用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で、喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。たばこを通過した煙中のホルムアルデヒドは、DNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)溶液で捕集し、DNPHで誘導体化した上でガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いてUV(紫外線)の吸光度を用い測定した。
【0025】
対照となるたばこを用いて捕集されたホルムアルデヒド量Tfとし、比較例及び実施例の試験用たばこを用いて捕集したホルムアルデヒド量をCfとして次式によりホルムアルデヒド保持率を算出した。
ホルムアルデヒド保持率(%)=100×Cf/Tf
ホルムアルデヒドの保持率は、小さい方がホルムアルデヒドの吸着性能が優れていることを示している。他のアルデヒド類についても、上記と同様の方法で評価した。
【表1】

【符号の説明】
【0026】
1 たばこ
2 フィルタ
3 切断面
4 シールテープ
5 メタ珪酸アルミン酸マグネシウム層
6 ガラスチューブ
7 シールテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタ珪酸アルミン酸マグネシウム0.5〜95質量%を含有するたばこフィルタ。
【請求項2】
フィルタ中にメタ珪酸アルミン酸マグネシウムを含む層を有している、請求項1記載のたばこフィルタ。
【請求項3】
フィルタ中にメタ珪酸アルミン酸マグネシウムが分散された状態で含有されている、請求項1記載のたばこフィルタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のたばこフィルタを備えたたばこ。

【図1】
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【公開番号】特開2011−155902(P2011−155902A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20024(P2010−20024)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】